JP3461155B2 - 多孔質セメント硬化体の製造方法及びこの方法により得られた多孔質セメント硬化体 - Google Patents

多孔質セメント硬化体の製造方法及びこの方法により得られた多孔質セメント硬化体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定のシリカ含有量を
有する粗骨材に、シリカ混入混和材を含有するセメント
ペーストを付着し、締め固めた連続空隙を有するセメン
ト硬化体を形成し、これを二段養生して得た連続空隙を
有する多孔質セメント硬化体の製造方法及びこの方法に
より得られた多孔質セメント硬化体に関し、更に詳しく
は、多孔質構造に起因する優れた吸着機能を活かした環
境材料として、水質浄化・大気浄化を高める浄化材、床
下調湿材、調湿防臭壁材、断熱・吸音ボード、パネル
類、快適な生活空間を構成する建築材料、緑化、培地
材、土壌改良材、植物育成の環境を改善する土木・農業
資材等として用いることができ、特に、アルカリ成分の
溶出を抑制し、藻や海草等の植物、微生物、小動物等の
棲息を阻害することがない護岸や魚礁用のコンクリート
ブロックや、好適に植物を育成できる緑化基板コンクリ
ート材等として用いることができる連続空隙を有する多
孔質セメント硬化体の製造方法及びこの方法により得ら
れた多孔質セメント硬化体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コンクリートは、その歴史が約100年
であり、20世紀の文化社会を支えてきた主要な材料の
一つであることは疑う余地が無く、現代生活において、
我々の生活に不可欠な存在となっている。
【0003】これは、コンクリートの材料であるセメン
ト・砂利・砂・水等が廉価で大量に入手しやすいことや
成形性が良好であるといった特性が、建造物を造るのに
適しているからであり、又、コンクリートは鉄筋や鉄骨
と一体になることで、耐震性、耐火性、遮音性に優れた
建材になるといった利点があるからである。
【0004】このようなコンクリートの利点から、コン
クリートは多岐の分野、例えば、建物の構造体、電柱、
道路の舗石、コンクリートブロック塀、線路の枕木、ト
ンネル、ダム、橋、護岸等、あらゆる分野にわたって使
用されており、今後、21世紀においても重要な材料と
して、更に幅広い分野で多量に使用されていくであろう
ことは容易に予想される。
【0005】しかしながら、コンクリートからなる建築
物等は、冷たく、無機的なイメージがあり、一度造ると
壊しにくく、更に、自然環境との調和を図り難いといっ
た環境的な問題があり、特にコンクリートから流出する
アルカリ成分は、コンクリートの長期安定性と相まっ
て、長期間にわたって動植物等の育成を阻害し、これに
より、都市部や埋め立て地或いは廃棄処理場等において
動植物等の棲息数が激減するといった問題がある。
【0006】即ち、最近よく聞かれるようになった「コ
ンクリートジャングル」といった言葉からもわかるよう
に、都会においては、コンクリート建築物が乱立し、緑
の少ない無機的で殺風景な街並みとなっており、又、
「ヒートアイランド現象」を初めとする都市周辺環境の
悪化等、様々な問題が発生している。
【0007】更に、海岸においても埋め立てや護岸等に
おいて使用されるコンクリートから流出するアルカリ成
分が、藻や海草等の植物の育成を阻害し、これらの植物
を食べたり、住みかとする魚介類の棲息をも阻害すると
いった問題がある。
【0008】加えて、廃棄されたコンクリート廃材にお
いても、廃棄後、長期にわたってアルカリ成分が溶出し
続け、これにより、一層自然環境等を悪化するといった
問題がある。
【0009】従って、今後21世紀においては、コンク
リートの有する前記利点を維持しながらも、これらの問
題を改善し、自然環境を配慮した開発事業が必要であ
り、その一環として現在では、コンクリートで囲まれた
都市に少しでも緑を増やそうとする目的で、コンクリー
ト構造物への緑化工法が種々研究・開発されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前記コンクリート構造
物への緑化工法としては、例えば、屋上・壁面の緑化、
道路沿いの斜面の緑化、及びコンクリートへの直接植栽
等が挙げられるが、通常のコンクリートには、土壌と比
較して、植物等の生育や透水性確保のための空隙が少な
く、水分・肥料成分を蓄えることができないという欠点
がある。
【0011】この欠点を解消するコンクリートとして、
現在では、砕石や軽量骨材に、セメントペーストを付着
せしめ、連続した空隙ができるように固化し、これによ
り、その内部に保水材や肥料等を充填できるように設計
した緑化コンクリートが開発されている。
【0012】しかしながら、従来における緑化コンクリ
ートは、コンクリート自体からアルカリ成分(水酸化カ
ルシウム)が長期間にわたって溶出し、その結果、植
物、微生物、小動物等の棲息が阻害されるといった問題
や、溶出したアルカリ成分により、その耐久性が著しく
減少するといった問題があった。
【0013】そこで、この問題を解決するため、特公平
1−54306号公報では、水酸化カルシウムの溶出を
防止して植物、微生物、小動物等の棲息に適し、且つ耐
久性を有する連続した空隙を有するセメント硬化体及び
その製造方法の提供を目的として、活性シリカ、水、セ
メント及び高性能減水剤を混合したペーストを骨材に付
着し、それらを硬化させた連続した空隙を有するセメン
ト硬化体が開示されている。
【0014】即ち、特公平1−54306号公報に開示
されているセメント硬化体は、シリカフュームに代表さ
れる活性シリカを25重量%以下の割合でセメントペー
ストに配合した後、水中で長期間養生し、コンクリート
中のアルカリ成分と活性シリカとを反応を促進すること
により、アルカリ成分の溶出を抑制するものである。
【0015】又、特開平10−231185号公報にお
いては、前記とほぼ同様の目的を達成するために、酸性
を呈する疑灰岩を破砕して形成した骨材を用い、アルカ
リ成分を中和することでアルカリ成分の溶出を抑制した
連続空隙を有するセメント硬化体(ポーラスブロック)
が開示されている。
【0016】これらのアルカリ成分の溶出を抑制する技
術は、両者共にコンクリート中の水酸化カルシウムに、
シリカフュームや疑灰岩中に含まれるシリカと、水とを
接触させることによりポラゾン反応を促進させ、コンク
リート中のアルカリ成分を中和するものである。
【0017】しかしながら、前記ポラゾン反応は、水酸
化カルシウムとシリカ及び水を反応させ、非晶性lCa
O−mSiO−nHO系化合物を生成させるもので
あり、通常、反応完了までに相当の時間を必要とするた
め、硬化後に水中養生を充分な期間(例えば、特公平1
−54306号公報では、28日間必要としている。)
行わなければならず、生産性が著しく低くなるといった
欠点がある。
【0018】又、特公平1−54306号公報及び特開
平10−231185号公報においてはいずれも、空隙
率について開示されていないが、通常、このような連続
空隙を有するセメント硬化体においては、空隙率の大小
により、硬化体の圧縮強度が決定される。
【0019】一般的には、このような連続空隙を有する
セメント硬化体の空隙率が10%であれば、その圧縮強
度は30N/mmとなり、空隙率が20%、30%と
大きくなるにつれ、圧縮強度は順に20N/mm、1
0N/mmと減少する。
【0020】ところで、植物の生育を目的とした緑化ブ
ロック等においては、水分や養分の保持のため、その空
隙率は大きい方が良く、一般に25%以上の空隙率が必
要とされるが、このような空隙率を有するセメント硬化
体の圧縮強度は15N/mm 以下程度となる。
【0021】しかしながら、一般の構造物の設計基準強
度は18N/mm以上であり、従って、このような連
続空隙を有するセメント硬化体は、大きな負荷のかから
ない部分においてのみしか使用することができないこと
になる。
【0022】更に、このような圧縮強度に劣るセメント
硬化体からなるコンクリートブロック等は、生産した工
場から現場まで運搬する際に、ひびや欠損等の破損が生
じる蓋然性が高くなるといった問題もある。
【0023】加えて、特公平1−54306号公報にお
いては、活性シリカの好適な例は開示されていないが、
おそらくシリカフュームを活性シリカとして用いたもの
と予想される。
【0024】この理由としては、技術的常識上、特公平
1−54306号公報に記載の技術を用いた場合、活性
シリカとしてシリカフューム以外のもの、例えばフライ
アッシュや石炭灰を施用すると、前記ポゾラン反応が完
了するまでに100日以上を費やすことになるからであ
り、即ち、この技術を用いて28日間でポゾラン反応を
完了させるためには、活性シリカとして反応性の高いシ
リカフュームを使用する必要がある。
【0025】しかしながら、シリカフュームは、フライ
アッシュや石炭灰等と比較して材料コストが著しく高く
(例えば、一般に、シリカフューム:90円/kg、フ
ライアッシュ:6.5円/kg、石炭灰:2円/kg程
度である。)、シリカフュームをセメントに対して25
重量%も混入すると、材料単価が倍増してしまい、実用
化に関して大きな障害となるのである。
【0026】本発明は、上述したように、特定量以上の
シリカ含有量を有する粗骨材に、シリカ混入混和材を含
有するセメントペーストを付着し、締め固めた連続空隙
を有するセメント硬化体を、常圧高温養生してから高圧
高温養生すれば、比較的短期間で、経時変化が少なく、
高強度で且つアルカリ成分の溶出が非常に少ない連続空
隙を有する多孔質セメント硬化体を得ることができると
いう知見に基づいて完成されたものである。
【0027】又、本発明者は、各種シリカ含有量の粗骨
材表面に、各種セメントペーストを付着し、締め固める
ことにより連続空隙を有するセメント硬化体を形成し、
この連続空隙を有するセメント硬化体に対し常圧高温養
生と高圧高温養生とを順次行い、得られた硬化、多孔質
構造のコンクリート自体から長期間にわたって溶出する
アルカリ成分(例えば、水酸化カルシウム)と各種シリ
カ含有量を有する粗骨材との関係について鋭意検討を重
ねてきた。
【0028】その結果、コンクリート自体から長期間に
わたって溶出するアルカリ成分(水酸化カルシウム)
は、常圧高温養生と高圧高温養生とを順次行い、下記化
学反応によって、SiO2(粗骨材とシリカ混入混和
材)+Ca(OH)2=CaSiO+HO水酸化カ
ルシウム「Ca(OH)」が粗骨材やシリカ混入混和
材の中のシリカ「SiO」に化学的に固定(水酸化カ
ルシウムの溶出防止)されるのであり、しかもこの際、
この粗骨材中のシリカ「SiO」含有量は55重量%
以上、特に65〜70重量%以上のものが望ましい。本
発明は、これらの知見に基づき完成されたものである。
【0029】即ち、本発明は、上述したように、特定量
以上のシリカ含有量を有する粗骨材に、シリカ混入混和
材を含有するセメントペーストを付着し、締め固めた連
続空隙を有するセメント硬化体を、常圧高温養生してか
ら高圧高温養生すれば、比較的短期間で、経時変化が少
なく、高強度で且つアルカリ成分の溶出が非常に少ない
連続空隙を有する多孔質セメント硬化体を得ることがで
きるのであり、更に詳しくは、このような特定量以上の
シリカ含有量を有する粗骨材に、シリカ混入混和材を含
有するセメントペーストを付着し、締め固めた連続空隙
を有するセメント硬化体を二段階養生して得た連続空隙
を有する多孔質セメント硬化体を形成することにより、
多孔質構造に起因する優れた吸着機能を活かした環境材
料として、水質・大気浄化を高める浄化材、床下調湿
材、調湿防臭壁材、断熱・吸音ボード、パネル類、快適
な生活空間を構成する建築材料、緑化、培地材、土壌改
良材、植物育成の環境を改善する土木・農業資材等とし
て用いることができる上、特に、アルカリ成分の溶出を
抑制し、藻や海草等の植物、微生物、小動物等の棲息を
阻害することがなく、屋上緑化や側壁緑化更に護岸や魚
礁に用いるコンクリートブロックや緑化用基板コンクリ
ート材等として好適に用いることができる連続空隙を有
する多孔質セメント硬化体の製造方法及びこの方法によ
り得られた多孔質セメント硬化体を提供することを目的
とするものである。
【0030】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明に係る連続空隙を有する多孔質セメント硬化
の製造方法は、シリカを55重量%以上含有する粗骨
材表面に、シリカ混入混和材、セメント、減水剤及び水
を混合したセメントペーストを付着し、締め固めること
により連続空隙を有するセメント硬化体を形成し、この
連続空隙を有するセメント硬化体に対し常圧高温養生と
高圧高温養生とを順次行うことによって、硬化、多孔質
構造に形成し、空隙率25%以上で圧縮強度18N/m
2 以上の連続空隙を有する多孔質セメント硬化体を得
ことを特徴とするものであり、本発明に係る連続空隙
を有する多孔質セメント硬化体は、この方法によって製
造されたものであることを特徴とする。
【0031】以下、本発明に係る連続空隙を有する多孔
質セメント硬化体の製造方法及びこの方法により得られ
た多孔質セメント硬化体について更に詳細に説明する。
【0032】本発明は、55重量%以上のシリカ含有量
を有する粗骨材表面に、シリカ混入混和材を含有するセ
メントペーストを付着させ、これを型枠に投入し、締め
固めると、連続した空隙を有する多孔質セメント硬化体
が得られるのであり、次いで、このセメント硬化体に常
圧高温養生を行うと、水分の蒸散に起因する気孔径が比
較的揃った水酸化カルシウム及び炭酸カルシウム組成の
多孔質体が得られ、更に、この多孔質体を高圧高温養生
すると、常圧高温養生において生成した水酸化カルシウ
ムが、粗骨材やシリカ混入混和材の中のシリカ「SiO
」成分及び水と急速に反応し、トベルモライト・ゾノ
ライト等の結晶性ケイ酸カルシウム化合物を含んだ連続
空隙を有する多孔質セメント硬化体を得ることができる
との知見に基づくものである。
【0033】つまり、本発明においては、コンクリート
多孔質体から長期間にわたって溶出するアルカリ成分
(例えば、水酸化カルシウム)が、高圧高温養生によ
り、下記化学反応によって、SiO2(粗骨材とシリカ
混入混和材)+Ca(OH)2=CaSiO+H
水酸化カルシウム「Ca(OH)」が粗骨材中のシリ
カ「SiO」とシリカ混入混和材中のシリカ「SiO
」に化学的に固定(水酸化カルシウムの溶出防止)さ
れるのであり、しかもこの際、粗骨材中のシリカ「Si
」含有量は55重量%以上のものが望ましい。
【0034】ところで、粗骨材中のシリカ「SiO
含有量が55重量%未満になると、粗骨材の種類を問わ
ず、常圧高温養生によって生成した水酸化カルシウム
と、粗骨材中のシリカとの接触機会が減少し、結晶性ケ
イ酸カルシウム化合物の生成反応が遅延するだけでな
く、アルカリ成分(例えば、水酸化カルシウム)の固定
が不十分で、長期間にわたるコンクリート多孔質体から
のアルカリ成分(例えば、水酸化カルシウム)の溶出を
防ぐことができず、その結果、藻や海草等の植物、微生
物、小動物等の棲息を阻害したり、屋上緑化や側壁緑化
更に護岸や魚礁に用いることができないので好ましくな
く、従って、これらの観点から、粗骨材の種類によって
も多少異なるが粗骨材中のシリカ「SiO」含有量と
しては、特に好ましくは65〜70重量%以上のものが
望ましい。
【0035】このようにして得られた連続空隙を有する
多孔質セメント硬化体は、経時変化の少ない多孔質体
で、アルカリ成分の溶出が殆ど確認されることが無く、
しかも、高圧高温養生により、その内部組織が緻密とな
るため、通常のセメント硬化体と比較して高強度とな
り、長期安定性及び耐久性に優れたものとなるのであ
る。
【0036】本発明で用いられる粗骨材としては、前述
のように、シリカを55重量%以上含有するものであれ
ば特に限定されるものではなく、最終的な製品の用途に
おいて求められる空隙率や比重等に応じて適宜選択され
るものであり、天然骨材、人工骨剤、軽量骨材等の既知
の骨材から選ばれた少なくとも1種以上を使用すること
ができる。
【0037】前記天然骨材の具体例としては、川砂利、
山砂利、川砂、山砂及び海砂等が挙げられ、この中では
特に、塩分や有機不純物の含有率が少ないことから、川
砂利や川砂を用いることが好ましい。
【0038】前記人工骨剤としては、砕砂、砕石、スラ
グ砕石及び人工軽量骨材等を挙げることができる。
【0039】前記軽量骨材としては、頁岩・粘土・フラ
イアッシュなどを焼成したものを用いることができる。
【0040】又、本発明においては、粗骨材の一部を重
量骨材としてもよい。この重量骨材としては、通常の骨
材と比較して比重の大きい、砂鉄、重晶石(バライ
ト)、及び褐鉄鉱、磁鉄鉱などの鉄鉱石等が挙げられる
のであり、本発明の連続空隙を有する多孔質セメント硬
化体においては、これらの重量骨材を混合して粗骨材と
した場合、その比重が大きくなり、湾岸や河川における
護岸等に用いるコンクリートブロック等として好適に用
いることができるのであり、このように構成すると、セ
メント硬化体の単位体積重量は、流水や波の水勢によっ
て押し流されない程度の比重、例えば、2.0t/m
以上とするのが好ましく、更に、2.4t/m以上と
するのが一層好ましい。
【0041】更に、本発明においては、常圧高温養生に
よりセメント硬化体中に生成した水酸化カルシウムを、
高圧高温養生において急速に結晶性ケイ酸カルシウム化
合物へ変化させるために、セメント中にシリカ混入混和
材が配合される。
【0042】即ち、セメント中のシリカ含有量を増加
し、生成した水酸化カルシウムとの接触機会を増加させ
ることにより、反応完了までの時間を短縮することがで
きると共に、結晶性ケイ酸カルシウム化合物比率を高め
ることができる。
【0043】このシリカ混入混和材の具体例としては、
例えばフライアッシュ、石炭灰、シリカフューム、高炉
スラグ粉末等から選ばれた少なくとも1種以上を挙げる
ことができるが、本発明においては、廉価で入手の容易
なフライアッシュや石炭灰を用いることが好ましく、
又、火力発電所等の産業廃棄物の有効利用という意味に
おいても、フライアッシュや石炭灰を用いることが好ま
しい。
【0044】この場合、シリカ混入混和材の含有量とし
ては、特に制限されるものではないが、一般的には、総
粉体量の25〜70重量%であることが好ましく、更
に、30〜50重量%の含有量が好ましい。
【0045】セメント中のシリカ混入混和材の含有量が
25重量%未満になると、所要の効果が得られず、一
方、70重量%を超えると、多すぎて意味がないばかり
か、セメントペーストの混練が困難となり、均一なもの
が得難くなるため好ましくない。従って、これらの観点
から、特に、30〜50重量%の含有量とするのが望ま
しい。
【0046】更に、本発明で用いられるセメントとして
は特に限定されるものではないが、市販品のものが、製
造コストや入手の容易性等の観点から望ましい。
【0047】このセメントにはポルトランドセメント、
混合セメント及び特殊セメントが含まれるのであり、ポ
ルトランドセメントには、普通ポルトランドセメント、
早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメン
ト、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセ
メント、耐硫酸塩ポルトランドセメント及びこれらのセ
メント中の全アルカリを0.6%以下に抑えた低アルカ
リ型のものが含まれる。
【0048】混合セメントは、ポルトランドセメントの
クリンカーに適当な急冷高炉スラグやボゾラン材料を綴
合して粉砕したものであり、高炉セメント、シリカセメ
ント及びフライアッシュセメントが挙げられる。
【0049】特殊セメントの代表としては、ボーキサイ
トにほぼ等量の石灰石を混合し、溶融焼成した後、急冷
粉砕したアルミナセメントと、アルミナセメントと同じ
ように超速硬性を有し、長期にわたって安定した強度増
進を示し、高強度を期待することができる超速硬セメン
トとを挙げることができる。
【0050】これらセメントの中では、最も安価で、且
つ入手が容易な普通ポルトランドセメントを用いること
が望ましく、その他前記した各種のセメントから選ばれ
た少なくとも1種以上を混合してもよい。
【0051】ところで、本発明においては、ワーカビリ
ティー、強度或いはその他の特性を向上させるために、
前記セメントペースト中に減水剤を配合し、微小な独立
気泡を均質に分布させて、セメント粒子を分散させ、余
分な水を抑えながら水和反応を高めることが好ましい。
【0052】この減水剤としては、特に限定されるもの
ではなく、市販の減水剤を一種或いは適宜混合して用い
ることができるのであり、具体的な例としてはβ−ナフ
タリンスルホン酸ホルマリン縮合物等に代表される陰イ
オン界面活性剤からなる既知のものを用いることができ
る。
【0053】又、この減水剤の配合割合としては、特に
限定されるものでなく、セメントペーストの粘度調整
や、本発明に係る連続空隙を有する多孔質セメント硬化
体の用途に応じた必要なワーカビリティーや抵抗力等が
得られるべく適宜決定されものであるが、一般的には、
セメントの重量に対して、0.1〜5重量%程度配合す
るのが望ましい。
【0054】そして、本発明に係る連続空隙を有する多
孔質セメント硬化体の製造方法においては、シリカを5
5重量%以上含有する粗骨材表面に、シリカ混入混和
材、セメント、減水剤及び水を混合したセメントペース
トを付着し、締め固めることにより連続空隙を有するセ
メント硬化体を形成し、この連続空隙を有するセメント
硬化体に対し常圧高温養生と高圧高温養生とを順次行う
ことによって、硬化、多孔質構造に形成するものであ
【0055】この場合、セメントペーストにおける水粉
体比としては、求められる圧縮強度やセメントペースト
に要求される粘度等に応じて適宜決定されるものである
が、本発明においては、特に、シリカ混入混和材とセメ
ントとの粉体100重量部に対し、水10〜50重量部
が好ましく、更に、水20〜45重量部であることが好
ましい。
【0056】粉体100重量部に対して、水が10重量
部未満になると、水分の蒸散に起因する多孔質化に限界
が生じたり、混練が困難となり均一のセメントペースト
が得難くなるのであり、一方、水が50重量部を超える
と、必要な強度が得難くなるので、いずれの場合も好ま
しくない。
【0057】更に、本発明においては、必要に応じて、
既知のAE剤(空気連行剤)等を適宜併用して用いるこ
ともできる。
【0058】本発明に係る連続空隙を有する多孔質セメ
ント硬化体を得るためには、まず、シリカ混入混和材、
セメント、減水剤及び水を混合、混練してセメントペー
ストを形成する。
【0059】この場合において、セメントペーストにお
ける水粉体比としては、求められる圧縮強度やセメント
ペーストに要求される粘度等に応じて適宜決定されるも
のであるが、本発明においては、特に、シリカ混入混和
材とセメントとの粉体100重量部に対し、水10〜5
0重量部が好ましく、更に、水20〜45重量部である
ことが好ましい。
【0060】粉体100重量部に対して、水が10重量
部未満になると、水分の蒸散に起因する多孔質化に限界
が生じたり、混練が困難となり均一のセメントペースト
が得難くなるのであり、一方、水が50重量部を超える
と、必要な強度が得難くなるので好ましくない。
【0061】そして、本発明に係る連続空隙を有する多
孔質セメント硬化体においては、連続空隙・多孔質構造
に起因する優れた吸着機能、及びその高強度性を活かし
た環境材料として、水質浄化・大気浄化を高める浄化
材、床下調湿材、調湿防臭壁材、断熱・吸音ボード、パ
ネル類、快適な生活空間を構成する建築材料、緑化、培
地材、土壌改良材、植物育成の環境を改善する土木・農
業資材等として優れた機能を発揮し、特に、上述の如
く、通常のセメント硬化体に含まれるアルカリ成分を結
晶性ケイ酸カルシウム化合物に変化させることにより、
アルカリ成分の溶出を抑制し、藻や海草等の植物、微生
物、小動物等の棲息を阻害することがなく、屋上緑化や
側壁緑化更に護岸や魚礁に用いるコンクリートブロック
や緑化用基板コンクリート材等として非常に有益であ
る。
【0062】又、本発明に係る連続空隙を有する多孔質
セメント硬化体の製造方法においては、成形から常圧高
温養生完了までに約1日、次いで高圧高温養生において
約1日と、合計約2日程度で完成することができるた
め、生産性も著しく高いものである。
【0063】本発明に係る連続空隙を有する多孔質セメ
ント硬化体の製造方法においては、55重量%以上のシ
リカ含有量を有する粗骨材表面に、シリカ混入混和材を
含有するセメントペーストを付着させ、これを締め固め
る工程と、この工程で得られた連続した空隙を有するセ
メント硬化体に対し、常圧高温養生と高圧高温養生とを
順次行う工程からなる。
【0064】本発明に係る連続した空隙を有するセメン
ト硬化体を製造する工程においては、例えば、シリカ混
入混和材を含有するセメントペーストを、55重量%以
上のシリカ含有量を有する粗骨材表面に付着させた後に
型枠に投入し、これを締め固める方法、又はシリカ混入
混和材を含有するセメントペーストと、55重量%以上
のシリカ含有量を有する粗骨材を型枠内で混ぜ合わした
後に締め固める方法等を挙げることができる。
【0065】ところで、この場合における締め固め方と
しては、特に限定されるものではないが、一般的には、
振動力のみにより締め固めても良く、更に、この振動力
による締め固めに加えて、加圧力による締め固めを併用
することが、最終的な製品の品質が一層安定するため、
特に好ましい。
【0066】得られた連続空隙を有するセメント硬化体
に、常圧高温養生を行うと、水分の蒸散に起因する気孔
径が比較的揃った水酸化カルシウム及び炭酸カルシウム
組成の多孔質体(セメントペースト部分の微細孔)が得
られ、次いで、この多孔質体を高圧高温養生すると、常
圧高温養生で生成した水酸化カルシウムと、粗骨材やシ
リカ混入混和材の中のシリカ成分、及び水が急速に反応
し、トベルモライト・ゾノライト等の結晶性ケイ酸カル
シウム化合物を含んだ連続空隙を有する多孔質セメント
硬化体(あわおこし状コンクリート)を得ることができ
る。
【0067】ここで、連続空隙を有するセメント硬化体
に対して行う常圧高温養生は、公知の蒸気養生と同じ手
順で行われ、適当な時間をかけて室温から所定の養生温
度まで昇温させた後、所定の時間にわたってその養生温
度を保持してから空中放冷を行えば良いのである。
【0068】この養生温度は特に限定されるものではな
く、又、この養生温度を保持する養生時間も特に限定さ
れるものではない。具体的には、例えば常圧高温養生の
温度は60〜75℃程度にすればよく、又、この常圧高
温養生の温度を保持する時間は3時間〜12時間程度に
すればよい。
【0069】次いで、前記常圧高温養生によって得られ
た、気孔径が比較的揃った水酸化カルシウム及び炭酸カ
ルシウム組成の多孔質体に対し、高圧高温養生を行う
と、経時変化が無く、高強度で且つアルカリ成分の溶出
が、無いか或いは殆どない、連続空隙を有する多孔質セ
メント硬化体が得られる。
【0070】この高圧高温養生はオートクレーブを用い
て、適当な時間、所定の温度で、加圧下で行われ、具体
的には、例えば160℃〜200℃程度の温度、及び8
〜10kg/cm程度の圧力下で、3〜6時間程度か
けて行われる。
【0071】そして、高圧高温養生後の冷却は、例えば
2〜4時間程度をかけて120℃程度まで冷却した後、
2〜4時間程度をかけて室温近くまで水冷してから、自
然放冷により室温まで冷却するという方法が採用され
る。
【0072】このようにして得られた連続空隙を有する
多孔質セメント硬化体は、トベルモライト・ゾノライト
等の結晶性ケイ酸カルシウム化合物を含んでいるもので
あり、経時変化が無く、高強度で且つアルカリ成分の溶
出が、無いか或いは殆ど無いといった非常に有用な性質
を有するのである。
【0073】
【作用】以上、説明したように、本発明に係る連続空隙
を有する多孔質セメント硬化体の製造方法においては、
シリカを55重量%以上含有する粗骨材表面に、シリカ
混入混和材を含有するセメント、減水剤及び水を混合し
たセメントペーストを付着させ、これを締め固めること
により連続空隙を有するセメント硬化体を形成し、この
連続空隙を有するセメント硬化体に対し常圧高温養生と
高圧高温養生とを順次行うことによって、硬化、多孔質
構造に形成し、空隙率25%以上で圧縮強度18N/m
2 以上の連続空隙を有する多孔質セメント硬化体を得
るものであり、本発明に係る連続空隙を有する多孔質セ
メント硬化体は、この方法によって製造されたものであ
ので、経時変化が無く、高強度で且つアルカリ成分の
溶出が極力抑制されたものとなり、これにより、環境材
料として極めて優れた機能を発揮するなどの作用が得ら
れる。
【0074】即ち、本発明に係る連続空隙を有する多孔
質セメント硬化体においては、連続空隙・多孔質構造に
起因する優れた吸着機能、及びその高強度性を活かした
環境材料として、水質・大気浄化を高める浄化材、床下
調湿材、調湿防臭壁材、断熱・吸音ボード、パネル類、
快適な生活空間を構成する建築材料、緑化、培地材、土
壌改良材、植物育成の環境を改善する土木・農業資材等
として優れた機能を発揮するなどの作用を有するのであ
る。
【0075】特に、上述の如く、通常のセメント硬化体
に含まれるアルカリ成分を結晶性ケイ酸カルシウム化合
物に変化させることにより、アルカリ成分の溶出を極力
抑制し、藻や海草等の植物、微生物、小動物等の棲息を
阻害することがなく、屋上緑化や側壁緑化用の資材、護
岸や魚礁に用いるコンクリートブロックや緑化基板コン
クリート材等として非常に好適に適用できるなどの作用
を有するのである。
【0076】そして、本発明の連続空隙を有する多孔質
セメント硬化体中に生成した結晶性ケイ酸カルシウム化
合物は、リン化合物を吸着することが知られており、連
続空隙を有する多孔質セメント硬化体とすることで、表
面積(接触面積)が大幅に増大し、一層水質浄化機能、
大気浄化機能が向上するなどの作用も有するのである。
【0077】又、本発明に用いられる粗骨材、セメン
ト、シリカ混入混和材、水及びその他減水剤は、現在使
用されている比較的廉価な材料から選択して用いること
ができるため、材料コストが抑えられるのであり、この
点においても非常に実用性があるなどの作用を有するの
である。
【0078】更に、用いられる粗骨材の種類及び粒子径
を適宜選択することにより、本発明の連続空隙を有する
多孔質セメント硬化体の空隙率や比重を自由に変化させ
ることができる結果、様々な分野における資材を製造・
提供することができるなどの作用も有するのである。
【0079】なかでも、粗骨材として重量骨材を用いた
場合、本発明の連続空隙を有する多孔質セメント硬化体
の比重が著しく大きくなり、流水や波の水勢によって押
し流されることを防止できる結果、単に水中に投入する
という簡単な作業で河床や川岸、或いは海岸や海低に敷
設できるようになるなどの作用が得られるのである。
【0080】なお、上述の如く、本発明に係る連続空隙
を有する多孔質セメント硬化体は、アルカリ成分の溶出
が殆どないものであるため、廃棄物として処理された後
においても、環境に悪影響を与えることが無く、自然に
溶け込むなどの作用も有するのである。
【0081】加えて、本発明に係る連続空隙を有する多
孔質セメント硬化体の製造方法においては、成形から常
圧高温養生完了までに約1日、次いで高圧高温養生にお
いて約1日と、合計で約2日程度の比較的短期間で完成
することができるため、生産性も著しく高いなどの作用
を有するのである。
【0082】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0083】実施例1 粉体[粉体重量割合が60重量%のポルトランドセメン
ト(比重:3.16、粉末度:3,300cm/g)
及びシリカ混入混和剤として粉体重量割合が40重量%
の石炭灰(粒度分布2.5〜95μm 平均粒径17.
5μm 比重2.17 比表面積3890cm
g)]に水粉体比28重量%となる水及び高性能減水剤
を混合し、モルタルミキサーを用いて混練することによ
り、シリカ混入混和材(石炭灰)を含有するセメントペ
ーストを得た。この場合、高性能減水剤としては、市販
のナフタリン系高性能減水剤を使用し、セメントに対し
て3重量%となるように添加した。
【0084】得られたシリカ混入混和材を含有するセメ
ントペースト中に、粗骨材としての砕石(ケイ石、粒子
径13〜25mm、シリカ含有量92%)を混入し、練
り混ぜた後に型枠(直径5cm、高さ10cmの円柱形
状)に投入し、テーブル型振動器による振動力と、加圧
力を与えることにより、連続空隙を有するセメント硬化
体を得た。
【0085】かくして得られた連続空隙を有するセメン
ト硬化体を型枠ごと常圧高温養生槽に入れ、蒸気養生
(常圧高温養生)を行った。なお、この常圧高温養生で
は、約3時間かけて当該セメント硬化体の温度を65度
に昇温し、養生槽を60〜70℃の温度範囲(平均温度
65℃)にて4時間程度保持して行った。
【0086】常圧高温養生に続いて、当該セメント硬化
体をオートクレーブに入れ、高圧高温養生を行った。な
お、この高圧高温養生では、約3時間をかけて当該セメ
ント硬化体の温度を180℃に昇温し、この昇温と平行
して炉内圧を10kg/cmに昇圧させた後、炉内を
170〜190℃の温度範囲(平均温度180℃)、及
び炉内圧を9〜10kg/cm(平均圧9.8kg/
cm)にて4時間保持してから、2時間半かけて炉内
圧を常圧まで減圧するとともに、強制空冷により3時間
かけて炉内温度を120℃まで冷却してから、自然放熱
により室温まで冷却した。
【0087】そして、このセメント硬化体を型枠から離
型することにより、本発明の連続空隙を有する多孔質セ
メント硬化体(空隙率25%)を得た。
【0088】実施例2 粉体[粉体重量割合が60重量%のポルトランドセメン
ト(比重:3.16、粉末度:3,300cm/g)
及びシリカ混入混和剤として粉体重量割合が40重量%
の分級フライアッシュ(粒度分布1.5〜20μm 平
均粒径10μm比重2.38 比表面積5500cm
/g)]に水粉体比28重量%となる水及び高性能減水
剤を混合し、モルタルミキサーを用いて混練することに
より、シリカ混入混和材(分級フライアッシュ)を含有
するセメントペーストを得た以外は、実施例1と同様に
して、本発明の連続空隙を有する多孔質セメント硬化体
を得た。ところで、この場合、高性能減水剤としては、
市販のナフタリン系高性能減水剤を使用し、セメントに
対して3重量%となるように添加した。
【0089】比較例1 シリカ混入混和材を混入しなかった以外は、実施例1と
同様にしてセメント硬化体を得た。これを比較例1とす
る。
【0090】比較例2 実施例1において、高圧高温養生を行わなかった以外
は、実施例1と同様にしてセメント硬化体を得た。これ
を比較例2とする。
【0091】比較例3 実施例2において、高圧高温養生を行わなかった以外
は、実施例2と同様にしてセメント硬化体を得た。これ
を比較例3とする。
【0092】前記実施例1・2及び比較例1〜3につい
て、圧縮強度、pH値、Ca(OH)生成量を測定
し、各硬化体の強度及びアルカリ成分溶出量について比
較試験した。その結果を、表1に示す。
【0093】なお、pH値の試験については、各硬化体
を88μm以下に粉砕し、蒸留水と粉末試料(粉末試料
1gに対して蒸留水100mlの固液比)を10分間攪
拌した後のろ過液に対して行った。
【0094】又、Ca(OH)生成量の試験について
は、アセトン浸漬し、水和反応を完全に停止させた粉末
試料(真空乾燥1日)を、DSC(示差走査熱量分析)
で分析し、各硬化体中に含まれるCa(OH)量を測
定し、参考例の測定値を100として、それぞれの測定
値を比較することにより行った。
【0095】
【表1】
【0096】表1に示す結果から分かるように、実施例
1・2の本発明に係る連続空隙を有する多孔質セメント
硬化体は、各比較例のものと比べて、いずれもpH値が
低く、Ca(OH)の溶出量も少なく、しかも、圧縮
強度が総て高いことが確認された。
【0097】特に、実施例1・2のものにおいては、比
較例のものと比べて、全くといっていいほどCa(O
H)の溶出がないことが確認された。
【0098】ところで、前記各実施例においては、粗骨
材として砕石を使用しているが、この砕石と共に、或い
は、砕石に代えて、鉄鉱石等の重量骨材を混合して使用
することにより、本発明の連続空隙を有する多孔質セメ
ント硬化体の比重を調整することができる。
【0099】即ち、粗骨材の一部ないしは全部に鉄鉱石
を使用することにより、本発明の比重を2.5t/m
以上に調整すると、本発明は玉石と同じような比重とな
り、流水中に投入された本発明が水流の勢いに押し流さ
れることを防止できるのである。
【0100】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明に係る連
続空隙を有する多孔質セメント硬化体の製造方法におい
は、シリカを55重量%以上含有する粗骨材表面に、
シリカ混入混和材、セメント、減水剤及び水を混合した
セメントペーストを付着させ、これを締め固めることに
より連続空隙を有するセメント硬化体を形成し、この連
続空隙を有するセメント硬化体に対し常圧高温養生と高
圧高温養生とを順次行うことによって、硬化、多孔質構
造に形成し、空隙率25%以上で圧縮強度18N/mm
2 以上の連続空隙を有する多孔質セメント硬化体を得る
ものであり、本発明に係る連続空隙を有する多孔質セメ
ント硬化体は、この方法によって製造されたものである
ので、経時変化が無く、高強度で且つアルカリ成分の溶
出が極力抑制される結果、環境材料として極めて優れた
機能を発揮するなどの効果が得られるのである
【0101】即ち、本発明に係る連続空隙を有する多孔
質セメント硬化体は、連続空隙・多孔質構造に起因する
優れた吸着機能、及びその高強度性を活かした環境材料
として、水質浄化・大気浄化を高める浄化材、床下調湿
材、調湿防臭壁材、断熱・吸音ボード、パネル類、快適
な生活空間を構成する建築材料、緑化、培地材、土壌改
良材、植物育成の環境を改善する土木・農業資材等とし
て優れた機能を発揮するなどの効果を有するのである。
【0102】特に、上述の如く、通常のセメント硬化体
に含まれるアルカリ成分を結晶性ケイ酸カルシウム化合
物に変化させることにより、アルカリ成分の溶出を抑制
し、藻や海草等の植物、微生物、小動物等の棲息を阻害
することがなく、屋上緑化や側壁緑化用の資材、護岸や
魚礁に用いるコンクリートブロックや緑化基板コンクリ
ート材等として非常に好適に適用できるなどの効果を有
するのである。
【0103】そして、本発明の連続空隙を有する多孔質
セメント硬化体中に生成した結晶性ケイ酸カルシウム化
合物は、リン化合物を吸着するのであり、これにより、
一層水質浄化機能、大気浄化機能が向上するといった効
果も奏するのである。
【0104】又、本発明に用いられる粗骨材、シリカ混
入混和材、セメント、水及び減水剤などは、現在使用さ
れている比較的廉価な材料から選択して用いることがで
きるため、材料コストが抑えられるのであり、この観点
からも非常に実用性が高いなどの効果を奏するのであ
る。
【0105】更に、用いる粗骨材の種類及び粒子径を適
宜選択することにより、本発明の連続空隙を有する多孔
質セメント硬化体の空隙率や比重を自由に変化すること
ができるため、様々な分野、用途に対応した資材を製造
・提供することができるなどの効果も有するのである。
【0106】なかでも、粗骨材として重量骨材を用いた
場合、本発明の連続空隙を有する多孔質セメント硬化体
の比重が著しく大きくなり、流水や波の水勢によって押
し流されることが防止できるのであり、単に水中に投入
するという簡単な作業で河床や川岸、或いは海岸や海低
に敷設できるようになるなどの効果が得られるのであ
る。
【0107】なお、上述の如く、本発明の連続空隙を有
する多孔質セメント硬化体は、アルカリ成分の溶出が殆
どないものであるため、廃棄物として処理された後にお
いても、環境に悪影響を与えることが無く、自然に溶け
込んでいくなどの効果も奏するのである。
【0108】加えて、本発明に係る連続空隙を有する多
孔質セメント硬化体の製造方法においては、成形から常
圧高温養生完了までに約1日、次いで高圧高温養生にお
いて約1日と、合計で約2日程度の比較的短期間で完成
することができるため、生産性が著しく高くなるなどの
効果を奏するのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI //(C04B 28/04 C04B 14:04 Z 14:04 18:10 A 18:10 24:20 24:20) 103:60 103:60 111:20 111:20 (72)発明者 田中 義人 福井県武生市北府1丁目2番38号 株式 会社ホクコン内 (56)参考文献 特開 平9−221371(JP,A) 特開 平5−228918(JP,A) 特開 平10−231185(JP,A) 特公 平10−54306(JP,B2) 特許3379924(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 38/00 - 38/10

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリカを55重量%以上含有する粗骨材
    表面に、シリカ混入混和材、セメント、減水剤及び水を
    混合したセメントペーストを付着し、締め固めることに
    より連続空隙を有するセメント硬化体を形成し、この連
    続空隙を有するセメント硬化体に対し常圧高温養生と高
    圧高温養生とを順次行うことによって、硬化、多孔質構
    造に形成し、空隙率25%以上で圧縮強度18N/mm
    2 以上の連続空隙を有する多孔質セメント硬化体を得る
    ことを特徴とする連続空隙を有する多孔質セメント硬化
    の製造方法
  2. 【請求項2】 連続空隙を有するセメント硬化体が、振
    動力、或いは振動力及び加圧力を併用することによっ
    て、締め固められたものである請求項1に記載の連続空
    隙を有する多孔質セメント硬化体の製造方法
  3. 【請求項3】 粗骨材の一部が重量骨材である請求項1
    又は2に記載の連続空隙を有する多孔質セメント硬化体
    の製造方法
  4. 【請求項4】 セメントペーストにおける水粉体比が、
    粉体100重量部に対し、水10〜50重量部の比率で
    ある請求項1ないし3のいずれか1項に記載の連続空隙
    を有する多孔質セメント硬化体の製造方法
  5. 【請求項5】 シリカ混入混和材が石炭灰である請求項
    1ないし4のいずれか1項に記載の連続空隙を有する多
    孔質セメント硬化体の製造方法
  6. 【請求項6】 シリカ混入混和材量が総粉体量の30〜
    50重量%である請求項1ないし5のいずれか1項に記
    載の連続空隙を有する多孔質セメント硬化体の製造方
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    の連続空隙を有する多孔質セメント硬化体の製造方法に
    よって製造されたことを特徴とする連続空隙を有する多
    孔質セメント硬化体。
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