JP2682863B2 - 気管用チューブの付属器具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、末端側端部が患者の気管内に配置される
よう適合さた気管用チューブの基部側端部に用いられる
付属器具に関するものであり、特には、小児科用に、閉
塞の危険を減少させるよう構成された、気管開口術用チ
ューブおよびその付属器具に関するものである。

（従来の技術および解決しようとする課題） 気管用口術用チューブを幼い子供に使用した場合、そ
のチューブの開口端部に皮膚の折り返し部分が接触する
ことにより、あるいは子供自身がそのチューブの端部に
触ることにより、前記チューブが患者の首の位置で閉塞
されるという本質的な危険性がある。

この発明は、前記チューブの閉塞の危険性を減少させ
るために用いることができる気管用チューブの付属器具
を提供することを目的とするものである。

（課題を解決するための手段および作用） この発明に基づく、上述した種類の付属器具は、前記
チューブの基部側端部に取付けられる末端側端部および
開放されている基部側端部を有する内側部材と、前記内
側部材を囲繞するとともにその内側部材との間に空気通
路を有する外側部材とを具えてなり、前記外側部材が、
開放されている基部側端部を有し、前記内側部材が、前
記空気通路に連通する少なくとも一つの開口部を有し、
そして、前記外側部材が、前記空気通路に連通する少な
くとも一つの開口部を有し、それら内側部材および外側
部材の基部側端部が塞がれた場合に、前記双方の開口部
および前記空気通路を通すことにて、前記チューブと大
気の間で気体の通流を可能ならしめることを特徴とする
ものである。

ここで、前記内側部材および外側部材は、好ましく
は、環状断面を有し、また、例えば異なる直径の接続部
による前記気管用チューブ接続を可能ならしめるべく、
押込み装着の如くして接続部をそこに受け止め得る形状
とされる。そして、前記内側部材の基部側端部は前記外
側部材の基部側端部よりも突出しても良く、前記内側部
材を通る前記開口部は、その内側部材の基部側端部を横
切る溝によって設けられても良く、前記溝の少なくとも
一部分は、好ましくは前記外側部材の基部側端部ととも
に延在する。この一方、前記外側部材を通る前記開口部
は、その外側部材の外表面の主要部の周囲に延在する溝
と連通しても良く、前記外側部材は、その外側部材の外
表面の主要部の周囲に延在するとともに環状壁部によっ
て互いに隔てられた二本の溝を有しても良く、さらに、
前記外側部材は、その外側部材を通る開口部を前記各溝
内に有することができる。

また、前記外側部材は前記内側部材に対し取外し可能
とされても良く、それら外側部材および内側部材は、ね
じ結合部によって互いに保持されても良い。

（実施例） 以下に、この発明に基づく付属器具を含む気管開口術
用チューブ組立体の実施例を図面に基づき詳細に説明す
る。

第１図に示すように、気管開口術用チューブ１は、小
児科用の、折り返しをつけない形状のものであって、使
用の際に患者の気管３内に配置される、垂直な、患者側
もしくは末端側開放端部２を有する。そして、チューブ
の機械装置側もしくは基部側端部４は、気管と患者の首
の表面との間に手術によって形成された孔を通って延在
する。

フランジ６は、前記チューブの基部側端部４に取付け
られ、患者の首の表面に寄り掛かり、テープ（図示せ
ず）によってその首にしっかり固定されてチューブを安
定させている。また、前記チューブの基部側端部４は付
属器具10にて終了しており、この付属器具10は、チュー
ブの予期しない閉塞をさけるべく機能する。

第２図乃至第４図に示すように、付属器具10は、例え
ばナイロンの如き硬いプラスチック材料を概ね円筒形状
に型成形してなり、軸線を共通とする内側筒状部11およ
び外側筒状部材12を具える。ここで、内側部材11は、両
端部を開放されており、その断面形状が内径5mm、外径
8.5mmの環状であって、20mmの全長を有するものであ
り、この内側部材の末端側端部13は、外側部材12の末端
側端部から約1mm突出し、この一方、内側部材の基部側
端部14は、外側部材の基部側端部から約1mm突出すると
ともに、等間隔の放射状に配置された四個の溝15を有す
る。そして、溝15は、約2mmの深さを有し、内側部材の
基部側端部に城郭風の外観を与えている。

内側部材11はまた、その内側部材の末端側端部13から
約7mmの位置に配置されて半径方向へ延在する環状フラ
ンジ17により、外側部材12内に支持さており、ここで、
外側部材12は、内側部材よりも短い18mmの全長を有し、
また、外径15mm、内径11mmの環状断面を有する。

この外側部材12の基部側端部18は、開放されてはいる
が、外側部材の末端側端部に対してはフランジ17によっ
て閉止されている。また、外側部材12の外表面の周囲に
は、各々幅約2mmの、深さ約1.5mmの二本の環状溝21およ
び22が形成されており、これらの溝は、外側部材の基部
側端部から約4mmの位置に配置されるとともに、幅約1.5
mmの環状壁部23によって互いに隔てられている。そし
て、双方の溝21および22の底部には二つづつ、細孔24,2
5および26,27が形成されており、これらの細孔24〜27
は、外側部材12の壁部を貫通して内側および外側部材間
の環状凹部30に連通する開口部をもたらす。さらに、外
側部材12の末端側端部には、高さ約1.5mmの外方へ突出
する縁31が設けられている。

上記付属器具の使用に際しては、内側部材11の末端側
端部13がチューブ１の基部側端部４内に押し込まれ、そ
の末端側端部13の外径は、チューブ１に対し液密に押込
み装着し得るような寸法を持つ。尚、チューブ１内への
挿入長さは、付属器具10内のフランジ17へのチューブ１
の当接および、チューブ１上のフランジ６への、外側筒
状部材12の末端側端部の当接によって制限される。

かかる付属器具10を含んで構成された気管開口術用チ
ューブ組立体は、以下に記すように、前記付属器具を持
たない気管開口術用チューブと比較して、閉塞のおそれ
がはるかに小さい。

すなわち、上記付属器具の正常な使用状態では、空気
流は、内側部材11を貫通する中心孔および、その基部側
開放端部14を介してチューブ１に出入りする。しかしな
がら、例えば皮膚の折り返し部分を軽く押圧することに
より、内側部材の基部側端部14が塞がれた場合でも、空
気は、溝15を通って未だ内側部材に出入りすることがで
き、さらに、より大きな圧力が及ぼされて、外側部材12
の基部側端部18もまた塞がれた場合でも、空気は、二つ
の部材間の環状を空気通路として凹部30および溝15を介
し、外側部材の細孔24〜27を通って未だ内側部材11内に
流入することができる。そして、体の一部分が外側部材
の細孔24〜27の領域を覆ったとしても、外周溝21,22お
よび中間の壁部23が細孔24〜27への直接的な接触を防止
するので、空気は、それらの外周溝21,22を介して未だ
前記細孔内へ流入することができる。従って、この構成
によれば、たとえ患者が上記組立体の端部に触れたりそ
れを持ったりした場合でも、閉塞が生ずる危険性を減少
させることができる。

ここにおける付属器具10は、閉塞防止に加え、気管開
口術用チューブへの外部接続に用いるチューブ接続器具
をもたらすという目的に供することができ、外部からの
チューブの接続は、8.5mmもしくは15mmの内径の通常の
雌テーパーの接続部により行うことができる。ここで、
小径の接続部は内側部材11の基部側端部に押被せれば良
く、また大径の接続部は外側部材12に、溝21,22の双方
を十分覆うように押被せることができ、この後者の場
合、縁31は前記接続部のための迫大として用いることが
できる。従って、付属器具10は二種類の異なった径の接
続部の接続を可能ならしめることができ、このことは、
小児科用の小径の接続部が容易に利用できない緊急の場
合に大きな利益をもたらす。

上記付属器具はまた、第５図および第６図に示すよう
に、二個の部品からなるものでも良く、この構成では、
付属器具50は、内側部品51と、その内側部品に螺着され
た外側筒52とを具えてなる。ここで、内側部品51は、円
筒状をなすとともに、その全長の約1/3の位置に半径方
向外方へ延在するフランジ53を有し、そのフランジ53よ
り前方の、内側部品51の端部は、チューブ１の機械装置
側端部４内に押込み装着され、また、内側部品51の後方
側端部は、直径方向へ互いに対向するとともに該後方側
端部の端縁から短い距離だけ各々離間してその端部の壁
部を貫通する二つの開口部54を有する。

この一方、外側筒52は、その内表面の前方側端部にね
じ領域55を有し、このねじ領域55は、上記内側部品51の
フランジ53から半径方向外方へ突出する二個の突起56と
結合する。しかして、外側筒52は内側部品51と軸線を共
通にして延在して、付属器具50の前方側端部に環状の凹
部57を形成し、その凹部57内には、チューブ１の機械装
置側端部４が受容される。また、外側筒52は、内側部品
51の後方側端縁から前方へ少しの距離をおいた所で終了
するとともに、上記付属器具の後方側端部に環状の凹部
58を形成する。そして、筒52には、その壁部を貫通する
二つの細孔60が設けられており、これらの細孔60は、内
側部品の開口部54と概略同位置にある。ここで、細孔60
は、前記筒の外表面の周囲の環状溝61内に配置されてお
り、この溝は、第１図乃至第４図に示す構成における溝
21,22と同様に機能する。

上記の如く、外側筒を内側筒から取外し可能とするこ
とにより、付属器具50の掃除が容易になり、また、付属
器具50が8.5mmの雌の接続部に接続される場合に、所望
するならば、外側筒を完全に取除くことができる。

開口部54の位置は、チューブ１内に閉塞具70が挿入さ
れる場合に塞がれないように選択されており、この閉塞
具70は、気管に手術によって形成された孔を通す挿入の
間チューブ１を案内すべく、そのチューブの前方側端部
から突出する、先が尖った先端部71を有し、その先端部
71は、チューブ１内への空気の通孔を許容する細長いく
ぼみ72もしくは他の空気通路を有する。ここで、先端部
71は、可撓性の軸73の前方端部に位置しており、この軸
73は、図示の如き小さな外径により、あるいはその軸自
身に沿って設けられた空気通路により、前記チューブに
沿った空気の通流を許容する。そして、上記チューブに
沿って流れた空気は、開口部54と、細孔60もしくは筒52
の後方側端部とを介して外部へ流出することができ、か
かる構成により、前記チューブが挿入される間でさえも
患者が自由に呼吸し得ることが保証される。

尚、前記チューブの後方側端部と閉塞具との組合せ部
における空気通路は、他の方法、例えば、閉塞具の後方
側端部を、その閉塞具の使用の際に前記付属器具の後方
側端部を閉塞しないような形状とすることによって設け
られ得るということは、理解されるであろう。

（発明の効果） かくしてこの発明の付属器具によれば、気管用チュー
ブの閉塞の危険性を減少させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に基づく付属器具を含む気管開口術用
チューブ組立体の一実施例を使用状態にて示す側面図、 第２図は上記付属器具の拡大側面図、 第３図は上記付属器具のIII−III線に沿う横断面図、 第４図は第２図の矢印IV方向から見た上記付属器具の後
面図、 第５図はこの発明の他の実施例を示す断面図、 第６図は第５図に示す付属器具の側面図である。 １……気管開口術用チューブ 11……内側部材、12……外側部材 13……末端側端部、14……基部側端部 15,21,22……溝、23……壁部 24〜27……開口部、30……凹部 55……ねじ領域、56……突起

Claims (9)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】末端側端部が患者の気管内に配置されるよ
   う適合された気管用チューブの基部側端部に用いられる
   付属器具において、 前記付属器具（10）が、前記チューブ（１）の基部側端
   部に取付けられる末端側端部（13）および開放されてい
   る基部側端部（14）を有する内側部材（11）と、前記内
   側部材（11）を囲繞するとともにその内側部材との間に
   空気通路（30）を有する外側部材（12）とを具えてな
   り、前記外側部材（12）が、開放されている基部側端部
   を有し、前記内側部材（11）が、前記空気通路（30）に
   連通する少なくとも一つの開口部（15）を有し、そし
   て、前記外側部材（12）が、前記空気通路（30）に連通
   する少なくとも一つの開口部（24乃至27）を有し、それ
   らの内側部材（11）および外側部材（12）の基部側端部
   が塞がれた場合に、前記双方の開口部（15,24乃至27）
   および前記空気通路（30）を有することにて、前記チュ
   ーブ（１）と大気との間での気体通流を可能ならしめる
   ことを特徴とする気管用チューブの付属器具。
2. 【請求項２】前記内側部材（11）および外側部材（12）
   は、環状断面を有し、かつ例えば異なる直径の接続部に
   よる前記気管用チューブ（１）の接続を可能ならしめる
   べく、押込み装着により接続部をそこに受け止め得る形
   状とされることを特徴とする、請求項１記載の気管用チ
   ューブの付属器具。
3. 【請求項３】前記内側部材（11）の基部側端部（14）は
   前記外側部材（12）の基部側端部よりも突出することを
   特徴とする、請求項１もしくは２に記載の気管用チュー
   ブの付属器具。
4. 【請求項４】前記内側部材（11）を通る前記開口部は、
   その内側部材の基部側端部（14）を横切る溝（15）によ
   って設けられることを特徴とする、請求項１乃至３のい
   ずれかに記載の気管用チューブの付属器具。
5. 【請求項５】前記溝（15）の少なくとも一部分は、前記
   外側部材（12）の基部側端部とともに延在することを特
   徴とする、請求項４記載の気管用チューブの付属器具。
6. 【請求項６】前記外側部材（12）を通る前記開口部（24
   乃至27）は、その外側部材（12）の外表面の主要部の周
   囲に延在する溝（21,22）と連通することを特徴とす
   る、請求項１乃至５のいずれかに記載の気管用チューブ
   の付属器具。
7. 【請求項７】前記外側部材（12）は、その外側部材の外
   表面の主要部の周囲に延在するとともに環状壁部（23）
   によって互いに隔てられた二本の溝（21,22）を有し、
   かつ、その外側部材を通る開口部（24,25,26,27）を前
   記各溝（21,22）内に有することを特徴とする、請求項
   ６記載の気管用チューブの付属器具。
8. 【請求項８】前記外側部材（12）は前記内側部材（11）
   に対し取外し可能であることを特徴とする、請求項１乃
   至７のいずれかに記載の気管用チューブの付属器具。
9. 【請求項９】前記外側部材（12）および内側部材（11）
   は、ねじ結合部（55,56）によって互いに保持されるこ
   とを特徴とする、請求項８記載の気管用チューブの付属
   器具。