JP2682240B2 - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JP2682240B2 JP3015845A JP1584591A JP2682240B2 JP 2682240 B2 JP2682240 B2 JP 2682240B2 JP 3015845 A JP3015845 A JP 3015845A JP 1584591 A JP1584591 A JP 1584591A JP 2682240 B2 JP2682240 B2 JP 2682240B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば、バイオリン
等の擦弦楽器の楽音を合成することができる電子楽器に
関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、バイオリン等の擦弦楽器
の楽音を合成する電子楽器にあっては、その音源にFM
変調による音色合成方式や、PCMなどの波形記憶方式
によるもの等が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たFM変調による音色合成方式によれば、擦弦楽器の音
色としてある程度の特徴を持たせることは可能であった
が、音色変化といい音色の豊かさといい、自然楽器とは
かなりの隔たりがあった。一方、PCMなどの波形記憶
方式による音色合成法では、自然楽器と同じ波形を出力
することが可能なため、かなり豊かな音色も形成するこ
とができるようになったと言える。しかし、この波形記
憶方式にあっては、記憶された数種の波形を用いて補間
を行っても、元の記憶波形から掛離れた出力波形を発生
することができない。これに加えて、出力波形の連続性
が問題になり、例えば、不連続点で雑音が発生する等の
欠点が指摘されている。
【0004】このように、従来方式のディジタル音源で
は、何れも発音の度毎に全く同じ音色が形成されるた
め、自然楽器のようなリアリティに富んだ楽音が得られ
ないという問題があった。この発明は上述した事情に鑑
みてなされたもので、擦弦楽器の発音メカニズムを忠実
にシミュレートする電子楽器を提供することを目的とし
ている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、少なくとも
遅延手段および減衰手段を閉ループ接続し、該閉ループ
を循環する信号を楽音信号として出力する第1および第
2の閉ループ手段と、駆動信号を発生する駆動信号発生
手段と、前記楽音信号の発音指示および消音指示を行う
指示手段と、発音指示に応答して前記駆動信号発生手段
から発生された駆動信号を前記閉ループ手段に供給する
制御手段であって、前記指示手段による第1の楽音信号
に関する発音指示に応答して、前記第1の閉ループ手段
に対する前記駆動信号の供給を開始し、前記第1の楽音
信号に関する発音指示の後の第2の楽音信号に関する発
音指示に応答して、前記第1の閉ループ手段に対する前
記駆動信号の供給を停止するとともに、前記第2の閉ル
ープ手段に対する前記駆動信号の供給を開始し、前記第
2の楽音信号に関する発音指示の後の前記第2の楽音信
号に関する消音指示に応答して、前記第2の閉ループ手
段に対する前記駆動信号の供給を停止するとともに、前
記第1の閉ループ手段に対する前記駆動信号の供給を開
始する制御手段と、前記第1および第2の閉ループ手段
の各々を循環する信号を加算して出力する出力手段とを
具備することを特徴とする。
【0006】
【作用】上記の構成によれば、少なくとも遅延手段およ
び減衰手段を有する第1および第2の閉ループ手段に駆
動信号が供給され、各閉ループ手段内を、駆動信号に基
づく信号が循環することによって楽音信号が形成され
る。この結果、実際の擦弦楽器の発音機構に即した過程
によって楽音信号が形成される。また、第1の楽音信号
に関する発音指示に応答して、第1の閉ループ手段に対
する駆動信号の供給を開始し、第1の楽音信号に関する
発音指示の後の第2の楽音信号に関する発音指示に応答
して、第1の閉ループ手段に対する駆動信号の供給を停
止するとともに、第2の閉ループ手段に対する駆動信号
の供給を開始し、第2の楽音信号に関する発音指示の後
の第2の楽音信号に関する消音指示に応答して、第2の
閉ループ手段に対する駆動信号の供給を停止するととも
に、第1の閉ループ手段に対する駆動信号の供給を開始
するようにしたので、移弦レガート演奏を簡単な構成で
忠実に再現することができる。
【0007】
【実施例】A.全体構成図1に示す 電子楽器は、バイオリン等の擦弦楽器をシミ
ュレートするものである。図において、1は弓と弦との
動作特性をシミュレートする非線形関数である。2は弓
によって擦弦された弦の伝搬特性をシミュレートする線
形関数である。3は弦振動の共鳴をシミュレートする共
鳴系/出力部である。
【0008】ここで、上記各要素の具体的な構成を説明
する前に、代表的な擦弦楽器であるバイオリンの弦に励
起振動が導入される際のメカニズムについて図2を参照
し、説明する。図2において、Sはバイオリンの弦、L
は弓を示す。また、弦Sの両端を固定する固定端T1
よびT2は、それぞれバイオリンのナットおよび駒に相
当する。弓Lを弦Sに押し当てて弾くと(矢印U)、弓
Lと弦Sとの間の静止摩擦力が働く期間は、弦Sが弓L
の移動に伴って移動する。そして、弦Sの変位が大きく
なって、弦Sの弾性力によって決る力積が静止摩擦力を
上回ると、弦Sは弓Lに対して滑り、元の位置の方向に
戻ろうとする。このようにして、弓Lによって弦Sに振
動が励起される。実際には、弓Lは多数の毛の束によっ
て構成されているので、弦Sと一本、一本の毛とが接触
する各摩擦位置において、上記振動の励起が行われる。
図2におけるA1は、弦Sにおける最も固定端T1よりの
擦弦位置、A2は最も固定端T2寄りの擦弦位置を示す。
【0009】各擦弦位置において、弦Sに励起された振
動は2つに分岐される。すなわち、一方は固定端T1
へ振動波Waとなって伝搬し、他方は固定端T2側へ振
動波Wbとなって伝搬する。そして、この振動波Wa
は、固定端T1において位相反転されて反射され、その
反射波が固定端T2側へ伝搬し、振動波Wbは固定端T2
において位相反転されて反射され、その反射波が固定端
1側へ伝搬する。そして、弦Sは振動波WaおよびW
bを加算して得られる固定端T1およびT2を節とする定
在波Wsに従って振動する。
【0010】このように、図1に示した構成は、弦を弓
で擦ることによって、その摩擦力で弦振動が生じ、弦を
固定する駒がこの弦振動を楽器の胴体に伝搬させ、これ
が共鳴することで楽音が発生する過程をシミュレートす
るものである。こうした構成は、非線形楽音合成方式と
呼ばれる。
【0011】次に、図3は上述した非線形楽音合成方式
による電子楽器の概要を示すブロック図である。図にお
いて、4は演奏操作子であり、演奏操作に応じた各種情
報を発生する。この各種情報とは、音の高さ、音の長
さ、音の強さおよび音の質を表わす情報である。5は演
奏操作子4から供給される各種情報に基づいて音源パラ
メータを発生するCPUである。この音源パラメータと
は、運弓速度、運弓圧力、弦の長さおよびフィルタ係数
である。6は前述の非線形楽音合成方式による音源であ
り、CPU5から供給される音源パラメータに応じて所
定のアルゴリズムに従って楽音を発生する。この音源6
の構成については後述する。7はエンベロップジェネレ
ータである。このエンベロップジェネレータ7は、鍵の
オンオフに対応して楽音の振幅エンベロープを制御す
る。このような構成によれば、まず、演奏者によって演
奏操作子4が操作されると、各種演奏情報がCPU5に
供給される。CPU5は、必要に応じてエンベロープジ
ェネレータ7を用いて音源パラメータを発生し、これを
音源6へ出力する。音源6は、上述した擦弦楽器の発音
メカニズムをシミュレートして楽音を発生する。
【0012】図4は、この音源6の構成例を示すブロッ
ク図である。図において、8は非線形部であり、前述し
た擦弦点における弓と弦との間の摩擦特性を表わす関数
で記述されている部分である。この非線形部8には、上
述した運弓速度と運弓圧力とがCPU5から供給され
る。9は弦振動の伝搬特性を集中定数としてモデル化し
てシミュレートする線形部である。この線形部9は、弦
を固定する固定端、すなわち、一方(駒側)の固定端を
表わす集中定数9aと、他方(糸巻側)の固定端を表わ
す集中定数9bとからなる。なお、これら集中定数9
a,9bは、弦振動の伝搬遅延を表わす遅延回路と、弦
振動の位相特性を表わす低域通過形のフィルタ回路と、
固定端での位相反転を表わす終端反射回路と、振幅通過
特性を表わす直流減衰回路とから構成されている。ここ
で、この振幅通過特性は、弦の質量、断面積、張力など
によって決るものである。10は集中定数9bを構成す
る各回路出力を加算する加算回路である。この加算回路
10は、次の理由により構成されている。楽音出力の取
り出し点は、駒からの波動が楽器胴体に伝搬することを
鑑みた場合、駒付近の弦振動を取り出す方が良さそうで
あるが、線形部9を集中定数としてしているため、必ず
しも駒を出力点とすることが最良ではなく、色々な点の
出力を合成したものを加算して出力するほうが良いから
である。11は高域通過形のフィルタ回路であり、加算
回路10の出力に対して振幅通過特性を制御して音色を
調整する。
【0013】次に、図5は上述した非線形部8における
非線形関数、すなわち、弓と弦との間の摩擦特性を示す
図である。図において、横軸は運弓速度と擦弦点へ向う
振動波の振動速度との相対速度であり、縦軸はその相対
速度に対する摩擦力を表わす。なお、この縦軸は弦振動
に対する力積と見なすこともできる。また、縦軸の最大
値は、最大静止摩擦力となるから、運弓圧力によってそ
のスケールを相似的に伸縮する。但し、音強によって音
質を変化させる場合には、スケールを非相似的に伸縮さ
せる。このような非線形関数は、非線形部8のROMに
テーブルとして具備されている。
【0014】さて、次に、上記構成による音源6と、こ
れに供給される音源パラメータ(図3参照)との対応に
ついて説明する。まず、音源パラメータの内、「運弓速
度」および「運弓圧力」は上述の通り、図5に示した非
線形テーブルに作用する。「弦の長さ」は、線形部9の
遅延回路を構成するシフトレジスタの段数を定め、これ
により遅延時間を決める。「フィルタ係数」は、線形部
9のフィルタ回路や、フィルタ回路11の遮断周波数な
どの特性を決めるものである。
【0015】ところで、演奏操作に応じて発生する演奏
情報には、音程、音長、音強および音質等が挙げられる
が、これら情報は上記音源パラメータと1対1に対応さ
せることができない。そこで、CPU5がこれら演奏情
報を音源パラメータに変換している。このCPU5で
は、実際の擦弦楽器における発音機構をモデル化(以
下、これを擦弦モデルと言う)して動作させる。例え
ば、「弦の長さ」Lは、演奏情報である「音程」の周波
数fを求め、それを標本化周波数fsで割り、フィルタ
回路の特性で決る所定の変数dを減ずることで得られる
(次式のEq1参照)。 L = f/fs−d (Eq1) また、「運弓速度」Vb、「運弓圧力」Fbについて
は、まずこれらの比の標準値(例えば、Vb/Fb=a
とする)を決めておく。そして、演奏操作子4からは音
強vが入力された場合、 Fb = v (Eq2) としておけば、FbとVbとの比がaと定めてあるか
ら、 Vb = a × Fb (Eq3) となる。ところで、擦弦モデルにおいては、このVbと
Fbとの比aによって音の堅さ、つまり音質が決るた
め、演奏操作子4からの音質情報によって、この比aの
値を制御すれば良い。しかし、この比aを変化させるだ
けでは音質の変化にも限度があるため、さらに音質を変
化させる場合には、「フィルタ係数」を変化させればよ
い。次に、演奏情報の内の音長は、操作子が鍵盤の場
合、キーを押している長さに対応させると良い。この場
合、キーオンに伴って、上記Eq2,Eq3式の変換を
行う。さらに、実際の演奏態様に即したものにするに
は、音強vに時間関数を乗じる形とする。なお、以上に
示した例は、実際の擦弦楽器に倣った制御であるが、こ
れと反対に実際の挙動を無視した独創的な制御を行うこ
とで、全く新たな楽器を創作することも可能になる。
【0016】次に、こうした非線形楽音合成方式による
電子楽器をリアルタイムに演奏するには、例えば、音源
6をDSP(ディジタルシグナルプロセッサ)で構成す
る。図6は、音源6をDSPで構成した場合のプログラ
ムフロー例である。以下、図6を参照して、このプログ
ラムフローについて説明する。まず、ステップS1で
は、メモリ1読み出しによって、擦弦点における弦振動
の瞬時速度が読み出される。この弦振動は、駒側の弦を
伝搬するものである。同様に、ステップS2では、メモ
リ2読み出しによって擦弦点における弦振動の瞬時速度
が読み出される。この場合、ナット側(糸巻側)の弦を
伝搬する弦振動となる。そして、これらの読み出しデー
タは、それぞれ弦の終端反射条件を記述したステップS
3,S4の「終端反射」に供給される。さらに、このス
テップS3,S4を介したデータは、それぞれ弦の伝搬
特性を記述したステップS5,ステップS6に供給され
る。このステップS5,ステップS6の出力は、ステッ
プS7において読み込まれた運弓速度データとステップ
S8において加減算される。
【0017】次に、ステップS9において読み込まれた
運弓圧力データは、ステップS8の出力で除算される
(ステップS10)。この除算結果は、次のステップS
11に供給される。これにより、ステップS11では、
例えば、この除算結果を読み出しアドレスとして非線形
関数が記憶されたROMから非線形テーブルの値を読み
出す。次いで、ステップS12では、上述した運弓圧力
データと、この非線形関数出力値とを乗算する。この乗
算結果は、ステップS5,S6の出力とそれぞれ加算さ
れ(ステップS13,S14)、続いて、各々の加算結
果がメモリ1、メモリ2に書込まれる(ステップS1
5,S16)。ここで、メモリ1とは、駒側の弦振動の
速度を一時記憶するシフトレジスタまたはメモリ、メモ
リ2とはナット側の弦振動の速度を一時記憶するシフト
レジスタまたはメモリを指す。
【0018】このような処理から楽音を取り出す場合、
様々な取り出しが考えられるが、一般的には駒側のデー
タの一部をステップS5の「フィルタ1」から取り出
し、これを共鳴系12へ入力し、出力部13によって楽
音出力とする。この共鳴系12は、楽器の胴における共
鳴をシミュレートするものであって、高次のFIRフィ
ルタなどによって構成されている。なお、この共鳴系1
2の出力を上述したメモリ1、またはメモリ2へ帰還さ
せると、さらに豊かな響きを得ることが可能になる。
【0019】B.各種演奏操作子による実施例 ここでは、前述した非線形楽音合成方式による電子楽器
に各種演奏操作子を適用した場合の各擦弦モデルについ
て説明する。なお、演奏操作子としては、鍵盤、フット
コントローラ、ジョイスティック、フットスイッチ、ス
ライドボリューム、ポルタメントバーおよび圧力センサ
を挙げる。
【0020】(1)鍵盤を適用した擦弦モデル 以下には、鍵盤操作に応じて音程、音長、音強および音
質を指定する各擦弦モデルについて説明する。 a.音程指定 図7は、この発明による第2実施例の構成を示すブロッ
ク図である。この図において、図3に対応する部分に
は、同一の番号を付し、その説明を省略する。また、こ
の図が図3に示したものと異なる点は、モジュレーショ
ン10を追加した構成としたことである。この図におい
て、4はMIDI鍵盤であり、押鍵操作に応じたMID
I情報を出力する。尚、図8にMIDI鍵盤4によって
生成されるMIDIキーコードを示す。このMIDI鍵
盤4の出力する情報の内、最も重要となるキーオン、キ
ーオフについて説明する。まず、MIDIフォーマット
におけるキーオンは、「$9? cc ii」で表わさ
れる。ここで、ccはキーコード、iiはイニシャルタ
ッチ、またはキーオンベロシティを表わす16進数であ
る。?は0〜$Fの16進数であって、MIDIチャン
ネルを表わしている。また、キーオフは、「$8? c
c oo」で表わされ、ooはキーオフベロシティであ
る。その他、キーオン後の押鍵圧力を表わす出力とし
て、「$D? aa」、「$A? cc aa」があ
り、「$D? aa」の方は鍵盤全体が同じ圧力で押さ
れていると見なしたもので、「$A? cc aa」の
方は各鍵毎の圧力を表わし、どの鍵盤かはccによって
示されるようになっている。5はCPUである。このC
PU5は、変調5a、弦長計算5b、弓圧計算5cおよ
び弓速計算5dの各処理部からなり、これら処理部5a
〜5dの動作については後述する。
【0021】次に、上記構成における音程指定動作およ
びビブラート動作について説明する。 音程指定動作 音程は、キーコードに応じて弦長を制御することで指定
される。すなわち、押鍵操作に応じて発生するキーコー
ドが図8に示すように対応付けられている場合、例え
ば、C3の鍵が操作されると、「$3C」のキーコード
が出力される。ここで、完全な平均律を用いると、「A
3=440Hz」のチューニングでは、「C3=26
1.6Hz」となり、一般にキーコードKCと周波数f
との関係は、A3のキーコードが「$45」であるか
ら、次式Eq4で表わされる。
【数1】 ここで、fA3は「A3」における発音周波数で、上記
の例では、fA3=440Hzである。
【0022】ところで、図4に示す音源6において、遅
延回路1、2のシフトレジスタ段数がそれぞれdly
1,dly2であって、かつ、フィルタ1,2の実効的
なディレイ段数がそれぞれL(flt1),L(flt2)の場
合にサンプリング周波数fsでこの音源6が動作する
と、発音周波数fは次式Eq5で表わすことができる。
f=fs/(dly1+dly2+L(flt1)+L(flt
2)) (Eq5)ここで、L(flt1)およびL(flt
2)は、フィルタ1,2の遅延特性によって決る値であ
り、弦長制御としてはdly1、dly2の方が制御し
易い。しかしながら、このdly1とdly2との比は
音色に与える影響が大きい。例えば、この比が1に近い
ほど高音成分の少ない柔らかい音になるが、どちらかが
他方に対して大きくなると、高音成分が増えて鋭い音に
なる。そのため、音色を変化させずに音程だけを制御し
たい場合には、上記の比を一定に保ったまま、その合計
値を制御することが望ましくなる。ここで、この合計値
をLENGとすると、 LENG = dly1 + dly2 (Eq6) と表わせ、前述の比はdly1のLENGに対する比と
いう形で、 BPOS = dly1 / LENG (Eq7) と表わすと、LENGは音程を制御するパラメータ、B
POSは音色を制御するパラメータに分類することがで
きる。この時、dly2とBPOSとの関係は、 1− BPOS = dly2 / LENG (Eq8) となる。ここで、上述した式Eq5を、 LENG = fs/f−(L(flt1)+L(flt2)) (Eq9) と変形すると、ある鍵盤を押下され、式Eq4に従って
発音させたい周波数fが与えられた時には、式Eq9に
基づいてLENGの値を決定すれば良いことがわかる。
なお、ここで問題となるのは、L(flt1)+L(flt2)
の値の決め方である。この値は周波数の関数となり、前
述したフィルタ1とフィルタ2との伝達関数からその位
相特性を求めれば、演算で決定することができる。この
他、フィルタ1、2の遅延成分をキーコードに対応させ
たテーブルとしてメモリに記憶させておくこともでき
る。
【0023】以上のように、鍵盤4によって音程を指定
するには、図9に示す弦長制御がなされる。すなわち、
押鍵操作(ステップSA1)がなされると、その鍵に応
じたキーコードが出力され(ステップSA2)、このキ
ーコードに基づいて式Eq4から発音周波数fを決定す
る。次いで、式Eq9によって弦長LENGを求め(ス
テップSA4)、これを音源6に供給して所望の音程を
発生する(ステップSA5)。
【0024】アフタタッチによりビブラート動作させ
る場合(その1) 押鍵後の押圧に応じて生成されるアフタタッチデータに
よって発生楽音にビブラートを与える場合について説明
する。まず、アフタタッチデータとは、前述したように
「aa」という2桁の16進数であり、実際には最上位
ビットが使用されないため、7ビット、128階調を表
わす信号である。このようなアフタタチデータに応じて
弦長LENGを変化させ、発生楽音にビブラートをつけ
るものである。このビブラート動作は、例えば、バイオ
リンを演奏する態様と同じく、所定の周期で鍵盤に与え
る押圧を加えたり、抜いたりして操作する。この時、ア
フタタッチの出力は、その押鍵強さに従い、0〜127
の128段階で変化する。このアフタタッチの出力で前
述の弦長LENGを次式Eq10に基づいて変調する。
【0025】 LENG = LENG0×(1+aa×coe1) (Eq10) ここで、上記LENG0は、変調をかける以前の弦長
で、押鍵されたキーコードに対応して決定されるもので
ある。aaはアフタタッチデータである。ceo1は、
変調度を最適化する係数であり、その内容については後
述する。いま、例えば、係数coe1の値を1とする
と、弦長LENGは、アフタタッチの強さに応じて、キ
ーコードに対応する弦長LENG0に対して、1〜12
8倍に変調されることになる。しかし、この変調度では
大き過ぎ、とてもビブラートには聞えない。ビブラート
としての効果を付けるためには、その変調周波数は1.
5〜8Hz程度が適当で、変調の深さは0.002〜
0.05の範囲が適当とされている。そして、ここで
は、この変調周波数がアフタタッチの強さの変化の周波
数になるため、演奏者によるビブラート操作に依存す
る。一方、変調の深さは、上述の係数coe1によって
決る。0〜127段階で変化するアフタタッチデータa
aに対して、0〜0.002の変調度を実現させるに
は、この係数coe1を1.6×10-5とする。また、
変調度を0〜0.05とするには、coe1を3.9×
10-4とする。したがって、変調度を0.002〜0.
05の範囲内とするには、係数coe1を1.6×10
-5〜3.9×10-4に設定すれば良い。
【0026】ところで、上記式Eq10は音程を下げる
方向にビブラートをかけるという事実に基づいているた
め、音程を上げる方向に作用するビブラートをかけるこ
とができない。したがって、音程を上げる方向にもビブ
ラートをかける場合には、次式Eq11に従って変調を
かけることになる。 LENG = LENG0×(aa−64) (Eq11) 但し、この式Eq11に従うと、アフタタッチの強さが
0のときには弦長が所望の値からずれるので、鍵盤押下
後の最初のアフタタッチコードを受けるまでは、この式
に従った弦長変調を行わないなどの付加的な処理を必要
とする。さらに、発音は停止させないで、ビブラートだ
けを止めたいときには、アフタタッチコードを受信しな
くなってから所定時間経過後に、この弦長動作を中止し
て弦長を前述したLENG0に戻すという動作にするこ
とが望ましい。
【0027】以上のように、鍵盤操作に応じてビブラー
トをかける場合には、図10に示す弦長変調がなされ
る。すなわち、アフタタッチコードを受信するまで待機
し(ステップSB1)、当該コードを受信すると、アフ
タタッチデータaaを抽出し(ステップSB2)、これ
を式Eq10に代入してアフタタッチの強さに応じた弦
長LENGを求める(ステップSB3)。そして、この
ビブラートがかけられた弦長を音源6に供給することに
より、発生楽音に所望のビブラートがかかることにな
る。
【0028】図11は、発音を停止させずに、ビブラー
トだけを止めることができる弦長変調を示すフローチャ
ートである。この場合、アフタタッチコードを受信した
時には、上述したステップSB1〜SB4と同様の動作
がステップSC1〜SC4においてなされる。一方、ア
フタタッチコード待ちの時には、当該コードを受信する
までカウントを行い(ステップSC5)、このカウント
値が所定時間経過するまでカウントを続行(ステップS
C6)し、所定時間経過後に弦長LENGを前述したL
ENG0に戻す(ステップSC7)。これにより、発音
は停止せず、ビブラートだけが止る。
【0029】以上に示した例は、いずれも弦長LENG
を変調することによってビブラート動作を実現させてい
る。ここで、実際の擦弦楽器であるバイオリンのビブラ
ートを例にとると、ビブラート動作は運指する指を弦上
で移動させることによって行われているため、駒側の弦
長は変化せず、ナット側の弦長だけが変化する。こうし
た事実を鑑みると、ナット側の弦長dly2だけを変調
させたビブラートの方がより実際のメカニズムに即した
ものと言える。しかしながら、シフトレジスタで実現す
る弦長は、物理的な長さの次元だけを持つだけでなく、
弦の質量や張力などの次元も含むため、厳密にはナット
側の弦長のみを変化させるビブラートによっても、前述
したdly1,dly2の双方が変化する。しかし、こ
の変化の度合は等しくなく、これらを考慮すると、弦長
LENGと音色を制御するパラメータBPOSとの両者
を変化させるビブラートが最も物理的に忠実なものにな
るが、聴感上は上述したLENGまたはdly2を変調
するビブラートで十分な効果を得ることができる。
【0030】アフタタッチによりビブラート動作させ
る場合(その2)図12は、アフタタッチによりビブラ
ートを制御する他の例を示す図である。図において、1
1aはカウンタ、11bは乗算器である。この乗算器1
1bは、カウンタ11aの出力とVib1とを乗算す
る。ここで、Vib1は、弦長変調の深さを表わすデー
タである。11cはROMに正弦波波形を記憶させた正
弦波テーブルである。11dは正弦波テーブルから読み
出されたデータとVib2とを乗算する乗算器である。
11eは乗算器11dの出力とオフセットδとを加算す
る加算器、11fは加算器11eの出力と前述した弦長
LENG0とを加算する加算器である。
【0031】このような構成によれば、カウンタ11a
の出力とVib1とを乗算し、この乗算結果を読み出し
アドレスとして正弦波テーブル11cに供給する。これ
により、テーブル読み出しが行われ、Vib1の値に応
じて周波数が変化する正弦波が得られる。ここで、例え
ば、Vib1の値が1より大きい場合には、出力される
正弦波の周波数は高くなる。但し、この正弦波テーブル
11cへのアドレッシングでは、読み出されるデータに
ついて間引きや重複が起こりえるので、所定の補間を行
う。そして、このようにして得られた正弦波にはVib
2が乗算され、この結果、Vib2に応じた振幅の正弦
波を得る。さらに、この正弦波にはオフセットδが加算
され、これにより、正弦波の時間平均値を任意に設定す
る。この任意正弦波に対して、前述のキーコードに対応
する弦長LENG0を加算することによって、ビブラー
ト時における瞬時的な弦長LENGが算出される。そし
て、このようにして得られた弦長LENGを前述した音
源6に供給すれば、発生楽音にビブラートがかけられ
る。なお、ここでは、弦長LENGを変調する場合を示
したが、これに替えて前述のdly2を変調するように
しても良い。
【0032】次に、図13は歪んだ正弦波によって弦長
を変調する場合の構成を示すブロック図である。この図
が図12に示したものと異なる点は、加算器11eに替
えて歪関数12を設けたことである。この歪関数12
は、入力に対して非線形の変換を行う。こうした構成に
よれば、振幅まで制御された正弦波を歪関数12に供給
し、これにより図14に示すような歪んだ正弦波を得
る。この歪んだ正弦波を発生させるのは、次の理由によ
る。すなわち、バイオリンの演奏では、弦長を変調する
場合、図14に示す歪んだ正弦波のように、音を上げる
方には滑らかな時間波形とし、音を下げる方には鋭い時
間波形になる。したがって、歪んだ正弦波で弦長を変調
すれば、より実際の擦弦楽器に近いビブラート効果を実
現することができる。
【0033】なお、上記Vib1,Vib2の値は、前
述したように変調周波数が1.6〜8.0Hz、変調の
深さが0.002〜0.05程度になるようこれらの値
を設定すれば良い。また、このVib1を一定にしてお
き、例えば、アフタタッチの強さに応じてVib2を大
きくするように制御すると、ビブラートのかかる速さが
一定で、鍵盤を強く押すほどビブラートが深くかかるよ
うにすることも可能になる。これとは逆に、Vib2を
一定にしておき、例えば、アフタタッチの強さに応じて
Vib1を大きくするように制御すると、ビブラートの
深さが一定で、鍵盤を強く押すほどビブラートが速くか
かるようにすることも可能になる。
【0034】さらに、アフタタッチの強さに応じてVi
b1,Vib2の両者を制御する場合には、例えば、V
ib2はVib1の何倍という形で1次関数的に対応付
けておき、この比例係数を正にした場合、ビブラートが
速いときには変調が深くなり、遅いときには変調が浅く
するようにしても良い。また、さらに複雑な対応関係と
するには、Vib2をアドレスとするVib1のデータ
テーブルをメモリに記憶させておく方法もある。
【0035】エンベロップジェネレータによりビブラ
ート動作させる場合イニシャルタッチデータは、アフタ
タッチと違って押鍵の瞬間にしか発生されない。このた
め、図15に示す構成によりビブラート制御を行う。す
なわち、イニシャルタッチ、アフタタッチおよびキーオ
ンに従って楽音の振幅を制御するエンベロップジェネレ
ータ7a,7bの出力をそれぞれ上述したVib1,V
ib2とし、これらをLFO13に供給する。このLF
O13は低周波発振器であり、これらVib1,Vib
2により発振周波数、振幅が制御されるようになってい
る。したがって、上述と同様にしてビブラートの速さ
や、深さを制御することが可能になる。
【0036】b.音長指定 非線形楽音合成方式による擦弦モデルでは、弓圧と弓速
とを表わすパラメータに適当な値を与えると、発音を開
始する。ここでは、押鍵によってエンベロップジェネレ
ータ7を起動し、このエンベロップジェネレータ7の出
力を弓圧および弓速として音源6に供給して楽音を発音
させる実施例について示す。
【0037】図16は、第3実施例の構成を示すブロッ
ク図であり、音源6(図4参照)にエンベロップジェネ
レータ7の出力を弓圧および弓速として供給する構成と
している。この図に示すエンベロップジェネレータ7
は、鍵盤操作により発生するキーオン/オフ、イニシャ
ルタッチ、アフタタッチに従って、出力波形のアタック
部A、ディケイ部D、サステイン部Sおよびリリース部
Rを制御して所定のエンベロップ波形を形成する。
【0038】上記構成によれば、押鍵で発生するキーオ
ン信号によりエンベロップジェネレータ7が起動され、
このキーオン信号と共に生成されるイニシャルタッチデ
ータによってアタック部A(エンベロップ波形立上がり
部分)が決定される。そして、エンベロップ波形がピー
クに達すると、ディケイ部Dが決定され、続いてアフタ
タッチデータに基づいてサステイン部Sが決定される。
次いで、キーオフ信号によってリリース部Rが決定さ
れ、所定のエンベロップ波形が形成される。このように
して形成されたエンベロップ波形を弓圧および弓速に相
応しいものにしておき、弓速用のエンベロップ波形を信
号Vb、弓圧用のエンベロップ波形を信号Fbとして音
源6に供給することにより、押鍵に従って擦弦楽器音が
発音され、離鍵と共にこの発音が停止する。
【0039】擦弦モデルにおいては、上述のように弓速
と弓圧とを操作することで発音の開始および停止を制御
することができるが、直流減衰回路(図4参照)におけ
る減衰係数を制御することによっても発音の開始や停止
を制御することができる。この減衰係数とは、弦振動の
波動が弦上を伝搬する過程において、弦の終端から終端
までを通過し、1周の間伝搬した時にその振動振幅の直
流成分がどの程度減衰されるかを表わすものである。理
想的な弦では、波動が弦上を何周回ろうと減衰されない
ため、減衰係数は1となる。一般に擦弦楽器として発音
する場合、この減衰係数は0.9〜0.99程度の値と
なっている。図6に示したプログラムフローにおいて
は、弦の終端が固定端に近い状態になっているため、位
相が反転することから、終端反射として−0.9〜−
0.99程度の値が与えられる。したがって、この終端
反射を押鍵動作によって制御すれば、楽音の発音開始と
停止とが実現できる。すなわち、この押鍵動作に応じた
制御は、単に押鍵されていない時に終端反射を0とし、
押鍵された時に終端反射を−0.9〜−0.99とすれ
ば良い。
【0040】また、弦振動の伝搬特性をシミュレートし
たフィルタ回路(図4参照)の特性を制御しても全く同
様に発音開始および停止を実現することができる。この
場合、フィルタ回路の振幅特性を制御すれば良く、これ
は上述の減衰特性を制御することにほかならない。但
し、フィルタ特性を変化させると、位相特性も変ってし
まうため、発音される音程に影響を与えてしまう。しか
し、この影響による効果が不都合として具現化されない
場合には実現可能な方法と言える。例えば、フィルタと
して低域通過フィルタを用い、発音が持続されていない
場合には、遮断周波数を低域側に移動させて弦振動の総
通過量を減衰させる。これにより、音程が変化しつつ、
発音が停止する。
【0041】ところで、音源6が楽音を発生している状
態にあり、その状態で新たな楽音発生の指定がなされた
場合には、前の発音を強制的に減衰させるフォーシング
ダンプ処理を施す必要があり、このフォーシングダンプ
処理は上述した終端反射を0にすることで容易に実現す
ることができる。
【0042】c.音強指定 非線形楽音合成方式の擦弦モデルでは、弓圧と弓速との
値に応じて楽音出力の音量が制御される。例えば、イニ
シャルタッチが大きくなるほど弓圧や弓速を大きくなる
ように制御すると、感覚的に違和感のない音強指定を行
うことができる。また、単純に出力利得を制御して音強
を変えるようにしてもよい。
【0043】d.音質指定 この場合、押鍵の速さを計測・処理し、その結果に基づ
いて音質を変化させるパラメータを生成することができ
る。例えば、イニシャルタッチデータに応じて線形部9
(図4参照)における低域通過フィルタ回路の遮断周波
数を変化させる。イニシャルタッチ量が大きい程、該フ
ィルタ回路の遮断周波数を高くすると、高音域の高次倍
音が多く含まれるようになり、この結果、「明るい」音
質を得ることができる。
【0044】擦弦モデルにおいては、弓圧と弓速との大
きさの比を変化させることで、楽音の発音スペクトルが
変化する。この比は、ある範囲を越えて与えられると、
基音などの低い成分を含まないで発音してしまうことも
あり、さらには全く発音しない状態もあり得る。通常、
この比を妥当な範囲内で変化させれば、適当な音色変化
を得ることができる。このような比をイニシャルタッチ
や、アフタタッチに応じて制御してやると、演奏者態様
に従った音色変化が得られる。また、擦弦モデルにおけ
る共鳴特性を制御することによっても出力楽音の音色を
変化させることができる。例えば、発音する楽音の音高
領域に従って異なる特性を有する共鳴系を対応させ、こ
れにより音色を変化させる。さらに、楽音出力部のフィ
ルタ特性を制御して音色を変化させることも可能であ
る。
【0045】e.キーアサイン 押鍵されてから離鍵されるまでの間では、押鍵処理が行
われる。この押鍵処理中に別の押鍵がなされると、音源
の数や最大発音チャンネル数の制限、または奏法に応じ
た所定のルールで発音割当てがなされる。
【0046】単音発音・同一弦上のレガート 単音発音で同一弦上のレガート奏法を実現する場合の動
作について図17および図18を参照して説明する。こ
の例では、後着優先ルールによるキーアサインを用いて
いる。この後着優先ルールとは、同時に押鍵された鍵が
複数ある場合、最も後に押鍵された鍵盤の鍵盤処理を優
先して行うというルールである。いま、例えば、「鍵α
の押鍵」、「鍵βの押鍵」、「鍵βの離鍵」、「鍵αの
離鍵」といった順に鍵盤操作がなされた場合、まず、図
17のステップSD1に進み、鍵αの押鍵に対応して押
鍵バッファに鍵αの情報が書込まれる。次に、ステップ
SD2に進むと、この鍵αに対応するキースケールデー
タが生成され、これが音源6を構成するDSP(図4参
照)に供給される。ここで、キースケールデータとは、
弦長に対応して制御すべき遅延量を与えるデータ、もし
くはフィルタの通過特性を与えるデータである。そし
て、ステップSD3では、この押鍵が1音目であるか否
かを判断する。この場合、1音目であるから判断結果が
「YES」となり、次のステップSD4へ進む。ステッ
プSD4では、エンベロップジェネレータが起動して運
弓情報を発生する。すなわち、このエンベロップジェネ
レータは、押鍵操作によって、「アタック部」、「ディ
ケイ部」、「サステイン部」の順に出力波形を制御して
運弓情報を発生する。こうして生成される運弓情報はD
SPに供給され、これにより、鍵αの発音が開始する
(ステップSD5)。その後、鍵βの押鍵により上述し
たステップSD1〜SD3が繰り返されが、この押鍵は
2音目であるため、ステップSD3の判断結果が「N
O」になり、押鍵処理を中止する。
【0047】次に、鍵βが離鍵されると、図18のステ
ップSE1に進み、押鍵バッファに書込まれた鍵βの情
報が削除される。次いで、ステップSE2に進むと、押
鍵バッファにデータがあるか否かを判断する。そして、
ここでは、押鍵バッファに鍵αのデータが保持されてい
るから、判断結果が「YES」となり、次のステップS
E3に進む。ステップSE3では、押鍵バッファへ最後
に書込まれたデータ、すなわち、鍵αの情報が検索さ
れ、これに対応するキースケールデータをDSPに供給
する。この結果、楽音の音程が鍵αに対応するものに変
化する。さらにその後、鍵αが離鍵によって押鍵バッフ
ァから鍵αの情報が削除される。そして、これにより、
押鍵バッファに保持されるデータがなくなり、ステップ
SE2の判断結果が「NO」になり、ステップSE4へ
進む。ステップSE4では、エンベロップジェネレータ
をリリース状態とし、設定された所定時間経過後に発音
を停止する。
【0048】なお、以上の例では、押鍵バッファに保持
されたデータがあれば、エンベロップジェネレータを起
動させ続けるようにしているが、これに替えて、押鍵や
離鍵毎にエンベロップジェネレータを起動・終了させて
も良い。また、発音割当てルールは、上記に替えて鍵盤
の先着優先や音域優先を採用しても良い。
【0049】単音発音・移弦レガート 上述した同一弦レガート奏法と移弦レガート奏法との相
違点は、音程を変化させる際に、この変化前の音の余韻
が残るかどうかという点にある。図19は、こうした移
弦レガートを実現する、この発明の一実施例の構成を示
ブロック図である。この図に示す音源は、図4に示し
た非線形部8を共有する2つの線形部9−1〜9−2お
よび加算回路10−1〜10−2と、フィルタ回路11
と、セレクタ15とから構成されている。ここで、セレ
クタ15は、線形部と非線形部との間の入出力を切換え
る。
【0050】このような構成における移弦レガート動作
について図20を参照して説明する。ここでは、「鍵α
の押鍵」、「鍵βの押鍵」、「鍵βの離鍵」、「鍵αの
離鍵」といった順に鍵盤操作がなされた場合を例にとり
説明する。まず、電源投入と共に、初期化がなされ、線
形部選択フラグをAにセットする(ステップSF1)。
この線形部選択フラグにAがセットされている場合に
は、セレクタ15が線形部9−1を選択し、一方、Bが
セットされている場合には、線形部9−2が選択される
ようになっている。次に、鍵αの押鍵がなされると、ス
テップSF2に進み、鍵αの情報が押鍵バッファに書込
まれる。次いで、ステップSF3では、この押鍵の優先
度が評価され、次のステップSF4に進む。ステップS
F4では、鍵αの情報を発音バッファに書込む。そし
て、ステップSF5では、線形部選択フラグが現在どち
らに設定されているかを判断する。ここで、線形部選択
フラグには、上述した初期化によってAがセットされて
いるので、次のステップSF6に進む。ステップSF6
では、セレクタ15に線形部9−1を選択する旨の信号
を供給し、次のステップSF7では、エンベロップジェ
ネレータを初期化する。次いで、ステップSF8では、
線形部選択フラグにBをセットする。そして、ステップ
SF9では、発音バッファの内容に相当するキースケー
ルデータを線形部9−1で発生してDSPへ供給する。
次いで、ステップSF10では、エンベロップジェネレ
ータを起動して運弓情報を生成し、生成した運弓情報を
DSPに供給して発音を開始させる。
【0051】そして、次に鍵βが押鍵されると、上述し
たステップSF2〜SF5を介してステップSF11に
進む。ステップSF11では、セレクタ15に線形部9
−2を選択する旨の信号を供給し、次のステップSF1
2では、エンベロップジェネレータを初期化する。ここ
で、この初期化によって鍵αの発音が減衰し始める。ス
テップSF13では、線形部選択フラグにAをセットす
る。そして、ステップSF14では、発音バッファに保
持された鍵βのキースケールデータを線形部9−2で発
生してDSPへ供給する。これにより、鍵βの発音がな
される。一般に、エンベロップジェネレータを初期化し
てから起動するまでの時間は、弦振動の減衰時定数より
小さく設定されているため、鍵αの発音と鍵βの発音と
が時間的に重なり合い、こうしたことが移弦らしさを生
む結果となる。
【0052】次に、鍵βが離鍵されると、ステップSG
1に進み、押鍵バッファからこの鍵βの情報が削除さ
れ、次のステップSG2へ進む。ステップSG2では、
この削除されたデータが発音バッファのデータと一致す
るという結果から、次のステップSG3に進む。ステッ
プSG3では、押鍵バッファにデータがあるか否かを判
断する。この場合、鍵αの情報が残っているので、判断
結果が「YES」となり、前述したステップSF4にお
いて再び発音バッファに書込まれ、以降前述と同様の動
作により鍵βの発音が減衰すると共に、鍵αの発音が開
始される。
【0053】次に、鍵αが離鍵されると、上述のステッ
プSG1〜SG3を実行するが、この場合、ステップS
G3において押鍵バッファにデータが無いため、判断結
果が「NO」となり、ステップSG4に進み、エンベロ
ップジェネレータをリリース状態とし、設定された所定
時間経過後に発音を停止する。なお、上述した動作は、
移弦レガート奏法として説明したが、これは他の奏法に
ついても適用することができる。また、3弦以上の場合
にも同様に行うことができるし、エンベロップジェネレ
ータを各線形部毎に独立して設けておくと、音の切れ際
などを詳細に再現することができる。
【0054】単音発音・同一弦上の返し弓 図17および図18に示した同一弦上のレガートと、同
一弦上の返し弓との相違は、音程を変化させる時に必ず
エンベロップジェネレータを起動することにある。この
ような返し弓動作を図21を参照して説明する。いま、
例えば、「鍵αの押鍵」、「鍵βの押鍵」、「鍵βの離
鍵」、「鍵αの離鍵」といった順に鍵盤操作がなされた
場合、まず、図21のステップSH1に進み、押鍵バッ
ファに鍵αの情報が書込まれる。次に、ステップSH2
に進むと、この鍵αに対応するキースケールデータが生
成され、これが音源6を構成するDSP(図4参照)に
供給される。ここで、キースケールデータとは、弦長に
対応して制御すべき遅延量を与えるデータ、もしくはフ
ィルタの通過特性を与えるデータである。そして、ステ
ップSH3では、エンベロップジェネレータが起動して
運弓情報を発生し、これがDSPに供給されて鍵αの発
音が開始する。その後、鍵βが押鍵されると、上述した
ステップSH1〜SH3が繰り返され、鍵βの発音がな
される。
【0055】次に、鍵βが離鍵されると、ステップSH
4に進み、押鍵バッファに書込まれた鍵βの情報が削除
される。次いで、ステップSH5に進むと、押鍵バッフ
ァにデータがあるか否かを判断する。そして、ここで
は、押鍵バッファに鍵αのデータが保持されているか
ら、判断結果が「YES」となり、次のステップSH6
に進む。ステップSH6では、押鍵バッファへ最後に書
込まれたデータ、すなわち、鍵αの情報が検索され、こ
れに対応するキースケールデータをDSPに供給し、エ
ンベロップジェネレータを起動する。この結果、楽音の
音程が鍵αに対応するものに変化する。この後、鍵αが
離鍵されると、再びステップSH4に進み、押鍵バッフ
ァから鍵αの情報が削除される。そして、これにより、
押鍵バッファに保持されるデータがなくなり、ステップ
SH5の判断結果が「NO」になり、ステップSH7へ
進む。ステップSH7では、エンベロップジェネレータ
をリリース状態とし、設定された所定時間経過後に発音
を停止する。このように、エンベロップジェネレータを
起動させて音程を変化させることで返し弓の効果を得て
いる。
【0056】ところで、実際のバイオリンの奏法を考え
ると、弓を返す場合には、いきなり弓速が反対向きに働
くのではなく、弓圧を少し弱くするなどの効果を伴うも
のである。そこで、このような観点から、鍵βが押鍵さ
れる直前で鍵αの離鍵に対応させてエンベロップジェネ
レータを起動させる処理を行えば、より自然な音の移り
変りを実現することができる。これは、キーオフ速度を
表わす信号を用いることにより可能となる。
【0057】単音発音・音域優先 音域によって押鍵処理の優先度を決める場合には、図2
0に示すステップSF3の鍵盤優先度評価を変える。す
なわち、図20の説明では後着優先としていたが、これ
に替えて、例えば、高い音程の音に優先度を与える。こ
のようにしておけば、高音優先のキーアサインが実現で
きる。また、より低い音程の音に優先度を与えると、低
音優先のキーアサインとなる。さらに、押鍵された順序
を情報として蓄える構成にしておくことにより、後着優
先や先着優先のキーアサインも実現できる。
【0058】また、1音毎の優先度をメモリに記憶して
おくと、例えば、ある調の主和音の音程の優先度を高く
するということも可能になるし、ある音域の音に高い優
先度を与えることもできる。このメモリに記憶させる方
法では、1音毎の優先度を記憶しておくこともよいが、
ある音域毎にグルーピングし、各々のグループ間の優先
度を設定し、高音優先や低音優先を採用することによっ
て記憶容量を節約させることができる。
【0059】複音発音 ここでは、発音数が2音に限定された場合、すなわち、
音源を2系統有する構成において、1音目と2音目との
割当て優先度を設定して複音発音させる場合の動作を図
22を参照して説明する。以下では、「鍵αの押鍵」、
「鍵βの押鍵」、「鍵γの押鍵」、「鍵αの離鍵」、
「鍵βの離鍵」、「鍵γの離鍵」といった順に鍵盤操作
がなされた場合を説明する。まず、電源投入と共に、初
期化がなされ、音源選択フラグをAにセットする(ステ
ップSJ1)。この音源選択フラグにAがセットされて
いる場合には、音源Aを発音させる発音バッファAが選
択され、一方、Bがセットされている場合には、音源B
を発音させる発音バッファBが選択されるようになって
いる。
【0060】次に、鍵αの押鍵がなされると、ステップ
SJ2に進み、鍵αの情報が1音目として押鍵バッファ
に書込まれる。次いで、ステップSJ3では、押鍵バッ
ファに書込まれた情報が1音目であるか否かを判断す
る。この場合、1音目であるから判断結果が「YES」
となり、次のステップSJ4に進む。ステップSJ4で
は、音源選択フラグがどちらにセットされているかを判
断する。ここでは、初期化により「A」にセットされて
いるから、次のステップSJ5に進む。ステップSJ5
では、発音バッファAに鍵αの情報が書込まれる。そし
て、ステップSJ6では、エンベロップジェネレータを
初期化し、ステップSJ7では、発音バッファAの内容
に相当するキースケールデータを音源Aへ供給する。次
いで、ステップSJ8では、エンベロップジェネレータ
を起動して運弓情報を生成し、これを音源Aに供給して
鍵αの発音を開始させる。
【0061】次に、鍵βが押鍵されると、上述したステ
ップSJ3の判断結果が「NO」になり、ステップSJ
9に進む。ステップSJ9では、音源選択フラグがどち
らにセットされているかを判断する。ここでは、音源選
択フラグがAとなっており、ステップSJ10に進む。
ステップSJ10では、発音バッファBに鍵βの情報が
書込まれ、以降ステップSJ11〜SJ13を介して鍵
βの発音がなされる。次に、鍵γが押鍵されると、上述
したステップSJ9〜SJ13を介して鍵βの発音を停
止すると共に、この鍵γの発音を開始する。
【0062】次に、鍵αが離鍵されると、図23に示す
ステップSJ14に進み、押鍵バッファからこの鍵αの
情報が削除され、次のステップSJ15へ進む。ステッ
プSJ15では、この削除された情報が発音バッファA
のものか否かを判断する。この場合、発音バッファAの
音となるから、判断結果が「YES」となり、ステップ
SJ16に進む。ステップSJ16では、音源選択フラ
グをBにセットして次のステップSJ17に進む。ステ
ップSJ17では、押鍵バッファが検索され、発音バッ
ファBにない音があるか否かを判断し、ここでは、鍵β
の情報があるので、判断結果が「YES」となり、次の
ステップSJ18に進む。ステップSJ18では、該当
鍵の優先度が評価されるが、ここでは鍵βの情報しか存
在しないので、優先度評価も鍵βの情報となる。そし
て、上述したステップSJ9以降に進むと、この時に音
源選択フラグがBに変更されているため、発音バッファ
Aに鍵βの情報が書込まれる。そして、この結果エンベ
ロップジェネレータが初期化され、いままで発音してい
た鍵αの発音が停止する。続いて、発音バッファAのキ
ースケールデータが音源Aに供給される。次いで、エン
ベロップジェネレータが起動され、音源Aが鍵βに対応
する発音を開始する。この状態では、音源Aは鍵βの音
を発音し、音源Bは鍵γの音を発音している。
【0063】次に、鍵βが離鍵されると、上述のステッ
プSJ15の判断結果が「YES」となり、ステップS
J16に進む。ステップSJ16では、音源選択フラグ
をBにセットし、ステップSJ17に進む。ステップS
J17では、押鍵バッファBが検索され、発音バッファ
Bにない音があるか否かを判断するが、ここでは該当す
る情報がないので、判断結果が「NO」となり、次のス
テップSJ23に進む。そして、ステップSJ23で
は、エンベロップジェネレータをリリース状態に設定
し、鍵βの発音を停止する。
【0064】次に、鍵γが離鍵されると、押鍵バッファ
から鍵γの情報が削除される。これは、発音バッファB
の音であるから、ステップSJ15の判断結果が「N
O」となり、音源選択フラグがAにセットされる(ステ
ップSJ20)。しかし、押鍵バッファには情報がない
ので、ステップSJ21での判断結果は「NO」にな
り、ステップSJ22に進む。ステップSJ22では、
エンベロップジェネレータをリリース状態に設定し、鍵
γの発音を停止する。この状態では、音源選択フラグは
Aにセットされたままの状態で、押鍵待ちとなってい
る。ここで、ステップSJ24は、2音目の音源に対応
する優先度評価であり、後着優先としている。
【0065】フィンガリング 代表的な擦弦楽器であるバイオリンは、4本の弦を持
ち、同じ音程を弾くことができる弦が複数存在する。同
じ音程でも弦が異なると、その音色も変化するため、演
奏者は指使いの容易さと、音色との兼ね合いから弾く弦
を決める。1本の弦だけで演奏する場合と、複数の弦で
演奏する場合とでは、音色の変化や余韻などに違いが出
て、これが弦楽器らしさの要素になっている。そして、
このような弦の弾き方、すなわち、フィンガリングと呼
ばれる指使いを実現するには、各弦に対応させた音源を
具備し、バイオリンと同じような指使いができる複数段
鍵盤を用いれば良い。
【0066】f.滑らかさを制御する非線形部 擦弦モデルをディジタル回路で実現すると、サンプリン
グ周波数の関係から、特に高音域で引き込み発振を起こ
したり、所定楽音の発振周波数と干渉してノイズを発生
したりする。これは、擦弦モデルにおける弦と弓との間
の摩擦特性をシミュレートする非線形部8(図4参照)
が動摩擦と静止摩擦との2つの状態を遷移するように動
作するからである。そのため、この状態遷移を滑らかに
制御すれば、上述の引き込み発振や、ノイズ発生を押え
ることができる。
【0067】図24は、こうした滑らかな制御を行う非
線形部8の構成を示すブロック図である。図において、
20,28は加算器、24,25,27は乗算器、21
は除算器である。22は入力された信号を全波整流して
出力する全波整流回路である。23はROMで構成され
る静止摩擦関数回路であり、図25に示す静止摩擦関数
がデータテーブルとして記憶される。26はROMで構
成される動摩擦関数回路であり、図26に示す動摩擦関
数がデータテーブルとして記憶される。このような構成
によれば、乗算器27に供給されるパラメータsmoo
thを1とすると、静止摩擦関数と動摩擦関数とがその
まま読み出され、この結果全体の関数として、図27に
示す滑らかな合成非線形関数が形成される。さらに、こ
のパラメータsmoothを大きくして行くと、やがて
図28に示す入出力関係になる。
【0068】実際には、鍵盤を押鍵してエンベロップジ
ェネレータを起動して発音させる毎にこのパラメータS
moothを制御すれば良い。但し、音の立上がり部分
では、ノイズや引き込み発振は気にならず、むしろ音の
立上がり部分の荒々しさが気になるため、動摩擦と静止
摩擦との間は、滑らかに遷移させるより、不連続的に遷
移させた方が良い。また、逆に発音が落着いた部分で
は、音程の不安定さや、ノイズの方が目立つため、この
場合には滑らかに遷移させることが望ましい。
【0069】(2)フットコントローラを適用した擦弦
モデル フットコントローラとは、フットエクスプレッションペ
ダルとも呼ばれ、電子オルガンなどの音量制御操作子と
して用いられているものである。この操作子は、足で操
作するため、演奏上、微妙なニュアンスは付けにくい
が、ダイナミックな制御が可能になる。以下には、この
フットコンローラ操作に応じて音程、音長、音強および
音質を指定する各擦弦モデルについて説明する。
【0070】a.音程指定 ビブラート制御 この場合、図10および図11に示したアフタタッチデ
ータに応じた弦長制御と同様に、フットコントローラの
データで弦長を変調することで全く同じビブラート制御
が実現される。
【0071】ポルタメント奏法 ビブラートによる発音周波数の変化は、高々数10セン
ト程度であるが、この変化を何音にも渡るような大きな
値にすると、ポルタメント効果を得ることができる。例
えば、図10に図示した動作フローにおいて、ステップ
SB2でフットコントローラのデータを用いる。そし
て、次のステップSB3では、前述のEq10式の係数
coe1にビブラート制御時より大きい所定値を設定す
れば、ポルタメント奏法に対応した弦長変調となる。こ
の係数coe1は、ポルタメント幅がオクターブに相当
する場合、音程を上げる時には弦長変調度が1.0〜
0.5、音程を下げる時には1.0〜2.0と変化する
ように、フットコントローラ出力に対してその値を設定
する。
【0072】b.音長指定 エンベロップジェネレータ制御 フットコントローラの出力に応じてエンベロップジェネ
レータにおけるリリース時間を制御すれば、発音停止時
の余韻を制御することになる。 直流減衰特性の制御 フットコントローラの出力によって、直流減衰回路(図
4参照)の通過特性量を制御することによって、運弓情
報によらない発音停止が実現できる。
【0073】c.音強指定 弓圧・弓速制御 音色を変化させずに音強だけを変化させるには、弓圧と
弓速との比を一定にたもったまま、それらの絶対量を変
化させれば良い。この場合、前述のEq3式の関係を満
たしつつ、フットコントローラの出力をEq2式の
「v」に対応させることで弓圧および弓速の大きさを調
整すれば良い。出力利得制御出力部の利得を直接操作
することで、構成が簡素化される。但し、この場合に
は、弓圧と弓速との比が一定であっても、それらの絶対
量によって音色が変化してしまう構成になっていると、
発生楽音を変化に乏しい音にしてしまう危険性がある。
【0074】d.音質指定 弓圧と弓速との比を変化させる場合 前述のEq3式における「a」を変化させることによ
り、発生楽音の音色を変化させることができる。 弦長比制御 駒側の弦長と糸巻側の弦長との比を変化させることによ
り、音質を変化させることができる。例えば、両方の弦
長が同じ長さだと、物理的にはちょうど弦の中央を擦弦
していることになる。この場合、弦長に対応する第1モ
ード(基音)定在波の腹の部分が擦弦点になるため、弦
振動の基音成分がなくなる。また、弦長の比を1:3に
すると、弦振動の第2モードの腹が擦弦点になるため、
弦振動の第2モード成分がなくなる。このように、弦長
の比に従って弦振動のスペクトル成分に変化が生じ、こ
れが音色の変化として感じられるようになっている。前
述のEq7,Eq8式より次式Eq12,Eq13が導
かれる。 dly1 = LENG × BPOS (Eq12) dly2 = LENG × (1−BPOS) (Eq13) ここで、LENGは音程によって決定する量で、BPO
Sが弦長比を与える量となる。このEq12,Eq13
式によって弦長dly1,dly2が計算される。実際
には、フットコントローラの出力が供給される毎にCP
U5がこの計算を行い、算出値を音源に供給することで
音色が制御される。なお、この処理は、実際のバイオリ
ンの奏法に即したものである。例えば、バイオリンで
は、荒々しく、力強い音を発音させる場合、上記弦長比
を大きくとるため、擦弦点を駒に近づけて演奏する形態
となり、これは上記処理でも同様である。
【0075】弓幅制御 これまでに示した擦弦モデルは、1本の弓で擦弦するも
のであるが、弦と弓との摩擦特性をシミュレートする非
線形部を複数具備させることで、2本以上の弓で擦弦す
るモデルを実現することができる。図29は2本の弓毛
による擦弦モデルの構成を示す図である。この図が図4
に示したものと異なる点は、非線形部8−1,8−2を
具備したことにある。上記構成においては、2本の弓の
間の距離がシフトレジスタの段数や、メモリのアドレス
差で表わされ、この段数を可変制御することによって、
音色を変化させている。これは、言換えれば、弓の幅を
制御していることに他ならない。このような動作にあっ
ては、非線形部8−1,8−2に同じ運弓情報を入力す
ると、運弓エネルギーは非線形部の数だけ増加すること
になる。
【0076】ところで、バイオリンの弓には、たくさん
の毛が張られているため、この非線形部の数が多い程、
より実際の擦弦楽器らしい音を発音させることが可能に
なる。実際には、メモリ等の制約やコスト的な面から多
くの非線形部を具備させることが難しい。そこで、この
ような場合には、弓幅制御を行うシフトレジスタの段数
を乱数で変調すると、この乱数の周波数特性が高い周波
数域まで伸びている時には、多くの弓毛で擦弦される効
果を得ることができ、一方、乱数の周波数特性が低い周
波数域しか持たない時には、音色を変化させる(音色ゆ
らぎを与える)ことができる。
【0077】出力部のフィルタ制御 音源6(図4参照)における線形部ループ内のフィルタ
回路の通過特性を変化させると、合成音の音色も変化さ
せることができるが、発音周波数(音程)に影響を与え
たり、発音が停止したりする。しかしながら、図4に示
す音源6では、出力部のフィルタ特性(通過特性)を制
御することで、発振状態に変化を与えることなく、音色
を変化させることができる。例えば、フィルタ回路11
が1次のディジタルフィルタで構成されている場合に
は、1つの係数を変えることで、その遮断周波数を制御
でき、この係数をフットコントローラの出力で制御すれ
ば、演奏中に音色を自在に変化させることが可能にな
る。なお、これは2次以上のフィルタでも同様である。 線形部ループ内のフィルタ制御 線形部ループ内のフィルタ特性を変えることは、弦の質
量、張力および長さを変えることに相当するため、音色
が変化する。
【0078】e.特殊奏法 ここでは、フラジョレット奏法における倍音モード選択
について説明する。まず、フラジョレット奏法とは、振
動している弦の一部を指で軽く触れ、この接触点を振動
の節とすることで、弦の発音スペクトル(倍音構成)を
変化させる奏法である。このような奏法によれば、弦長
によって決る基音の倍音列で発音させることができる。
図30は、このフラジョレット奏法をモデル化した線形
部の構成を示すブロック図である。図において、30a
〜30dは集中定数回路である。この集中定数回路30
a〜30dは、シフトレジスタで構成される遅延回路
と、フィルタ回路と、直流減衰回路とから構成され、こ
れら各回路の特性を集中定数として扱う。31a,31
bはそれぞれインバータであり、弦振動の固定端反射
(位相反転)をシミュレートする。32a,32bはそ
れぞれ乗算係数がh,1−hの乗算器、33は加算器で
ある。上記構成によれば、集中定数回路30aおよびイ
ンバータ31aによって、弦振動の節が形成され、この
インバータ31aの出力と糸巻側の反射波とを所定の比
率で加算して弦の倍音構成を変化させており、これによ
りフラジョレット奏法がモデリングされる。なお、この
図に示す構成は、回路の線形性から等価的に図31で図
示することができる。
【0079】次に、図32はフラジョレット擦弦モデル
の構成を示すブロック図である。この図において、35
a〜35cは集中定数回路である。この集中定数回路3
5a〜35cは、遅延回路、フィルタ回路、直流減衰回
路の各特性と、固定端反射をシミュレートするインバー
タの特性をも含むものである。これら各集中定数回路3
5a〜35cの遅延量をそれぞれdly1,dly2,
dly3とする。
【0080】このような構成において、乗算器32aの
乗算係数hを0とすると、フラジョレット奏法にはなら
ず、通常の奏法になる。この時、弦長LENGと擦弦点
BPOSを基に、前述したEq12式およびEq13式
によって、dly1,dly2の値を設定できる。この
状態で乗算係数hの値を0<h<1の範囲で制御する
と、フラジョレット・トーンが発音される。そして、d
ly3の設定値に応じて何倍音のフラジョレット・トー
ンになるかが決る。例えば、n倍音のフラジョレット・
トーンを発音させる場合には、次式Eq14の関係でd
ly3を設定すれば良い。すなわち、 dly3 = LENG / n−d3 (Eq14) ここで、d3はフィルタ回路の遅延成分に相当する値で
あり、このnの値をフットコントローラの出力で制御す
ることにより、演奏中のフラジョレットの倍音モードを
変えることができる。なお、こうしたフットコントロー
ラの制御を行うと、同じ鍵盤を押鍵していても音程が変
ってしまう。そこで、次式Eq15に示す計算を行っ
て、弦長LENGを求める。 LENG=fs/(fh/n)−(d1+d2) (Eq15) ここで、fhは所望する発音周波数、fsサンプリング周
波数、d1,d2はそれぞれ集中定数回路35a,35
bの遅延成分である。そして、このEq15式から得た
弦長LENGに基づいて上記Eq14式からdly3を
求めれば、発音音程を一定に保ったまま、倍音モードを
制御することができる。
【0081】(3)ジョイステックを適用した擦弦モデ
ル ジョイステックは制御量を2次元的に扱うことができる
操作子である。ここでは、このジョイステックによるビ
ブラート制御、弓圧・弓速制御について示す。 ビブラート制御 アフタタッチによる制御法と同様に、ジョイステックの
出力に応じてビブラートを制御する。この場合、ジョイ
ステックの2次元移動量にビブラートの深さや、速さを
対応させれば、これらが実時間で自在に制御できるよう
になる。 弓圧・弓速制御 弓圧・弓速を2次元的に制御するので、これらの制御量
を視覚的に把握でき、再現性に富んだ演奏を行うことが
できる。
【0082】(4)フットスイッチを適用した擦弦モデ
ル フットスイッチとは、例えば、ピアノのサステインペダ
ルとして用いられている場合、ダンパアップの状態を指
定するスイッチとなる。ここでは、このような足で操作
されるフットスイッチにより各種演奏方法に対応する擦
弦モデルについて説明する。 トレモロ奏法 トレモロ奏法とは、弓を急速に反復させて同一音の急速
発音をさせたり、または2つの発音を急速に交代させる
奏法である。これは、例えば、単音発音・後着優先のキ
ーアサインを行っている場合に、フットスイッチを押下
して先着優先に変更することでこの奏法が実現される。
以下、図33を参照して、このトレモロ奏法の動作につ
いて説明する。
【0083】まず、最初に押鍵信号が供給されると、押
鍵バッファにその押鍵データが書込まれるが(ステップ
SK1)、発音バッファには、まだデータがないため、
発音バッファに押鍵データが書込まれる(ステップSK
2,SK3)。そして、この押鍵データに対応したキー
スケールデータが音源6に供給され(ステップSK
4)、これにより、エンベロップジェネレータが起動
し、運弓情報に応じた発音が開始される(ステップSK
5)。その後、鍵が離鍵されず、別の鍵が押鍵される
と、発音バッファにデータが保持されているから、ステ
ップSK2の判断結果が「YES」になり、エンベロッ
プジェネレータが再起動されて、前発音と同じ音程の音
が発音される。
【0084】次に、後に押鍵された方の鍵が離鍵される
と、押鍵バッファから当該鍵のデータが削除される(ス
テップSK6)。そして、この削除されたデータは発音
バッファにあるデータではないから、ステップSK7で
の判断結果が「NO」となり、再びエンベロップジェネ
レータが起動され、前発音の音程で発音される。こうし
た動作を繰り返すことで、同一音程のトレモロ奏法が実
現される。次いで、最初に押鍵された鍵が離鍵された時
に、他の鍵が押鍵されなければ、ステップSK8の判断
結果が「NO」となり、発音バッファのデータが削除さ
れ、続いてエンベロップジェネレータをリリース状態と
して、所定時間経過後に発音が停止する(ステップSK
8,SK9)。一方、他の押鍵がある場合には、今度は
当該鍵の音程でトレモロ動作することができる。また、
押鍵鍵盤が複数あった場合には、ステップSK11によ
って優先度評価される。この優先度評価は、後着優先ル
ールにするのが最も演奏形態に馴染み易い。
【0085】ポルタメントのオン/オフ 音源6に対して弦長のデータを供給すれば、発音音程を
変化させることができるが、この弦長を設定する際に、
所定の時定数を有する補間回路を介することで、音程変
化を滑らかにすることが可能になる。この時定数が数1
0msec程度の場合には、目立たないが、数100msecを
越える値にすると、ポルタメントがかかった音程変化が
得られる。また、この補間回路の時定数を例えば、数1
0msecと数100msecとに分け、これを選択できるよう
に構成しておき、フットスイッチによってこれらを選択
すれば、演奏中にこのフットスイッチを操作することに
より自由にポルタメントをかけることができる。さら
に、この時定数をフットコントローラの操作に応じて変
化するように構成すれば、ポルタメントのかかり具合を
制御しながら演奏することも可能になる。
【0086】スラーのオン/オフ 図33に示した動作フローにおいて、エンベロップジェ
ネレータを起動しないようにすると、返し弓でなくスラ
ー奏法として発音するようになる。したがって、エンベ
ロップジェネレータを起動させるか、させないかの切換
えをフットスイッチの操作で行うように構成すれば、ス
ラーで演奏するか、返し弓で演奏するかを選択すること
ができる。
【0087】ピチカートのオン/オフ ピチカートとは、弦を弓で弾く代りに、指ではじく(撥
弦)奏法である。図34は、このピチカート奏法を実現
する音源の構成を示すブロック図である。この図に示す
音源が図4に示すものと異なる点は、非線形部8に並列
に接続される撥弦用の非線形部36と、該非線形部36
の出力と非線形部8の出力とを切換える選択回路37と
を設けたことにある。このような構成によれば、撥弦用
の非線形部36が弦が弾かれた際の弦振動をシミュレー
トし、この状態で擦弦を行うと、擦弦動作から得ること
ができない急俊な立上がりを持つ弦波動を発生する。こ
れにより、ピチカートによる発音となる。
【0088】コルレーニョのオン/オフ コルレーニョとは、弓の木部で擦弦する奏法であるか
ら、弓の毛で擦弦する場合との相違点は摩擦特性の違い
にある。従って、摩擦特性を表わす関数を木と弦との摩
擦特性に置き換えると、コルレーニョ奏法が実現でき
る。ここで、弓と弦との間の摩擦特性と、木と弦との間
の摩擦特性との2つを具備させておき、フットスイッチ
の出力に応じてこれらを切換えることで、通常の奏法と
コルレーニョ奏法との切換えを行うことができる。
【0089】同音移弦 バイオリンなどにおいては、同じ音程の音を異なる弦で
弾くことができるため、同じ音をスラーで弾くことがで
きる。例えば、「バッハ:無伴奏チェロ組曲第6番プレ
リュード」では、チェロの第2弦と第3弦とを交互に弾
くことによりスラーのかかったD音を発音する。このよ
うな奏法は、フットスイッチを用いて対応することがで
きる。これは、フットスイッチが押された場合、現在発
音されている音と同じ音程の鍵が押鍵された時に別の音
源を割当て、何音でも同じ音程の音が発音できるように
する。一方、該スイッチが離されている場合には、図1
9に示した移弦奏法と同様の動作となる。例えば、「バ
ッハ:無伴奏チェロ組曲 第6番プレリュード」におい
て、D音のスラーを演奏する際には、まず、「D」鍵を
押鍵し、その後にフットスイッチを踏み、このD音をサ
ステイン状態にする。そして、「D」鍵を離鍵し、ま
た、同じ鍵を押鍵する。この状態で2つ目の音符まで発
音される。次に、フットスイッチを離し、サステイン状
態を解除する。その後、「D」鍵を離鍵し、再び押鍵す
る。次に、今度はフットスイッチを踏まないで、当該鍵
を離鍵する。これにより、3つ目の音符まで発音され
る。以降、同様な操作を演奏に応じて繰り返すことにな
る。
【0090】(5)スライドボリュームを適用した擦弦
モデル 弓速制御 スライドボリュームを横方向に可動するように配設する
と、実際の運弓動作に似た感覚で操作することができ
る。具体的には、図35に示すように、スライドボリュ
ームSVの位置に応じて発生する出力電圧をA/D変換
によりディジタル量とし、これを弓の位置情報とする。
さらに、この位置情報を微分して運弓速度情報を生成す
る。さらに、この運弓情報に適当なスケーリングを施し
て弓圧データとし、これを音源に供給すれば良い。この
スライドボリュームSVをバイオリンの運弓動作と同じ
感覚で操作できるようにするには、可動範囲の長さを4
0〜80cm程度とするのが望ましい。 弓圧制御 スライドボリュームSVの可動方向を上下方向にする
と、弓圧の制御に相応しい操作になる。この場合、スラ
イドボリュームSVを下側に変位させると、自動的に戻
る構造にすると、より操作性が向上する。
【0091】(6)ポルタメントバーを適用した擦弦モ
デル 弦長制御 ポルタメントバーは、指の押え位置に応じて抵抗値が変
化するものである。図36は、このようなポルタメント
バーPBによる弦長制御の構成を示すブロック図であ
る。このような構成によれば、指の押え位置に応じた信
号が発生し、これに基づいて弦長が制御される。この制
御では、弦長を任意にすることができるので、制御の仕
方によっては、前述したビブラートや、ポルタメントを
掛けたり、平均率にない任意の調律の音程を発音させた
りすることができる。また、ポルタメントバーPBは、
押えていた指を離すと、一定の抵抗値になるため、開放
弦という概念を持った音程制御操作子が簡単に構成でき
る。 音質制御 この場合、スライドボリュームSVと同様に弓速データ
を制御することによって、自由な弓速データを作り、音
質を自由に変化させることができる。また、擦弦点を制
御することも可能であるし、弓幅をも制御することが可
能になる。
【0092】(7)圧力センサを適用した擦弦モデル 例えば、前述したスライドボリュームSVのつまみに圧
力センサを取り付けると、該ボリュームを操作する指の
圧力に対応した弓圧情報を生成することが可能になる。
また、圧力センサをスライドボリューム、またはジョイ
スティックの下面に敷設し、該ボリュームを操作する際
の押圧を弓圧として検出するようにしても良い。
【0093】C.その他の実施例 (1)共鳴系 擦弦楽器における胴の共鳴をモデル化したFIRフィル
タを図37に示す。このような構成によれば、各遅延D
に対応する各減衰係数K0〜knを適当に与えることに
よって所望の共鳴特性を得ることができる。ここで、所
望の共鳴特性とは、実際のバイオリンの駒に加振した際
に得られるインパルス応答特性を近似したものである。
FIRフィルタによる共鳴系は、このインパルス応答を
畳み込み演算により求める処理であると言える。この構
成では、サンプリング周波数が高ければ高いほど、また
はフィルタの次数が高ければ高いほど精度の良い共鳴特
性を得ることができる。ところで、実際の楽器における
共鳴特性を見ると、必ずしもFIRフィルタを図37に
示す構成とする必要はなく、図38に示すような多遅延
素子dely1〜delynとの組み合わせでも十分な
特性が得られる。このような構成にすると、演算素子数
が減少してハードウェア的にも構成し易くなるばかり
か、共鳴特性を制御するパラメータが減少するので、制
御も容易になる。また、IIRフィルタや、オールパス
フィルタを用いることによっても、より複雑な共鳴特性
をシミュレートすることができる。特に、オールパスフ
ィルタを用いた構成では、非調和感の強い共鳴特性も実
現でき、これにより共鳴胴の材質に従った特性をもシミ
ュレートできる。
【0094】(2)横方向波と縦方向波とを考慮した擦
弦モデル これまで説明した擦弦モデルでは、弦の振動波が弓速が
与える横波に着目しており、これが次式Eq16に示す
波動方程式に基づいてモデル化されている。
【数2】 この式Eq16は、外力が働かない場合に成立つ式であ
り、σは弦の線密度、Tは弦の張力、tは時間、xは弦
の長さ方向の変位、uはxに対して垂直な方向の変位で
ある。また、この式は、変位uを弓速方向に取っても、
弓圧方向に取っても成立つ。この式によれば、これら弓
速方向の変位による振動と、弓圧方向の変位による振動
とは全く独立した挙動を示すことになる。従って、運弓
によって弓速方向にのみ変位が与えられると、この方向
の弦振動が発生して、弓圧方向の振動は発生しないこと
になる。厳密には、弓圧方向にも弓圧による変位が加え
られているはずであるが、この弓圧は、弓圧方向の振動
に対して外力として働き、振動を抑えてしまう。このよ
うに、式Eq16に従うと、運弓によって弓速方向だけ
の横波振動が生じる。
【0095】しかしながら、式Eq16は張力Tが一定
の条件の下に成立するため、運弓によって大きな変位を
与えると、この張力Tが変化してしまう。このため、式
Eq16で表わす関係がずれてしまい、弓圧方向にも弦
振動を生じせしめることになる。こうした関係を1次近
似すると、次式Eq17で表わすことができる。 V = ε・u (Eq17) ここで、uは弓速方向の弦の変位、Vは弓圧方向の弦の
変位である。εは張力Tの変化に応じて変位uと変位V
とを対応付ける係数である。なお、こうした1次近似
は、図39に示す擦弦モデルによって実現される。すな
わち、擦弦点における弓と弦との間の摩擦特性を表わす
非線形部は、弓速方向の弦の変位を発生すると共に、こ
の際の張力Tに応じた弓圧方向の弦の変位を発生する。
そして、これらをそれぞれ弓速方向の横波の伝搬特性を
シミュレートする弓速方向線形部と、弓圧方向の横波の
伝搬特性をシミュレートする弓圧方向線形部に供給し、
この結果、より厳密な擦弦モデルが実現される。
【0096】(3)共鳴弦 バイオリンなど擦弦楽器では、複数の弦が張られてお
り、擦弦されない弦は指で押えられていない場合に開放
弦の周波数で共振する。一方、指で押えられた弦はその
長さに従った周波数で、倍音を含み共振する。このよう
な共振現象は胴の共鳴特性とは違った擦弦楽器らしさを
生み出すものである。こうした共鳴弦の特性は、図39
に示す擦弦モデルで実現できる。
【0097】(4)押鍵イベントの前後関係に従ってエ
ンベロップジェネレータを制御これまでに説明した例で
は、押鍵処理毎にエンベロップジェネレータを制御して
発音させていたが、これに替えて、押鍵イベントの前後
関係に応じてエンベローープジェネレータを制御するよ
うにしても良い。例えば、大きなイニシャルタッチで押
鍵された場合に、前発音のリリースを速くする制御や、
押鍵ゲート時間が短かった後の押鍵に対しては、アタッ
クを速くする等の制御を行うことが可能になる。すなわ
ち、演奏曲におけるフレーズの流れを考慮した制御を行
うことが可能になる。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、閉ループ手段内を駆動信号に基づく信号が循環する
ことによって楽音信号が形成されので、実際の擦弦楽器
の発音機構に即した過程によって楽音信号が形成され、
自然楽器に近い、リアリティのある楽音を形成すること
ができる。また、この発明によれば、第1の楽音信号に
関する発音指示に応答して、第1の閉ループ手段に対す
る駆動信号の供給を開始し、第1の楽音信号に関する発
音指示の後の第2の楽音信号に関する発音指示に応答し
て、第1の閉ループ手段に対する駆動信号の供給を停止
するとともに、第2の閉ループ手段に対する駆動信号の
供給を開始し、第2の楽音信号に関する発音指示の後の
第2の楽音信号に関する消音指示に応答して、第2の閉
ループ手段に対する駆動信号の供給を停止するととも
に、第1の閉ループ手段に対する駆動信号の供給を開始
するようにしたので、移弦レガート演奏を簡単な構成で
忠実に再現することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例の概要を示すブロック
図。
【図2】 同実施例における擦弦メカニズムを説明する
ための図。
【図3】 この発明による第1実施例の構成を示すブロ
ック図。
【図4】 同実施例における音源6の構成例を示すブロ
ック図。
【図5】 非線形部8における弓と弦との間の摩擦特性
を示す図。
【図6】 音源6を構成するDSPの動作を説明するた
めの図。
【図7】 この発明による第2実施例の構成を示すブロ
ック図。
【図8】 同実施例におけるMIDIキーコードを説明
するための図。
【図9】 鍵盤操作に応じて弦長制御する場合の動作を
説明するフローチャート。
【図10】 鍵盤操作に応じてビブラート制御する場合
の動作を説明するフローチャート。
【図11】 発音を停止させずにビブラートだけをとめ
る弦長制御を説明するフローチャート。
【図12】 アフタタッチによりビブラートを制御する
他の例を示す図。
【図13】 歪んだ正弦波によって弦長制御する場合の
構成を示すブロック図。
【図14】 歪んだ正弦波の一例を示す図。
【図15】 エンベロップジェネレータによりビブラー
ト動作させる場合の構成例を示すブロック図。
【図16】 この発明による第3実施例の構成を示すブ
ロック図。
【図17】 単音発音で同一弦上のレガート奏法を実現
する場合の動作を説明するフローチャート。
【図18】 単音発音で同一弦上のレガート奏法を実現
する場合の動作を説明するフローチャート。
【図19】 移弦レガートを実現するための構成を示す
ブロック図。
【図20】 移弦レガート動作を説明するフローチャー
ト。
【図21】 単音発音で同一弦上の返し弓動作を説明す
るフローチャート。
【図22】 複音発音させる場合の動作を説明するフロ
ーチャート。
【図23】 複音発音させる場合の動作を説明するフロ
ーチャート。
【図24】 滑らかな制御を行う非線形部8の構成例を
示すブロック図。
【図25】 静止摩擦関数回路23に記憶される静止摩
擦関数を示す図。
【図26】 動摩擦関数回路26に記憶される動摩擦関
数を示す図。
【図27】 静止摩擦関数と動摩擦関数とを合成した合
成非線形関数を示す図。
【図28】 パラメータsmoothを大きくした場合
の合成非線形関数を示す図。
【図29】 2本の弓毛による擦弦モデルの構成例を示
すブロック図。
【図30】 フラジョレット奏法をモデル化した線形部
9の構成例を示すブロック図。
【図31】 図30に示す構成を等価的に示すブロック
図。
【図32】 フラジョレット擦弦モデルの構成例を示す
ブロック図。
【図33】 トレモロ奏法の動作を説明するフローチャ
ート。
【図34】 ピチカート奏法を実現する音源の構成例を
示すブロック図。
【図35】 スライドボリュームSVにより弓速を制御
する場合の構成例を示すブロック図。
【図36】 ポルタメントバーPBにより弦長制御する
場合の構成例を示すブロック図。
【図37】 擦弦楽器における胴の共鳴をモデル化した
FIRフィルタの構成例を示すブロック図。
【図38】 擦弦楽器における胴の共鳴をモデル化した
FIRフィルタの構成例を示すブロック図。
【図39】 横方向波と縦方向波とを考慮した擦弦モデ
ルの構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
4 演奏操作子、5 CPU、6 音源、7 エンベロ
ップジェネレータ8 非線形部、9 線形部

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも遅延手段および減衰手段を閉
    ループ接続し、該閉ループを循環する信号を楽音信号と
    して出力する第1および第2の閉ループ手段と、 駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、前記楽音信号の発音指示および消音指示を行う指示手段
    と、 発音指示に応答して前記駆動信号発生手段から発生され
    た駆動信号を前記閉ループ手段に供給する制御手段であ
    って、前記指示手段による第1の楽音信号に関する発音
    指示に応答して、前記第1の閉ループ手段に対する前記
    駆動信号の供給を開始し、前記第1の楽音信号に関する
    発音指示の後の第2の楽音信号に関する発音指示に応答
    して、前記第1の閉ループ手段に対する前記駆動信号の
    供給を停止するとともに、前記第2の閉ループ手段に対
    する前記駆動信号の供給を開始し、前記第2の楽音信号
    に関する発音指示の後の前記第2の楽音信号に関する消
    音指示に応答して、前記第2の閉ループ手段に対する前
    記駆動信号の供給を停止するとともに、前記第1の閉ル
    ープ手段に対する前記駆動信号の供給を開始する制御手
    段と、 前記第1および第2の 閉ループ手段の各々を循環する信
    号を加算して出力する出力手段とを具備することを特徴
    とする電子楽器。
  2. 【請求項2】 前記駆動信号発生手段は、弓と弦との間
    の摩擦特性を表す関数に基づいて前記駆動信号を発生す
    ることを特徴とする請求項1記載の電子楽器。
  3. 【請求項3】 前記閉ループ手段は、振動の伝搬遅延を
    表わす遅延回路と、振動の通過特性および位相特性を表
    わすフィルタ回路と、固定端の位相反転を表わす反射係
    数回路とから構成されることを特徴とする請求項1記載
    の電子楽器。
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