JP4095475B2 - 楽音制御装置、楽音制御方法及び楽音制御のためのコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、楽音制御装置、楽音制御方法及び楽音制御のためのコンピュータプログラムに関し、特に電子的に発生される音響信号に対して楽器の振動信号を混合して出力するものに関する。
【0002】
【発明の背景】
従来、外見上アコースティックな楽器の中に電子的に楽音信号を発生する装置を組み込んだ電子ピアノなどがある。この楽器の外見はアコースティックであるにもかかわらず、出力される音響信号は電子的である。しかし、このような楽器は、電子的な楽音信号が出力されるのみであり、アコースティックな楽音は出力されない。
【0003】
また、アコースティックなピアノの中に消音機構と電子的に楽音信号を発生する装置を組み込んだものもある。このような消音ピアノは、鍵操作によってハンマーで弦を打つアコースティックな楽音が出力されるときと、電子的楽音信号が出力されるときとが切り換えられる。しかし、このような楽器は、アコースティックな楽音と電子的楽音とのいずれかが出力されるのみであった。
本発明の目的は、電子的楽音に対して実際の演奏による振動の感触を加味して、アコースティックな楽音と同様の効果を供給する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明は、楽器の発音操作に応じて振動する振動体の振動状態を振動信号に変換し、上記楽器の発音操作に基づいて発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号が発生され、この発生された音響信号と上記発生された振動信号とが所定の比率で混合される。
【0005】
これにより、アコースティックな楽音に近い楽音が電子的に発生されることができる。また、アコースティックな楽器の演奏の感触に近い演奏感触が感じられることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
(1)全体回路
図1は電子ピアノなどの楽音制御装置、楽音制御方法を実施する装置または電子楽器の全体回路を示す。キーボード11の各キーは、楽音の発音及び消音を操作/指示するもので、キースキャン回路12によってスキャンされ、キーオン、キーオフを示すデータが検出され、コントローラ2によってプログラム/データ記憶部4に書き込まれる。そして、それまでプログラム/データ記憶部4に記憶されていた各キーのオン、オフの状態を示すデータと比較され、各キーのオンイベント、オフイベントの判別が、コントローラ2によって行われる。
【0007】
このキーボード11の各キー(鍵)には段差タッチスイッチが設けられ、段差スイッチごとに上記スキャンが行われ、各段差スイッチの先頭のオン/オフごとにオンイベント/オフイベントの検出が行われる。この段差スイッチによってタッチの速さと強さを示す上記タッチ情報つまりイニシャルタッチデータとアフタタッチデータとが発生される。
【0008】
このキーボード11は、ローアキーボード、アッパーキーボード、ペダルキーボード等から成っており、それぞれにつき異なる音色の楽音、つまり楽音波形または/及びエンベロープ波形の異なる楽音が発音される。そして、アッパーキーボードについては、1つのキーオンで2音色の楽音を同時に鳴らすことも可能である。なお、キーボード11は、電子弦楽器、電子吹奏(管)楽器、電子打楽器(パッド等)、コンピュータのキーボード等で代用される。
【0009】
パネルスイッチ群13の各スイッチは、パネルスキャン回路14によって、スキャンされる。このスキャンにより、各スイッチのオン、オフを示すデータが検出され、コントローラ2によってプログラム/データ記憶部4に書き込まれる。そして、それまでプログラム/データ記憶部4に記憶されていた各スイッチのオン、オフの状態を示すデータと比較され、各スイッチのオンイベント、オフイベントの判別が、コントローラ2によって行われる。このスイッチにはペダル、ベンダー、コントローラ、ジョイスティックなどのスイッチも含まれる。
【0010】
この発音される楽音は上記キーボード11による手動演奏の楽音または自動演奏情報から再生された自動演奏の楽音である。この手動演奏または自動演奏の各楽音はミディインターフェース15からも送られてくる。
【0011】
ミディインターフェース15は、外部接続された電子楽器との間で楽音データの送受を行うためのインターフェイスである。この楽音データはMIDI(ミュージカルインスツルメントデジタルインタフェース)規格のもので、この楽音データに基づいた発音も行われる。
【0012】
上記キーボード11またはミディインターフェース15には、自動演奏装置も含まれる。これらキーボード11、パネルスイッチ群13及びミディインターフェース15から発生された演奏情報(楽音発生情報)は、楽音を発生させるための情報である。キーボード11の手動演奏情報は自動演奏情報としてプログラム/データ記憶部4に書き込まれ記憶される。このミディインターフェース15を通じて、他の機器から自動演奏情報が送られてきたり、プログラム/データ記憶部4内の自動演奏情報が他の機器へ送られたりする。
【0013】
上記演奏情報(楽音発生情報)は、音楽的ファクタ(因子)情報であり、音高(音域)情報(音高決定因子)、発音時間情報、演奏分野情報、発音数情報などである。発音時間情報は楽音の発音開始からの経過時間を示す。演奏分野情報は、演奏パート情報、楽音パート情報、楽器パート情報等を示し、例えばメロディ、伴奏、コード、ベース、リズム、MIDI等に対応し、または上鍵盤、下鍵盤、足鍵盤、ソロ鍵盤、MIDI等に対応している。
【0014】
上記音高情報はキーナンバデータKNとして取り込まれる。このキーナンバデータKNはオクターブデータ(音域データ)と音名データとからなる。演奏分野情報は、パートナンバデータPNとして取り込まれ、このパートナンバデータPNは各演奏エリアを識別するデータであって、発音操作された楽音がどの演奏エリアからのものかによって設定される。
【0015】
発音時間情報は、トーンタイムデータTMとして取り込まれ、後述のフローチャートによって求められたり、キーオンイベントからのタイムカウントデータに基づいたり、またはエンベロープフェーズで代用される。この発音時間情報は特願平6−219324号明細書及び図面に発音開始からの経過時間情報として詳しく示される。
【0016】
発音数情報(同時発音数データSS)は同時に発音している楽音の数を示し、例えばアサインメントメモリ40のオン/オフデータが「1」の楽音の数に基づき、後述するフローチャートの処理によって求められる。
【0017】
さらに、上記パネルスイッチ群13には各種スイッチが設けられ、この各種スイッチは音色タブレット、エフェクトスイッチ、リズムスイッチ、ペダル、ホイール、レバー、ダイヤル、ハンドル、タッチスイッチ等であって楽器用のものである。このペダルはダンパペダル、サスティンペダル、ミュートペダル、ソフトペダル等である。
【0018】
この各種スイッチより、楽音制御情報が発生され、この楽音制御情報は発生された楽音を制御する情報であって音楽的ファクタ(因子)情報であり、音色情報(音色決定因子)、タッチ情報(発音指示操作の速さ/強さ)、発音数情報、エフェクト情報、リズム情報、音像(ステレオ)情報、クオンタイズ情報、変調情報、テンポ情報、ラウドネス(音量)情報、エンベロープ情報等である。これら音楽的ファクタ情報も上記演奏情報(楽音情報)に合体され、上記各種スイッチより入力されるほか、上記自動演奏情報に合体され、上記インターフェイスで送受される演奏情報に合体される。
【0019】
上記音色情報は、鍵盤楽器(ピアノ等)、管楽器(フルート等)、弦楽器(バイオリン等)、打楽器(ドラム等)の楽器(発音媒体/発音手段)の種類等に対応しており、トーンナンバデータTNとして取り込まれる。上記エンベロープ情報は、上述のエンベロープスピードES、エンベロープレベルEL、エンベロープタイムET、エンベロープフェーズEFなどである。
【0020】
上記ラウドネス(音量)情報はラウドネスデータLNとして取り込まれ、各楽音の大きさを表す。このラウドネスデータLNは、上記タッチデータTC、音量データ等に基づいて決定され、場合によって発音数情報などによっても決定される。
【0021】
このような音楽的ファクタ情報は、コントローラ2へ送られ、後述の各種信号、データ、パラメータの切り換えが行われ、楽音の内容が決定される。上記演奏情報(楽音発生情報)及び楽音制御情報はコントローラ2で処理され、各種データが楽音信号発生部5へ送られ、楽音波形信号MWが発生される。コントローラ2はCPU、ROM及びRAMなどからなっている。
【0022】
プログラム/データ記憶部4(内部記憶媒体/手段)には、自動演奏情報が記憶されている。この自動演奏情報の中には発音開始タイミング情報とエンベロープ種類情報とが記憶されている。このエンベロープ種類情報に基づいて発音開始タイミング情報が変更制御される。
【0023】
プログラム/データ記憶部4(内部記憶媒体/手段)はROMまたは書き込み可能なRAM、フラッシュメモリまたはEEPROM等の記憶装置からなり、光ディスクまたは磁気ディスク等の情報記憶部7(外部記憶媒体/手段)に記憶されるコンピュータのプログラムが書き写され記憶される(インストール/転送される)。またプログラム/データ記憶部4には外部の電子楽器またはコンピュータから上記ミディインターフェース15または送受信装置を介して送信されるプログラムも記憶される(インストール/転送される)。このプログラムの記憶媒体は通信媒体も含む。
【0024】
このプログラムは、コントローラ(CPU)2が各種処理を行うための後述する各フローチャートに応じた楽音制御のためのプログラムである。このプログラム/データ記憶部4には、上述した音楽的ファクタ情報、上述した各種データ及びその他の各種データも記憶される。この各種データには時分割処理に必要なデータや時分割チャンネルへの割当のためデータ等も含まれる。
【0025】
楽音信号発生部5では、各楽音ごとに楽音波形信号MWが繰り返し発生されサウンドシステム6から発音出力される。上記音高情報に応じて、この繰り返し発生される楽音波形信号MWの発生速度は変化される。また上記音色情報などの音楽的ファクタ情報に応じて、この繰り返し発生される楽音波形信号MWの波形形状は切り換えられる。この楽音信号発生部5は時分割処理によって複数の楽音信号TSが同時に生成されポリフォニックに発音される。
【0026】
タイミング発生部3からは、楽音生成装置の全回路の同期を取るためのタイミングコントロール信号が各回路に出力される。このタイミングコントロール信号は、各周期のクロック信号のほか、これらのクロック信号を論理積または論理和した信号、時分割処理のチャンネル分割時間の周期を持つチャンネルクロック信号CHφ、この4倍の周波数を持つチャンネルクロック信号4CHφ、チャンネルナンバデータCHNo、この4倍インクリメント速度を持つチャンネルナンバデータ4CHNo、タイムカウントデータTIなどを含む。
【0027】
このタイムカウントデータTIは、絶対時間つまり時間の経過を示し、このタイムカウントデータTIのオーバフローリセットから次のオーバフローリセットまでの周期は、各楽音のうち最も長い発音時間より長く、場合によって数倍に設定される。
【0028】
(2)楽音信号発生部5
図2は上記楽音信号発生部5を示す。周波数ナンバ累算器42には、アサインメントメモリ40から読み出された各チャンネルのキーナンバデータKN及びトーンナンバデータTN等の音楽的ファクタが送られ、キーナンバデータKNに応じた周波数ナンバデータFNが時分割に累算され、この累算された累算周波数ナンバデータFNAは楽音波形メモリ43へ読み出しアドレスデータとして時分割に供給される。
【0029】
上記楽音波形メモリ43には、複数の楽音波形データMWが記憶されており、各楽音波形データMWは上記累算周波数ナンバデータFNAに基づいて時分割に読み出される。各楽音波形データMWの選択は、上記トーンナンバデータTN等の音楽的ファクタまたはパネルスイッチ群13での操作者による選択操作に基づいて行われる。
【0030】
このトーンナンバデータTN等の音楽的ファクタは、アサインメントメモリ40から読み出され、上記周波数ナンバ累算器42へ送られ、バンクデータBKに変換され、上記楽音波形メモリ43へ上位読み出しアドレスデータとして供給される。下位読み出しアドレスデータは、上記累算周波数ナンバデータFNAである。
【0031】
この楽音波形データMWは、ピアノの高音、中音及び低音などの音域に応じた楽音波形のサンプリングデータである。この楽音波形データMWは、他にピアノ、バイオリン、フルート、シンバル等の楽器音の波形に対応したり、サイン波、三角波、短形波等の波形やこれらの加算合成波形に対応したり、高調波成分の含有率やノイズ音成分の含有率等、特定成分の含有率の大きさに対応したり、特定フォルマントに応じたスペクトル成分グループに対応したり、発音開始から発音終了までの全波形の種類に対応したり、タッチデータTCまたは/及びキースケーリングデータKSに対応したりしてもよい。
【0032】
上記サイン波、三角波、短形波などの単純形状波形やこれらの加算合成波形の楽音波形データMWについては、高速演算処理によって発生させる事も可能である。むろん複雑な波形についても、高速演算処理によって発生させる事も可能である。
【0033】
エンベロープジェネレータ44には、アサインメントメモリ40から読み出された各チャンネルの上記トーンナンバデータTNなどの音楽的ファクタが送られ、このトーンナンバデータTNなどに応じたエンベロープ波形データENが時分割に発生される。このエンベロープ波形データENは、乗算器45で上記楽音波形メモリ43から読み出された楽音波形データMWに乗算され、上記サウンドシステム6へ送られて発音出力される。
【0034】
(3)音楽的ファクタテーブル10
図3はプログラム/データ記憶部4内の音楽的ファクタテーブル10を示す。この音楽的ファクタテーブル10には、種々の音楽的ファクタごとに、混合比データMR、分配比データDR、音像データSI、エンベロープスピードデータES、エンベロープレベルデータELなどが異なる値で記憶される。
【0035】
入力される音楽的ファクタに応じたこれらのデータが音楽的ファクタテーブル10から読み出され、アサインメントメモリ40に書き込まれる。したがって、混合比データMR、分配比データDR、音像データSI、エンベロープスピードデータES、エンベロープレベルデータELなどは、音楽的ファクタに応じて変化する。
【0036】
この書き込みは、各チャンネルの楽音ごとに行われ、各楽音の音楽的ファクタに基づいて、対応する混合比データMR、分配比データDR、音像データSI、エンベロープスピードデータES、エンベロープレベルデータELなどが読み出される。この音楽的ファクタは、タッチデータTC、トーンナンバデータTN(音色)、キーナンバデータKN(音高)、パートナンバデータPN、トーンタイムデータTM(発音経過時間)、同時発音数データSSなどである。
【0037】
上記音像データSIまたは混合比データMRは、図5の4つのサウンドシステムそれぞれに対応するとともに、楽音信号(音響信号)TS及び振動信号OSに対応して、8つの音像データSIまたは混合比データMRが一組として記憶され、この一組の8つの音像データSIまたは混合比データMRが一括して読み出される。分配比データDRも、図5の4つのサウンドシステムそれぞれに対応して、4つの分配比データDRが一組として記憶され、この一組の4つの分配比データDRが一括して読み出される。
【0038】
音像データSIは、複数のステレオチャンネル(サウンドシステム)によって形成される音像の位置を示す。これら音像データSI、混合比データMR及び分配比データDRは、後述する図5のサウンドシステム6へ送られる。この音楽的ファクタテーブル10は省略可能である。これにより、音像データSI、混合比データMR、分配比データDRは音楽的ファクタによって変化せず固定される。
【0039】
(4)アサインメントメモリ40
図4は、楽音信号発生部5のアサインメントメモリ40を示す。アサインメントメモリ40には、複数(16、32または64等)のチャンネルメモリエリアが形成されており、上記楽音信号発生部5に形成された複数の楽音生成チャンネルに割り当てられた楽音信号TSに関するデータが記憶される。
【0040】
これら各チャンネルメモリエリアには、チャンネルが割当られた各楽音信号TSの周波数ナンバデータFN、キーナンバデータKN、エンベロープデータなどが記憶される。なお、トーンナンバデータTN、タッチデータTC、トーンタイムデータTM、パートナンバデータPN、上記オン/オフデータ等も記憶される。
【0041】
オン/オフデータは割り当られ発音する楽音(楽音信号TS)がキーオン中または発音中(“1”)かキーオフ中または消音中(“0”)かを示す。周波数ナンバデータFNは割り当られ発音する楽音の周波数値を示し、上記キーナンバデータKNから変換される。上記プログラム/データ記憶部4には、この変換のためのテーブル(デコーダ)が設けられている。
【0042】
上記エンベロープデータは、各エンベロープフェーズのエンベロープスピードデータES及びエンベロープレベルデータELからなっている。エンベロープスピードデータESはエンベロープのデジタル演算1周期当たりの演算のステップ値を示す。
【0043】
エンベロープレベルデータELは各フェーズのエンベロープ演算の到達目標値を示す。後述するフェーズカウンタ50からのカウント値はエンベロープフェーズデータEFとしてこのアサインメントメモリ40に記憶される。これらエンベロープデータは上記トーンナンバデータTNなどの音楽的ファクタまたはパネルスイッチ群13の操作者による選択操作に基づいてプログラム/データ記憶部4から読み出される。
【0044】
キーナンバデータKNは割り当られ発音する楽音の音高(周波数)を示し、上記音高情報に応じて決定される。このキーナンバデータKNは、オンイベントがあって当該楽音がチャンネル割り当てされるたびに、キーナンバデータKNがアサインメントメモリ40の該当チャンネルメモリエリアに記憶され、オフイベントのたびに対応するキーナンバデータKNは消去される。キーナンバデータKNの上位データは音域またはオクターブを示し、下位データは音名を示す。このキーナンバデータKNは省略可能である。
【0045】
トーンナンバデータTNは、割り当てられ発音する楽音の音色を示し、上記音色情報に応じて決定される。このトーンナンバデータTNが異なれば音色も異なり、この楽音の楽音波形も異なる。タッチデータTCは、発音操作の速さまたは強さを示し、上記タッチ情報に応じて決定される。パートナンバデータPNは、上述したように各演奏エリアを示し、発音操作された楽音がどの演奏エリアからのものかによって設定される。トーンタイムデータTMは、キーオンイベントからの経過時間を示す。
【0046】
混合比データMRは、楽音信号(音響信号)TSつまり楽音波形データMWまたはエンベロープ波形データENと振動信号OSとの混合比率を示し、この混合比データMRによって、振動信号OSの振幅(大きさ)と楽音信号(音響信号)TSの振幅(大きさ)とに差が付加される。また、各チャンネルの混合比データMRの値は異なっているので、複数の振動信号OSまたは/及び上記音響信号のそれぞれの振幅(大きさ)に差が付加される。
【0047】
分配比データDRは、楽音信号TSと振動信号OSとが4つのステレオチャンネルそれぞれに分配される比率を示し、この分配比率データDRによって、振動信号OS及び楽音信号(音響信号)TSの各チャンネルに差が付加される。また、各チャンネルの分配比データDRの値は異なっているので、各チャンネルの音像は異なる。
【0048】
音像データSIは、左右の楽音信号(音響信号)TS、左右の振動信号OSまたは/及び楽音信号(音響信号)TSと振動信号OSとの位相(時間)の差及び振幅(大きさ)の差を示す。この音像データSIの値の大きさによって、楽音信号(音響信号)TSの音像、振動信号OSの音像、楽音信号(音響信号)TSと振動信号OSとの間の音像関係がそれぞれ変化する。
【0049】
この音像データSIは「0」より大きいプラス値であり、音像データSIが「1」より大きければ、一方の信号の振幅が他方の信号の振幅より大きくなり、音像データSIが「1」より小さければ、一方の信号の振幅が他方の信号の振幅/大きさより小さくなる。
【0050】
また、音像データSIが「0」であれば位相(時間)の差がなく、音像データSIが「0」より大きければ、一方の信号の位相(時間)が他方の信号の位相(時間)より遅れる。この音像データSIは、4つの4つのサウンドシステムそれぞれに対応するとともに、楽音信号(音響信号)TS及び振動信号OSに対応して、8つの音像データSIが各チャンネルごとに記憶される。
【0051】
これら各チャンネルメモリエリアの各データは、オンタイミング及び/又はオフタイミングに書き込まれ、各チャンネルタイミングごとに書き換えられたり、読み出されたりして、上記楽音信号発生部5で処理される。このアサインメントメモリ40は、楽音信号発生部5の中ではなく、プログラム/データ記憶部4またはコントローラ2の中に設けてもよい。
【0052】
上記時分割処理によって形成されるチャンネル、つまり複数の楽音発生システムへの各楽音の割り当て方法またはトランケート方法は、例えば特願平1−42298号、特願平1−305818号、特願平1−312175号、特願平2−208917号、特願平2−409577号、特願平2−409578号に示される。
【0053】
(5)サウンドシステム6
図5は上記サウンドシステム6を示す。上記楽音信号発生部5からの各チャンネルの楽音信号TSは、ディレイ回路21LA、21LB、21RA、21RBでそれぞれ音像データSIに応じてパラレルにディレイされて位相が制御され、乗算器22LA、22LB、22RA、22RBで音像データSI及び混合比データMRが乗算されて振幅が制御される。
【0054】
また、振動信号発生回路20からの各チャンネルの振動信号OSは、ディレイ回路23LA、23LB、23RA、23RBでそれぞれ音像データSIに応じてディレイされて位相が制御され、乗算器24LA、24LB、24RA、24RBで音像データSI及び混合比データMRが乗算されて振幅が制御される。
【0055】
こうして、音像データSIに応じて、4つのステレオチャンネルの楽音信号(音響信号)TS、4つのステレオチャンネルの振動信号OSまたは/及び楽音信号TSと振動信号OSとの位相(時間)の差が制御され決定される。したがって、振動信号OSと楽音信号TS(音響信号)とは異なるサウンドシステムに供給され、これら振動信号OSの振幅または位相と楽音信号TSの振幅または位相とに差が付加される。
【0056】
また、発生された音像データSIに応じて、4つのステレオチャンネルに分配される複数の振動信号OSまたは/及び上記楽音信号TSのそれぞれの振幅または位相に差が付加される。さらに、振動信号OSの振幅または位相と上記楽音信号TSの振幅または位相とに差が付加される。
【0057】
これら各チャンネルの楽音信号TSと振動信号OSとは加算器25LA、25LB、25RA、25RBで加算され合成される。上記乗算器22LA、22LB、22RA、22RBまたは24LA、24LB、24RA、24RBにはアサインメントメモリ40から時分割に読み出された混合比データMRまたは音像データSIが送られる。
【0058】
これにより、振動信号OSが対応する楽音信号(音響信号)TSすなわち楽音波形データMWまたはエンベロープデータENだけに所定比率で混合合成されるし、この混合合成は、時分割に生成される複数の楽音信号TSに対してチャンネル同期がとられて混合合成される。
【0059】
また、振動信号OS及び楽音信号TSが4つのステレオチャンネルに所定比率で分配されるし、この分配は、時分割に生成される複数の楽音信号TS及び振動信号OSに対してチャンネル同期がとられて分配される。さらに、この音像データSIの値の大きさによって、楽音信号(音響信号)TSの音像、振動信号OSの音像、楽音信号TSと振動信号OSとの間の音像関係がそれぞれ決定される。
【0060】
加算器25LA、25LB、25RA、25RBからの楽音信号TS及び振動信号OSは、乗算器26LA、26LB、26RA、26RBで分配比データDRが乗算される。これにより、楽音信号TS及び振動信号OSは、分配比データDRで決定された所定の分配比率で4つのステレオチャンネルつまり複数のサウンドシステムに分配される。
【0061】
乗算器26LA、26LB、26RA、26RBからの楽音信号TS及び振動信号OSは、累算回路27LA、27LB、27RA、27RBで、各ステレオチャンネルごとに累算され、D−A変換器28LA、28LB、28RA、28RBでアナログ信号に変換され、アンプ29LA、29LB、29RA、29RBで振幅制御または増幅され、スピーカー30LA、30LB、30RA、30RBから発音される。
【0062】
このスピーカー30LA、30LB、30RA、30RBは、電子楽器本体の左右及び手前/奥に配置される。これにより、この4つのスピーカー30LA、30LB、30RA、30RBから発音される音響によって、楽音信号TS及び振動信号OSそれぞれに音像が形成される。この音像の位置は各チャンネルごとに異なる。しかも、楽音信号TSの音像の位置と振動信号OSの音像の位置も異なる。このスピーカー30LA、30LB、30RA、30RBは、左右及び上下、左右及び前後に配置されてもよいし、ヘッドホンに組み込まれてもよい。
【0063】
なお、上記乗算器22LA、22LB、22RA、22RBまたは24LA、24LB、24RA、24RBまたは26LA、26LB、26RA、26RBの一部または全部は省略されてもよい。また乗算器22LA、22LB、22RA、22RBまたは24LA、24LB、24RA、24RBに供給される音像データSIまたは混合比データMRの一方は省略されてもよい。
【0064】
これにより、楽音信号TSと振動信号OSとの混合比率または分配比率は固定され、または位相制御だけによって音像形成がされる。さらに、ディレイ回路21LA、21LB、21RA、21RBを省略してもよい。これにより、音量制御だけによって音像が形成される、または音像も形成されない。
【0065】
(6)振動信号発生回路20
図6は上記振動信号発生回路20を示す。後述する複数の振動体60は上記キー操作によって振動され、この各振動体60の中または近傍には振動センサ61が設けられ、この振動センサ61では、上記振動体60の振動状態がアナログの上記振動信号OSに変換される。この振動信号OSは、上記キーの発音/消音操作の速さまたは強さに応じている。
【0066】
このアナログの振動信号OSは、アナログデータセレクタ62でいずれか1つの振動信号OSが選択され、A−D変換器63でデジタルの振動信号OSに変換される。この振動信号OSは、加算器64及び乗算器65を経て、上記ディレイ回路23LA、23LB、23RA、23RBにパラレルに送られる。また、乗算器65の出力は乗算器66を経て上記加算器64に帰還される。
【0067】
上記アサインメントメモリ40から時分割に読み出されるキーナンバデータKN(音高)は、上記アナログデータセレクタ62にセレクト切換信号として送られる。これにより、各キー(鍵)に対応して設けられた複数の振動体60及び振動センサ61からの複数の振動信号OSがパラレルに送られてきても、対応する発音キーの割り当てチャンネルのタイミングで、この発音キーに対応する振動信号OSのみがとりこまれる。
【0068】
上記加算器64、乗算器65、66によって、振動信号OSに残響(リバーブ、エコー)が付加される。上記乗算器65、66には乗算データが送られ、振動信号OSに対する残響信号の大きさが制御される。この乗算データは、上記タッチデータTC、トーンナンバデータTN、キーナンバデータKN、パートナンバデータPN、トーンタイムデータTMなどの音楽的ファクタから変換される。
【0069】
これにより、音楽的ファクタに応じて振動信号OSの残響の大きさが制御される。このような加算器64、乗算器65、66の残響付加回路は、楽音信号発生部5の出力側に設けられ、上記楽音信号TSの残響が付加されてもよい。
【0070】
なお、振動信号回路20とディレイ回路23LA、23LB、23RA、23RBとの各間に乗算器が設けられてもよい。この乗算器にはアサインメントメモリ40から時分割に読み出された混合比データMRまたは分配比データDRが送られる。これにより、振動信号OSが対応する楽音信号(音響信号)TSだけに所定比率で混合合成されるし、この混合合成は、時分割に生成される複数の楽音信号TSに対してチャンネル同期がとられて混合合成される。
【0071】
上記図3の音楽的ファクタテーブル10に示すように、混合比データMR、分配比データDR及び音像データSIは、タッチデータTCなどの音楽的ファクタに応じて変化する。したがって、弱打または強打のタッチによって、楽音信号TS及び振動信号OSの音像は移動する。
【0072】
例えば、タッチが強いまたは速ければ、振動信号OSまたは楽音信号TSの音像が奥へ移動する。この場合、乗算器26LA、26RAへの分配比データDRが大きくなる、またはディレイ回路21LA、23LA、21RA、23RAへの音像データSIが小さくなる。
【0073】
さらに、タッチが弱いまたは遅ければ、振動信号OSまたは楽音信号TSの音像が前へ移動する。この場合、乗算器26LB、26RBへの分配比データDRが大きくなる。またはディレイ回路21LB、23LB、21RB、23RBへの音像データSIが小さくなる。また、楽音信号TSの音像と振動信号OSの音像とが別々に移動され得る。
【0074】
この場合、各乗算器22LA、22LB、22RA、22RB、24LA、24LB、24RA、24RBへの音像データSIまたは混合比データMRが個別に変化される。これにより、タッチ等に応じて楽音信号TSの音像と振動信号OSの音像とを近づけたり遠ざけたりして、タッチによって複雑に音像が変化することができる。
【0075】
なお、上記乗算器22LA、22RAに供給される音像データSI及び混合比データMRの値は「0」とされて、スピーカー30LA、30RAで振動信号OSのみが発音され、上記乗算器24LB、24RBに供給される音像データSI及び混合比データMRの値は「0」とされて、スピーカー30LB、30RBで楽音信号TSのみが発音されてもよい。これにより、手前のスピーカー30LB、30RBから楽音信号TSが聞こえ、奥のスピーカー30LA、30RAから振動信号OSが聞こえる。
【0076】
また、上記乗算器22LB、22RBに供給される音像データSI及び混合比データMRの値は「0」とされて、スピーカー30LB、30RBで振動信号OSのみが発音され、上記乗算器24LA、24RAに供給される音像データSI及び混合比データMRの値は「0」とされて、スピーカー30LA、30RAで楽音信号TSのみが発音されてもよい。これにより、手前のスピーカー30LB、30RBから振動信号OSが聞こえ、奥のスピーカー30LA、30RAから楽音信号TSが聞こえる。
【0077】
(7)ディレイ回路21、23
図7は上記ディレイ回路21LA、21LB、21RA、21RB、23LA、23LB、23RA、23RBの1つを示す。上記楽音信号TSまたは振動信号OSは、ディレイ素子70に入力されて順次シフトされて送られる。このディレイ素子70はCCD(チャージカップルドデバイス)などからなり、印加されるクロック信号φによって、入力された楽音信号TSまたは振動信号OSは各素子にわたって順次シフトされる。このクロック信号φの周波数は、楽音波形信号MWのサンプリング周波数と同じまたは整数倍若しくは整数分の1である。
【0078】
このディレイ素子70の各素子の出力はデータセレクタ71を介していずれかが選択されて上記乗算器22LA、22LB、22RA、22RBまたは24LA、24LB、24RA、24RBに送られる。チャンネルナンバデータCHNoはシフタ73で上記音像データSIによってビットシフトされ、ラッチ72を介して、このデータセレクタ71に供給される。
【0079】
この音像データSIは、上記プログラム/データ記憶部4内の音楽的ファクタテーブル10に記憶され、タッチデータTCなどの音楽的ファクタに応じた音像データSIがコントローラ2によって読み出され、上記ラッチ72にストアされる。
【0080】
上記ディレイ素子70には各チャンネルの楽音信号TSまたは振動信号OSが周期的に繰り返し書き込まれている。上記チャンネルナンバデータCHNoがセレクト信号としてデータセレクタ71に送られるので、この周期的に書き込まれている各チャンネルの楽音信号TSまたは振動信号OSのうち、対応するチャンネルの楽音信号TSまたは振動信号OSのみが選択される。また、チャンネルナンバデータCHNoが音像データSIに応じてビットシフトされるので、音像データSIに応じたディレイ位置の楽音信号TSまたは振動信号OSデータが選択される。
【0081】
(8)振動体60及び振動センサ61
図8及び図9は上記振動体60並びに振動センサ61及びキーボード(鍵盤)11を示す。棚板101の上に設けられた複数の支点102の各上には鍵(白鍵または黒鍵)103が傾動可能に支持されている。この鍵103の奥上面には突き上げ部104が突設されている。
【0082】
この突き上げ部104の上には、疑似ハンマー105が揺動可能に支持されている。この疑似ハンマー105はハンマーアーム106とハンマーウエイト107とからなっている。ハンマーアーム106は棒状であり、支点108に対して揺動可能となっており、このハンマーアーム106の先にハンマーウエイト107が取り付けられている。
【0083】
鍵103を操作すると、突き上げ部104によって疑似ハンマー105が突き上げられる。この場合、疑似ハンマー105の先のハンマーウエイト107は重く負荷があるので、疑似ハンマー105の構造が本当のハンマーより簡単でも、本当のハンマーと同様のキータッチが鍵操作によって得られる。
【0084】
この疑似ハンマー105の上には、回動軸110が設けられ、この回動軸110に対して1枚の支え板109が斜めに固定されている。この支え板109の先端下面には複数の上記振動体60が付けられている。この振動体60には、上記突き上げられた疑似ハンマー105のハンマーアーム106の上面が当接する。
【0085】
この振動体60の中には振動センサ61が設けられ、この振動センサ61では、上記振動体60の振動状態がアナログの上記振動信号OSに変換され、上記鍵103のタッチつまり発音操作の速さまたは強さが検出される。したがって、鍵103、疑似ハンマー105(ハンマー)の動きの速さまたは強さに応じた振動信号OSが出力される。
【0086】
図9に示すように、この振動体60は、2つの鍵103につき1つずつ設けられているので、発音操作を行う2つの鍵103(発音操作手段)に共通して、振動体60は1つ設けられている。これは隣り合う鍵103が同時に操作されることは少なく、かりに同時に操作されてもこの隣り合う鍵103のタッチはほぼ同じであることが多い。よって、振動体60の数が鍵103の数より少なくても支障はない。
【0087】
なお、キーボード11がアッパーキーボードとローアキーボードとフットキーボードに別れていて各キーボードの音色が異なっていることもある。したがって鍵103は音高または音色に応じて複数設けられている。むろん、1つの鍵103に対して1つの振動体60が設けられても良い。
【0088】
(9)ペダル120
図10は電子楽器のペダル120及び振動体60及び振動センサ61を示す。ペダル120は種々のペダル、例えばダンパペダルを模擬している。このペダル120のオン/オフは、差動トランスなどの作動センサ121によって検出される。
【0089】
この作動センサ121によって検出されたペダルオン信号は、プランジャ122に伝えられ、プランジャ122によって上記支え板109が引き下げられる。これにより、振動体60が疑似ハンマー105に近づきまたは接触し、同じキータッチでも、振動体60により強い力が加わる。なお、鍵103が操作されるときにはプランジャ122に解放信号が送られ、上記振動体60の近接または接触は瞬間的に解除され、疑似ハンマー105が振動体に60に当たるのが許容される。
【0090】
よって、上記振動体60に連結されている他の振動体60にも振動が伝わり、他の振動体60からも振動信号OSが取り込まれるし、疑似ハンマー105が当たった振動体60からの振動信号OSもより大きくなって、振動が継続して余韻が残る。こうして、上記電子楽器に備えられたペダル120の操作によって、上記振動体60は、振動が継続して余韻が残る状態と、振動が継続せず余韻が残らない状態とが切り換えられ、簡単な構造で振動信号または音響信号に余韻が残るダンパペダルの効果が得られる。
【0091】
この場合、図6の振動信号回路20の全振動センサ61からの全振動信号OSが加算器(図示せず)に送られ、全振動信号OSが加算合成されて、上記A−D変換器63へ送られる。そして、加算器の入力と上記データセレクタ62の入力とに別のデータセレクタが設けられ、このデータセレクタはペダル120の操作に応じて切り換えられる。これにより、ペダル120を押すと、全鍵103の全振動信号OSが出力される。このとき、演奏された鍵103に応じた楽音信号TSだけが出力される。
【0092】
なお、全ての振動体60を繋いで接触する連結棒が、ペダル120の操作によって、全ての振動体60の表面(前)にわたって接触されてもよい。これによっても、1つの鍵103が操作されても全ての振動体60から振動信号OSが取り込まれる。このように、ペダル10はアコースティック鍵盤楽器のダンパペダルの働きを有する。しかも、支え板109が引き下げられるだけなので、ダンパ機構は非常に簡単になる。
【0093】
(10)振動体60
図11及び図12は上記振動体60の詳しい構成を示す。この振動体60は強打用振動体131と弱打用振動体132とからなり、これら強打用振動体131と弱打用振動体132とは支え板109に隣り合って配置されている。
【0094】
図11に示すように、弱打用振動体132は強打用振動体131より非常に軟らかくて厚く、鍵103が弱く打たれたとき、例えばピアニッシモからメゾピアノまでの強さでは、弱打用振動体132のみが撓み、この弱打用振動体132内の振動センサ61からのみ振動信号OSが発生される。
【0095】
図12に示すように、鍵103が強く打たれたとき、例えばミゾフォルテからフォルテッシモまでの強さでは、弱打用振動体132のみならず強打用振動体131までが撓み、この強打用振動体132内の振動センサ61からも振動信号OSが発生される。
【0096】
弱打用振動体132内の振動センサ61と強打用振動体131内の振動センサ61とは感度/性能が異なっており、弱打の鈍い衝撃振動と強打の鋭い衝撃振動とが最適の状態で振動信号OSに変換される。例えば、弱打用振動体132に大きな強打が与えられると、振動信号OSが大きくなりすぎてしまい、振動信号OSの波形を正確に変換できず、高調波成分が変化してしまうが、これを解消できる。
【0097】
また、強打用振動体131に小さな弱打が与えられると、振動信号OSが小さくなりすぎてしまい、振動信号OSの波形を正確に変換できず、波形の分解能が低下してしまうが、これを解消できる。これにより、強打のときも弱打のときも振動信号OSの音像を明確につくることができる。
【0098】
以上のように、上記振動体60、振動センサ61(振動変換手段)は複数種類設けられ、上記音楽的ファクタのタッチの大きさが検出され、この検出結果に応じて、上記振動される振動体60、振動センサ61(振動変換手段)が切り換えられる。
【0099】
また、撓み量が異なる振動体60が複数種類設けられ、発音操作のタッチが小さいとき、撓み量の大きい弱打用振動体132が振動され、発音操作のタッチが大きいとき、撓み量の小さい強打用振動体131が振動される。
【0100】
なお、強打用振動体131より先に弱打用振動体132を設けたり、弱打用振動体132と強打用振動体131とを並行して設けたり、弱打用振動体132及び強打用振動体131を疑似ハンマー105側に設けたりしてもよく、弱打用振動体132と強打用振動体131との配置はどのようなものでもよい。
【0101】
上記弱打用振動体132の振動センサ61からの信号は、アナログゲートを通って上記データセレクタ62へ送られる。このアナログゲートには、強打用振動体131からの信号がゲート開閉信号として送られる。これにより、強打用振動体131が打たれると、弱打用振動体132からの振動信号OSが遮断され、強打用振動体131からの振動信号OSのみがデータセレクタ62へ送られる。
【0102】
(11)振動信号OS
図13は上記振動信号OSを示す。図13の(S)は振動センサ61で検出された振動信号OSを示す。上記ディレイ回路23LAまたは23LB及び乗算器24LAまたは24LBを経た振動信号OSは、例えば図13(L)のように振幅がやや小さくなり位相は変化しない信号となる。上記ディレイ回路23RAまたは23RB及び乗算器24RAまたは24RBを経た振動信号OSは、例えば図13(R)のように振幅がさらに小さくなり位相も遅れた信号となる。
【0103】
これにより、振動信号OSについても、振幅制御及び位相制御によって音像が形成される。この振動信号OSの音像は楽音信号TSの音像と異なることができる。なぜなら、楽音信号TSが通るディレイ回路21LA、21LB、21RA、21RB、乗算器22LA、22LB、22RA、22RBに供給される音像データSIの値と、振動信号OSが通るディレイ回路23LA、23LB、23RA、23RB、乗算器24LA、24LB、24RA、24RBに供給される音像データSIの値とが異なっているからである。この振動信号OSの先頭の振幅の大きさは、アナログ−デジタル変換され、上記タッチデータTCとして取り込まれ利用されてもよい。
【0104】
(12)第2実施例
図14及び図15は第2実施例を示す。上記振動体60は強打用振動体131と弱打用振動体132とからなり、これら強打用振動体131と弱打用振動体132とは同じ厚さで支え板109に隣り合って配置されている。
【0105】
疑似ハンマー105のハンマーアーム106の上面にはレールが設けられ、このレール上を当接部135がスライド可能となっている。当接部135は、疑似ハンマー105の揺動の遠心力によって、先端に向かってスライドし、強打用振動体131及び弱打用振動体132から疑似ハンマー105が離れるときには自重によって基部に向かってスライドする。
【0106】
図14に示すように、鍵103が弱く打たれたとき、例えばピアニッシモからメゾピアノまでの強さでは、疑似ハンマー105の遠心力が弱く、上記当接部135は弱打用振動体132の位置までしかスライドせず、この弱打用振動体132内の振動センサ61からのみ振動信号OSが発生される。
【0107】
図15に示すように、鍵103が強く打たれたとき、例えばミゾフォルテからフォルテッシモまでの強さでは、疑似ハンマー105の遠心力が強く、上記当接部135は強打用振動体131の位置までスライドし、この強打用振動体132内の振動センサ61から振動信号OSが発生される。
【0108】
弱打用振動体132内の振動センサ61と強打用振動体131内の振動センサ61とは感度/性能が異なっており、弱打の鈍い衝撃振動と強打の鋭い衝撃振動とが最適の状態で振動信号OSに変換される。例えば、弱打用振動体132に大きな強打が与えられると、振動信号OSが大きくなりすぎてしまい、振動信号OSの波形を正確に変換できず、高調波成分が変化してしまうが、これを解消できる。
【0109】
また、強打用振動体131に小さな弱打が与えられると、振動信号OSが小さくなりすぎてしまい、振動信号OSの波形を正確に変換できず、波形の分解能が低下してしまうが、これを解消できる。これにより、強打のときも弱打のときも振動信号OSの音像を明確につくることができる。他の構成及び動作は上記第1実施例及び第2実施例と同じである。
【0110】
以上のように、上記振動体60が複数種類設けられ、発音操作の力によって移動し、しかもこの発音操作の力の大きさによって移動量が変化する移動体によって、複数種類の振動体が選択されて振動信号が出力される。
【0111】
また、上記振動体60、振動センサ61(振動変換手段)は複数種類設けられ、上記音楽的ファクタのタッチの大きさが検出され、この検出結果に応じて、上記振動される振動体60、振動センサ61(振動変換手段)が切り換えられる。
【0112】
なお、弱打用振動体132及び強打用振動体131を疑似ハンマー105側に設け、これら弱打用振動体132及び強打用振動体131が疑似ハンマー105上を上記遠心力でスライドできるようにしてもよく、弱打用振動体132と強打用振動体131との配置はどのようなものでもよい。
【0113】
(13)第3実施例
図16及び図17は第3実施例を示す。上記振動体60は強打用振動体131と弱打用振動体132とからなり、これら強打用振動体131と弱打用振動体132とは同じ厚さで支軸136に隣り合って向きを変えて配置されている。この支軸136にはプランジャ137が連結され、プランジャ137によって上記支軸136が回動される。
【0114】
上記鍵103の下面にはフォトカプラまたは電磁誘導素子(ホール素子、差動トランス、差動キャパシタ)などの初期タッチセンサが設けられ、鍵103が動き始めたときの初期のタッチデータTCの大きさが検出される。この検出された初期のタッチデータTCは上記音楽的ファクタの1つとして取り込まれる。
【0115】
この初期のタッチデータTCは取り込まれて所定値より大きいか否かコントローラ2によって判断される。この初期のタッチデータTCが小さければ、図16に示すように、プランジャ137が作動されて、支軸136が回動され、弱打用振動体132に固定の当接部135が当たることが許容される。
【0116】
この初期のタッチデータTCが所定値より大きければ、図17に示すように、プランジャ137が作動されて、支軸136が回動され、強打用振動体131に固定の当接部135が当たることが許容される。他の構成及び動作は上記第1実施例及び第2実施例と同じである。
【0117】
弱打用振動体132内の振動センサ61と強打用振動体131内の振動センサ61とは感度/性能が異なっており、弱打の鈍い衝撃振動と強打の鋭い衝撃振動とが最適の状態で振動信号OSに変換される。例えば、弱打用振動体132に大きな強打が与えられると、振動信号OSが大きくなりすぎてしまい、振動信号OSの波形を正確に変換できず、高調波成分が変化してしまうが、これを解消できる。
【0118】
また、強打用振動体131に小さな弱打が与えられると、振動信号OSが小さくなりすぎてしまい、振動信号OSの波形を正確に変換できず、波形の分解能が低下してしまうが、これを解消できる。これにより、強打のときも弱打のときも振動信号OSの音像を明確につくることができる。
【0119】
上記プランジャ137を作動させて切り換えるのは、タッチデータTCの大きさのほか、上記トーンナンバデータTN(音色)の種類、キーナンバデータKN(音高)の大きさ、トーンタイムデータTM(発音経過時間)の大きさに応じて切り換えられてもよい。
【0120】
以上のように、上記振動体60が複数種類設けられ、発音操作の初期のタッチの速さまたは強さが検出され、この検出された初期のタッチの大きさによって、複数種類の振動体60が選択されて振動信号が出力される。
【0121】
また、上記振動体60、振動センサ61(振動変換手段)は複数種類設けられ、上記音楽的ファクタのタッチの大きさが検出され、この検出結果に応じて、上記振動される振動体60、振動センサ61(振動変換手段)が切り換えられる。
【0122】
なお、弱打用振動体132及び強打用振動体131は、回動ではなく、スライド、反転などによって切り換えられてもよい。また、支軸136に当接部135を設け、弱打用振動体132及び強打用振動体131を疑似ハンマー105側に設け、これら弱打用振動体132及び強打用振動体131が疑似ハンマー105上を上記検出によってスライドできるようにしてもよく、弱打用振動体132と強打用振動体131との配置はどのようなものでもよい。
【0123】
さらに、タッチの強さまたは速さが強くても弱くても、上記ペダル120が操作されたとき、図17のように全ての強打用振動体131に疑似ハンマー105が当てられてもよい。または、全ての弱打用振動体132に疑似ハンマー105が当てられてもよい。
【0124】
この場合、ペダルの操作によってワイヤが引かれまたは解放され、支軸136が回動される。これにより、ペダル120の操作によって、強打用振動体131または弱打用振動体132が選択され、タッチに対する振動信号OSの感度を固定させることができる。
【0125】
(14)第4実施例
図22は第4実施例を示す。各鍵103の下の棚板101上に、2段の段差スイッチ141が設けられる。この2段の段差スイッチ141は上下に重ねられた2つのスイッチ142、143からなり、1つのスイッチは可撓性のあるゴムなどによって袋状に形成され、この袋状のスイッチ142、143の中の上面と下面とにスイッチイング接点が設けられている。この2段の段差スイッチ141の上の鍵103の下面には当接部135が設けられている。
【0126】
鍵103のオン操作によって、当接部135が2段の段差スイッチ141を可撓状に順次押すと、2段のスイッチ141から2つのオンスイッチチング信号が時間的にずれてオン/オフ検出回路144へ出力される。この2つのオンスイッチチング信号の時間差データが上記タッチデータTCに変換される。この時間差が短いとタッチデータTCは大きくなり、時間差が長いとタッチデータTCは小さくなる。この場合、発音操作のタッチデータTCが検出される。
【0127】
また、鍵103がオフ操作されると、2段の段差スイッチ141から2つのオフスイッチチング信号が時間的にずれてオン/オフ検出回路144へ出力される。この2つのオフスイッチチング信号の時間差データが上記タッチデータTCに変換される。この時間差が短いとタッチデータTCは大きくなり、時間差が長いとタッチデータTCは小さくなる。この場合、消音操作のタッチデータTCが検出される。
【0128】
この例では、当接部135が鍵103に直接設けられるので、鍵103の操作状態が正確に検出される。また、この例では、発音操作の速さが検出される。上記実施例では、発音操作の強さが検出される。
【0129】
なお、上述の振動体60及び振動センサ61は以下のようにも構成できる。上記振動体60及び振動センサ61は、各鍵103の下の棚板101上に設けられる。各鍵103の下に突起状の当接部135が設けられる。鍵103の操作によって、この当接部135が振動体60に当たる。この例では、当接部135が鍵103に直接設けられるので、鍵103の操作状態が正確に検出される。
【0130】
なお、振動体60(131、132)及び振動センサ61は省略可能である。これにより、タッチの強さまたは速さが変化しても、振動信号OSや楽音信号TSは変化せず、音像も変化しない。さらに、ペダル120も省略可能である。これにより、楽音信号TS及び振動信号OSに継続性が付加されず余韻も付加されなくなる。
【0131】
(15)処理全体
図18はコントローラ(CPU)2によって実行される処理全体のフローチャートを示す。この処理全体は本楽音生成装置の電源オンによって開始され、電源オフまで繰り返し実行される。まず、プログラム/データ記憶部4の初期化など種々のイニシャライズ処理が行われ(ステップ01)、上記キーボード11での手動演奏またはプログラム/データ記憶部4からの自動演奏に基づき、発音処理が行われる(ステップ03)。
【0132】
この発音処理では、空きチャンネルがサーチされ、サーチされた空きチャンネルにオンイベントに係る楽音が割り当てられる。この楽音の内容は、上記キーボード11及びパネルスイッチ群13からの演奏情報(楽音発生情報)、楽音制御情報の音楽的ファクタ及びこのときプログラム/データ記憶部4の音楽的ファクタテーブル10なども使用される。
【0133】
この場合、サーチされた空きチャンネルのアサインメントメモリ40のエリアに「1」のオン/オフデータ、周波数ナンバデータFN、キーナンバデータKNなどが書き込まれる。また、上記音楽的ファクタテーブル10が使用されて、音楽的ファクタから、音像データSI、分配比データDR、混合比データMR、エンベロープスピードデータES、エンベロープタイムデータELも求められ、サーチされた空きチャンネルのアサインメントメモリ40のエリアに書き込まれる。さらに、トーンナンバデータTN、タッチデータTC、パートナンバデータPN、「0」のトーンタイムデータTMも書き込まれる。
【0134】
次いで、上記キーボード11/パネルスイッチ群13での手動演奏またはプログラム/データ記憶部4からの自動演奏に基づき、消音(減衰)処理が行われる(ステップ05)。この消音(減衰)処理では、オフイベント(キーオフイベント、消音イベント)に係る楽音が割り当てられているチャンネルがサーチされ当該楽音が減衰され消音される。この場合、キーオフイベントに係る楽音のエンベロープフェーズがリリースとなり、エンベロープレベルが次第に「0」になる。
【0135】
さらに、上記パネルスイッチ群13の各種スイッチの操作があれば、このスイッチに対応する音楽的ファクタ情報が取り込まれ、プログラム/データ記憶部4に記憶され、音楽的ファクタ情報が変更される(ステップ06)。この後、その他の処理が実行され(ステップ07)、上記ステップ02からこのステップ07までの処理が繰り返される。
【0136】
(16)発音処理
図19は上記ステップ03の発音処理のフローチャートを示す。キーオンがあると(ステップ11)、空きチャンネルがサーチされる(ステップ12)。次いで、上記キーボード11及びパネルスイッチ群13から音楽的ファクタが取り込まれ、上記空きチャンネルのアサインメントメモリ40のメモリエリアに書き込まれる(ステップ13)。これにより、この音楽的ファクタに応じた楽音信号TSが発生される。この音楽的ファクタは、キーナンバデータKN、トーンナンバデータTN、タッチデータTC、パートナンバデータPNなどである。
【0137】
上記タッチデータTC、場合によってキーナンバデータKN、トーンナンバデータTN、パートナンバデータPNの大きさ/種類が検出され(ステップ14)、上記図16及び図17の強打用振動体131と弱打用振動体132とが上述のように切り換えられる(ステップ15)。
【0138】
次いで、後述する図21のインタラプト処理で検出されたトーンタイムデータTM及び同時発音数データSSがプログラム/データ記憶部4から読み出され、上記空きチャンネルのアサインメントメモリ40のメモリエリアに書き込まれる(ステップ16)。これにより、この音楽的ファクタに応じた楽音信号TSが発生される。
【0139】
さらに、上記検出された音楽的ファクタによって音楽的ファクタテーブル10から音像データSI、混合比データMR、分配比データDRが読み出され、上記空きチャンネルのアサインメントメモリ40のメモリエリアに書き込まれる(ステップ17)。これにより、この音楽的ファクタに応じて、楽音信号TS及び振動信号OSが所定比率で混合され、さらに分配され、音像も形成される。
【0140】
上記キーナンバデータKNがアサインメントメモリ40に書き込まれることによって、データセレクタ62の特定の端子が開かれ、特定の振動体60及び振動センサ61が選択され、選択された振動体60の振動が振動センサ61で振動信号OSに変換されて取り込まれる。そして、その他の処理が行われる(ステップ18)。
【0141】
(17)各種スイッチ処理
図20は上記ステップ06の各種スイッチ処理のフローチャートを示す。上記ペダル120がオンされると(ステップ21)、プランジャ122が作動され、全ての振動体60が疑似ハンマー105に向かって移動される(ステップ22)。これにより、振動が継続して余韻が残る状態となり、アコースティックな鍵盤楽器のダンパペダルのオン状態が模擬される。
【0142】
上記ペダル120がオフされると(ステップ23)、プランジャ122が解放かつ復帰され、全ての振動体60が疑似ハンマー105から離れて移動される(ステップ24)。これにより、振動が継続せず余韻が残らない状態となり、アコースティックな鍵盤楽器のダンパペダルのオン状態が模擬される。そして、その他の処理が行われる(ステップ25)。
【0143】
(18)発音経過時間及び同時発音数の処理
図21はコントローラ2によって一定周期ごとに実行されるインタラプト処理のフローチャートを示す。この処理で上記トーンタイムデータTM(発音経過時間)のインクリメント及び同時発音数データSSのカウントが行われる。
【0144】
この処理では、上記アサインメントメモリ40の各チャンネルエリアにつき(ステップ41、48、49)、オン/オフデータが「1」で楽音が発音中のものについて(ステップ43)、そのトーンタイムデータTMが「+1」される(ステップ44)。
【0145】
また、同じくアサインメントメモリ40の各チャンネルエリアにつき(ステップ41、48、49)、プログラム/データ記憶部4内の同時発音数データSSがいったんクリアされた後(ステップ42)、オン/オフデータが「1」で楽音が発音中のものがカウントされ(ステップ43)、同時発音数データSSが順次「+1」される(ステップ45)。このカウントされた同時発音数データSSは上記プログラム/データ記憶部4に記憶される。
【0146】
そして、その他の周期的な処理が行われる(ステップ50)。こうして、各チャンネルの楽音の発音経過時間がカウントされ記憶され上記発音時間情報として利用され、またそのときどきの全チャンネルの発音中の楽音の数がカウントされ記憶され上記同時発音数情報として利用される。
【0147】
(17)他の実施例
本発明は上記実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記楽音波形データMWは、ある波形が周期的に繰り返されるものであったが、複雑な変化をするアタック部分の波形や、アタックからリリースまで必ずしも周期的とはいえないPCM波形や、ほとんど周期的に変化しないノイズのような音のように、音響信号はもともと周期性がないものであってもよいし、振動信号OSであってもよい。
【0148】
上記振動体60及び振動センサ61は、疑似ハンマー105が当たるアクション機構の中または鍵103の下に設けられたが、鍵盤楽器の鍵タッチ感を付与する他の機構、鍵盤楽器の他のアクション機構に設けられもよい。さらに、振動体60は、弦、響板、鐵盤、ピン板、ピン、棚、側板、蓋(屋根)、骨組みまたは/及び楽器本体などに設けられてもよい。これらの多数の振動体60及び振動センサ61からの各振動信号は、上記加算器64に供給されて加算合成されて出力される。
【0149】
上記サウンドシステム6の4つのステレオチャンネルは1つだけにされてモノラルにされてもよい。この場合、上記楽音信号TS(音響信号)または/及び振動信号OSは分配されないことになり、音像データSI及び分配比データDRは省略される。また、ペダル120は省略されても良い。上記疑似ハンマー105の代わりにアコースティックな鍵盤楽器のハンマーやアクション機構が備えられてもよい。
【0150】
図1乃至図17等の回路及び機構は、複数の場所に分散され、それぞれインターネットなどの通信システムを介して互いに情報または処理結果が送受されて、上述の処理が行われてもよい。また、上記図18乃至図21等のフローチャート若しくは上記各演算に応じたプログラム、オペレーティングシステムまたは/及びシステムプログラムは複数の場所に分散されて実行され、それぞれインターネットなどの通信システムを介して互いに情報または処理結果が送受されて、上述の処理が行われてもよい。本発明はコンピュータプログラム自体、コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体、当該コンピュータプログラムの通信媒体/通信方法/通信装置としても成立する。
【0151】
(18)本発明の説明
[1]楽器の発音操作に応じて振動する振動体と、 この振動体の振動状態を振動信号に変換する振動変換手段と、 上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタを発生する音楽的ファクタ発生手段と、 この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生する音響発生手段と、 この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合することを特徴とする楽音制御装置。これにより、アコースティックな楽器の演奏の感触に近い演奏感触が感じられる。
【0152】
[2]上記混合された音響信号と上記発生された振動信号とは、複数のサウンドシステムに所定の比率で分配されることを特徴とする請求項1記載の楽音制御装置。これにより、発音される音に拡がりが生じ、音像も形成できる。
【0153】
[3]上記音楽的ファクタは、上記楽器の発音操作に対応する音高、タッチ、音色または/及び発音経過時間である請求項1または2記載の楽音制御装置。これにより、音響信号を音楽的ファクタに応じたものとすることができる。
【0154】
[4]上記振動体は、鍵盤楽器の鍵タッチ感を付与する機構、または/及び鍵盤楽器のアクション機構、弦、響板、鐵盤、ピン板、ピン、棚、側板、蓋(屋根)、骨組みまたは/及び楽器本体である請求項1、2または3記載の楽音制御装置。これにより、アコースティックな楽器から出る種々の振動信号を出力することができる。
【0155】
[5]上記混合の比率は上記音楽的ファクタの中のタッチ、音色、音高または/及び発音経過時間に応じて決定されることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の楽音制御装置。これにより、振動信号と音響信号との合成割合を音楽的ファクタに応じて変化させることができる。
【0156】
[6]上記楽器の発音操作を行う発音操作手段は音高または音色に応じて複数設けられており、この複数の発音操作手段に共通して、上記振動体または/及び上記振動変換手段は1つ設けられている請求項1、2、3、4または5記載の楽音制御装置。これにより、振動体または/及び上記振動変換手段を発音操作手段より少なくできる。
【0157】
[7]上記振動信号または/及び上記音響信号は複数のサウンドシステムに分配され、上記音楽的ファクタに応じて音像データが発生され、この発生された音像データに応じて、当該分配される複数の振動信号または/及び上記音響信号のそれぞれの振幅または位相に差が付加される、または振動信号の振幅または位相と上記音響信号の振幅または位相とに差が付加されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の楽音制御装置。これにより、振動信号と音響信号とに音像を形成できる。
【0158】
[8]上記振動信号と上記音響信号とは異なるサウンドシステムに供給され、これら振動信号の振幅または位相と音響信号の振幅または位相とに差が付加されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の楽音制御装置。これにより、振動信号の音像と音響信号の音像とを異ならせることができる。
【0159】
[9]上記楽器に備えられたペダルの操作によって、上記振動体は、振動が継続して余韻が残る状態と、振動が継続せず余韻が残らない状態とが切り換えられることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の楽音制御装置。これにより、ペダルの操作によって振動信号の余韻状態を変化させることができる。
【0160】
[10]上記振動変換手段は鍵、ハンマーまたは疑似ハンマーの動きの速さまたは強さに応じた振動信号を出力することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の楽音制御装置。これにより、発音操作によって変化する振動信号を取り込むことができる。
【0161】
[11]上記振動体または/及び振動変換手段は複数種類設けられ、上記音楽的ファクタのタッチ、音高または/及び発音経過時間の大きさ、音色の種類が検出され、この検出結果に応じて、上記振動される振動体または/及び振動変換手段が切り換えられることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の楽音制御装置。これにより、弱打の鈍い衝撃振動と強打の鋭い衝撃振動とが最適の状態で検出され、また各音楽的ファクタに応じた最適の振動状態が検出される。
【0162】
[12]撓み量が異なる振動体が複数種類設けられ、発音操作のタッチが小さいとき、撓み量の大きい振動体が振動され、発音操作のタッチが大きいとき、撓み量の小さい振動体が振動されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の楽音制御装置。これにより、弱打の鈍い衝撃振動と強打の鋭い衝撃振動とが最適の状態で検出される。
【0163】
[13]上記振動体が複数種類設けられ、発音操作の力によって移動ししかもこの発音操作の力の大きさによって移動量が変化する移動体によって、複数種類の振動体が選択されて振動信号が出力されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記載の楽音制御装置。これにより、弱打の鈍い衝撃振動と強打の鋭い衝撃振動とが最適の状態で検出される。
【0164】
[14]上記振動体が複数種類設けられ、発音操作の初期のタッチの速さまたは強さが検出され、この検出された初期のタッチの大きさによって、複数種類の振動体が選択されて振動信号が出力されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13記載の楽音制御装置。これにより、弱打の鈍い衝撃振動と強打の鋭い衝撃振動とが最適の状態で検出される。
【0165】
[15]楽器の発音操作に応じて振動する振動体の振動状態を振動信号に変換させ、 上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタが発生され、この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生させ、 この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合させることを特徴とする楽音制御方法。これにより、アコースティックな楽器の演奏の感触に近い演奏感触が感じられる。
【0166】
[16]楽器の発音操作に応じて振動する振動体の振動状態を振動信号に変換させる処理と、 上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタが発生され、この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生させる処理と、 この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合させる処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする楽音制御のためのコンピュータプログラム。これにより、アコースティックな楽器の演奏の感触に近い演奏感触が感じられる。
【0167】
[17]タッチの大きさ、強さまたは速さによって、上記振動信号の音像の位置が移動し変化することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14記載の楽音制御装置。これにより、タッチに応じた最適な音像を形成できる。
【0168】
[18]上記振動体が複数種類設けられ、ペダルの操作によって、複数種類の振動体が選択されて振動信号が出力されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または17記載の楽音制御装置。これにより、弱打の鈍い衝撃振動の検出と強打の鋭い衝撃振動の検出とを演奏者が任意に選択できる。
【0169】
[19]ペダルの操作によって、全てのハンマーまたは疑似ハンマーに対して、全ての振動体が接触し、1つの振動体の振動が他の振動体にも伝達され、この他の振動体の振動信号も出力されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、17または18記載の楽音制御装置。これにより、簡単な構造で振動信号または音響信号に余韻が残るダンパペダルの効果が得られる。
【0170】
[20]上記音響信号の音像と振動信号の音像とは別々に移動または制御され、この別々の移動または制御はタッチの大きさ、速さまたは強さに応じて行われることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、17または18記載の楽音制御装置。これにより、タッチ等に応じて音響信号の音像と振動信号の音像とを近づけたり遠ざけたりして、タッチによって複雑に音像が変化することができる。
【0171】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、楽器の発音操作に応じて振動する振動体の振動状態を振動信号に変換し、上記楽器の発音操作に基づいて発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号が発生され、この発生された音響信号と上記発生された振動信号とが所定の比率で混合される。したがって、アコースティックな楽音に近い楽音が電子的に発生されることができる。また、アコースティックな楽器の演奏の感触に近い演奏感触が得られることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】楽音制御装置または電子楽器の全体回路を示す。
【図2】楽音信号発生部5を示す。
【図3】プログラム/データ記憶部4の音楽的ファクタテーブル10を示す。
【図4】楽音信号発生部5のアサインメントメモリ40を示す。
【図5】サウンドシステム6を示す。
【図6】サウンドシステム6の中の振動信号回路20を示す。
【図7】サウンドシステム6の中のディレイ回路21LA、21LB、21RA、21RB、ディレイ回路23LA、23LB、23RA、23RBを示す。
【図8】振動体60並びに振動センサ61及びキーボード(鍵盤)11を示す。
【図9】振動体60並びに振動センサ61及び疑似ハンマー105を示す。
【図10】ペダル120及び振動体60並びに疑似ハンマー105を示す。
【図11】弱打のときの振動体60の詳しい構成を示す。
【図12】強打のときの振動体60の詳しい構成を示す。
【図13】振動信号OSを示す。
【図14】疑似ハンマー105の当接部135がスライドする弱打のときの振動体60(131、132)を示す。
【図15】疑似ハンマー105の当接部135がスライドする強打のときの振動体60(131、132)を示す。
【図16】弱打のときの回動する振動体60(131、132)を示す。
【図17】強打のときの回動する振動体60(131、132)を示す。
【図18】楽音制御処理の処理全体のフローチャートを示す。
【図19】ステップ03の発音処理のフローチャートを示す。
【図20】ステップ06の各種スイッチ処理のフローチャートを示す。
【図21】楽音制御処理の中の一定周期ごとに実行されるインタラプト処理のフローチャートを示す。
【図22】2段の段差スイッチ141を示す。
【符号の説明】
2…コントローラ(CPU)、3…タイミング発生部、4…プログラム/データ記憶部、5…楽音信号発生部、6…サウンドシステム、7…情報記憶部、10…音楽的ファクタテーブル、11…キーボード、12…キーボードスキャン回路、13…パネルスイッチ群、14…スイッチスキャン回路、15…ミディ回路、20…振動信号発生回路、21LA、21LB、21RA、21RB…ディレイ回路、22LA、22LB、22RA、22RB…乗算器、23LA、23LB、23RA、23RB…ディレイ回路、24LA、24LB、24RA、24RB…乗算器、25LA、25LB、25RA、25RB…加算器、26LA、26LB、26RA、26RB…乗算器、27LA、27LB、27RA、27RB…累算回路、28LA、28LB、28RA、28RB…D−A変換器、29LA、29LB、29RA、29RBアンプ、30LA、30LB、30RA、30RB…スピーカー、40…アサインメントメモリ、42…周波数ナンバ累算器、43…楽音波形メモリ、44…エンベロープジェネレータ、45…乗算器、60…振動体、61…振動センサ、62…データセレクタ(アナログ)、63…A−D変換器、64…加算器、65…乗算器、66…乗算器、70…ディレイ素子、71…データセレクタ、72…ラッチ、73…シフタ、101…棚板、102…支点、103…鍵、104…突き上げ部、105…疑似ハンマー、106…ハンマーアーム、107…ハンマーウエイト、108…支点、109…支え板、110…回動軸、120…ペダル、121…作動センサ、122…プランジャ、131…強打用振動体、132…弱打用振動体、135…当接部、136…支軸、137…プランジャ、141…2段の段差スイッチ、142…スイッチ、143…スイッチ、144…オン/オフ検出回路。
Claims (16)
- 楽器の発音操作に応じて動く鍵、ハンマーまたは疑似ハンマーに当接して振動する振動体の振動状態を振動信号に変換し、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタを発生し、この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生し、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合することを特徴とする楽音制御方法。 - 楽器の発音操作に応じて振動する振動体の振動状態を振動信号に変換し、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタを発生し、この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生し、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合し、
上記振動体は複数種類設けられており、
上記発音操作のタッチに応じて、上記振動される振動体を切り換えることを特徴とする楽音制御方法。 - 楽器の発音操作に応じて振動する、撓み量の大きさが異なる複数種類の振動体の振動状態を振動信号に変換し、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタを発生し、この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生し、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合し、
上記発音操作のタッチが小さいとき、上記振動体のうち撓み量の大きい振動体を振動し、同発音操作のタッチが大きいとき、撓み量の小さい振動体を振動することを特徴とする楽音制御方法。 - 楽器の発音操作に応じて振動する複数種類の振動体の振動状態を振動信号に変換し、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタを発生し、この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生し、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合し、
上記発音操作の力によって移動し、しかもこの発音操作の力の大きさによって移動量が変化する複数種類の移動体の移動によって、上記複数種類の振動体を選択して上記振動信号を出力することを特徴とする楽音制御方法。 - 楽器の発音操作に応じて振動する複数種類の振動体の振動状態を振動信号に変換し、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタを発生し、この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生し、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合し、
上記発生された上記音楽的ファクタの発音操作の初期のタッチの大きさによって、上記複数種類の振動体の選択を切換えることを特徴とする楽音制御方法。 - 楽器の発音操作に応じて動く鍵、ハンマーまたは疑似ハンマーに当接して振動する振動体の振動状態を振動信号に変換させる処理と、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタが発生され、この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生させる処理と、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合させる処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする楽音制御のためのコンピュータプログラム。 - 楽器の発音操作に応じて振動する振動体の振動状態を振動信号に変換させる処理と、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタが発生され、この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生させる処理と、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合させる処理と、
上記振動体は複数種類設けられており、
上記発音操作のタッチに応じて、上記振動される振動体を切り換えさせる処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする楽音制御のためのコンピュータプログラム。 - 楽器の発音操作に応じて振動する、撓み量の大きさが異なる複数種類の振動体の振動状態を振動信号に変換させる処理と、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタが発生され、この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生させる処理と、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合させる処理と、
上記発音操作のタッチが小さいとき、上記振動体のうち撓み量の大きい振動体を振動させ、同発音操作のタッチが大きいとき、撓み量の小さい振動体を振動させる処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする楽音制御のためのコンピュータプログラム。 - 楽器の発音操作に応じて振動する複数種類の振動体の振動状態を振動信号に変換させる処理と、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタが発生され、この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生させる処理と、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合させる処理と、
上記発音操作の力によって移動し、しかもこの発音操作の力の大きさによって移動量が変化する複数種類の移動体の移動によって、上記複数種類の振動体を選択させて上記振動信号を出力させる処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする楽音制御のためのコンピュータプログラム。 - 楽器の発音操作に応じて振動する複数種類の振動体の振動状態を振動信号に変換させる処理と、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタが発生され、この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生させる処理と、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合させる処理と、
上記発生された上記音楽的ファクタの発音操作の初期のタッチの大きさによって、上記複数種類の振動体の選択を切換えさせる処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする楽音制御のためのコンピュータプログラム。 - 楽器の発音操作に応じて動く鍵、ハンマーまたは疑似ハンマーに当接して振動する振動体と、
この振動体の振動状態を振動信号に変換する振動変換手段と、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタを発生する音楽的ファクタ発生手段と、
この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生する音響発生手段と、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合する混合手段とを備えたことを特徴とする楽音制御装置。 - 楽器の発音操作に応じて振動する振動体と、
この振動体の振動状態を振動信号に変換する振動変換手段と、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタを発生する音楽的ファクタ発生手段と、
この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生する音響発生手段と、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合する混合手段と、
上記振動体または/及び振動変換手段は複数種類設けられており、
上記発音操作のタッチに応じて、上記振動される振動体または/及び変換する処理が行なわれる振動変換手段を切り換える振動切換え手段とを備えたことを特徴とする楽音制御装置。 - 楽器の発音操作に応じて振動する、撓み量の大きさが異なる複数種類の振動体と、
この振動体の振動状態を振動信号に変換する振動変換手段と、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタを発生する音楽的ファクタ発生手段と、
この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生する音響発生手段と、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合する混合手段と、
上記発音操作のタッチが小さいとき、上記振動体のうち撓み量の大きい振動体を振動させ、同発音操作のタッチが大きいとき、撓み量の小さい振動体を振動させる振動体切換え手段とを備えたことを特徴とする楽音制御装置。 - 楽器の発音操作に応じて振動する複数種類の振動体と、
この振動体の振動状態を振動信号に変換する振動変換手段と、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタを発生する音楽的ファクタ発生手段と、
この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生する音響発生手段と、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合する混合手段と、
上記発音操作の力によって移動し、しかもこの発音操作の力の大きさによって移動量が変化する複数種類の移動体であって、この移動によって、上記複数種類の振動体が選択されて上記振動信号が出力される移動体とを備えたことを特徴とする楽音制御装置。 - 楽器の発音操作に応じて振動する複数種類の振動体と、
この振動体の振動状態を振動信号に変換する振動変換手段と、
上記楽器の発音操作に基づいて、当該発音操作に対応する音楽的ファクタを発生する音楽的ファクタ発生手段と、
この発生される音楽的ファクタに基づいて音響信号を発生する音響発生手段と、
この発生された音響信号と上記発生された振動信号とを所定の比率で混合する混合手段と、
上記音楽的ファクタ発生手段によって検出された上記音楽的ファクタの発音操作の初期のタッチの大きさによって、上記複数種類の振動体の選択を切換える選択切換え手段とを備えたことを特徴とする楽音制御装置。 - 上記楽器に備えられたペダルの操作によって、上記振動体は、振動が継続して余韻が残る状態と、振動が継続せず余韻が残らない状態とが切り換えられることを特徴とする請求項11、12、13、14または15記載の楽音制御装置。
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