JP3760653B2 - 楽音合成装置および楽音合成プログラムが記録された記録媒体 - Google Patents

楽音合成装置および楽音合成プログラムが記録された記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、楽音信号のパラメータに時変動を与える楽音合成装置、および楽音合成プログラムが記憶された記録媒体に関するものである。この楽音合成装置は、電子楽器やゲーム機器、コンピュータ等の音源として用いられる。
【0002】
【従来の技術】
楽音合成装置の一種として、自然楽器の機械振動系をモデリングして、自然楽器の音や実在しない仮想の楽音信号を合成する遅延フィードバック形楽音合成装置が、物理モデル音源というカテゴリーで知られている。物理モデル音源では、自然楽器のように微妙な音の変化を与えることが可能である。擦弦楽器をモデリングした場合、ピッチ情報を鍵盤で指定し、弓圧および弓速度の情報を演奏操作子を用いて入力する。これらの演奏入力に応じて、物理モデル音源のパラメータが変化し、自然楽器と同様な、あるいは、これを超える音色および時間経過変化をする楽音信号を合成することができる。
【0003】
図7は、擦弦楽器をモデリングした従来の楽音合成装置のブロック構成図である。図中、51は演奏操作情報発生部、52は制御部、53は励振部、54は線形部、55は非線形変換部、56,59,63,65は加算器、57は左終端フィルタ、58,60,62,64は信号遅延部、61は右終端フィルタ、66はミキサである。
【0004】
演奏情報発生部51から出力される演奏情報は、制御部52および励振部53に出力される。制御部52は、弓による弦の摩擦駆動をモデル化した励振部53、および、弦をシミュレートする線形部54を有する楽器モデル部に各種のモデリングパラメータを出力する。また、楽器モデル部の出力は、バイオリンの胴部の共鳴をシュミレートする、図示を省略した共鳴効果付与部に供給され、楽音信号が出力される。
【0005】
演奏操作情報発生部51としては、例えば、キーオン、キーオフタイミング、音高等を指定する鍵盤、弓圧および弓速度を指定する特開平3−215897号公報に記載の感圧スライダなどの演奏操作子、音色等を設定する設定操作子がある。バイオリンなどの自然楽器またはそれを模した構造体に各種のセンサを設置することによって、擦弦に関する演奏情報を検知できる演奏操作子を用いることもできる。また、自動演奏装置等から、これらの演奏情報を入力する場合もある。制御部52は、音色,音高(PITCH)等に基づいた制御パラメータを励振部53および線形部54に出力する。
【0006】
励振部53の加算器56においては、線形部54から取り出されたループ出力信号loopと演奏操作情報発生部41から出力される弓速度Vb等の演奏パラメータとの差をとり、これを非線形変換部55に入力する。
非線形変換部55においては、弓圧Pbを制御パラメータとして、入力信号の大きさ(絶対値)に応じ、静摩擦特性をモデリングした小入力信号時の入出力特性と、動摩擦特性をモデリングした大入力信号時の入出力特性とが切り替わるような非線形変換を行って励振信号を生成し、この励振信号を、線形部54にフィードバックする。弓あるいは弦の表面のざらつきによる揺らぎ成分として、音色および弓圧Pbを制御パラメータとして、ループ出力信号loopの大きさに応じた周期成分を有する揺らぎ信号を非線形変換部5の出力に付与して線形部4にフィードバックさせることもある。
【0007】
線形部54においては、左終端フィルタ(TML)57,信号遅延部58,加算器59,信号遅延部60,右終端フィルタ(TMR)61,信号遅延部62,加算器63により、信号遅延ループが形成されている。加算器59,63の位置は、弦の駆動位置(擦弦点)に対応する。信号遅延部58,60,62,64による総遅延量は、音高に対応する。原則的には、信号遅延部58,64の遅延量DL1,DL2は互いに等しく、信号遅延部60,62の遅延量DR1,DR2も互いに等しい。遅延量DL1+DL2と遅延量DR1+DR2の配分は、擦弦点の位置に対応させる。左終端フィルタ(TML)57の特性は、指による弦の押弦点での信号減衰や反射による位相反転(位相変化)などをモデル化したものであり、右終端フィルタ(TMR)61の特性は、駒による弦の支持点での信号減衰や反射による位相反転(位相変化)などをモデル化したものである。
【0008】
信号遅延部58の出力および信号遅延部62の出力は加算器65により加算されて、ループ出力信号として励振部53の加算器56に供給される。また、励振部53の非線形変換部55の出力は、加算器59および加算器63に供給される。
ミキサ66は、図示の例においては、信号遅延ループの右方向の進行波の成分を加算器59から、左方向の進行波成分を信号遅延部62から、さらに、励振信号を励振部53の出力から取り出し、それぞれに、重み付け係数(MIXERVL)をかけることによりミキシングを行い、図示しない共鳴効果付与部に出力している。
【0009】
自然楽器である擦弦楽器の演奏においては、演奏時の感情、楽曲の解釈なども含む演奏者の個性はもちろんのこと、楽曲の曲想、テンポ、旋律の音楽的構造などにより、各種、微妙かつ複雑に、演奏音への表情付け操作(アーティキュレーション)が行われる。その代表的なものとして、ビブラートがある。
【0010】
擦弦楽器をモデリングした物理モデル音源においても、従来より、擦弦点から押弦点までの弦の長さに対応する遅延量、押弦点側の弦の音響伝達特性に対応するローパスフィルタのカットオフ周波数を低周波信号発生部(LFO)で変調することにより、ビブラートを付与するものあり、例えば、特開平3−241396号公報等で知られている。しかし、ピッチおよび音色を低周波信号発生部で簡単に変調するにとどまり、自然の擦弦楽器におけるビブラート演奏を、より自然なものとして再現する必要がある。さらに、このビブラート演奏には、2種類の操作方法があるが、この操作方法の相違による時変動を区別できるほどまではモデル化がなされていなかった。
【0011】
一方、このような自然の擦弦楽器における時変動の複数の態様を、擦弦楽器とは異なる音色の楽音に対しても適用できれば、合成する楽音の音色が、ある自然楽器の音色に対応していても、この自然楽器にはない時変動の複数の態様を備えた楽音を合成することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、自然の擦弦楽器におけるビブラート演奏などの楽音の時変動の複数の態様を実現することができ、さらには、このような楽音の時変動の複数の態様を擦弦楽器に限らず、異なる楽音に対しても適用できる楽音合成装置、および、楽音合成プログラムが記録された記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1に記載の発明においては、楽音信号のピッチおよび該楽音信号の振幅に時変動を与える楽音合成装置であって、前記時変動の態様として、第1の態様、および、第2の態様が用意されており、所定のピッチ変調信号を発生するとともに、前記第1の態様においては、前記ピッチ変調信号と同一周波数で同位相となる振幅変調信号を発生し、前記第2の態様においては、前記ピッチ変調信号の2倍の周波数で、かつ、前記ピッチ変調信号の正および負のピーク点が負のピーク点となる位相関係である振幅変調信号を発生する変調信号発生手段、および、該変調信号発生手段により発生された所定のピッチ変調信号により、前記楽音信号のピッチを変調するとともに、前記変調信号発生手段により発生された前記振幅変調信号により、前記楽音信号の振幅を変調する変調手段を有するものである。
また、請求項に記載の発明においては、請求項1に記載の各手段としてコンピュータを機能させるための楽音合成プログラムが記録された記録媒体である。
したがって、自然楽器の擦弦楽器のビブラート演奏のように楽音のピッチおよび振幅に複数の時変動の態様を有する楽音を合成することができる。
【0014】
特に、遅延手段を含むループ手段、および、このループ手段から取り出されたループ出力信号を演奏パラメータに応じて変更することにより駆動信号を生成し前記ループ手段に供給する駆動信号生成手段を有する物理モデル音源による楽音合成装置に適用すれば、物理モデル音源の有する、微妙な音の変化を与える特質を有効に利用することができて好適である。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の楽音合成装置の実施の一形態を説明するためのビブラート制御部の第1のブロック構成図である。図中、1はキーオン,タッチ検出部、2はビブラート深さエンベロープジェネレータ、3はビブラート速度エンベロープジェネレータ、4は押弦力エンベロープジェネレータ、5,8〜12は乗算器、6は第1の低周波信号発生部、7は第2の低周波信号発生部、13は加算器である。楽音合成装置の全体構成は、図7に示した従来の楽音合成装置のブロック構成図と同様であり、図1のビブラート制御部は、図7の制御部52に含まれる。
【0017】
本発明の実施の形態においては、特に擦弦楽器をモデリング対象として意識した物理モデル音源において、より自然なビブラートを付与するために、バイオリンの実演奏における、ビブラート時の押弦指の動き、および、その押弦点周辺での物理現象を考慮してビブラートのモデリングを行なったものである。
【0018】
信号遅延部の信号遅延量、および、終端の低域通過フィルタのカットオフ周波数を低周波信号発生部で変化させるとともに、アブソープション(吸収量、反射量と言い換えることもできる)についても低周波信号発生部で変化させて、振幅変調も行う。
図7に示した演奏操作部51から出力された演奏操作情報から、キーオン情報(KON)、タッチ情報(TOUCH)等を取得する。
【0019】
このキーオン情報(KON)およびタッチ情報(TOUCH)は、演奏操作部51が出力する演奏操作情報に基づいて得られればよく、必ずしも、演奏操作子が出力する演奏操作情報自体でなくてもよい。また、タッチ情報の大きさからキーオン情報(KON)を得る場合もある。演奏操作子が鍵盤であるときには、キーオン情報(KON)と、鍵タッチ情報(ベロシティ)が得られる。演奏操作子として、従来技術として説明した、感圧スライダを用いて、速度情報(VB)および圧力情報(FB)を取得する場合には、例えば、圧力情報(FB)をこのタッチ情報(TOUCH)に対応させる。
【0020】
ビブラート深さエンベロープジェネレータ2は、ビブラートの深さ(大きさ)に時変動を与える。ビブラート速度エンベロープジェネレータ3は、ビブラートの変化速度に時変動を与える。この出力は、第1の低周波信号発生部6に入力されるとともに、乗算器5において定数「2」が乗算されて第2の低周波信号発生部7に出力される。したがって、第2の低周波信号発生部7の周波数は、第1の低周波信号発生部の周波数の2倍となる。押弦力エンベロープジェネレータ4は、弦を指で押す圧力をモデル化したものである。以上の各エンベロープジェネレータは、いずれも、キーオン情報(KON)で起動し、タッチ情報(TOUCH)でそれぞれの大きさを制御する。
【0021】
乗算器8においては、ビブラート深さエンベロープジェネレータ2の出力、第1の低周波信号発生部6の出力、および、押弦力エンベロープジェネレータ4の各出力を乗算して、乗算器10および乗算器11に出力する。乗算器10においては、ピッチセンス(PS)と乗算されてピッチ制御用低周波信号発生部出力(P LFO)となる。一方、乗算器11においては、後述するスラント(SLANT)タイプのビブラート演奏を行うときに、スラントセンス(SLNTS)を1にすることにより選択され、加算器13に出力される。
【0022】
乗算器9においては、ビブラート深さエンベロープジェネレータ2の出力、第2の低周波信号発生部7の出力、および、押弦力エンベロープジェネレータ4の各出力を乗算して、乗算器12に出力する。乗算器12においては、後述するアップライト(UPRIGHT)タイプのビブラート演奏を行うときに、アップライトセンス(UPRS)を1にすることにより選択され、加算器13に出力される。加算器13の出力は、アブソープション(吸収)制御用低周波信号発生部出力(ABSP LFO)となる。
なお、自然楽器のビブラート演奏のモデル化とは別に、新しい効果を付与する場合には、乗算器11,12において、択一選択に代えて、乗算器8,9の出力に重み付け係数を乗算して合成してもよい。
【0023】
図2は、本発明の楽音合成装置の実施の一形態を説明するためのビブラート制御部の第2のブロック構成図である。図中、28は左終端フィルタ(TML)であり、図7に示した線形部54における左終端フィルタ(TML)57に対応する。その他のブロックは、図7の制御部52に含まれる。21,23,24,31は加算器、22はピッチ対応遅延量変換部、25,30,32は乗算器、26はフィルタ遅延量換算部、27は遅延量配分部、29は終端フィルタである。
【0024】
図7に示した演奏操作情報発生部51から出力された音高(PITCH)は、加算器21において、図1の乗算器10の出力であるピッチ制御用低周波信号発生部出力(P LFO)と乗算されて、ピッチ対応遅延量変換部22に出力される。一方、図1の加算器13から出力されたアブソープション制御用低周波信号発生部出力(ABSP LFO)は、加算器25において、終端センス情報(TML SENSE)と乗算され、加算器24において、終端フィルタパラメータ(TML FPAR)と加算される。
加算器24の出力は、終端カットオフ周波数パラメータ(TML CUTOFF)として終端フィルタ29に出力され、終端フィルタ29のカットオフ周波数を変化させるとともに、フィルタ遅延量換算部26にも出力される。なお、カットオフ周波数が変化すると、高域成分の通過量が変化することにより、波形の振幅が変調される結果になるが、通過周波数帯域の信号成分に対して一律に振幅を低下させることにはならない。
【0025】
終端フィルタ29のカットオフ周波数を変化させると、終端フィルタ29を通過する際に、ループ信号の遅延時間が変化してしまう。フィルタ遅延量換算部26は、終端フィルタ29を通過する際の遅延時間の変化を信号遅延部の遅延時間を変化させることにより補償するために設けている。ピッチ対応遅延量変換部22の出力は、加算器23においてフィルタ遅延量換算部26の出力を減算され、遅延量配分部27に出力される。遅延量配分部27においては、遅延量配分制御情報により制御されて、図7に示した、各信号遅延部58,60,62,64の遅延量を変化させる。
なお、終端フィルタ29が対称係数FIR型フィルタなどの遅延量一定のフィルタ構成である場合は、フィルタ遅延量換算部26を、省略あるいは簡単化(係数変化に関わらず、終端フィルタ29による信号遅延量を一定としての遅延補償を行う)してもよい。
【0026】
自然楽器である擦弦楽器において、演奏者は、通常、楽音のピッチに関わらず、ブリッジ(駒)と押弦点との間の弦のほぼ中央部分に弓毛を当てて演奏する。したがって、通常は、信号遅延部58,64の遅延時間(DL1=DL2)と信号遅延部60,62の遅延時間(DR1=DR2)との比を1:1に保つように遅延量を配分するようにしている。比率は必ずしも1である必要はなく、一種の効果付与として、比率を変更したり、左側の信号遅延部58,64または右側の信号遅延部60,62の一方側だけをピッチに応じて遅延量を変化させるなど、任意の制御態様が可能である。
【0027】
結局、ピッチ制御用低周波信号発生部出力(P LFO)は、押弦指による押弦点の物理特性をモデル化した信号遅延量を制御している。
一方、アブソープション制御用低周波信号発生部出力(ABSP LFO)は、乗算器32において終端センス情報(TML SENSE)と乗算され、加算器31において、終端ゲイン情報(TML GAIN)に加算され、乗算器30において、負の係数(反射)として、終端フィルタ29の出力と乗算され、図7に示した線形部54の信号遅延部58に出力される。したがって、アブソープション制御用低周波信号発生部出力(ABSP LFO)は、指による押弦点をモデル化した左終端部における、音色と、反射係数(ループ信号の減衰量)を制御している。
【0028】
図3は、本発明の楽音合成装置の実施の一形態によるビブラート演奏を説明するための、パラメータのレベル変化を示す図である。
図3(a)はキーオン情報、図3(b)は図1のビブラート深さエンベロープジェネレータ2が出力するビブラート深さ、図3(c)は図1のビブラート速度エンベロープジェネレータ3が出力するビブラート速度、図3(d)は図1の押弦力エンベロープジェネレータ4が出力する押弦力のレベルを示す。
【0029】
図3(b)に示すビブラート深さ(VIB DEPTH)は、図3(a)に示すキーオン(KON)タイミングから所定の遅延時間(DP DELAY)経過後から立ち上がる。エンベロープ形状は、アタック、ディケイ、定レベル、リリースの期間からなり、各期間の時間長は図示しないパラメータで与えられる。アタック期間の傾斜は、DP ATCKで、ディケイ期間の傾斜は、DP DECAYで、定レベル維持期間のレベルは、DP LEVELで、リリース期間の傾斜は、DP RELEASEで与えられる。
【0030】
リリース期間は、通常キーオフタイミングから開始するが、それより以前の、ビブラート時間(VIB TIME)で規定される時間終了時に開始させる場合もある。また、図中、破線で示したように、キーオン(KON)タイミング時に、所定量(VIB DEPTH)のビブラート深さを加え、時間経過とともにゼロに減少させる場合もある。
【0031】
図3(c)に示すビブラート速度(VIB SPEED)は、キーオン(KON)から所定の遅延時間(DP DELAY)経過後に、所定値(SPD OFST)を出力し、所定期間(SPD DLY)この値を維持した後、アタック、ディケイ、定レベルの期間となる。各期間の時間長は図示しないパラメータで与えられ、アタック期間における傾斜は、SPD ATKで、ディケイ期間における傾斜は、SPD DECAYで与えられる。このビブラート速度(VIB SPEED)は、図中、破線で示したように、常時所定値(SPD OFST)以上を維持するようにしてもよい。ビブラート深さ(VIB DEPTH)がゼロであれば、ビブラートが付加されないからである。
【0032】
図3(d)に示す押弦力(FINGER PRESSURE)は、常時、所定値(FPR OFST)以上であり、キーオン(KON)から所定の遅延時間(DP DELAY)経過後に、アタック、ディケイ、定レベル、リリースの期間からなる。各期間の時間長は図示しないパラメータで与えられ、アタック期間の傾斜はFPR ATKで、ディケイ期間の傾斜はFPR DECAYで、定レベル期間のレベルはFPR LEVELで、リリース期間の傾斜はFPR RELEASEで与えられる。リリース期間は、通常キーオフタイミングから開始するが、それより以前の、ビブラート時間(VIB TIME)で規定される時間終了時に開始させる場合もある。
【0033】
図4は、本発明の楽音合成装置の実施の一形態によるビブラート演奏のモデルとする押弦点の説明図である。図中、41は指板、42は弦、43は指である。
自然楽器のバイオリンのビブラート演奏における、押弦指43を微妙に揺らせる操作は、弦42の実効長の変化(張力も変化していると推測される)と押弦指43による押弦力の変化として弦42に作用する。
【0034】
弦モデルの物理モデル音源において、実効長の変化は、遅延長の変化に対応する。一方、押弦力が大きいほど固定反射端に近くなるため、押弦力の変化は、押弦点での弦振動の吸収損失を変化させる。したがって、押弦点での終端特性(TMLフィルタとゲイン係数)の変化に対応する。
擦弦楽器におけるビブラート奏法では、テンポが比較的遅いあるいは旋律の変化がゆっくりとしている場合は、押弦点を中心として指を弦の張り方向に沿って前後にローリングさせるようにして、ビブラートをかける傾向がある。これをアップライト(UPRIGHT)操作という。
一方、テンポが速い場合、あるいは、素早く変化する旋律を演奏する場合は、時間的に余裕がないこともあって、上述のようなローリング操作をしていては、楽曲の展開に間に合わない。したがって、押弦指で押弦点をブリッジ(駒)側にずり寄せるときに強く押すものであり、力を加えたり脱したりという操作でビブラートを付与する傾向がある。これを、スラント(SLANT)操作という。
【0035】
図5は、アップライト操作をモデル化したときの、楽音のピッチ変動成分および振幅変動成分を示す説明図である。ピッチ変動成分および振幅変動成分とも、基準値からの変動成分を示している。図4を合わせて参照して説明する。
ピッチ制御用低周波信号発生部出力(P LFO)は、ピッチ周波数の変動成分を表す。アブソープション(吸収)制御用低周波信号発生部出力(ABSP LFO)として出力されるアップライトビブラート制御用低周波信号発生部出力(UPR LFO)は、アップライト操作における押弦力の変動成分に応じた振幅変動を表す。
【0036】
アップライト操作時においては、押弦点を中心に、その前後で押弦指43をローリングさせる。ピッチが基準値、すなわち、ピッチの中心値、指定音高のときに、押弦力が最大となると推定される。なぜなら、楽曲における演奏すべき楽音のピッチを正確に出そうとする意識が押弦指43の力加減に現れるからである。したがって、ピッチの変動成分を担うピッチ制御用低周波信号発生部出力(PITCH LFO)が値0のとき、アップライトビブラート制御用低周波信号発生部出力(UPR LFO)の振幅は最大となり、その前後で押弦力の減少に対応して振幅が減少するということになる。
【0037】
ピッチの変動は、押弦指43の動きがピッチを上げる(有効弦長が短くなる)方向に働くか、ピッチを下げる(有効弦長が長くなる)方向に働くかによって起こるため、アップライトビブラート制御用低周波信号発生部出力(UPR LFO)が最小点、すなわち、負のピーク点に達するごとにピッチ変動成分もピーク点、すなわち、正のピーク点と負のピーク点が交互に表れるとういう関係になる。
したがって、ピッチ制御用低周波信号発生部出力(P LFO)の変動周波数に対して、アップライトビブラート制御用低周波信号発生部出力(UPR LFO)の変動周波数は2倍になる。
【0038】
図6は、スラント操作をモデル化したときの、楽音のピッチ変動成分および振幅変動成分を示す説明図である。ピッチ制御用低周波信号発生部出力(P LFO)は、図5と同様に、ピッチ周波数の変動成分を表す。アブソープション(吸収)制御用低周波信号発生部出力(ABSP LFO)として出力されるスラントビブラート制御用低周波信号発生部出力(SLANT LFO)は、スラント操作における押弦力の変動成分に応じた振幅変動を表す。
【0039】
スラント操作においては、押弦指43を、例えば、ブリッジ(駒)側に引き寄せるような方向に揺らせる。したがって、基準ピッチを実現する押弦点を基準に、どちらかというと一方向、例えば、弦の有効長が指定音高対応長よりも短くなるような方向に主に変動すると推測される。そして、押弦指43をブリッジ側に引き寄せ切った点で、一番、押弦力が強くなる傾向にあると推測される。
いわば、押弦指43の引き寄せ動作にブレーキをかけるようなイメージである。したがって、押弦指43にグイッと力を入れ、スッと脱力するという操作の繰り返しになるので、押弦力の変動波形は、正弦波というよりも鋸歯状波に近いものになると推測される。
【0040】
上述したように、主に、押弦点が特定方向(ピッチを上げる方向)に移動している期間が多くなり、ピッチ変動は、基準ピッチに対して非対称となる傾向が出てくると推測される。したがって、ピッチ制御用低周波信号発生部出力(P LFO)は、図示のようなオフセット分を加算することにより、変動成分をピッチ上昇方向に浮かせる。また、振幅変動成分については、ブリッジ寄りに押弦点が移動しているときに押弦力が最大となり、ヘッド寄りに押弦点が移動しているときに押弦力が最小となるのに対応した変動をさせる。
したがって、ピッチ制御用低周波信号発生部出力(P LFO)の変動周波数と、スラントビブラート制御用低周波信号発生部出力(SLANT LFO)の変動周波数とは同一となり、位相も一致する。
【0041】
なお、特に、ピッチ変動の基準ピッチに対する非対称性を意識しないでモデル化するならば、このときオフセットをゼロに設定するか、あるいは、オフセット加算自体を省いてもよい。あるいは、図1におけるピッチ制御用低周波信号発生部出力(P LFO)の基となる第1の低周波信号発生器(LFO1)6の発生波形自体にこのようなオフセットを持たせるか、あるいは、もともと、正負に非対称な振幅値を持つ、例えば鋸歯状波を発生させるようにしてもよい。また、ピッチ制御用と振幅制御用の低周波信号発生部を別々に設けてもよい。
【0042】
上述した説明では、本発明を物理モデル音源に適用した例を用いて説明したが、他のカテゴリーに属する楽音発生装置においても、同様に適用することができる。
【0043】
本発明の楽音信号合成装置は、パラメータを入力して楽音波形を生成する専用の音源LSIを用い、これをCPU(Central Processing unit)でパラメータ等を制御することにより実現することができる。あるいは、いわゆるソフト音源として、汎用コンピュータのCPUにより、楽音波形の生成自体もアプリケーションプログラムを実行することにより実現することもできる。楽音合成プログラムは、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、あるいは、ネットワーク上のサーバにより供給され、汎用コンピュータのハード磁気ディスクにインストールされて使用される。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、上述した説明から明らかなように、自然の擦弦楽器におけるビブラート演奏などの楽音の時変動の複数の態様を実現することができ、さらには、このような楽音の時変動の複数の態様を擦弦楽器の楽音に限らず、異なる楽音に対しても適用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の楽音合成装置の実施の一形態を説明するためのビブラート制御部の第1のブロック構成図である。
【図2】 本発明の楽音合成装置の実施の一形態を説明するためのビブラート制御部の第2のブロック構成図である。
【図3】 本発明の楽音合成装置の実施の一形態によるビブラート演奏を説明するための、パラメータのレベル変化を示す図である。
【図4】 本発明の楽音合成装置の実施の一形態によるビブラート演奏のモデルとする押弦点の説明図である。
【図5】 アップライト操作をモデル化したときの、楽音のピッチ変動成分および振幅変動成分を示す説明図である。
【図6】 スラント操作をモデル化したときの、楽音のピッチ変動成分および振幅変動成分を示す説明図である。
【図7】 擦弦楽器をモデリングした従来の楽音合成装置のブロック構成図である。
【符号の説明】
1 キーオン,タッチ検出部、2 ビブラート深さエンベロープジェネレータ、3 ビブラート速度エンベロープジェネレータ、4 押弦力エンベロープジェネレータ、6 第1の低周波信号発生部、7 第2の低周波信号発生部、28 左終端フィルタ(TML)、22 ピッチ対応遅延量変換部、26 フィルタ遅延量換算部、27 遅延量配分部、29 終端フィルタ

Claims (2)

  1. 楽音信号のピッチおよび該楽音信号の振幅に時変動を与える楽音合成装置であって、
    前記時変動の態様として、第1の態様、および、第2の態様が用意されており、
    所定のピッチ変調信号を発生するとともに、
    前記第1の態様においては、前記ピッチ変調信号と同一周波数で同位相となる振幅変調信号を発生し、
    前記第2の態様においては、前記ピッチ変調信号の2倍の周波数で、かつ、前記ピッチ変調信号の正および負のピーク点が負のピーク点となる位相関係である振幅変調信号を発生する変調信号発生手段、および、
    該変調信号発生手段により発生された所定のピッチ変調信号により、前記楽音信号のピッチを変調するとともに、前記変調信号発生手段により発生された前記振幅変調信号により、前記楽音信号の振幅を変調する変調手段、
    を有することを特徴とする楽音合成装置。
  2. 楽音信号のピッチおよび該楽音信号の振幅に時変動を与える楽音合成プログラムであって、
    前記時変動の態様として、第1の態様、および、第2の態様が用意されており、
    所定のピッチ変調信号を発生するとともに、
    前記第1の態様においては、前記ピッチ変調信号と同一周波数で同位相となる振幅変調信号を発生し、
    前記第2の態様においては、前記ピッチ変調信号の2倍の周波数で、かつ、前記ピッチ変調信号の正および負のピーク点が負のピーク点となる位相関係である振幅変調信号を発生する変調信号発生手段、および、
    該変調信号発生手段により発生された所定のピッチ変調信号により、前記楽音信号のピッチを変調するとともに、前記変調信号発生手段により発生された前記振幅変調信号により、前記楽音信号の振幅を変調する変調手段
    としてコンピュータを機能させるための楽音合成プログラム
    が記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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