JP2682046B2 - スキューを有する回転電機鉄心の製造方法 - Google Patents

スキューを有する回転電機鉄心の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスロッチをスキューさせるように積層板を連
結固着して回転電機鉄心を製造する方法に関する。
〔従来の方法〕
積層板に形成されたスロットがスキュー状となるよう
に積層板を積層する場合においては、両側が切断面であ
るV突起を積層板に形成し、上下の積層板間でV突起が
相互に一致するように重ね合わせ、V突起を嵌合させる
ことで固着する方法が出願人において提案されている
(特開昭60−184431号)。この方法は積層板を順送りし
ながらスロット打ち抜き、V突起加工および積層を行う
ものであり、以下、第5図により従来方法を説明する。
第5図(a)は回転電機の固定子鉄心を製造する場合
を示し、まず第1工程で打ち抜かれたパイロット孔2を
基準にして鋼板1にスロット3を打ち抜き(第2工
程)、第3工程で内径孔4を打ち抜き、第4工程でパン
チによりV突起5を加工し、第5工程で外径のブランク
抜き6が行われるようになっている。前記V突起5を形
成するパンチはV突起加工の都度、スキュー量に対応し
た所定角度だけ回転してスロットのスキュー量分だけ、
ずれながらV突起を形成する。一方、ブランク抜きされ
た積層板7〔第5図(b)〕は打抜きパンチの圧力でダ
イ(ここではまだ図示していない)内に押し込まれ、先
にダイ内に押し込まれた積層板と積層される。かかる積
層ではダイは上下の積層板間のV突起を相互に一致させ
るように、すなわちスロットのスキュー量に対応する角
度で回転する。従って、ダイ内に押し込まれた積層板7
は、第6図に示すようにそのV突起5がダイ内で保持さ
れている積層板7aのV突起と一致しているため、V突起
が相互に嵌合して積層鉄心が形成されるようになってい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、ダイ内に保持されている積層板はダイと共に
回転する必要があり、シュートを設けるのが不可能であ
ると共に積層鉄心の重量を支える受台などをダイ内に設
けるのが難しい。このため、積層板はV突起の嵌合力で
ダイ内に保持されており、積層枚数が多く長い積層鉄心
では、その重量が大きくなって支えることができず、途
中で外れて落下することがある。従って、従来の方法で
は長い積層鉄心を製造することが難しいものとなってい
る。
ここにおいて本発明は、ダイ内の積層板を回転させる
必要がある場合でも長い積層鉄心を製造することが可能
な回転電機鉄心の製造方法を提供することを目的とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため本発明は、V突起に対応しな
い位置に切離し突起を有する積層板をV突起積層板間に
挿入積層して、ダイ内の積層鉄心を上下に分割するよう
にしたものであり、さらに切離し突起を有する積層板の
積層の後に、ダイ内の積層鉄心のV突起に積層板のV突
起が一致するようにパンチおよびダイを復帰回転させる
ようにしたものである。ここで、切離し突起が形成され
た積層板を上下の積層鉄心間から取り外して、上下の積
層鉄心のV突起を嵌合させて長い積層鉄心とすることが
できる。
および、 前記目的を達成するため本発明は、V突起に対応する
打抜き穴を有する積層板をV突起積層板間に挿入積層し
て、ダイ内の積層鉄心を上下に分割するようにしたもの
であり、さらに打抜き穴を有する積層板の積層の後に、
ダイ内の積層鉄心のV突起に積層板のV突起が一致する
ようにパンチおよびダイを復帰回転させるようにしたも
のである。ここで、打抜き穴が形成された積層板を上下
の積層鉄心間から取り外して、上下の積層鉄心のV突起
を嵌合させて長い積層鉄心とすることができる。
〔作用〕
順送りされる積層板はスキュー量に対応したパンチお
よびブランク抜きダイの回転でV突起が相互に一致し、
ブランク抜きダイ内ではV突起が嵌合して積層鉄心とな
る。切離し突起もしくは打抜き穴を有する積層板は、適
宜の積層枚数毎に形成されて積層鉄心に積層されるが、
切離し突起が形成されているためもしくは打抜き穴がV
突起と一致するため積層鉄心と結合されることがなく、
切離し突起もしくは打抜き穴を有する積層板を境とし
て、上下の積層鉄心は分割され、積層による重量増が回
避される。また、切離し突起もしくは打抜き穴を有する
積層板の積層の後は、パンチおよびブランク抜きダイが
復帰回転するため、その後に積層される積層板のV突起
が切離し突起のある積層板のV突起と一致しもしくは打
抜き穴と一致し、積層ずれを起こすことがない。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例をさらに具体的に説明する。
まず、本発明が適用される製造装置の一例を第4図に
より説明する。同図は順送りプレスにおける第4工程お
よび第5工程を受けもつ装置であり、上下駆動されるラ
ム11に回転パンチ13および外径パンチ17が取り付けられ
ている。回転パンチ13は積層板30にV突起を形成するパ
ンチであり、適宜位置にV形刃先13aが取り付けられる
と共に、パンチホルダ12に軸受14を介して回転可能に支
持され、パルスモータ15によりタイミングベルト16を介
してスキューに必要な所定角度ずつ間欠回転する。一
方、外径パンチ17はブランク抜きを行うパンチであり、
前記パンチホルダ12に支持されている。前記回転パンチ
13下方にはダイホルダ18に取り付けられたV突起用ダイ
19が設けられており、このダイ19には円環状のパンチ溝
20が形成されている。また、外径パンチ17下方にはブラ
ンク抜きのダイ21が設けられている。このダイ21はダイ
ホルダ18にベアリング22を介して回転可能に支持され、
パルスモータ23によりタイミングベルト24を介してスキ
ューに必要な所定角度ずつ間欠回転する。25は積層板受
台であり、打ち抜きに応じて下降する。
次に、上記装置を使用した本発明方法を第1図により
説明する。
スロット31が形成された帯状鋼板が供給され、ラム11
が下降すると、回転パンチ13は先端がダイ19の円環状の
パンチ溝20に挿入してパンチの内外周で鋼板を切断する
と共にV形刃先13aでV突起32を形成する。次にこの鋼
板が外径パンチ17側に供給されると、ラム11の下降によ
り外径パンチ17は積層板30を打ち抜き、ダイ21内に保持
された積層板に押しつけて積層する。以上の動作の繰り
返しにより、ダイ21内で積層板30を積層するが、回転パ
ンチ13および外径パンチ17の打抜動作の都度、パルスモ
ータ15および23は回転パンチ13およびダイ21をスキュー
量に応じた所定の角度ずつ同じ方向に回転させる。従っ
て、ダイ21内の積層板30は第1図のように、V突起32が
相互に一致し、上下の積層板30はV突起32の相互嵌合に
よって結合され、スロット31がスキュー状態で連通す
る。これにより所定の積層厚の第1層の積層鉄心33が形
成される。
この第1層の積層鉄心33の形成の後、次の積層板35に
対して回転パンチ13のV形刃先13aはまず前述のとおり
の動作を行い、それからパンチ13は適宜の所定量回転移
動した後ラム11を下降させ、その回転移動によりV形刃
先13aはかしめ用のV突起とは別異の切離し突起34を形
成する。第1図中、35はこの切離し突起34が形成され、
他は同様に加工された積層板である。この場合、積層板
35の切離し突起34は第1層の積層鉄心33におけるV突起
32とは別異の位置に形成される。これは切離し突起34の
加工の際に回転パンチ13をスキュー量に応じた角度だけ
回転させると共に、この積層板35のブランク抜きの際に
ダイ21を同角度だけ回転させることにより行うことがで
きる。これにより積層板35はその切離し突起34が第1層
の積層鉄心33と一致するように積層される。
かかる積層板35の積層の後、V突起32を有する積層板
30を前述と同様の作動で加工しながら順次、積層する
と、積層板35に第2層の積層鉄心36が形成される。ここ
で、この第2層の積層鉄心36における第1段目の積層板
30aの加工前には、回転パンチ13およびブランク抜きダ
イ21を復帰回転させる。この復帰回転は第1層の積層鉄
心33のV突起32に第2層の積層鉄心36のV突起が一致す
るように行われる。すなわち第2層の積層鉄心36におけ
る第1段目の積層板30aのV突起32aが第1層の積層鉄心
33のV突起と一致するように行われ、これにより第2層
の積層鉄心36における第1段目の積層板30aのV突起32a
が積層板35のV突起32内に挿入される。このような状態
では、第2層の積層板30aと第1層の積層鉄心板33とが
結合されておらず、積層板35を境にして第1層の積層鉄
心33と第2層の積層鉄心36とが分割される。従って、積
層鉄心33,36は所定積層厚となり、積層数の増大による
積層鉄心の重量増を回避することができ、積層鉄心33,3
6内では積層板30はV突起の嵌合力で結合状態を維持で
きる。このため積層途中で外れることがない。
上記積層鉄心33,36から、さらに長い積層鉄心を形成
する場合には、積層鉄心33,36間の積層板35を外し、積
層鉄心33,36のV突起を相互に嵌合させることで行うこ
とができる。この場合においても、第2層の積層鉄心36
の形成の際に、ブランク抜きダイ21が復帰回動して積層
を開始するため、第2層の積層鉄心36のスロット31が第
1層の積層鉄心33のスロット31とスキュー分と同量ずれ
た状態となっている。従って第1層および第2層の積層
鉄心33,36のスロットは第3図で示すように、位置狂い
のない状態で連通し、スキューを有し、しかも長尺な積
層鉄心とすることができる。
次に本発明の他の実施例について説明する。
第2図は、この他の実施例の工程を表わす断面図であ
る。
すべての図面において同一符号は、同一の部材を示
す。
この他の実施例は、さきの一実施例における切離し突
起に代えて、打抜き穴を穿った積層板を各層の積層鉄心
間に挿入する方法である。
そこで、第4図のV突起用ダイは円環状ではなく、V
突起5の表面を包含する長方形の溝を形成しており、回
転パンチ13の回転と同期して、つまりV形刃先13aと全
く一緒の移動を行うようにしてある。
また、V突起を形成するときは第4図に示すとおりで
あるが、打抜き穴を穿ったときはV形刃先13aはさらに
下方へ前進した位置におくように制御される。
そこで、上述の手段により所定の積層厚の第1層の積
層鉄心33が形成される。
この第1層の積層鉄心33の形成の後、回転パンチ13の
V形刃先13aは適宜の駆動手段によって下方に所定量移
動する。駆動手段はシリンダあるいはカムとモーターと
の連動によって構成でき、その移動によりV形刃先13a
はV突起を形成することなく鋼板を打抜いて、打抜き穴
34aを形成する。第2図において、35はこの打抜き穴34a
が形成され、他は同様に加工された積層板である。この
場合、積層板35の打抜き穴34aは積層鉄心33におけるV
突起32と一致するように形成される。これは打抜き穴34
aの加工の際に回転パンチ13をスキュー量に応じた角度
だけ回転させると共に、この積層板35のブランク抜きの
際にダイ21を同角度だけ回転させることにより行うこと
ができる。これにより積層板35はその切離し突起34aが
第1層の積層鉄心33と一致するように積層される。
かかる積層板35の積層の後、V突起32を有する積層板
30を前述と同様の作動で加工しながら順次、積層する
と、積層板35に第2の積層鉄心36が形成される。ここ
で、この第2の積層鉄心36における第1段目の積層板30
aの加工前には、回転パンチ13およびブランク抜きダイ2
1を復帰回転させる。この復帰回転は第1層の積層鉄心3
3のV突起32に第2層の積層鉄心36のV突起が一致する
ように行われる。すなわち第2層の積層鉄心36における
第1段目の積層板30aのV突起32aが第1の積層鉄心33の
V突起と一致するように行われ、これにより第2の積層
鉄心36における第1段目の積層板30aのV突起32aが積層
板35の打抜き穴34a内に挿入される。このような状態で
は、積層板30aと積層板35とが結合されておらず、積層
板35を境にして第1層の積層鉄心33と第2層の積層鉄心
36とが分割される。従って、積層鉄心33,36は所定積層
厚となり、積層数の増大による積層鉄心の重量増を回避
することができ、積層鉄心33,36内では積層板30はV突
起の嵌合力で結合状態を維持できる。このため積層途中
で外れることがない。
上記積層鉄心33,36から、さらに長い積層鉄心を形成
する場合には、積層鉄心33,36間の積層板35を外し、積
層鉄心33,36のV突起を相互に嵌合させることで行うこ
とができる。この場合においても、第2層の積層鉄心36
の形成の際に、ブランク抜きダイ21が復帰回動して積層
を開始するため、第2層の積層鉄心36のスロット31が第
1層の積層鉄心33のスロット31とスキュー分と同量ずれ
た状態となっている。従って第1層および第2層の積層
鉄心33,36のスロットは第3図で示すように、位置狂い
のない状態で連通し、スキューを有し、しかも長尺な積
層鉄心とすることができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明は、打抜き穴を有する積層
板によって上下の積層鉄心に分割するため、積層途中に
おける外れを防止することができる。また、打抜き穴を
有する積層板の積層の後に、パンチおよびダイを復帰回
転してスキューが連続した積層を行うため、分割された
上下の積層鉄心を結合させてもスロットは良好なスキュ
ーを形成するように連通する。従って、長い積層鉄心を
容易に、かつ精度よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の工程を示す断面図、第2図は別の工程
を示す断面図、第3図は本発明になる積層鉄心を表わす
断面図、第4図は本発明が適用される装置の断面図、第
5図は従来の順送り加工による打抜状態を示す説明図、
第6図は同加工における積層状態を示す断面図である。 13……回転パンチ、21……ブランク抜きダイ、30,35…
…積層板、31……スロット、32,32a……V突起、33……
第1層の積層鉄心、34……切離し突起、34a……打抜き
穴、36……第2層の積層鉄心。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スロットが形成された積層板を順送りし、
    スキュー量に応じた角度で回転するパンチと円環状のパ
    ンチ溝を持つV突起用ダイによって積層板にV突起を形
    成し、このV突起が相互に嵌合するように回転するブラ
    ンク抜きダイ内で前記積層板を積層する方法において、 前記積層板にV突起を形成した後に、前記パンチを回転
    させ前記V突起に対応する位置と異なる位置に切離し突
    起を形成する工程と、 前記V突起が形成された積層板の所定積層枚数毎に前記
    切離し突起が形成された積層板を積層して上下の積層鉄
    心に分割する工程と、 前記切離し突起が形成された積層板の積層後に、ダイ内
    の積層鉄心のV突起と積層板のV突起とが一致するよう
    にパンチおよびダイを復帰回転させる工程と、 前記切離し突起が形成された積層板を前記積層鉄心の間
    から外した後、上下の積層鉄心のV突起を嵌合させる工
    程と、 を備えていることを特徴とするスキューを有する回転電
    機鉄心の製造方法。
  2. 【請求項2】スロットが形成された積層板を順送りし、
    スキュー量に応じた角度で回転するパンチとこのパンチ
    と同期して回転するV突起用ダイによって積層板にV突
    起を形成し、このV突起が相互に嵌合するように回転す
    るブランク抜きダイ内で前記積層板を積層する方法にお
    いて、 前記積層板の前記V突起に対応する位置に、前記パンチ
    の刃先を予め前進させておき、打抜き穴を形成する工程
    と、 前記V突起が形成された積層板の所定積層枚数毎に前記
    打抜き穴が形成された積層板を積層して上下の積層鉄心
    に分割する工程と、 前記打抜き穴が形成された積層板の積層後に、ダイ内の
    積層鉄心のV突起と積層板のV突起とが一致するように
    パンチおよびダイを復帰回転させる工程と、 前記打抜き穴が形成された積層板を前記積層鉄心の間か
    ら外した後、上下の積層鉄心のV突起を嵌合させる工程
    と、 を備えていることを特徴とするスキューを有する回転電
    機鉄心の製造方法。
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