JP2681976B2 - 積層フィルム及びその利用物 - Google Patents

積層フィルム及びその利用物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ポリフェニレンスルフィドフィルム(以下
PPSフィルムと略称することがある。)をベースとした
積層フィルムに関するものである。
[従来の技術] 従来の(1)PPSフィルムは、特公昭55-3549号公報等
で公知であり、耐熱性、電気特性、難燃性、耐薬品性な
どに優れた性能を有し、電気絶縁材として注目されてい
る。
一方、PPSフィルムを不融化することは、(2)USP3,
948,865においてPPS成形品を過酸化水素もしくは次亜塩
素酸ソーダ等で酸化して不融化することが提案されてい
る。また、(3)特公昭61-92828、特公昭61-92829で2
軸配向PPSフィルムを過酢酸や過プロピオン酸などの過
カルボン酸でスルホン化し、不融化することが提案され
ている。
[発明が解決しようとする課題] しかし、上記のフィルムは次のような欠点を有してい
る。(1)項のフィルムは耐熱性及び難燃性は有するも
のの、フィルムの融点が280℃〜290℃であるため、融点
以上に加熱されると溶融してしまい、また燃焼するとド
リップするという問題を有している。また(2)項のPP
Sフィルムの酸化物は、不融化物であるが非常に脆く、
亀裂を容易に形成しやすい。また(3)項の2軸配向ポ
リ−P−フェニレンスルホンフィルムは、(2)項のも
のより機械特性は優れているがPPSフィルム層とスルホ
ン化層とが容易に剥離したり、難燃性が失なわれるとい
う問題点を有している。本発明は、係る問題点を解消す
ること、すなわち、PPSフィルムの融点以上の温度に対
しても不融であり、かつ不燃で機械的強度を保持したフ
ィルム及びその利用物を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、ポリフェニレンスルフィドフィルムの少な
くとも片面に鉄、コバルト、ニッケルから選ばれた1種
以上の金属の化合物粒子を30重量%以上含有する樹脂層
を設けることを特徴とする積層フィルムである。
本発明において、ポリフェニレンスルフィドフィルム
(以下PPSフィルムと略称することがある)とは、ポリ
−P−フェニレンスルフィドを主成分とする樹脂組成物
を、溶融成形してフィルムとしたもので未延伸1軸又は
2軸延伸かを問わないが、2軸延伸フィルムが好まし
い。
また、該フィルムの厚さは、2〜200ミクロンの範囲
が好ましい。
本発明においてポリ−P−フェニレンスルフィドを主
成分とする樹脂組成物(以下、PPS系組成物と略称する
ことがある)とは、ポリ−P−フェニレンスルフィドを
90重量%以上含む組成物を言う。
PPSの含有量が90重量%未満では、組成物としての結
晶性、熱転移度等が低くなり、該組成物からなるフィル
ムの特長である耐熱性、寸法安定性、機械的特性などを
損なう。
該組成物中の残りの10重量%未満はPPS以外のポリ
マ、無機または有機のフィラー、滑剤、着色剤、紫外線
吸収剤などの添加物を含むことも、本発明の目的を害し
ない範囲なら差し支えない。
該樹脂組成物の溶融粘度は、温度300℃、せん断速度2
00 1/secのもとで、500〜12000ポイズ(より好ましくは
700〜10000ポイズ)の範囲がフィルムの成形性の点で好
ましい。
該樹脂組成物の溶融粘度は、最終的に得られる2軸配
向ポリ−P−フェニレンスルフィドフィルムの、溶融粘
度に等しい。
本発明においてポリ−P−フェニレンスルフィド(以
下、PPSと略称することがある)とは、繰り返し単位の7
0モル%以上(好ましくは85モル%以上)が構造式 で示される構成単位からなる重合体をいう。係る成分が
70モル%未満ではポリマの結晶性、熱転移温度等が低く
なりPPSを主成分とする樹脂組成物からなるフィルムの
特長である耐熱性、寸法安定性、機械的特性等を損な
う。
繰り返し単位の30モル%未満、好ましくは15モル%未
満であれば共重合可能なスルフィド結合を含有する単位
が含まれていても差し支えない。
本発明の積層フィルムは、PPSフィルムの少なくとも
片面に鉄、コバルト、ニッケルから選ばれた一種以上の
金属の化合物微粒子を含有する層を設けなければならな
い。
本発明の該化合物は、上記の金属の酸化物、塩化物、
水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩などが好ましい。例
えば酸化鉄、塩化鉄、硝酸鉄、硫酸鉄、水酸化鉄、塩化
コバルト、塩化ニッケルなどを挙げることができるが、
酸化鉄など温度、水分に対し安定なものが特に好まし
い。また該化合物の形状は微粒子状で、平均粒径が5μ
以下のものが好ましい。
また該化合物は、本発明の積層部に30重量%以上含有
される。更に好ましくは、30重量%〜95重量%の範囲内
である。30重量%未満であると本発明の目的である不融
化及び不燃化が達成できない。また該層の金属の化合物
以外の組成物は、該層をPPSフィルムに付着せしめるも
ので、ウレタン、アクリル、エポキシなどの樹脂が好ま
しい、難燃剤、分散剤、着色剤などの添加剤を含むこと
もできる。
また、PPSフィルムの厚さ(A)に対する積層厚み
(B,B′)は、片面のみ積層する場合は0.025≦B/A≦0.
4,両面に積層する場合は、0.05≦(B+B′)/A≦0.6
の範囲内が本発明の目的から好ましい。
本発明の積層フィルムを被覆した耐火絶縁ケーブルに
おける導体とは、鉄、銅、しんちゅうなどの金属で電気
を導くものであり、単線又は2本以上のより線である。
また光ファイバーとは、シリコン糸などの樹脂からなる
毛細状の管を用い、電気信号を光信号に変換し、該管を
通して光信号を送る目的のものを言う。また耐火絶縁ケ
ーブルとは、上記の導体や光ファイバーに本発明の不融
化及び不燃化の積層フィルムをランピング又はチューブ
状にして被覆したものである。被覆に際して、接着剤を
用いたり、熱処理されたり、樹脂含浸されてもよい。該
絶縁ケーブルに用いられる本発明の積層フィルムの厚さ
は、6〜125μmの範囲内が好ましい。
該絶縁ケーブルは、例えば、ホテルやデパートなどの
壁難路の表示設備や消化設備などの電気設備などのケー
ブルに用いられ、万一、火災が発生した場合の短絡事故
やケーブルの破損を少しでも長時間防止し、人命を救う
ことを目的とされる。
また光ファイバーの本発明の絶縁ケーブルは、落電等
による短絡事故防止を目的に用いられる。
本発明で言うソルダーマスキングテープとは、本発明
の積層フィルムの片面に耐熱性の粘着剤を積層して、プ
リント基板などのハンダ付け加工時にハンダの付着をき
らう部分のマスクとして用いられるものである。ここで
言う耐熱性の粘着剤とは、250℃〜300℃のハンダに対し
て、流動したり、はがれたりしないものを言い、例えば
シリコン系の粘着剤を挙げることができる。また、該粘
着剤の積層量[Y]は、本発明の積層フィルムの厚さ
[X]に対して、0.2≦Y/X≦2.0の範囲が好ましい、ま
た本発明の積層フィルムの厚さは、3〜75μの範囲が好
ましい。
次に本発明で言う耐熱不燃ラベルとは、本発明の積層
フィルムの片方の面に接着機能をもつ樹脂組成物を設
け、もう一方の面に耐熱又は不燃紙又は、印刷塗料を設
けたものである。該ラベルは、装置などの高温部や金属
又は樹脂の成形品などの高温部分に危険箇所の表示や製
品の表示を目的に用いられるものである。ここで言う接
着機能をもつ樹脂組成物とは、耐熱接着剤、耐熱不燃粘
着剤を言い、シリコン系のものが例として挙げられる。
また他方の面に設けられる耐熱紙、不燃紙、印刷塗料
は、表示を目的とするものである。該ラベルに用いられ
る積層フィルムの厚さは、3〜125μのものが好まし
い。
次に本発明の耐熱複合材とは紙又は無機物からなる不
燃シートの少なくとも片面に本発明の積層フィルムを積
層したもので、紙や無機物からなるシートを補強するこ
とを目的に該積層フィルムを用いるものである。また該
複合材の紙は、セルロースと酸化アルミやシリカなどの
無機物からなるものである。また、無機物からなるシー
トとは、例えばマイカ、セラミックシートなどを挙げる
ことができる。該シートの厚さは、10μ〜300μの範囲
が好ましい。また該複合材の上記のシート(β)と本発
明の積層フィルムの厚み(α)の比は、0.2≦β/α≦
4.0の範囲が好ましい。
また本発明の保温用ラギング材とは、石綿、ガラス繊
維などの不燃保温材と本発明の積層フィルムからなる積
層体である。該積層フィルムは、ラキング材の補強材を
目的に用いられ、厚さは、10μ〜200μのものが好まし
い。
本発明の耐熱壁紙及び内装材は、紙、繊維シート、樹
脂シートを支持体とし、その支持体に本発明の積層フィ
ルムを接着剤を介して積層したものである。
ここで言う紙とは、不燃又は難燃性を有する紙であ
り、また繊維シートとは、布、不織布などを言う。ま
た、樹脂シートは塩化ビニルやフッ素系の樹脂シートな
どを挙げることができる。
該壁紙及び内装材は、一般の建材用及び飛行機の内装
材に用いられる。該壁紙及び内装材に用いる本発明の積
層フィルムの厚さは、6〜100μmのものが好ましい。
次に本発明の積層フィルム及び該積層フィルムを利用
したものの製造方法を述べる。
本発明に用いるPPSは、硫化アルカリとパラジハロベ
ンゼンとを極性溶媒中で高温高圧下に反応させて得られ
る。特に、硫化ナトリウムとパラジクロルベンゼンをN
−メチルピロリドン等のアミド系高沸点極性溶媒中で反
応させるのが好ましい。この場合、重合度を調整するた
めに、力性アルカリ、カルボン酸アルカリ金属塩等のい
わゆる重合助剤を添加して、230〜280℃で反応させるの
が最も好ましい。重合系内の圧力および重合時間は使用
する助剤の種類や量および所望する重合度等によって適
宜決定する。得られた粉状または粒状のポリマを、水ま
たは/および溶媒で洗浄して、副製塩、重合助剤、未反
応モノマー等を分離する。
このポリマを2軸配向フィルムに成形するには、押出
機により溶融された該樹脂を口金から定量的に金属ドラ
ムの上にキャスティングし、急速冷却することによって
無配向、非晶状態のシートを得て、該シートを周知の方
法で2軸延伸、熱処理する。延伸は長手方向、幅方向と
も90〜110℃で3.0〜4.5倍の範囲でおこなう。熱処理は2
40℃〜融点の範囲で、定長または15%以下の制限収縮下
に1〜60秒間おこなう。さらに、該フィルムの熱的寸法
安定性を向上させるために、一方向もしくは二方向にリ
ラックスしてもよい。
次に積層フィルムの製造方法について述べる。
本発明に用いる金属の化合物は、先に述べたように酸
化鉄、塩化鉄、硝酸鉄、水酸化鉄、塩化コバルト、塩化
ニッケルなどを用いることができる。
PPSフィルムに該金属の化合物を積層する方法は、該
金属の化合物の微粒子を樹脂組成物からなるバインダー
に混合分散し、コーティングによって積層するのが最も
好ましい。樹脂組成物とは、ウレタン系、アクリル系、
エポキシ系などを例に挙げることができる。また該樹脂
組成物中に難燃材や分散剤や着色剤などの添加剤が含ま
れてもよい。また混合分散の方法は、ボールミルやミキ
サーで行なう。また上記の樹脂組成物は溶剤系のものが
好ましい。また該金属の化合物微粒子の含有量は、上記
で作成した金属化合物を含む樹脂組成物の全固形分に対
して、30重量%以上、好ましくは30〜95重量%になるよ
う調整する。該積層フィルムに用いる金属の化合物微粒
子は、塗布面のタック性や作業性から考えて酸化鉄を用
いるのが特に好ましい。
また上記のコーティングに先がけて、PPSフィルムに
コロナ放電処理やプラズマ処理などの表面処理を行なう
ことは好ましい。
次に上記の組成物をコーティングする方法としては、
グラビアロール法、リバースコータ法、スリットダイ法
などがある。またテーブルでの塗布方法としては、メタ
リングバー、アプリケーター、又はガラス棒などでコー
ティングすることもできる。またコーティング後の溶剤
の乾燥は用いられる溶剤の種類により異なり、通常は溶
剤の沸点付近の温度で残存溶剤が完全になくなる条件が
選ばれる。
次に本発明の積層フィルムを被覆した耐火絶縁ケーブ
ルの製造方法を述べる。
鉄、銅製などの金属線に接着剤を用いて被覆するか、
直接該積層フィルムを被覆する。接着剤を用いる場合
は、エポキシ系、アクリル系、シリコン系などの耐熱硬
化型接着剤で難燃性を有するものが好ましい。該接着剤
は、本発明の積層フィルムの製造方法と同様にコーティ
ングによって該積層フィルムに設けるのが好ましい。ま
た、該接着剤は上記金属線に被覆後、必要に応じてキュ
アする。また、接着剤を用いずに被覆する場合は、被覆
後に加熱収縮させるのが好ましい。該加熱温度は、200
〜260℃が好ましい。また被覆の方法としては、該積層
フィルムをテープ状にスリットして、ラピングして被覆
するか、あらかじめ該積層フィルムをチューブ状に加工
してから被覆するなどの方法が用いられる。光ファイバ
ーに被覆する場合も上記と同様の方法が用いられる。
ソルダーマスキングテープの製造方法は、本発明の積
層フィルムの片面に周知の方法で耐熱性の粘着剤をコー
ティングしてテープ状にスリットして製造される。耐熱
性の粘着剤の代表例としては、シリコン系のものが挙げ
られる。また、必要に応じて離型性を有するフィルム又
は紙を該マスキングテープの粘着剤面に貼り合わせる。
耐熱不燃ラベルは、本発明の積層フィルムの片方の面
に周知の方法で耐熱紙又は不燃紙を設けるか、印刷を行
なう。該紙とは、例えば無機物とセルロースからなる紙
などが挙げられる。また印刷塗料は、耐熱性のあるもの
が好ましくエポキシ系のものなどが挙げられる。
耐熱複合材は、紙や無機物からなるシートと本発明の
積層フィルムを接着剤を用いて周知の方法でラミネート
される。該接着剤は耐熱性のあるものが好ましく、エポ
キシ系、アクリル系、シリコン系のものが用いられる。
また、保温用のラキング材は、本発明の積層フィルム
の片面に周知の方法で接着剤を塗布し、石綿やガラス繊
維などの保温材をラミネートする方法が一般的である。
本用途に用いられる接着剤もエポキシ系やシリコン系の
耐熱接着剤が好ましい。
また、耐熱壁紙及び内装材も、紙や繊維シートと本発
明の積層フィルムを接着剤を用い、周知の方法でラミネ
ートして製造される。
[発明の効果] 本発明は、PPSフィルムに特定の金属の化合物を含む
樹脂層を積層することにより、従来のPPSフィルムの特
性、特に機械的強度、電気絶縁性を低下させることな
く、耐熱性、難燃性が格段に向上した。
[作用] 本発明の積層フィルムが、PPSフィルムの少なくとも
片面に、それ自身は難燃性ではない金属化合物含有層を
設けることで何故積層フィルムとしての難燃性、瞬間耐
熱性が格段に向上するのか明確ではないが、おおよそ次
のように考えられる。
すなわち、本発明の積層フィルムを、燃焼、溶融させ
ようとして、火源を近づけたり、加熱したりすると、そ
の熱により、表面の金属化合物が触媒となって、PPSフ
ィルムの架橋が極めて急速に起こり、そのため、PPSが
溶融するよりも早く不融状態になり、また難燃性が向上
するものと考えられる。
次に本発明の記述において使用した特性の測定方法お
よび評価の基準を述べる。
(1).ハンダ耐熱性 300℃±2℃に設定したハンダの液面に10秒間浮べ
て、溶融状態を観察した。
(2).燃焼後の形態保持性 20mm×100mmのフィルムサンプルを50メッシュの金網
上に置き、下方よりバーナで燃焼させ、その燃焼後の形
態変化を次の基準で観察した。
○;溶融せず原形に近い形で残る。
△;一部溶融が見られる。
×;完全に溶融する。
(3).酸素指数 JIS-K-7201に準じて測定した。
(4);耐電圧 5mmφの銅棒にフィルムをラピングし、250℃の温度で
10分間エージングした後の耐電圧を測定した。(JIS-C-
2317) (5).引張り強度、破断伸度 ASTM-D-882-64Tより測定した。
[実施例] 次に本発明を実施例を挙げて詳細に説明する。
実施例1,比較例1〜3 (1).本発明に用いるPPSフィルム。
東レ(株)製の2軸配向PPSフィルムである“トレリ
ナ”フィルムタイプ3000の25μm厚さを用いた。また該
フィルムの両面に6000J/m2のコロナ放電処理を施し、こ
のフィルムをPPS-BO-1とした。
(2).積層フィルムの調整 アクリルポリオール樹脂“コータックス"HL608(東レ
(株)製、固形分濃度50重量%)、イソシアネート“ス
ミジュール"N75(住友バイエル製、固形分濃度75重量
%)に、平均粒径が0.4μの酸化第2鉄微粒子を酸化第
2鉄微粒子を含む全固形分に対して80重量%の割合で添
加し、ボールミルで32時間混練した。得られた上記の塗
料を全固形分濃度が30重量%になるように酢酸エチルで
稀釈した。次にグラビアロール法で上記の塗料をPPS-BO
の両面にコーティングした。コーティング厚みは、乾燥
後で片面当り3μになるよう調整した。また乾燥条件
は、100℃で1分間とした。(積層フィルム−1とす
る)。
(3).比較例1〜3調整 PPS-BO-1(比較例1)を準備した。PPSフィルムを酸
化することにより、耐熱性が向上することが知られてい
るので、上記PPS-BO-1を240℃の温度で16時間熱処理し
たフィルム(酸化フィルム−1)と240℃の温度で200時
間熱処理したフィルム(酸化フィルム−2)を作成し
た。上記の酸化フィルムをそれぞれ比較例2,3とする。
(4).評価 実施例1で得られた積層フィルムの評価結果を比較例
と合わせて第1表に示した。
本発明の積層フィルムは、耐熱性、難燃性は従来のPP
Sフィルムに比較して格段に優れていることがわかる。
一方、機械的強度、耐電圧は、従来品に比べて低下して
いない。
また比較のために作成したPPSフィルムの酸化品は、
機械強度を保持している条件で作成すると耐熱性を向上
させる効果はなく、耐熱性を向上させる条件で作成した
ものは逆に機械強度が低下してしまう。
実施例2 (1).積層フィルムの調整 塩化第2鉄、硝酸第2鉄、硫酸第2鉄、塩化コバル
ト、塩化ニッケルの金属化合物を実施例1と同様に樹脂
に分散させ、PPS-BO-1の両面にメタリングバーを用いて
塗布した。乾燥条件は、100℃で3分間であり、塗布厚
みは、5μmである。得られた5種類の積層フィルムを
(積層フィルム−2〜6とする。) (2).評価 実施例2で得られた積層フィルムの評価結果を第2表
に示す。本発明の積層フィルムは、耐熱性及び難燃性と
も本発明の目的を達成していた。
実施例3、比較例4,5 (1).積層フィルムの調整 実施例1と同様にして、酸化第2鉄の含有量が異なっ
た7種類の積層フィルムを作成した。該含有量は、酸化
第2鉄を含む塗料の全固形分に対して、10重量%、20重
量%、30重量%、50重量%、70重量%、95重量%、98重
量%であり、実施例1の条件に従って積層した。得られ
た積層フィルムを積層フィルム−7〜13とした。(但し
積層フィルム7,8は、比較例4,5である。) (2).評価 上記7種類の積層フィルムの評価結果を第3表に示
す。酸化第2鉄の含有量が30重量%以上ないと本発明の
目的が達成できないことがわかる。
また、該含有量が98重量%のものは、塗布面を手で触
れると簡単に塗布層が剥離した。
実施例4 (1).耐火絶縁ケーブルの作成 実施例1で作成した積層フィルム−1を10mm幅にスリ
ットし、該フィルムのテープを作成した。上記のテープ
を5mmφの銅製の棒にテープの幅方向が1/2ずつ重なるよ
うラピングし、該ラピングを3回重ねた。次に該フィル
ムをラピングした銅の棒を250℃、5分間熱処理し、フ
ィルムと銅の棒との密着性を良くした。
また、比較のためにPPS-BO-1を用いて同様の絶縁ケー
ブルを作成した。
(2).評価 上記の2種類の絶縁ケーブルを400℃、10分間のエー
ジングを行って、耐電圧を測定した結果、本発明の絶縁
ケーブルは、10KVの耐電圧を示した。一方、比較のため
に作成したPPS-BO-1を用いた絶縁ケーブルは、一部溶融
し、その部分が導通し測定できなかった。
実施例5 (1).ソルダーマスキングテープの作成 実施例1で作成した積層フィルム−1の片面にシリコ
ーンの粘着剤KR-100(信越化学工業(株)製)、をリバ
ースコーター法で塗布した。塗布厚みは、乾燥後で20μ
mになるよう調整した。また、乾燥条件は、120℃で1
分間とした。得られた該マスキングフィルムは、シリコ
ンコートした離型フィルムを挟んで50mm幅にスリットし
た。
また、比較のためにPPS-BO-1にも同条件で該粘着剤を
塗布したものを作成した。
(2).評価 上記の2種類のマスキングテープを厚さ1.2mmのガラ
スエポキシ基板に貼り合せ、300℃のハンダに10秒間デ
ィップした。本発明のマスキングテープは、なんの変化
も見られないが、比較のため作成したPPS-BO-1を用いた
ものは溶融した。
実施例6 (1).耐火不燃ラベルの作成 実施例1の積層フィルム−1の片方の面に不燃紙“セ
ラホーム"A W-120(四国製紙(株)製)の100μmを
“ケミットエポキシ"TE5920(東レ(株)製)のエポキ
シ系接着剤を介して積層した。接着剤の塗布厚みは、3
μmで、コーティングバーで塗布した。また乾燥条件
は、100℃で3分間であり、接着剤の硬化条件は150で1
時間とした。次に上記の積層体のフィルム面に更にシリ
コン系の粘着剤(実施例5で用いたもの)をガラス棒で
20μmの厚さに塗布し、120℃、3分間の条件で乾燥し
た。さらに粘着剤の面に離紙を貼り合せた。得られた上
記の積層体を5cm×3cmのサイズにカットした。
また比較のためにPPS-BO-1を用いて同条件でラベルを作
成した。
(2).評価 上記の2種類のラベルを厚さ2mmのアルミ板に貼り付
け、350℃のオーブンに10分間入れておいた。本発明の
ラベルは、なんら変化は見られなかった。一方、比較の
ために作成したラベルは、PPS-BOの部分が溶融してい
た。
実施例7 (1).耐熱不燃複合材の作成 不燃紙“セラフォーム"A,W-120(四国製紙(株)製)
の110μmの両面に接着剤を介して、実施例1の積層フ
ィルムをラミネートした。該接着剤は、アクリル樹脂
“コータックス"LK730(東レ(株)製、固形分濃度50重
量%)、エポキシ樹脂“エピコート"828(油化シエルエ
ポキシ製)及び難燃剤CR-505(大八化学(株)製)を固
形分比で15:1:1としたものを用いた。該接着剤の塗布方
法は、ガラス棒を用いて行ない、乾燥条件は、120℃で
3分間とした。また接着剤の塗布厚みは、5μmになる
よう調整した。また該複合材の積層は小型ラミネート
で、180℃の温度で3kg/cmのニップ圧力で行った。また
接着剤の硬化条件は、180℃で1時間である。
比較のためにPPS-BO-1を用いて同様の条件で複合材を
作成した。
(2).評価 上記の2種類の複合材をバーナを用いて炎に近づける
と、本発明の複合材は、燃焼させても燃えず、フィルム
のドリップも生じなかった。一方、比較のために作成し
た複合材は、炎に近づけると溶融しはじめ、燃焼すると
フィルムがドリップした。
実施例8 (1).保温用ラキング材の作成 実施例1の積層フィルム−1の片面に“ケミットエポ
キシ"TE5920(東レ(株)製)のエポキシ接着剤をコー
ティングバーで塗布し、10℃で3分間乾燥した。接着剤
の厚みは10μmであった。上記のフィルムに厚さ5mmの
ガラス製のフェルトを積層した。積層方法は、油圧プレ
ス方式で、130℃、5kg/cm2の条件で3分間行ない、更に
プレス温度を150℃に上げ、接着剤を熱硬化した。硬化
時間は、1時間とした。
また、比較のために、PPS-BO-1を用いて同様のラキン
グ材を作成した。
(2).評価 上記で得られた2種類のラキング材を300℃でコント
ロールするフィルムを製造する口金上にガラス製のフエ
ルトを接して1時間放置した結果、本発明のラキング材
は、なんの変化も見られなかったが比較のために作成し
たものは、PPS-BO-1が溶融した。
実施例9 (1).耐熱壁紙の作成 厚さ5mmの塩化ビニルのシートに実施例1の積層フィ
ルム−1を粘着剤を介して貼り合せた。使用した粘着剤
は、実施例5と同じもので、塗布条件も同様である。貼
り合せ方法は、手貼りで行った。
比較のためにPPS-BO-1を用いて同様の壁紙を作成し
た。
(2).評価 上記の2種類の壁紙のフィルム面に、下方から炎を近
づけ、炎の先端とフィルム面の距離が3cmになるようバ
ーナをセットした。10秒後に2種類の壁紙の炎のあたっ
た部分を観察すると、本発明の壁紙は、フィルムに異常
はなく、塩化ビニル層が少し溶融した。一方、比較のた
めに作成した壁紙は、フィルムが溶融し、かつ塩化ビニ
ル層の溶融面積が本発明のものより大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 17/62 H01B 17/62

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリフェニレンスルフィドフィルムの少な
    くとも片面に、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれ
    た、少なくとも1種の金属の化合物微粒子を、30重量%
    以上含有する層を設けてなることを特徴とする積層フィ
    ルム。
  2. 【請求項2】導体又は光ファイバーに、請求項1記載の
    積層フィルムを被覆してなることを特徴とする耐火ケー
    ブル。
  3. 【請求項3】請求項1記載の積層フィルムの片面に粘着
    剤を設けてなることを特徴とするソルダーマスキングテ
    ープ。
  4. 【請求項4】請求項1記載の積層フィルムの片面に接着
    機能を有する樹脂組成物層を設け、他方の面に耐熱紙、
    不燃紙及び印刷塗料層から選ばれた1種を設けたことを
    特徴とする耐熱不燃ラベル。
  5. 【請求項5】請求項1記載の積層フィルムの片面に接着
    機能を有する樹脂組成物層を設け、他方の面に耐熱紙又
    は不燃紙と、印刷塗料層とを設けたことを特徴とする耐
    熱不燃ラベル。
  6. 【請求項6】紙又は無機物からなる不燃シートの少なく
    とも片面に、請求項1記載の積層フィルムを積層してな
    ることを特徴とする耐熱不燃複合材。
  7. 【請求項7】不燃性の保温材と、請求項1記載の積層フ
    ィルムを積層してなることを特徴とする保温シート。
  8. 【請求項8】紙、繊維シート及び樹脂シートから選ばれ
    た少なくとも1種を支持体とし、該支持体に、請求項1
    記載の積層フィルムを積層してなることを特徴とする耐
    熱壁紙。
  9. 【請求項9】紙、繊維シート及び樹脂シートから選ばれ
    た少なくとも1種の支持体とし、該支持体に、請求項1
    記載の積層フィルムを積層してなることを特徴とする内
    装材。
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