JP2679880B2 - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明のガスシールドアーク溶接
用フラックス入りワイヤ(以下ワイヤと称す)は、溶接
作業性が良好で耐海水腐食性が優れ、且つ低温靭性特に
CTOD(Crack Tip Opening Di
splacement)特性に優れたワイヤに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年エネルギー資源の開発は、極地化、
深海化の方向に有りこのため砕氷船や海洋構造物の建造
においても、低温靭性が優れ更に耐海水腐食性に優れた
鋼材及び溶接材料の開発が要望されていた。
【0003】従来、海中構造物用の鋼材及び溶接部の腐
食防止法としては、十分な塗装を行うのが一般的であっ
た。しかし北極海のように氷が存在するところでは、氷
の衝突によるひっかき疵が塗装表面に発生し、この部分
から腐食が発生するので十分な防食手段とは言えない。
特に塗装が不十分な場合には鋼材全体腐食と局部的な腐
食が発生する。この内鋼材全体腐食は板厚を厚くするな
どの対策をとりうるが、局部的な腐食は応力集中を生じ
疲労その他破壊の原因ともなり大きな問題となってい
た。とりわけ溶接部は母材と化学成分や熱履歴が異なる
ことにより耐食性に差が出るため、特に局部腐食が問題
となる箇所である。また海中構造物の建造では、その耐
海水腐食性が重視されてきたが、最近使用範囲が極地化
して来るに伴い同時に低温靭性特に、脆性破壊の面から
CTOD特性の優れた構造物であることが大きな要求ポ
イントになって来た。
【0004】従来から使用されているフラックス入りワ
イヤは、ソリッドワイヤに比較して特にアークの安定
性、スパッタが少なく溶接作業性やビード外観の優れた
ルチール系が主に使用されている。例えば特開昭58−
119490号公報ではルチール系ワイヤにおいて、鋼
製外皮と鉄粉の窒素量を規制して低温靭性の向上が図ら
れているが、ルチール系の最大の欠点は溶接金属中の酸
素量が500ppm 以上と高いため溶接金属の性能が劣る
ことにある。又特公昭59−44159号公報におい
て、フラックス中にMgを添加し更に、金属Ti或はF
e−Tiなどの状態でTiを添加し、溶接金属の酸素量
を低減させることによって低温靭性の改善を図るという
発明が開示されている。しかし、単にMg及びTiを添
加するだけでは溶接金属の酸素量を減少させることはで
きず、従って低温靭性についても何等の改善もなされて
いなかった。更に特公昭56−6840号公報では、T
i及びTiO2 量とB及びB2 3 量を制限することに
より、大入熱溶接を行った場合でも良好な低温靭性を得
るガス被包アーク溶接用複合ワイヤが開示されている。
しかし、該発明においても溶接金属中の酸素量の低減は
不十分であり、そのため溶接金属の靭性は何等の改善も
なされていなかった。
【0005】一方ルチール系以外のフラックスを用いて
低温靭性を改善するものとして、特公昭46−2412
4号、特開昭52−125437号公報等に示されるよ
うに、金属弗化物を主成分に金属炭酸塩、スラグ生成
剤、強脱酸剤の調整により低温靭性の向上が図られてい
るが、耐海水局部腐食性を有し且つ、低温靭性とCTO
D特性を合わせ持つ性能を有するワイヤは無い。更に、
耐候性鋼用炭酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤ
(JIS Z 3320)としてCu,Ni,Crの成
分範囲が示されているがこれらは主に、建材、橋梁用に
用いられる鋼材で大気中における耐候性を有するもの
で、耐海水腐食性に対してCrは逆に局部腐食を促進さ
せる成分であり好ましくない。又、Cu,Niだけでは
低温靭性とCTOD特性を大幅には改善できない。
【0006】本発明者らは、特開平2−207996号
公報で金属弗化物系を提案しているが更に研究を重ねた
結果、酸素量の低減が不可能とされていたルチール系
で、溶接作業性を損なうことなく酸素量を大幅に低減す
ると共に、耐海水腐食性と低温靭性に優れたワイヤを見
いだした。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決し氷海域における海洋構造物や砕氷船の
建造において、溶接作業性が良好で耐海水腐食性に優れ
ると共に、優れたCTOD特性を有する溶接金属が得ら
れるワイヤを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、鋼製外
皮にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接
用フラックス入りワイヤにおいて、鋼製外皮の成分が、
C:0.06%(重量%:以下同じ)以下、P:0.0
12%以下、S:0.010%以下、N:0.0040
%以下、O:0.0150%以下であり、フラックスは
ワイヤ全重量に対して、TiO2 :2.5〜5.5%、
金属弗化物:F量として0.36〜1.50%、脱酸
剤:1.0〜6.0%、Cu:0.1〜0.6%、N
i:0.2〜2.5%、B:0.002〜0.020
%、酸化物TiO2 を含めて8.0%以下を含有するこ
とを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入
りワイヤである。又、上記ワイヤにTiを0.01〜
0.20%含有してなるガスシールドアーク溶接用フラ
ックス入りワイヤにある。
【0009】従来より溶接金属のCTOD特性を向上さ
せるため適量のTi及びBを添加し、そのミクロ組織を
微細化、均一化することが有効であることが知られてい
る。又、鋼の耐海水腐食性改善には、Cu,Crの添加
が有効なことが知られている。鋼構造物における溶接部
は、母材と化学成分や熱履歴が異なるため、特に局部腐
食を受け易く、溶接金属が母材より先に選択腐食を受け
る場合には、母材との面積比により急速に腐食が進み、
重大な破壊につながる恐れがある。この防止には溶接金
属を母材よりも電気化学的に貴にすることが必要であ
り、とりわけCu,Niの添加が局部腐食防止に有効な
ことが見いだされた。本発明は、かかる知見に基ずいて
なされたものであり、以下に作用と共に詳細に説明す
る。
【0010】
【作用】まず本発明で鋼製外皮の成分が、C:0.06
%以下、P:0.012%以下、S:0.010%以
下、N:0.0040%以下、O:0.0150%以下
である鋼材を使用する必要がある。即ち高靭性の溶接金
属を得るには、溶接金属中のCを0.07%以下にする
必要があるが、フラックスやワイヤ表面の潤滑剤を考慮
すると鋼製外皮のCは0.06%以下にすべきである。
又、P,S,NやOは不可避的不純物であるが、P,S
は溶接金属の耐高温割れ性を阻害し、Nは靭性を著しく
劣化させるため、Pは0.012%以下、Sは0.01
0%以下、Nは0.0040%以下にするのが望まし
い。更にOは溶接時の溶滴移行性に影響を与える他、脱
酸剤特にSi,Mn,Tiの歩留まりを低下させるので
これらの成分変動要因となるので0.015%以下にす
べきである。
【0011】本発明ワイヤの特徴は鋼製外皮の成分を規
制し充填フラックスにCu,Ni,Ti,Bを添加して
溶接金属の耐海水腐食性を大幅に向上させなおかつ、良
好なCTOD特性をも合わせ持つ性能を有する点にあ
る。溶接部の局部腐食を防止するには、溶接金属の成分
を母材よりも電気化学的に貴にする必要があり、Cu,
Niは非常に有効な成分である。
【0012】C:0.05%、P:0.010%、S:
0.008%、N:0.0025%、O:0.0120
%の鋼製外皮材を用いて、ワイヤ全重量に対し、TiO
2 :4.0%、CaF2 :2.0%(F量として:0.
97%)、SiO2 :0.5%、MgO:0.3%、F
e−Si(40%Si):1.0%、Mn:2.0%、
Mg:0.4%、B(2%B含有鉄粉):0.4%、N
i:0.3%、Cu:0〜0.9%、残部鉄粉及び不可
避的不純物からなるフラックスを含有したワイヤを10
種類試作して1.2mmφに仕上げ、深さ10mmのV溝を
もつC:0.1%、Si:0.3%、Mn:1.3%、
Cu:0.4%、Ni:0.3%、Mo:0.2%の成
分で、厚さ25mmの鋼材に、溶接電流250A、アーク
電圧27V、溶接入熱15kj/cm、シールドガス(80
%Ar−20%CO2 )25 l/min の条件で溶接
し、表面下1mmから厚さ5mmの試験片を採取し、3%食
塩水中で3ヶ月間回転浸漬試験を行った。図1はその結
果を示したものである。同図の横軸はワイヤ中のCu
量、縦軸は溶接金属の腐食減量である。尚、腐食減量と
は図3に示すように腐食試験後の測定部溶接金属の最低
厚さlを測定し、試験片の試験前の厚さt(5mm)との
差を求めたものである。
【0013】Cuを含まないワイヤによる溶接金属の腐
食減量は1.7mmとなった。これに対しワイヤ中にCu
を添加したものは腐食減量が低下する傾向を示してい
る。特に、Cu量が0.1%以上のものは腐食減量が全
て0.4mm以下になり良好な耐海水腐食性を示した。C
uを0.6%を超えて添加しても耐海水腐食性に大きな
改善効果が見られず逆に、粒界偏析による脆化を起こす
のでCuの添加量を、0.1〜0.6%と限定した。
又、Cuの添加方法として、フラックス中に添加せずに
Cuメッキ分のみでも同等の効果が得られ、外皮または
充填フラックスの一方または両方から添加しても同等の
効果が得られることが判明した。
【0014】又、Niは通常フェライトへの固溶効果に
よる靭性向上のため添加されているが、Cuと同様溶接
金属の耐海水腐食性向上に有効なことが判った。図2は
前記と類似の外皮とフラックスでCuの添加量を0.3
%に固定し、Ni 添加量を0〜3.0%と変化させてワ
イヤを試作し回転浸漬試験を行って、ワイヤ中のNi量
と腐食減量の関係を調査したものである。ワイヤ中にN
iを含まない溶接金属の腐食減量は1.3mmとなるのに
対し、Niを添加したものは腐食減量が大幅に減少し
た。ワイヤ中のNi量が0.2%未満では耐海水腐食性
が十分ではなく、又、2.5%を超えて添加してもそれ
以上の改善効果が得られないばかりか高価となるので、
Niのワイヤ中への添加範囲を0.2〜2.5%とし
た。Niは金属Niの外、Fe−Ni,Ni−Mg等の
合金としても添加して良い。又、Niは、Cuと同様に
外皮、フラックスの一方または両方に添加しても良い。
【0015】次に、前記ワイヤに加えてBを添加する理
由を説明する。Bは強力な脱酸性炭化物生成元素である
からこれをワイヤに添加することによって、溶接金属に
於ける結晶核生成作用が促進され柱状晶の成長が阻害さ
れることにより、結晶粒は微細化する。又、溶接金属の
焼き入れ性を高める効果がありこのような効果を得るた
めには、最少限0.002%のB量が必要でそれ未満で
は効果がなく、又、多すぎると溶接金属に高温割れが発
生し易くなるので上限を0.02%とする。B源として
はFe−B、アトマイズB等の合金として又、B2 3
等の酸化物の形で添加し脱酸剤による還元添加すること
もできる。尚、BもCu,Niと同様に外皮、フラック
スの一方または両方に添加しても良い。
【0016】本発明では上記特性を踏まえ更に、溶接金
属の酸素量の低減が不可能とされていたルチール系フラ
ックスで溶接作業性を損なうことなく、酸素量を大幅に
低減(400ppm 以下)すると共に、溶接金属の結晶組
織を微細化することにより、低温靭性特にCTOD特性
を向上させるために各成分の含有率を下記のように限定
した。
【0017】TiO2 は、ルチール系フラックス入りワ
イヤの主要成分であり、他のスラグ形成剤にはない優れ
た被包性及び剥離性を有する他、アーク安定剤として不
可欠の成分であり、2.5%未満では良好なビード外
観、形状が得られない。一方、5.5%を超えるとスク
ラグ生成量が過剰となり、スラグ巻込みが起こると共に
酸性成分である為に溶接時にスラグとして分離されづら
く、溶接金属中に大形の非金属介在物が増加するためミ
クロ組織が微細化されず、酸素量も増加し靭性を低下さ
せる。従って2.5〜5.5%の範囲とする。TiO2
源としては、ルチールや合成ルチール、チタンスラグ等
が使用される。
【0018】金属弗化物は、アーク安定性を高めると共
に脱水素作用によって溶接金属の低温靭性を向上させる
作用がある。これらの作用はF量換算で0.36%以上
添加することにより有効に発揮される。しかし1.5%
を超えるとスラグの流動性が過大となりスラグ被包性が
悪くビード形状が悪化する。従って0.36〜1.50
%の範囲とする。弗化物としてはNa,K,Li,M
g,Ca等のアルカリ金属、及びアルカリ土類金属の弗
化物が一般的に用いられる。
【0019】脱酸剤としては、Si,Mn,Al,Mg
等を添加する。Siは、有効な脱酸剤で溶接金属の酸素
量を低減すると共に、ビード形状、外観及び溶接作業性
を改善する。Mnは、スラグの流動性を調整しビード形
状を改善すると共に溶接金属の脱酸を促進し、かつ強
度、靭性を改善する。Alは、強脱酸剤であり溶接金属
の酸化を妨げ、かつミクロ組織を微細化し、靭性改善に
効果がある。Mgは、高度のアーク中に於て酸素と反応
し、ワイヤ先端の溶滴の段階で脱酸反応が行われる。そ
の結果、脱酸生成物が溶融池内に残留しないこと、更に
は溶融池内で反応するSi,Mnの脱酸反応を助け、溶
接金属の酸素量を減少させる上で効果がある。
【0020】これらの脱酸剤の添加量が1.0%未満で
は上記効果が不足し、溶接金属は多孔質となりX線性能
が劣化する。一方、6.0%を超えて添加すると脱酸剤
が溶接金属に多量に歩留るため、溶接金属は硬化し靭性
と耐割れ性の低下をきたす。このため本発明ワイヤでは
フラックス中の脱酸剤は1.0〜6.0%の範囲で添加
する。尚、脱酸剤の添加方法は、単体もしくは鉄合金や
合金の形態で添加してもよい。
【0021】更に本発明では、スラグ形成剤として酸化
鉄、SiO2 ,Al2 3 ,ZrO2 ,MnO,Mg
O,BiO3 ,Na2 O,K2 O等の酸化物を併用する
ことができるが、前記TiO2 を含めた酸化物の添加量
の総和が8.0%を超えると、溶接金属中の酸素量を4
00ppm 以下にすることができなくなる。本発明は、充
填フラックス組成の効果を詳細に検討した結果成し得た
成果である。酸化物は、スラグ生成量を多くさせると共
にスラグ巻込みを起こし易くし、かつ溶接金属中の酸素
量を増加させるので、8.0%を超えて添加すると本発
明の成果を達成することができない。
【0022】本発明のフラックス入りワイヤには、上記
成分や他に下記のTiを更に加えても良い。TiはTi
酸化物を形成して溶接金属のミクロ組織を微細化し、靭
性改善に有効であるが0.01%未満ではこの効果も望
めず下限を0.01%とする。又、0.20%を超える
と靭性を著しく損なうので上限を0.20%とする。T
iは金属Tiの外、Fe−Ti等の合金として添加して
も良い。TiもCu,Ni,Bと同様に外皮、フラック
スの一方または両方に添加しても良い。
【0023】本発明で用いられるフラックス入りワイヤ
に要求される組成は以上の通りであるが、上記の要件を
満足し得る範囲で他の合金元素等を併用することもでき
る。例えば鉄粉は、溶着速度を高める目的として、又ス
ラグの粘性を調整すると共にアーク安定剤として、Ca
CO3 ,Li2 CO3 ,K2 CO3 ,BaCO3 ,Mg
CO3 ,MnCO3 ,SrCO3 等の炭酸塩が有効であ
るが、炭酸塩は過剰に添加すると、アーク雰囲気中で分
解されたCO2 ガス中のCが溶接金属中に留まって靭性
を劣化させるので好ましくない。
【0024】ワイヤ外皮としては、成分規制範囲内であ
る低炭素鋼を用いるが、成分規制範囲を満足する低合金
鋼を用いることもできる。又、フラックスの充填率は特
に限定されないが、伸線性を考慮してワイヤ全重量に対
して10〜30%の範囲が最も適当である。
【0025】尚、ワイヤの断面形状には何らの制限もな
く、2mmφ以下の細径の場合は比較的単純な円筒状のも
のがよく、又、2.4〜3.2mmφ程度の太径ワイヤの
場合は、鞘材を内部へ複雑に折りこんだ構造のものが一
般的である。又、シームレスワイヤにおいては、表面に
Cu等のメッキ処理を施すことも有効である。
【0026】
【実施例】表1に示す成分の外皮を用い、表2に示すフ
ラックス組成にて試作したワイヤを用いて溶接を行っ
た。その試験結果を表3に示す。表2,表3において、
ワイヤ記号No.1〜No.7が比較例で、No.8〜No.2
4が本発明になる実施例である。いずれのワイヤも1.
2mmφのワイヤに仕上げ、前述と同様の方法により耐海
水腐食性を調査する回転浸漬試験を行うと共に同一鋼材
を50°V開先に組み立て、平均入熱量30kj/cmで立
向溶接を行い、その際の溶接作業性及び溶接部の機械的
性能を調査した。CTOD試験は英国規格BS5762
−1979に基づき溶接金属の中心部に疲労ノッチを入
れたCTOD試験片を作製し、−50℃においてCTO
D試験を行った。又、シールドガスは80%Ar−20
%CO2 の混合ガスを用いた。尚試験結果の判定は、C
TOD値が0.3mm以上、腐食原料が0.4mm以下を良
好とした。
【0027】表3に示す試験結果から明らかなように、
比較例のNo.1,2,3は、本発明の必須成分であるC
u,Ni,Bのいずれかの成分が範囲外で、耐腐食性が
悪く、No.4はCTOD値は良好であるがやはりCu,
Niが添加されてないため腐食減量が多い。又No.5,
6,7は、耐腐食性は良好であるがNo.5は、酸化物の
総和が8%超有り、低温靭性及び溶接作業性が劣り、N
o.6は低温靭性は良好であるが、Bが添加されてない
ためCTOD値が低い。No.7は、Cuが本発明の範囲
を超えたため、溶接金属が粒界偏析により脆化したため
低温靭性及びCTOD値の向上が認められなかった。一
方本発明になるNo.8〜No.24のワイヤは溶接作業性
が良好で、いずれも遷移温度が全て−70℃以下であ
り、又、CTOD値も0.7mm以上でかつ腐食減量も
0.3mm以下であることから、良好な性能が得られるこ
とが確認できた。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】
【表7】
【0035】
【発明の効果】本発明ワイヤは、溶接作業性が良好で、
低温靭性特に、CTOD特性が極めて優れ、且つ耐海水
腐食性が格段に向上したワイヤである。これは従来のガ
スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤでは到底
達成し得ないものであり、特に、北極海のような氷海域
に於ける海洋構造物や砕氷船の建造等に於て優れた効果
を発揮し、これら産業の発展に貢献するところ極めて大
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐海水腐食性試験に於けるワイヤに含まれるC
u量、Ni量と腐食減量との関係を示す図表である。
【図2】耐海水腐食性試験に於けるワイヤに含まれるC
u量、Ni量と腐食減量との関係を示す図表である。
【図3】耐海水腐食性試験に於ける腐食減量の測定要領
を示す側面図である。
【符号の説明】
1 腐食減量の試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石出 博俊 神奈川県相模原市淵野辺5−10−1 新 日本製鐵株式会社 第2技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭52−116746(JP,A) 特開 昭57−7396(JP,A) 特開 昭62−40994(JP,A) 特開 昭52−65736(JP,A) 特公 平5−45360(JP,B2) 「鉄と鋼」、Vol.72、No.12、 1986年9月、P.473 「CORROSION 88」、資料N o.211、NACE発行、1988年3月21 〜25日、P.1〜13

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製外皮にフラックスを充填してなるガ
    スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおい
    て、鋼製外皮の成分が、C:0.06%(重量%)以
    下、P:0.012%以下、S:0.010%以下、
    N:0.0040%以下、O:0.0150%以下であ
    り、フラックスはワイヤ全重量に対して下記量の成分を
    含有することを特徴とするガスシールドアーク溶接用フ
    ラックス入りワイヤ。 TiO2 :2.5〜5.5% 金属弗化物:F量として0.36〜1.50% 脱酸剤:1.0〜6.0% Cu:0.1〜0.6% Ni:0.2〜2.5% B:0.002〜0.020% 酸化物:TiO2 を含めて8.0%以下
  2. 【請求項2】 付加成分として、Tiを0.01〜0.
    20%含有してなる請求項1記載のガスシールドアーク
    溶接用フラックス入りワイヤ。
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