JP2678747B2 - セルラーゼの製造方法 - Google Patents
セルラーゼの製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野
本発明はセルラーゼの製造方法に関する。本明細書に
おいてセルラーゼとは、エキソセロビオハイドロラーゼ
(以下、C1酵素と称す)、エンド−β−グルカナーゼ
(以下、Cx酵素と称す)およびβ−グルコシダーゼから
なる酵素系の総称であり、セルロースをグルコースまで
分解する酵素である。 従来の技術 近年、セルロース資源の有効利用をめざし、セルロー
スの効果的な糖化法の確率が要請されている。糖化に必
要なセルラーゼの酵素源としては、トリコデルマ・リー
セイ(Trichoderma reesei)QM6a(ATCC 13631)から
取得された一連の変異株、例えばトリコデルマ・リーセ
イQM9414(ATCC 26921)[バイオテクノロジー・アン
ド・バイオエンジニアリング・シンポジウム(Biotechn
ology & Bioengineering Symposium),6,9−20(197
6)]が最も有望とされている。これらの菌株の生産す
るセルラーゼのC1およびCx酵素活性は、他の種類、微生
物由来のものと比較してきわめて強力である。しかし、
β−グルコシダーゼは微弱な活性しか有さない[エンザ
イム・アンド・マイクロバイアル・テクノロジー(Euzy
me and microbial Technology),2,91−102(198
0)]。セルロースをこれらの菌株の生産するセルラー
ゼを用いて糖化しようとすると、セロビオースが蓄積す
る。この蓄積したセロビオースをグルコースまで分解す
るために、アスペルギルス・ニガーやアスペルギルス・
フォエニシスのβ−グルコシダーゼを添加することまで
検討されている[Can.J.Mierobiol.,23,139−147(197
7)]。 そこで、トリコデルマ・リーセイのβ−グルコシダー
ゼ活性を高めるたmeに培養方法を検討したり[アプライ
ド・アンド・エンバイロンメタル・マイクロバイオロジ
ー(Applied and Environmental Microbiology),31,6
48−654(1976)]、及び[バイオテクノロジー・アン
ド・バイオエンジニアリング(Biotechnology & Bioen
gineering)23,1837−1849(1981)]、また種々の変異
株の取得が試みられてきた[エフイーエムエス・シンポ
ジウム(FEMS Symposium)No.13,405−416(1982)、特
開昭59−17984号公報]。 しかしながら、高濃度のセルロースを効率よく糖化さ
せるためには、これらの研究で得られたセルラーゼのβ
−グルコシダーゼ活性ではまだ不十分である。また、安
価にセルロースの糖化を行うためには、β−グルコシダ
ーゼ活性だけでなく、C1酵素活性、Cx酵素活性も高活性
であることを必要とする。 発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、セルラーゼの誘導生成能が高められ
た微生物を用いるセルラーゼの製造方法を提供すること
にある。 問題点を解決するための手段 本発明の方法に用いる微生物は、トリコデルマ・リー
セイに属する突然変異株で、結晶性セルロース10.0g/
,ポリペプトン1.0g/および酵母エキス0.5g/を主
成分とする培地500mlを含む2リットル容フラスコで28
℃、4日間培養した培養液を結晶性セルロース60g/ポ
リペプトン、1.0g/および酵母エキス0.5g/を主成分
とする培地3リットルを含む5リットル発酵槽でpHを調
節しながら28℃、1VVM、450rpmで7日間培養した培養液
を遠心分離したときの上清中のβ−グルコシダーゼ活性
が13単位/ml以上であるセルラーゼを生産する能力を有
する。 本発明の方法に前記の突然変異株、例えばトリコデル
マ・リーセイPCD−10(ERMP−8172)又はトリコデルマ
・リーセイCDU−11(FERMP−8173)が好適である。 トリコデルマ・リーセイの菌学的性質は、イー・ジー
・シモンズ,アブストラクト・セカンド・インターナシ
ョナル・マイコロジカル・コングレス(E.G.Simmons,Ab
st.2nd Inteanational Myclogical Congress)米国フロ
リダ州タンパ,1977年8月,618頁]に記載されている。 本発明の目的に用いられる変異株は例えば次の方法で
得られる。 セルラーゼ生産能を有しかつトリコデルマ・リーセイ
に属する微生物を、紫外線照射やニトロソグアニジンの
ような変異誘発剤の使用など、公知の変異誘導処理し、
処理ずみの菌株からセロビオースによるセルラーゼ誘導
能の高い菌株を選ぶ。このための実用的な手法として、
例えば、親株としてQM9414(ATCC 26921)を用い、ポ
テトデキストロース寒天斜面培地上で25℃、7日間培養
し、胞子を十分形成させる。生成した胞子を生理的食塩
水に懸濁し(約1〜3×107個/ml)、N−メチル−N′
−ニトロ−N−ニトロソグアニジンと反応させる(300
μg/ml,pH7.0,30℃,30〜120分)。この胞子懸濁液から
遠心分離により胞子を集め、よく洗浄し、平板あたり10
0〜300胞子/mlになるように希釈し、第1表に示したセ
ロビオースを炭素源とする寒天平板に塗布し、30℃で2
日間培養し、生育してきたコロニーの上に50mM酢酸緩衝
液pH5.0を含む0.5%リン酸膨潤セルロース寒天を加えて
45℃で10〜24時間保温する。セルラーゼを生成している
コロニーのまわりは透明帯が生成するので、これによっ
てC1酵素活性、Cx酵素活性の高まった変異株を選ぶこと
ができる。また、50mM酢酸緩衝液pH5.0、及び30%グル
コースを含む0.05%4−メチルウンベリフェリル−β−
D−グリコシド寒天を加えて、45℃で2〜16時間保温す
る。紫外線を照射すると、β−グルコシダーゼ活性の高
いコロニーのまわりには蛍光を生じるので、これによっ
てβ−グルコシダーゼ活性の高まった突然変異株を選ぶ
ことができる。こうして得られた突然変異株とQM9414と
の性状の比較を第2表に示す。 第1表 寒天倍地の組成 セロビオース 5g 酵母エキス 1g (NH4)2SO4 2g KH2PO4 4g Na2HPO4 6g MgSO4・7H2O 200mg F2SO4・7H2O 1mg CaCl2・2H2O 1mg トリトンX−100[半井化学薬品(株)製] 1g 寒天 20g H3BO3 10μg MnSO4.4H2O 10μg ZnSO4.7H2O 70μg CuSO4.5H2O 50μg (NH4)6Mo7O24・4H2O 10μg 水 1(pH5.5) 本発明における培地の炭素源としては、セルロースパ
ウダー、セロビオース、濾紙、一般紙類、オガクズ、ふ
すま、もみがら、バガス、大豆粕、コーヒー粕、澱粉、
ラクトース等が使用される。窒素源としては、硫安、硝
安などの無機アンモニウム塩、尿素、アミノ酸、肉エキ
ス、、酵母エキス、ポリペプトン、蛋白分解物等の有機
窒素含有物が使用される。無機塩類としては、KH2PO4、
MgSO4・7H2O、CaCl2・2H2O、F2Cl3・6H2O、MnCl3・4H
2O、ZnSO4・7H2O等が使用される。必要ならば有機微量
栄養物を含有する培地が使用される。前記の菌株の培養
は、液体培養のほかに固形培養も可能である。液体培養
には通常の通気撹拌培養装置が用いられ、前記培地を使
用して、培養温度20〜33℃、好ましくは、28℃〜30℃、
培養pH4〜6で培養すれば、4〜10日間でセルラーゼ活
性は最高となる。ついで、培養液から遠心分離、濾過な
どの公知の方法によって菌体を除去し上澄液を得る。こ
の上澄液は、このまま粗酵素液として使用することがで
きる。 当該酵素の活性測定法は次に示すような酵素反応後、
比色定量を用いる方法で測定する。 (1) C1酵素活性 アビセルSF150mgを気質として、これに酵素液1.0ml、
0.2M、pH5.0の酢酸緩衝液4.0mlをそれぞれ加え、45℃で
1時間反応させる。100℃,10分間加熱して反応を停止さ
せる。3,5−ジニトロサリチル酸法により還元糖を比色
定量する。1分間に1μmol.のグルコースを遊離する酵
素量を1酵素単位(Unit)と定義する。 (2) Cx酵素活性 0.2M、pH5.0の酢酸緩衝液に溶解した1%カルボキシ
メチルセルロースナトリウム塩溶液を用意する。これに
等量の適当に希釈した酵素溶液を加え、45℃で30分間反
応させる。100℃、10分間加熱して反応を停止させた
後、3,5−ジニトロサリチル酸法により還元糖を比色定
量する。1分間に1μmol.のグルコースを遊離する酵素
量を1酵素単位(Unit)と定義する。 (3) β−グルコシダーゼ活性 基質液として0.05M、pH5.0の酢酸緩衝液に溶解した2m
Mp−ニトロフェニル−β−D−ギリコピラノシドを用意
する。基質液1.0mlに酵素液20μを加え、45℃で10分
間反応させる。2.0mlの1M炭酸ナトリウム溶液を加えて
反応を停止する。1分間に1μmol.のp−ニトロフェノ
ールを遊離する酵素量を1酵素単位(Unit)と定義す
る。 また、得られた上澄液から凍結感想、硫安塩析、有機
溶媒による沈殿法など公知の方法を用いることにより粗
酵素剤を得ることができる。 実施例1 トリコデルマ・リーセイQM9414(ATCC26921)、PCD−
10(FERM P−8172)、CDU−11(FERM P−8173)の
各菌株をポテトデキストロース寒天斜面培地上で、25
℃、7日間培養して胞子を十分形成させる。その1白金
耳をセロビオースを炭素源とする第3表の組成の培地50
mlを含む300ml容三角フラスコに接種して、28℃、7日
間振盪培養した。7日目に培養液を濾過し、その上清の
セルラーゼ活性を求めた。その結果を第4表に示す。 第3表 フラスコ培地の組成 セロビオース 10.0g ポリペプトン 1.0g 酵母エキス 0.5g KH2PO4 2.0g (NH4)2SO4 1.5g MgSO4・7H2O 0.3g CaCl2・2H2O 0.3g ツイーン80[半井化学薬品(株)製] 1.0ml 微量元素液* 1.0ml 酒石酸緩衝液 50 mM 水 1(pH4.0) *微量元素液 H3BO4 6mg (NH4)6Mo7O24・4H2O 26mg FeCl3・6H2O 100mg CuSO4.5H2O 40mg MnSO4.4H2O 8mg ZnSO4.7H2O 200mg 水 100ml実施例2 トリコデルマ・リーセイQM9414、PCD−10、CDU−11の
各菌株をポテトデキストロース寒天斜面培地上で、25
℃、7日間培養して胞子を十分形成させる。その1白金
耳を第3表の組成の培地のうち、セロビオースのかわり
にアビセルPH301(旭化成社製)を用い、さらに酒石酸
緩衝液を除いたもの50mlを含む300ml容三角フラスコに
接種し、28℃、4日間振盪培養した。さらにこれを同組
成の培地500mlを含む2容三角フラスコに接種し、28
℃、4日間振盪培養した。本培養液をアビセルPH301 6
0g/、ツイーン80のかわりにアデカノールLG−109(旭
電化製)6g/を用いた同組成の培地3を含む5発
酵槽に添加して培養を開始した。培養温度は28℃、通気
は1VVM、撹拌は450rpmで、またpHの下限を2N NH4OHによ
って培養開始後3日間はpH4.0に調節し、その後pH5.5に
上昇させ、培養終了までこのpHで調節する。7日目に培
養液を遠心分離し、その上清中のセルラーゼ活性を求め
た。その結果を第5表に示す。 実施例3 実施例2で得たトリコデルマ・リーセイCDU−11の上
清のうち、1を硫安70%飽和で塩析後、セファデック
スG−25(ファルマシア・ファインケミカルズ社製)を
用いて脱塩し、さらに凍結乾燥して30gの粗酵素標品を
得た。C1酵素活性0.72U/mg、Cx酵素活性6.5U/mg、β−
グルコシダーゼ活性0.50U/mgであった。 ケインバガスを微粉砕し、0.3NのNaOHに懸濁して、12
0℃、15分間処理した。これを洗滌、中和後、0.1Mの酢
酸緩衝液(pH5.0)に150g/の濃度になるように懸濁し
た。さらに上記の粗酵素標品を10g/の濃度になるよう
に添加して、45℃で24時間作用させた。反応液を遠心分
離し、その上清をShodex Ionpack C−811(昭和電工
製)のカラムを用いた高速液体クロマトグラフィーを用
いる方法(0.1%H3PO4で60℃で溶出、屈折計で検出)で
分析した。グルコースは69g/、キシロースは31g/生
成したが、セロビオースやオリゴ糖の存在は全く認めら
れなかった。 発明の効果 本発明による微生物を用いることにより、高活性のセ
ルラーゼを高収率で得ることができる。
おいてセルラーゼとは、エキソセロビオハイドロラーゼ
(以下、C1酵素と称す)、エンド−β−グルカナーゼ
(以下、Cx酵素と称す)およびβ−グルコシダーゼから
なる酵素系の総称であり、セルロースをグルコースまで
分解する酵素である。 従来の技術 近年、セルロース資源の有効利用をめざし、セルロー
スの効果的な糖化法の確率が要請されている。糖化に必
要なセルラーゼの酵素源としては、トリコデルマ・リー
セイ(Trichoderma reesei)QM6a(ATCC 13631)から
取得された一連の変異株、例えばトリコデルマ・リーセ
イQM9414(ATCC 26921)[バイオテクノロジー・アン
ド・バイオエンジニアリング・シンポジウム(Biotechn
ology & Bioengineering Symposium),6,9−20(197
6)]が最も有望とされている。これらの菌株の生産す
るセルラーゼのC1およびCx酵素活性は、他の種類、微生
物由来のものと比較してきわめて強力である。しかし、
β−グルコシダーゼは微弱な活性しか有さない[エンザ
イム・アンド・マイクロバイアル・テクノロジー(Euzy
me and microbial Technology),2,91−102(198
0)]。セルロースをこれらの菌株の生産するセルラー
ゼを用いて糖化しようとすると、セロビオースが蓄積す
る。この蓄積したセロビオースをグルコースまで分解す
るために、アスペルギルス・ニガーやアスペルギルス・
フォエニシスのβ−グルコシダーゼを添加することまで
検討されている[Can.J.Mierobiol.,23,139−147(197
7)]。 そこで、トリコデルマ・リーセイのβ−グルコシダー
ゼ活性を高めるたmeに培養方法を検討したり[アプライ
ド・アンド・エンバイロンメタル・マイクロバイオロジ
ー(Applied and Environmental Microbiology),31,6
48−654(1976)]、及び[バイオテクノロジー・アン
ド・バイオエンジニアリング(Biotechnology & Bioen
gineering)23,1837−1849(1981)]、また種々の変異
株の取得が試みられてきた[エフイーエムエス・シンポ
ジウム(FEMS Symposium)No.13,405−416(1982)、特
開昭59−17984号公報]。 しかしながら、高濃度のセルロースを効率よく糖化さ
せるためには、これらの研究で得られたセルラーゼのβ
−グルコシダーゼ活性ではまだ不十分である。また、安
価にセルロースの糖化を行うためには、β−グルコシダ
ーゼ活性だけでなく、C1酵素活性、Cx酵素活性も高活性
であることを必要とする。 発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、セルラーゼの誘導生成能が高められ
た微生物を用いるセルラーゼの製造方法を提供すること
にある。 問題点を解決するための手段 本発明の方法に用いる微生物は、トリコデルマ・リー
セイに属する突然変異株で、結晶性セルロース10.0g/
,ポリペプトン1.0g/および酵母エキス0.5g/を主
成分とする培地500mlを含む2リットル容フラスコで28
℃、4日間培養した培養液を結晶性セルロース60g/ポ
リペプトン、1.0g/および酵母エキス0.5g/を主成分
とする培地3リットルを含む5リットル発酵槽でpHを調
節しながら28℃、1VVM、450rpmで7日間培養した培養液
を遠心分離したときの上清中のβ−グルコシダーゼ活性
が13単位/ml以上であるセルラーゼを生産する能力を有
する。 本発明の方法に前記の突然変異株、例えばトリコデル
マ・リーセイPCD−10(ERMP−8172)又はトリコデルマ
・リーセイCDU−11(FERMP−8173)が好適である。 トリコデルマ・リーセイの菌学的性質は、イー・ジー
・シモンズ,アブストラクト・セカンド・インターナシ
ョナル・マイコロジカル・コングレス(E.G.Simmons,Ab
st.2nd Inteanational Myclogical Congress)米国フロ
リダ州タンパ,1977年8月,618頁]に記載されている。 本発明の目的に用いられる変異株は例えば次の方法で
得られる。 セルラーゼ生産能を有しかつトリコデルマ・リーセイ
に属する微生物を、紫外線照射やニトロソグアニジンの
ような変異誘発剤の使用など、公知の変異誘導処理し、
処理ずみの菌株からセロビオースによるセルラーゼ誘導
能の高い菌株を選ぶ。このための実用的な手法として、
例えば、親株としてQM9414(ATCC 26921)を用い、ポ
テトデキストロース寒天斜面培地上で25℃、7日間培養
し、胞子を十分形成させる。生成した胞子を生理的食塩
水に懸濁し(約1〜3×107個/ml)、N−メチル−N′
−ニトロ−N−ニトロソグアニジンと反応させる(300
μg/ml,pH7.0,30℃,30〜120分)。この胞子懸濁液から
遠心分離により胞子を集め、よく洗浄し、平板あたり10
0〜300胞子/mlになるように希釈し、第1表に示したセ
ロビオースを炭素源とする寒天平板に塗布し、30℃で2
日間培養し、生育してきたコロニーの上に50mM酢酸緩衝
液pH5.0を含む0.5%リン酸膨潤セルロース寒天を加えて
45℃で10〜24時間保温する。セルラーゼを生成している
コロニーのまわりは透明帯が生成するので、これによっ
てC1酵素活性、Cx酵素活性の高まった変異株を選ぶこと
ができる。また、50mM酢酸緩衝液pH5.0、及び30%グル
コースを含む0.05%4−メチルウンベリフェリル−β−
D−グリコシド寒天を加えて、45℃で2〜16時間保温す
る。紫外線を照射すると、β−グルコシダーゼ活性の高
いコロニーのまわりには蛍光を生じるので、これによっ
てβ−グルコシダーゼ活性の高まった突然変異株を選ぶ
ことができる。こうして得られた突然変異株とQM9414と
の性状の比較を第2表に示す。 第1表 寒天倍地の組成 セロビオース 5g 酵母エキス 1g (NH4)2SO4 2g KH2PO4 4g Na2HPO4 6g MgSO4・7H2O 200mg F2SO4・7H2O 1mg CaCl2・2H2O 1mg トリトンX−100[半井化学薬品(株)製] 1g 寒天 20g H3BO3 10μg MnSO4.4H2O 10μg ZnSO4.7H2O 70μg CuSO4.5H2O 50μg (NH4)6Mo7O24・4H2O 10μg 水 1(pH5.5) 本発明における培地の炭素源としては、セルロースパ
ウダー、セロビオース、濾紙、一般紙類、オガクズ、ふ
すま、もみがら、バガス、大豆粕、コーヒー粕、澱粉、
ラクトース等が使用される。窒素源としては、硫安、硝
安などの無機アンモニウム塩、尿素、アミノ酸、肉エキ
ス、、酵母エキス、ポリペプトン、蛋白分解物等の有機
窒素含有物が使用される。無機塩類としては、KH2PO4、
MgSO4・7H2O、CaCl2・2H2O、F2Cl3・6H2O、MnCl3・4H
2O、ZnSO4・7H2O等が使用される。必要ならば有機微量
栄養物を含有する培地が使用される。前記の菌株の培養
は、液体培養のほかに固形培養も可能である。液体培養
には通常の通気撹拌培養装置が用いられ、前記培地を使
用して、培養温度20〜33℃、好ましくは、28℃〜30℃、
培養pH4〜6で培養すれば、4〜10日間でセルラーゼ活
性は最高となる。ついで、培養液から遠心分離、濾過な
どの公知の方法によって菌体を除去し上澄液を得る。こ
の上澄液は、このまま粗酵素液として使用することがで
きる。 当該酵素の活性測定法は次に示すような酵素反応後、
比色定量を用いる方法で測定する。 (1) C1酵素活性 アビセルSF150mgを気質として、これに酵素液1.0ml、
0.2M、pH5.0の酢酸緩衝液4.0mlをそれぞれ加え、45℃で
1時間反応させる。100℃,10分間加熱して反応を停止さ
せる。3,5−ジニトロサリチル酸法により還元糖を比色
定量する。1分間に1μmol.のグルコースを遊離する酵
素量を1酵素単位(Unit)と定義する。 (2) Cx酵素活性 0.2M、pH5.0の酢酸緩衝液に溶解した1%カルボキシ
メチルセルロースナトリウム塩溶液を用意する。これに
等量の適当に希釈した酵素溶液を加え、45℃で30分間反
応させる。100℃、10分間加熱して反応を停止させた
後、3,5−ジニトロサリチル酸法により還元糖を比色定
量する。1分間に1μmol.のグルコースを遊離する酵素
量を1酵素単位(Unit)と定義する。 (3) β−グルコシダーゼ活性 基質液として0.05M、pH5.0の酢酸緩衝液に溶解した2m
Mp−ニトロフェニル−β−D−ギリコピラノシドを用意
する。基質液1.0mlに酵素液20μを加え、45℃で10分
間反応させる。2.0mlの1M炭酸ナトリウム溶液を加えて
反応を停止する。1分間に1μmol.のp−ニトロフェノ
ールを遊離する酵素量を1酵素単位(Unit)と定義す
る。 また、得られた上澄液から凍結感想、硫安塩析、有機
溶媒による沈殿法など公知の方法を用いることにより粗
酵素剤を得ることができる。 実施例1 トリコデルマ・リーセイQM9414(ATCC26921)、PCD−
10(FERM P−8172)、CDU−11(FERM P−8173)の
各菌株をポテトデキストロース寒天斜面培地上で、25
℃、7日間培養して胞子を十分形成させる。その1白金
耳をセロビオースを炭素源とする第3表の組成の培地50
mlを含む300ml容三角フラスコに接種して、28℃、7日
間振盪培養した。7日目に培養液を濾過し、その上清の
セルラーゼ活性を求めた。その結果を第4表に示す。 第3表 フラスコ培地の組成 セロビオース 10.0g ポリペプトン 1.0g 酵母エキス 0.5g KH2PO4 2.0g (NH4)2SO4 1.5g MgSO4・7H2O 0.3g CaCl2・2H2O 0.3g ツイーン80[半井化学薬品(株)製] 1.0ml 微量元素液* 1.0ml 酒石酸緩衝液 50 mM 水 1(pH4.0) *微量元素液 H3BO4 6mg (NH4)6Mo7O24・4H2O 26mg FeCl3・6H2O 100mg CuSO4.5H2O 40mg MnSO4.4H2O 8mg ZnSO4.7H2O 200mg 水 100ml実施例2 トリコデルマ・リーセイQM9414、PCD−10、CDU−11の
各菌株をポテトデキストロース寒天斜面培地上で、25
℃、7日間培養して胞子を十分形成させる。その1白金
耳を第3表の組成の培地のうち、セロビオースのかわり
にアビセルPH301(旭化成社製)を用い、さらに酒石酸
緩衝液を除いたもの50mlを含む300ml容三角フラスコに
接種し、28℃、4日間振盪培養した。さらにこれを同組
成の培地500mlを含む2容三角フラスコに接種し、28
℃、4日間振盪培養した。本培養液をアビセルPH301 6
0g/、ツイーン80のかわりにアデカノールLG−109(旭
電化製)6g/を用いた同組成の培地3を含む5発
酵槽に添加して培養を開始した。培養温度は28℃、通気
は1VVM、撹拌は450rpmで、またpHの下限を2N NH4OHによ
って培養開始後3日間はpH4.0に調節し、その後pH5.5に
上昇させ、培養終了までこのpHで調節する。7日目に培
養液を遠心分離し、その上清中のセルラーゼ活性を求め
た。その結果を第5表に示す。 実施例3 実施例2で得たトリコデルマ・リーセイCDU−11の上
清のうち、1を硫安70%飽和で塩析後、セファデック
スG−25(ファルマシア・ファインケミカルズ社製)を
用いて脱塩し、さらに凍結乾燥して30gの粗酵素標品を
得た。C1酵素活性0.72U/mg、Cx酵素活性6.5U/mg、β−
グルコシダーゼ活性0.50U/mgであった。 ケインバガスを微粉砕し、0.3NのNaOHに懸濁して、12
0℃、15分間処理した。これを洗滌、中和後、0.1Mの酢
酸緩衝液(pH5.0)に150g/の濃度になるように懸濁し
た。さらに上記の粗酵素標品を10g/の濃度になるよう
に添加して、45℃で24時間作用させた。反応液を遠心分
離し、その上清をShodex Ionpack C−811(昭和電工
製)のカラムを用いた高速液体クロマトグラフィーを用
いる方法(0.1%H3PO4で60℃で溶出、屈折計で検出)で
分析した。グルコースは69g/、キシロースは31g/生
成したが、セロビオースやオリゴ糖の存在は全く認めら
れなかった。 発明の効果 本発明による微生物を用いることにより、高活性のセ
ルラーゼを高収率で得ることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
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(56)参考文献 特開 昭54−92690(JP,A)
特公 昭39−2986(JP,B1)
Bioatechnol.Bioen
g.Symp.6(1976)P.9−20
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.(a)トリコデルマ・リーセイに属する突然変異株
で、(b)セルラーゼを生産する能力を有し、(c)結
晶性セルロース10.0g/l,ポリペプトン1.0g/lおよび酵母
エキス0.5g/lを主成分とする培地500mlを含む2リット
ル容フラスコで28℃、4日間培養後、結晶性セルロース
60g/l、ポリペプトン1.0g/lおよび酵母エキス0.5g/lを
主成分とする培地3リットルを含む5リットル発酵槽で
pHを調節しながら28℃、1VVM、450rpmで7日間培養した
培養液を遠心分離した後に、上清中のβ−グルコシダー
ゼ活性が13単位/ml以上である微生物を、培地に培養
し、得られたセルラーゼを採取する工程からなる、セル
ラーゼの製造方法。 2.微生物がトリコデルマ・リーセイPCD−10(FERM
P−8172)である特許請求の範囲第1項記載の方法。 3.微生物がトリコデルマ・リーセイCDU−11(FERM
P−8173)である特許請求の範囲第1項記載の方法。
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---|---|---|---|
JP60105306A JP2678747B2 (ja) | 1985-05-17 | 1985-05-17 | セルラーゼの製造方法 |
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---|---|---|---|
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Family
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JPH09163980A (ja) * | 1996-10-25 | 1997-06-24 | Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd | セルラーゼの製造方法 |
JP5069576B2 (ja) * | 2008-01-29 | 2012-11-07 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | 高濃度のセロビオースを蓄積できる酵素組成物、及びそれを用いたセロオリゴ糖の製造方法 |
WO2013133354A1 (ja) * | 2012-03-08 | 2013-09-12 | 独立行政法人海洋研究開発機構 | 新規なセルラーゼ |
JP6255119B1 (ja) * | 2017-01-12 | 2017-12-27 | 新日鉄住金エンジニアリング株式会社 | リグノセルロース系バイオマスを糖化するための糖化酵素の製造方法及び製造装置、並びにそれらの使用 |
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-
1985
- 1985-05-17 JP JP60105306A patent/JP2678747B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
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Bioatechnol.Bioeng.Symp.6(1976)P.9−20 |
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