JP2678155B2 - 新規なnad合成酵素を用いた測定法 - Google Patents
新規なnad合成酵素を用いた測定法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なNAD合成
酵素を用いる測定法に関する。更に詳しく言えば、本発
明は、被検液中のATP、デアミド−NADおよびアン
モニアまたはアンモニウムイオンのいずれか1つを測定
するに当たり、少なくともMg++イオンまたはMn++イ
オンの存在下、下記の式(a)の酵素反応を触媒し、M
g++イオンの存在下、下記の式(b)の酵素反応を触媒
せず、アンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを
基質として利用し、かつ少なくともグルタミンおよびア
スパラギンを基質として利用しないNAD合成酵素(以
下、本発明NAD合成酵素ということがある)を、被検
液に作用せしめ、次いで反応において消費された成分ま
たは生成された成分を測定することを特徴とするAT
P、デアミド−NADおよびアンモニアまたはアンモニ
ウムイオンのいずれか1つの成分を測定する被検液中の
成分の測定法に関する。 【0002】 【化2】 【0003】 【従来の技術】従来、NAD合成酵素(NAD+ syn
thetase)は、ラツト肝臓〔J.Biol.Ch
em.,233,493〜500(1958)〕、ブタ
肝臓〔J.Biol.Chem.,236,525〜5
30(1961)〕、酵母〔J.Biol.Che
m.,247,4794〜4802(1972)〕、
E.coli〔J.Biol.Chem.,236,1
494〜1497(1961);J.Biol.Che
m.,242,385〜392(1967)〕に夫々そ
の存在が知られている。そして、酵素分類上、 【0004】 【化3】 【0005】の反応を触媒するNAD合成酵素(E.
C.6.3.1.5)と 【0006】 【 】 【0007】 【化4】 【0008】の反応を触媒するNAD合成酵素(E.
C.6.8.5.1)に分類されているが、両酵素とも
アミノ供与体としてアンモニア(アンモニウムイオンを
含む)およびL−グルタミンを基質として作用し、NA
D合成酵素(E.C.6.3.1.5)について、
〔J.Biol.Chem.,236,1494〜14
97(1961);J.Biol.Chem.,24
2,385〜392(1967)〕によると、NH4 +
に対するKm値は6.5×10-5M、L−グルタミンに
対するKm値は1.6×10-2Mと報告されている。 【0009】また、NAD合成酵素(E.C.6.3.
5.1)について〔J.Biol.Chem.,24
7,4794〜4802(1972);J.Biol.
Chem.,233,493〜500(1958)〕に
よると、NH4 + に対するKm値は6.4×103 M、
L−グルタミンに対するKm値は5×10-3Mと報告さ
れている。両酵素の相違はアザセリンによつて阻害され
るか、否かによつて区別されている。 【0010】従来より知られたNAD合成酵素の活性測
定法は、反応により生じたNADをアルコールデヒドロ
ゲナーゼ(E.C.1.1.1)で還元し、生じた還元
型NADを340nmにおける吸光度測定する方法また
は生じたNADを蛍光法で測定する方法が報告されてい
る。また、本発明者らは、先に従来のNAD合成酵素
(E.C.6.3.1.5およびE.C.6.3.5.
1)を用いて被検液中のATP、デアミド−NADおよ
び、NH3 、GlnまたはAsnアミド供与体のいずれ
か1つを測定するに当たり、被検液にATP、デアミド
−NAD、アミド供与体およびMg++の存在下NAD合
成酵素を作用させる主反応を行い、主反応により生じた
NADを、NADを補酵素とする酸化還元反応系と還元
型NADを補酵素とする酸化還元反応系との組合せによ
る補酵素サイクリング反応を行い、そのサイクリング反
応により消費または生成された成分を定量するとこを特
徴とするATP、アミド−NADおよびアミド供与体の
いすれか1つを含有する被検液中の成分の測定法を報告
している(特開昭59−198995号公報)。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】前述のように従来のN
AD合成酵素は、アミノ供与体としてL−グルタミンを
基質として利用するものであり、少なくともMg++イオ
ンまたはMn++イオンの存在下、下記の式(a)の酵素
反応を触媒し、Mg++イオンの存在下、下記の式(b)
の酵素反応を触媒せず、アンモニアおよび/またはアン
モニウムイオンを基質として利用し、かつ少なくともグ
ルタミンおよびアスパラギンを基質として利用しないN
AD合成酵素は知られていなかった。 【0012】 【化5】 【0013】また、従来のNAD合成酵素は前述の如
く、L−グルタミンにも基質特異性を有するため、L−
グルタミン共存下でのNH3 の測定が出来ないものであ
った。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の課
題に鑑み、鋭意研究の結果、大分県別府市田ノ湯町の温
泉水から分離したバチルス属に属する菌株H−804株
が、新規な、少なくともMg++イオンまたはMn++イオ
ンの存在下、下記の式9(a)の酵素反応を触媒し、M
g++イオンの存在下、下記の式9(b)の酵素反応を触
媒せず、アンモニアおよび/またはアンモニウムイオン
を基質として利用し、かつ少なくともグルタミンおよび
アスパラギンを基質として利用しないNAD合成酵素を
産生することを見出した。 【0015】 【化6】 【0016】すなわち、本発明は、少なくともMg++イ
オンまたはMn++イオンの存在下、下記の式(a)の酵
素反応を触媒し、Mg++イオンの存在下、下記の式
(b)の酵素反応を触媒せず、アンモニアおよび/また
はアンモニウムイオンを基質として利用し、かつ少なく
ともグルタミンおよびアスパラギンを基質として利用し
ないNAD合成酵素(以下本発明NAD合成酵素と云う
ことがある) 【0017】 【化7】 【0018】に関し、被検液中のATP、デアミド−N
ADおよびアンモニアまたはアンモニウムイオンのいず
れか1つを測定するに当たり、本発明NAD合成酵素を
被検液に作用せしめ、次いで反応において消費された成
分または生成された成分を測定することを特徴とする、
ATP、デアミド−NADおよびアンモニアまたはアン
モニウムイオンのいずれか1つの成分を測定する被検液
中の成分の測定法である。 【0019】この新規な本発明NAD合成酵素生産菌の
菌学的性状は以下の通りである。 a.形態的特徴 普通寒天斜面培地を用いて、50℃で1〜3日間培養し
て顕微鏡観察を行った。 (1)形および配列;端は丸く、まつすぐ又はやや曲つ
た桿菌で単独又は二連鎖を形成する。 (2)大きさ;0.5〜1.0×1.6〜5.5μm (3)運動性;周毛で運動する。 (4)芽胞;中央又は端に近いところに形成する。大き
さは0.8〜1.0×1.0×1.5μmで細胞は膨張
する。 b.各培地における生育状態(50℃) (1)普通寒天平板培地 灰白色〜淡黄灰白色で半透明であり、線状に生育し、生
育はやや弱く、可溶性色素は産生しない。 (2)普通寒天斜面培地 灰白色〜淡黄灰白色で半透明であり、円形で平らな集落
を形成する。可溶性色素は産生しない。 (3)液体培地 生育良好で一様に混濁し、2〜3日後一部沈澱する。 (4)BCPミルク 不変である。 c.生理的性質(+;陽性、−;陰性) グラム染色 + KOH反応 − 抗酸性染色 − カプセル形成 − OFテスト(Hugh+Leifson培地) 変化なし OFテスト(変法培地)※※ 0(酸化) 嫌気での生育 − カタラーゼ産生 +(弱) オキシダーゼ産生 +(弱) ウレアーゼ産生(SSR培地) − 〃 (Chris培地) − レシチナーゼ産生 生育しない ゼラチン分解 + デンプン分解 + カゼイン分解 + エスクリン分解 + アルギニン分解 − セルロース分解 − インドール産生 − 硫化水素産生 +(酢酸鉛紙) アセトイン産生 − MRテスト − 硝酸塩の還元 − NaCl無添加培地での生育 + 0.1%NaCl添加培地での生育 + 0.25%NaCl添加培地での生育 − 65℃での生育 + 50℃での生育 + 37℃での生育 − pH9.0での生育 − pH8.0での生育 + pH5.6での生育 + pH4.8での生育 − 糖より酸の産生※(ガス非産生) アドニトール − L(+)アラビノース + セロビオース + ヅルシトール − meso−エリスリトール − Dフラクトース − フコース − Dガラクトース + Dグルコース + グリセリン + イノシトール − イヌリン − ラクトース + マルトース − Dマンニトール + Dマンノース + メレジトース + メリビオース + ラフイノース + ラムノース − Dリボース + サリシン − Lソルボース − ソルビトール − デンプン + サツカロース + トレハロース + Dキシロース ※基礎培地 糖加アンモニウム培地(ASS) (NH4 )2 HPO4 1.0g KCl 0.2g MgSO4 ・7H2 O 0.2g 酵母抽出物 1.0g アガロース 3.0g BTB 0.02g 蒸留水 1000ml pH 7.0 ※※変法培地 上記基礎培地に10.0gグルコースを添加した培地 利用性テスト(Simmons培地) クエン酸塩 − マロン酸塩 − グルコン酸塩 − プロピオン酸塩 − マレイン酸塩 − コハク酸塩 − リンゴ酸塩 + 利用性テスト(Christenesen培地) クエン酸塩 − マロン酸塩 − グルコン酸塩 + プロピオン酸塩 − マレイン酸塩 − コハク酸塩 + リンゴ酸塩 + 上記の菌学的性質から、本H−804菌株は、端の丸
い、まっすぐまたはやや曲がつた桿菌で、グラム陽性、
大きさは0.5〜1.0×1.6×5.5μmで芽胞を
形成する高温性細菌で、カタラーゼ及びオキシダーゼ産
生能が弱陽性で、非運動性、糖(グルコース)を酸化的
に分解する細菌であるとの特徴を有する。このような諸
性状を有する本菌の分類学上の位置をBergy’s・
Manual 8版、1974、医学細菌同定の手引き
2版、1974およびAgriculture Han
d book、427、The genus Baci
llusを参照して検討すると、本菌は芽胞を形成し、
好気条件で生育できることからバチルス属に属するもの
と判定される。 【0020】そこで、バチルス属に属する高(好)温性
・耐温性の菌種として、バチルス・ズブチリス、バチル
ス・コアギユランス、バチルス・リケニホルミス、バチ
ルス・ブレビスおよびバチルス・ステアロサーモフイラ
スが挙げられるが、本菌の最低生育温度が30℃以上で
あることから、(A)バチルス・ステアロサーモフイラ
スおよび(B)バチルス・ブレビスが挙げられる。これ
らの性状を比較対比すると次の通りである。〔+;陽
性、−;陰性、d;菌株によつて異なる〕。 【0021】 本菌 (A) (B) 菌の大きさ(μm) 巾 0.5〜1.0 0.5〜0.1 0.6〜0.9 長さ 1.6〜5.5 2.0〜3.5 1.5〜4.0 グラム染色 +(易脱色) 不定 不定 胞子形成 + + + 胞子による菌体の膨張 + + + 運動性 − + + カタラーゼ産生 (+) + + 嫌気下での生育 − − − アセトイン産生 − − − 生育温度 最高(℃) 65以上 65〜75 40〜60 最低(℃) 37以上 30〜45 10〜35 pH5.7での生育 + − d 5%NaCl添加培地 − d − での生育 糖よりの産生 グルコース + + + アラビノース + d − キシロース + d − マンニツト + d d 糖よりのガスの産生 − − − デンプン分解 + + d クエン酸塩の利用 − − d 硝酸塩の還元 − d d インドール産生 − − − カゼイン分解 + d + 以上の比較対比から、本菌株はバチルス・ステアロサー
モフイラスとよく一致しており、運動性について容易に
非運動性の株が得られることが報告されており、その他
の諸性状について比較検討した結果でもバチルス・ステ
アロサーモフイラスとよく一致した。よって本H−80
4菌株をバチルス・ステアロサーモフイラス(Baci
llus stearithermophilus)H
−804と同定命名した。なお、本菌株は工業技術院微
生物生命工学工業技術院研究所に「微工研菌寄第883
9号(FERM P−8839)、微工研菌寄第140
8号(FERM BP−1408)」として寄託されて
いる。 【0022】本発明においては、バチルス属に属する本
発明NAD合成酵素生産菌としては、上記のバチルス・
ステアロサーモフイラスH−804はその一例であつ
て、この菌株に限らず、本発明NAD合成酵素を生産す
る菌はすべて本発明において使用できる。また、本発明
NAD合成酵素を産生する菌より遺伝子操作により本発
明NAD合成酵素の遺伝情報を担うDNAを分離し、本
発明NAD合成酵素非産生菌にそのDNAを組み込み、
本発明NAD合成酵素生産能を発現せしめるように変異
された変異株を得ることが出来、該変異株より産生され
た本発明NAD合成酵素、及び該酵素を用いた被検液中
の成分の測定法も本発明に含まれるものである。 【0023】本発明は、本発明NAD合成酵素生産菌を
生産する通常の方法で培養される。培養の形態は、液体
培養でも固体培養でもよいが、工業的には深部通気攪拌
培養を行うのが望ましい。培地の栄養源とては微生物の
培養に通常用いられるものが広く使用され得る。炭素源
としては同化可能な炭素化合物であればよく、例えばブ
ドウ糖、ショ糖、乳糖、麦芽糖、スターチ、デキストリ
ン、糖密、廃糖密、グリセリンなどが挙げられる。窒素
源としては、利用可能な窒素化合物であればよく、例え
ばコーンスチープリカー、大豆粉、綿実粉、小麦グルテ
ン、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分
解物、硫酸アンモニウムなどが使用される。その他リン
酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウ
ム、亜鉛、鉄、マンガン、ハロゲンなどの塩類が必要に
応じて使用される。、バチルス・ステアロサーモフイラ
アスH−804においては培養温度は、本発明NAD合
成酵素生産菌が発育し、本酵素を生産する範囲内で適宜
変更し得るが、48〜70℃、特に55〜60℃が好ま
しい。培養時間は培養条件によつて異なるが、本酵素が
最高力価に達する時期を見計らつて適当な時期に培養を
終了すればよく、10〜20時間が好ましかつた。通気
攪拌する場合には、200〜400r.p.m.の条件
下で充分である。 【0024】このようにして得られたNAD合成酵素生
産菌の培養物から本発明NAD合成酵素を採取するので
あるが、本酵素は主にその菌体内に含有されるので、得
られた培養物を濾過または遠心分離などの手段により集
菌し、この菌体を超音波処理、フレンチプレス処理やガ
ラスビース処理などの機械的破壊処理手段やリゾチーム
などの酵素的破壊手段にて破壊し、また必要に応じてト
リトンX−100(Triton X−100:商品
名)、アデカトールSO−120(商品名)などの界面
活性剤を添加してもよい。こうして得られたNAD合成
酵素含有液は、濃縮するか、または濃縮することなく可
溶性塩類、例えば硫安などを用いて塩析するするか、親
水性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、アセト
ン、イソプロパノールなどを用いて本酵素を沈澱させれ
よい。 【0025】この沈澱物は、水または緩衝液に溶解後、
必要に応じて半透膜にて透析し、さらにDEAE−セフ
アデツクス、DEAE−セフアロースやDEAE−セル
ロースなどやカルボキメチル−セルロース、カルボキシ
メチル−セフアロース、カルボキシメチル−セフアデツ
クスなどのイオン交換樹脂を用いるクロマトグラフイー
やセフアデツクスG200、セフアロースCL−6B、
セフアクリルS−200などの分子篩剤などのゲル濾過
剤を用いるクロマトグラフイーにて精製せしめ、その後
必要に応じて安定化剤を添加し、凍結乾燥などの処理に
より精製された本酵素を得ることができる。 【0026】次に、本発明で得た本発明NAD合成酵素
の性質について述べる。 (1)分子量;約50000〔ポリビニルゲル(商品
名:GPC3000SW;東洋曹達社製)のカラム
(7.5mmID×60cm)を用い、標準蛋白質とし
て、アルドラーゼ(ウサギ筋肉、N.W.150,00
0)、牛血清アルブミン(M.W.67,000)、オ
ボアルブミン(ニワトリ卵:M.W.45,000)、
シトクロムC(ウマ心臓、M.W.13,000)を用
いた分子篩による。〕 (2)等電点;pH5.3付近〔等電点電気泳動用カラ
ム(LKB社製)、キャリアーアンフオラインpH3.
5〜10.0(LKB社製)を用い、700V、48時
間通電した後、カラム(2.4×30cm)から2ml
づつ分画し、各々の画分のpHと活性を測定することに
よる。〕 (3)作用; 【0027】 【化8】【0028】(4)基質特異製;アンモニア(アンモニ
ウムイオンを含む)に基質特異性を有する。または後記
に示す酵素測定法の反応液Iの25mM(NH4 )2 S
O4 の代わりに、25mMのL−バリン、L−ホモセリ
ン、L−セリン、L−アラニン、L−メチオニン、L−
チロシン、L−スレオニン、L−ロイシン、L−イソロ
イシン、L−アルギニン、L−フエニルアラニン、L−
ヒスチジン、L−アスパラギン、L−グルタミンをそれ
ぞれ添加し、後記の酵素活性測定法に従つて活性を測定
した結果、(NH4 )2 SO4 の活性を100とした場
合の相対活性は、L−バリン、L−ホモセリン、L−セ
リン、L−アラニン、L−メチオニン、L−チロシン、
L−スレオニン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L
−アルギニン、L−フエニルアラニン、L−ヒスチジ
ン、L−アスパラギンおよびL−グルタミンは共に0.
0である。 【0029】本酵素は、アンモニア(アンモニウムイオ
ンを含む)を利用し、少なくとも、L−バリン、L−ホ
モセリン、L−セリン、L−アラニン、L−メチオニ
ン、L−チロシン、L−スレオニン、L−ロイシン、L
−イソロイシン、L−アルギニン、L−フエニルアラニ
ン、L−ヒスチジン、L−アスパラギン、L−グルタミ
ンを利用しない。 (5)至適pH;後記の酵素活性測定法の反応液の緩衝
液をジメチルグルタル酸−水酸化ナトリウム緩衝液(p
H5.0〜7.0)、トリス塩酸緩衝液(pH6.5〜
9.0)、グルシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH
8.5〜10.0)に加えて酵素反応を行つた後、10
0℃で10分間加熱して反応を停止せしめ、生成したN
ADの量を測定した結果は、図1の通りである。pH
8.5〜10.0付近に至適pHを有する。 (6)pH安定性;本酵素を50mMのジメチルグルタ
ル酸−水酸化ナトリウム緩衝液(pH5.0〜7.
0)、トリス塩酸緩衝液(pH6.5〜9.0)、グリ
シン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8.5〜10.
0)に溶解し、60℃で15分間処理した後、その残存
活性を後記の酵素活性測定法に従つて測定した結果は、
図2の通りである。pH7.5〜9.0の範囲で安定で
ある。 (7)熱安定性;50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.
0)の本酵素を溶解し、各温度で15分間加熱処理し
後、その残存活性を後記の酵素活性測定法に従つて測定
した結果は、図3の通りである。少なくとも60℃以下
では安定である。 (8)至適温度;50℃、55℃、60℃、65℃、7
0℃の各温度において後記の酵素活性測定法の反応液I
で10分間反応せしめ、その後直ちに冷却し、37℃で
反応液IIを加え、後記の酵素活性測定法に従つて測定し
た結果は、図4の通りである。60℃付近に至適温度を
有する。 【0030】さらに、至適温度について、50mM ト
リス−HCl緩衝液(pH8.0)に本酵素を溶解した
ものを用いて、50℃、55℃、60℃、65℃、70
℃および75℃の各温度において後記の酵素活性測定法
(なお、後記の場合にはシグマ社製の純度90%デアミ
ド−NADを用いたが、本測定ではオリエンタル酵母社
製の純度99%デアミド−NADを用いた)の反応液I
で10分間反応せしめ、その後直ちに冷却し、37℃で
反応液II(なおEDTAは50mMとした。またジア
ホラーゼおよびアルコールデヒドロゲナーゼは同一社製
のものを用いたが、ロットは異なる)を加え、後記の酵
素活性測定法に従って活性測定した結果、70℃の場合
の活性を100%としたときの相対活性は、50℃のと
きに43%、55℃のときに62%、60℃のときに7
8%、65℃のときに94%および75℃のときに81
%であり、このことから、至適温度は70℃付近と判断
された。以上のことから、本酵素の活性測定法は、用い
るデアミド−NADの純度やジアホラーゼおよびアルコ
ールデヒドロゲナーゼのロット差によって影響を受け、
さらにはEDTAの濃度によって影響を受けたものと推
定され、酵素自体の性質の差異のものとは認められな
い。 (9)活性化及び活性阻害物質;後記の酵素活性測定法
の反応液Iに表1に記載の金属イオンの場合は5mM、
EDTAの場合は20mM、界面活性剤の場合は0.1
%となるように添加し、酵素活性測定法に従つて測定し
た。その結果は表1の通りである。Ni++イオンとし
て、NiCl2 (5mM)で強い阻害を受け、20mM
EDTAでは全く活性が出現しない。 【0031】また、後記の酵素活性測定法に用いる試薬
の中で、Mg++イオンとしてMgCl2 (5mM)を含
有せしめない条件下、MnCl2 (3mM)添加せし
め、後記酵素活性測定法に準じて活性を行つた結果、M
gCl2 (5mM)添加反応液を用いる場合と比較し
て、MnCl2 (3mM)添加反応液を用いた場合は、
150%の相対活性を示す。 【0032】 【表1】【0033】※無添加区:Mg++イオンとしてMgCl
2 (5mM)を含有せしめた条件である。 以下はこれに、各金属イオン及び界面活性剤を添加した
ものである。 (10)酵素活性測定法 活性測定法 反応液I 50mM トリス−HCl緩衝液 pH8.0 10mM KCl 5mM MgCl2 0.05% 牛血清アルブミン 2mM ATP 0.5mM デアミド−NAD 25mM (NH4 )2 SO4 反応液II 50mM トリス−HCl 緩衝液 pH8.0 10U ジアホラーゼ/ml(旭化成社製、バチルス属
生産菌由来) 3% エタノール 10U アルコールデヒドロゲナーゼ/ml(東洋紡社
製、イースト菌由来) 0.025% NTB(ニトロテトラゾリウムブルー) 0.1% Triton X−100(商品名) 10mM EDTA 反応液I 0.3mlを小試験管にとり、37℃に加温
後酵素液50μlを添加し、37℃で正確に10分間反
応を行い、0.7mlの反応液IIを添加し、反応液を停
止するとともにサイクリング反応を開始した。サイクリ
ング反応は37℃で正確に5分間行い、0.1N HC
l 2.0mlを添加によりサイクリング反応を停止後
550nmにおける吸光度を測定してそのときの値より
酵素活性を求めた。なお活性の計算式は次の式に順じ
た。 【0034】 【数1】 【0035】ΔA550:検体の吸光度 ΔS550:標準液の吸光度(0.1mM NAD) 0.005:検体量(ml) 10 :反応時間 f :希釈倍率 本発明における反応系を要約すると次の通りである。 【0036】 【化9】 【0037】本発明の被検液としては、少なくとも前記
の反応系のATP、デアミド−NADおよびアンモニア
(アンモニウムイオンも含む)のいずれか1つの被検成
分を含有するものであればよく、例えば被検成分のうち
の1つの成分を予め含有してなる被検液や、他の酵素反
応系により生成または消費された被検成分を含有する被
検液が挙げられる。 【0038】上記の酵素反応系の好ましい例としてはA
TP、デアミド−NAD、NH3 (アンモニウムイオン
も含む)を消費または生成し、NAD、還元型NAD等
の補酵素の関係しない酵素反応系のもの、例えば下記の
酵素反応系が例示されるが、何ら本発明の対象を限定す
るものではない。 (1)ATPを生成する酵素反応系 クレアチンキナーゼ(E.C.2.7.3.2) 還元剤;β−メルカプトエタノール、還元型グルタチオ
ン、システイン、N−アセチルシステイン、ジチオスレ
イトールなど。 【0039】ピルベートキナーゼ(E.C.2.7.
1.40) アセテートキナーゼ(E.C.2.7.2.1) カルバメートキナーゼ(E.C.2.7.2.2) アスパルテートキナーゼ(E.C.2.7.2.4) ホスホグリセレイトキナーゼ(E.C.2.7.2.
3) アルギニンキナーゼ(E.C.2.7.3.3) 【0040】(2)NH3 を放出し得る水溶性アンモニ
ウム塩またはNH3 を利用する酵素反応系 a)水溶性アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、
アンモニア水、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、
酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウムなどのアンモ
ニウムイオンを放出できる無機または有機アンモニウム
塩が例示される。 b)ニコチンアミダーゼ(E.C.3.5.1.19) ニコチンアミド+H2 O→ニコチン酸+NH3 +H+ c)グルタミル−ペプチド−グルタミナーゼ(E.C.
3.5.1.44) L−グルタミニル−ペプチド+H2 O→L−グルタミニ
ル−ペプチド+NH3 d)アルギニンデアミナーゼ(E.C.3.5.3.6) L−アルギニン+H2 O→シトサリン+NH3 +H+ e)グアニンデアミナーゼ(E.C.3.5.4.3) グアニン+H2 O→キサンチン+NH3 +H+ f)アデノシンデアミナーゼ(E.C.3.5.4.4) アデノシン+H2 O→イノシン+NH3 +H+ g)クレアチニンデアミナーゼ(E.C.3.5.4.2
1) クレアチニン+H2 O→N−メチルヒダントイン+NH
3 +H+ h)スレオニンデヒドラーゼ(E.C.4.2.1.1
6) L−スレオニン+H2 O→2−オキソ酪酸+CO2 +N
H3 +H+ i)アスパラギン酸アンモニア−リアーゼ(E.C.4.
3.1.1) L−アスパラギン酸→フマル酸+NH3 +H+ j)L−メチオニンγ−リアーゼ(E.C.4.4.1.
11) L−メチオニン+H2 O→2−オキソ酪酸+メタンチオ
ール+NH3+H+ k)メチルアミノグルタミン酸メチルトランスフエラーゼ
(E.C.2.1.1.21) 【0041】 【化10】 【0042】(3)本酵素反応で生成したAMPの測定
を特徴とする被検液中のデアミノ−NAD、NH3 (ア
ンモニウムイオンを含む)の測定は例えば下記の酵素反
応系が例示される。 アデニレトキナーゼ(E.C.2.7.4.3) 【0043】 【化11】 【0044】ピルビン酸キナーゼ(E.C.2.7.
1.40) 【0045】 【化12】 【0046】ピルビン酸オキシダーゼ(E.C.1.
2.3.3) 【0047】 【化13】 【0048】生成したH2 O2 をペルオキシダーゼの存
在下に測定することによる被検液中のNH3 (アンモニ
ウムイオンも含む)デアミノ−NADの測定 乳酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.27) ピルビン酸+NADH+H+ →L−乳酸+NAD 過剰の乳酸デヒドロゲナーゼとNADH共存下でNAD
Hの酸化によるA340の減少を測定 本発明においては、上記の例示した酵素反応系で消費あ
るいは生成されたATP、NH3 を含有する反応系に限
らず、上記酵素反応系で用いた酵素活性測定、消費され
た基質または生成された生成物を定量するための反応液
も被検液として使用し得る。 【0049】これらの酵素反応系におけるATP、NH
3 の定量目的は酵素反応系における酵素の活性測定や用
いられる他の成分のいずれか1つの成分の測定のために
行われるものである。この酵素反応系においては、測定
すべき成分以外は試薬として一定量用いればよい。この
場合における測定されるべき被検液や試薬の量は測定す
べき目的や選択する条件によつて適宜設定変更すればよ
く、特に限定されるものではない。 【0050】さらに本発明のNAD合成酵素を用いて生
成されたNADを補酵素とする酸化還元反応系として
は、例えばNADを消費して還元型NADを生成する反
応を形成するデヒドロゲナーゼ(E1 )およびその基質
(S1 )による反応系や、NADとNADPの両方を補
酵素とすることのできるデヒドロゲナーゼ(E1 )およ
びその基質(S1 )による反応系を用いることができ
る。上記のデヒドロゲナーゼは特に限定されることはな
いが、少なくともNADを補酵素として消費するもので
あればよく、かつ過剰量用いる特定の基質に作用して還
元型NADを生成すればデヒドロゲナーゼであればいか
なる起源の酵素であってもよい。 【0051】これらの酵素およびその基質の例としては
「酵素ハンドブツク」に記載れている。例えば、ラクテ
ートデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.27)お
よびL−ラクテート、グリセロールデヒドロゲナーゼ
(E.C.1.1.1.6)およびグリセロール、グリ
セロール−3−ホスフエートデヒドロゲナーゼ(E.
C.1.1.1.8)およびグリセロール−3−ホスフ
エート、グルコースデヒドロゲナーゼ(E.C.1.
1.47)およびグルコース、マレートデヒドロゲナー
ゼ(E.C.1.1.1.37)およびL−マレート、
グルタメイトデヒドロゲナーゼ(E.C.1.4.1.
2)およびL−グルタメイト、3−α−ヒドロキシステ
ロイドデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.50)
および3−α−ヒドロキシステロイドが挙げられる。 【0052】これらの酸化還元反応に使用する酵素量
は、酵素力価、基質の種類および補酵素サイクリング率
によつて異なる。基質量は、1サイクル毎に1モル比の
基質を消費してなるもので、サイクリングする補酵素よ
り比較にならない程はるかに多いモル量が使用されるの
で、通常単位時間当たりのサイクル数および反応時間に
基いて決定すればよい。また、その酸化還元酵素の反応
速度が最大を示すような濃度以上であればよい。通常は
0.1mMないし100mM濃度範囲で存在し得る。 【0053】還元型NADを補酵素とする反応系として
は、少なくとも還元型NADを消費してNADを生成す
る作用物質(E2 )およびその基質(S2 )の反応系が
挙げられ、その作用物質の反応系としては、少なくとも
還元型NADを消費してNADを生成する酸化還元酵素
およびその基質の反応系や、電子伝達物質およびテトラ
ゾリウム塩の反応系が挙げられる。 【0054】補酵素サイクリング反応系 (a)NADを補酵素とする酸化還元反応系; (b)NADHを補酵素とする転移反応系; NH3 :アンモニアの正1価のアンモニウムイオンをふ
がんする。 【0055】E1 :NADおよびS1 を基質として消
費して、還元型NADおよびP1を生成する反応を触媒
するデヒロゲナーゼ E2 :還元型NADおよびS2 を消費して、NADお
よびP2 を生成する反応を触媒する作用物質 S1 :E1 の還元型基質 S2 :E2 の酸化型基質 P1 :S1 の酸化生成物 P2 :S2 の還元生成物 NH3 を利用する場合の反応系を式で示すと以下の通り
である。 【0056】 【化14】 【0057】還元型NADを消費してNADを生成する
酸化還元酵素としては、少なくとも還元型NADを補酵
素とし、過剰量用いる特定の基質(S2 )に作用してN
ADおよびS2 の還元型生成物(P2 )を生成するデヒ
ロゲナーゼ、または少なくとも還元型NADを補酵素と
し、チトクローム、ジスルフイド化合物、キノンおよび
その類縁体等を受容体とする還元型NAD:受容体酸化
還元酵素であればそのいずれでも良く、その起源も限定
されることはない。これらの酵素およびその基質または
受容体の例としては、「酵素ハンドブツク」に記載され
ている。 【0058】デヒドロゲナーゼおよびその基質の例とし
ては、ラクテートデヒドロゲナーゼ(EC.1.1.
1.27)およびピルビン酸、アルコールデヒドロゲナ
ーゼ(EC.1.1.1)およびアセトアルデヒド、グ
リセロールデヒドロゲナーゼ(EC.1.1.1.6)
およびジヒドロキシアセトンが挙げられる。またNAD
H:受容体酸化還元酵素としては、チトクロームb5 レ
ダクターゼ(EC.1.6.2.2)、ジアホラーゼ
(EC.1.6.4.3)などが挙げられる。受容体と
しては、メチレン・ブルー、フラビン類、キノン類、
2,6−ジクロロフエノールインドフエノールなどが挙
げられる。 【0059】還元型NAD:受容体酸化還元酵素および
受容体の組合せは、還元型NADを補酵素としてなる酵
素および電子受容体となり得るものであれば特に限定さ
れない。好ましい組合せとしては、ジアホラーゼ(E
C.1.6.4.3)およびテトラゾリウム塩、および
メチレン・ブルー、NADデヒドロゲナーゼ(EC.
1.6.99.3)およびチトクロームC等が挙げられ
る、使用濃度は通常0.05〜100U/mlの範囲で
存在し得る。テトラゾリウム塩の使用濃度は、テトラゾ
リウム塩および究極的に形成されるホルマザンの双方の
水溶性がむしろ限定されるが、通常は試薬1ml当たり
1μgから100μgの温度範囲で存在し得る。 【0060】電子伝達物質としては、還元型NADをN
ADに酸化する能力を有し、しかも補酵素サイクリング
反応に悪影響を及ぼさないような物質、例えばフエナシ
ンメタルサルフエート、メルドーラ・ブルー、ピロシア
ニン等が挙げられる。使用濃度は、サイクリング率に応
じて設定すればよいが、通常反応液I 1ml当たり5
μg〜0.5ml濃度範囲で存在し得る。 【0061】上記のサイクリング反応は、通常室温ない
し37℃付近の温度、好ましくは30〜37℃の温度で
行われる。反応時間は、特に限定されるものでなく、通
常1分以上、好ましくは5分以上行えばよい。予定され
た時間の終わりで反応を迅速に停止するには、酸例えば
塩酸、リン酸などを添加することにより行われる。サイ
クリング反応を行つた後、このサイクリング反応におい
て消費または生成される部分を定量するのであるが、生
成する部分としてはE1 の還元型基質(S 1 )の酸化生
成物(P1 )またはE2 の酸化型基質(S2 )の還元生
成物(P2)を対象とすればよく、消費される部分とし
てはE1 の還元型基質(S1 )またはE2 の酸化型基質
(S2 )を対象とすればよく、これらのP1 、P2 、S
1 、S2 のいずれか1つの成分の量を定量すればよい。
簡単には、基質の状態では無色であり、生成物の状態に
て呈色または蛍光を呈する吸光波長を変化する場合の生
成物の定量手段を用いることである。例えばテトラゾリ
ウム塩を基質(S2 )として、生成するホルマザンを還
元生成物(P2 )とせしめて、このホルマリンを比色定
量してなるものである。さらにフラビン類やキノン類を
基質(S2 )として用いた場合には、それらの基質(S
2 )の消費量をその特有の吸光波長に基いて吸光度測定
して定量すればよい。 【0062】上記反応において、テトラゾリウム塩から
形成されるホルマザンの沈澱の防止を助けるために界面
活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤として
は、トリトンX−100、アデカトールSO−145な
どの非イオン界面活性剤が挙げられる。使用濃度は試薬
に対し、0.01〜3%の濃度範囲で存在し得る。この
界面活性剤の添加により、測定値の上昇とホルマザンの
色素の安定化をはかることができる。 【0063】生じたホルマザン色素の比色定量は、ホル
マザンの特異的吸光波長にて吸光度(OD)を測定すれ
ばよく、例えば500〜550nmの波長により吸光度
を測定して、被測定物質の定量を行うことができる。本
発明によれば、エンド・ポイント法だけでなく、レイト
法、ドライケミカル法(フイルム法、固定化法)も可能
である。 【0064】 【発明の実施態様】次いで、本発明の実施例を挙げて具
体的に述べるが、本発明はこれによつて何ら限定される
ものではない。 【0065】 【参考例1】 製法 50リットル容ジャーにペプトン1%、グルコース0.
5%、K2 HPO4 0.05%、NaCl 0.05
%、MgSO4 ・7H2 O 0.05%を含む液体培地
(pH7.6)40リットルを仕込み、120℃、20
分間滅菌後、上記と同一組成の培地で予備培養したバチ
ルス・ステアロサーモフイラス(Bacillus S
tearothermophilus)H−804の種
菌200mlを接種し、60℃で10時間、通気量40
リットル/min、攪拌速度150r.p.m.で通気
培養した。培養後遠心分離にて集菌し、菌体を0.1%
リゾチームを含有する10mMトリス塩酸緩衝液(pH
8.0)500mlに分散させ、37℃で30分間反応
を行い、溶菌した。 【0066】この液を5000r.p.m.で10分間
遠心し、上清液450mlを得た。この上清液に硫安を
添加し硫安分画(0.5〜0.71飽和)を行い、この
沈澱を10mMトリス塩酸緩衝液50mlに溶解(2/
U)し、この緩衝液5リットルに対して透析した。この
透析物中に生じた不溶物を遠心分離(15000r.
p.m.、10分間)にて除去した。上清液(20U)
を10mMトリス緩衝液(pH8.0)で緩衝化したD
EAE−セフアロースCL−6Bカラム(25×5c
m)にチャージし、0〜0.5M NaClの濃度勾配
法にて溶出した。0.25〜0.3M NaClで溶出
される画分を集め(80ml、16.5U)アミコン社
製セントリフローメンブランコーンCF25を用い濃縮
した後、セフアデツクスG−100(3.6×80c
m)にて精製を行い、その活性画分を集め、精製標品
(50ml、14U)とした。 【0067】 【実施例1】 検体中のATPの測定 反応液I 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10mM KCl 5mM MgCl2 0.05% 牛血清アルブミン 1mM デアミノ−NAD 50mM (NH4 )2 SO4 100mU 本発明NAD合成酵素/ml 反応液II 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10U ジアホラーゼ(旭化成社製、バチルス菌由来) 3% エタノール 10U アルコールデヒドロゲナーゼ(東洋紡績社製、
イースト菌由来) 0.025% ニトロテトラゾリウムブルー 0.1% Triton X−100 15mM EDTA 反応液I 0.3mlを小試験管にとり、37℃に加温
後0、10、20、30、40μMのATP溶液をそれ
ぞれ5μl添加し、37℃で10分間反応した後、反応
液IIを0.7ml添加し、37℃で正確に5分間反応
したのち、0.1N HCl 2.0mlを加えて反応
を停止し、550nmで吸光度測定した。その結果は、
図5に示す通りで良好な直線性が得られた。 【0068】 【実施例2】 アンモニウムイオンの測定 実施例1に示した反応系I中の50mM(NH4 )2 S
O4 の代わりに5mMATPを添加した反応液に0、
5、10、15、20μMの(NH4 )2 SO 4 溶液を
5μl添加し、実施例2と同様の操作を行った。その結
果は、図6に示す通りで良好な直線性が得られた。 【0069】 【実施例3】クレアチニンの測定 反応液I 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10mM KCl 5mM MgCl2 1mM ATP 0.05% 牛血清アルブミン 1mM デアミノ−NAD 20U/ml クレアチニンデイミナーゼ(コダック社
製) 100mU/ml 本発明NAD合成酵素 反応液I 0.3mlを小試験管にとり、37℃に加温
後1、2、3、4mg/dlのクレアチニン溶液を10
μl添加し、実施例2と同様の操作を行った。その結果
は、図7に示す通りで良好な直線性が得られた。 【0070】 【実施例4】 アンモニウムイオンの測定法 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10mM KCl 5mM MgCl2 1mM ATP 0.05% 牛血清アルブミン 1mM デアミノ−NAD 100mU/ml 本発明NAD合成酵素 上記反応液1mlを小試験管にとり、37℃に加温後
0、25、50、100mMの(NH4 )2 SO4 溶液
をそれぞれ10μl添加し、37℃で20分間反応した
後に340nmで吸光度測定した。その結果は、図8に
示す通りで良好な直線性が得られた。 【0071】 【実施例5】 生成したAMPの測定 反応液I 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10mM KCl 5mM MgCl2 1mM ATP 0.05% 牛血清アルブミン 0.05% トリトンX−100 1mM デアミド−NAD 10U/ml ミオキナーゼ(Sigma社製 バチル
ス菌由来) 10U/ml ピルビン酸キナーゼ(Sigma社製
バチルス菌由来) 10mM ホスホエノールピルビン酸 100mU/ml 本発明NAD合成酵素 反応液II 50mM リン酸緩衝液 pH8.0 100mU/ml ピルビン酸オキシダーゼ(Sigm
a社製 ベデイオコツカス菌由来) 100mU/ml ペルオキシダーゼ(Sigma社
製) 0.2% フエノール 0.3% 4−アミノアンチピリン 上記反応液I 1mlを小試験管にとり、37℃に加温
後0、0.5、1.0、1.5、20mMの(NH4 )
2 SO4 溶液をそれぞれ10μl添加し、37℃で30
分間反応した後に反応液IIを0.1ml添加し、37
℃、30分間反応した後に500nmで吸光度測定し
た。その結果は、図9に示す通りで良好な直線性が得ら
れた。 【0072】 【実施例6】 デアミド−NADの測定法 反応液 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10mM KCl 5mM MgCl2 0.05% 牛血清アルブミン 50mM (NH4 )2 SO4 1mM ATP 100mU/ml 本発明NAD合成酵素 3% エタノール 10U アルコールデヒドロゲナーゼ 0.1% Triton X−100 反応液1mlを小試験管にとり、37℃に加温後0、
2.5、5、10mMのデアミド−NAD溶液をそれぞ
れ10μl添加し、37℃で30分間反応した後に34
0nmで吸光度測定した。その結果は、図10に示す通
りで良好な直線性が得られた。 【0073】 【実施例7】 金属イオンの至適濃度 反応液I 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10mM KCl 0.05% 牛血清アルブミン 2mM ATP 0.5mM デアミド−NAD 25mM (NH4 )2 SO4 反応液II 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10U ジアホラーゼ1ml(旭化成社製 バチルス属
生産菌由来) 3% エタノール 10U アルコールデヒドロゲナーゼ/ml(東洋紡績
社製 イースト菌由来) 0.025% NTB(ニトロテトラゾリウムブルー) 0.1% Triton X−100(商品名) 10mM EDTA 反応液IにそれぞれMgCl2 0.25mM、0.50
mM、0.75mM、1mM、2mM、3mM、4m
M、MnCl2 0.25mM、0.50mM、0.75
mM、1mM、2mM、3mM、4mM添加し、それぞ
れ、酵素活性測定法に従って活性を測定し、その相対活
性を、MgCl2 添加区を図11、MnCl2 添加区を
図12に示す。その結果、MnCl2 添加区においては
3mMで至適濃度を示した。 【0074】 【発明の効果】本発明は、本発明NAD合成酵素を用い
て被検液中のATP、デアミド−NADおよびアンモニ
アまたはアンモニウムイオンのいずれか1つの成分の定
量に利用できるもので、特に被検液中のアミノ酸の影響
を受けることなくアンモニア(アンモニウムイオンも含
む)の測定を可能ならしめるものである。かつ好ましい
態様としての本発明NAD合成酵素の熱安定性において
60℃まで安定であるとの耐熱性酵素である点からも前
記の各種の分析において有用なものである。
酵素を用いる測定法に関する。更に詳しく言えば、本発
明は、被検液中のATP、デアミド−NADおよびアン
モニアまたはアンモニウムイオンのいずれか1つを測定
するに当たり、少なくともMg++イオンまたはMn++イ
オンの存在下、下記の式(a)の酵素反応を触媒し、M
g++イオンの存在下、下記の式(b)の酵素反応を触媒
せず、アンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを
基質として利用し、かつ少なくともグルタミンおよびア
スパラギンを基質として利用しないNAD合成酵素(以
下、本発明NAD合成酵素ということがある)を、被検
液に作用せしめ、次いで反応において消費された成分ま
たは生成された成分を測定することを特徴とするAT
P、デアミド−NADおよびアンモニアまたはアンモニ
ウムイオンのいずれか1つの成分を測定する被検液中の
成分の測定法に関する。 【0002】 【化2】 【0003】 【従来の技術】従来、NAD合成酵素(NAD+ syn
thetase)は、ラツト肝臓〔J.Biol.Ch
em.,233,493〜500(1958)〕、ブタ
肝臓〔J.Biol.Chem.,236,525〜5
30(1961)〕、酵母〔J.Biol.Che
m.,247,4794〜4802(1972)〕、
E.coli〔J.Biol.Chem.,236,1
494〜1497(1961);J.Biol.Che
m.,242,385〜392(1967)〕に夫々そ
の存在が知られている。そして、酵素分類上、 【0004】 【化3】 【0005】の反応を触媒するNAD合成酵素(E.
C.6.3.1.5)と 【0006】 【 】 【0007】 【化4】 【0008】の反応を触媒するNAD合成酵素(E.
C.6.8.5.1)に分類されているが、両酵素とも
アミノ供与体としてアンモニア(アンモニウムイオンを
含む)およびL−グルタミンを基質として作用し、NA
D合成酵素(E.C.6.3.1.5)について、
〔J.Biol.Chem.,236,1494〜14
97(1961);J.Biol.Chem.,24
2,385〜392(1967)〕によると、NH4 +
に対するKm値は6.5×10-5M、L−グルタミンに
対するKm値は1.6×10-2Mと報告されている。 【0009】また、NAD合成酵素(E.C.6.3.
5.1)について〔J.Biol.Chem.,24
7,4794〜4802(1972);J.Biol.
Chem.,233,493〜500(1958)〕に
よると、NH4 + に対するKm値は6.4×103 M、
L−グルタミンに対するKm値は5×10-3Mと報告さ
れている。両酵素の相違はアザセリンによつて阻害され
るか、否かによつて区別されている。 【0010】従来より知られたNAD合成酵素の活性測
定法は、反応により生じたNADをアルコールデヒドロ
ゲナーゼ(E.C.1.1.1)で還元し、生じた還元
型NADを340nmにおける吸光度測定する方法また
は生じたNADを蛍光法で測定する方法が報告されてい
る。また、本発明者らは、先に従来のNAD合成酵素
(E.C.6.3.1.5およびE.C.6.3.5.
1)を用いて被検液中のATP、デアミド−NADおよ
び、NH3 、GlnまたはAsnアミド供与体のいずれ
か1つを測定するに当たり、被検液にATP、デアミド
−NAD、アミド供与体およびMg++の存在下NAD合
成酵素を作用させる主反応を行い、主反応により生じた
NADを、NADを補酵素とする酸化還元反応系と還元
型NADを補酵素とする酸化還元反応系との組合せによ
る補酵素サイクリング反応を行い、そのサイクリング反
応により消費または生成された成分を定量するとこを特
徴とするATP、アミド−NADおよびアミド供与体の
いすれか1つを含有する被検液中の成分の測定法を報告
している(特開昭59−198995号公報)。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】前述のように従来のN
AD合成酵素は、アミノ供与体としてL−グルタミンを
基質として利用するものであり、少なくともMg++イオ
ンまたはMn++イオンの存在下、下記の式(a)の酵素
反応を触媒し、Mg++イオンの存在下、下記の式(b)
の酵素反応を触媒せず、アンモニアおよび/またはアン
モニウムイオンを基質として利用し、かつ少なくともグ
ルタミンおよびアスパラギンを基質として利用しないN
AD合成酵素は知られていなかった。 【0012】 【化5】 【0013】また、従来のNAD合成酵素は前述の如
く、L−グルタミンにも基質特異性を有するため、L−
グルタミン共存下でのNH3 の測定が出来ないものであ
った。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の課
題に鑑み、鋭意研究の結果、大分県別府市田ノ湯町の温
泉水から分離したバチルス属に属する菌株H−804株
が、新規な、少なくともMg++イオンまたはMn++イオ
ンの存在下、下記の式9(a)の酵素反応を触媒し、M
g++イオンの存在下、下記の式9(b)の酵素反応を触
媒せず、アンモニアおよび/またはアンモニウムイオン
を基質として利用し、かつ少なくともグルタミンおよび
アスパラギンを基質として利用しないNAD合成酵素を
産生することを見出した。 【0015】 【化6】 【0016】すなわち、本発明は、少なくともMg++イ
オンまたはMn++イオンの存在下、下記の式(a)の酵
素反応を触媒し、Mg++イオンの存在下、下記の式
(b)の酵素反応を触媒せず、アンモニアおよび/また
はアンモニウムイオンを基質として利用し、かつ少なく
ともグルタミンおよびアスパラギンを基質として利用し
ないNAD合成酵素(以下本発明NAD合成酵素と云う
ことがある) 【0017】 【化7】 【0018】に関し、被検液中のATP、デアミド−N
ADおよびアンモニアまたはアンモニウムイオンのいず
れか1つを測定するに当たり、本発明NAD合成酵素を
被検液に作用せしめ、次いで反応において消費された成
分または生成された成分を測定することを特徴とする、
ATP、デアミド−NADおよびアンモニアまたはアン
モニウムイオンのいずれか1つの成分を測定する被検液
中の成分の測定法である。 【0019】この新規な本発明NAD合成酵素生産菌の
菌学的性状は以下の通りである。 a.形態的特徴 普通寒天斜面培地を用いて、50℃で1〜3日間培養し
て顕微鏡観察を行った。 (1)形および配列;端は丸く、まつすぐ又はやや曲つ
た桿菌で単独又は二連鎖を形成する。 (2)大きさ;0.5〜1.0×1.6〜5.5μm (3)運動性;周毛で運動する。 (4)芽胞;中央又は端に近いところに形成する。大き
さは0.8〜1.0×1.0×1.5μmで細胞は膨張
する。 b.各培地における生育状態(50℃) (1)普通寒天平板培地 灰白色〜淡黄灰白色で半透明であり、線状に生育し、生
育はやや弱く、可溶性色素は産生しない。 (2)普通寒天斜面培地 灰白色〜淡黄灰白色で半透明であり、円形で平らな集落
を形成する。可溶性色素は産生しない。 (3)液体培地 生育良好で一様に混濁し、2〜3日後一部沈澱する。 (4)BCPミルク 不変である。 c.生理的性質(+;陽性、−;陰性) グラム染色 + KOH反応 − 抗酸性染色 − カプセル形成 − OFテスト(Hugh+Leifson培地) 変化なし OFテスト(変法培地)※※ 0(酸化) 嫌気での生育 − カタラーゼ産生 +(弱) オキシダーゼ産生 +(弱) ウレアーゼ産生(SSR培地) − 〃 (Chris培地) − レシチナーゼ産生 生育しない ゼラチン分解 + デンプン分解 + カゼイン分解 + エスクリン分解 + アルギニン分解 − セルロース分解 − インドール産生 − 硫化水素産生 +(酢酸鉛紙) アセトイン産生 − MRテスト − 硝酸塩の還元 − NaCl無添加培地での生育 + 0.1%NaCl添加培地での生育 + 0.25%NaCl添加培地での生育 − 65℃での生育 + 50℃での生育 + 37℃での生育 − pH9.0での生育 − pH8.0での生育 + pH5.6での生育 + pH4.8での生育 − 糖より酸の産生※(ガス非産生) アドニトール − L(+)アラビノース + セロビオース + ヅルシトール − meso−エリスリトール − Dフラクトース − フコース − Dガラクトース + Dグルコース + グリセリン + イノシトール − イヌリン − ラクトース + マルトース − Dマンニトール + Dマンノース + メレジトース + メリビオース + ラフイノース + ラムノース − Dリボース + サリシン − Lソルボース − ソルビトール − デンプン + サツカロース + トレハロース + Dキシロース ※基礎培地 糖加アンモニウム培地(ASS) (NH4 )2 HPO4 1.0g KCl 0.2g MgSO4 ・7H2 O 0.2g 酵母抽出物 1.0g アガロース 3.0g BTB 0.02g 蒸留水 1000ml pH 7.0 ※※変法培地 上記基礎培地に10.0gグルコースを添加した培地 利用性テスト(Simmons培地) クエン酸塩 − マロン酸塩 − グルコン酸塩 − プロピオン酸塩 − マレイン酸塩 − コハク酸塩 − リンゴ酸塩 + 利用性テスト(Christenesen培地) クエン酸塩 − マロン酸塩 − グルコン酸塩 + プロピオン酸塩 − マレイン酸塩 − コハク酸塩 + リンゴ酸塩 + 上記の菌学的性質から、本H−804菌株は、端の丸
い、まっすぐまたはやや曲がつた桿菌で、グラム陽性、
大きさは0.5〜1.0×1.6×5.5μmで芽胞を
形成する高温性細菌で、カタラーゼ及びオキシダーゼ産
生能が弱陽性で、非運動性、糖(グルコース)を酸化的
に分解する細菌であるとの特徴を有する。このような諸
性状を有する本菌の分類学上の位置をBergy’s・
Manual 8版、1974、医学細菌同定の手引き
2版、1974およびAgriculture Han
d book、427、The genus Baci
llusを参照して検討すると、本菌は芽胞を形成し、
好気条件で生育できることからバチルス属に属するもの
と判定される。 【0020】そこで、バチルス属に属する高(好)温性
・耐温性の菌種として、バチルス・ズブチリス、バチル
ス・コアギユランス、バチルス・リケニホルミス、バチ
ルス・ブレビスおよびバチルス・ステアロサーモフイラ
スが挙げられるが、本菌の最低生育温度が30℃以上で
あることから、(A)バチルス・ステアロサーモフイラ
スおよび(B)バチルス・ブレビスが挙げられる。これ
らの性状を比較対比すると次の通りである。〔+;陽
性、−;陰性、d;菌株によつて異なる〕。 【0021】 本菌 (A) (B) 菌の大きさ(μm) 巾 0.5〜1.0 0.5〜0.1 0.6〜0.9 長さ 1.6〜5.5 2.0〜3.5 1.5〜4.0 グラム染色 +(易脱色) 不定 不定 胞子形成 + + + 胞子による菌体の膨張 + + + 運動性 − + + カタラーゼ産生 (+) + + 嫌気下での生育 − − − アセトイン産生 − − − 生育温度 最高(℃) 65以上 65〜75 40〜60 最低(℃) 37以上 30〜45 10〜35 pH5.7での生育 + − d 5%NaCl添加培地 − d − での生育 糖よりの産生 グルコース + + + アラビノース + d − キシロース + d − マンニツト + d d 糖よりのガスの産生 − − − デンプン分解 + + d クエン酸塩の利用 − − d 硝酸塩の還元 − d d インドール産生 − − − カゼイン分解 + d + 以上の比較対比から、本菌株はバチルス・ステアロサー
モフイラスとよく一致しており、運動性について容易に
非運動性の株が得られることが報告されており、その他
の諸性状について比較検討した結果でもバチルス・ステ
アロサーモフイラスとよく一致した。よって本H−80
4菌株をバチルス・ステアロサーモフイラス(Baci
llus stearithermophilus)H
−804と同定命名した。なお、本菌株は工業技術院微
生物生命工学工業技術院研究所に「微工研菌寄第883
9号(FERM P−8839)、微工研菌寄第140
8号(FERM BP−1408)」として寄託されて
いる。 【0022】本発明においては、バチルス属に属する本
発明NAD合成酵素生産菌としては、上記のバチルス・
ステアロサーモフイラスH−804はその一例であつ
て、この菌株に限らず、本発明NAD合成酵素を生産す
る菌はすべて本発明において使用できる。また、本発明
NAD合成酵素を産生する菌より遺伝子操作により本発
明NAD合成酵素の遺伝情報を担うDNAを分離し、本
発明NAD合成酵素非産生菌にそのDNAを組み込み、
本発明NAD合成酵素生産能を発現せしめるように変異
された変異株を得ることが出来、該変異株より産生され
た本発明NAD合成酵素、及び該酵素を用いた被検液中
の成分の測定法も本発明に含まれるものである。 【0023】本発明は、本発明NAD合成酵素生産菌を
生産する通常の方法で培養される。培養の形態は、液体
培養でも固体培養でもよいが、工業的には深部通気攪拌
培養を行うのが望ましい。培地の栄養源とては微生物の
培養に通常用いられるものが広く使用され得る。炭素源
としては同化可能な炭素化合物であればよく、例えばブ
ドウ糖、ショ糖、乳糖、麦芽糖、スターチ、デキストリ
ン、糖密、廃糖密、グリセリンなどが挙げられる。窒素
源としては、利用可能な窒素化合物であればよく、例え
ばコーンスチープリカー、大豆粉、綿実粉、小麦グルテ
ン、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分
解物、硫酸アンモニウムなどが使用される。その他リン
酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウ
ム、亜鉛、鉄、マンガン、ハロゲンなどの塩類が必要に
応じて使用される。、バチルス・ステアロサーモフイラ
アスH−804においては培養温度は、本発明NAD合
成酵素生産菌が発育し、本酵素を生産する範囲内で適宜
変更し得るが、48〜70℃、特に55〜60℃が好ま
しい。培養時間は培養条件によつて異なるが、本酵素が
最高力価に達する時期を見計らつて適当な時期に培養を
終了すればよく、10〜20時間が好ましかつた。通気
攪拌する場合には、200〜400r.p.m.の条件
下で充分である。 【0024】このようにして得られたNAD合成酵素生
産菌の培養物から本発明NAD合成酵素を採取するので
あるが、本酵素は主にその菌体内に含有されるので、得
られた培養物を濾過または遠心分離などの手段により集
菌し、この菌体を超音波処理、フレンチプレス処理やガ
ラスビース処理などの機械的破壊処理手段やリゾチーム
などの酵素的破壊手段にて破壊し、また必要に応じてト
リトンX−100(Triton X−100:商品
名)、アデカトールSO−120(商品名)などの界面
活性剤を添加してもよい。こうして得られたNAD合成
酵素含有液は、濃縮するか、または濃縮することなく可
溶性塩類、例えば硫安などを用いて塩析するするか、親
水性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、アセト
ン、イソプロパノールなどを用いて本酵素を沈澱させれ
よい。 【0025】この沈澱物は、水または緩衝液に溶解後、
必要に応じて半透膜にて透析し、さらにDEAE−セフ
アデツクス、DEAE−セフアロースやDEAE−セル
ロースなどやカルボキメチル−セルロース、カルボキシ
メチル−セフアロース、カルボキシメチル−セフアデツ
クスなどのイオン交換樹脂を用いるクロマトグラフイー
やセフアデツクスG200、セフアロースCL−6B、
セフアクリルS−200などの分子篩剤などのゲル濾過
剤を用いるクロマトグラフイーにて精製せしめ、その後
必要に応じて安定化剤を添加し、凍結乾燥などの処理に
より精製された本酵素を得ることができる。 【0026】次に、本発明で得た本発明NAD合成酵素
の性質について述べる。 (1)分子量;約50000〔ポリビニルゲル(商品
名:GPC3000SW;東洋曹達社製)のカラム
(7.5mmID×60cm)を用い、標準蛋白質とし
て、アルドラーゼ(ウサギ筋肉、N.W.150,00
0)、牛血清アルブミン(M.W.67,000)、オ
ボアルブミン(ニワトリ卵:M.W.45,000)、
シトクロムC(ウマ心臓、M.W.13,000)を用
いた分子篩による。〕 (2)等電点;pH5.3付近〔等電点電気泳動用カラ
ム(LKB社製)、キャリアーアンフオラインpH3.
5〜10.0(LKB社製)を用い、700V、48時
間通電した後、カラム(2.4×30cm)から2ml
づつ分画し、各々の画分のpHと活性を測定することに
よる。〕 (3)作用; 【0027】 【化8】【0028】(4)基質特異製;アンモニア(アンモニ
ウムイオンを含む)に基質特異性を有する。または後記
に示す酵素測定法の反応液Iの25mM(NH4 )2 S
O4 の代わりに、25mMのL−バリン、L−ホモセリ
ン、L−セリン、L−アラニン、L−メチオニン、L−
チロシン、L−スレオニン、L−ロイシン、L−イソロ
イシン、L−アルギニン、L−フエニルアラニン、L−
ヒスチジン、L−アスパラギン、L−グルタミンをそれ
ぞれ添加し、後記の酵素活性測定法に従つて活性を測定
した結果、(NH4 )2 SO4 の活性を100とした場
合の相対活性は、L−バリン、L−ホモセリン、L−セ
リン、L−アラニン、L−メチオニン、L−チロシン、
L−スレオニン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L
−アルギニン、L−フエニルアラニン、L−ヒスチジ
ン、L−アスパラギンおよびL−グルタミンは共に0.
0である。 【0029】本酵素は、アンモニア(アンモニウムイオ
ンを含む)を利用し、少なくとも、L−バリン、L−ホ
モセリン、L−セリン、L−アラニン、L−メチオニ
ン、L−チロシン、L−スレオニン、L−ロイシン、L
−イソロイシン、L−アルギニン、L−フエニルアラニ
ン、L−ヒスチジン、L−アスパラギン、L−グルタミ
ンを利用しない。 (5)至適pH;後記の酵素活性測定法の反応液の緩衝
液をジメチルグルタル酸−水酸化ナトリウム緩衝液(p
H5.0〜7.0)、トリス塩酸緩衝液(pH6.5〜
9.0)、グルシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH
8.5〜10.0)に加えて酵素反応を行つた後、10
0℃で10分間加熱して反応を停止せしめ、生成したN
ADの量を測定した結果は、図1の通りである。pH
8.5〜10.0付近に至適pHを有する。 (6)pH安定性;本酵素を50mMのジメチルグルタ
ル酸−水酸化ナトリウム緩衝液(pH5.0〜7.
0)、トリス塩酸緩衝液(pH6.5〜9.0)、グリ
シン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8.5〜10.
0)に溶解し、60℃で15分間処理した後、その残存
活性を後記の酵素活性測定法に従つて測定した結果は、
図2の通りである。pH7.5〜9.0の範囲で安定で
ある。 (7)熱安定性;50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.
0)の本酵素を溶解し、各温度で15分間加熱処理し
後、その残存活性を後記の酵素活性測定法に従つて測定
した結果は、図3の通りである。少なくとも60℃以下
では安定である。 (8)至適温度;50℃、55℃、60℃、65℃、7
0℃の各温度において後記の酵素活性測定法の反応液I
で10分間反応せしめ、その後直ちに冷却し、37℃で
反応液IIを加え、後記の酵素活性測定法に従つて測定し
た結果は、図4の通りである。60℃付近に至適温度を
有する。 【0030】さらに、至適温度について、50mM ト
リス−HCl緩衝液(pH8.0)に本酵素を溶解した
ものを用いて、50℃、55℃、60℃、65℃、70
℃および75℃の各温度において後記の酵素活性測定法
(なお、後記の場合にはシグマ社製の純度90%デアミ
ド−NADを用いたが、本測定ではオリエンタル酵母社
製の純度99%デアミド−NADを用いた)の反応液I
で10分間反応せしめ、その後直ちに冷却し、37℃で
反応液II(なおEDTAは50mMとした。またジア
ホラーゼおよびアルコールデヒドロゲナーゼは同一社製
のものを用いたが、ロットは異なる)を加え、後記の酵
素活性測定法に従って活性測定した結果、70℃の場合
の活性を100%としたときの相対活性は、50℃のと
きに43%、55℃のときに62%、60℃のときに7
8%、65℃のときに94%および75℃のときに81
%であり、このことから、至適温度は70℃付近と判断
された。以上のことから、本酵素の活性測定法は、用い
るデアミド−NADの純度やジアホラーゼおよびアルコ
ールデヒドロゲナーゼのロット差によって影響を受け、
さらにはEDTAの濃度によって影響を受けたものと推
定され、酵素自体の性質の差異のものとは認められな
い。 (9)活性化及び活性阻害物質;後記の酵素活性測定法
の反応液Iに表1に記載の金属イオンの場合は5mM、
EDTAの場合は20mM、界面活性剤の場合は0.1
%となるように添加し、酵素活性測定法に従つて測定し
た。その結果は表1の通りである。Ni++イオンとし
て、NiCl2 (5mM)で強い阻害を受け、20mM
EDTAでは全く活性が出現しない。 【0031】また、後記の酵素活性測定法に用いる試薬
の中で、Mg++イオンとしてMgCl2 (5mM)を含
有せしめない条件下、MnCl2 (3mM)添加せし
め、後記酵素活性測定法に準じて活性を行つた結果、M
gCl2 (5mM)添加反応液を用いる場合と比較し
て、MnCl2 (3mM)添加反応液を用いた場合は、
150%の相対活性を示す。 【0032】 【表1】【0033】※無添加区:Mg++イオンとしてMgCl
2 (5mM)を含有せしめた条件である。 以下はこれに、各金属イオン及び界面活性剤を添加した
ものである。 (10)酵素活性測定法 活性測定法 反応液I 50mM トリス−HCl緩衝液 pH8.0 10mM KCl 5mM MgCl2 0.05% 牛血清アルブミン 2mM ATP 0.5mM デアミド−NAD 25mM (NH4 )2 SO4 反応液II 50mM トリス−HCl 緩衝液 pH8.0 10U ジアホラーゼ/ml(旭化成社製、バチルス属
生産菌由来) 3% エタノール 10U アルコールデヒドロゲナーゼ/ml(東洋紡社
製、イースト菌由来) 0.025% NTB(ニトロテトラゾリウムブルー) 0.1% Triton X−100(商品名) 10mM EDTA 反応液I 0.3mlを小試験管にとり、37℃に加温
後酵素液50μlを添加し、37℃で正確に10分間反
応を行い、0.7mlの反応液IIを添加し、反応液を停
止するとともにサイクリング反応を開始した。サイクリ
ング反応は37℃で正確に5分間行い、0.1N HC
l 2.0mlを添加によりサイクリング反応を停止後
550nmにおける吸光度を測定してそのときの値より
酵素活性を求めた。なお活性の計算式は次の式に順じ
た。 【0034】 【数1】 【0035】ΔA550:検体の吸光度 ΔS550:標準液の吸光度(0.1mM NAD) 0.005:検体量(ml) 10 :反応時間 f :希釈倍率 本発明における反応系を要約すると次の通りである。 【0036】 【化9】 【0037】本発明の被検液としては、少なくとも前記
の反応系のATP、デアミド−NADおよびアンモニア
(アンモニウムイオンも含む)のいずれか1つの被検成
分を含有するものであればよく、例えば被検成分のうち
の1つの成分を予め含有してなる被検液や、他の酵素反
応系により生成または消費された被検成分を含有する被
検液が挙げられる。 【0038】上記の酵素反応系の好ましい例としてはA
TP、デアミド−NAD、NH3 (アンモニウムイオン
も含む)を消費または生成し、NAD、還元型NAD等
の補酵素の関係しない酵素反応系のもの、例えば下記の
酵素反応系が例示されるが、何ら本発明の対象を限定す
るものではない。 (1)ATPを生成する酵素反応系 クレアチンキナーゼ(E.C.2.7.3.2) 還元剤;β−メルカプトエタノール、還元型グルタチオ
ン、システイン、N−アセチルシステイン、ジチオスレ
イトールなど。 【0039】ピルベートキナーゼ(E.C.2.7.
1.40) アセテートキナーゼ(E.C.2.7.2.1) カルバメートキナーゼ(E.C.2.7.2.2) アスパルテートキナーゼ(E.C.2.7.2.4) ホスホグリセレイトキナーゼ(E.C.2.7.2.
3) アルギニンキナーゼ(E.C.2.7.3.3) 【0040】(2)NH3 を放出し得る水溶性アンモニ
ウム塩またはNH3 を利用する酵素反応系 a)水溶性アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、
アンモニア水、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、
酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウムなどのアンモ
ニウムイオンを放出できる無機または有機アンモニウム
塩が例示される。 b)ニコチンアミダーゼ(E.C.3.5.1.19) ニコチンアミド+H2 O→ニコチン酸+NH3 +H+ c)グルタミル−ペプチド−グルタミナーゼ(E.C.
3.5.1.44) L−グルタミニル−ペプチド+H2 O→L−グルタミニ
ル−ペプチド+NH3 d)アルギニンデアミナーゼ(E.C.3.5.3.6) L−アルギニン+H2 O→シトサリン+NH3 +H+ e)グアニンデアミナーゼ(E.C.3.5.4.3) グアニン+H2 O→キサンチン+NH3 +H+ f)アデノシンデアミナーゼ(E.C.3.5.4.4) アデノシン+H2 O→イノシン+NH3 +H+ g)クレアチニンデアミナーゼ(E.C.3.5.4.2
1) クレアチニン+H2 O→N−メチルヒダントイン+NH
3 +H+ h)スレオニンデヒドラーゼ(E.C.4.2.1.1
6) L−スレオニン+H2 O→2−オキソ酪酸+CO2 +N
H3 +H+ i)アスパラギン酸アンモニア−リアーゼ(E.C.4.
3.1.1) L−アスパラギン酸→フマル酸+NH3 +H+ j)L−メチオニンγ−リアーゼ(E.C.4.4.1.
11) L−メチオニン+H2 O→2−オキソ酪酸+メタンチオ
ール+NH3+H+ k)メチルアミノグルタミン酸メチルトランスフエラーゼ
(E.C.2.1.1.21) 【0041】 【化10】 【0042】(3)本酵素反応で生成したAMPの測定
を特徴とする被検液中のデアミノ−NAD、NH3 (ア
ンモニウムイオンを含む)の測定は例えば下記の酵素反
応系が例示される。 アデニレトキナーゼ(E.C.2.7.4.3) 【0043】 【化11】 【0044】ピルビン酸キナーゼ(E.C.2.7.
1.40) 【0045】 【化12】 【0046】ピルビン酸オキシダーゼ(E.C.1.
2.3.3) 【0047】 【化13】 【0048】生成したH2 O2 をペルオキシダーゼの存
在下に測定することによる被検液中のNH3 (アンモニ
ウムイオンも含む)デアミノ−NADの測定 乳酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.27) ピルビン酸+NADH+H+ →L−乳酸+NAD 過剰の乳酸デヒドロゲナーゼとNADH共存下でNAD
Hの酸化によるA340の減少を測定 本発明においては、上記の例示した酵素反応系で消費あ
るいは生成されたATP、NH3 を含有する反応系に限
らず、上記酵素反応系で用いた酵素活性測定、消費され
た基質または生成された生成物を定量するための反応液
も被検液として使用し得る。 【0049】これらの酵素反応系におけるATP、NH
3 の定量目的は酵素反応系における酵素の活性測定や用
いられる他の成分のいずれか1つの成分の測定のために
行われるものである。この酵素反応系においては、測定
すべき成分以外は試薬として一定量用いればよい。この
場合における測定されるべき被検液や試薬の量は測定す
べき目的や選択する条件によつて適宜設定変更すればよ
く、特に限定されるものではない。 【0050】さらに本発明のNAD合成酵素を用いて生
成されたNADを補酵素とする酸化還元反応系として
は、例えばNADを消費して還元型NADを生成する反
応を形成するデヒドロゲナーゼ(E1 )およびその基質
(S1 )による反応系や、NADとNADPの両方を補
酵素とすることのできるデヒドロゲナーゼ(E1 )およ
びその基質(S1 )による反応系を用いることができ
る。上記のデヒドロゲナーゼは特に限定されることはな
いが、少なくともNADを補酵素として消費するもので
あればよく、かつ過剰量用いる特定の基質に作用して還
元型NADを生成すればデヒドロゲナーゼであればいか
なる起源の酵素であってもよい。 【0051】これらの酵素およびその基質の例としては
「酵素ハンドブツク」に記載れている。例えば、ラクテ
ートデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.27)お
よびL−ラクテート、グリセロールデヒドロゲナーゼ
(E.C.1.1.1.6)およびグリセロール、グリ
セロール−3−ホスフエートデヒドロゲナーゼ(E.
C.1.1.1.8)およびグリセロール−3−ホスフ
エート、グルコースデヒドロゲナーゼ(E.C.1.
1.47)およびグルコース、マレートデヒドロゲナー
ゼ(E.C.1.1.1.37)およびL−マレート、
グルタメイトデヒドロゲナーゼ(E.C.1.4.1.
2)およびL−グルタメイト、3−α−ヒドロキシステ
ロイドデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.50)
および3−α−ヒドロキシステロイドが挙げられる。 【0052】これらの酸化還元反応に使用する酵素量
は、酵素力価、基質の種類および補酵素サイクリング率
によつて異なる。基質量は、1サイクル毎に1モル比の
基質を消費してなるもので、サイクリングする補酵素よ
り比較にならない程はるかに多いモル量が使用されるの
で、通常単位時間当たりのサイクル数および反応時間に
基いて決定すればよい。また、その酸化還元酵素の反応
速度が最大を示すような濃度以上であればよい。通常は
0.1mMないし100mM濃度範囲で存在し得る。 【0053】還元型NADを補酵素とする反応系として
は、少なくとも還元型NADを消費してNADを生成す
る作用物質(E2 )およびその基質(S2 )の反応系が
挙げられ、その作用物質の反応系としては、少なくとも
還元型NADを消費してNADを生成する酸化還元酵素
およびその基質の反応系や、電子伝達物質およびテトラ
ゾリウム塩の反応系が挙げられる。 【0054】補酵素サイクリング反応系 (a)NADを補酵素とする酸化還元反応系; (b)NADHを補酵素とする転移反応系; NH3 :アンモニアの正1価のアンモニウムイオンをふ
がんする。 【0055】E1 :NADおよびS1 を基質として消
費して、還元型NADおよびP1を生成する反応を触媒
するデヒロゲナーゼ E2 :還元型NADおよびS2 を消費して、NADお
よびP2 を生成する反応を触媒する作用物質 S1 :E1 の還元型基質 S2 :E2 の酸化型基質 P1 :S1 の酸化生成物 P2 :S2 の還元生成物 NH3 を利用する場合の反応系を式で示すと以下の通り
である。 【0056】 【化14】 【0057】還元型NADを消費してNADを生成する
酸化還元酵素としては、少なくとも還元型NADを補酵
素とし、過剰量用いる特定の基質(S2 )に作用してN
ADおよびS2 の還元型生成物(P2 )を生成するデヒ
ロゲナーゼ、または少なくとも還元型NADを補酵素と
し、チトクローム、ジスルフイド化合物、キノンおよび
その類縁体等を受容体とする還元型NAD:受容体酸化
還元酵素であればそのいずれでも良く、その起源も限定
されることはない。これらの酵素およびその基質または
受容体の例としては、「酵素ハンドブツク」に記載され
ている。 【0058】デヒドロゲナーゼおよびその基質の例とし
ては、ラクテートデヒドロゲナーゼ(EC.1.1.
1.27)およびピルビン酸、アルコールデヒドロゲナ
ーゼ(EC.1.1.1)およびアセトアルデヒド、グ
リセロールデヒドロゲナーゼ(EC.1.1.1.6)
およびジヒドロキシアセトンが挙げられる。またNAD
H:受容体酸化還元酵素としては、チトクロームb5 レ
ダクターゼ(EC.1.6.2.2)、ジアホラーゼ
(EC.1.6.4.3)などが挙げられる。受容体と
しては、メチレン・ブルー、フラビン類、キノン類、
2,6−ジクロロフエノールインドフエノールなどが挙
げられる。 【0059】還元型NAD:受容体酸化還元酵素および
受容体の組合せは、還元型NADを補酵素としてなる酵
素および電子受容体となり得るものであれば特に限定さ
れない。好ましい組合せとしては、ジアホラーゼ(E
C.1.6.4.3)およびテトラゾリウム塩、および
メチレン・ブルー、NADデヒドロゲナーゼ(EC.
1.6.99.3)およびチトクロームC等が挙げられ
る、使用濃度は通常0.05〜100U/mlの範囲で
存在し得る。テトラゾリウム塩の使用濃度は、テトラゾ
リウム塩および究極的に形成されるホルマザンの双方の
水溶性がむしろ限定されるが、通常は試薬1ml当たり
1μgから100μgの温度範囲で存在し得る。 【0060】電子伝達物質としては、還元型NADをN
ADに酸化する能力を有し、しかも補酵素サイクリング
反応に悪影響を及ぼさないような物質、例えばフエナシ
ンメタルサルフエート、メルドーラ・ブルー、ピロシア
ニン等が挙げられる。使用濃度は、サイクリング率に応
じて設定すればよいが、通常反応液I 1ml当たり5
μg〜0.5ml濃度範囲で存在し得る。 【0061】上記のサイクリング反応は、通常室温ない
し37℃付近の温度、好ましくは30〜37℃の温度で
行われる。反応時間は、特に限定されるものでなく、通
常1分以上、好ましくは5分以上行えばよい。予定され
た時間の終わりで反応を迅速に停止するには、酸例えば
塩酸、リン酸などを添加することにより行われる。サイ
クリング反応を行つた後、このサイクリング反応におい
て消費または生成される部分を定量するのであるが、生
成する部分としてはE1 の還元型基質(S 1 )の酸化生
成物(P1 )またはE2 の酸化型基質(S2 )の還元生
成物(P2)を対象とすればよく、消費される部分とし
てはE1 の還元型基質(S1 )またはE2 の酸化型基質
(S2 )を対象とすればよく、これらのP1 、P2 、S
1 、S2 のいずれか1つの成分の量を定量すればよい。
簡単には、基質の状態では無色であり、生成物の状態に
て呈色または蛍光を呈する吸光波長を変化する場合の生
成物の定量手段を用いることである。例えばテトラゾリ
ウム塩を基質(S2 )として、生成するホルマザンを還
元生成物(P2 )とせしめて、このホルマリンを比色定
量してなるものである。さらにフラビン類やキノン類を
基質(S2 )として用いた場合には、それらの基質(S
2 )の消費量をその特有の吸光波長に基いて吸光度測定
して定量すればよい。 【0062】上記反応において、テトラゾリウム塩から
形成されるホルマザンの沈澱の防止を助けるために界面
活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤として
は、トリトンX−100、アデカトールSO−145な
どの非イオン界面活性剤が挙げられる。使用濃度は試薬
に対し、0.01〜3%の濃度範囲で存在し得る。この
界面活性剤の添加により、測定値の上昇とホルマザンの
色素の安定化をはかることができる。 【0063】生じたホルマザン色素の比色定量は、ホル
マザンの特異的吸光波長にて吸光度(OD)を測定すれ
ばよく、例えば500〜550nmの波長により吸光度
を測定して、被測定物質の定量を行うことができる。本
発明によれば、エンド・ポイント法だけでなく、レイト
法、ドライケミカル法(フイルム法、固定化法)も可能
である。 【0064】 【発明の実施態様】次いで、本発明の実施例を挙げて具
体的に述べるが、本発明はこれによつて何ら限定される
ものではない。 【0065】 【参考例1】 製法 50リットル容ジャーにペプトン1%、グルコース0.
5%、K2 HPO4 0.05%、NaCl 0.05
%、MgSO4 ・7H2 O 0.05%を含む液体培地
(pH7.6)40リットルを仕込み、120℃、20
分間滅菌後、上記と同一組成の培地で予備培養したバチ
ルス・ステアロサーモフイラス(Bacillus S
tearothermophilus)H−804の種
菌200mlを接種し、60℃で10時間、通気量40
リットル/min、攪拌速度150r.p.m.で通気
培養した。培養後遠心分離にて集菌し、菌体を0.1%
リゾチームを含有する10mMトリス塩酸緩衝液(pH
8.0)500mlに分散させ、37℃で30分間反応
を行い、溶菌した。 【0066】この液を5000r.p.m.で10分間
遠心し、上清液450mlを得た。この上清液に硫安を
添加し硫安分画(0.5〜0.71飽和)を行い、この
沈澱を10mMトリス塩酸緩衝液50mlに溶解(2/
U)し、この緩衝液5リットルに対して透析した。この
透析物中に生じた不溶物を遠心分離(15000r.
p.m.、10分間)にて除去した。上清液(20U)
を10mMトリス緩衝液(pH8.0)で緩衝化したD
EAE−セフアロースCL−6Bカラム(25×5c
m)にチャージし、0〜0.5M NaClの濃度勾配
法にて溶出した。0.25〜0.3M NaClで溶出
される画分を集め(80ml、16.5U)アミコン社
製セントリフローメンブランコーンCF25を用い濃縮
した後、セフアデツクスG−100(3.6×80c
m)にて精製を行い、その活性画分を集め、精製標品
(50ml、14U)とした。 【0067】 【実施例1】 検体中のATPの測定 反応液I 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10mM KCl 5mM MgCl2 0.05% 牛血清アルブミン 1mM デアミノ−NAD 50mM (NH4 )2 SO4 100mU 本発明NAD合成酵素/ml 反応液II 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10U ジアホラーゼ(旭化成社製、バチルス菌由来) 3% エタノール 10U アルコールデヒドロゲナーゼ(東洋紡績社製、
イースト菌由来) 0.025% ニトロテトラゾリウムブルー 0.1% Triton X−100 15mM EDTA 反応液I 0.3mlを小試験管にとり、37℃に加温
後0、10、20、30、40μMのATP溶液をそれ
ぞれ5μl添加し、37℃で10分間反応した後、反応
液IIを0.7ml添加し、37℃で正確に5分間反応
したのち、0.1N HCl 2.0mlを加えて反応
を停止し、550nmで吸光度測定した。その結果は、
図5に示す通りで良好な直線性が得られた。 【0068】 【実施例2】 アンモニウムイオンの測定 実施例1に示した反応系I中の50mM(NH4 )2 S
O4 の代わりに5mMATPを添加した反応液に0、
5、10、15、20μMの(NH4 )2 SO 4 溶液を
5μl添加し、実施例2と同様の操作を行った。その結
果は、図6に示す通りで良好な直線性が得られた。 【0069】 【実施例3】クレアチニンの測定 反応液I 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10mM KCl 5mM MgCl2 1mM ATP 0.05% 牛血清アルブミン 1mM デアミノ−NAD 20U/ml クレアチニンデイミナーゼ(コダック社
製) 100mU/ml 本発明NAD合成酵素 反応液I 0.3mlを小試験管にとり、37℃に加温
後1、2、3、4mg/dlのクレアチニン溶液を10
μl添加し、実施例2と同様の操作を行った。その結果
は、図7に示す通りで良好な直線性が得られた。 【0070】 【実施例4】 アンモニウムイオンの測定法 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10mM KCl 5mM MgCl2 1mM ATP 0.05% 牛血清アルブミン 1mM デアミノ−NAD 100mU/ml 本発明NAD合成酵素 上記反応液1mlを小試験管にとり、37℃に加温後
0、25、50、100mMの(NH4 )2 SO4 溶液
をそれぞれ10μl添加し、37℃で20分間反応した
後に340nmで吸光度測定した。その結果は、図8に
示す通りで良好な直線性が得られた。 【0071】 【実施例5】 生成したAMPの測定 反応液I 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10mM KCl 5mM MgCl2 1mM ATP 0.05% 牛血清アルブミン 0.05% トリトンX−100 1mM デアミド−NAD 10U/ml ミオキナーゼ(Sigma社製 バチル
ス菌由来) 10U/ml ピルビン酸キナーゼ(Sigma社製
バチルス菌由来) 10mM ホスホエノールピルビン酸 100mU/ml 本発明NAD合成酵素 反応液II 50mM リン酸緩衝液 pH8.0 100mU/ml ピルビン酸オキシダーゼ(Sigm
a社製 ベデイオコツカス菌由来) 100mU/ml ペルオキシダーゼ(Sigma社
製) 0.2% フエノール 0.3% 4−アミノアンチピリン 上記反応液I 1mlを小試験管にとり、37℃に加温
後0、0.5、1.0、1.5、20mMの(NH4 )
2 SO4 溶液をそれぞれ10μl添加し、37℃で30
分間反応した後に反応液IIを0.1ml添加し、37
℃、30分間反応した後に500nmで吸光度測定し
た。その結果は、図9に示す通りで良好な直線性が得ら
れた。 【0072】 【実施例6】 デアミド−NADの測定法 反応液 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10mM KCl 5mM MgCl2 0.05% 牛血清アルブミン 50mM (NH4 )2 SO4 1mM ATP 100mU/ml 本発明NAD合成酵素 3% エタノール 10U アルコールデヒドロゲナーゼ 0.1% Triton X−100 反応液1mlを小試験管にとり、37℃に加温後0、
2.5、5、10mMのデアミド−NAD溶液をそれぞ
れ10μl添加し、37℃で30分間反応した後に34
0nmで吸光度測定した。その結果は、図10に示す通
りで良好な直線性が得られた。 【0073】 【実施例7】 金属イオンの至適濃度 反応液I 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10mM KCl 0.05% 牛血清アルブミン 2mM ATP 0.5mM デアミド−NAD 25mM (NH4 )2 SO4 反応液II 50mM トリス塩酸緩衝液 pH8.0 10U ジアホラーゼ1ml(旭化成社製 バチルス属
生産菌由来) 3% エタノール 10U アルコールデヒドロゲナーゼ/ml(東洋紡績
社製 イースト菌由来) 0.025% NTB(ニトロテトラゾリウムブルー) 0.1% Triton X−100(商品名) 10mM EDTA 反応液IにそれぞれMgCl2 0.25mM、0.50
mM、0.75mM、1mM、2mM、3mM、4m
M、MnCl2 0.25mM、0.50mM、0.75
mM、1mM、2mM、3mM、4mM添加し、それぞ
れ、酵素活性測定法に従って活性を測定し、その相対活
性を、MgCl2 添加区を図11、MnCl2 添加区を
図12に示す。その結果、MnCl2 添加区においては
3mMで至適濃度を示した。 【0074】 【発明の効果】本発明は、本発明NAD合成酵素を用い
て被検液中のATP、デアミド−NADおよびアンモニ
アまたはアンモニウムイオンのいずれか1つの成分の定
量に利用できるもので、特に被検液中のアミノ酸の影響
を受けることなくアンモニア(アンモニウムイオンも含
む)の測定を可能ならしめるものである。かつ好ましい
態様としての本発明NAD合成酵素の熱安定性において
60℃まで安定であるとの耐熱性酵素である点からも前
記の各種の分析において有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明NAD合成酵素の至適pH曲線である。
【図2】本発明NAD合成酵素のpH安定曲線である。
【図3】本発明NAD合成酵素の熱安定曲線である。
【図4】本発明NAD合成酵素の至適温度曲線である。
【図5】本発明におけるATPの定量曲線である。
【図6】550nmの吸光度測定によるアンモニアの定
量曲線である。 【図7】クレアチニンの定量曲線である。 【図8】340nmの吸光度測定によるアンモニアの定
量曲線である。 【図9】生成したAMPを測定することによるアンモニ
アの定量曲線である。 【図10】デアミド−NADの定量曲線である。 【図11】MgCl2 添加濃度に対する至適添加曲線で
ある。 【図12】MnCl2 添加濃度に対する至適添加曲線で
ある。
量曲線である。 【図7】クレアチニンの定量曲線である。 【図8】340nmの吸光度測定によるアンモニアの定
量曲線である。 【図9】生成したAMPを測定することによるアンモニ
アの定量曲線である。 【図10】デアミド−NADの定量曲線である。 【図11】MgCl2 添加濃度に対する至適添加曲線で
ある。 【図12】MnCl2 添加濃度に対する至適添加曲線で
ある。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1. 被検液中のATP、デアミド−NADおよびア
ンモニアまたはアンモニウムイオンのいずれか1つを測
定するに当たり、少なくともMg++イオンまたはMn++
イオンの存在下、下記の式(a)の酵素反応を触媒し、
Mg ++イオンの存在下、下記の式(b)の酵素反応を触
媒せず、アンモニアおよび/またはアンモニウムイオン
を基質として利用し、かつ少なくともグルタミンおよび
アスパラギンを基質として利用しないNAD合成酵素
を、被検液に作用せしめ、次いで反応において消費され
た成分または生成された成分を測定することを特徴とす
るATP、デアミド−NADおよびアンモニアまたはア
ンモニウムイオンのいずれか1つの成分を測定する被検
液中の成分の測定法。 【化1】 2.生成された成分を測定することにおいて、生成した
NADを測定してなる請求項1に記載の測定法。 3.生成したNADの測定が、NADを補酵素とする酸
化還元酵素およびその還元型基質の存在下反応せしめ、
生ずる還元型NADを測定してなる請求項2に記載の測
定法。 4.生成したNADを測定することにおいて、NADを
補酵素とする酸化還元反応系と還元型NADを補酵素と
する酸化還元反応系との組合せによつて補酵素サイクリ
ング反応を行い、そのサイクリング反応により消費また
は生成された成分を定量してなる請求項2に記載の測定
法。 5.NADを補酵素とする酸化還元反応系が、NADを
消費して還元型NADを生成するデヒドロゲナーゼおよ
びその基質による酵素反応系である請求項4に記載の測
定法。 6.デヒドロゲナーゼおよびその基質が、ラクテートデ
ヒドロゲナーゼおよびL−ラクテート、アルコールデヒ
ドロゲナーゼおよびエタノール、グリセロールデヒドロ
ゲナーゼおよびグリセロール、グリセロール−3−ホス
フエートデヒドロゲナーゼおよびグリセロール−3−ホ
スフエート、グルコースデヒドロゲナーゼおよびグルコ
ース、マレートデヒドロゲナーゼおよびL−マレート、
グルタメートデヒドロゲナーゼおよびL−グルタメー
ト、3−α−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼお
よび3−α−ヒドロキシステロイドのいずれかである請
求項5に記載の測定法。 7.還元型NADを補酵素とする酸化還元反応系が、還
元型NADを消費してNADを生成する酸化還元酵素お
よびその基質による酵素反応系である請求項4記載の測
定法。 8.酸化還元酵素およびその基質が、ラクテートデヒド
ロゲナーゼおよびピルビン酸、アルコールデヒドロゲナ
ーゼおよびアセトアルデヒド、グリセロールデヒドロゲ
ナーゼおよびジヒドロキシアセトン、グリセロール−3
−ホスフエートデヒドロゲナーゼおよびジヒドロキシア
セトンホスフエート、マレートデヒドロゲナーゼおよび
オギザロ酢酸、3−α−ヒドロキシステロイドデヒドロ
ゲナーゼおよび3−ケトステロイドのいずれかである請
求項7に記載の測定法。 9.酸化還元酵素およびその基質が、還元型NAD:受
容体酸化還元酵素およびその受容体である請求項7に記
載の測定法。 10.還元型NAD:受容体酸化還元酵素およびその受
容体が還元型NADデヒドロゲナーゼおよびフラビン
類、キノン類、2,6−ジクロロフエノールインドフエ
ノール、フエリシアン化塩、テトラゾリウム塩、チトク
ロームCまたは酸素である請求項9に記載の測定法。 11.酸化還元酵素およびその基質が、ジアホラーゼお
よびテトラゾリウム塩またはレザズリンである請求項7
に記載の測定法。 12.還元型NADを補酵素とする酸化還元反応系が電
子伝達物質およびテトラゾリウム塩による反応系である
請求項4に記載の測定法。 13.電子伝達物質がフエナジン−メタサルフエート、
メルドーラ・ブルーまたはピロシアニンである請求項1
2に記載の測定法。 14.生成された成分を測定することにおいて、生成さ
れたAMPを測定してなる請求項1に記載の測定法。 15.AMPの測定が、ATP存在下、アデニレイトキ
ナーゼ、ホスホエノールピルビン酸、ピルビン酸キナー
ゼ存在下、生じたピルビン酸を測定してなる請求項14
に記載の測定法。 16.ピルビン酸の測定が、ピルビン酸オキシダーゼを
作用せしめ、生じたH2 O2 を測定してなる請求項15
に記載の測定法。 17.ピルビン酸の測定が、NADH存在下、乳酸デヒ
ドロゲナーゼを作用せしめ、減少するNADHの量を測
定してなる請求項15に記載の測定法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8198737A JP2678155B2 (ja) | 1986-09-10 | 1996-07-29 | 新規なnad合成酵素を用いた測定法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21367986 | 1986-09-10 | ||
JP61-213679 | 1986-09-10 | ||
JP8198737A JP2678155B2 (ja) | 1986-09-10 | 1996-07-29 | 新規なnad合成酵素を用いた測定法 |
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---|---|---|---|
JP62191018A Division JP2579319B2 (ja) | 1986-09-10 | 1987-07-30 | 新規なnad合成酵素およびその製造法 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|---|
WO2002025262A1 (fr) | 2000-09-25 | 2002-03-28 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Electrode a enzyme |
-
1996
- 1996-07-29 JP JP8198737A patent/JP2678155B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
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JPH08336397A (ja) | 1996-12-24 |
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