JP2675294B2 - ヒト腫瘍壊死因子 - Google Patents

ヒト腫瘍壊死因子

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JP2675294B2 JP60504592A JP50459285A JP2675294B2 JP 2675294 B2 JP2675294 B2 JP 2675294B2 JP 60504592 A JP60504592 A JP 60504592A JP 50459285 A JP50459285 A JP 50459285A JP 2675294 B2 JP2675294 B2 JP 2675294B2
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エス リン,レオ
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【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明はヒト蛋白質因子の組換生産に関する。これ
は特に、腫瘍に対して選択的に毒性である蛋白質及び比
活性について改良されているそのミューテインの製造に
関する。 技術背景 腫瘍壊死因子(TNF)としてよく知られるようになっ
た因子は最初Carswell等、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)
(1975)72:3666により見出された。バシルス・カルメ
ッテ−グリン(Bacillus Calmette−Gurin)(BCG)の
ごとき免疫増強剤によりあらかじめ感作されたマウス、
ラビット又はラットであってエンドトキシン処理された
ものの血清が、移植された腫瘍を担持するマウスに注射
された場合に受容者に不所望の副作用を伴わないで該腫
瘍の広範な出血を惹起する物質を含有することが見出さ
れた。従って、この血清は腫瘍細胞に対して選択的に壊
死作用を有しそして正常な組織とその反応については中
立的であり、それ故にTNFと称される物質を含有するこ
とが予想された。全体動物に注射された場合にこの選択
的な腫瘍破壊を生じさせる能力がTNFを定義する標準的
なインビボアッセイ法となった。 TNFはまた細胞培養物中にも生産された。Matthews
等、Brit.J.Cancer(1981)44:481は、BCG注射されたラ
ビット由来の単核食細胞の培地中にTNF活性を得ること
ができた〔Mannel等、Infect.Immun.(1980)30:523;
同(1981)33:156〕。細胞培養後にBCG感染されたマウ
スからのマクロファージ富化腹腔滲出細胞から得られる
TNF活性はエンドトキシンにより誘導された。 新生物細胞に対する選択的細胞毒性を担当する因子を
精製する試みが行われたが全体動物の血清中又は組織培
養培地中に極めて小量のみ存在する様であるため完全な
精製を行うことは不可能であった。さらに、蛋白質(1
又は複数)は明らかに不安定であり、そして2つの米国
特許No.4,447,355及びNo.4,457,916は、例えばアルブミ
ン又は炭水化物材料の添加により調製物の活性を安定化
する方法に向けられている。他人によって開発された標
準的精製法を用いるこれらの開示の方法においては、約
1×106ユニット/mgのTNF調製物の比活性を得ることが
可能であり、このユニットはネズミL−M細胞(ATCC C
CL 1.2)に対する細胞毒性についてのインビトロ・アッ
セイにおいて定義されたものである。しかしながら、TN
Fについてのインビボ(Carswell)腫瘍壊死アッセイに
おいて活性であり、且つアミノ酸配列情報を得ることが
できるために十分な純度を有する材料を得ることは不可
能であった。 確かに、純粋な細胞毒性蛋白質が入手不可能であるた
め、現在のところ、癌細胞に対して選択的な壊死作用を
有する蛋白質をいかに多く得ることができるか明らかで
ない。Carswell等(前掲)のインビボ法はTNFを定義す
る標準として承認されている。これらの因子の種間交差
活性(cross species activity)のため、このアッセイ
法あるいはある意味において便利で診断的である。しか
しながら、細胞毒性についての一層便利なインビトロア
ッセイ法がTNF活性の指標としてしぼしば使用される。
この方法は、このインビトロアッセイ法とTNFを定義す
る試験との間に1:1の相互関係が存在するか否かについ
てかなりの混乱があるにもかかわらず使用されている。
確かに、インビトロアッセイにおいて活性である形質転
換されたB−セルサイン由来の蛋白質が“リンホトキシ
ン”と命名され、均一に精製され、そして部分的に配列
決定された(ゼネンテック、ヨーロッパ特許出願公開N
o.0100641、1984年2月15日公開)。リンホトキシン
は、それが非マクロファージ由来であるため、“TNF"と
は異る蛋白質であると予想されている。さらに、リンホ
トキシンに対して調製された抗−血清はマクロファージ
から精製された細胞毒性因子(TNF)と交差反応しない
〔Stone−Wolff,D.等、J.Exp.Med.(1984)159:828〕。 腫瘍細胞に対して特異的に向けられた細胞毒性効果を
発揮することができる明確にされた蛋白質配列を提供す
ることは、言うまでもなく、悪性疾患の診断及び治療の
両者のために大きな利益をもたらすであろう。さらに、
これらの因子の幾つかは抗−寄生活性を有するようであ
り、BCGを注射されたマウスの血清由来のTNFと称する蛋
白質が、インビボ及びインビトロにおいてマラリア寄生
体〔プロスモジウム・ファルシパリウム(Plasmodium f
alciparium)に対して細胞毒的影響を示すことが示され
ている〔Haidans等、Infect.Immun.(1983)42385〕。 発明の開示 ヒト前骨髄救性白血病セルライン(HL−60,ATCC No C
CL240)が、適切に誘導された場合、腫瘍壊死因子を有
意な量で生産することが示された。この因子が精製さ
れ、配列決定され、そして組換技法によって生産され
た。従って、第1に、ヒト腫瘍細胞に対して選択的に細
胞毒性である化学的に定義された因子が存在する。これ
は、医療において使用するために十分な量の材料を提供
し、活性を改良するためにプログラムされた変形を行
い、そして生物中の腫瘍の存在を検出するための適切な
診断試験を設計する機会をもたらす。すなわち、この蛋
白質の組換源の入手可能性は、この有用なペプチドの治
療及び診断のための操作の実施可能性をもたらす。以上
の形態のINFが腫瘍形態に応答してヒトよりおそらく天
然に生産されるであろうが、組換生産によりもたらされ
る柔軟性並びに質及び量の保証がなければ、その性質を
利用する手段を手にすることができない。 従って、1つの観点において、この発明は組換ヒトTN
Fに関する。他の観点において、これはこの蛋白質をコ
ードする中断されないDNA配列、その発現を行うことが
できる配列、形質転換宿主にTNFを発現する能力を付与
することができる形質転換ベクター、こうして形質転換
された組換体宿主、及びこの発明の種々の組成物を得る
ための方法に関する。 他の観点において、この発明は特にグリコシル化され
た形態又はグリコシル化されていない形の、第1図に示
すDNA配列によりコードされるアミノ酸配列の蛋白質に
関する。 この発明はまた、第1図に示されるものと比較して一
次構造中に変化を含有するTNFの幾つかの特定の組換ミ
ューテイン、並びにそれらの製造のための方法及び材料
に関する。これらのミューテインは、腫瘍細胞を選択的
に殺すそれらの能力において、第1図に示す一次配列の
TNF(mTNF)に匹敵し、又それより活性が高い。これら
のミューテインは、1〜10N−末端アミノ酸残基が除去
されている対応する蛋白質、及び1〜10N−末端アミノ
酸が存在せずシステインが除去されているミューテイン
を包含する。 この発明は特に、N−末端配列:Val−Arg−Ser−Arg
−Thr−Pro−Ser−Asp−Lys−Pro−Val−Ala−Val−Ser
−Val−Ala−Asn−Pro−(Gln)−(Ala)−Glu−Glyを
有する蛋白質、及び前骨髄球性白血病細胞からこのアミ
ノ酸配列の生産を誘導しそしてそれを精製するための改
良された方法に関する。この発明はさらに、TNFを含有
する医薬組成物、これらの組成物を使用する治療方法、
及びTNFのための改良されたアッセイ方法に関する。 図面の簡単な説明 第1図はpE4の完全ヌクレオチド配列及びヒトTNFの推
定されるアミノ酸配列を示す。 第2図はpE4中の挿入部の制限地図を示す。 第3図は発現用プラスミド及び種々のTNFミューテイ
ンのためのそれらを造成するために使用されたオリゴマ
ーを示す。 第4図は幾つかのTNFミューテインの比活性の比較を
示す。 第5図は精製された組換TNF(rTNF)ミューテインに
対して行われたSDSゲルを示す。 第6図は精製されたrTNFミューテインに対して行われ
た等電点電気泳動ゲルの結果を示す。 第7a図及び第7b図は腫瘍担持マウスにおけるTNF活性
のインビボ試験の結果を示す。 発明を実施するための態様 A.定義 この明細書において使用する場合、“腫瘍壊死因子
(TNF)は、腫瘍細胞に対して選択的細胞毒性であるこ
とができ、第1図に示されるものと実質的に同等のアミ
ノ酸配列に関する。この定義に合致するアミノ酸配列は
後に記載する連続性ネズミ結合組織セルラインL−929
に基くインビトロ細胞毒性アッセイにおいて活性でなけ
ればならない。TNF活性のこの定義は、Carswell等(前
掲)によるこの用語を造り作した開示中に示されている
それとは正確に同一ではない。しかしながら、ヒト腫瘍
細胞に対するこのインビトロ細胞毒性アッセイにより確
認される活性は、このアッセイを用いる腫瘍壊死因子と
しての性質決定が正当化されるに十分な有用性の保証を
もたらす。下記のごとく、L−929に対する細胞毒性は
他のヒト腫瘍に一般化されるようである。上に特定した
細胞毒性アッセイにおいて活性な因子とCarswellにより
要約されているインビボアッセイにおいて活性な因子と
の間に実質的なオーバーラップが存在すると予想され
る。 この発明のTNF蛋白質は、懸濁されているか又は溶液
であればその環境のpHに依存して、あるいは固体の形で
あれば結晶化又は沈澱の際のその環境のpHに依存して、
医薬として許容される塩の形であることができ、又は中
性の形であることができる。この蛋白質の遊離アミノ基
は言うまでもなく、例えば無機酸、例えば塩酸、リン酸
もしくは硫酸、又は有機酸、例えば酢酸、グリコール
酸、コハク酸もしくはマンデル酸と共に酸付加塩を形成
することができる。遊離カルボキシル基は、塩基、例え
ば無機塩基、例えばナトリウム、カリウム又はカルシウ
ムの水酸化物、及び有機酸、例えばペピリジン、グルコ
サミン、トリメチルアミン、コリン又はカフィインと共
に塩を形成することができる。さらに、蛋白質は他の生
物学的物質、例えばリピド及びサッカライドとの結合に
より、又は側鎖修飾、例えばアミノ基のアセチル化、ヒ
ドロキシル側鎖のリン酸化、又はスルヒドリル基の酸化
により修飾され得る。TNF活性が保持される限り、これ
らの修飾すべてがこの発明の範囲に属する。 最後に、一次アミノ酸配列のある種の変形がなお、第
1図に示される配列に比べて実質上同等の又は増強され
た活性を有する蛋白質をもたらすことができることが理
解される。これらの変形は、部位特定変異誘発によるご
とく意図的であってもよく、又はTNF生産宿主中におけ
る変異によるごとく偶然的であってもよい。特定の変形
がTNF活性を有する蛋白質を導くであろうことは予想さ
れず、そしてどの変形が許容されるかをあらかじめ予想
することはできないが、上記のようにTNF活性が保持さ
れている限りこれらの変形のすべてが“TNF"の定義に含
まれる。 特に、第1図に示される配列のN−末端の最初の10個
までのアミノ酸(10番目のアミノ酸を含む)を欠くミュ
ーテインが示されている構造のTNFに匹敵するか又はそ
れより高い比活性を有することが見出され、そして後で
説明する。比活性のパターンは、6〜8個のN−末端ア
ミノ酸が除去された場合に最適活性を伴って、ベル形曲
線に従うようである。従って、TNFの定義は特にこれら
の切り取られた形態を包含する。明らかに、N−末端か
らの10個までのアミノ酸の除去は生物学的活性を破壊せ
ず、しかし事実、しばしばそれを増強するからである。 従って、この明細書においてTNFの定義は特に、第1
図に示すものと実質上同じアミノ酸配列を有するが、し
かしその図中に示されるN−末端配列において1〜10個
のアミノ酸を欠く蛋白質を包含する。Shirai,T.等、Nat
ure(1985)313:803−806が、ヒト−ゲノムバンクから
得られたDNAから造成された発現ベクターを用いて組換T
NFを製造したことが注目される。この造成物において
は、コードされた蛋白質は第1図に示されるN−末端配
列の最初の2アミノ酸を欠いている。明らかではないが
しかしラビットTNFゲノム構造に関連するらしい理由
で、Shirai等は、正しいN−末端はこの明細書において
示されている位置の3位から始まると予想し、そしてこ
のために前記ベクターを造成した。その結果、Shiraiに
より製造されたTNFはN−末端配列Ser−Ser−Ser−Arg
−Thr等を有する。Shiraiにより製造されたTNFはインビ
ボ活性を有することが示された。この蛋白質の活性と、
この発明の組換生産されたmTNF及びTNFミューテインの
それとの直接比較は現在のところ得られていない。 さらに、第1図に示すTNFのC−末端からの除去も無
害であると予想される。17個までのアミノ酸の除去をコ
ードする遺伝子の造成も行われた。 米国特許No.4,518,584は生物学的に活性な蛋白質のシ
ステインが除去されたミューテインを記載している。TN
Fの場合においては、96位のシステインの中性アミノ酸
による置き換えが活性なTNF蛋白質をもたらす。101位の
システインも不必要なようであり、そしてこの位置にこ
れに代る中性アミノ酸を有するミューテイン、並びにシ
ステイン69及び101の両者が置き換えられたミューテイ
ンも調製された。これらのミューテインもまた、この発
明の方法に従って、変形してTNF活性を保持しておりそ
してインビボ及びインビトロにおいて増強された比活性
を有するのであろう切り取られた形を得ることができ
る。これらのミューテインはN−末端の1〜10個のアミ
ノ酸、C−末端におけるアミノ酸の配列、又はこの両者
を欠いている。これらのミューテインもまた特徴的にTN
Fの定義に属する。 最後に、天然源から精製されたTNFをモデルとして使
用して遺伝子が造成された。3位及び4位の2個のセリ
ン残基が除去されているミューテインをコードする遺伝
子及び15位及び16位のhis−valカプレットがval−serに
より置換されているミューテインをコードする遺伝子が
調製された。 記号に関し、便宜上第1図中1〜157と番号を付した
アミノ酸配列を有する蛋白質を参照として使用し、そし
ておそらく勝手にmTNF(成熟TNF)と称されるであろ
う。mTNFと相同性を有しそしてTNFの生物学的活性を示
す他のすべてのアミノ酸配列はmTNFのミューテインと称
され、そして図中に示される残基の番号を用いてmTNFか
らの差異にしいて示されるであろう。例えば、69位のシ
ステインの置換を有するミューテインは置換された残基
及び位置の番号を用いて示され、例えば69位においてシ
ステインの代りにセリンを有するペプチドはser69TNFと
して示されるであろう。残基が単に欠失している場合に
は、それはdes−残基として命名され、従って例えば、
3位及び4位のセリンが除去されているミューテインは
des−ser3des−ser4TNFと称されるであろう。N−末端
の除去は、▽及びそれに次ぐ欠失の数を用いて対応する
数のアミノ酸を欠くものとして示されるであろう。例え
ば、第1図に示した蛋白質に比較して1個のN−末端ア
ミノ酸を欠くミューテインは▽1TNFとして命名されるで
あろう。C−末端の欠失については、▽の次に最後の残
っている残基の番号及びマイナス記号が付されるであろ
う。従って、C−末端から7個のアミノ酸が除去されて
いるミューテインについては名称は▽150−TNFであろ
う。上記の変化の組み合わせが行われる場合、名称はそ
のすべてを示し、例えば▽1des−ser3des−ser4ser69
150−TNFとなるであろう。 mTNFのミューテインのすべてが組換により又は意図的
に製造されるわけではない。確かに、D.1.h.に後記する
HL−60により分泌されるTNFの22個のN−末端アミノ酸
について得られた配列を第1図に示される推定される配
列の対応する部分と比較することにより、両蛋白質はTN
F活性を示すにもかかわらず一次構造中にわずかな変化
が存在することがわかる。具体的には、推定される配列
は、HL−60由来の蛋白質の4〜12位と推定される配列の
6〜14位の間で示される相同性を回復する前に3位のセ
リンの次に追加の一対のセリン残基を有する。さらに、
HL−60由来蛋白質の13位及び14位はvar−serであり、推
定される配列の対応する15位及び16位はhis−varであ
る。 “作用可能に連結された”とは、複数の構成成分がそ
れらの通常の機能を行うように配置されている並置を意
味する。従って、コード配列に作用可能に連結されてい
る制御配列は該コード配列の発現を行うことができる。 “制御配列”は、1又は複数のDNA配列であって、目
的のコード配列に作用可能に連結された場合に、該DNA
配列と適合性の宿主中で該コード配列の発現を行うこと
ができるものを意味する。このような制御配列は原核生
物及び真核生物宿主の両者におけるプロモーター、及び
原核生物においてはさらにリボゾーム結合部位配列、そ
して真核生物においてはターミネーションシグナルを含
む。発現を行うために必要であるか又は好ましい追加の
ファクターも後で特定されよう。この明細書において使
用する場合、“制御配列”は単に、使用される特定の宿
主において発現を行うために必要とされるすべてのDNA
配列に関する。 “細胞”、“組換宿主”、又は“宿主細胞”はしばし
ば交換可能に使用され、そして文脈から明らかになるで
あろう。これらの用語は直接の対象細胞、及び言うまで
もなくそれらの子孫を包含する。環境中での偶然変異及
び変化のため、すべての子孫が親細胞と正確に同一とい
うわけではないことが理解される。しかしながら、上記
の用語が使用される場合、このような変化した子孫も含
まれる。 B.一般的記載 ヒトTNFをコードするDNA配列を得るために下に示され
る方法は例示的であり且つ典型的なものである。他の方
法を使用することもできる。完全なDNA配列がイントロ
ンを含まない形で得られたので、そしてこの明細書中に
開示するので、言うまでもなく目的とするDNA配列を得
るために同じ方法を反復する必要はない。のみならず、
発現のためにこの明細書に例示するのと同じ系を使用す
る必要もない。C項においてさらに詳細に示すように、
目的とするTNFの生産を行うために使用され得るであろ
う種々の宿主及び制御配列が当業界において入手可能で
ある。 例示される方法において、B.1.項に記載するようにTN
Fを分泌するように、ヒト前骨髄球性白血病セルラインH
L−60が改良された誘導法によって誘導された。この蛋
白質は、B.2.項において記載するように新規な精製法を
用いて均一に精製され、そして生ずる精製された蛋白質
がアミノ酸配列決定にかけられた。これがプローブ混合
物の造成を可能にし、このプローブが次に、B.3.項に記
載するように適切なコード配列を得るために使用され
た。このコード配列は、適当な原核性制御系を含有しそ
して哺乳類細胞での発現のためにウィルスプロモーター
を用いるベクター中に連結することにより、この例示に
おける発現のために使用された。 cDNA配列の検索からすでに得られているDNA配列のミ
ューテインを生じさせるためコード配列中の変形を行っ
た。このような変形はプライマー指令変異誘導により行
われ、そして増強された活性を示す短縮された形のTNF
が提供された。 B.1.改良された誘導法 誘導にかけるセルラインHL−60ヒト前骨髄球性白血球
セルラインはそれ自体比較的未分化である。分化するこ
とが許容されれば、このものは一層特異的に規定された
細胞タイプのコロニーを形成する。その後の事象に依存
して、このものは顆粒球に、又は単球に成熟し、この単
球は次にさらに分化してマクロファージになることがで
きる。マクロファージ画分がTNEのインビボ生産を担当
すると予想される。他方、見かけ上密接に関連している
リンホトキシンはBリンパ球により生産されると考えら
れる。 対象細胞により生産されるTNFのレベルは誘導法の改
良により10〜20倍増加し得ることが見出された。Giffor
d,G等により考案された既知の方法(私信)は20%血清
中37℃、30分間、10μg/mlでのホルボル(phorbol)エ
ステル12−0−テトラデカノイルホルボル−13−アセテ
ート(TPA)による処理を用いる。次に、細胞培養物が
回転沈降され、そしてインシュリン及びトランスフェリ
ン(各10μg/ml)が補充された無血清培地中10μg/mlの
エンドトキシンにより処理される。最初のインキュベー
ションにおいて無血清培地を用いてホルボルエステルの
濃度を100μg/mlに低下せしめることにより、そしてエ
ンドトキシン処理の段階において10μMカルシウムイオ
ノホーレA23817を添加することにより、エンドトキシン
と共にインキュベーションした後の上清中のTNFの含量
が実質的に増加する。 B.2.TNFの精製 さらに、誘導された細胞培養物からTNFを精製するた
めの改良された方法が開示される。この方法はTNFを含
有する上清を、TNFの吸着を許容しない条件下で陰イオ
ン交換樹脂により処理し、次にTNF含有画分をサイズ分
画用ゲルで処理して活性画分を得、次にこれをSDS−PAG
Eにかけることを含んで成る。SDS−PAGEからのTNF含有
画分をHPLCによりさらに精製する。 第1段階において、陰イオン交換樹脂に適用する前
に、TNFを含有する上清を場合によっては例えば市販の
濃縮用フィルター、例えばアミコン中空繊維又はミリポ
アペリコン限外濾過ユニットで処理することにより濃縮
する。次に、濃縮物を適当な陰イオン交換樹脂、例えば
DEAEアガロース、DEAEセルロース、又はQAEアガロー
ス、好ましくはDEAEアガロースで処理する。処理条件、
すなわちpHが約7〜9で合計塩濃度が約0.01〜0.07Mの
溶液は、TNF活性が支持体に吸着しないようなものであ
る。 次に、非結合画分を、例えば任意の市販のサイズ分画
用ゲル、例えば約70,000ダルトンの分子量排除を有する
セファデックスG−75スーパーファイン(ファルマシ
ア)を用いるゲル濾過によりさらに精製する。ゲルで処
理した後のTNF含有画分を次に適当な条件下でSDS−PAGE
にかけ、そしてTNF活性を含有するゲルスライスを回収
する。SDS−PEGEはLaemmli等,Nature(1970)227:680
の方法に従って行われそしてこれは当業界においてよく
知られている技法である。適切な範囲内での特定の条件
の変更は可能でありそしてよく理解される。 次に、SDS−PAGEからの活性含有画分を逆相HPLCにか
け、そして0.1%TFA中0〜60%アセトニトリルグラジエ
ントにより溶出する。使用することができる他のグラジ
エント溶出系は酢酸及びn−プロパノールを含む。 こうして得られるヒトTNFはN−末端アミノ酸の配列
決定を可能にするのに十分に純粋である。 B.3.コード配列の単離 HL−60細胞から調製されたmRNAは、標準的な卵母細胞
翻訳系に加えられた場合、L−929細胞毒性アッセイに
おいて活性なTNF因子の生産を行うことができる。オリ
ゴマープローブの相対効率を、このmRNA調製物と前イン
キュベートした場合にこの翻訳系におけるTNFの生産に
負の影響を与えるそれらの能力により試験することがで
きた(“ハイブリド捕捉”)。卵母細胞系での画分の翻
訳により所望のTNFコードmRNAがすでに同定されている
場合、キナーゼ処理されたプローブへハイブリダイズす
るmRNAグラジエントのラジオオートグラフィーにより、
前記の基準を一層精密なものにすることができる。蛋白
質中の配列Asp−Lys−Pro−Val−Alaをコードする4個
のプール(それぞれがmRNAに相補的であるように設計さ
れた16個の14−マーを含む)のいずれが正しい配列を含
有しているかを決定することが可能であった。16個のオ
リゴマーのこの混合物がTNFコードmRNAのみにハイブリ
ダイズするために十分に特異的ではないことをNorthern
ブロットにより示すことができたので、これらの“ハイ
ブリド捕捉”実験を8対の14−マーを用いて反復した。
1対がmRNAを特異的にハイブリダイズするのに好結果を
もたらした。 一旦十分に特異的なプローブが同定した後、目的のTN
FをコードするmRNA画分から形成されたcDNAライブラリ
ーを検索するためにこれを使用した。28個の好結果のハ
イブリダイズするコロニを拾い、プラスミドDNAを単離
し、そして幾つかの挿入部を配列決定した。完全なコー
ド配列を含有するプラスミド調製物をpE4と命名し、そ
してコード配列源として使用した。追加のプラスミド調
製物pB11を哺乳動物発現のために使用した。 B.4.TNFの発現 pE4の挿入部のヌクレオチド配列決定は、言うまでも
なく、コード配列の位置及び挿入部中の利用可能な制限
部位の分析を可能にした。相同性は完全ではなかった
が、正しい置き換えを容易に行うことができた。操作を
容易にするため、成熟蛋白質のN−末端アミノ酸のため
のコドンと位相を合わせて且つそのすぐ前にATG開始コ
ドンを置き、そしてこのATGのすぐ上流にHind III部位
を含有せしめるのが望ましかった。これは部位特定変異
誘発により達成された。その詳細は後で記載する。次
に、この適切な開始シグナルを有するコード配列を2つ
の部分、すなわちHind III/Pst I断片及びPst I/BamH I
断片に切り取り、そしてこれらの断片を制御配列を含有
する宿主発現ベクターに挿入することが可能であった。
他の方法として、完全な配列をHind III断片として切り
取ることができた。使用される特定の宿主発現ベクター
は、Hind III部位の上流のtrpプロモーター及び下流Bam
H I部位を含有するpTRP3、並びに同様に配置されたPL
ロモーターを含有するpFC54.t及びpPLOPである。 これらの発現ベクターを適当なE.コリ(E.coli)宿主
に形質転換し、そして得られた形質転換体をTNFの生産
をもたらす条件下で培養した。音波処理し、そして次に
音波処理物をチャオトロピック剤(chaotropic agent)
で処理して目的のTNFを可溶化することによりTNFを細胞
から回収することができ、又は該音波処理物を直接アッ
セイすることができる。 最初の発現はE.コリ中で達成された。しかしながら、
C.1項において非常に詳細に記載するごとく、pE4又はpB
11からのコード配列を、他の原核生物、酵母、組織培養
物、又は植物細胞中での発現に適する制御配列に連結す
ることもできた。哺乳動物細胞中での発現は実際にpB11
のSV40プロモーターを用いて達成された。適切な宿主の
選択は、分泌を行う可能性、翻訳後プロセシングを行う
可能性、及び適切な増殖条件下で目的の蛋白質を高レベ
ルで生産する能力を含む多くの因子に依存するであろ
う。 B.5.アッセイ B.5.a 細胞毒性アッセイ法 L−929アッセイ系は、TNF活性の迅速な測定を可能に
する改良された便利なインビトロアッセイ法である。Ca
rswellのインビボ腫瘍壊死アッセイとの相関の程度は現
在のところ知られていない。しかしながら、これは特に
ネズミ腫瘍細胞を使用するので、相関性は高いと予想さ
れる。EPO公開No.0100641(前掲)においてリンホトキ
シンと称される蛋白質もこのアッセイにおいて活性を与
える。このアッセイ法は概念において、ネズミL−M細
胞及びメチレンブルー染色を使用する米国特許No.4,45
7,916に開示されているものに類似する。L−929アッセ
イ法はヒト腫瘍セルライン細胞毒性と相関する(HL−60
由来TNFについて)ことが示された(D.1.b項を参照のこ
と)。 この発明のL−929アッセイ系において、L−929細胞
はミクロタイタープレート中で単層として一夜調製され
る。試験サンプルをプレートにわたって2倍稀釈し、UV
照射し、そして次に調製された細胞単層上に加える。次
に、ウエル中の培地を1μg/mlアクチノマイシンDにす
る。プレートを37℃にて18時間インキュベートし、そし
てプレートを顕微鏡下で視覚的にスコアーする。ウエル
中の細胞死の程度を示す25%、50%、75%及び100%の
標示を各ウエルに与える。TNF活性の1ユニットを50%
の死滅を生じさせる稀釈の逆数として定義する。 さらに、このアッセイ法の一層高感度の変法が開発さ
れた。この方法は、試験サンプル及びアクチノマイシン
Dにより処理された場合に、前ラベルされた細胞からの
35Sでラベルされたペプチドの放出をモニターする。ア
ッセイ法のこの変法は力価を定量するため、例えば卵母
細胞により翻訳された物質の相対力価を評価するために
使用することができる。要約すれば、活発に増殖してい
るL−929の培養物を、2%の透析されたウシ胎児血清
が補充されたメチオニン不含有培地中で36S−メチオニ
ン(200μCi/ml)により3時間ラベルする。次に細胞を
洗浄し、そして96ウエルプレート中にプレートし、そし
て一夜インキュベートし、そして次の日に試験サンプル
の2倍稀釈物及び1μg/mlのアクチノマイシンDで処理
する。次に、培養物を37℃にて18時間インキュベートす
る。次に、各ウエルからの100μの上清アリコートを
他の96ウエルプレートに移し、酸(TCA)沈澱せしめ、
そしてガラス繊維フィルター上に回収する。フィルター
を95%エタノールで洗浄し、乾燥し、そして計数する。
すべてのアッセイにNP40洗剤対照を含めて細胞からの放
射能の最大放出を測定する。次に、35S放出(%)を処
理細胞と未処理対照との間のカウントの差をNP40処理細
胞と未処理細胞との間のカントンの差で除した比率、す
なわち、 で表わされる比率により計算する。TNFの力価が高くな
るに従ってこの比率が高い値となる。上記のアッセイ法
は、対象細胞としてヒト腫瘍セルラインを使用するため
に便利に変更される。上記のL−929細胞の場合と同様
にしてユニットを定義し、そして放出(%)を計算す
る。 B.5.b インビボアッセイ 調製物はまた、腫瘍を殺し又はその成長を抑制し、そ
して該腫瘍を担持する動物を死亡から保護するその物質
の能力を用いて、TNF活性について試験することができ
る。Balh/cマウスに種々のタイプの腫瘍細胞を皮下注射
することにより局在化した腫瘍を形成せしめた。腫瘍セ
ルラインは腹水からの細胞懸濁物として得られるMethA
マウス繊維肉腫、及び1mm3の細胞塊として投与されるMC
F−7ヒト乳癌を包含した。 アッセイのため、雌性Balh/cマウス(19〜22g)に26
ゲージ針により0.1mlの媒体中に5×105個の線維肉腫細
胞を含有する懸濁液又はMCF−7塊を皮下注射した(繊
維肉腫懸濁液は8日目の腹水から細胞の計数及び血清不
含有培地による稀釈により調製した)。9〜10日後、腫
瘍が触知可能になった時、試験すべきTNFの量(マウス
当り1μgの範囲)を注射し、そしてその後の日に所望
によりTNF投与を反復した。腫瘍の体積を測定すること
により、及び生存率により結果を評価した。 B.6.TNFミューテインの生産 この発明は、最適活性の蛋白質を得るために有利なmT
NFの多数の変形を意図する。前記B.5.a項の細胞毒性ア
ッセイにおいて匹敵する又は増加した比活性をもたらす
一次アミノ酸配列の幾つかの特定の変化を得った。mTNF
の配列からの最初の10個又はそれより少ない数のアミノ
酸の除去の幾つかは、“天然”組換蛋白質の比活性と同
様か又は数倍高い比活性を有する蛋白質をもたらす。mT
NFのシステイン除去ミューテインもまた、これらのミュ
ーテインのN−末端除去形がそうであると同様に、TNF
活性を示す。 これらのミューテインの幾つかの製造は、TNFのため
のコード配列を含有する発現ベクターを所望のコード配
列に対応するプライマーを用いて部位特定変異誘発にか
けることにより行われる。こうして、コード配列中に適
切な変化を有する変形された発現ベクターが得られる。
得られた変形されたベクターを適当な宿主に形質転換
し、次にこれをコードされたミューテインの生産をもた
らす条件下で培養する。次に、これらのミューテインは
“天然蛋白質”と同様に細菌培養物から精製され、そし
て低下していないか又は増強されている活性を有するこ
とが示される。 特に、▽4TNFミューテイン及び▽6−10TNFミューテ
インは2つの点においてmTNFに明らかに卓越している。
すなわち、これらは一層高い比活性を有し、そしてこれ
らは“きれいな”生成物として生産される。後に一層詳
細に示すように、これらの好ましい具体例の幾つかにつ
いて、精製された蛋白質の活性は細胞毒性アッセイにお
いてmTNFにより示されるそれよりも数倍高い。さらに、
等電点電気泳動ゲル上での挙動により証明されるよう
に、精製された組換mTNFは側鎖の変形を有するらしい一
群の蛋白質を示すのに対して、これらのミューテインは
この方法にかけられた場合本質的に1個のバンドを与え
る。 C.標準的方法 細胞を形質転換し、ベクターを造成し、メッセンジャ
ーRNAを抽出し、cDNAライブラリーを調製する等のため
に使用される技法のほとんどは当業界において広く実施
されており、そしてほとんどの実施者は特定の条件及び
方法を記載する標準的手段に親しんでいる。しかしなが
ら、便宜上次の項がガイドラインとして役立つであろ
う。 C.1.宿主及び制御配列 原核生物はほとんどの場合E.コリの種々の株により代
表される。しかしながら、他の微生物株、例えばバシル
ス、例えばバシルス・ズブチリス(Bacillus subtili
s)、シュードモナス(Pseudomonas)の色々な種、又は
他の細菌株を使用することもできる。このような原核生
物系において、宿主と適合性の種に由来する複製開始点
及び制御配列を含有するプラスミドベクターが使用され
る。例えば、E.コリは、Boliver等、Gene(1977):95
によるE.コリ株由来のプラスミドであるpBR322の誘導体
を用いて形質転換される。pBR322はアンピシリン及びテ
トラサイクリン耐性のための遺伝子を含有しそしてそれ
故に所望のベクターの造成において維持されるか又は破
壊されることなどができる追加のマーカーを提供する。
この明細書において転写開始のためのプロモーター及び
場合によってはオペレーターをリボゾーム結合配列と共
に包含するものとして定義される一般に使用される原核
性制御配列には、α−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)
及びラクトース(lac)プロモーター系〔Chang等,Natu
re(1977)198 1056〕、及びトリプトファン(trp)プ
ロモーター系〔Goeddel等,Nucleic Acids Res.(198
0):4057〕、並びにラムダ由来PLプロモーター及びN
−遺伝子リボゾーム結合部位〔Shimatake等,Nature(1
981)292:128〕(これは、1984年2月8日に出願され、
そして同じ承継人に承継された係属中の出願No.578,133
中に記載されているようにポータブル制御カセットとし
て有用にされている)のごとき一般に使用されるプロモ
ーターが含まれる。しかしながら、原核生物に適合性の
任意の入手可能なプロモーター系を使用することができ
る。 細菌のほかに、真核性微生物、例えば酵母を宿主とし
て使用することもできる。パン酵母であるサッカロミセ
ス・セレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)の実験
室株が最も使用される。但し他の多くの菌株も一般に入
手可能である。2ミクロン複製開始点を用いるベクター
が例示される(Broach,J.R.Meth.Enz.(1983)101:30
7)が、酵母での発現のために適当な他のベクターが知
られている。〔例えば、Stinchcomb等,Nature(1979)
282:39;Tschempe等,Gene(1980)10:157;及びClarke,
L.等,Meth.Enz.(1983)101:300を参照のこと〕。酵母
ベクターのための制御配列には解糖系酵素の合成のため
のプロモーターが含まれる〔Hess等、J.Adv.Enzyme Re
g.(1968):149;Holland等、Biochemistry(1978)1
7:4900〕。当業界において知られている他のプロモータ
ーには3−ホスホグリセレートキナーゼのプロモーター
〔Hitzeman等,J.Biol.Chem.(1980)255:2073〕、並び
に他の解糖系酵素、例えばグリセルアルデヒド−3−ホ
スフェ−トデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベ
ートデカルボキシラーゼ、ホスホフラクトキナーゼ、グ
ルコース−6−ホスフェートイソメラーゼ、3−ホスホ
グリセレートムターゼ、ピルベートキナーゼ、トリホス
フェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラー
ゼ、及びグルコキナーゼのプロモーターが含まれる。増
殖条件により転写が制御されるという追加の利点を有す
る他のプロモーターはアルコールデヒドロゲナーゼ2、
イソチトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に
関連する分解酵素、並びにマルトース及びガラクトース
の資化を担当する酵素(Holland,前掲)である。さら
に、コード配列の3′末端においてターミネーター配列
が望ましいと信じられる。このようなターミネーターは
酵母由来配列中コード配列に続く3′非翻訳領域中に見
出される。例示されるベクターの多くがエノラーゼ遺伝
子含有プラスミドpono46〔Holland,M.J.等,J.Biol,Che
m.(1981)256:1385〕又はYEp13から得られるLEU2遺伝
子〔Broach,J.等,Gene(1978):121〕が含まれる
が、酵母適合性プロモーター、複製開始点及び他の制御
配列を含有する任意のベクターが適当である。 言うまでもなく、多細胞生物由来の真核宿主細胞培養
物中でポリペプチドをコードする遺伝子を発現せしめる
ことも可能である。例えば、Tissue Cultures,アカデミ
ックプレス、Cruz及びPatterson編(1973)を参照のこ
と。有用な宿主セルラインにはベロ細胞、ヒーラ細胞、
及びチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が含まれ
る。このような細胞のための発現ベクターは一般に哺乳
類細胞と適合性のプロモーター及び制御配列、例えばシ
ミアンウイルス40(SV40)由来の一般に使用される初期
及び後期プロモーター〔Fiers等、Nature(1978)273:1
13〕、及び他のウイルスプロモーター、例えばポリオー
マ、アデノウイルス2、ウシパピローマウイルス、又は
鳥肉腫ウイルス由来のプロモーターが含まれる。哺乳類
細胞宿主系形質転換の一般的観点は1983年8月16日に与
えられたAxel等の米国特許No.4,399,216に記載されてい
る。今やさらに、発現を最適化するために“エンハンサ
ー”領域が重要なようであり、これらは一般に非コード
DNA領域中プロモーター領域の上流又は下流に見出され
る配列である。必要であれば、複製開始点はウイルス源
から得ることができる。しかしながら、染色体への組込
みが真核生物におけるDNA複製の一般的機構である。植
物細胞も今や宿主として使用することができ、そして植
物細胞と適合性の制御配列、例えばノパリン・シンサー
ゼプロモーター及びポリアデニレーションシグナル配列
〔Depicker,A.等、J.Mol.Appl.Gen.(1982):561〕を
使用することができる。 C.2.形質転換 使用される宿主細胞に依存して、そのような細胞に適
する標準的技法を用いて形質転換が行われる。Cohen,S.
N.,Proc.Natl.Acad,Sci.(USA)(1972)69:2110により
記載されるような塩化カルシウムを用いるカルシウム処
理、又はManiatis等、Molecular Coning:A Laboratory
Manual(198)コールドスプリングハーバープレス、254
頁に記載されているRbCl2法を原核細胞、又は実質的な
細胞壁障壁を含有する他の細胞のために使用した。アグ
ロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium
tumefaciens)による感染(Shaw,C.H.等、Gene(1983)
23:315)をある種の植物細胞のために使用する。このよ
うな細胞壁を有しない哺乳類細胞のためには、Graham及
びvan ber Eb,Viroloy(1978)52:546のリン酸カルシウ
ム沈澱法が好ましい。酵母への形質転換はVan Solinge
n,P.等、J.Bact.(1977)130:946及びHsiao,C.L.等、Pr
oc.Natl.Acad.Sci(USA)(1979)76:3829の方法に従っ
て行う。 C.3.cDNA及び遺伝子ライブラリーの検索 cDNA又はゲノムライブラリーはコロニーハイブリダイ
ゼーション法を用いてスクリーニングする。各ミクロタ
イタープレートを2株のニトロセルロース濾紙(S&S
タイプBA−85)上にレプリカし、そしてコロニを37℃に
て14〜16時間、50μg/mlのAmpを含有するL寒天上で増
殖せしめる。コロニを細胞溶解し、そして500mM NaOH、
1.5M NaClにて5分間処理することによりDNAをフィルタ
ーに固定し、そして5×標準食塩クエン酸塩(SSC)に
より2回それぞれ5分間ずつ洗浄する。フィルターを空
気乾燥し、そして80℃にて2時間加熱する。2枚のフィ
ルターを42℃にて6〜8時間、フィルター当り10mlのDN
Aハイブリダイゼーション緩衝液〔5×SSC、pH7.0、5
×デンハート溶溶(ポリビニルピロリドン+フィコール
及びウシ血清アルブミン;1×=各0.02%)、50mMリン酸
ナトリウム緩衝液、pH7.0、0.2%SDS、20μg/mlポリ
U、及び50μg/ml変性サケ精子DNA〕とハイブリダイズ
せしめる。 サンプルを、所望の厳しさに依存する条件下でキナー
ゼ処理されたプローブとハイブリダイズせしめる。典型
的な中程度厳しさの条件は、プローブを含有するDNAハ
イブリダイゼーション緩衝液1〜5ml/フィルターと共に
24〜36時間42℃の温度を用いる。より高い厳しさのため
には高い温度及びより短い時間が用いられる。フィルタ
ーを、37℃にて30分間ずつ4回、2×SSC、0.2%SDS及
び50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)により洗浄し、
次に2×SSC及び0.2%SDSにより2回洗浄し、空気乾燥
し、そして−70℃にて2〜3日間オートラジオグラフ処
理する。 C.4.ベクターの造成 所望のコード配列及び制御配列を含有する適当なベク
ターの造成は当業界においてよく理解されている標準的
連結及び制限技法を用いる。単離されたプラスミド、DN
A配列、又は合成されたオリゴヌクレオチドは開裂さ
れ、仕立てられ、そして所望の形に再連結される。 部位特異的DNA開裂は、適当な制限酵素(1種又は複
数種)で処理することにより、当業界で一般に理解され
ている条件下で行い、そして具体的な条件はそれらの市
販制限酵素の製造者により特定されている。例えば、ニ
ューイングランドビオラブスの製品カタログを参照のこ
と。一般に約1μgのプラスミド又はDNA配列を1ユニ
ットの酵素により約20μの緩衝液中で行う。この発明
の例においては、典型的には過剰の制限酵素を用いてDN
A基質の完全な消化を保証する。37℃にて約1〜2時間
のインキュベーション時間が実施可能であるが、これと
異ることもできる。各インキュベーションの後、フェノ
ール/クロロホルムを用いる抽出により蛋白質を除去
し、そして次にエーテル抽出することもでき、そしてエ
タノールにより沈澱せしめることにより水性画分から核
酸を回収し、次にセファデックスG−50スピンカラムに
通す。所望により、開裂された断片のサイズ分離を標準
的技法を用いるポリアクリルアミドゲル又はアガロース
ゲル電気泳動により行うことができる。サイズ分離の一
般的技法はMethods in Enzymology(1980)65:499−560
に見出される。 制限酵素開裂された断片は、E.コリDNAポリメラーゼ
の大断片(Klenow)を用いて、4種類のデオキシヌクレ
オチドトリホスフェート(dNTP)の存在下で20〜25℃に
て約15〜25分間のインキュベーション時間を用いて、50
mM Tris(pH7.6)、50mM NaCl、6mM MgCl2、6mMDTT及び
5〜10μMdNTP中で処理することにより平滑末端化する
ことができる。Klenow断片は5′接着末端をフィルイン
するが、4種類のdNTPが存在していても突出3′単鎖を
チューバックする。所望により、接着末端の性質により
指定される制限内で唯一の又は選択されたdNTPを供給す
ることにより選択的修復を行うことができる。Klenowで
処理した後、混合物をフェノール/クロロホルムで抽出
し、そしてエタノール沈澱を行い、次にセファデックス
G−50スピンカラムに通す。適当な条件下でのS1ヌクレ
アーゼによる処理が単鎖部分の加水分解をもたらす。 合成オリゴヌクレオチドは、Matteucci等、J.Am.Che
m.Soc.(1981)103:3185のトリエステル法により、又は
市販の自動オリゴヌクレオチド合成機を用いて調製す
る。アニーリングに先立つ、又はラベル化のための単鎖
のキナーゼ処理は、50mM Tris(pH7.6)、10mM MgCl2
5mMジチオスレイトール、1〜2mMATP、1.7p mole32P−A
TP(2.9mCi/m mole)、0.1mMスペルミジン、0.1mMEDTA
の存在下で、過剰の、例えば0.1n moleの基質に対して
約10ユニットのポリヌクレオチドキナーゼを用いて達成
される。 連結は15〜30μの容積中で次の標準的条件及び温度
で行う:20mM Tris−HCl(pH7.5)、10mM MgCl2、10mMDT
T、33μg/ml BSA、10mM〜50mM NaCl;及び“接着末端”
連結のためには40μMATP、0.01〜0.02(Weiss)ユニッ
トのT4DNAリガーゼ、0℃、又は“平滑末端連結のため
には1mMATP、0.3〜0.6(Weiss)ユニットのT4DNAリガー
ゼ、14℃。分子間“接着末端”連結はは通常、33〜100
μg/mlの全DNA濃度(5〜100nM全末端濃度)で行う。分
子間平滑末端連結(通常、10〜30倍モル過剰のリンカー
を用いる)は1μM全末端濃度で行う。 “ベクター断片”を用いるベクターの造成において、
ベクター断片は一般に細菌アルカリホスファターゼ(BA
P)で処理して5′のリン酸を除去し、そしてベクター
の再連結を防止する。BAP消化は、pH8にて約150mM Tris
中で、Na+及びMg++の存在下1μgのベクター当り約1
ユニットのBAPを用いて60℃にて約1時間行う。核酸断
片を回収するため、調製物をフェノール/クロロホルム
で抽出しそしてエタノール沈澱を行い、そしてファデッ
クスG−50スピンゲルに適用して脱塩する。別の方法と
して、不所望の断片の追加の制限酵素消化により2重消
化されたベクターにおいて再連結を回避することができ
る。 配列の変更を必要とするcDNA又はゲノムDNA由来のベ
クターの部分のために、部位特定プライマー指令変異誘
発を用いる。これは、目的の変異を代表する限定された
ミスマッチを除くほか変異すべき単鎖ファージDNAに相
補的なプライマー合成オリゴヌクレオチドを用いて行
う。要約すれば、ファージに相補的な鎖の合成を指令す
るためのプライマーとして合成オリゴヌクレオチドを用
い、そして得られた2本鎖DNAをファージを支持する宿
主細菌中に形質転換する。形質転換された細菌の培養物
を上層寒天中にプレートし、ファージを担持する単一細
胞からのプラークを形成せしめる。 理論的には、新しいプラークの50%は単一鎖として変
異した形を有するファージを含有し、50%はもとの配列
を有するであろう。得られたプラークを、正確にマッチ
するハイブリダイゼーションを許容するがしかしもとの
鎖とのミスマッチがハイブリダイゼーションを回避する
のに十分であるような温度において、キナーゼ処理され
た合成プライマーとハイブリダイズせしめる。次に、プ
ローブとハイブリダイズするプラークを拾い、培養し、
そしてDNAを回収する。部位特定変異法の詳細は具体的
な例において後記する。 C.5.造成物の確認 下記の造成物において、プラスミド造成物の正しい連
結の確認においてはまず、E.コリゼネティック・ストッ
ク・センターから得られるE.コリMM294株(CGSC#613
5)を連結混合物により形質転換する。好結果の形質転
換体を、アンピシリン、テトラサイクリンもしくは他の
抗生物質耐性により、又はプラスミド造成の態様に依存
して他のマーカーを用いて選択する。次に、形質転換体
からのプラスミドを、場合によってはクロラムフェニコ
ール増幅〔Clewell,D.B.,J.Bacteriol.(1972)110:66
7〕の後、Clewell,D.B.等、Proc.Natl.Acad.Sci.(US
A)(1969)62:1159の方法に従って調製する。単離され
たDNAを制限酵素処理により分析し、そして/又はMessi
ng等、Nucleic Acids Res(1981):309によりさらに
記載されたSanger,F.等、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)
(1977)74:5463のジデオキシ法により、又はMaxam等、
Methods in Enzymology(1980)65:499の方法により配
列決定する。 C.6.例示される宿主 この発明においてクローニング及び発現のために使用
される宿主菌株は次の通りである。 クローニング及び配列決定、並びにほとんどの細菌プ
ロモーターの制御のもとでの造成物の発現のため、E.コ
リMM294株(前掲)、Talmadge,K.等、Gene(1980)12:2
35;Meselson,M.等、Nature(1968)217:1110を宿主とし
て使用した。PLNRBSプロモーターの制御のもとでの発現
のため、E.コリK12 MC1000ラムダ溶原株N7N53cI857 SUS
P80、ATCC 39531(以後、MC1000−39531と称する場合が
ある)を使用する。 M13ファージ組換体のため、ファージ感染に感受性の
E.コリ株、例えばE.コリK12株DG98を使用する。DG98株
は1984年7月13日にATCCに寄託され、そして受託番号19
65を有する。 D.ヒトTNFのクローニング及び発現 次に、ヒト−TNF−1のためのコード配列を取得し、
この配列の発現ベクターへの配置し、そして目的の蛋白
質の発現を得るための方法を例示する。 D.1.ヒトTNFの調製及び精製 D.1.a. TNFの誘導 高濃度(約2×106細胞/ml)の定常期のHL−60細胞を
遠心分離し、血清の非存在下でRPMI1640培地で洗浄し、
そして次に1×107細胞/mlの濃度に再懸濁した。次に、
細胞を一定撹拌を伴って37℃にて30分間、懸濁培養にお
いて、100ng/mlのホルボールエステル、12−O−テトラ
デカノイルホルボール−13−アセテート(TPA)で処理
した。培養物を遠心し、上清をデカントし、細胞を10μ
g/mlの細菌リポポリサッカライド(LPS)及び10μMのC
aイオノホーレ(A23817)を含有するRPMI中に1×107
胞/mlで一定撹拌のもとで37℃にて4時間再懸濁した。
細胞を1200rpmにて10分間回転沈降せしめ、そして上清
を8000rpmにて20分間再遠心分離した。得られた上清を
D.1.b項の精製法において用いて天然のTNFを得た。 D.1.b. TNFの精製 D.1.a.項において誘導されたHL−60から調製された約
4〜8の上清をアミコン中空繊維(1平方フィートの
カートリッジ/10,000MWカットオフ)により約300mlに濃
縮した。濃縮された培養液を遠心して細胞破片を除去
し、そして上清を30mM炭酸水素アンモニウム緩衝液(pH
8.2)により6.2mSの電導度に調製した。この溶液をPM10
(アミコン)膜を用いる限外濾過によりさらに濃縮し、
そして濃縮された液を遠心分離(20,000×g、10分間)
により透明にした。 次に、上清を、30mM炭酸水素アンモニウム/1mM NaCl
(pH8.2)中で平衡化したDEAEイオン交換カラムに適用
し、そしてカラムを同じ緩衝液で洗浄した。画分を集
め、そして蛋白質を280nmでモニターした。これらの非
結合画分をL−929細胞毒性アッセイを用いてアッセイ
し、そしてTNF活性を有する画分をプールし、そして限
外濾過により再度濃縮した。 この濃縮物を、30mM炭酸水素アンモニウム緩衝液(pH
7.4)中で平衡化したセファデックスG75スーパーファイ
ン(ファルマシア)に適用した。同じ緩衝液により洗浄
することによって得られた非結合画分を280nmにおいて
モニターし、そしてTNFについてアッセイした。ピークT
NF生物活性を含有する画分を凍結乾燥した。 凍結乾燥された蛋白質をLaemmliSDSサンプル緩衝液中
に再懸濁し、そしてSDS−ポリアクリルアミドゲル上で
電気泳動した。ゲルを2mmの切片に細断し、そして各切
片からの蛋白質を1mlの30mM炭酸水素アンモニウム緩衝
液(pH7.4)中への浸漬しそして室温にて一夜振とうす
ることにより溶出した。 TNF生物活性を有する切片を、0.1%トリフルオロ酢酸
(TFA)中で平衡化されたバイダック(Vydac)C−4逆
相HPLCカラム上に適用し、そして0.1%TFA中0%〜6%
アセトニトリルの直線グラジエントを用いて活性を溶出
した。蛋白質を280nm及び214nmにおいてモニターし、そ
して画分を凍結乾燥後にバイオアッセイし、そして30mM
炭酸水素アンニニウム緩衝液(pH7.4)中に懸濁した。T
NF活性を含有する画分を再度凍結乾燥した。 得られた蛋白質は配列決定分析のために使用するのに
十分な純度を使していた。ガス相シーケンサー(アプラ
イド・ビオシステムス社)を用いて配列を決定した。最
初の22個のアミノ酸から得られた配列を次に示す。 さらに、精製された蛋白質(G−75ゲルから)を他の
ヒト腫瘍及び正常セルラインを基材(substrate)とし
て用いるL−929細胞毒性アッセイの変法を用いて試験
した。L−929細胞に対するこのアッセイにおいて毒性
であったG−75画分は、HS939T(黒色腫系)、BT−20
(乳癌)、A247(肺癌)、HT−1080(結腸癌)、及びHT
−29(結腸癌)に対しても毒性であった。これらの画分
はHS939Sk(皮膚線維芽細胞)、ヒーラ細胞(頚癌)、H
S27F(包皮線維芽細胞)、又はCOS7(SV−40で形質転換
されたサルの細胞)に対して毒性でなかった。 D.2.コード配列の調製 ヒトTNFをコードするイントロン不含有DNA配列をこの
明細書に記載する方法により調製した。誘導された場合
に大量のTNFを生産するヒト前骨髄球性白血病セルライ
ンHL−60系(NoCCL240としてATCCから入手)を、cDNAラ
イブラリーを得るためのmRNA源として使用した。これら
の細胞から精製されたTNFから決定された蛋白質配列に
基いて造成されたオリゴヌクレオチドプローブを用いて
このcDNAライブラリーを検索し、蛋白質の完全コード配
列を回収した。 D.2.a. 濃縮されたmRNAの調製 次の様にしてHL−60細胞から全メッセンジャーRNAを
抽出しそして精製した。HL−60細胞をTNF生産のために
D.1.a.に記載したようにして誘導し、そして4時間の細
胞懸濁液を遠心分離により収得した。全細胞質性リボ核
酸(RNA)を次のようにして単離した。すべての段階は
4℃で行う。細胞をPSB(リン酸緩衝化塩溶液)で2回
洗浄し、そして10mMバナジルアデノシン錯体〔Berger,
S.L.等、Biopem.(1979)18:5143〕を含有するIHB(140
mM NaCl、10mM Tris、1.5mM MgCl2、pH8)に懸濁する。 エチレンオキシドポリマータイプの非イオン性洗剤を
0.3%になるように加えて核膜ではなく細胞膜を溶解し
た。1,000×gにて10分間遠心分離することにより核を
除去した。核後の上清をTE〔10mM Tris、1mMエチレンジ
アミン四酢酸(EDTA)、pH7.5〕で飽和したフェノール
/クロロホルム(1:1)〔0.5%ドデシル硫酸ナトリウム
(SDS)及び10mM EDTAを含有する〕等容量に加えた。上
清を4回再抽出しそして2000×gにて10分間遠心して相
分離した。サンプルを0.25M NaClに調製し、2容量の10
0%エタノールを添加し、そして−20℃に貯蔵すること
によりRNAを沈澱せしめた。RNAを5,000×gにて30分間
ペレット化し、70%及び100%のエタノールで洗浄し、
そして乾燥した。ポリアデニル化(ポリA+)メッセンジ
ャーRNA(mRNA)を全細胞質RNAからオリゴdTセルロース
上でのクロマトグラフィーにより得た〔Aviv,J.等、Pro
c.Natl.Acad.Sci.(1972)69:1408−1412〕。すなわ
ち、RNAをETS(10mM Tris、1mM EDTA、0.5%SDS、pH7.
5)に2mg/mlの濃度で溶解した。この溶液を65℃にて5
分間加熱し、次に迅速に4℃に冷却した。RNA溶液を室
温にした後、これを0.1M NaClに調整し、そして結合緩
衝液(500mM NaCl、10mM Tris、1mM EDTA、pH7.5)によ
りあらかじめ平衡化したdTセルロースカラムに通した。
流過液をさらに2回カラムに通し、そしてカラムを10容
量の結合緩衝液で洗浄した。ポリA+mRNAをETSのアリコ
ートにより溶出し、TEを飽和したフェノール・クロロホ
ルムにより1度抽出し、そして0.2MへのNaCl及び2容量
の100%エタノールの添加により沈澱せしめた。RNAを2
回再沈澱せしめ、70%エタノール中で1回、そして次に
100%エタノール中で洗浄した後に乾燥した。 ポリA+mRNAを、10mM Tris−HCl(pH7.4)、1mM EDT
A、10mM NaCl及び0.1%SDS中でのシュークロースグラジ
エントにより分画した。ベックマンSW40ローター中38,0
00rpmにて17時間遠心した後、mRNAをグラジエントから
エタノール沈澱により回収した。mRNAを卵母細胞に注入
しそして卵母細胞抽出物を細胞毒性活性についてアッセ
イすることによりTNFmRNAを含有する画分を同定した。
ピーク活性を含有する画分をプールしてcDNAライブラリ
ーの造成のために使用した。 D.2.b. cDNAライブラリーの造成 ポリAテイルのオリゴdTプライミング及びAMU逆転写
酵素を用い、Okayama,H.等、Mol.Cell Biol.(1983)
:280(引用によりこの明細書に組み入れる)を用いて
濃縮された16SmRNA画分からcDNAを調製した。この方法
は高い比率の十分に長いコドンをもたらし、そして宿主
ベクターとしてそこに記載されておりそして著者から容
易に入手することができる2つのベクター、すなわちpc
DV1及びpL1の部分を使用する。得られたベクターは近位
BamH I及びXho I制限部位を含むベクター断片間に挿入
部を含有する。このベクターはpBR322の複製開始点及び
Amp耐性遺伝子を含有する。 cDNAライブラリーを調製するための他の方法は、言う
までもなく当業界において良く知られている。今や古典
的となった1つの方法は、オリゴdTプライマー、逆転写
酵素、ポリdGによる2本鎖cDNAのテイル形成、及び所望
の制限部位において開列されておりそしてポリdCにより
テイル形成されているpBR322又はその誘導体のごとき適
当なベクターへのアニーリングを用いる。この代替可能
な方法の詳細な記載は例えば本承継人と同じ承継人に承
継された米国特許出願No.564,224中に見られる(これを
引用によりこの明細書に組み入れる)。 この発明において使用される方法においては、濃縮さ
れたmRNA(5μg)を、22℃にて5分間10mMメチル水銀
で処理することによって変性し、そして100mM2−メチル
カプトエタノールを添加することにより解毒した〔Payv
ar,F.等、J.Biol.Chem.(1979)254:7636−7642〕。プ
ラスミドpcDV1をKpm Iで開裂せしめ、dTTPでテイル形成
し、そして変性したmRNAにアニールした。このオリゴdT
プライムドmRNAを逆転写酵素で処理し、そして新しく合
成されたDNA鎖にdCTPによりテイル形成した。最後に、p
cDV1ベクターの不所望の部分をHind IIIによる開裂によ
って除去した。これとは別に、pL1をPst Iにより開裂せ
しめ、dGTPによりテイル形成し、Hind IIIにより開裂せ
しめ、そして次にpcDV1ベクター断片により延長された
ポリTテイル形成されたmRNA/cDNAコンプレックスに、
E.コリ・リガーゼを用いて連結し、そしてこの混合物を
DNAポリメラーゼI(Klenou)、E.コリ・リガーゼ、及
びRNアーゼHで処理した。生じたベクターをE.コリK12
MM294に形質転換してAmpRとした。 D.2.c. プローブの選択 精製されたTNF配列のアミノ酸8−12のコード配列に
相補的なオリゴマーを調製した。コドンの冗長性のた
め、合計64種類の14−マーをこの部分をコードするメッ
センジャーに対する相補性の候補とする。合計64種類の
14−マーを調製し、そして16種類ずつの4個のプールに
分けた。各プールを、上記のようにして調製したシュー
クロースグラジエント画分した濃縮されたmRNA調製物と
混合し、そしてこの混合物を卵母細胞翻訳系に注入し
た。未処理のメッセンジャーRNAを用いて対照施行を行
った。卵母細胞系で生産された蛋白質をL−929細胞毒
性アッセイ(35S放出)にかけ、対照及びmRNAと3つの
オリゴマープールとの混合物を注射された卵母細胞由来
の蛋白質が活性を示した。この“ハイブリド捕捉”アッ
セイにおいて、次の配列: を有するプールで処理されたメッセンジャーを注入され
た卵母細胞のみ不活性であった。このオリゴマープール
の特異性を、誘導されたHL−60細胞及び未誘導HL−60細
胞の両者から上記のようにして調製した濃縮したmRNA、
並びにリンホトキシンを生産することが知られている細
胞から得られた対応するmRNA画分との“ドット・ブロッ
ト”ハイブリダイゼーション用いてさらに決定した。こ
のプールは誘導されたmRNAには良好にハイブリダイズし
たが、しかし未誘導細胞又はリンホトキシン生産細胞か
らの対応する画分とはハイブリダイズしなかった。しか
しながら、プローブとしてキナーゼ処理されたプールを
用いるNorthernブドットは、これが18S(リボゾーム)R
NA画分及びpBR322DNAと交差ハイブリダイズする配列を
含有することを示した。 従って、この好結果のプールを、8対の14−マーとし
てその構成員を合成し、その各対を用いて上記のように
して“ハイブリド捕捉”アッセイを行いことによりさら
に分画した。次の配列: を有する対のみが、卵母細胞中でのTNFの合成の阻害に
おいて好結果であった。分画された誘導されたHL−60mR
NA画分、誘導された全HL−60ポリA+RNA、未誘導HL−60
ポリA+RNA、及びpBR322DNAを用いるドット・ブロット実
験は、目的のメッセンジャーにバイブリダイズするため
に前記の14−マー対が特異的であること、及び他の対が
不能であることを確認した。 D.2.d. コード配列の回収 上に調製したcDNAをD.2.c.において同定した14−マー
対を用いて検索した。プローブとハイブリダイズする28
個のコロニーを拾い、培養し、そしてプラスミドDNAを
単離した。全配列をコードするのに十分な長さの挿入部
を含有するプラスミドを選択し、そしてB.5項において
前記したようにして、細胞毒性アッセイの35S放出形式
と組合わせたハイブリド翻訳を用いて正しい配列につい
て幾つかのプラスミドをアッセイした。ハイブリド翻訳
アッセイは、試験配列が未分画調製物から正しいmRNAを
回収することを利用し、これは回収されたメッセンジャ
ーを注入した卵母細胞翻訳系により生産された蛋白質を
アッセイすることにより確認される。 試験すべきプラスミドcDNAをフィルターに結合せし
め、そして誘導されたHL−60細胞から単離されたポリA+
RNAにより前記フィルターを処理する。次に、フィルタ
ーを溶出し、溶出物を卵母細胞翻訳系に注入する。卵母
細胞を蛋白質について抽出し、次にこれをL−929毒性
アッセイの35S形式において試験する。E2〜E4、E6、及
びE8と称する若干のハイブリダイズするクローンについ
ての結果を下に示す。サンプル 35Sの放出(%) E1 7 E2 23 E3 32 E4 33 E6 26 E8 11 pBR322 9 A+ 34 B+ 24 (A+及びB+はシュークロースグラジエントにより得られ
た濃縮されたmRNAを用いる対照であり、E1及びpBR322は
陰性対照である。) 挿入部の制限分析及び部分配列決定は、2つの候補プ
ラスミドpE4及びpB11が完全なTNFコード配列を有するら
しいことを示した。pE4についてこの分析の結果を第2
図に示す。 pE4を配列決定し、そして3つの可能なリーディング
スレームすべての翻訳から推定されるアミノ酸配列を、
精製された蛋白質のN−末端配列決定により決定された
天然成熟TNFの既知のN−末端配列とマッチさせること
により、TNFのための正しいリーディングフレームを同
定した(第1図を参照のこと)。成熟蛋白質のアミノ酸
配列には、1位のバリンから出発して番号を付す。前記
のごとく、相同性は完全ではなかした。しかしながら、
高度の相同性により正しいcDNAが選択されていたことが
示された。第2図に示す実験的に決定された制限開裂部
位の証明も与えられる。1.1kb Pst I断片中の3′Pst I
部位の上流のHind IIIは終止コドンの下流にあり、従っ
て後記のごとき上流領域の変形の後コード配列をHind I
IIカセットとして切り出すことを可能にする。 D.3.DNA配列から決定されるヒトTNFの特徴付け 第1図中に示されるcDNA配列から推定されるように、
成熟TNF蛋白質は157個のアミノ酸残基を含有し、そして
グリコシル化を伴わないで約17,354の分子量を有する。
リーダー配列は、最初の利用可能なMet出発コドンから
始まっておよそ76個のアミノ酸を含有する様である。69
位及び101位に2個のシステイン残基が存在し、活性構
造がジスルフィド結合を含有する可能性を導く。 D.4.発現ベクターの調製 D.4.a. N−末端コドンの変形 成熟蛋白質の発現を行うために、成熟蛋白質のN−末
端バリン(第1図中1として示される)をコードするGT
C配列にすぐ先行してATG開始コドンを導入し、そして適
当な宿主発現ベクターへの連結のためにATGのすぐ上流
にHind III部位を設けるのが便利であった。これは、C.
4項に記載した部位特定変異誘発により達成した。 さらに詳細には、コード配列の上流部分を含有するDN
A断片をPst IによりpE4から切り出し、アガロースゲル
電気泳動により単離し、電気溶出により回収し、そして
バクテリオファージM13mp18のPst I部位に連結した。 連結されたファージを凍結されたコンピテントE.コリ
K12株DG98(ATCC#39768)に形質導入し、そしてシグマ
社(セントルイス)から入手したイソプロピルチオガラ
クトシド(IPTG)5×10-4M及び40μg/mlのX−galを含
有する培地上にプレートすることにより培養した。非−
α−補完色プラークは新たな培地に拾い上げた。予想さ
れる(1.1kb)サイズの挿入部を含有する組換体単鎖フ
ァージDNAについてミニーカルチュアーをスクリーニン
グした。クローン4.1と称する目的とする組換体ファー
ジの構成を制限酵素分析を用いて確認した。 次の配列: 5′−GAAGATGATCTGACCATAAGCTTTGCCTGGGCC−3′ を有する化学合成され精製された33−マーオリゴデオキ
シリボヌクレオチドを用いて、成熟TNF蛋白質の第1ア
ミノ酸(バリン)をコードするGTCコドンの前にHind II
I制限酵素部位及びATG−開始コドンを導入した。 10pmoleのオリゴヌクレオチドを、10mM NaCl、20mM T
ris−HCl(pH7.9)、20mM MgCl2及び20mMβ−メルカプ
トエタノールを含有する混合物15μ中で、67℃にて5
分間及び42℃にて25分間加熱することにより2.6μgのs
sクローン4.1DNAとハイブリダイズせしめた。このアニ
ールされた混合物を氷上で冷却し、そして次に0.5mMの
各dNTP、17mM Tris−HCl(pH7.9)、17mM MgCl2、83mM
NaCl、17mMβ−メルカプトエタノール、5ユニットのDN
AポリメラーゼI Klenow断片を含有する反応混合物25μ
の初期容量に調製し、37℃にて1時間インキュベート
した。80℃に加熱することにより反応を停止し、そして
この反応混合物を用いてコンピテントDG98細胞を形質転
換し、寒天プレート上にプレートし、そして一夜インキ
ュベートしてファージプラークを得た。 変異したクローン4.1プラークを含有するプレート、
及び変異していないクローン4.1ファージプタークを含
有する2枚のプレートを4℃に冷却し、そして寒天プレ
ート上に第1の乾燥フィルターを5分間置き、そして第
2のフィルターを25分間置くことによって、各プレート
からファージプラークを2枚のニトロセルロースに移し
た。次に、このフィルターを、0.2N NaOH、1.5M NaCl及
び0.2%トリトンX−100に浸漬した厚いフィルター上に
5分間置き、そして0.5M Tris−HCl(pH7.5)及び1.5M
NaClに浸漬したフィルター上にさらに5分間置くことに
よって中和した。このフィルターを、2×SSC浸漬した
フィルター上で同様にして洗浄し、乾燥し、そして真空
オーブン中で80℃にて2時間加熱した。2枚のフィルタ
ーを42℃にて4時間、フィルター当り10mlのDNAハイブ
リダイゼーション緩衝液〔5×SSC、pH7.0、4×デンハ
ート溶液(ポリビニルピロリドン、フィコール及びウシ
血清アルブミン、1×=各0.02%)、0.1%SDS、50mMリ
ン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0、及び100μg/ml変性サケ
精子DNA〕により前ハイブリダイブせしめた。プライマ
ーをラベルされたATPと共にキナーゼ処理することによ
32P−ラベル化プローブを調製した。フィルターを、
フィルター当り1〜5mlのDNAハイブリダイゼーション緩
衝液中5×106cpm/mlの32P−ラベル化プライマーに64℃
にて8時間ハイブリダイズせしめた。 フィルターを室温にて10分間、0.1%SDS、20mMリン酸
ナトリウム(緩衝剤)及び6×SSC中で1回;37℃にて20
分間、緩衝剤及び2×SSC中で1回;50℃にて20分間、緩
衝剤及び2×SSC中で1回;並びに最後に60℃にて20分
間、緩衝剤及び1×SSC中で洗浄した。 フィルターを空気乾燥し、そして−70℃にて4時間オ
ートラジオグラフ処理した。変異したクローン中に新た
なHind III制限部位を形成するためにオリゴヌクレオチ
ドプライマーを選択したので、このプライマーとハイブ
リダイズした多数のクローンからのRF−DNAをこの制限
酵素により消化した。新しいHind III制限部位を有する
変異したクローン4.1プラークの1つを拾い、そしてDG9
8の培養物中に接種し、ssDNAを培養上清から調製し、そ
してdsRF−DNAを細胞ペレットから調製した。正しい配
列をジデオキシ配列決定法により確認した。 正しく合成された鎖を単離し、そしてPst I及びHind
III(部分的)により、又はHind IIIのみにより開裂せ
しめて発現ベクターに連結した。 D.4.b. 発現ベクターの造成 原核性発現のため、コード配列(幾らかの3′非翻訳
ヌクレオチドと共に)をdsM13−AW701から2つの方法で
切り出した。 第1の方法においては、dsM13−AW701をPst Iで消化
し、そして次にHind IIIで部分消化してHind III−Pst
ITNFコード配列を得た。(M13−AW701中には幾つかのHi
nd III部分が存在するためHind III部分消化が必要であ
る。)DNA断片の部分消化は、DNAの完全消火のために必
要な制限酵素量の1/10を用いることにより行うことがで
きる。混合物をその酵素について適当な温度においてイ
ンキュベートし、そして消化混合物のアリコートを10分
間の間隔で1時間まで取り出した。次に、これらのアリ
コートをゲルに負荷し、そしてDNA断片を分析した。必
要とされるDNA断片の最高収量をもたらした時点を制限
酵素による調製的消化のために使用し、そして適切な断
片を電気溶出によりゲルから精製した。 TNF遺伝子の3′−非コード配列を含有するPst I/Bam
H I断片を、pE4から、酵素Pst I及びBamH IによるDNAの
消化の後に精製した。 Hind III/Pst I断片及びPst I/BamH I断片は一緒になっ
てコード配列+DNAの600bp3′非翻訳部分を構成する。
2つの断片を次のようにして、Hind III/BamH I消化し
た宿主ベクターpTRP3に連結した。 pTRP3(下記を参照のこと)はE.コリtrpプロモーター
及びリボゾーム結合部位を含有する。pTRP3をHind III
及びBamH Iで消化し、そしてベクター断片をアガロース
ゲル上で精製した。次に、単離された断片を上記のHind
III/Pst Iセグメント及びPst I/BamH Iセグメントと共
に3方連結により連結し、そしてこの混合物を用いてE.
コリMM294をAmpRに形質転換してpAW701を得た。 第2の方法においては、dsM13−AW701をHind IIIによ
り消化し、そして遺伝子を含有する断片をアガロースゲ
ル上で単離した。この単離された断片を、Hind IIIによ
り開裂されBAPにより処理されたpTRP3に連結し、そして
E.コリMM294に形質転換してpAW702を得た。 PLプロモーター及びバシルス・ポジティブ・レトロレ
ギュレトリー配列を含有するpFC54.t(ATCC39789)又は
pPLOP(下記を参照のこと)を宿主ベクターとして使用
することもできる。これらのベクターをHind III及びBa
mH Iにより消化し、そして制御配列を含有する大プラス
ミド断片をアガロス上で精製する。上記のようにして調
製したTNF遺伝子のHind III/Pst I部分及びPst I/BamH
I部分を、3方連結により、これらのベクターのHind II
I及びBamH I部位に連結してそれぞれプラスミドpAW711
及びpAW712を得る。 他の方法として、pE4からの精製されたHind III断片
を、Hind IIIで開されBAPで処理されたpFC54.t又はpPLO
Pに連結してそれぞれpAW731を得る。 D.4.c. 原核性宿主中でのTNFの発現 pAW701及びpAW702をE.コリMM294に形質転換し、そし
てtrpプロモーターを抑制する条件下で培養物を増殖せ
しめる。トリプトファンの涸渇による誘導の後、TNFの
生産が開始された。同様にして、pAW711を造成し、そし
てE.コリMC1000−39531中に形質転換し、そして細胞を
高温により誘導した。誘導条件下で数時間培養した後、
細胞を音波処理し、L−929細胞毒性アッセイにより音
波処理物がTNFを含有することを確認した。結果は次の
通りである。プラスミド U/ml 701 1.3×104 702 1.3×104 711 2×105 INF活性のユニットはB.5.項に定義した通りである。 D.4.d. 真核性宿主中でのTNFの発現 前記D.2.d項のcDNAライブラリーから単離されたベク
ターpB11はTNFコード配列に作用可能に連結されたSV40
プロモーターを含有する。28個の陽性にハイブリダイズ
するコロニーのすべて(特にpE4及びpB11を含む)はこ
の連結を含有すると予想され、そしてそれ由に適当な哺
乳動物宿主中で発現することができる。従って、pB11を
用いてCOS−7モンキー腎細胞を形質転換し、そしてこ
の細胞をSV40のプロモーターの誘導を行う条件下で培養
した。シグナル配列がpB11中になお存在し、そして哺乳
動物細胞系において機能するため、TNFは培地に分泌さ
れた。単層を形成したCOS−7細胞上の上清中のTNFをL
−929細胞からの35Sの放出によりアッセイし、次の結果
を得た。 プラスミド 35Sの放出(cpm) B11 22,763 E9(陰性対照) 2,739 −DNA 2,565 D.5.組換TNFの特徴付け D.5.a. 精製 pAW711により形質転換されたE.コリDG95(MC1000−59
531に類似するラムダ溶源株)を37℃にて標準的増殖培
地中で約0.5のOD600に増殖せしめ、そして次に温度を42
℃に上昇せしめることにより誘導した。2時間後、細胞
を音波処理し、そしてL−929細胞毒性アッセイ(前
記)を用いて音波処理がTNF活性を含有していることを
確認した。次に、音波処理物をDEAEセファロースカラム
(ファルマシア)に適用し、そして緩衝液(10mM Tri
s、pH8.2、1mM NaCl)により洗浄した。10mM Tris(pH
8.2)中0.02M、0.04M、0.1M、及び0.8M NaClによる段階
的滴出によりTNF活性を含有する画分を得た。 TNF活性のほとんどが0.04M NaClにおいて溶出した。
これらの画分を限外濾過により濃縮し、そして次にフェ
ニルTSK−5PWカラム(LKB)を用いるHPLCによりさらに
精製した。TNFは0.1Mリン酸ナトリウム(pH7.0)中1.8M
硫酸アンモニウムの存在下でカラムに結合し、そして0
にまで低下する硫酸アンモニウム濃度によりカラムを展
開した場合約0.4M塩化アンモニウムにおいて溶出した。
TNFを含有する画分を限外濾過により濃縮し、そしてGH7
5サイズ分画カラム(アミコン)に適用して純粋なTNFを
得た。 D.5.b. TNFミューテインの分離 等電点電気泳動は、前項に記載したようにして調製さ
れたTNFが5.8〜6.5の間の異るpI値の幾つかの種から成
ることを示した。すべての主要な種は予想された成熟TN
F(mTNF)であることが示されたが、汚染ミューテイン
形▽4TNFも存在した。等電点電気泳動ゲルの結果はTNF
の多数の変形体が存在することを示した。 調製的規模において▽4TNFからmTNFを分離するため、
D.5.項に記載したEDTAセファロースカラムを高度の分画
を用いて溶出し、主mTNFピークの溶出の前に、約0.03N
NaClにおいて▽4TNFが富化された画分を得た。富化され
た▽4TNF画分を濃縮し、そして前記の条件のもとでHPLC
のためにフェニルTSK−5PWカラムに適用した。富化され
た画分のHPLCは上記のように約0.4硫酸アンモニウムに
おいてmTNF含有ピークをもたらし、そして0.1Mホスフェ
ート(pH7)から脱イオン水への逆グラジエントの場合
に溶出する精製された▽TNFを脱イオン水と共にカラム
に適用した。▽4TNFピーク画分を濃縮し、そして前記の
ようにしてGH75上でさらに精製し、ゲル上での等電点電
気泳動において5.8のpIを有する均一な▽4TNFを得た。 280nmにおける吸収により同定される、前記のGH75精
製段階から得られる▽TNFピークを含む画分の比活性を
試験した。次の結果が得られた。 純蛋白について予想されるピークにわたって一貫して
いる平均比活性は1.3×108U/mgである。これはmTNFのそ
れに比べて約10倍高い。 D.5.c. mTNF及び▽4TNFの確認 2種類のTNFのアミノ酸組成が下記の結果をもって比
較された。 両蛋白質は組成について比較した場合cDNA配列から予
想される組成と合理的に一致するが、しかしながら▽4T
NFは2個のセリン、1個のバリン、及び1個のアルギニ
ン残基を欠いているようであった。N−末端配列からの
これらの残基の除去は自動蛋白質シーケンサー上での▽
4TNFの配列決定により確認され、最初の10個のアミノ酸
の配列が次のように与えられた。 Ser−Arg−Thr−Pro−Ser−Asp−Lys−Pro−Val−Ala この配列と第1図中の推定アミノ酸配列との比較は、
この配列が最初の4個のアミノ端残基Val−Arg−Arg−S
erを欠くがこれに続く位置に一致するN−末端配列を有
することを示している。 D.6.▽4TNFの遺伝子の調製及びE.コリによるその発現 次の配列: 5′−CACTCGGGGTTCGAGACATAAGCTTTGCCTGGGCC−3′ を有する化学合成された精製された15−マーオリゴデオ
キシリボヌクレオチドを用いてプールアウトし、そして
これによってメチオニン開始コドンから下流の4個のN
−末端アミノ酸をコードする12ヌクレオチドを除去し
た。 10pmoleのオリゴヌクレオチドを2.6μgのssクローン
M13−AW701 DNAに、100mM NaCl、20mM Tris−HCl(pH7.
9)、20mM MgCl2及び20mMβ−メルカプトエタノールを
含有する混合物15μ中で、67℃にて5分間及び42℃に
て25分間加熱することによりハイブリダイズせしめた。
アニールされた混合物を氷上で冷却し、そして次に0.5m
MずつのdNTP、17mM Tris−HCl(pH7.9)、17mM MgCl2
83mM NaCl、17mMβ−メルカプトエタノール、及び5ユ
ニットのDNAポリメラーゼIKlenow断片を含有する反応混
合物の25μの最終容量に調製し、37℃にて1時間イン
キュベートした。80℃に加熱することにより反応を停止
し、そして反応混合物を用いてコンピテントDG98細胞を
形質転換し、寒天プレート上にプレートし、そして一夜
インキュベートしてファージプラークを得た。 変異したクローンM13−AW701プラークを含有するプレ
ート、及び非変異クローンM13−AW701ファージプラーク
を含有する2枚のプレートを4℃に冷却し、そして第1
の乾燥したフィルターを寒天プレート上に5分間置き、
そして第2のフィルターを25分間置くことにより各プレ
ートからファージプラークを2枚のニトロセルロースフ
ィルターに移した。次に、これらのフィルターを、0.2M
NaOH、1.5M NaCl及び0.2%トリトンX−100中に浸漬し
た厚いフィルター上に置き、そして0.5M Tris−HCl(pH
7.5)及び1.5M NaClに浸漬したフィルター上に5分間置
くことにより中和した。フィルターを同様にして2×SS
Cに浸漬したフィルター上で2回洗浄し、乾燥し、そし
て次に真空オーブン中で80℃にて2時間加熱した。2枚
のフィルターを42℃にて4時間、フィルター当り10mlの
DNAハイブリダイゼーション緩衝液〔5×SSC(pH7.0)
4×デンハート溶液(ポリビニルピロリドン、フィコー
ル及びウシ血清アルブミン、1×=それぞれ0.02%)、
0.1%SDS、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)及び1
00μg/mlの変性サケ精子DNA〕と前ハイブリダイズせし
めた。フィルターを、フィルター当り1〜5mlのDNAハイ
ブリダイゼーション緩衝液中5×106cpm/mlの32P−ラベ
ル化プライマーに64℃にて8時間ハイブリダイズせしめ
た。 フィルターを、室温にて10分間、0.1%SDS、20mMリン
緩ナトリウム(緩衝剤)及び6×SSC中で1回;37℃にて
20分間、緩衝剤及び2×SSC中で1回;50℃にて20分間、
緩衝剤及び2×SSC中で1回;及び最後に60℃にて20分
間、緩衝剤及び1×SSC中で洗浄した。フィルターを空
気乾燥し、そして−70℃にて4時間オートラジオグラフ
処理した。 陽性クローンからのRF−DNAをHind IIIで処理し、そ
して変異したTNFコード配列を含有する断片をゲル電気
泳動により単離した。回収された配列をHind III開裂さ
れそしてBAP処理されたpAW711に連結してpAM736を得
た。12個のヌクレオチドの除去の存在をHind III及びPv
u IIによる制限分析により確認した。pAW711により生成
される146bpHind III/Pvu II断片に比べてpAW736は134b
p Hind III/Pvu II断片を含有する。pAW736は1985年4
月10日にATCCに寄託され、そしてNo.53092の受託番号を
有する。 pAW736で形質転換されたE.コリDG95を前記にようにし
て増殖せしめて誘導した。音波処理物を前記のようにし
て調製し、そしてアリコートを12.5%SDS−PAGEを用い
て分析した。▽4TNFを正確に前記のようにして音波処理
物から精製し、そして前に調製した▽4TNFと同一である
ことが等電点電気泳動により示された。単離された▽4T
NFをL−929細胞毒性アッセイを用いて試験し、そして
約2×108U/mgの比活性を有することが示された。 D.7. TNFのその他のミューテインの造成及び活性 D.7.a. 造成 D.6項に前記したのと正確に同様の方法により、第1
図に示される配列に比べて最初の3〜11個のアミノ酸残
基を欠くTNF除去ミューテインを調製した。第3図は得
られるベクターの名称、及び除去を生じさせるために使
用した部位特異的変異誘発におい使用したオリゴマーを
示す。この図はまた、▽156−、▽150−、及び▽140−T
NF、並びにdes−ser3des−ser4及びval15ser16ミューテ
インのベクターの名称及びこれらの造成のために使用し
たオリゴマーを示す。 ser65又はser101ミューテイン 同様にして、オリゴヌクレオチド指令変異誘発を用い
て、TNF活性を有するがしかしcys69が他のアミノ酸に変
えられているか又は除去されており、そして/又はcya
101が置き換えられているか又は除去されているミュー
テインをコードする変異TNF遺伝子を得る。cys69からse
r69への例示的な転換のために好ましいオリゴヌクレオ
チドプライマーは、 5′−CATGGGTGCTCGGGCTGCCTT−3′ である。このオリゴヌクレオチドはTNF遺伝子のコドン6
9と対合するトリプレット中にT→Aの変化を有する。
同様にして、101位のコドンと対合するトリプレットに
対応する変化を含むプライマーを用いてcys101をser101
に転換することができる。 D.4.a項に記載したようにしてpE4のPst処理により調
製されたクローン4.1を、D.4.a項に記載したのと実質上
同様であるがしかし次のプライマー: 5′−CATGGGTGCTCGGGCTGCCTT−3′ (これは69位のシステインに隣接する配列に相補的であ
るがしかしTGCからAGCへの変化を行うコドンに相補的な
ヌクレオチドを含有する)を用いる部位特定変異誘発に
かけた。変異したプラークを前記にようにして同定しそ
して配列決定により確認した。目的とする変異を含有す
る1つのプラークMB−AW731をAva I及びPst Iで消化
し、そしてこの断片をPst I/Ava Iで消化したpAW711に
連結した。連結混合物をE.コリMC1000・39531に形質転
換してAmpRにし、そしてプライマープローブを用いて形
質転換体を正しい配列についてスクリーニングした。pA
W731と称する1つのコロニーを変形された配列の発現の
ために用いた。pAW371は1985年1月25日にATCCに寄託さ
れ、そして受託番号No.53007を有する。 同様にして、ser101TNFのための発現ベクターであるp
AW741を調製した。 システイン−69及び/又はシステイン−101が除去さ
れたTNFミューテインをコードするDNA配列を用いてN−
末端又はC−末端が除去されたミューテインを変形して
対応する“ダブル”ミューテイン形を得る。これらのミ
ューテインのための発現ベクターを、これらの変形を含
有するDNAコード領域のスイッチ部分を適切な制限酵素
を用いて断片化して上に調製したベクターに入れること
により造成する。ser69、ser101、及びser69ser101TNF
形をそれぞれプラスミドpAW731、pAW732、又はpAW735か
ら得る。特に、プラスミドpAW731は広範に前記されてお
り、pAW732及びpAW735はser10TNF及びser69ser101TNFを
コードし、そして同様にして製造される。こうして得ら
れた発現ベクターをE.コリに形質転換し、そして細胞を
培養し、そして上記のようにして誘導して目的の蛋白質
を得る。得られるTNFミューテインはmTNFに匹敵して活
性である。 D.7.b. 他のミューテインの発現 pAW731を担持するE.コリMC1000−3951を増殖せしめそ
してD.5.a.項に記載したようにして高温において誘導し
た。誘導された細胞からの音波処理物をアッセイし、そ
してpAW711形質転換体とおよそ同じml当りのTNF活性を
有することが見出された。しかしながら、SDS分析は、
これらの抽出物中の17kDTNF蛋白質の量は約5倍少な
く、ser69TNFの比活性は変化していない蛋白質のそれよ
りも高いことが示された。 後に記載する方法に従って、精製され(95%)た未変
化の蛋白質をDTT及びヨードアセテートで処理すること
により還元しそしてアルキル化した。未処理の蛋白質は
2.6×104U/mlの活性を有していたが、還元された蛋白
質、又は還元されアルキル化された蛋白質は4.4〜4.8×
104U/mlの活性を有していた。 処 理 活 性 No DTT 2.6×104 0.1mM DTT 3.3×104 1 mM DTT 4.8×104 2 mM DTT 3.9×104 10 mM DTT 1.2×104 20 mM DTT 1.7×104 緩衝剤+2.4mM IAA 1.5×104 1mM DTT+2.4mM IAA 4.4×104 pAW711について前記したのと全く類似する方法によ
り、TNFのN−末端除去ミューテインをコードする第3
図に記載するプラスミドをE.コリに形質転換し、そして
形質転換された細胞を培養し、そして誘導して目的蛋白
質の生産を得た。mTNF及び▽4TNFについて前記したのと
同様にして、こうして得られた組換蛋白質を精製しそし
てアッセイした。L−929細胞毒性アッセイにおいて、
これらのミューテインの比活性は▽6−8TNFを最高とす
るベル形曲線を示した。これらのミューテインの比活性
はmTNFのそれよりも5〜10倍高いと算定される。これら
の結果を第4図に示す。 さらに、これらのミューテインは、組換生産の条件下
でmTNFよりも均一な形で生産されるようである。これは
第5図及び第6図に例示されており、これらはそれぞ
れ、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動及び等電点電
気泳動ゲルにかけられた場合のmTNF及び種々のミューテ
インの精製された調製物を示す。各図は、pAW711(mTN
F)、並びにそれぞれ4,6,7,8,9及び10個のN−末端アミ
ノ酸を欠くpAW376、pAW379、pAW737、pAW740、pAW741及
びpAW742の発現生成物についての結果を示す。 第5図において、すべての蛋白質は均一のようであ
り、調製物が単離された蛋白質のサイズに関して純粋で
あることを示している。しかしながら、第6図の結果
は、pAW711(mTNF)発現の生成物がp I値を異にする蛋
白質の混合物であること示し、従って一次配列の側鎖の
変形を示している。pAW736の生成物は変形した側鎖を有
する少量の蛋白質を含有するようであるが、その他のプ
ラスミドの発現生成物はきれいなようである。 D.8 インビボアッセイの結果 組換生産されたmTNF(rTNF)はB.5.b.項に前記したイ
ンビボアッセイにおいて活性であった。第7a図及び第7b
図は、ネズミの線維肉腫及びの増殖及び宿主の生存に対
するrTNFの0.5、1.0及び2.0μgの注射の効果を示す。
これらのアッセイにおいて、TNFの各示された投与レベ
ルは個々の注射当たりの量を示す。注射は腫瘍を移植し
た後9日に開始し、そして1日おきに合計6回の注射の
間継続した。第7a図は、TNF注射の開始を示す0時点か
ら始まる腫瘍の増殖に対するTNFの効果を示す。底線に
そう矢印は投与時を示す。これらの結果は、静脈内投与
された6×0.5μgのrTNFさえ、対照と比較して腫瘍体
積の有意な増加を防止することを示している。第7b図
は、TNF注射の最終日としての0時点(すなわち第7a図
の10日目)から始まる生存率を示す。この結果は生存率
(%)が3投与レベルのすべてにおいて劇的に改良され
ることを示している。 MCF−7腫瘍を移植されたマウスにおいて、腫瘍移植
後7日に静脈内TNF注射を始めた。第1の注射(2μ
g)は毒性であり(10マウス中5マウスが死亡)、そし
て合計5回の追加の間1日おきに行われたその後の注射
は、1μg/マウスで行った。マウスにはさらに、1μg
のエストラジオールを筋肉内に0日、2日、4日、7
日、9日及び11日目に注射した。14日間にわたり、TNF
を注射されたマウスの腫瘍体積は30mm3から50mm3にわず
かに増加したが、対照のそれは30mm3から130mm3に増加
した。 D.9. pPLCPの造成 pPLOPは1984年12月18日にATCCに寄託され、そして受
託番号No.39947を有する。その造成を下に記載する。 D.9.a. 複製開始点 pCS3は高温においてpPLOP宿主ベクターの高コピー数
をもたらす複製開始点を提供する。その造成は1983年10
月14日に出願された米国特許出願No.541,948に広範に記
載されている(これを引用によりこの明細書に組み入れ
る)。pCS3は1982年6月3日に寄託されており、そして
受託番号ATCC No.39142を有する。 pCS3はpEW27及びpOP9に由来する。pEW27はE.M.Wong,P
roc.Natl.Sci.(USA)(1982)79:3570に記載されてい
る。このものはその複製開始点の近傍にコピー数の温度
制御をもたらす変異を含有する。これらの変異の結果と
して、高温において高コピー数の複製が生ずるが、しか
し低温においては低コピー数の複製が生ずる。 pOP9は全温度において高コピー数のプラスミドであ
り、このものはCol ElタイプのプラスミドpOP6〔Gelfan
d,D.等、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1978)75:586
9〕からのEcoR I/Pvu II開始点含有断片をpBR322に挿入
することにより造成された。挿入前に、この断片は次の
ようにして変形された。50μgのpOP6を20ユニットずつ
のBamH I及びSst Iにより完全消化した。Sst I 3′突出
末端を除去しそしてBam5′末端をフィルインするため、
消化されたpOP6DNAをE.コリDNAポリメラーゼI(Kleno
w)により、まず3′Sst I突出末端を除去するために20
℃における、及び次に5′末端を修復するために9℃に
おける2段階反応において処理した。平滑末端断面を消
化しそして0.02pmoleを使用してコンピテントDG75〔O'F
arrell,P.等J.Bacteriology(1978)134:645−654〕を
形質転換した。形質転換体を50μg/mlアンピシリンを含
有するLプレート上で選択し、そして3.3kbの除去、Sst
I部位の喪失、及び新たに形成さたBamH I部位の存在に
ついてスクリーニングした。 pOP7と称する1つの候補を選択し、そして25μgのpO
P7を20ユニットのBamH Iで消化し、E.コリDNAポリメラ
ーゼI断片(Klenow)で修復し、そしてT4DNAリガーゼ
により再連結することによりBamH I部位を除去した。コ
ンピテントDG75を0.1μgのDNAで処理し、そして形質転
換体を50μg/mlのアンピシリンを含有するLプレート上
で選択した。候補をBamH I制限部位の喪失についてスク
リーニングした。pOP8を選択した。pOP9を得るため、pB
R322からのAva I(修復)/EcoR I TetR断片を調製し、
そして単離し、そしてpOP8からの単離されたPvu II(修
復)/EcoR I3560bp断片に連結した。 1.42k bEcoR I/Ava I(修復)TerR(断片A)と3.56k
bEcoR I/Pvo II AmpR(断片B)の連結はEcoR I末端の
分子間連結を促進するため2段階反応において0.5μg
の断片B及び4.5μgの断片Aを用いた。 コンピテントDG75を5μの連結混合物で形質転換
し、そして形質転換体をアンピシリン(50μg/ml)含有
プレート上で選択した。AmpR TetR形質転換体から単離
されたpOP9は、高コピー数、コリシン耐性、EcoR I,Bam
H I,Pvo II及びHind IIIのための1個の制限部位、Hinc
IIのための2個の制限部位、並びに適切なサイズ及びH
ae III消化パターンを示した。 pCS3を得るため、50μgのpEW27 DNAをPvu II及びEco
R Iにより完全消化した。同様に、50μgのpOP9をPvu I
I及びEcoR Iにより完全消化し、そして3.3kb断片を単離
した。 0.36μg(0.327pmole)のpEW27断片及び0.35μg
(0.16pmole)のpOP9断片を連結し、そしてE.コリMM294
を形質転換するのに用いた。AmpR TetR形質転換体を選
択した。好結果のコロニーをまず30℃及び41℃において
β−ラクタマーゼアッセイプレート上でスクリーニング
し、そして次に30℃及び41℃における増殖の後にプラス
ミドDNAレベルについてスクリーニングした。pCS3と称
する好結果の候補を配列決定により確認した。 D.9.b. PLNRBS挿入部の調製 PLファージプロモーター及びN−遺伝子(NRBS)のた
めのリボゾーム結合部位を含有するDNA配列をpFC5か
ら、そして最終的にShimatake及びRosenberg,Nature(1
981)292:128により掲載されたpKC30の誘導体から得
た。pKC30はpBR322からのHind III/BamH Iベクター断片
中にクローン化されたラクダファージからの2.34kb断片
を含有する。PLプロモーター及びNRBSはpKC30中Bgl II
部位間を占めるpKC30はEcoR I部位に転換されたBglII部
位を有する。 PLプロモーターにすぐ先行するBgl IIを次のようにし
てEcoR I部位に転換した。pKC30をBgl IIにより消化
し、Klenow及びdNTPで修復し、そしてT4リガーゼにより
EcoR Iリンカー(ニューイングランド ビオラブスから
入手)に連結し、そしてE.コリK12株MM294ラムダに転
換した。プラスミドをAmpR TetR形質転換体から単離
し、そして所望の配列を制限分析及び配列決定により確
認した。生じたプラスミドpFC3をPvu I及びHpa Iにより
2重消化して約540bpの単離された断片を得、そしてKle
now及びdATPで処理し、次にS1ヌクレアーゼで処理して
3′末端配列−AGGAGAA(−AGGAGA部分はNRBSである)
を有する平滑末端断片を生成せしめた。この断片をEcoR
Iで制限処理して5′−EcoR I(接着末端)及びHinf I
(部分修復、S1平滑)−3′末端を有する347塩基対DNA
断片を得る。 pFC5を完成するため、pβ I−Z15を用いてNRBS
3′にHind III部位を形成した。pβ I−Z15は1984年
1月13日にATCCNo.39578として寄託された。これは、AT
G+lacGに融合したβ−IFNの140bpを含有する配列をpBR
322に融合せしめることによって調製された。pβ I−Z
15においては、pBR322のEcoR I部位が維持されており、
そして挿入部はβ−IFNのATG開始コドンにすぐ先行する
Hind III部位を含有する。pβI−Z15をHind IIIで制
限処理し、Klenow及びdNTPで修復し、そして次にEcor I
により消化した。生じたEcoR I/Hind III(修復)ベク
ター断片を上記のEcoR I/Hinf I(修復)断片に連結
し、そして連結混合物を用いてMC1000−39531を形質転
換した。好結果の造成物を含有する形質転換体を、ラク
トース最少培地上で34℃にて増殖するが30℃にて増殖し
ない能力により同定した。(形質転換体を30℃及び34℃
においてX−gal−Ampプレート上に、並びに30℃及び34
℃において最少ラクトースプレート上にプレートした。
適切な造成物を有する形質転換体は両温度においてX−
gal−Ampプレート上で青色であるが、最少ラクトース培
地上では34℃においてのみ増殖する。)良結果の造成物
をpFC5と称した。 D.9.c. pPLOPの完成 次に、PL及びNRBS制限配列を設けるためにpCS3を変形
した。pCS3をHind IIIで消化し、そして次にEcoR Iで消
化した。ベクター断片をPLNRBSを含有するpFC5からの単
離されたEcoR I/Hind IIIと連結し、そしてE.コリMM294
に形質転換した。単離されたプラスミドDNAの正しい構
成を制限分析及び配列決定により確認し、そしてプラス
ミドをpPLOPと命名した。 D.10. pTRP3の造成 pTRP3は1984年12月18日にATCCに寄託され、そして受
託番号No.39946を有する。この造成は次の通りである。 Hind III部位の後にtrp制御配列を含有する宿主ベク
ターを造成すため、アテヌエーター領域を欠くtrpプロ
モーター/オペレーター/リボゾーム結合部位配列を、
スタンホード大学C.Yanofskyから入手したpVH153から得
た。trp配列は当業界においてよく知られた種々のプラ
スミドから得られる。pVH153をHha I(これは露出され
た3′接着末端を残してtrpプロモーターのちょうど
5′を切断する)により処理し、Klenowにより平滑末端
化し、そしてTag Iにより部分分解した。trpリーダーの
ATG開始コドンに先行する6ヌクレオチドであるTag I部
位における制限に対応する99bp断片を単離し、そして次
にEcoR I(修復)/Cla I消化されたpBR322に連結してpT
RP3を得た。 下記のプラスミドがアメリカン・タイプ・カルチュア
・コレクション,ロックビル,MD,米国(ATCCに寄託され
た。これらの寄託は特許手続上の微生物の寄託の国際的
承認に関するブタペスト条約及びその規則(ブタペスト
条約)の規定のもとになされた。これは、寄託の日から
30年間にわたる生存培養物の維持を保証する。これらの
生物は、ブタペスト条約に基き、そして該当する米国特
許が発効した後に無制限の入手可能性を保証する出願人
とATCCとの合意に従って、ATCCから入手可能にされるで
あろう。寄託された菌株の入手可能性は、いずれかの政
府の権威のもとにその特許法に従って与えられた権利を
侵害して発明を実施する許諾であると解釈してはならな
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 760661 (32)優先日 1985年7月30日 (33)優先権主張国 米国(US) (72)発明者 ラドナー,マサー ビー アメリカ合衆国,カリフオルニア 94804,リツチモンド,バレツト アベ ニユ 2800 (72)発明者 クリーセイ,アブラ エー アメリカ合衆国,カリフオルニア 94611,ピードモント,ランドン コー ト 8 (72)発明者 リン,レオ エス アメリカ合衆国,カリフオルニア 94539,フリーモント,ロス ピノス ストリート 40880 (72)発明者 バー アレスデル,ジヤネル エヌ アメリカ合衆国,カリフオルニア 94804,リツチモンド,サーテイフアー スト ストリート 519 (56)参考文献 特開 昭58−21621(JP,A) 特開 昭60−36420(JP,A) 特開 昭62−91198(JP,A) 特開 昭60−185799(JP,A) 特開 昭60−252496(JP,A) 特開 昭60−232097(JP,A) 特開 昭61−40221(JP,A) Nature,312,P.724−729 (1984) Nature,313,P.803−806 (1985) Science,228,P.149−154 (1985)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.次のアミノ酸配列:(上記アミノ酸配列において、 (1)Xはアミノ酸配列:Ser Arg Thr Proを表わし、X
    01及びX02はそれぞれ独立にCys又はCys以外のアミノ酸
    を表わし;あるいは (2)Xは存在せず、X01及びX02はそれぞれ独立にCys
    又はCys以外のアミノ酸を表わすが少なくとも一方はCys
    以外である。 により表わされる腫瘍壊死因子ミューテイン。 2.次のアミノ酸配列: (上記アミノ酸配列において、 (1)Xはアミノ酸配列:Ser Arg Thr Proを表わし、X
    01及びX02はそれぞれ独立にCys又はCys以外のアミノ酸
    を表わし;あるいは (2)Xは存在せず、X01及びX02はそれぞれ独立にCys
    又はCys以外のアミノ酸を表わすが、少なくとも一方はC
    ys以外である) により表わされる腫瘍壊死因子ミューテインの製造方法
    において、該ミューテインをコードするDNAを含んで成
    るベクターにより形質転換された宿主を培養し、そして
    該培養物から前記ミューテインを採取することを特徴と
    する方法。
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US661026 1984-10-15
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