JP2674818B2 - 耐硫酸粒界腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
耐硫酸粒界腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼Info
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Description
冷却途中あるいは焼鈍中とその冷却中において、生成し
た鋼中不純物リンの粒界偏析が、続く硫酸酸洗工程後に
粒界腐食を発生しないフェライト系ステンレス鋼に関す
るものである。
るいは焼鈍を行ったのち、メカニカル・デスケーリング
と硫酸酸洗を組み合せた脱スケール法が行われている。
酸洗処理されたフェライト系ステンレス鋼は、表面に付
着したスケールや熱延鋼帯の持つ疵が取除かれ、綺麗な
表面に清浄化される。
系ステンレス鋼板をコイル状に巻きとって700℃以上か
ら冷却する途中まで、また熱延コイルをコイルのままで
800℃のボックス焼鈍した場合に、硫酸酸洗で鋼表面の
結晶粒界が特に溶解され、粒界ミクログループと称され
る粒界腐食溝を発生し、続く工程の冷延焼鈍後の最終製
品表面にキラキラ疵(ゴールドダスト)を発生する原因
として、その表面品質を著しく損なう問題があった。
ックス焼鈍時とその冷却過程において、鋼中不純物元素
であるリンの粒界偏析に起因するものであり、特開昭61
−199036号公報では「熱間圧延後あるいは熱間圧延−焼
鈍後の冷却を830℃から400℃まで30分以内で行うこと」
さらに特開昭62−174349号公報では「鋼中でリンと相互
作用の強いZr,Ti,Nb,Mo,Y,La,Ce等の元素少量を添加す
る」などの防止策も明らかにされている。
止した新しい鋼成分組成のフェライト系ステンレス鋼を
提供することを目的に、多くの種類の成分組成の鋼につ
いて検討した結果、鋼中に少量のCa及びMgの1種または
2種を添加させることにより、耐硫酸粒界腐食性に優れ
たフェライト系ステンレス鋼が得られることを知見し
た。
旨はC;0.12(重量)%以下、Si;1.00%以下、Mn;1.00%
以下、P;0.040%以下、S;0.030%以下、Cr;14〜20%、N
i;0.75%以下、Cu;0.005〜0.20%及び、Ca;0.0003〜0.0
050%、Mg;0.0003〜0.0050%の1種または2種を含有し
て、残部が実質的にFeからなることを特徴とする耐硫酸
粒界腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼である。
する。
その冷却過程でP固溶度の低下にともない粒界に濃縮
し、粒界偏析を生成して耐硫酸粒界腐食性を劣化せしめ
る有害元素であり、低いほど望ましいが、製鋼時の経済
性を考えて0.040%以下とする。
溶液中における粒界腐食発生状況を示し、また第2図
に、粒界偏析リン量のオージェ電子分光分析法による分
析結果を示す。
0.91wt%、Mn:0.10〜0.94wt%、S:0.13〜0.029wt%、C
r:14〜20wt%、Ni:0.05〜0.71wt%、Cu:0.02〜0.18wt
%、Fe:残である。
くなり、粒界偏析リン量も著しく低下できる効果を示す
が、0.0003%未満の少ない含有量では、その効果が不安
定であり、また0.0050%を超える過剰な含有量ではステ
ンレスの重要な性質である耐食性を劣化しはじめるので
0.0050%以下とした。
0050%で、1種または2種を複合で添加することができ
る。
造性を考慮して上限を0.12%とした。
を超えて含有させると加工性が劣化して、熱間圧延での
表面疵を多発するようになることから1.00%以下とし
た。
1.00%を超えると靭性劣化の不利を招き、やはり熱間圧
延での表面疵を多発するようになるので、1.00%以下と
する必要がある。
0.030%以下とする。
としての重要な元素であるが、そのためには少なくとも
14%が必要であり、一方、20%を超えると靭性の劣化を
招くので14〜20%の範囲に限定した。
り、耐孔食性ならびに耐隙間腐食性を向上させる作用も
ある。ただし、0.75%を超えて添加することは経済性を
損なうので0.75%以下とした。
元素であるが、0.005%未満では所望の効果が得られ
ず、一方、0.20%を超えると熱間加工性低下の点で好ま
しくないので、0.005〜0.20%の範囲に限定した。
転炉、電気炉などの溶製炉で溶製されたのち造塊・分塊
あるいは連続鋳造を経て、熱間圧延して酸洗処理さらに
は冷間圧延して焼鈍など通常のフェライト系ステンレス
鋼の製造工程と製造条件で、各種の形状に製造される。
て、熱さ3mmに熱間圧延し705〜750℃で巻きとったコイ
ル、あるいは810〜850℃で焼鈍したコイルの90℃の25%
硫酸溶液中90sec浸漬における粒界腐食深さと、粒界偏
析リン量を本発明鋼と比較鋼について測定した結果を第
1表に示す。
に制限するか、Mg含有量0.0003wt%以上に制限し、Ca・
Mgを添加した本発明は粒界腐食性を示さず粒界における
リンの偏析も認められない。
らには光輝焼鈍を行なった最終製品表面で、ゴールドダ
ストを発生しない良好な製品表面が得られた。
中、あるいは焼鈍中ならびにその冷却過程におけるリン
の粒界偏析に起因する硫酸デスケール酸洗時の粒界腐食
の発生を防止して、その後の冷間圧延表面の極めてすぐ
れた最終製品の製造を可能としたものであり、この工業
的意義は極めて大きい。
テンレス鋼の粒界腐食発生のCa含有量とMg含有量との依
存性を示す図表、第2図は、上記成分のステンレス鋼の
オージェ電子分光分析による粒界偏析リン量のCa含有量
とMg含有量との依存性を示す図表である。
Claims (1)
- 【請求項1】C;0.12(重量)%以下、 Si;1.00%以下、 Mn;1.00%以下、 P;0.040%以下、 S;0.030%以下、 Cr;14〜20%、 Ni;0.75%以下、 Cu;0.005〜0.20% 及び、 Ca;0.0003〜0.0050%、 Mg;0.0003〜0.0050%の1種または2種、残部が実質的
にFeからなることを特徴とする耐硫酸粒界腐食性に優れ
たフェライト系ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP785089A JP2674818B2 (ja) | 1989-01-18 | 1989-01-18 | 耐硫酸粒界腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP785089A JP2674818B2 (ja) | 1989-01-18 | 1989-01-18 | 耐硫酸粒界腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02190450A JPH02190450A (ja) | 1990-07-26 |
JP2674818B2 true JP2674818B2 (ja) | 1997-11-12 |
Family
ID=11677100
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP785089A Expired - Lifetime JP2674818B2 (ja) | 1989-01-18 | 1989-01-18 | 耐硫酸粒界腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2674818B2 (ja) |
-
1989
- 1989-01-18 JP JP785089A patent/JP2674818B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02190450A (ja) | 1990-07-26 |
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