JP2668313B2 - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JP2668313B2 JP24934692A JP24934692A JP2668313B2 JP 2668313 B2 JP2668313 B2 JP 2668313B2 JP 24934692 A JP24934692 A JP 24934692A JP 24934692 A JP24934692 A JP 24934692A JP 2668313 B2 JP2668313 B2 JP 2668313B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】磁気テープ等の磁気記録媒体において
は、高密度記録化の要請から、非磁性支持体上に設けら
れる磁性層として、バインダ樹脂を用いた塗布型のもの
ではなく、バインダ樹脂を用いない金属薄膜型のものが
提案されていることは周知の通りである。
【0003】すなわち、無電解メッキといった湿式メッ
キ手段、真空蒸着、スパッタリングあるいはイオンプレ
ーティングといった乾式メッキ手段により磁性層を構成
した磁気記録媒体が提案されている。そして、この種の
磁気記録媒体は磁性体の充填密度が高いことから、高密
度記録に適したものである。ところで、この種の金属薄
膜型の磁気記録媒体における磁性層を構成する磁性材料
としては、例えばCo−Cr合金やCo−Ni合金など
の磁性金属が用いられている。しかしながら、Coは稀
少物質であることからコストの問題が有り、かつ、環境
汚染の問題がある。
【0004】これに対して、Feには前記のような問題
がないことに鑑み、金属薄膜型の磁気記録媒体の磁性材
料としてFeが注目され始めた。すなわち、非Co系金
属磁性材料としてはFeとNiが考えられるものの、飽
和磁化の大きさからはFeが好ましいものであると言わ
れている。ところで、FeはCo以上に錆やすいことか
ら、化学的に安定なものとする必要が有る。このような
観点から、磁性膜をFex Nで構成することが提案(特
開昭60−236113号公報、特開昭63−2372
19号公報)された。そして、このFex Nで磁性膜を
構成した磁気記録媒体は、磁気特性が良好であり、か
つ、耐蝕性に優れ、高密度記録に優れたものであると謳
われている。
【0005】又、この他にもFe−C−N膜なども提案
(特開平2−89213号公報)されているが、いずれ
のものでも充分なものとは言えず、さらなる改善が待た
れている。
【0006】
【発明の開示】本発明の目的は、コストが低廉で、か
つ、CoやCrを用いた場合のような環境汚染の問題を
考慮しなくて済み、さらには耐久性に富む高密度記録可
能な磁気記録媒体を提供することである。この本発明の
目的は、60原子%≦Fe≦85原子%、5原子%≦C
≦35原子%、5原子%≦O≦15原子%の組成割合か
らなるFe−C−O系の磁性膜が構成されてなることを
特徴とする磁気記録媒体によって達成される。
【0007】又、非磁性の支持体上にイオンアシスト斜
め蒸着法により磁性膜を形成して磁気記録媒体を製造す
る方法であって、蒸発源物質として純度が99.95%
以上のFeが用いられての蒸着工程と、炭素イオンを蒸
着Fe膜に衝突させる衝突工程と、酸素イオンを蒸着F
e膜に衝突させる衝突工程とを具備することを特徴とす
る磁気記録媒体の製造方法によって達成される。
【0008】又、非磁性の支持体上にイオンアシスト斜
め蒸着法により磁性膜を形成して磁気記録媒体を製造す
る方法であって、蒸発源物質として純度が99.95%
以上のFeが用いられての蒸着工程と、炭素イオンを蒸
着Fe膜に衝突させる衝突工程と、酸素ガスを蒸着Fe
膜に衝突させる衝突工程とを具備することを特徴とする
磁気記録媒体の製造方法によって達成される。
【0009】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。図1に本発明になる磁気記録媒体の概略断面図を示
す。同図中、1は非磁性の基板であり、この基板1はポ
リエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリカーボネート、
ポリプロピレン等のオレフィン系の樹脂、セルロース系
の樹脂、塩化ビニル系の樹脂といった高分子材料、ガラ
スやセラミック等の無機系材料、アルミニウム合金など
の金属材料が用いられる。
【0010】基板1面上には磁性層の密着性を向上させ
る為のアンダーコート層2が設けられている。すなわ
ち、表面の粗さを適度に粗すことにより乾式メッキによ
り構成される磁性層の密着性を向上させ、さらに磁気記
録媒体表面の表面粗さを適度なものとして走行性を改善
する為、例えばSiO2 等の粒子を含有させた厚さが
0.01〜0.5μmの塗膜を設けることによってアン
ダーコート層2が構成されている。
【0011】アンダーコート層2の上には、イオンアシ
スト斜め蒸着装置によって金属薄膜型の磁性層3が設け
られる。例えば、10-4〜10-6Torr程度の真空雰
囲気下で純度が99.95%以上のFeを抵抗加熱、高
周波加熱、電子ビーム加熱などにより蒸発させ、基板1
のアンダーコート層2面上に堆積(蒸着)させることに
より、磁性層3が0.04〜1μm厚形成される。
【0012】本発明では、磁性層3の構成に際しては炭
素イオン及び酸素イオン(又は酸素ガス)が蒸着Fe膜
に照射されることから、この磁性層3はFe−C−O系
のものからなっており、特に、Fe成分が60原子%〜
85原子%、C成分が5原子%〜35原子%、O成分が
5原子%〜15原子%の組成割合からなるように制御さ
れる。
【0013】ところで、イオンアシスト斜め蒸着装置は
図2に示す如くの構成である。図2中、11はガイド部
材、12はPETフィルム10の供給側ロール、13は
PETフィルム10の巻取側ロール、14は遮蔽板、1
5はルツボ、16は純度が99.95%以上のFe、1
7は電子銃、18は真空容器、19はイオン銃であり、
このイオン銃19にメタン、エタン、プロパン、……、
エチレン、……、アセチレン、……等の炭化水素ガス及
び酸素ガスが供給されると、炭素イオン及び酸素イオン
が放出され、これらのイオンがPETフィルム10上に
蒸着したFe膜に衝突し、FeがFe−C−O系のもの
に変換する。
【0014】ここで、磁性膜がFe−C−O系の組成、
特に、Fe成分が60原子%〜85原子%、C成分が5
原子%〜35原子%、O成分が5原子%〜15原子%の
組成割合からなるFe−C−O系金属膜で構成されてい
ると、保磁力Hcが1100Oe以上も有り、かつ、飽
和磁束密度Bsが4000G以上も有り、しかも耐蝕性
にも優れており、さらには硬度も高く、磁性層に対する
保護膜を格別に設けなくても済むようになり、Co−C
r合金やCo−Ni合金などの磁性金属に代わる高密度
記録が可能な磁気記録媒体となる。
【0015】Fe成分が60原子%〜85原子%、C成
分が5原子%〜35原子%、O成分が5原子%〜15原
子%の組成割合からなるFe−C−O系金属膜を構成す
る為には、基本的には、純度が99.95%以上のFe
を蒸発源物質として用い、そして炭化水素からの炭素イ
オン及び酸素からの酸素イオン(又は酸素ガス)を蒸着
Fe膜に衝突させれば達成できるが、蒸発したFeがフ
ィルム上に付着すると同時にイオン化された炭素イオン
や酸素イオン(活性酸素)を付着したFeに衝突させ、
炭化・酸化反応させることが重要である。そして、この
際、図2におけるガイド部材11をフィルム10が熱変
形を起こさない程度の温度下において出来るだけ高い温
度に加熱しておくと、反応性が高まり、好ましい結果が
得られる。
【0016】4は磁性層3の上に設けられた潤滑剤層で
ある。すなわち、潤滑剤を含有させた塗料を所定の手段
で塗布することにより、約5〜50Å、好ましくは約1
0〜30Å程度の厚さの潤滑剤層4が設けられる。5
は、基板1の他面に設けられたカーボンブラック等を含
有させたバックコート層である。
【0017】以下、具体的な実施例を挙げて説明する。
【0018】
【実施例】
〔実施例1〜3〕図2に示される如くのイオンアシスト
斜め蒸着装置に厚さ10μmのPETフィルム10を装
着し、PETフィルム10が2m/分の走行速度で走行
させられている。
【0019】そして、酸化マグネシウム製のルツボ15
に純度が99.95%以上のFe16を入れ、例えば出
力30kWの電子銃17を作動させてFeを蒸発させ、
PETフィルム10にFe粒子を蒸着させると共に、炭
素イオン源としてCH4 ガスを、かつ、酸素イオン源と
して酸素ガスを用いた混合ガスを出力400Wのイオン
銃19に供給(CH4 ガス供給速度は3cm3 /分、酸
素ガス供給速度は1cm3 /分)し、PETフィルム1
0に向けて照射する。
【0020】そして、イオンアシスト斜め蒸着により磁
性膜を1000Å厚形成し、磁気テープを作製した。
又、CH4 ガス及び酸素ガスの供給速度を変えて同様に
行い、磁性膜厚が1000Å厚の磁気テープを作製し
た。 〔比較例1〜3〕上記の実施例において、純度が99.
9%のFeを用いて同様に行った。
【0021】〔特性〕上記各例で得られた磁気記録媒体
の磁気特性及び耐蝕性について調べたので、その結果を
下記の表1に示す。 表 1 組成(原子%) 保磁力 飽和磁束密度 ΔBs Fe C O (Oe) (G) (%) 実施例1 80 10 10 1150 4500 4 実施例2 60 35 5 1100 4000 3 実施例3 80 5 15 1200 4300 3 比較例1 55 35 15 770 2900 12 比較例2 55 40 5 740 3600 11 比較例3 60 20 20 800 3500 11 ΔBs:5%NaCl水溶液中に1週間浸けておき、飽
和磁束密度の変化率を求め、これによって耐蝕性を判定
する。
【0022】
【効果】低廉なFeを用いたことから、コスト面で好ま
しく、かつ、CoやCrを用いた場合のような環境汚染
の問題を考慮しなくて済み、そして耐蝕性に富んだ高密
度記録可能な磁気記録媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気記録媒体の概略断面図である。
【図2】磁気記録媒体製造装置の概略図である。
【符号の説明】
1 非磁性の基板 2 アンダーコート層 3 磁性層 10 PETフィルム 14 遮蔽板 15 ルツボ 16 純度が99.95%以上のFe 17 電子銃 19 イオン銃

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 60原子%≦Fe≦85原子%、5原子
    %≦C≦35原子%、5原子%≦O≦15原子%の組成
    割合からなるFe−C−O系の磁性膜が構成されてなる
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性の支持体上にイオンアシスト斜め
    蒸着法により磁性膜を形成して磁気記録媒体を製造する
    方法であって、蒸発源物質として純度が99.95%以
    上のFeが用いられての蒸着工程と、炭素イオンを蒸着
    Fe膜に衝突させる衝突工程と、酸素イオンを蒸着Fe
    膜に衝突させる衝突工程とを具備することを特徴とする
    磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 非磁性の支持体上にイオンアシスト斜め
    蒸着法により磁性膜を形成して磁気記録媒体を製造する
    方法であって、蒸発源物質として純度が99.95%以
    上のFeが用いられての蒸着工程と、炭素イオンを蒸着
    Fe膜に衝突させる衝突工程と、酸素ガスを蒸着Fe膜
    に衝突させる衝突工程とを具備することを特徴とする磁
    気記録媒体の製造方法。
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