JP2666577B2 - 重合体ラテックス中の未反応単量体の除去方法 - Google Patents

重合体ラテックス中の未反応単量体の除去方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は重合体ラテックス中の未
反応単量体の除去方法に関し、更に詳しくは除去を二段
階で行なうことにより、凝固物の発生がなく、かつ生産
性、経済性に優れた重合体ラテックス中の未反応単量体
の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】重合体ラテックス中に未反応単量体が残
存すると、不快な臭気が製品に付着したりそれを使用し
て製造した製品の品質に悪影響を及ぼすといった問題が
生じるため、重合後にこれらの未反応単量体を除去する
ことが一般に行なわれている。そのための方法として
は、(1)減圧下で除去を行なう方法、(2)特開昭5
5−41829に記載されているような水蒸気蒸留を行
なう方法、(3)特開平2−199103に記載されて
いるような不活性ガスをバブリングする方法が知られて
いる。しかし、(1)の方法では未反応単量体を低濃度
にするのに時間がかかり生産性が悪い、(2)の方法で
は熱による重合体の変質や凝固物発生が起きる、(3)
の方法では消泡剤を必要とするため適用できるラテック
スが限定されるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、消泡
剤使用が不要であり、また凝固物を発生させることのな
い、重合体ラテックス中の未反応単量体の効率的な除去
方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討を重ねた結果、未反応単量体の除去
を二段階に分けて特定の条件下で行なえば、凝固物の発
生を抑えながら効率よく行えることを見出し、この知見
に基いて本発明を完成するに至った。
【0005】 かくして本発明によれば、重合体ラテッ
クス中の未反応単量体を除去するに当り、 (1)ラテックス温度を35〜75℃に保ち、減圧度3
00〜600mmHgで未反応単量体除去操作をした
のち、 (2)ラテックス温度を10℃〜70℃に保ち、常圧〜
減圧度100mmAqでラテックスの低速攪拌を行いな
がら未反応単量体除去操作をする、ことを特徴とする
未反応単量体の除去方法が提供される。
【0006】本発明の方法は、各種合成重合体ラテック
スに適用できるが、合成ゴムラテックス、特にポリブタ
ジエンラテックス、スチレン・ブタジエン共重合体ラテ
ックス、カルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合体
ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ラ
テックス、カルボキシ変性アクリロニトリル・ブタジエ
ン共重合体ラテックス、メタクリル酸メチル・ブタジエ
ン共重合体ラテックス、カルボキシ変性メタクリル酸メ
チル・ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン・メタ
クリル酸メチル・ブタジエン共重合体ラテックス、カル
ボキシ変性スチレン・メタクリル酸メチル・ブタジエン
共重合体ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン・
スチレン共重合体ラテックス、カルボキシ変性アクリロ
ニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体ラテックス等
のブタジエン系合成ゴムラテックスに好適である。
【0007】一般に乳化重合で製造される合成重合体ラ
テックスは、重合終了時にラテックス重量の数%に当た
る未反応単量体を含んでいる。未反応単量体の存在する
場所として、水相中、ラテックス粒子表面、ラテックス
粒子内部が考えられる。水相中、ラテックス粒子表面の
未反応単量体は、簡単に除去できるが、ラテックス粒子
内部に存在する単量体の除去は、そのラテックス粒子表
面への移動が律速となり長時間を要する。
【0008】本発明の方法は、このラテックス粒子内部
の未反応単量体を効率よく除去することを目的としてな
されたものである。
【0009】本発明の方法においては、重合体ラテック
ス中の未反応単量体を除去するに当り、二段階の除去操
作を行なう。
【0010】第一段階の除去操作では、ラテックス温度
を35〜75℃に保ち、減圧度300〜600mmHg
で未反応単量体を除去して、未反応単量体濃度をラテッ
クス重量当り0.5%以下にする。ここで、減圧度と
は、常圧に比しての減圧の程度をいう。即ち、減圧度3
00mmHgとは、いわゆるゲージ圧で−300mmH
gである。本発明において、ラテックスの濃度は特に限
定されないが、通常、30〜60%の範囲である。ラテ
ックスの温度が高いほど、未反応単量体の除去効率はよ
いが、過度に高いときは、凝固物が発生したり、ラテッ
クス表面にポリマー皮膜が形成したりする。他方、ラテ
ックス温度が低いときは、除去に長時間を要する。この
ため、ラテックス温度としては、35〜75℃、好まし
くは40〜70℃の範囲を採用する。また、減圧度も高
い方が未反応単量体の除去効率はよいが、発泡の制御等
の問題から、減圧度300〜600mmHg、好ましく
は400〜600mmHgの範囲で行なうのがよい。こ
の第一段の除去操作により、ラテックス中の未反応単量
体を、通常、ラテックス重量の0.5%以下、好ましく
は0.4%以下とする。この第一段除去操作後の未反応
単量体濃度は、0.5%を超えていてもよいが、第二段
階の単量体除去操作に時間がかかり、効率的ではない。
【0011】第一段除去操作で得られた未反応単量体濃
度0.5重量%以下のラテックスについて第二段階の単
量体除去操作を行なう。第二段階の除去操作では、ラテ
ックス温度を10〜70℃に保ち、常圧〜減圧度100
mmAqでラテックスの低速撹拌を行ないながら未反応
単量体を除去する。第二段階の除去操作においても、ラ
テックスの温度が高いほど、未反応単量体の除去効率は
よいが、過度に高いときは、凝固物が発生したり、ラテ
ックス表面にポリマー皮膜が形成したりする。他方、ラ
テックス温度が低いときは、除去に長時間を要する。こ
のため、ラテックス温度としては、10〜70℃、好ま
しくは30〜50℃の範囲を採用する。また、減圧度も
高い方が未反応単量体の除去効率はよいが、発泡の制御
等の問題から、常圧〜減圧度100mmAqの圧力下、
好ましくは常圧〜減圧度75mmAqの範囲で行なう。
第二段階の単量体除去操作においては、ラテックスの低
速攪拌を行なうことが必要である。本発明でいう低速撹
拌とは、ラテックス表面が緩やかに更新される程度の攪
拌速度であればよく、撹拌翼の大きさ及び形状によって
も異なるが、通常、20〜60rpmでの攪拌である。
20rpm未満では、除去に長時間を要して効率的でな
く、60rpmを超えるときは、凝固物が発生するので
好ましくない。
【0012】本発明の方法においては、ラテックスの発
泡を抑制するための消泡剤やラテックスの安定性を向上
させるための界面活性剤を添加することは、必要ではな
いが、添加することは差し支えない。
【0013】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。なお、本実施例中の%は、特に断りのないか
ぎり、重量基準である。
【0014】本実施例において、未反応単量体濃度及び
凝固物量の測定は、以下に示す方法で行なった。 (残留未反応単量体濃度)アンプルにイソオクタン25
ミリリットルを入れて封をし、次いでラテックス約1ミ
リリットルを精秤して注射器で注入した後、振とう器で
5分間振とうしてラテックス中の未反応単量体をイソオ
クタンで抽出する。イソオクタン層をマイクロシリンジ
で採取し、ガスクロマトグラフで未反応単量体量を測定
する。未反応単量体除去操作中に固形分濃度が変化する
ので、未反応単量体濃度は、ラテックス濃度を第一段除
去操作開始時のラテックス濃度に換算したときのラテッ
クス重量に対しての百分率で表す。 (凝固物量1)ラテックス100gを100メッシュ金
網で濾過した後、乾燥して100メッシュ金網上の凝固
物量1を求める。凝固物量1はラテックス固形分重量に
対する重量%で示す。 (凝固物量2)100メッシュ金網で濾過したラテック
ス100gを400メッシュ金網で濾過した後、乾燥し
て400メッシュ金網上の凝固物量2を求める。凝固物
量2はラテックス固形分重量に対する重量%で示す。
【0015】実施例1 乳化重合法で得たポリブタジエンラテックス(固形分5
5%、平均粒子径0.3μm)の8リットルを100メ
ッシュの金網で濾過して、内容積10リットルの容器に
投入した。このラテックス中の未反応ブタジエン濃度は
1.2%であった。次に、ラテックス温度を40℃と
し、減圧度550mmHgで2時間かけて未反応ブタジ
エンを除去した。このときの未反応ブタジエン濃度は
0.35%であった。次に、得られたラテックスを別の
容器に移し、ラテックス温度40℃、減圧度50mmA
qの条件下で、回転数40rpmで攪拌しながら、未反
応ブタジエンの除去操作を8時間にわたって行なった
(これらの条件を表1に示す)。この間、2時間毎にラ
テックス中の未反応ブタジエン濃度を測定した。結果を
表2に示す。また、第一段階の除去操作開始時から2時
間毎に、ラテックス中の凝固物量を測定した。結果を表
3に示す。
【0016】実施例2 第一段階の操作条件を表1のように変えるほかは実施例
1と同様の除去操作を行なった。結果を表2及び表3に
示す。
【0017】実施例3 第二段階の操作条件を表1のように変えるほかは実施例
1と同様の除去操作を行なった。結果を表2及び表3に
示す。
【0018】実施例4 第二段階の操作条件を表1のように変えるほかは実施例
1と同様の除去操作を行なった。結果を表2及び表3に
示す。
【0019】実施例5 ラテックスをスチレン/ブタジエン共重合体ラテックス
(スチレン/ブタジエン共重合比=25/75、固形分
濃度50%)に変えるほかは実施例1と同様の除去操作
を行なった。結果を表2及び表3に示す。
【0020】実施例6 ラテックスをアクリロニトリル/ブタジエン共重合体ラ
テックス(アクリロニトリル/ブタジエン共重合比=2
5/75、固形分濃度50%)に変えるほかは実施例1
と同様の除去操作を行なった。結果を表2及び表3に示
す。
【0021】比較例1〜2 第一段階の操作条件を表1のように変えるほかは実施例
1と同様の除去操作を行なった。結果を表2及び表3に
示す。
【0022】比較例3〜4 第二段階の操作条件を表1のように変えるほかは実施例
1と同様の除去操作を行なった。結果を表2及び表3に
示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】表2及び表3の結果から、本発明の方法に
よれば、凝固物を発生させることなく、未反応単量体を
効率よく除去できるのに対して、ラテックス温度が低い
ときは未反応単量体が多量に残存し、逆に高いときは発
生する凝固物が多くなることが分かる。また、第二段階
の未反応単量体除去操作において、攪拌回転数が高すぎ
るときは凝固物が多量に発生することが分かる。
【0027】
【発明の効果】かくして、本発明によれば、凝固物の発
生が少なく、効率よく未反応単量体を除去する方法が提
供される。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合体ラテックス中の未反応単量体を除
    去するに当り、 (1)ラテックス温度を35〜75℃に保ち、減圧度3
    00〜600mmHgで未反応単量体除去操作をした
    のち、 (2)ラテックス温度を10℃〜70℃に保ち、常圧〜
    減圧度100mmAqでラテックスの低速攪拌を行いな
    がら未反応単量体除去操作をする、ことを特徴とする
    未反応単量体の除去方法。
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