JP2666212B2 - 抗体およびそれを有効成分とする齲蝕予防剤の製造方法 - Google Patents

抗体およびそれを有効成分とする齲蝕予防剤の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 口腔内に適用し、プーラクの形成を抑制して齲蝕を予
防する事ができる抗体及びそれを有効成分とする齲蝕予
防剤の製造方法に関する。
(従来技術) 歯科における2大疾患である齲蝕と歯周病の大きな誘
因にプラーク(歯垢)の沈着が挙げられる。即ち、歯面
に沈着したプラーク内部に酸が蓄えられ、その酸によっ
て歯の構成成分であるエナメル質が脱灰され、齲蝕を引
き起こす。
そのプラークの大部分は細菌によって占められてい
る。その内、齲蝕を誘発するものとして、Streptococcu
s mutansやActinomyces viscosus等が挙げられる。特
に、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcu
s mutans;以下S.mutansと略す。)が歯面に吸着し、シ
ョ糖から多糖を合成することによってプラーク形成され
る。具体的には、S.mutansがグルコシルトランスフェレ
ース(G Tase)を産生し、これによりショ糖からデキ
ストラン、ムタン等の粘着性多糖を合成する。そして、
その合成された多糖は、S.mutansをはじめとする他の口
腔内細菌を巻き込み、プラークを形成する。又、S.muta
ns等の歯により、種々の糖から酸が産生され、その酸が
プラーク内で滞留され、エナメル質を脱灰する。
以上のように齲蝕の発生には、S.mutansの歯面への付
着という第1ステージと不溶性グルカンの合成という第
2のステージが重要なステップとなっている。
従って、S.mutansの歯面への付着の抑制又は、不溶性
グルカン合成の抑制を行うことでより効果の高い齲蝕予
防が期待される。
(発明が解決しようとする課題) 従来、プラーク形成を抑制する方法として、抗菌剤,G
Tase阻害剤,プラーク分解酵素,代用糖等種々の物質
が検討されている。
そのような中で、特定の物質に対して特異的に反応す
る抗体が注目されており、抗体を用いた齲蝕予防剤の研
究が行われている。例えば、S.mutans全菌体を牛に免疫
することによって、得られる母乳を使用する方法が知ら
れている(英国特許第1505513号明細書)。
又、S.mutans及びその菌に由来する各種の抗原をヤギ
・ウサギ・ラット等の哺乳動物に免疫して約1カ月後ぐ
らいから血清を採取して、S.mutansと特異的に反応する
抗体を調製し、その抗体を使用する方法が提案されてい
る(特開昭60−38327号公報)。
しかしながら、母乳については、牛の管理・手間・費
用又、血液については、血液の採取・血液からの抗体の
調製・動物の管理等に手間・時間・費用等がかかり、い
まだ実用化されていない。
このような問題点について、本発明者らは、鋭意努力
の研究を行った結果、後述の理化学的特性を有するS.mu
tansの菌体表層蛋白抗原を鶏に免疫し、その鶏が産生し
た卵より抗体を製造すれば、前記の問題点がことごとく
解決され、更に優れたプラーク形成抑制効果を有するこ
とを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
特に、鶏を用いた抗体の製造においては、必ずしも免
疫した抗原に特異的に反応する抗体が十分量得られると
は限らない。例えば、ウイルス抗原を免疫した場合、十
分なる抗原価が得られなかった。
尚、鶏に免疫する際には、抗原・免疫方法等を十分に
吟味し、抗体価の高いものが得られるように検討しなけ
ればならない。
従って、S.mutans菌体表層蛋白抗原を免疫して、十分
に高い抗体価を有する抗体が得られるという知見は、全
く予想されないものであり、本発明者らによって初めて
得られたものである。
本発明の目的は、S.mutansに対する免疫活性を示し、
S.mutansの歯面への付着に対する十分な阻害効果を有
し、量産生にも優れ、生産コストが低く、安全性にも優
れ、齲蝕予防剤の有効成分として有用な抗体及び該抗体
を含む齲蝕予防剤の製造方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 即ち、本発明は齲蝕誘発の病原菌としての血清型が
c、eまたはfであるストレプトコッカス・ミュータン
スの菌体表層蛋白抗原を免疫した鶏が産生する卵より製
造される免疫グロブリンの製造方法であって、前記スト
レプトコッカス・ミュータンスに対して免疫活性を有す
る抗体及びそれを有効成分として含む齲蝕予防剤の製造
方法に関する。
本発明のS.mutansに対する免疫活性を有する抗体は、
下記理化学的特性を有する血清型がc、eまたはfであ
るS.mutans菌体表層蛋白抗原SAを免疫した鶏が産生する
卵より製造された免疫グロブリンとして得ることができ
る。
SDS−電気泳動によって測定された分子量が175,000
から195,000ダルトンの範囲。
リポタイコ酸,多糖抗原,グルコシルトランスフェ
ラーゼ,フルクトシルトランスフェラーゼ等と区別され
るたんぱく質。
本発明に係る抗体(以前抗SA抗体と称する)を得るた
めに用いるS.mutans菌体表層蛋白抗原SAとしては、上記
特性を有する表層蛋白質であればどのように調製したも
のでも利用できる。例えば、Russell,M.W.らの方法〔Ru
ssell,M.W.,et al;Infection and Immunity,29,999
−1006(1980)〕に準じて調製することができる。
即ち、血清型がc、e又はf型であるS.mutansを適当
な培地で培養し、その培養上清あるいは、得られた菌体
から調製される。
ここで用いるc型菌としては、S.mutans Ingbritt
株,MT8148株,10449株等の公知で、容易に入手可能な菌
を用いることができ、例えば、S.mutans MT8148株,Ing
britt株は大阪大学歯学部から、10449株はナショナル
コレクション オブ タイプ カルチャーズ〔National
Collection of Type Cultures(NCTC)〕から入手
できる。又、e型菌やf型菌についても公知の菌株を同
様に入手して用いればよい。
又、培地としては、少なくともグルコースを含む培地
が利用できる。
又、培養温度は、菌体増殖が得られ、且つ菌体表層蛋
白抗原SAの生産に適した範囲内であれば良いが、良好な
菌体増殖と菌体表層蛋白抗原SAの生産という点からは、
通常37℃程度とするとよい。
又、培養時間は、培養温度,培地の種類等の培養条件
によって異なるが、菌体表層蛋白抗原SAの最適収量に達
する時期を選択して決定すれば良く、18〜64時間程度と
すればよい。
又、その他の培養条件についても、上記の観点から適
宜選択すれば良い。
S.mutans菌体表層蛋白抗原SAは、前述のようにRussel
l,M.W.らの方法〔Russell,M.W.,et al;Infection and
Immunity,29,999−1006(1980)〕に準じて調製す
る。
抗体を得るための抗原として、以上の操作で得られた
菌体培養上清もしくは菌体からの抽出物からの粗製標品
SA又は、精製標品等して得られたSA等を用いることがで
きる。
次に、本発明の抗SA抗体の製造方法について詳述す
る。
本発明に係る抗SA抗体は、上述のSAで免疫された鶏の
卵から製造することができる。
免疫される鶏としては、特に制限はないが、抗体の量
産性という点からは、白色レグホーン等の卵用種を用い
ると良い。
又、SAによる免疫方法としては、皮下注射、筋肉注
射、腹腔内投与等による通常の方法や、点鼻,点眼等の
方法によって行うことができる。更に、SAの投与量は、
所望の抗体価が得られ、且つ鶏に対して悪影響を与えな
い量を適宜選択すれば良い。
通常、初回免疫から数週間で投与抗原に対して特異的
に反応する抗体が鶏卵(卵黄)中に得られる。
尚、必要に応じて例えばFCA(フロイント完全アジュ
バント),FIA(フロイント不完全アジュバント)等のア
ジュバントをSAと共に併用しても良い。
免疫から1カ月以上経過した鶏から採取した卵から本
発明に係る抗SA抗体を製造することができる。
尚、卵黄中の抗体価は、酵素免疫吸着法(ELISA),
ラジオイムノアッセイ等を用いて測定することができ、
免疫後に2週程度の間隔で抗体価を測定することにより
抗体価の推移を追跡することができる。
後述の実施例においては、ELISAでの測定により抗体
価の推移を追跡し、抗体価が十分に上昇した段階の卵を
採取して、本発明の抗SA抗体を製造した。
又、通常、約3カ月間にわたって高抗体価を得ること
ができる。
尚、免疫後、抗体価の減少が見られた場合、適当な間
隔で適宜追加免疫することにより抗体価を高くすること
ができる。
本発明により製造した抗SA抗体は、例えば上記のよう
にして免疫した鶏の卵黄に含まれる免疫グロブリンを抽
出・分離することによって得ることができる。
この抽出・分離方法としては、例えば、デキストラン
硫酸やポリエチレングリコールを用いた沈澱法や、プロ
パノールやクロロホルムを用いた抽出法等通常用いられ
ている免疫グロブリンを抽出・分解できる種々の方法等
が利用できる。
以上のように本発明によって得られた抗SA抗体は、S.
mutansの菌体に結合して存在するS.mutans菌体表層蛋白
抗原SAに対して特異的に抗体として反応する。即ち、S.
mutansに対して免疫活性を有する。
S.mutansに対して免疫活性を有する本発明によって得
られる抗SA抗体は、S.mutansの歯面への付着を阻害する
ことによって、S.mutansの口腔内での活動を抑制し、齲
蝕を予防することができる。
以上記載のごとく本発明は、通常の哺乳動物から調製
される製法に比べて、容易に、且つ大量に調製でき、し
かも卵黄から抗体を製造するという簡単な操作により免
疫グロブリンのうちIgG画分だけを特異的に分離精製す
ることができ、齲蝕予防剤の有効成分として有用なる抗
体の製造方法を提供するものである。
これらの種々の抗体含有画分は、通常の齲蝕予防剤に
配合し、本発明に係る齲蝕予防剤を製造することができ
る。
即ち、本発明に係る齲蝕予防剤は練り歯磨き・粉歯磨
き・液状歯磨き等の歯磨き類、マウスウォッシュ,口腔
用パスタ,歯肉マッサージクリーム,うがい用錠剤,ト
ローチ,チューインガム,缶飲料等口腔内商材だけでは
なく、その目的においては種々の食品にも適用されるも
のである。
本発明によって得られる抗体の齲蝕予防剤への配合量
は、その投与形態に応じた投与量に従って適宜選択すれ
ば良く、例えば、103以上の抗体価を有する抗体を0.001
〜10重量%程度とすることができる。
尚、本発明に係る齲蝕予防剤の他の成分としては、使
用目的、使用形態等に応じた適当な成分が用いられる。
例えば練り歯磨きの場合では、炭酸カルシウム,燐酸水
素カルシウム,ピロリン酸カルシウム,不溶性メタリン
酸ソーダ,水化アルミナ,無水ケイ酸等の研磨剤、グリ
セリン,ソルビット,プロピレングリコール等の保湿
剤、ラウリル硫酸ナトリウム,ラウロイルサルコシンナ
トリウム,石鹸末等の発泡剤,カルボキシメチルセルロ
ースナトリウム,カラギーナン等のバインダー、さらに
適当なる香料成分,甘味料,保存剤等の成分を水と混合
し、常法に従って製造する。又、マウスウォッシュ等の
口腔洗浄剤その他においても、製品の性状に応じた成分
が適宜配合される。
尚、本発明においては、歯牙着色除去剤、口臭予防
剤、フッ素等の虫歯予防剤,抗酵素予防剤等の種々の薬
効成分を配合することも可能である。
よって、本発明に係る齲蝕予防剤は、前記免疫卵より
調製した卵黄抗体を用いることにより、ストレプトコッ
カス・ミュータンスによるプラークの形成を効果的に抑
制し、齲蝕の発生を良好する防止する。しかも、全菊卵
黄抗体は安全性が高いため、本発明に係る齲蝕予防剤は
使用上の安全性が高いものである。
(実施例) 以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。尚、
以下における%表示は、特に、指定されていない場合に
は、重量/容量%を示す。
実施例1(抗体の製造方法) (a)抗原の調製 S.mutans Ingbritt株(血清型c,大阪大学歯学部から
入手)を12gの半合成培地〔Bowden,G.H.,et al;J.Den
t.Res.(special Issue A)55,A60−64(1976)〕で
37℃,72時間培養した。培養液を連続遠心により菌体と
培養上清とに分離した。分離した培養上清に対して75%
飽和の硫安沈澱処理(4℃,一晩)を行い、得られた沈
澱物を遠心分離法により回収した。次に、この沈澱物を
8M尿素を含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解し
た溶液を蒸留水に対して透析し、更に、該溶液中を沈澱
物と上清液に分離した。その沈澱物を8M尿素を含む10mM
トリス塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解し、不溶物を遠心分
離により除去したのち、その上清液をDEAE−セルロース
(DEAE−cellulose,ワットマン製)の5.0×30cmのカラ
ムにかけた。
カラムに吸着した画分は、0.15M Nacl,8M尿素を含む
10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)によって選択的に溶出
させた。
溶出液は、適当な量にて分画し、各画分を7.5%のポ
リアクリルアミドゲルを用いたSDS−ポリアクリルアミ
ド電気泳動(以後SDS−PAGEと略す)に供与した。その
結果、185,000ダルトンの分子量をメインに含んでいる
画分を集めて10mMリン酸緩衝液(pH7.4)に対して透析
し、更に、該溶液中に生じた沈澱を遠心分離法により除
去して上清液を得た。この上清液を粗精製標品(免疫抗
原)とした。
更に、該標品をSDS−PAGEにかけ、クマシ・ブリリア
ント・ブルー(CBB)での染色を行ったところ、185kダ
ントンの位置のバンドをメインとする数本のバンドが検
出された。
上記のSDS−PAGEの結果から算出された該標品中のSA
含有率は40重量%であった。
(b)抗原の鶏への免疫 (a)で得た粗精製免疫抗原標品0.5ml(CBB−G法で
測定した場合の0.5mgたんぱく質量を含む)とFAC(フロ
イント完全アジュバント)0.5mlを1:1混合してW/O型の
エマルジョンとした。
得られたエマルジョンを鶏の胸筋に0.5mlずつ注射
し、初回免疫を行った後、下記の方法に従って、採取し
た卵から得たWSF(後述)の抗体価を測定した、その推
移を観察した。
次に、第1図に示すように初回免疫後8週後に卵黄中
の抗体価を下がり始めたのを確認して、前回と同様にし
て2次免疫を行った。
2次免疫終了後、約1カ月経過した後から鶏が産生す
る卵を集卵した。
(c)抗体の製造 卵から分離した卵黄13mlとこれと同量のPBS(リン酸
緩衝液,pH7.4)を混合し、得られた混合液に更に混合液
と同量(26ml)のクロロホルムを加えて、これをよく撹
拌した。
撹拌終了後、混合液を室温下で30分間放置した後、こ
れを3,000rpm、20分間の遠心分離にかけ、最上層の透明
画分を回収し、抗体含有画分(Water Soluble Fracti
on:WSF)とした。
この画分は、1.7×104の抗体価を有していた。
尚、該1.7×104の抗体価を示すWSF(13ml;13mlの卵黄
から調製)たんぱく質含有濃度をビューレット法により
測定し、該WSF中の全たんぱく質量を求めたところ約26m
gという値を得た(約2.0mg/ml×13ml)。
(d)抗体価の測定方法; 抗体価の測定は、ELISAによって行った。
まず、実施例2で得た精製免疫抗原標品を310mg/mlと
なるように50mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)に溶解
させて得られた溶液を、96穴プレート〔イムロン(Immu
lon)2,ダイナテック社製〕の各ウェルに100μlずつ入
れ、4℃で一晩放置し、該画分に含まれる精製抗原をプ
レートに吸着させた。
次にプレートを3%BSA(牛血清アルブミン)を含むP
BS(pH7.4)と37℃で1時間接触させて、ブロッキング
を行った後、PHB−Tでプレートを5回洗浄した。
ここで、先に得たWSFのPBS−Tによる2段階稀釈液の
100μlを各ウェルに加え、37℃で1時間反応させた。
反応終了後、プレートをPBS−Tで5回洗浄し、更
に、プレートに2次抗体としてのベルオキシダーゼ結合
抗ニワトリIgG抗体(たんぱく質量1.67μg/ml)の100μ
lを各ウェルに加え、25℃で30分間反応させた後、PBS
−Tで5回洗浄した。
次に、プレートの各ウェルに0.2Mリン酸2ナトリウム
−0.1Mクエン酸緩衝液(pH5.0)50mlに基質であるo−
フェニレンジアミン20mgおよび過酸化水素10μlを溶解
した溶液を100μl加え、25℃で20分間反応させた。反
応停止は、3N硫酸溶液100μl加えることで行った。
反応停止後、各ウェルの吸光度(OD49 2)を測定する
ことによって抗体価を測定した。抗体価はエンドポイン
トタイター法により求め、吸光度が0.2となる稀釈倍率
とした。
(e)抗体によるS.mutansの凝集活性 抗SA抗体のS.mutansへの凝集活性を検討した。
まず、ホルマリン処理S.mutans Ingbritt株をマクフ
ァーランド指数を5(OD550≒2.00)となるように調製
し、試験管に0.5mlとなるように分注した。
ここで、(c)で得られた1.7×104の抗体価を有する
WSFのPBSの2段階稀釈液の0.5mlを各試験管に加え、37
℃で一晩反応させた。反応終了後、S.mutans Ingbritt
菌体の凝集の有無を目視にて判断した。又、凝集が確認
される最終稀釈倍率とするエンドポイントタイター法に
て凝集抗体価を求めた。
その結果、(c)で得た1.7×104の抗体価を有するWS
Fは、S.mutans Ingbritt株菌体を凝集することが確認
され、更に該WSFは菌体凝集価64の値を示した。
(f)S.mutansの平滑面への付着抑制テスト S.mutansの歯面への付着のモデル実験として、ガラス
面への付着実験を行った。
即ち、(c)で得た抗体を加えることで、S.mutans
Ingbritt株のガラス面への付着がどの程度阻害されるか
を評価するものであり、その詳細を以下に述べる。
まず(c)で得た1.7×104の抗体価を有するWSF及び
その10倍稀釈液を試験溶液とした。
これとは別に、免疫をしていない鶏((b)と同様の
鶏)の卵から(c)と同様にしてWSFを調製し試験溶液
とした。尚、該WSFがS.mutans菌体表層蛋白抗原SAに対
して特異的に反応しないことを確認した。
次に、これらの各試験溶液を13mmφ×100mm試験管に1
ml分注した後、更に1.5%スクロースを含む1.5倍濃度の
BHI培地2mlをそれぞれの試験管に加えた。
更に、各試験管にBHI培地で前培養したS.mutans Ing
britt株の懸濁液0.1mlを加えて、30゜に傾斜させた状態
で、37℃の温度下で18時間静置培養した。
表1に各試験管内に調製した調製物の組成を示す。
静置培養終了後、各試験管を以下の操作に従って処理
し、菌体の試験管壁への付着率を求めた。
静置培養終了後の試験管(この試験管を第1の試験管
とする)を静かに回転させ、試験管壁に付着していない
歯体を含んだ溶液の全量を第2の試験管に移した。次
に、歯体が付着している第1の試験管に50mMリン酸緩衝
液(pH6.8)の3mlを加え、これを再び回転させ、解離し
た菌体を含む緩衝液の全量を第3の試験管に移した後、
この第1の試験管に、50mMリン酸緩衝液(pH6.8)の3ml
を加えた。
更に、第1〜第3の試験管を超音波処理し、各試験管
内に均一な菌体浮遊液を調製し、各浮遊液の吸光度(OD
550)を測定し、以下の式に従って付着率を求めた。
得られた結果を表1に示す。
実施例2 SA精製標品の製造 実施例1と同様の条件で、S.mutans Ingbritt株を半
合成培地(121)で培養した。得られた培養上清に対し
て75%飽和の硫安沈澱処理(4℃,一晩)を行い、得ら
れた沈澱物を遠心分離法により回収した。次に、この沈
澱物を8M尿素を含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に
溶解した溶液を蒸留水に対して透析し、更に、該溶液中
を沈澱物と上清液に分離した。その沈澱物を8M尿素を含
む10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解し、不溶物を
遠心分離により除去したのち、上清液を得た。その上清
液を、以下に詳述する調製用SDS−PAGEに供与する粗SA
精製標品とした。
調製用SDS−PAGE操作条件; 上述した該粗SA精製標品6ml(8M尿素を含む10mMトリ
ス塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解)にSDSを0.136g,βメル
カプトエタノールを0.34mlを加えよく撹拌し、60℃で10
分間インキュベートした。この溶液を10,000rpmで10分
間遠心し、その上清を調製用SDS−PAGEに添加する試料
とした。
調製用SDS−PAGEは10%グリセロールを含む5%アク
リルアミドゲルにて分離を行った。
粗SA精製標品3mlを2mm厚,160×160mmの10%グリセロ
ールを含む5%アクリルアミドゲルに供与した。泳動
は、20mA定着流で約18時間行った。
泳動終了後、分離ゲルを4℃の0.25M〔C〕溶液につ
け、目的の185,000ダルトンのバンドを選択的に切り取
った。185,000ダルトンの蛋白質はポリアクリルアミド
ゲルから電気的に溶出し、0.1%SDSを含むリン酸緩衝液
(pH7.2)に透析した。
得られた蛋白質は2mlの溶液であり、280nmの吸光度よ
り求めた蛋白質量は3.4mgであった。
更に、実施例1と同様に該標品をSDS−PAGEにて分析
を行ったところ、分子量185,000ダルトンの位置に単一
のバンドが検出され、該精製標品が分子量185,000ダル
トンのSA精製標品であることが確認された。
上記SA精製免疫抗原標品を抗原として用いる以外は実
施例1と同様にして抗体の調製を行ったところ、同様に
SAと特異的に反応する抗体が得られた。
更に、得られた抗体の菌体付着阻害効果を同様の方法
で試験した結果、同様に優れた効果が認められた。更
に、抗体凝集活性を試験した結果、同様に優れた効果が
認められた。
次に本発明の齲蝕予防剤の製造方法の実施例を記載す
る。
(実施例3) 練り歯磨きの製造方法 ピロリン酸カルシウム 42 % グリセリン 15 % ソルビット70% 10 % カルボキシメチルセルロース 12 % サッカリンナトリウム 0.1% ラウリル硫酸ナトリウム 2.0% 香料 1.0%水 残量 100 % 以上の成分に実施例1で得た抗体含有画分(WSF)0.5
%(抗体価1.7×104のもの)を配合して製造する。
(実施例4) マウシュウォッシュの製造方法 エタノール 22.5 % サッカリンナトリウム 0.05% ラウリルジエタノールアミド 0.3 % 香料 1.0 %水 残量 100 % 以上の成分に実施例1で得た抗体含有画分(WSF)0.5
%(抗体価1.7×104のもの)を配合して製造する。
(発明の効果) 本発明により、S.mutansの歯面への付着に対する十分
な阻害効果を有し、量産性にも優れ、生産コストが低
く、安全性にも優れ、齲蝕予防剤の有効成分として有用
な抗体及び該抗体を含み齲蝕予防剤の製造方法が提供さ
れた。
特に、本発明により得られたS.mutansに対する免疫活
性を流する抗体は、従来の哺乳動物を免疫して得る抗体
と比較して以下のような利点を有する。
(1)本発明により得られた抗体は、免疫した鶏の卵中
に得られ、採卵、卵の取り扱いおよび卵からの抗体の取
得に特別な、あるいは熟練した技術を必要としない。し
かも、卵黄には免疫グロブリンのうちIgGクラスしか移
行しないので、IgGのみを容易に得ることができる。
これに対して、免疫した哺乳動物から採血により抗体
を得る場合には、採血に熟練した技術が必要とされ、し
かも血清から大量のIgGを分離・精製することは非常に
困難である。
(2)本発明の抗体製造に用いられる鶏は、管理が容易
であり、例えばラット等と比較してもその管理費用が安
い。
しかも、哺乳動物から継続的に多量の血液や乳を得る
ことは困難であり、哺乳動物を用いる方法は抗体の量産
には適さないが、鶏は長期間にわたって安定して卵を生
み続けるので、本発明の抗体は量産可能であり、かつ生
産コストが低い。
(3)免疫した哺乳動物の血液や乳から製造した抗体の
安定性は必ずしも良好でなく、血清中、あるいは精製し
た状態でも−80℃程度の温度条件下での保存が必要とさ
れる。
本発明により得られた抗体は、良好な安定性を有し、
また保存性も良く、例えば卵の状態で4℃で1〜2箇月
間保存できる。
最後に、鶏を用いた抗体を製造する場合、必ずしも免
疫した抗原に特異的に反応する抗体が十分量得られると
は限らない。例えば、ウイルス抗原を免疫しても、十分
な抗体価が得られなかった。従って、S.mutans菌体表層
蛋白抗原で鶏を免疫しても、実用的レベルの抗体価を有
する抗体が得られるかどうかは全く予想されないもので
あり、本発明者らによって初めて達成されたものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1において、免疫した鶏の抗体価の推
移を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 英明 岐阜県各務原市蘇原宮代町2丁目115番 2 審査官 瀬下 浩一 (56)参考文献 Infection and Imm unity,Vol.50,No.3 (1985),pp.796−799 Research in Veter inary,Science,Vol. 18(1975),pp.117−120

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】齲蝕誘発の病原菌としての血清型がc、e
    またはfであるストレプトコッカス・ミュータンスの菌
    体表層蛋白に対する抗体の製造方法において、 a)前記菌体表層蛋白抗原を鶏に免疫する工程と、 b)該免疫された鶏が産生する卵から卵黄を分離する工
    程と、 c)該卵黄から、前記菌体表層蛋白抗原に対して誘導さ
    れ、かつ前記ストレプトコッカス・ミュータンスに対す
    る免疫活性を有する抗体を含む免疫グロブリンを抽出す
    る工程とを有することを特徴とする抗体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記工程c)が、前記卵黄とリン酸緩衝液
    とを混合し、更にクロロホルムを加え、得られた混合液
    を所定時間放置した後、遠心分離処理し、最上層の透明
    画分を前記抗体を含む画分として回収することにより行
    われる請求項1に記載の抗体の製造方法。
  3. 【請求項3】齲蝕誘発の病原菌としての血清型がc、e
    またはfであるストレプトコッカス・ミュータンスの菌
    体表層蛋白抗原に対する抗体を有効成分とする齲蝕予防
    剤の製造方法において、 a)前記菌体表層蛋白抗原を鶏に免疫する工程と、 b)該免疫された鶏が産生する卵から卵黄を分離する工
    程と、 c)該卵黄から、前記菌体表層蛋白抗原に対して誘導さ
    れ、かつ該ストレプトコッカス・ミュータンスに対する
    免疫活性を有する抗体を含む免疫グロブリンを抽出する
    工程と d)該免疫グロブリン中に前記菌体表層蛋白抗原に対し
    て誘導された抗体を有効成分として齲蝕予防剤を製剤す
    る工程と を有することを特徴とする齲蝕予防剤の製造方法。
  4. 【請求項4】前記工程c)が、前記卵黄とリン酸緩衝液
    とを混合し、更にクロロホルムを加え、得られた混合液
    を所定時間放置した後、遠心分離処理し、最上層の透明
    画分を前記抗体を含む画分として回収することにより行
    われる請求項3に記載の齲蝕予防剤の製造方法。
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