JP2665251B2 - マイクロ波増幅器 - Google Patents

マイクロ波増幅器

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Description

【発明の詳細な説明】 〔概要〕 マイクロ波入力信号を分配して夫々を単位増幅器で増
幅し、これらを合成して取出すマイクロ波電力増幅器に
関し、 十分な利得を以て電力増幅して高効率化を図ることを
目的とし、 P1,P2,Δ,Σの4つの端子を有し、端子Δに入来した
信号を端子P1,P2に逆相で分配出力し、端子Σに入来し
た信号を端子P1,P2に同相で分配力送し、端子P1,P2に逆
相で入来した信号を端子Δに合成出力し、端子P1,P2
同相で入来した信号を端子Σに合成出力する、入力側及
び出力側に夫々設けられた4端子回路と、入力側4端子
回路の端子P1,P2と出力側4端子回路の端子P1,P2との間
に夫々接続された単位増幅器と、入力側4端子回路の端
子Σと出力側4端子回路の端子Δとの間に接続された信
号帰還回路とを設けた構成とする。
〔産業上の利用分野〕
本発明は、マイクロ波入力信号を分配して夫々を単位
増幅器で増幅し、これらを合成して取出すマイクロ波電
力増幅器に関する。
近年、マイクロ波帯における高出力増幅器のソリッド
ステート化が要求されており、このため、入力信号分配
路に単位増幅器を夫々設けて増幅してこれらを電力合成
とする必要を生じ、高効率に電力合成することが重要と
なる。
〔従来の技術〕
第6図は従来の電力合成回路の各例(2合成)のブロ
ック図を示す。同図(A)は3dB90゜方向性結合器(ラ
ングカプラ)を使用した例で、入力信号を方向性結合器
1で0゜位相及び90゜位相の信号に分配し、夫々単位増
幅器2,3で増幅した後方向性結合器4で合成して出力を
得る。このものは、入力信号が単位増幅器2,3で反射さ
れた場合、反射成分は全て終端で吸収されるので、その
分だけリターンロスを少なくできる。
一方、同図(B)はウィルキンソン型パワーディバイ
ダを使用した例で、入力信号をウィルキンソン型パワー
ディバイダ5で2つの0゜位相の信号に分配し、夫々単
位増幅器6,7で増幅した後ウィルキンソン型パワーディ
バイダ8で合成して出力を得る。このものは、リターン
ロスを改善できない。
第6図において、単位増幅器2,3,6,7の単体の出力電
力をP0,電力分配器及び合成器(方向性結合器1,4,ウィ
ルキンソン型パワーディバイダ5,8)の1通過当りの損
失をL1とすると、出力電圧は第3図に示す如く、単体の
場合はP0,2合成の場合は2P0−L1,4合成の場合は4P0−2L
1となる。
〔発明が解決しようとする課題〕
第6図に示す如く、マイクロ波の電力増幅には入力信
号を複数の分配器を用いて電力分配して夫々増幅し、そ
の後また複数の合成器を用いて電力合成する必要があ
る。このため、電力分配器及び合成器において損失が多
くなり、単位増幅器2,3,6,7の単体の利得をG0とする
と、利得は第3図に示す如く、単体の場合はG0,2合成の
場合はG0−2L1,4合成の場合はG0−4L1となり、このよう
に、電力増幅の総合利得はこの分配及び合成の際の損失
分だけ低くなる問題点があった。又、これをなくして所
定の利得を得るためにはこの損失分を補う増幅器を新た
に必要とする問題点があった。なお、4合成以上の多段
合成とする場合は第6図に示す回路を入力端に対して並
列に多段接続するが、第3図からもわかるように、合成
段数が多くなる程損失が多くなり、効率が悪くなる。
本発明は、十分な利得を以て重力増幅して高効率化を
図り得るマイクロ波増幅器を提供することを目的とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
第1図は本発明の原理図を示す。同図中、101は入力
側4端子回路、102は出力側4端子回路で、夫々P1,P2,
Δ,Σの4つの端子を有し、端子Δに入来した信号を端
子P1,P2に逆相で分配出力し、端子Σに入来した信号を
端子P1,P2に同相で分配出力し、端子P1,P2に逆相で入来
した信号を端子Δに合成出力し、端子P1,P2に同相で入
来した信号を端子Σに合成出力する。121,122は単位増
幅器で、入力側4端子回路101の端子P1,P2と出力側4端
子回路102の端子P1,P2との間に夫々接続されている。11
は信号帰還回路で、入力側4端子回路101の端子Σ
(Δ)と出力側4端子回路102の端子Δ(Σ)との間に
接続されている。
〔作用〕
入力側4端子回路101の端子Δ(Σ)を入力端子、出
力側4端子回路102の端子Σ(Δ)を出力端子とし、入
力側4端子回路101の端子Δ(Σ)に入来した信号をそ
の端子P1(P2),P2(P1)に逆相(同相)で分配出力
し、夫々単位増幅器121,122で増幅して出力側4端子回
路102の端子P2(P1),P1(P2)に逆相(同相)で入力し
てその端子Δ(Σ)に合成出力し、信号帰還回路11を介
して入力側4端子回路101の端子Σ(Δ)に入力してそ
の端子P1(P2),P2(P1)に同相(逆相)で分配出力
し、再び夫々単位増幅器121,122で増幅して出力側4端
子回路102の端子P2(P1),P1(P2)に同相(逆相)で入
力してその端子Σ(Δ)に合成出力する。
入力信号は入力側4端子回路101を経て単位増幅器1
21,122で増幅され、出力側4端子回路102から信号帰還
回路11を経て再び単位増幅器121,122で増幅され、出力
側4端子回路102を経て出力される。即ち、入力信号は
単位増幅器121,122を夫々2度通過するので、単位増幅
器の単体の利得をG0とすると、利得は略2G0となり、単
位増幅器を1度通過するだけの従来例に比して2倍の利
得を得ることができる。
〔実施例〕
第2図は本発明になるマイクロ波増幅器の一実施例
(2合成)のブロック図を示す。同図中、101,102は位
相反転器で、例えば本出願人が先に平成元年1月19日付
の特許願(発明の名称「位相反転器」)で提案した位相
反転器を用い、これらは信号帰還回路としての伝送線路
11で接続されている。121,122は特性の等しい単位増幅
器で、入力整合回路、FET、出力整合回路にて構成され
ており、単位増幅器121は位相反転器101の端子P1と位相
反転器102の端子P2との間に設けられており、単位増幅
器122は位相反転器101の端子P2と位相反転器102の端子P
1との間に設けられている。単位増幅器121,122は特性
(利得、及び、通過する信号の位相変化量)が異なると
発振を起す可能性があるので、特性の等しいものを用い
る必要がある。
なお、信号帰還用伝送線路11に代えて位相調整回路及
び/または帯域通過フィルターを使用することにより発
振の可能性を低減できる。
位相反転器101についてみるに、131,132,133,134は櫛
歯状に組合わされた伝送線路部で、プリント基板上に形
成されており、これらをリング状に組合わせることによ
ってラングカプラ形(多導体結合器の一種)の方向性結
合器を4個接続した構成の方向性結合器とする。同図
中、白丸印は開放端、黒丸印は接地端を示す。前記方向
性結合器は第4図に示す如く、端子141(カップルポー
ト),142(メインポート)をともに開放端とする開放
型、及び、端子141,142をともに接地端とする接地型が
あり、開放型のものは端子143(インプットポート),14
4(アイソレートポート)間の位相差が中心周波数f0
おいて+90゜となり、接地型のものは端子143,144間の
位相差が中心周波数f0において−90゜となる。なお、15
はジャンプワイヤで、所定端子どうしを他の端子をジャ
ンプして接続している。第4図に示す方向性結合器その
ものは従来公知のものである。
第2図に示す位相反転器101,102において、端子Δ,P1
間を開放型、端子P1,Σ間、端子Σ,P2間、端子P1,Δ間
を接地型にて構成する。このように構成すると、端子Δ
に入来した信号は端子P1,P2に180゜位相差の異なった信
号として取出され、端子Σに入来した信号は端子P1,P2
に同相で出力され、又、端子P1,P2に同相で入来した信
号は端子Σに合成されて出力され、端子P1,P2に逆相で
入来した信号は端子Δに合成されて出力される。これら
を表にしてまとめると、 となる。
ここで、位相反転器101の端子Δに入来した信号は端
子P1,P2に逆相で分配され、夫々単位増幅器121,122にて
増幅され、逆相のままで夫々位相反転器102の端子P2,P1
に入力されてここで合成されて端子Δより取出される。
この合成出力は信号帰還用伝送線路11を介して位相反転
器101の端子Σに入力され、端子P1,P2より同相で分配さ
れて取出される。この出力は再び単位増幅器121,122
増幅され、同相のままで位相反転器102の端子P2,P1に入
力されてここで合成されて端子Σより取出される。
このように、第2図に矢印で示した如く、入力信号は
単位増幅器121,122を夫々2度通過するので、利得は、
単位増幅器を1度しか通過しない第6図に示す従来例の
2倍にできる。この場合、単位増幅器121,122の単体の
利得をG0,位相反転器101,102(電力分配器及び合成器)
の1通過当りの損失をL0とすると、2合成での総合利得
は2G0−4L0となり、第3図に示す如く、従来例の2合成
の場合の利得G0−2L1よりも略2倍大きくとれる。一
方、単位増幅器121,122の単体の出力電力をP0とする
と、2合成での総合出力電力は2P0−2L0となり、これは
従来例のものと略同じである。
このように、本発明によれば、利得及び出力電力を共
に略2倍にすることができ、高効率化を図ることができ
る。
なお、第2図に示す位相反転器101,102の端子は図示
の実施例に限定されるものではなく、同図に( )で示
した端子でもよい。その場合は、位相反転器101の端子
(Σ)に入来した信号はその端子(P2),(P1)に同相
で分配され、単位増幅器121,122で増幅されて位相反転
器102の端子(P1),(P2)を経てその端子(Σ)に同
相で出力され、伝送線路11を経て位相反転器101の端子
(Δ)からその端子(P2),(P1)に逆相で分配出力さ
れ、再び単位増幅器121,122で増幅されて位相反転器102
の端子(P1),(P2)を経てその端子(Δ)に逆相で出
力される。
第5図は本発明の他の実施例(4合成)のブロック図
を示す。このものは、第2図に示す2合成の回路全体を
1つの単位増幅器としてこれを2つ組合わせたものであ
る。第5図において、位相反転器101a,102a,単位増幅器
121a,122a,信号帰還用伝送線路11aにて一方の単位増幅
器A1が構成され、一方、位相反転器101b,102b,単位増幅
器121b,122b,信号帰還用伝送線路11bにて他方の単位増
幅器A2が構成され、この2つの単位増幅器A1,A2,及び、
位相反転器101c,102c,信号帰還用伝送線路11cにて全体
が構成される。
このように、本実施例のものは、第2図に示す増幅器
が2つ組合わされた構成であるので、総合利得は4G0−1
2L0となり、第3図に示す如く、従来例の4合成の場合
の利得G0−4L1よりも略4倍大きくとれる。一方、出力
電力は4P0−4L0となり、これは従来例のものと略同じで
ある。
なお、本発明は、位相反転器としては上記各実施例に
示すようなラングカプラ形の方向性結合器を4個接続し
た構成のものに限定されるものではなく、例えば、前述
の特許願の第10図、第2図等に示されるリング状に構成
された位相反転器や、又は、マジックT等でもよく、つ
まり、4端子のもので、第2図において説明したような
信号伝達が行なわれる回路であればよい。
又、単位増幅器として、上記各実施例はFET1つを用い
たシングルエンド増幅器であるが、第6図(A),
(B)に示す増幅器そのものを用いてもよい。特に、第
6図(A)のものを用いれば、前述したようにリターン
ロスを少なくできる効果がある。又、単位増幅器にプッ
シュプル増幅器を適用してもよい。
〔発明の効果〕
以上説明した如く、本発明によれば、利得及び出力電
力を夫々合成数倍されるので、従来例に比して高効率化
を図ることができる。又、利得が低下する分だけ増幅器
を新たに必要としていた従来例と異なり、利得の低下が
ないだけ新たな増幅器を必要とせず、小形化も図ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の原理図、 第2図は本発明の一実施例のブロック図、 第3図は本発明及び従来の夫々の利得及び出力電力を比
較するための図、 第4図は方向性結合器の平面図、 第5図は本発明の他の実施例のブロック図、 第6図は従来の各例のブロック図である。 図において、 101,102,101a,102a,101b,102b,101c,102cは位相反転
器、 11,は信号帰還回路、 11a,11b,11cは信号帰還用伝送線路、 121,122,121a,122a,121b,122bは単位増幅器、 131〜134は伝送線路部、 P1,P2,Δ,Σは端子 を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】P1,P2,Δ,Σの4つの端子を有し、端子Δ
    に入来した信号を端子P1,P2に逆相で分配出力し、端子
    Σに入来した信号を端子P1,P2に同相で分配出力し、端
    子P1,P2に逆相で入来した信号を端子Δに合成出力し、
    端子P1,P2に同相で入来した信号を端子Σに合成出力す
    る、入力側及び出力側に夫々設けられた4端子回路(10
    1)(102)と、 該入力側4端子回路(101)の端子P1,P2と該出力側4端
    子回路(102)の端子P1,P2との間に夫々接続された単位
    増幅器(121)(122)と、 上記入力側4端子回路(101)の端子Σ(Δ)と上記出
    力側4端子回路(102)の端子Δ(Σ)との間に接続さ
    れた信号帰還回路(11)とを設けてなり、 上記入力側4端子回路(101)の端子Δ(Σ)を入力端
    子、上記出力側4端子回路(102)の端子Σ(Δ)を出
    力端子としたことを特徴とするマイクロ波増幅器。
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