JP2664113B2 - 高周波電源用磁気素子の製造方法 - Google Patents
高周波電源用磁気素子の製造方法Info
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- JP2664113B2 JP2664113B2 JP4021947A JP2194792A JP2664113B2 JP 2664113 B2 JP2664113 B2 JP 2664113B2 JP 4021947 A JP4021947 A JP 4021947A JP 2194792 A JP2194792 A JP 2194792A JP 2664113 B2 JP2664113 B2 JP 2664113B2
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- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1MHz以上の高周波
における共振型スイッチング電源装置等に用いられるト
ランスなどの磁気素子用として有効な、高比抵抗かつ低
磁気損失を有する酸化物磁性材料、特にその高周波磁気
特性の改良に関するものである。
における共振型スイッチング電源装置等に用いられるト
ランスなどの磁気素子用として有効な、高比抵抗かつ低
磁気損失を有する酸化物磁性材料、特にその高周波磁気
特性の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高周波スイッチング電源用トラン
スは、軽薄短小化が進み、それを実現する為の手段とし
ては、動作周波数の高周波化が最も有効であるとされて
いる。この様な高周波動作に適した磁性材料としては、
当該高い周波数帯域で優れた磁気特性すなわち低損失で
ある事が必要とされる。従来、1MHz以下の高周波ス
イッチング電源トランス用材料としては、Mn―Zn系
酸化物磁性材料いわゆるMn―Znフェライトを用いる
ことが一般的であった。しかし、1MHz以上の高周波
で動作させる場合には、磁気損失が大きく実用的でなか
った。また、Fe2O3の組成範囲が50モル%未満のい
わゆる鉄不足系のNi―Znフェライトを用いて、1M
Hz以上の高い周波数帯域での検討は行なわれている
が、磁気特性が悪いため、電源用材料として充分な性能
を発揮できなかった。また、パーミンバフェライトとし
て知られるFe2O3の組成範囲が50モル%以上のNi
―Zn―Coフェライトは、B―H曲線の原点に狭いウ
エスト(くびれ)を有する特有のヒステリシスループを
備えた材料であり、1MHz以上の高い周波数帯域で、
磁気損失が小さく有効な材料であるが、一旦直流磁界が
かかると低損失性が完全に失なわれるという重大な欠点
を有するために、電源用トランス材料として検討される
ことはなかった。このパーミンバフェライトの低磁気損
失性を有効に利用するための、電源用磁気素子の高周波
で動作させる方法が、特開平3―3307号に開示され
ている。これは、要約すると、低損失性を永久に失う臨
界磁界のしきい値を超えない範囲で動作させる方法であ
る。
スは、軽薄短小化が進み、それを実現する為の手段とし
ては、動作周波数の高周波化が最も有効であるとされて
いる。この様な高周波動作に適した磁性材料としては、
当該高い周波数帯域で優れた磁気特性すなわち低損失で
ある事が必要とされる。従来、1MHz以下の高周波ス
イッチング電源トランス用材料としては、Mn―Zn系
酸化物磁性材料いわゆるMn―Znフェライトを用いる
ことが一般的であった。しかし、1MHz以上の高周波
で動作させる場合には、磁気損失が大きく実用的でなか
った。また、Fe2O3の組成範囲が50モル%未満のい
わゆる鉄不足系のNi―Znフェライトを用いて、1M
Hz以上の高い周波数帯域での検討は行なわれている
が、磁気特性が悪いため、電源用材料として充分な性能
を発揮できなかった。また、パーミンバフェライトとし
て知られるFe2O3の組成範囲が50モル%以上のNi
―Zn―Coフェライトは、B―H曲線の原点に狭いウ
エスト(くびれ)を有する特有のヒステリシスループを
備えた材料であり、1MHz以上の高い周波数帯域で、
磁気損失が小さく有効な材料であるが、一旦直流磁界が
かかると低損失性が完全に失なわれるという重大な欠点
を有するために、電源用トランス材料として検討される
ことはなかった。このパーミンバフェライトの低磁気損
失性を有効に利用するための、電源用磁気素子の高周波
で動作させる方法が、特開平3―3307号に開示され
ている。これは、要約すると、低損失性を永久に失う臨
界磁界のしきい値を超えない範囲で動作させる方法であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】高周波スイッチング電
源トランス用材料としては、ヒステリシス損失の小さい
Mn―Zn系酸化物磁性材料を用いることが一般的とさ
れているが、1MHz以上の高い周波数帯域では、磁気
損失が急激に増加する。即ち、ヒステリシス損失が増大
し、また電気抵抗が1Ω・m以下と小さいために、渦電
流損失が増大する。1MHz以上の高周波スイッチング
電源に用いた場合、発熱が著しくなり、その結果、熱暴
走し、機器全体を破壊する危険があるので、実用化でき
ないという問題点があった。また、高い周波数帯域で、
比抵抗が106Ω・mと大きく渦電流損失が小さい鉄不
足系Ni―Znフェライトでは、保磁力(Hc)や角形
比(Br/Bm)がMn―Znフェライトに較べて大き
いため、ヒステリシス損失が大きく、高周波スイッチン
グ電源用材料として充分な性能を発揮できなかった。さ
らに、パーミンバフェライトとして知られるFe2O3の
組成範囲が50モル%以上のNi―Zn―Coフェライ
トは、比抵抗が大きく、ヒステリシス損失もB―H曲線
の原点に狭いウエスト(くびれ)を有するヒステリシス
ループをもつため小さく、1MHz以上の高い周波数帯
域で、有効な磁気素子である。
源トランス用材料としては、ヒステリシス損失の小さい
Mn―Zn系酸化物磁性材料を用いることが一般的とさ
れているが、1MHz以上の高い周波数帯域では、磁気
損失が急激に増加する。即ち、ヒステリシス損失が増大
し、また電気抵抗が1Ω・m以下と小さいために、渦電
流損失が増大する。1MHz以上の高周波スイッチング
電源に用いた場合、発熱が著しくなり、その結果、熱暴
走し、機器全体を破壊する危険があるので、実用化でき
ないという問題点があった。また、高い周波数帯域で、
比抵抗が106Ω・mと大きく渦電流損失が小さい鉄不
足系Ni―Znフェライトでは、保磁力(Hc)や角形
比(Br/Bm)がMn―Znフェライトに較べて大き
いため、ヒステリシス損失が大きく、高周波スイッチン
グ電源用材料として充分な性能を発揮できなかった。さ
らに、パーミンバフェライトとして知られるFe2O3の
組成範囲が50モル%以上のNi―Zn―Coフェライ
トは、比抵抗が大きく、ヒステリシス損失もB―H曲線
の原点に狭いウエスト(くびれ)を有するヒステリシス
ループをもつため小さく、1MHz以上の高い周波数帯
域で、有効な磁気素子である。
【0004】しかし、この磁気素子は、B−H曲線のメ
ジャーループにおける保磁力(Hc)以上の直流磁界が
一旦かかると、低損失性は完全に消失し、これを回復さ
せるには、キュリー点以上からの焼鈍による消磁しか方
法がないという問題点があった。この磁気素子は、臨海
磁界のしきい値を越えない範囲で動作させる場合には問
題ないが、装置に組み込んだ後で、マグネットが触れた
というようなダメージには、打つ手がないという問題点
があった。上述の様に、1MHz以上の高周波スイッチ
ング電源トランス用磁気素子として、ヒステリシス損失
が小さく、高抵抗で渦電流損失が小さく、直流磁界が一
旦かかっても低損失性が消失しないものが望まれてい
る。本発明は、1MHz以上の高い周波数帯域で、低磁
気損失のパーミンバタイプのNi−Zn−Co系フェラ
イトを用いた磁気素子において、直流磁界が一旦かかっ
ても、その低磁気損失性が消失しない磁気素子を提供す
ることを目的とするものである。
ジャーループにおける保磁力(Hc)以上の直流磁界が
一旦かかると、低損失性は完全に消失し、これを回復さ
せるには、キュリー点以上からの焼鈍による消磁しか方
法がないという問題点があった。この磁気素子は、臨海
磁界のしきい値を越えない範囲で動作させる場合には問
題ないが、装置に組み込んだ後で、マグネットが触れた
というようなダメージには、打つ手がないという問題点
があった。上述の様に、1MHz以上の高周波スイッチ
ング電源トランス用磁気素子として、ヒステリシス損失
が小さく、高抵抗で渦電流損失が小さく、直流磁界が一
旦かかっても低損失性が消失しないものが望まれてい
る。本発明は、1MHz以上の高い周波数帯域で、低磁
気損失のパーミンバタイプのNi−Zn−Co系フェラ
イトを用いた磁気素子において、直流磁界が一旦かかっ
ても、その低磁気損失性が消失しない磁気素子を提供す
ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、Fe2O3 5
6〜65モル%、ZnO 12〜20モル%、NiO4
〜32モル%、MnCO3又はMnO2 0.5〜5モル
%、CuO 0.1〜6モル%、Co3O4 0.01〜
3モル%の組成範囲からなる酸化物磁性材料で形成した
磁気素子に、該磁気素子のB−H曲線のメジャーループ
における保磁力(Hc)以上の大きさに相当する直流磁
界を室温にて一旦印加した後、該磁気素子を100℃以
上、Tc+100℃以下の温度(Tc(℃):磁気素子
のキュリー温度)まで昇温し、その後冷却して室温に戻
すことを特徴とする高周波電源用磁気素子の製造方法で
ある。
6〜65モル%、ZnO 12〜20モル%、NiO4
〜32モル%、MnCO3又はMnO2 0.5〜5モル
%、CuO 0.1〜6モル%、Co3O4 0.01〜
3モル%の組成範囲からなる酸化物磁性材料で形成した
磁気素子に、該磁気素子のB−H曲線のメジャーループ
における保磁力(Hc)以上の大きさに相当する直流磁
界を室温にて一旦印加した後、該磁気素子を100℃以
上、Tc+100℃以下の温度(Tc(℃):磁気素子
のキュリー温度)まで昇温し、その後冷却して室温に戻
すことを特徴とする高周波電源用磁気素子の製造方法で
ある。
【0006】
【実施例】実施例1 Fe2O3 57.5モル%、ZnO 15モル%、Ni
O 22モル%、MnCO3 3モル%、CuO 2モ
ル%、Co3O4 0.5モル%の割合で配合し、振動ミ
ルにより、2時間混合し、その粉末混合物を1100℃
で2時間仮焼成し、その後振動ミルで2時間粉砕した。
これに有機バインダーを加えて造粒、成形し、1300
℃、2時間焼成して、外径20mm、内径10mm、厚
さ5mmのリング状試料を作製した。この試料の磁気特
性は、初透磁率(μi)=150、キュリー温度(T
c)=300℃、飽和磁束密度(Bms)=320m
T、保磁力(Hc)=300A/m、比抵抗(ρ)=3
×106Ω・m、コアロス(Pc)=320kw/m
3(10MHz、20mT、室温)であった。この試料
に巻線を施し、2000A/mの直流磁界を10秒間印
加し、取り去った後、280℃、2時間で熱処理を行な
い、本発明の磁気素子を得た。この磁気素子に100A
/mの直流磁界を10秒間印加し取り去った後、10M
Hz、20mT室温の条件でコアロスを測定した。コア
ロスは、カロリーメータを用いて、磁気素子の温度上昇
を測定し、算出した。次に、200A/mの直流磁界を
10秒間印加し取り去った後、コアロスの測定を行なっ
た。徐々に印加直流磁界を大きくし、5000A/mま
でこの操作を繰り返し、コアロスの測定を行なった。こ
の結果を図1に示す。比較として、Fe2O3 47.5
モル%、NiO 35モル%、ZnO 15モル%、C
uO 2モル%、Co3O4 0.5モル%の組成からな
る鉄不足系フェライトで形成した磁気素子を測定した結
果を従来例1とし、実施例1の磁気素子で、直流磁界の
印加、熱処理を行なわない焼成後の磁気素子を測定した
結果を従来例2とし、実施例1の磁気素子で、直流磁界
の印加を行なわず、280℃の熱処理のみを行なった磁
気素子を測定した結果を従来例3として図1中に示し
た。また、2000A/mの直流磁界を、加熱開始か
ら、冷却終了までの間印加し続けた状態で、280℃で
熱処理した磁気素子を測定した結果を従来例4として図
1中に示した。本発明の磁気素子は、直流磁界の弱い領
域でのコアロスは、400kw/m3以下と小さくかつ
5000A/mの直流磁界を印加しても、急激なコアロ
スの増加はなく、400kw/m3以下であった。しか
し、従来例2、3は、印加直流磁界が小さい領域では、
コアロスは400kw/m3以下であるが、500A/
m以上の直流磁界を印加すると、コアロスは急激に増加
し、5000A/mの印加により、約8000kw/m
3となり、実用化は望めない。さらに、従来例1は、直
流磁界の印加の影響をあまり受けることなく、5000
A/mの直流磁界の印加でも、コアロスの急激な増加は
見られなかったが、コアロスが1800kw/m3と大
きいため、実用化は望めない。また、実施例4は、印加
直流磁界が小さい領域でも、コアロスは1000kW/
m 3 以上と大きいため、実用化は望めない。
O 22モル%、MnCO3 3モル%、CuO 2モ
ル%、Co3O4 0.5モル%の割合で配合し、振動ミ
ルにより、2時間混合し、その粉末混合物を1100℃
で2時間仮焼成し、その後振動ミルで2時間粉砕した。
これに有機バインダーを加えて造粒、成形し、1300
℃、2時間焼成して、外径20mm、内径10mm、厚
さ5mmのリング状試料を作製した。この試料の磁気特
性は、初透磁率(μi)=150、キュリー温度(T
c)=300℃、飽和磁束密度(Bms)=320m
T、保磁力(Hc)=300A/m、比抵抗(ρ)=3
×106Ω・m、コアロス(Pc)=320kw/m
3(10MHz、20mT、室温)であった。この試料
に巻線を施し、2000A/mの直流磁界を10秒間印
加し、取り去った後、280℃、2時間で熱処理を行な
い、本発明の磁気素子を得た。この磁気素子に100A
/mの直流磁界を10秒間印加し取り去った後、10M
Hz、20mT室温の条件でコアロスを測定した。コア
ロスは、カロリーメータを用いて、磁気素子の温度上昇
を測定し、算出した。次に、200A/mの直流磁界を
10秒間印加し取り去った後、コアロスの測定を行なっ
た。徐々に印加直流磁界を大きくし、5000A/mま
でこの操作を繰り返し、コアロスの測定を行なった。こ
の結果を図1に示す。比較として、Fe2O3 47.5
モル%、NiO 35モル%、ZnO 15モル%、C
uO 2モル%、Co3O4 0.5モル%の組成からな
る鉄不足系フェライトで形成した磁気素子を測定した結
果を従来例1とし、実施例1の磁気素子で、直流磁界の
印加、熱処理を行なわない焼成後の磁気素子を測定した
結果を従来例2とし、実施例1の磁気素子で、直流磁界
の印加を行なわず、280℃の熱処理のみを行なった磁
気素子を測定した結果を従来例3として図1中に示し
た。また、2000A/mの直流磁界を、加熱開始か
ら、冷却終了までの間印加し続けた状態で、280℃で
熱処理した磁気素子を測定した結果を従来例4として図
1中に示した。本発明の磁気素子は、直流磁界の弱い領
域でのコアロスは、400kw/m3以下と小さくかつ
5000A/mの直流磁界を印加しても、急激なコアロ
スの増加はなく、400kw/m3以下であった。しか
し、従来例2、3は、印加直流磁界が小さい領域では、
コアロスは400kw/m3以下であるが、500A/
m以上の直流磁界を印加すると、コアロスは急激に増加
し、5000A/mの印加により、約8000kw/m
3となり、実用化は望めない。さらに、従来例1は、直
流磁界の印加の影響をあまり受けることなく、5000
A/mの直流磁界の印加でも、コアロスの急激な増加は
見られなかったが、コアロスが1800kw/m3と大
きいため、実用化は望めない。また、実施例4は、印加
直流磁界が小さい領域でも、コアロスは1000kW/
m 3 以上と大きいため、実用化は望めない。
【0007】図2は、熱処理前の印加直流磁界の強さを
変え、280℃で熱処理した後、5000A/mの直流
磁界を印加した後に、コアロスを測定した結果である。
特許請求の範囲を限定した理由として、熱処理前に印加
する直流磁界の強さは、図2から明らかなように、この
磁気素子の保磁力(Hc)、300A/m未満の直流磁
界では、効果がないことがわかる。これは、図1に示し
た従来例2、3においても、300A/m未満の弱い直
流磁界では、元々影響を受けない領域であるため効果が
ないものと考えられる。
変え、280℃で熱処理した後、5000A/mの直流
磁界を印加した後に、コアロスを測定した結果である。
特許請求の範囲を限定した理由として、熱処理前に印加
する直流磁界の強さは、図2から明らかなように、この
磁気素子の保磁力(Hc)、300A/m未満の直流磁
界では、効果がないことがわかる。これは、図1に示し
た従来例2、3においても、300A/m未満の弱い直
流磁界では、元々影響を受けない領域であるため効果が
ないものと考えられる。
【0008】図3は、2000A/mの直流磁界を印加
した後に、温度を変えて熱処理を行なった後、5000
A/mの直流磁界を印加した後にコアロスを測定した結
果である。熱処理温度を限定した理由は、図3から明ら
かなように、磁気素子のキュリー温度をTc(℃)とす
るとき、Tc+100℃以上(Tc+100℃は含まな
い)では、完全に消磁されてしまい、従来例2の磁気素
子と全く変わらない磁気素子となり、100℃未満の温
度では、熱処理の効果が見られないためである。 熱処
理前の印加直流磁界は、磁路方向と平行に印加すること
が望ましいが、磁路方向に垂直に印加した場合でも同様
の効果が得られた。また、直流磁界の印加時間は、10
秒としたが、この時間は長短にかかわらず、同じ効果が
得られた。さらに、熱処理の昇温速度、冷却速度は、1
000℃/hr以下であれば同じ効果が得られ、熱処理
時間も長短にかかわらず同じ効果が得られた。
した後に、温度を変えて熱処理を行なった後、5000
A/mの直流磁界を印加した後にコアロスを測定した結
果である。熱処理温度を限定した理由は、図3から明ら
かなように、磁気素子のキュリー温度をTc(℃)とす
るとき、Tc+100℃以上(Tc+100℃は含まな
い)では、完全に消磁されてしまい、従来例2の磁気素
子と全く変わらない磁気素子となり、100℃未満の温
度では、熱処理の効果が見られないためである。 熱処
理前の印加直流磁界は、磁路方向と平行に印加すること
が望ましいが、磁路方向に垂直に印加した場合でも同様
の効果が得られた。また、直流磁界の印加時間は、10
秒としたが、この時間は長短にかかわらず、同じ効果が
得られた。さらに、熱処理の昇温速度、冷却速度は、1
000℃/hr以下であれば同じ効果が得られ、熱処理
時間も長短にかかわらず同じ効果が得られた。
【0009】実施例2 磁気素子を形成する材料の組成範囲が、Fe2O3 56
〜65モル%、ZnO12〜20モル%、NiO 4〜
32モル%、MnCO3又はMnO2 0.5〜5モル
%、CuO 0.1〜6モル%、Co3O4 0.01〜
3モル%であれば、1MHz以上の高い周波数帯域で、
ヒステリシス損失が小さくかつ渦電流損失の小さい低磁
気損失酸化物磁性材料が得られた。この組成範囲で実施
例1と同様に形成した磁気素子の磁気特性は、μi=6
0〜200、Tc=200℃以上、Bms=270mT
以上、Hc=250〜400A/m、ρ=3×104Ω
・m以上、Pc=400kw/m3以下(10MHz、
20mT,室温)であった。この組成範囲の酸化物磁性
材料で形成した磁気素子に、2000A/mの直流磁界
を10秒間印加し、直流磁界を取り去った後、280℃
の温度で熱処理を行なった結果、5000A/mの直流
磁界を印加しても、コアロスの急激な増加はみられず、
400kw/m3以下であり、実施例1の磁気素子と同
じ効果が得られた。
〜65モル%、ZnO12〜20モル%、NiO 4〜
32モル%、MnCO3又はMnO2 0.5〜5モル
%、CuO 0.1〜6モル%、Co3O4 0.01〜
3モル%であれば、1MHz以上の高い周波数帯域で、
ヒステリシス損失が小さくかつ渦電流損失の小さい低磁
気損失酸化物磁性材料が得られた。この組成範囲で実施
例1と同様に形成した磁気素子の磁気特性は、μi=6
0〜200、Tc=200℃以上、Bms=270mT
以上、Hc=250〜400A/m、ρ=3×104Ω
・m以上、Pc=400kw/m3以下(10MHz、
20mT,室温)であった。この組成範囲の酸化物磁性
材料で形成した磁気素子に、2000A/mの直流磁界
を10秒間印加し、直流磁界を取り去った後、280℃
の温度で熱処理を行なった結果、5000A/mの直流
磁界を印加しても、コアロスの急激な増加はみられず、
400kw/m3以下であり、実施例1の磁気素子と同
じ効果が得られた。
【0010】実施例3 実施例1の磁気素子を図5に示したトランス形状とし、
2個を組み合せ、巻線を施し、トランスを形成した。こ
のトランスの磁路長は30mm、有効断面積は50mm
2であった。このトランスを図4に示した電圧共振型コ
ンバータ回路に組み込み、10MHz、20mTで動作
させた。その結果、出力100Wに対して電力効率が8
6%と高い値を得ることができた。また、このトランス
に約200mTの磁石を約10秒間触れた後、同様に動
作させた結果、出力100Wに対して電力効率が84%
と高い値を維持した。一方、従来例2、3、4の磁気素
子を同様に組み込み動作させた結果、電力効率は各々8
5、87、88%と高い値を得ることができたが、約2
00mTの磁石を約10秒間触れた後、同様に動作させ
た結果、電力効率は60%以下に低下し、トランスは5
分以内に100℃以上となり、明らかに熱暴走状態を示
していた。
2個を組み合せ、巻線を施し、トランスを形成した。こ
のトランスの磁路長は30mm、有効断面積は50mm
2であった。このトランスを図4に示した電圧共振型コ
ンバータ回路に組み込み、10MHz、20mTで動作
させた。その結果、出力100Wに対して電力効率が8
6%と高い値を得ることができた。また、このトランス
に約200mTの磁石を約10秒間触れた後、同様に動
作させた結果、出力100Wに対して電力効率が84%
と高い値を維持した。一方、従来例2、3、4の磁気素
子を同様に組み込み動作させた結果、電力効率は各々8
5、87、88%と高い値を得ることができたが、約2
00mTの磁石を約10秒間触れた後、同様に動作させ
た結果、電力効率は60%以下に低下し、トランスは5
分以内に100℃以上となり、明らかに熱暴走状態を示
していた。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、1MHz以上の高い周
波数帯域で、高い比抵抗を有し、低磁気損失性をもちな
がら、直流磁界を印加することにより、この低磁気損失
性を完全に消失してしまうという特有な性質をもちパー
ミンバフェライトで知られる材料で形成された磁気素子
において、限定された直流磁界を一旦印加した後に、限
定された温度で熱処理することにより、直流磁界が印加
されても、また、マグネットに触れることがあっても、
低磁気損失を消失することがなく、コアロスを400k
w/m3以下におさえることができ、トランス形状のこ
の磁気素子を高周波共振型スイッチング電源やDC―D
Cコンバーターに用いた場合、電力消費が小さく、効率
的な高周波動作が達成できる。
波数帯域で、高い比抵抗を有し、低磁気損失性をもちな
がら、直流磁界を印加することにより、この低磁気損失
性を完全に消失してしまうという特有な性質をもちパー
ミンバフェライトで知られる材料で形成された磁気素子
において、限定された直流磁界を一旦印加した後に、限
定された温度で熱処理することにより、直流磁界が印加
されても、また、マグネットに触れることがあっても、
低磁気損失を消失することがなく、コアロスを400k
w/m3以下におさえることができ、トランス形状のこ
の磁気素子を高周波共振型スイッチング電源やDC―D
Cコンバーターに用いた場合、電力消費が小さく、効率
的な高周波動作が達成できる。
【図1】印加直流磁界がコアロスへ与える影響を示す図
である。
である。
【図2】コアロスと熱処理前の印加直流磁界との関係を
示す図である。
示す図である。
【図3】コアロスと熱処理温度との関係を示す図であ
る。
る。
【図4】電圧共振型コンバータの回路図である。
【図5】トランスの形状図である。
41 トランス 42 スイッチング素子 43 インダクタ 44 コンデンサ 45 ダイオード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−101609(JP,A) 特開 昭52−102597(JP,A) 特開 平4−361501(JP,A) 特公 昭31−9089(JP,B1)
Claims (1)
- 【請求項1】 Fe2O3 56〜65モル%、ZnO
12〜20モル%、NiO 4〜32モル%、MnCO
3又はMnO2 0.5〜5モル%、CuO0.1〜6モ
ル%、Co3O4 0.01〜3モル%の組成範囲からな
る酸化物磁性材料で形成した磁気素子に、該磁気素子の
B−H曲線のメジャーループにおける保磁力(Hc)以
上の大きさに相当する直流磁界を室温にて一旦印加した
後、該磁気素子を100℃以上、Tc+100℃以下の
温度(Tc(℃):磁気素子のキュリー温度)まで昇温
し、その後冷却して室温に戻すことを特徴とする高周波
電源用磁気素子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4021947A JP2664113B2 (ja) | 1992-01-10 | 1992-01-10 | 高周波電源用磁気素子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4021947A JP2664113B2 (ja) | 1992-01-10 | 1992-01-10 | 高周波電源用磁気素子の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0645129A JPH0645129A (ja) | 1994-02-18 |
JP2664113B2 true JP2664113B2 (ja) | 1997-10-15 |
Family
ID=12069257
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4021947A Expired - Fee Related JP2664113B2 (ja) | 1992-01-10 | 1992-01-10 | 高周波電源用磁気素子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2664113B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3862088B2 (ja) * | 2003-05-07 | 2006-12-27 | 学校法人明治大学 | スピネル型フェリ磁性粉及び磁気記録用媒体 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5851404B2 (ja) * | 1976-02-24 | 1983-11-16 | 東北金属工業株式会社 | 酸化物磁性材料 |
JP2674623B2 (ja) * | 1987-10-14 | 1997-11-12 | 日立金属株式会社 | 高周波用磁性材料 |
JP2530769B2 (ja) * | 1991-06-08 | 1996-09-04 | 日立金属株式会社 | 高周波電源に用いられる磁気素子用低損失酸化物磁性材料 |
-
1992
- 1992-01-10 JP JP4021947A patent/JP2664113B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0645129A (ja) | 1994-02-18 |
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