JPH0645129A - 高周波電源用磁気素子 - Google Patents
高周波電源用磁気素子Info
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- JPH0645129A JPH0645129A JP4021947A JP2194792A JPH0645129A JP H0645129 A JPH0645129 A JP H0645129A JP 4021947 A JP4021947 A JP 4021947A JP 2194792 A JP2194792 A JP 2194792A JP H0645129 A JPH0645129 A JP H0645129A
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- H01—ELECTRIC ELEMENTS
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- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/12—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
- H01F1/34—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites
- H01F1/342—Oxides
- H01F1/344—Ferrites, e.g. having a cubic spinel structure (X2+O)(Y23+O3), e.g. magnetite Fe3O4
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 1MHz以上の高い周波数帯域で低損失かつ
直流磁界を印加しても低損失性を消失しない高周波電源
用磁気素子を提供することを目的とする。 【構成】 パーミンバフェライトで知られる鉄過剰のN
i―Zn―Co系フェライト材料で形成した磁気素子
に、該磁気素子のB―H曲線のメジャーループにおける
保磁力(Hc)以上の大きさに相当する直流磁界を一旦
印加した後、該磁気素子を100℃以上、該磁気素子の
キュリー温度をTc(℃)とするとき、Tc+100℃
以下の温度で加熱(熱処理)することを特徴とする高周
波電源用磁気素子であり、該磁気素子を用いることを特
徴とする高周波で動作させる共振型スイッチング電源装
置又はDC―DCコンバーターである。
直流磁界を印加しても低損失性を消失しない高周波電源
用磁気素子を提供することを目的とする。 【構成】 パーミンバフェライトで知られる鉄過剰のN
i―Zn―Co系フェライト材料で形成した磁気素子
に、該磁気素子のB―H曲線のメジャーループにおける
保磁力(Hc)以上の大きさに相当する直流磁界を一旦
印加した後、該磁気素子を100℃以上、該磁気素子の
キュリー温度をTc(℃)とするとき、Tc+100℃
以下の温度で加熱(熱処理)することを特徴とする高周
波電源用磁気素子であり、該磁気素子を用いることを特
徴とする高周波で動作させる共振型スイッチング電源装
置又はDC―DCコンバーターである。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1MHz以上の高周波
における共振型スイッチング電源装置等に用いられるト
ランスなどの磁気素子用として有効な、高比抵抗かつ低
磁気損失を有する酸化物磁性材料、特にその高周波磁気
特性の改良に関するものであり、それを用いた高周波で
動作させる共振型スイッチング電源装置、DC―DCコ
ンバーターに関するものである。
における共振型スイッチング電源装置等に用いられるト
ランスなどの磁気素子用として有効な、高比抵抗かつ低
磁気損失を有する酸化物磁性材料、特にその高周波磁気
特性の改良に関するものであり、それを用いた高周波で
動作させる共振型スイッチング電源装置、DC―DCコ
ンバーターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高周波スイッチング電源用トラン
スは、軽薄短小化が進み、それを実現する為の手段とし
ては、動作周波数の高周波化が最も有効であるとされて
いる。この様な高周波動作に適した磁性材料としては、
当該高い周波数帯域で優れた磁気特性すなわち低損失で
ある事が必要とされる。従来、1MHz以下の高周波ス
イッチング電源トランス用材料としては、Mn―Zn系
酸化物磁性材料いわゆるMn―Znフェライトを用いる
ことが一般的であった。しかし、1MHz以上の高周波
で動作させる場合には、磁気損失が大きく実用的でなか
った。また、Fe2O3の組成範囲が50モル%未満のい
わゆる鉄不足系のNi―Znフェライトを用いて、1M
Hz以上の高い周波数帯域での検討は行なわれている
が、磁気特性が悪いため、電源用材料として充分な性能
を発揮できなかった。また、パーミンバフェライトとし
て知られるFe2O3の組成範囲が50モル%以上のNi
―Zn―Coフェライトは、B―H曲線の原点に狭いウ
エスト(くびれ)を有する特有のヒステリシスループを
備えた材料であり、1MHz以上の高い周波数帯域で、
磁気損失が小さく有効な材料であるが、一旦直流磁界が
かかると低損失性が完全に失なわれるという重大な欠点
を有するために、電源用トランス材料として検討される
ことはなかった。このパーミンバフェライトの低磁気損
失性を有効に利用するための、電源用磁気素子の高周波
で動作させる方法が、特開平3―3307号に開示され
ている。これは、要約すると、低損失性を永久に失う臨
界磁界のしきい値を超えない範囲で動作させる方法であ
る。
スは、軽薄短小化が進み、それを実現する為の手段とし
ては、動作周波数の高周波化が最も有効であるとされて
いる。この様な高周波動作に適した磁性材料としては、
当該高い周波数帯域で優れた磁気特性すなわち低損失で
ある事が必要とされる。従来、1MHz以下の高周波ス
イッチング電源トランス用材料としては、Mn―Zn系
酸化物磁性材料いわゆるMn―Znフェライトを用いる
ことが一般的であった。しかし、1MHz以上の高周波
で動作させる場合には、磁気損失が大きく実用的でなか
った。また、Fe2O3の組成範囲が50モル%未満のい
わゆる鉄不足系のNi―Znフェライトを用いて、1M
Hz以上の高い周波数帯域での検討は行なわれている
が、磁気特性が悪いため、電源用材料として充分な性能
を発揮できなかった。また、パーミンバフェライトとし
て知られるFe2O3の組成範囲が50モル%以上のNi
―Zn―Coフェライトは、B―H曲線の原点に狭いウ
エスト(くびれ)を有する特有のヒステリシスループを
備えた材料であり、1MHz以上の高い周波数帯域で、
磁気損失が小さく有効な材料であるが、一旦直流磁界が
かかると低損失性が完全に失なわれるという重大な欠点
を有するために、電源用トランス材料として検討される
ことはなかった。このパーミンバフェライトの低磁気損
失性を有効に利用するための、電源用磁気素子の高周波
で動作させる方法が、特開平3―3307号に開示され
ている。これは、要約すると、低損失性を永久に失う臨
界磁界のしきい値を超えない範囲で動作させる方法であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】高周波スイッチング電
源トランス用材料としては、ヒステリシス損失の小さい
Mn―Zn系酸化物磁性材料を用いることが一般的とさ
れているが、1MHz以上の高い周波数帯域では、磁気
損失が急激に増加する。即ち、ヒステリシス損失が増大
し、また電気抵抗が1Ω・m以下と小さいために、渦電
流損失が増大する。1MHz以上の高周波スイッチング
電源に用いた場合、発熱が著しくなり、その結果、熱暴
走し、機器全体を破壊する危険があるので、実用化でき
ないという問題点があった。また、高い周波数帯域で、
比抵抗が106Ω・mと大きく渦電流損失が小さい鉄不
足系Ni―Znフェライトでは、保磁力(Hc)や角形
比(Br/Bm)がMn―Znフェライトに較べて大き
いため、ヒステリシス損失が大きく、高周波スイッチン
グ電源用材料として充分な性能を発揮できなかった。さ
らに、パーミンバフェライトとして知られるFe2O3の
組成範囲が50モル%以上のNi―Zn―Coフェライ
トは、比抵抗が大きく、ヒステリシス損失もB―H曲線
の原点に狭いウエスト(くびれ)を有するヒステリシス
ループをもつため小さく、1MHz以上の高い周波数帯
域で、有効な磁気素子である。
源トランス用材料としては、ヒステリシス損失の小さい
Mn―Zn系酸化物磁性材料を用いることが一般的とさ
れているが、1MHz以上の高い周波数帯域では、磁気
損失が急激に増加する。即ち、ヒステリシス損失が増大
し、また電気抵抗が1Ω・m以下と小さいために、渦電
流損失が増大する。1MHz以上の高周波スイッチング
電源に用いた場合、発熱が著しくなり、その結果、熱暴
走し、機器全体を破壊する危険があるので、実用化でき
ないという問題点があった。また、高い周波数帯域で、
比抵抗が106Ω・mと大きく渦電流損失が小さい鉄不
足系Ni―Znフェライトでは、保磁力(Hc)や角形
比(Br/Bm)がMn―Znフェライトに較べて大き
いため、ヒステリシス損失が大きく、高周波スイッチン
グ電源用材料として充分な性能を発揮できなかった。さ
らに、パーミンバフェライトとして知られるFe2O3の
組成範囲が50モル%以上のNi―Zn―Coフェライ
トは、比抵抗が大きく、ヒステリシス損失もB―H曲線
の原点に狭いウエスト(くびれ)を有するヒステリシス
ループをもつため小さく、1MHz以上の高い周波数帯
域で、有効な磁気素子である。
【0004】しかし、この磁気素子は、B―H曲線のメ
ジャーループにおける保磁力(Hc)以上の直流磁界が
一旦かかると、低損失性は完全に消失し、これを回復さ
せるには、キュリー点以上からの焼鈍による消磁しか方
法がないという問題点があった。この磁気素子は、臨界
磁界のしきい値を越えない範囲で動作させる場合には問
題ないが、装置に組み込んだ後で、マグネットが触れた
というようなダメージには、打つ手がないという問題点
があった。上述の様に、1MHz以上の高周波スイッチ
ング電源トランス用磁気素子として、ヒステリシス損失
が小さく、高抵抗で渦電流損失が小さく、直流磁界が一
旦かかっても低損失性が消失しないものが望まれてい
る。本発明は、1MHz以上の高い周波数帯域で、低磁
気損失のパーミンバタイプのNi―Zn―Co系フェラ
イトを用いた磁気素子において、直流磁界が一旦かかっ
ても、その低磁気損失性が消失しない磁気素子を提供す
ることと、この磁気素子を用いることにより、高い周波
数帯域で実用的に動作できる共振型スイッチング電源装
置又はDC―DCコンバーターを提供することを目的と
するものである。
ジャーループにおける保磁力(Hc)以上の直流磁界が
一旦かかると、低損失性は完全に消失し、これを回復さ
せるには、キュリー点以上からの焼鈍による消磁しか方
法がないという問題点があった。この磁気素子は、臨界
磁界のしきい値を越えない範囲で動作させる場合には問
題ないが、装置に組み込んだ後で、マグネットが触れた
というようなダメージには、打つ手がないという問題点
があった。上述の様に、1MHz以上の高周波スイッチ
ング電源トランス用磁気素子として、ヒステリシス損失
が小さく、高抵抗で渦電流損失が小さく、直流磁界が一
旦かかっても低損失性が消失しないものが望まれてい
る。本発明は、1MHz以上の高い周波数帯域で、低磁
気損失のパーミンバタイプのNi―Zn―Co系フェラ
イトを用いた磁気素子において、直流磁界が一旦かかっ
ても、その低磁気損失性が消失しない磁気素子を提供す
ることと、この磁気素子を用いることにより、高い周波
数帯域で実用的に動作できる共振型スイッチング電源装
置又はDC―DCコンバーターを提供することを目的と
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、Fe2O3 5
6〜65モル%、ZnO 12〜20モル%、NiO4
〜32モル%、MnCO3又はMnO2 0.5〜5モル
%、CuO 0.1〜6モル%、Co3O4 0.01〜
3モル%、V2O5 0〜3重量%の組成範囲からなる酸
化物磁性材料で形成した磁気素子に、該磁気素子のB―
H曲線のメジャーループにおける保磁力(Hc)以上の
大きさに相当する直流磁界を一旦印加した後、該磁気素
子を100℃以上、該磁気素子のキュリー温度をTc
(℃)とするとき、Tc+100℃以下の温度で加熱
(熱処理)することを特徴とする高周波電源用磁気素子
であり、この磁気素子を用いることを特徴とする高周波
で動作させる共振型スイッチング電源装置又はDC―D
Cコンバーターである。
6〜65モル%、ZnO 12〜20モル%、NiO4
〜32モル%、MnCO3又はMnO2 0.5〜5モル
%、CuO 0.1〜6モル%、Co3O4 0.01〜
3モル%、V2O5 0〜3重量%の組成範囲からなる酸
化物磁性材料で形成した磁気素子に、該磁気素子のB―
H曲線のメジャーループにおける保磁力(Hc)以上の
大きさに相当する直流磁界を一旦印加した後、該磁気素
子を100℃以上、該磁気素子のキュリー温度をTc
(℃)とするとき、Tc+100℃以下の温度で加熱
(熱処理)することを特徴とする高周波電源用磁気素子
であり、この磁気素子を用いることを特徴とする高周波
で動作させる共振型スイッチング電源装置又はDC―D
Cコンバーターである。
【0006】
【実施例】実施例1 Fe2O3 57.5モル%、ZnO 15モル%、Ni
O 22モル%、MnCO3 3モル%、CuO 2モ
ル%、Co3O4 0.5モル%の割合で配合し、振動ミ
ルにより、2時間混合し、その粉末混合物を1100℃
で2時間仮焼成し、その後振動ミルで2時間粉砕した。
これに有機バインダーを加えて造粒、成形し、1300
℃、2時間焼成して、外径20mm、内径10mm、厚
さ5mmのリング状試料を作製した。この試料の磁気特
性は、初透磁率(μi)=150、キュリー温度(T
c)=300℃、飽和磁束密度(Bms)=320m
T、保磁力(Hc)=300A/m、比抵抗(ρ)=3
×106Ω・m、コアロス(Pc)=320kw/m
3(10MHz、20mT、室温)であった。この試料
に巻線を施し、2000A/mの直流磁界を10秒間印
加し、取り去った後、280℃、2時間で熱処理を行な
い、本発明の磁気素子を得た。この磁気素子に100A
/mの直流磁界を10秒間印加し取り去った後、10M
Hz、20mT室温の条件でコアロスを測定した。コア
ロスは、カロリーメータを用いて、磁気素子の温度上昇
を測定し、算出した。次に、200A/mの直流磁界を
10秒間印加し取り去った後、コアロスの測定を行なっ
た。徐々に印加直流磁界を大きくし、5000A/mま
でこの操作を繰り返し、コアロスの測定を行なった。こ
の結果を図1に示す。比較として、Fe2O3 47.5
モル%、NiO 35モル%、ZnO 15モル%、C
uO 2モル%、Co3O4 0.5モル%の組成からな
る鉄不足系フェライトで形成した磁気素子を測定した結
果を従来例1とし、実施例1の磁気素子で、直流磁界の
印加、熱処理を行なわない焼成後の磁気素子を測定した
結果を従来例2とし、実施例1の磁気素子で、直流磁界
の印加を行なわず、280℃の熱処理のみを行なった磁
気素子を測定した結果を従来例3として図1中に示し
た。また、2000A/mの直流磁界を印加しながら、
280℃で熱処理した磁気素子を測定した結果を従来例
4として図1中に示した。本発明の磁気素子は、直流磁
界の弱い領域でのコアロスは、400kw/m3以下と
小さくかつ5000A/mの直流磁界を印加しても、急
激なコアロスの増加はなく、400kw/m3以下であ
った。しかし、従来例2、3、4は、印加直流磁界が小
さい領域では、コアロスは400kw/m3以下である
が、500A/m以上の直流磁界を印加すると、コアロ
スは急激に増加し、5000A/mの印加により、約8
000kw/m3となり、実用化は望めない。さらに、
従来例1は、直流磁界の印加の影響をあまり受けること
なく、5000A/mの直流磁界の印加でも、コアロス
の急激な増加は見られなかったが、コアロスが1800
kw/m3と大きいため、実用化は望めない。
O 22モル%、MnCO3 3モル%、CuO 2モ
ル%、Co3O4 0.5モル%の割合で配合し、振動ミ
ルにより、2時間混合し、その粉末混合物を1100℃
で2時間仮焼成し、その後振動ミルで2時間粉砕した。
これに有機バインダーを加えて造粒、成形し、1300
℃、2時間焼成して、外径20mm、内径10mm、厚
さ5mmのリング状試料を作製した。この試料の磁気特
性は、初透磁率(μi)=150、キュリー温度(T
c)=300℃、飽和磁束密度(Bms)=320m
T、保磁力(Hc)=300A/m、比抵抗(ρ)=3
×106Ω・m、コアロス(Pc)=320kw/m
3(10MHz、20mT、室温)であった。この試料
に巻線を施し、2000A/mの直流磁界を10秒間印
加し、取り去った後、280℃、2時間で熱処理を行な
い、本発明の磁気素子を得た。この磁気素子に100A
/mの直流磁界を10秒間印加し取り去った後、10M
Hz、20mT室温の条件でコアロスを測定した。コア
ロスは、カロリーメータを用いて、磁気素子の温度上昇
を測定し、算出した。次に、200A/mの直流磁界を
10秒間印加し取り去った後、コアロスの測定を行なっ
た。徐々に印加直流磁界を大きくし、5000A/mま
でこの操作を繰り返し、コアロスの測定を行なった。こ
の結果を図1に示す。比較として、Fe2O3 47.5
モル%、NiO 35モル%、ZnO 15モル%、C
uO 2モル%、Co3O4 0.5モル%の組成からな
る鉄不足系フェライトで形成した磁気素子を測定した結
果を従来例1とし、実施例1の磁気素子で、直流磁界の
印加、熱処理を行なわない焼成後の磁気素子を測定した
結果を従来例2とし、実施例1の磁気素子で、直流磁界
の印加を行なわず、280℃の熱処理のみを行なった磁
気素子を測定した結果を従来例3として図1中に示し
た。また、2000A/mの直流磁界を印加しながら、
280℃で熱処理した磁気素子を測定した結果を従来例
4として図1中に示した。本発明の磁気素子は、直流磁
界の弱い領域でのコアロスは、400kw/m3以下と
小さくかつ5000A/mの直流磁界を印加しても、急
激なコアロスの増加はなく、400kw/m3以下であ
った。しかし、従来例2、3、4は、印加直流磁界が小
さい領域では、コアロスは400kw/m3以下である
が、500A/m以上の直流磁界を印加すると、コアロ
スは急激に増加し、5000A/mの印加により、約8
000kw/m3となり、実用化は望めない。さらに、
従来例1は、直流磁界の印加の影響をあまり受けること
なく、5000A/mの直流磁界の印加でも、コアロス
の急激な増加は見られなかったが、コアロスが1800
kw/m3と大きいため、実用化は望めない。
【0007】図2は、熱処理前の印加直流磁界の強さを
変え、280℃で熱処理した後、5000A/mの直流
磁界を印加した後に、コアロスを測定した結果である。
特許請求の範囲を限定した理由として、熱処理前に印加
する直流磁界の強さは、図2から明らかなように、この
磁気素子の保磁力(Hc)、300A/m未満の直流磁
界では、効果がないことがわかる。これは、図1に示し
た従来例2、3、4においても、300A/m未満の弱
い直流磁界では、元々影響を受けない領域であるため効
果がないものと考えられる。
変え、280℃で熱処理した後、5000A/mの直流
磁界を印加した後に、コアロスを測定した結果である。
特許請求の範囲を限定した理由として、熱処理前に印加
する直流磁界の強さは、図2から明らかなように、この
磁気素子の保磁力(Hc)、300A/m未満の直流磁
界では、効果がないことがわかる。これは、図1に示し
た従来例2、3、4においても、300A/m未満の弱
い直流磁界では、元々影響を受けない領域であるため効
果がないものと考えられる。
【0008】図3は、2000A/mの直流磁界を印加
した後に、温度を変えて熱処理を行なった後、5000
A/mの直流磁界を印加した後にコアロスを測定した結
果である。熱処理温度を限定した理由は、図3から明ら
かなように、磁気素子のキュリー温度をTc(℃)とす
るとき、Tc+100℃以上(Tc+100℃は含まな
い)では、完全に消磁されてしまい、従来例2の磁気素
子と全く変わらない磁気素子となり、100℃未満の温
度では、熱処理の効果が見られないためである。 熱処
理前の印加直流磁界は、磁路方向と平行に印加すること
が望ましいが、磁路方向に垂直に印加した場合でも同様
の効果が得られた。また、直流磁界の印加時間は、10
秒としたが、この時間は長短にかかわらず、同じ効果が
得られた。さらに、熱処理の昇温速度、冷却速度は、1
000℃/hr以下であれば同じ効果が得られ、熱処理
時間も長短にかかわらず同じ効果が得られた。
した後に、温度を変えて熱処理を行なった後、5000
A/mの直流磁界を印加した後にコアロスを測定した結
果である。熱処理温度を限定した理由は、図3から明ら
かなように、磁気素子のキュリー温度をTc(℃)とす
るとき、Tc+100℃以上(Tc+100℃は含まな
い)では、完全に消磁されてしまい、従来例2の磁気素
子と全く変わらない磁気素子となり、100℃未満の温
度では、熱処理の効果が見られないためである。 熱処
理前の印加直流磁界は、磁路方向と平行に印加すること
が望ましいが、磁路方向に垂直に印加した場合でも同様
の効果が得られた。また、直流磁界の印加時間は、10
秒としたが、この時間は長短にかかわらず、同じ効果が
得られた。さらに、熱処理の昇温速度、冷却速度は、1
000℃/hr以下であれば同じ効果が得られ、熱処理
時間も長短にかかわらず同じ効果が得られた。
【0009】実施例2 磁気素子を形成する材料の組成範囲が、Fe2O3 56
〜65モル%、ZnO12〜20モル%、NiO 4〜
32モル%、MnCO3又はMnO2 0.5〜5モル
%、CuO 0.1〜6モル%、Co3O4 0.013
モル%、V2O50〜3重量%であれば、1MHz以上の
高い周波数帯域で、ヒステリシス損失が小さくかつ渦電
流損失の小さい低磁気損失酸化物磁性材料が得られた。
この組成範囲で実施例1と同様に形成した磁気素子の磁
気特性は、μi=60〜200、Tc=200℃以上、
Bms=270mT以上、Hc=250〜400A/
m、ρ=3×104Ω・m以上、Pc=400kw/m3
以下(10MHz、20mT,室温)であった。この組
成範囲の酸化物磁性材料で形成した磁気素子に、200
0A/mの直流磁界を10秒間印加し、直流磁界を取り
去った後、280℃の温度で熱処理を行なった結果、5
000A/mの直流磁界を印加しても、コアロスの急激
な増加はみられず、400kw/m3以下であり、実施
例1の磁気素子と同じ効果が得られた。
〜65モル%、ZnO12〜20モル%、NiO 4〜
32モル%、MnCO3又はMnO2 0.5〜5モル
%、CuO 0.1〜6モル%、Co3O4 0.013
モル%、V2O50〜3重量%であれば、1MHz以上の
高い周波数帯域で、ヒステリシス損失が小さくかつ渦電
流損失の小さい低磁気損失酸化物磁性材料が得られた。
この組成範囲で実施例1と同様に形成した磁気素子の磁
気特性は、μi=60〜200、Tc=200℃以上、
Bms=270mT以上、Hc=250〜400A/
m、ρ=3×104Ω・m以上、Pc=400kw/m3
以下(10MHz、20mT,室温)であった。この組
成範囲の酸化物磁性材料で形成した磁気素子に、200
0A/mの直流磁界を10秒間印加し、直流磁界を取り
去った後、280℃の温度で熱処理を行なった結果、5
000A/mの直流磁界を印加しても、コアロスの急激
な増加はみられず、400kw/m3以下であり、実施
例1の磁気素子と同じ効果が得られた。
【0010】実施例3 実施例1の磁気素子を図5に示したトランス形状とし、
2個を組み合せ、巻線を施し、トランスを形成した。こ
のトランスの磁路長は30mm、有効断面積は50mm
2であった。このトランスを図4に示した電圧共振型コ
ンバータ回路に組み込み、10MHz、20mTで動作
させた。その結果、出力100Wに対して電力効率が8
6%と高い値を得ることができた。また、このトランス
に約200mTの磁石を約10秒間触れた後、同様に動
作させた結果、出力100Wに対して電力効率が84%
と高い値を維持した。一方、従来例2、3、4の磁気素
子を同様に組み込み動作させた結果、電力効率は各々8
5、87、88%と高い値を得ることができたが、約2
00mTの磁石を約10秒間触れた後、同様に動作させ
た結果、電力効率は60%以下に低下し、トランスは5
分以内に100℃以上となり、明らかに熱暴走状態を示
していた。
2個を組み合せ、巻線を施し、トランスを形成した。こ
のトランスの磁路長は30mm、有効断面積は50mm
2であった。このトランスを図4に示した電圧共振型コ
ンバータ回路に組み込み、10MHz、20mTで動作
させた。その結果、出力100Wに対して電力効率が8
6%と高い値を得ることができた。また、このトランス
に約200mTの磁石を約10秒間触れた後、同様に動
作させた結果、出力100Wに対して電力効率が84%
と高い値を維持した。一方、従来例2、3、4の磁気素
子を同様に組み込み動作させた結果、電力効率は各々8
5、87、88%と高い値を得ることができたが、約2
00mTの磁石を約10秒間触れた後、同様に動作させ
た結果、電力効率は60%以下に低下し、トランスは5
分以内に100℃以上となり、明らかに熱暴走状態を示
していた。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、1MHz以上の高い周
波数帯域で、高い比抵抗を有し、低磁気損失性をもちな
がら、直流磁界を印加することにより、この低磁気損失
性を完全に消失してしまうという特有な性質をもちパー
ミンバフェライトで知られる材料で形成された磁気素子
において、限定された直流磁界を一旦印加した後に、限
定された温度で熱処理することにより、直流磁界が印加
されても、また、マグネットに触れることがあっても、
低磁気損失を消失することがなく、コアロスを400k
w/m3以下におさえることができ、トランス形状のこ
の磁気素子を高周波共振型スイッチング電源やDC―D
Cコンバーターに用いた場合、電力消費が小さく、効率
的な高周波動作が達成できる。
波数帯域で、高い比抵抗を有し、低磁気損失性をもちな
がら、直流磁界を印加することにより、この低磁気損失
性を完全に消失してしまうという特有な性質をもちパー
ミンバフェライトで知られる材料で形成された磁気素子
において、限定された直流磁界を一旦印加した後に、限
定された温度で熱処理することにより、直流磁界が印加
されても、また、マグネットに触れることがあっても、
低磁気損失を消失することがなく、コアロスを400k
w/m3以下におさえることができ、トランス形状のこ
の磁気素子を高周波共振型スイッチング電源やDC―D
Cコンバーターに用いた場合、電力消費が小さく、効率
的な高周波動作が達成できる。
【図1】印加直流磁界がコアロスへ与える影響を示す図
である。
である。
【図2】コアロスと熱処理前の印加直流磁界との関係を
示す図である。
示す図である。
【図3】コアロスと熱処理温度との関係を示す図であ
る。
る。
【図4】電圧共振型コンバータの回路図である。
【図5】トランスの形状図である。
41 トランス 42 スイッチング素子 43 インダクタ 44 コンデンサ 45 ダイオード
Claims (2)
- 【請求項1】 Fe2O3 56〜65モル%、ZnO
12〜20モル%、NiO 4〜32モル%、MnCO
3又はMnO2 0.5〜5モル%、CuO0.1〜6モ
ル%、Co3O4 0.01〜3モル%、V2O5 0〜3
重量%の組成範囲からなる酸化物磁性材料で形成した磁
気素子に、該磁気素子のB―H曲線のメジャーループに
おける保磁力(Hc)以上の大きさに相当する直流磁界
を一旦印加した後、該磁気素子を100℃以上、該磁気
素子のキュリー温度をTc(℃)とするとき、Tc+1
00℃以下の温度で加熱(熱処理)したことを特徴とす
る高周波電源用磁気素子。 - 【請求項2】 特許請求の範囲請求項1記載の磁気素子
を用いることを特徴とする高周波で動作させる共振型ス
イッチング電源装置、又はDC―DCコンバーター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4021947A JP2664113B2 (ja) | 1992-01-10 | 1992-01-10 | 高周波電源用磁気素子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4021947A JP2664113B2 (ja) | 1992-01-10 | 1992-01-10 | 高周波電源用磁気素子の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0645129A true JPH0645129A (ja) | 1994-02-18 |
JP2664113B2 JP2664113B2 (ja) | 1997-10-15 |
Family
ID=12069257
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4021947A Expired - Fee Related JP2664113B2 (ja) | 1992-01-10 | 1992-01-10 | 高周波電源用磁気素子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2664113B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004100190A1 (ja) * | 2003-05-07 | 2004-11-18 | Meiji University Legal Person | スピネル型フェリ磁性粉及び磁気記録用媒体 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS52102597A (en) * | 1976-02-24 | 1977-08-27 | Tohoku Metal Ind Ltd | Oxide magnetic material |
JPH01101609A (ja) * | 1987-10-14 | 1989-04-19 | Nippon Ferrite Ltd | 高周波用磁性材料 |
JPH04361501A (ja) * | 1991-06-08 | 1992-12-15 | Hitachi Ferrite Ltd | 高周波電源に用いられる磁気素子用低損失酸化物磁性材料 |
-
1992
- 1992-01-10 JP JP4021947A patent/JP2664113B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS52102597A (en) * | 1976-02-24 | 1977-08-27 | Tohoku Metal Ind Ltd | Oxide magnetic material |
JPH01101609A (ja) * | 1987-10-14 | 1989-04-19 | Nippon Ferrite Ltd | 高周波用磁性材料 |
JPH04361501A (ja) * | 1991-06-08 | 1992-12-15 | Hitachi Ferrite Ltd | 高周波電源に用いられる磁気素子用低損失酸化物磁性材料 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004100190A1 (ja) * | 2003-05-07 | 2004-11-18 | Meiji University Legal Person | スピネル型フェリ磁性粉及び磁気記録用媒体 |
US7399523B2 (en) | 2003-05-07 | 2008-07-15 | Meiji University Legal Person | Spinel ferrimagnetic particles and magnetic recording medium |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2664113B2 (ja) | 1997-10-15 |
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