JP2663761C - - Google Patents

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JP2663761C
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、積層包装材料の製造方法に関し、より詳しくは、無機または金属化
合物の透明薄膜層を含む、包装材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品や医薬品の包装材料として、プラスチックフィルムを主体としたも
のが広く仕様され、その形態としては、袋(パウチ)状容器が一般的である。
【0003】 この包装材料には、内容物により種々の機能、性能が要求されるが、内容物の
酸化劣化防止や、内容物の有効成分(例えば香気成分や医薬品の薬効成分)の透
過・散逸等の防止、あるいは乾燥防止のため、ガスバリヤー性が要求されること
が多い。
【0004】 このガスバリヤー性を付与するため、通常は包装材料を構成するプラスチック フィルムにガスバリヤー性に優れた材料からなる層を積層しており、ポリビニル
アルコール、ポリ塩化ビニリデン、金属箔、金属、無機または金属化合物の薄膜
層等が用いられている。特に、酸化ケイ素の薄膜層は、透明性に優れ、きわめて
高いガスバリヤー性を示し、しかも比較的安価に製造できるので、その実用化が
多く研究されている(特公昭51−48511号公報、特公昭53−12953
号公報、実公昭52−3418号公報、実公昭52−24608号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した特公昭51−48511号公報、実公昭52−24608
号公報等の無機または金属化合物の透明薄膜層は、きわめて薄いガラス状の層で
あるため、微細な亀裂が生じ易いという問題がある。これは、透明薄膜層が熱が
かけられた場合に著しく、その原因は、透明薄膜層を形成した基体シートが熱に
より伸縮し、この伸縮に透明薄膜層が追従できないことにあると考えられる。こ
の亀裂が生じると、ガスバリヤー性は著しく低下してしまう。
【0006】 ところで、包装材料として必要な機能の一つとして、袋状等の包装体に形成す
る際の加工が容易なように、熱接着性を有していることがあげられる。
【0007】 この熱接着性を付与するには、熱接着性樹脂(以下シーラントと称する)を積
層することが一般的であり、その積層方法としては、熱接着性樹脂からなるフィ
ルム(シーラント)を貼り合わせる方法と、熱接着性樹脂をフィルム状に押し出
すと同時にその接着性により積層してシーラントを形成する、いわゆる押し出し
コーティングの方法がある。一般的にはシーラントが包装材料中最も厚い層であ
り、また、包装材料に強度と柔軟性を付与する、包装材料の主体となる層である
【0008】 この層を厚く設けるには、透明薄膜層を形成した基体シートと、予め作成した
熱接着性フィルム(シーラント)とを、押し出しコーティングした熱接着性樹脂 介在させて貼り合わせる方法が容易であり、好ましい方法である。熱接着性樹脂
の代わりに接着剤を介してシーラントを貼り合わせる方法は、このシーラントの
厚みを、前記介在した熱接着性樹脂とシーラントの合計した厚みが必要となり、
透明性が落ちるので、得られるシートに透明性が要求される場合には、好ましく
ない。
【0009】 また、接着剤を用いると、シートの剛性が上がり、柔軟性が落ちるので、得ら
れるシートに柔軟性が要求される場合には、やはり好ましくない。現在市販され
ている金属箔を用いた包装体の殆どは、金属箔上に熱接着性樹脂を押し出しコー
ティングし、熱接着性フィルム(シーラント)を積層している。
【0010】 しかしながら、上述した透明薄膜層上に熱接着性樹脂層を直接押し出しコーテ
ィングすると、コーティング作業時の機械的テンションと溶融熱接着性樹脂の熱
により、基体シートが伸びて透明薄膜層に微細な亀裂が生じてしまうばかりでな
く、押し出しコーティングした熱接着性樹脂層および加熱された基体シートが冷
却とともに収縮するので、亀裂の発生が助長されてしまうのである。
【0011】 そこで本発明は、熱接着樹脂層を押し出しコーティングにより積層しても、無
機または金属化合物の透明薄膜層に亀裂が生じることなく、優れたガスバリヤー
性を有する包装材料を提供し、また、その製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、無機または金属化合物の透明薄膜層を形成した基体シート
の該透明薄膜層上に熱接着性樹脂層を押し出しコーティングして積層するにあた
り、前記透明薄膜層上に、少なくとも10μmのプラスチックフィルムをドライ
ラミネート法またはノンソルベントラミネート法により加熱することなく積層し
て熱緩衝層を形成し、その後熱緩衝層上に熱接着性樹脂層を押し出しコーティン
グすることを特徴とする、積層包装材料の製造方法である。
【0013】
【作用】
上述した本発明の包装材料の製造方法によれば、少なくとも10μmのプラス
チックフィルムをドライラミネート法またはノンソルベントラミネート法により
加熱することなく積層した熱緩衝層が、その上に積層される熱接着性樹脂の押し
出しコーティング層の熱を遮断し、透明薄膜層を形成した基体シートが伸縮する
ことを防ぎ、透明薄膜層に亀裂が生じない。従って、透明薄膜層により包装材料
は優れたガスバリヤー性を示し、包装内容物の酸化劣化や有効成分の透過・散逸
を防ぐ。
【0014】
【実施例】
本発明で使用する基体シートは、無機または金属化合物の透明薄膜層が形成可
能なプラスチックフィルムであって、透明薄膜層の密着性、透明性、加工の容易
性、価格等を考慮すると、ポリエチレンテレフタレートフィルムが最も好ましく
、他のフィルムとしては、延伸ポリプロピレン、未延伸ポリプロピレン、ポリエ
チレン、延伸ナイロン等が使用できる。
【0015】 無機または金属化合物の透明薄膜層は、ケイ素、マグネシウム、インジウム、
アルミニウム、チタン等の無機物または金属の、酸化物、窒化物、硫化物、ある
いはフッ化物等の化合物、より具体的にはSiXY(X=1,2;Y=0,1,2,3)、Al2O3
SiN3、ZnS、MgF2、Mgo等を、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリ
ング法、プラズマ蒸着法、あるいはCVD(Chmical Vapor Deposition)法等の
方法で基体シート上に形成したものである。
【0016】 透明薄膜層の厚さは、無機または金属化合物の種類により異なるが、酸化ケイ
素の場合、目的とするガスバリヤー性を得るには、少なくとも800Å必要で、
好ましくは900Å以上の厚さに設ける。また、包装材料としての柔軟性を確保
するためには、2000Å以下の厚さに設けることが好ましい。また、酸化アル
ミニウムの場合は、少なくとも400Å、好ましくは450Å以上、600Å以
下の厚さに設ける。
【0017】 本発明においては、この無機または金属化合物の透明薄膜層上に、熱緩衝層を
積層する。
【0018】 熱緩衝層は、後述する熱接着性樹脂の押し出しコーティング層の熱による基体
シートの伸縮を防ぐための層であり、十分な熱緩衝性を有する材料、厚さのプラ
スチックフィルムが使用される。
【0019】 具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、
ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルム等が用いられ、厚さは少なくとも
10μm必要であり、12μm以上とすることが好ましい。
【0020】 熱緩衝層は、実質的に基体シートが伸縮することがない温度で積層することが
必要である。すなわち、熱緩衝層を押し出しコーティング法や熱ラミネート法等
の加熱を必要とする方法で形成することは適当でなく、溶剤系接着剤を用いたド
ライラミネート法、無溶剤系接着剤を用いたノンソルベントラミネート法等が適
当である。
【0021】 熱緩衝層上には熱接着性樹脂の押し出しコーティング層が形成される。この層
は、一般的には上記基体シート/熱緩衝層の積層体と熱接着性樹脂フィルム(シ
ーラント)とを積層するための接着層であるが、場合によっては基体シート/熱
緩衝層の積層体に直接シーラントを形成する手段ともなり得る。
【0022】 熱接着性樹脂としては、ポリエチレンが最も一般的であるが、場合によっては
、熱間シール性を付与する目的でアイオノマー樹脂を、低温ヒートシール性を付
与する目的でエチレンー酢酸ビニル共重合樹脂等を使用することも可能である。
【0023】 この押し出しコーティングは、熱接着性樹脂を加熱、溶融し、被接着シート(
本発明においては基体シート/熱緩衝層の積層体とシーラントフィルム)の間に Tダイから所定の厚さのフィルム状に押し出し、圧着、冷却して積層する方法で
ある。また、押し出しコーティングを上述した直接シーラントを形成する手段と
して用いる場合は、被接着シート(本発明においては基体シート/熱緩衝層の積
層体)上に押し出し、圧着、冷却して積層する方法をいう。
【0024】 押し出しコーティングにおける溶融樹脂の温度条件は、層間の接着性に大きな
影響を与える。樹脂温が低過ぎると、積層された押し出しコーティング層が十分
な接着強度を示さない。好ましい温度条件は、樹脂がポリエチレンの場合300
℃以上、アイオノマー樹脂の場合280℃以上である。
【0025】 押し出しコーティング層の厚さは、加工作業上の効率から、50μmを上限と
することが好ましく、これ以上の厚さの層を形成したい場合には、上述したよう
に、他のフィルム(シーラントフィルム等)を、押し出しコーティング層を接着
層として用い、積層するか、あるいは押し出しコーティング層を2層以上形成す
ることが好ましい。
【0026】 本発明に係る包装材料は、少なくとも上記基体シート、無機または金属化合物
の透明薄膜層、熱緩衝層、熱接着性樹脂押し出しコーティング層を含むが、必要
に応じて他の層を積層することができる。例えば、熱間シール性を付与する目的
でアイオノマー樹脂を、低温ヒートシール性を付与する目的でエチレンー酢酸ビ
ニル共重合樹脂等を積層することができる。本発明に用いるいずれの層も、透明
とすることができ、透明な包装材料を製造することができる。なお、適宜位置に
印刷層が形成可能であることは自明である。
【0027】 上述のようにして得られた本発明に係る包装材料は、適当な形態、例えば袋状
等に形成され、使用される。本発明の包装材料の取扱いは従来の包装材料同様で
何ら問題ない。
【0028】 次に、本発明に係る実験結果を示す。
【0029】 実験1 2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名P−11、東レ(株)製
、厚さ12μm)からなる基体シート上に、真空蒸着法で1000Åの厚さに酸
化ケイ素薄膜層を形成した。この酸化ケイ素薄膜層上に、下記熱接着性樹脂を、
Tダイから押し出し、直接積層した(加工速度40m/min、ラインテンショ
ン;No.6、No.12は10Kg、その他は5Kg)。
【0030】 得られた積層体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示す。また、酸化ケイ
素薄膜層−熱接着性樹脂層間の剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
【0031】 使用熱接着性樹脂 No.1〜3:エチレン−メタアクリル酸共重合樹脂(メタアクリル酸含有率1
1wt%) No.4 :アイオノマー樹脂(金属成分:亜鉛)No:5〜7:エチレン−
メタアクリル酸共重合樹脂(メタアクリル酸含有率6wt%) No.8 :低密度ポリエチレン No.9〜13:低密度ポリエチレン ★いずれも厚さ45μm ★No.8とNo.9〜13は樹脂グレードが異なる
【0032】
【表1】 ※1:cc/m2・day・atm,25℃.100%RH MOCON OX-TRAN 使用 ※2:アンカーコート剤使用 AD-506S 、東洋モートン(株)製
【0033】
【表2】 ※3:n=3,平均値
【0034】 以上の結果から、押し出しコーティングの加工温度が250℃を越えると、ガ
スバリヤー性が低下する、すなわち、無機または金属化合物薄膜層に亀裂が生じ
ることが分かった。特に、ラインテンションが高いもの(No.6、No.12
)は、ガスバリヤー性の低下が著しかった。また、無機または金属化合物薄膜層
に亀裂が生じない250℃以下の加工温度では、十分な剥離強度が得られず、実 用的な包装材料が得られなかった。
【0035】 次に、本発明の方法により、包装材料を得、同様の評価を行った。
【0036】 実験2 2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名P−11、東レ(株)
製、厚さ12μm)からなる基体シート上に、真空蒸着法で1000Åの厚さに
酸化ケイ素薄膜層を形成した。この酸化ケイ素薄膜層上に、2軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム(商品名E−5200、東洋紡績(株)製、厚さ12
μm)からなる熱緩衝層をドライラミネート法により積層し、次いでこの熱緩衝
層上に、下記熱接着性樹脂をTダイから押し出し、積層した(加工速度40m/
min、ラインテンション;5Kg)。
【0037】 得られた積層体の酸素透過度を測定した。結果を表3に示す。また、積層体の
熱緩衝層/熱接着性樹脂層間の剥離強度を測定した。結果を表4に示す。
【0038】 使用熱接着性樹脂 No.14 :低密度ポリエチレン No.15 :エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂 (エチルアクリレート含有率6wt%) ★いずれも厚さ45μm
【0039】
【表3】 ※4:cc/m2・day・atm,25℃,100%RH MOCON OX-TRAN 使用 ※5:アンカーコート剤使用 AD-506S 、東洋モートン(株)製
【0040】
【表4】 ※6:n=3,平均値
【0041】 以上の結果から、本発明のように無機または金属化合物薄膜層上に熱緩衝層を
ドライラミネート法により設け、この上に熱接着性樹脂を押し出しコーティング
すれば、加工温度が250℃を越えても、ガスバリヤー性が低下することがなく
、すなわち、無機または金属化合物薄膜層に亀裂が生じていないことが分かる。
そして、十分な剥離強度が得られ、実用的な包装材料が得られた。
【0042】 以下に、本発明に従って実際的な積層包装材料を製造する例を示す。 まず、第1のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(13μm厚) の片面に、真空蒸着法により1500Å厚の酸化ケイ素の薄膜を形成する。次に
、第2のPETフィルム(13μm)の片面にウレタン系接着剤を塗布し、接着
剤面を第1のPETフィルムの酸化ケイ素薄膜層に重ねて、第1のPETフィル
ムと第2のPETフィルムとを貼り合わせる。 次に、第2のPETフィルムのウレタン系接着剤層が形成されていない面と、
片面に印刷層を有する第3のPETフィルム(13μm厚)の印刷層面との間に
、ポリエチレン(S−PE)を12μm厚のフィルム状に押し出しながら両者を
積層する。 最後に、第1のPETフィルムの酸化ケイ素薄膜層が形成されていない面にポ
リエチレンを50μmに押し出しコーティングする。 こうして、以下の構成を有する積層包装材料が得られる。 第3のPETフィルム/印刷層/S−PE/第2のPETフィルム/ウレタン
系接着剤/SiO−第1のPETフィルム/PE
【0043】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、無機または金属化合物薄膜層を有する基
体シートに熱接着性樹脂を押し出しコーティングしても、無機または金属化合物
薄膜層に亀裂が生じることがなく、十分なガスバリヤー性を有するので、内容物
の保護を図ることができる。そして、得られる包装材料は透明とすることが可能
であるので、内容物を透視することが可能であり、包装材料として広い用途に用
いることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機または金属化合物の透明薄膜層を形成した基体シートの該透明薄膜層上に
    熱接着性樹脂層を押し出しコーティングして積層するにあたり、前記透明薄膜層
    上に、少なくとも10μmのプラスチックフィルムをドライラミネート法または
    ノンソルベントラミネート法により加熱することなく積層して熱緩衝層を形成し
    、その後熱緩衝層上に熱接着性樹脂層を押し出しコーティングすることを特徴と
    する、積層包装材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 無機または金属化合物の透明薄膜層が、酸化ケイ素の真空蒸着層である、請求
    項1に記載の積層包装材料の製造方法。

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