JP2663321B2 - 廃棄物焼却炉から排出される塩化水素ガスの除去方法 - Google Patents
廃棄物焼却炉から排出される塩化水素ガスの除去方法Info
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Description
法に関するものである。
汚染防止法に基づき有害物質の排出基準が定められてお
り、一般に廃棄物焼却場から排出される塩化水素ガスの
除去、回収が行われている。その方法としては、中和剤
(処理材)として消石灰、生石灰、炭酸カルシウム等を
粉体状、あるいはスラリー状にして、廃棄物焼却により
発生する排ガス中の塩化水素ガスと接触させることによ
り該ガスを吸着させ、排ガス中の塩化水素ガス吸着した
該中和剤(処理材)とばいじんの混合物を電気集塵機等
の集塵施設で回収している。これら中和剤とばいじんの
混合物の処理については、該混合物を灰ピットや冷却水
槽等にて回収後、沈殿あるいは脱水分離等を行った後、
埋立等の処理を行う方法がある。また、別の方法として
カ性ソーダ等のアルカリ水溶液に塩化水素ガスを吸収さ
せて中和する湿式法もある。
処理では、廃棄物焼却場から排出される塩化水素ガスの
濃度が廃棄物等によっては高濃度になる場合があり、こ
の場合通常の中和剤量で中和させるのみでは塩化水素ガ
スを十分除去できず、除去率の低下に伴い排出基準値を
越えたり、そのため多量の中和剤を使用すると、高コス
トおよび電気集塵機等の集塵施設による排ガス中の塩化
水素ガスを吸着した該中和剤(処理材)とばいじんの混
合物(以下単にばいじんと表現することもある)の回収
能率が低下するという問題があった。また、前記方法に
おいて生石灰を用いる場合、生石灰は禁水物質であるの
でその取扱いに注意を要する。さらに、ばいじん回収に
おいてばいじんをスクリューコンベア等などで移送する
場合に、該設備に溶出されたカルシウムによってスケー
ルが発生し、清掃が必要であり、また、湿式のばいじん
冷却装置や冷却水槽等の湿式ばいじん回収装置を使用す
るとばいじん汚水の処理が必要となり、その際にばいじ
ん汚水の送水配管内にも、溶出されたカルシウムによっ
てスケールが発生し、閉塞を起こす等の問題がある。
は、中和槽廃水処理設備の設置により設備が複雑、高価
なものとなるとともに、排水の管理も必要になる。以上
の点に鑑みて本発明は、効率良く、簡単な方法によって
廃棄物焼却時に発生する塩化水素ガスを処理する方法を
提供することを目的とするものである。
に発生する塩化水素ガスを、珪酸カルシウム水和物から
なり、しかも多孔質粉粒体の多孔中に水分を保持した多
孔質粉粒体と接触させ、該塩化水素ガスを前記水分に溶
解させることにより除去し、多孔質粉粒体をばいじんと
共にばいじん回収設備で回収することを特徴とする廃棄
物を焼却処理する方法である。本発明に使用する珪酸カ
ルシウム水和物からなる多孔質粉粒体としては、例えば
シリカのような珪酸質原料と石灰、セメントのような石
灰質原料とを混合してスラリー状にしたものをそのまま
高温高圧水蒸気養生、あるいは該スラリーに発泡剤、起
泡剤などの気泡生成剤をも混合したスラリー状物を型枠
内で硬化した後、高温高圧水蒸気養生してなる無機多孔
質の人工鉱物等を挙げることができる。
和物の具体的成分としては、トバモライト、ゾノトライ
ト、CSHゲル等珪酸カルシウム水和物の一種または二
種以上を主成分とするものを挙げることができる。上記
珪酸カルシウム水和物からなる多孔質粉粒体の粒径は特
に限定はされないが粒径2mm以下、比表面積5m2/
g(BET法)以上が好ましい。これらは含水率が高
く、多孔中に水分を保持する。
粉粒体の使用量は塩化水素ガスの排出基準値以下になる
ように適宜調整すればよい。一般的に廃棄物の焼却処理
において、焼却炉から発生した塩化水素ガスは焼却炉か
ら煙道を経て集塵設備にてばいじんを回収した後煙突な
どから屋外に排出される。本発明においては、該珪酸カ
ルシウム水和物からなる多孔質粉粒体と発生した塩化水
素ガスとの接触は、電気集塵機などのばいじん回収設備
の手前であれば、工程中いずれの箇所においてでもよい
が、具体的には焼却炉中、図1に示すような煙道中、あ
るいはあらかじめ焼却前廃棄物中に混合する等がある。
さらにそれらを組み合わせて一カ所または二カ所におい
て使用してもよい。
生する塩化水素と同時にばいじんも大幅に除去、回収す
ることができる。さらに、予め焼却前廃棄物に混合すれ
ば、廃棄物の悪臭除去効果も期待できる。
に比べて塩化水素ガスの除去能率が向上する。これは次
の作用による。 多孔体であるため表面積が大きく、塩化水素ガス、ば
いじんとの接触面積が大きい。 多孔体であるため、見かけ状粉体であるにも係わらず
含水率が高く、水分を保持する。そのため、水への溶解
度が高い塩化水素ガスを効果的に吸収、除去することが
できる。 珪酸カルシウム水和物はアルカリ性であるため、塩化
水素ガスと中和反応させることができる。以上の作用と
共に、本発明の構成によると、次の優れた作用も発揮
し、廃棄物焼却施設に簡単に使用できる。 石灰質の物質に比べて、水へのカルシウム溶解度が小
さい。そのため、回収したばいじん(当然に珪酸カルシ
ウム水和物からなる多孔質粉粒体も含有されている)の
処理設備やばいじんの汚水処理設備内で、固化して閉塞
させるなどの問題を起こさない。 無機質の安定物質からなり、耐熱性を有するので使用
箇所の制限がない。 多孔質の軽量粉粒体であるため、空気輸送、乾式等に
おいての噴霧等が容易である。その上、回収した珪酸カルシウム水和物からなる多孔
質粉粒体も含有されているばいじんについて実施した環
境庁告示第13号に定められた物質の各種溶出量は、い
ずれも定量下限値以下であり、基準検出値を大幅に下回
るという優れた作用を発揮する。
明する。
用された珪酸カルシウム水和物からなる多孔中に水分を
保持した多孔質粉粒体には、珪酸質原料65wt%と石
灰質原料35wt%とを主原料とするスラリーにアルミ
ニウム粉末を添加して発泡、硬化させた後、高温高圧に
おいて水熱反応処理して得られたCSHゲル、トバモラ
イトを粉砕機で粉砕し、それを粒度調整したものを用い
た。粒径は2mm以下、比表面積は40m2/g(BE
T法)であった。
使用して、上記珪酸カルシウム水和物からなる多孔質粉
粒体を塩化水素除去材とした焼却処理試験を行った。図
1は焼却処理設備の模式図である。図1において、1は
焼却炉、2は煙道、3は冷却装置、4は電気集塵機、5
は煙突、6は多孔質粉粒体噴出口、7はサンプル採取口
である。
焼却し、そこから発生した塩化水素ガスを含有した気体
は煙道2を経た後、ばいじん回収用の電気集塵機4の能
力確保のために冷却装置3で気体を冷却し、電気集塵機
4を経て煙突5から排出される。珪酸カルシウム水和物
からなる多孔質粉粒体は多孔質粉粒体噴出口6から16
Kg/hrで供給し、電気集塵機4でばいじんと共に回
収される。その焼却処理の際に排出される塩化水素ガス
を含有した気体をサンプル採取口7から一定流量でサン
プリングし、塩化水素ガス濃度を測定した。また、円筒
ろ過法によりばいじん量測定を行った。この結果を表1
に示す。
口6から消石灰を16Kg/hrの割合で供給した以外
は、実施例と同様の方法で焼却処理を、また比較例2と
して、多孔質粉粒体を添加しない以外は実施例と同様の
方法で焼却処理を行い、それぞれ排出される気体中の塩
化水素ガス濃度測定(ppm)およびばいじん量測定
(g/Nm 3 )を行った。この結果を表1に示す。
実施例1の排ガス中の塩化水素濃度は低かった。以上の
事実は、珪酸カルシウム水和物からなる多孔質粉粒体
が、焼却処理により発生する塩化水素を回収する能力に
優れていることを示す。実施例1で回収した珪酸カルシ
ウム水和物からなる多孔質粉粒体も含有されているばい
じんについて、環境庁告示第13号に定められた溶出試
験を行ったところ、定められた物質の各種溶出量はいず
れも定量下限値以下であり、基準検出値を大幅に下回る
結果であった。
使用した各々の粉体を5重量%で水中浸漬し、それぞれ
実施例2、比較例3として、カルシウムの溶出量をED
TA滴定法によって求めた。この結果を表2に示した。
表2に示すように、実施例2は比較例3に比べてカルシ
ウム溶出量が少なかった。以上の事実は、スケールによ
る閉塞等の要因となるカルシウム溶出量が減少すること
になり、回収されるばいじん処理の際のスクリューコン
ベア等のばいじん移送装置のスクリュー等への固結、ば
いじん汚水系統設備等の閉塞、固化が解消されることを
示す。
理の際発生する塩化水素ガスを効率よく除去すると共
に、ばいじん量を減少せしめて焼却に伴う環境の悪化を
防止することができる。即ち、廃棄物焼却時に発生する
塩化水素ガスを、珪酸カルシウム水和物からなる含水し
た多孔質粉粒体と接触させると、多孔質粉粒体が含有す
る水分に瞬時に溶解し、アルカリ性を有する珪酸カルシ
ウム水和物が優れた塩化水素ガスを除去する能力を発揮
するのである。焼却処理に際して廃棄物の質、量に係わ
らず中和糟廃水処理設備の設置、排水の管理等を必要と
せず簡易に処理できるという優れた効果を発揮する。ま
た、本発明の方法で用いる珪酸カルシウム水和物からな
る多孔質体は無機質からなるため、分解等により有害物
質の発生及び生石灰のように危険物質ではなく、また、
多孔中に水分を保持しているため、水易溶解性の塩化水
素ガスを効果的に吸収できる。また、ばいじんを回収す
る場合や移送する場合、それに珪酸カルシウム水和物か
らなる多孔質体が含有されていても、そこから発生する
スケール等による閉塞、固化を起こすことがない。即
ち、回収されるばいじん処理の際のスクリューコンベア
等のばいじん移送装置のスクリュー等への固結、汚水系
統設備等の閉塞、固化が解消される。 その上、回収した
珪酸カルシウム水和物からなる多孔質粉粒体も含有され
ているばいじんについて実施した環境庁告示第13号に
定められた物質の各種溶出量は、いずれも定量下限値以
下であり、基準検出値を大幅に下回るという優れた効果
を発揮する。
孔質体を焼却前廃棄物に予め混合すれば、廃棄物の悪臭
除去効果も得られる。
Claims (1)
- 【請求項1】 廃棄物焼却時に発生する塩化水素ガス
を、珪酸カルシウム水和物からなり、しかも多孔質粉粒
体の多孔中に水分を保持した多孔質粉粒体と接触させ、
該塩化水素ガスを前記水分に溶解させることにより除去
し、多孔質粉粒体をばいじんと共にばいじん回収設備で
回収することを特徴とする廃棄物を焼却処理する方法。
Priority Applications (1)
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JP4253373A JP2663321B2 (ja) | 1991-09-24 | 1992-09-24 | 廃棄物焼却炉から排出される塩化水素ガスの除去方法 |
Applications Claiming Priority (3)
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---|---|---|---|
JP3-242220 | 1991-09-24 | ||
JP24222091 | 1991-09-24 | ||
JP4253373A JP2663321B2 (ja) | 1991-09-24 | 1992-09-24 | 廃棄物焼却炉から排出される塩化水素ガスの除去方法 |
Publications (2)
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JPH05220343A JPH05220343A (ja) | 1993-08-31 |
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Family Applications (1)
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JP4253373A Expired - Fee Related JP2663321B2 (ja) | 1991-09-24 | 1992-09-24 | 廃棄物焼却炉から排出される塩化水素ガスの除去方法 |
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1992
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