JP2662699B2 - スリッターナイフ - Google Patents

スリッターナイフ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、磁気テープあるいは金属箔等を切断する
スリッターナイフに係り、特に良好な切り口が得られ、
長時間の使用に耐えるスリッターナイフに関する。
〔従来の技術〕
従来のスリッターナイフは第3図及び第4図に示すよ
うに、上刃ホルダ2に保持された上刃1と下刃3とは、
それぞれ一定の間隔で上刃軸4と下刃軸5とに配設され
ている。上刃軸4と下刃軸5とは完全に平行にスリッタ
ー装置本体に架設される。磁気テープあるいは金属箔6
は、この上刃1と下刃3との間を走行し切断される。
この上刃1と下刃3との組み合わせの従来の型式は、
第1図に示す上下刃の接する面が平坦であるストレート
タイプと、第2図に示す下刃が平坦なストレートタイプ
で、上刃は3〜5゜の角度を有する皿型タイプとの二つ
の型式に分けることができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
磁気テープ等の切断では、下刃3の厚み寸法が製品寸
法の基準になるから、下刃単体の厚み精度は±1.0μm
以下、組み立て精度(累積ピッチ誤差)は20〜30μmに
押さえられている。
第1図に示す上下ストレートタイプのナイフでは、上
刃1はコイルばねあるいは皿ばねによって下刃3側に押
しつけられる。この場合下刃3に累積誤差があること、
またコイルばねあるいは皿ばねによりある程度以上の側
圧を与えないとテープを切断する際の抵抗によって、上
刃1が逃げてしまうので、これを防ぐために上下刃が全
数接触した後にも更に30〜200μm程度上刃軸4を押し
込むことにより側圧を与えている。従って、ストレート
タイプの上下刃では第5図及び第6図に示すように上刃
軸の押し込みと共にB点を支点として上刃先が下刃から
離れていき、テープの切断点Aでは第7図に示すよう
に、0.1〜0.6μmもの隙間が生じる。その結果、テープ
の切り口としては良好なものが得られず、組み込み調整
をやり直さなければならない等の問題点があった。
次に、第2図に示した上刃が3゜〜5゜の皿型タイ
プ,下刃がストレートタイプの組み合わせでは、上刃に
3゜〜5゜という角度がついているため、刃の高さのば
らつきが大きい。この上刃を下刃に全数接触させるため
には、より強度の強いバネを必要とすると共に、上刃軸
の押し込みも必然的に大きくならざるを得ず、ナイフ刃
先には過大な力が加わり、ナイフ刃先ではチッピング等
の不具合いが生じ、テープの切り口が悪化し、頻繁に再
研磨をしなければならないという問題点があった。
この発明の目的は、過大な側圧(押し込み)を必要と
せず、適正な側圧(上刃軸の押し込み)をかけてもテー
プ切断点に隙間が生ぜず、良好な切り口のテープを供給
できると共に、適正な側圧によりチッピング等を少なく
することができ、長寿命のナイフを提供せんとするもの
である。
〔課題を解決するための手段〕
上下2枚の刃によって形成され、上刃ホルダに保持さ
れた上刃と下刃とは、それぞれ一定の間隔で上刃軸と下
刃軸とに配設されたスリッターナイフにおいて、ストレ
ートタイプの上刃の刃先測の側面が凹になるように、0.
012゜〜0.24゜の微小角度を設けたものである。
〔実施例〕
ストレートタイプの上刃は超硬合金のような焼結合金
ダイヤモンド砥石により両面研磨し、更にダイヤモンド
砥粒で数段階にわたりラッピング加工を行い、最終的に
はラッピング加工、又はポリシング加工により、平坦で
且つ鏡面な面を形成している。これらの加工による残留
応力としてナイフ表面には圧縮応力が残留する。この残
留応力は加工方法が同じであれば、単位時間当りの加工
量が大きいほど大きい傾向にあり、加工の順序からすれ
ば前加工ほど大きい傾向にある。
即ち、研磨加工>粗ラッピング加工>中仕上げラッピ
ング加工>仕上げラッピング加工、又は仕上げポリシン
グ加工となる。
また、一般にラッピング加工は両面が同時に加工され
るため、両面の残留応力はほぼ等しく、応力のバランス
がとれているため、両面はストレートになっている。
この状態で片面のみにラッピング加工仕上、又はポリ
シング加工仕上げを施すと、両面の応力バランスがくず
れ、ラッピング仕上面、又はポリシング仕上げ面が凹む
方向に角度がつく。従って、ラッピング仕上、又はポリ
シング仕上げ加工前の加工条件、及びラッピング仕上、
又はポリシング仕上げ加工条件をコントロールすること
で、任意の微小角度をナイフに形成することができる。
微小角度を有する上刃は次のような利点がある。
(i)研磨加工と異なり、ラッピング加工,ポリシング
加工で仕上げを行っているので、ナイフの平行度,平坦
度が優れており、刃高さのばらつきが研磨仕上げに比較
して非常に少ない。
(ii)上下刃の組み込み、側圧の付与に際し、比較的少
ない側圧(上刃軸の押し込み)で全数のナイフを接触さ
せることができる。
(iii)テープ切断時の上刃の逃げを防ぐための一層の
側圧(上刃軸の押し込み)でも、テープ切断部では上下
刃の刃先が開かず、密着した状態になっているから、良
好な切り口が得られると共に、前記(ii)項の理由によ
り刃先でのチッピングが減少する。
なお、実験結果を次の表1で表わす。表中○は通常の
度合を示し、◎印は著効であることを示す。
〔発明の効果〕 前述のようにストレートタイプ上刃(薄刃)の刃先測
となる側面に0.012゜〜0.24゜という微小角度を付与す
ることにより、従来技術の欠点であった切断開始部で上
下刃の間に隙間が発生し、切り口が悪くなるという欠
点、あるいは過大な側圧により刃先にチッピングが発生
しやすいという欠点を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、上下ストレートタイプのナイフの正面図、第
2図は上刃が皿型タイプのナイフの正面図、第3図はス
リッターナイフの正面図、第4図は同側面図、第5図は
ストレートタイプのナイフがテープを切断する状態を示
す説明図、第6図は第5図の側面図、第7図は押し込み
量と噛み込み量と切断開始部での刃先の隙間の関係を表
わす図表である。 1……上刃、 2……上刃ホルダ、 3……下刃、 4……上刃軸、 5……下刃軸。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上下2枚の刃によって形成され、上刃ホル
    ダに保持された上刃と下刃とは、それぞれ一定の間隔で
    上刃軸と下刃軸とに配設されたスリッターナイフにおい
    て、ストレートタイプの上刃の刃先側の側面が凹になる
    ように、0.012゜〜0.24゜の微小角度を設けたことを特
    徴とするスリッターナイフ。
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