JP2662682B2 - ワイヤ電極自動供給装置 - Google Patents

ワイヤ電極自動供給装置

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JP2662682B2 JP1010192A JP1010192A JP2662682B2 JP 2662682 B2 JP2662682 B2 JP 2662682B2 JP 1010192 A JP1010192 A JP 1010192A JP 1010192 A JP1010192 A JP 1010192A JP 2662682 B2 JP2662682 B2 JP 2662682B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワイヤ放電加工機にお
けるワイヤ電極自動供給装置に関し、特にワイヤ電極の
自動供給中のリトライ動作に関連する技術に関するもの
である。ここで、「リトライ(retry)」とは、ワ
イヤ放電加工の開始前または加工中のワイヤ電極の断線
時においてワイヤ電極を自動供給する場合、何らかの原
因により供給障害があるため正常に供給できないとき、
再度自動供給を行う操作をいう。
【0002】
【従来の技術】図8は従来のワイヤ電極自動供給装置の
概略図であり、図において、1はワイヤ放電加工機で加
工される被加工物、2は被加工物1を加工するためのワ
イヤ電極、3は上部プーリ、4はワイヤ電極2を送り出
すための上部送りローラ、5は上部送りローラ4に接続
され、ワイヤ電極2を送り出すための駆動力を得る上部
送りモータ、6はワイヤ電極2の垂直方向の案内を規制
する水柱を作り出すためのジェットノズルまたは上部ノ
ズル、7はジェットノズル6に供給される加工液、8は
ジェットノズル6と加工液7により作られる水柱、9は
ワイヤ電極2を上部で支える上部ダイスまたは上部ガイ
ド、10はワイヤ電極2を下部で支える下部ダイスまた
は下部ガイド、11は水柱8を受ける下部ノズル、12
は上部送りモータ5のモータ負荷電流を検出分析し、負
荷電流が増えた場合には何らかの挿入障害が発生してい
るとしてワイヤ電極2の送りを不可能と判断するリトラ
イ検出機構、13はリトライが発生した場合に送り出し
たワイヤ電極2を切断、回収するためのワイヤ切断排除
機構、14は作業者に機械の状態を表示するための表示
装置、15はリトライ検出機構12からの信号などを取
り込み、上部送りモータ5,ワイヤ切断排除機構13な
どに指令を与えるなどしてワイヤ電極自動供給装置全体
を制御し、ワイヤ電極の自動挿入動作を実現する数値制
御装置である。
【0003】図9はワイヤ電極自動供給装置の処理を示
す流れ図で、16はジェットノズル6に加工液7を注入
し水柱8を発生させる処理、17は上部送りモータ5に
信号を与え、上部送りローラ4を回転させる処理、18
は上部送りモータ5の負荷電流を検出し、負荷があると
判断した場合はリトライ動作へ移行させるリトライ判断
処理、19はワイヤ電極2が最終端まで張架されたかど
うかを判断し、最終端まで張架された場合は完了動作へ
移行させる判断処理、20はワイヤ電極2が最終端まで
張架された場合に加工液7の供給を切り、上部送りモー
タ5も停止させる処理、21はリトライ動作開始前に加
工液7,上部送りモータ5を停止させる処理、22はワ
イヤ切断排除機構13にワイヤ電極2の切断指令と切断
したワイヤ電極を排出させる処理、23は今までのリト
ライ回数をカウントし、所定の回数を行った場合はエラ
ー処理へ移行し、そうでなかった場合はワイヤ電極自動
供給動作を再度実行するように移行する処理、24はエ
ラーをセットしてワイヤ電極自動供給動作を中止する処
理である。
【0004】図10はワイヤ電極自動挿入動作中に、下
部ダイス10の部分にスラッジなどが付着し、ワイヤ電
極2が下部ダイス10の部分を通過しようとしても通過
できず、ワイヤ電極2が水柱8からはみ出して、上部送
りモータ5の負荷電流が増え、リトライ動作へ移行を開
始する様子を説明する説明図である。
【0005】図11はワイヤ電極自動挿入動作中にワイ
ヤ電極2が上部ダイス9で引っかかり、上部送りモータ
5の負荷電流が増え、リトライ動作へ移行を開始する様
子を説明する説明図である。
【0006】次に動作について図8から図11を用いて
説明する。図8のようにワイヤ電極自動供給装置は、数
値制御装置15により制御されており、図9に示す処理
の流れに従って動作を行っている。ワイヤ電極2の自動
供給動作が開始されると、まず図9の処理16が実行さ
れ、ジェットノズル6に加工液7が供給され、下部ノズ
ル11に向けて水柱8が形成される。次いで処理17に
より上部送りモータ5に電圧が印加され、上部送りロー
ラ4によりワイヤ電極2が水柱8の中に送り込まれる。
ワイヤ電極2は上部ダイス9を通過後、水柱8により進
行方向を規制されつつ案内され、下部ノズル11内の下
部ダイス10へと送り出される。その後ワイヤ電極2は
最終端まで送り込まれ、処理19により完了と判定され
ると処理20により加工液7と上部送りモータ5が止め
られ、ワイヤ電極の自動供給動作を完了する。なお、下
部ダイス10を通過するまでの間は上部送りモータ負荷
電流検出機構12により上部送りモータ5の状態が常に
監視されている。
【0007】今、下部ダイス10部分にスラッジや埃、
ゴミなどが付着している場合にワイヤ自動供給動作を行
うと、ワイヤ電極2は下部ダイス10の部分までは正常
に送り出されるが、下部ダイス10に到達すると通過す
ることができず、水柱8よりはみ出しを起こして図10
のような状態になる。上部送り出しが続けられると送ら
れる先が動かないために上部送りモータ5のモータ負荷
電流が上昇を始める。モータ負荷電流が上昇すると負荷
電流検出機構12により数値制御装置15にリトライ信
号として信号が入力される。リトライ信号が入力される
と処理18によりリトライ処理へ動作の移行を開始す
る。また、図11のように上部ダイス9の部分をワイヤ
電極2が通過できなかった場合も、同様にワイヤ電極を
送り出すことで上部送りモータ5のモータ負荷電流が増
えるためリトライ動作へ移行する。リトライ動作にあた
っては、まず処理21により加工液7と上部送りモータ
5が止められる。次いで処理22によりワイヤ切断排除
機構13にワイヤ電極2の切断指令と回収指令が送られ
る。切断指令が出力されると、ワイヤ切断排除機構13
によりワイヤ電極2の切断動作と切断されたワイヤ電極
2の残りの部分の回収動作が行われる。切断と回収が終
わった時点でワイヤ電極2は自動供給動作を開始する前
と同じ状態になる。次いで処理23によりリトライ回数
が判定され、所定の回数未満の場合は処理16に移行し
てワイヤ電極自動供給動作を始めより開始する。リトラ
イ回数が所定の回数以上の場合は自動供給動作続行が不
可能と内部で判断し処理24に移行する。処理24では
ワイヤ電極自動供給動作が成功しなかったことを図8の
表示装置14上にエラーメッセージとして表示する。な
お、エラーによりワイヤ電極自動供給装置が停止した場
合は、自動供給動作を開始する前の状態と同一状態で停
止する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来のワイヤ電極自動
供給装置は、上記のように構成されているので、リトラ
イエラーが発生してワイヤ電極自動供給装置が停止した
場合に、その原因を確認することが困難であった。すな
わち、リトライの原因が偶発的に発生したものか、起こ
るべくして発生したものか判断がつかず、またどこの位
置で供給障害を起こしているかも識別することができな
いものであった。そのため、ワイヤ電極自動供給装置の
全ての箇所を清掃し、調整し直さなければならないとい
った課題があった。このことは清掃箇所、調整箇所が多
いワイヤ電極自動供給装置の場合、それに要する時間が
かかり、連続無人自動加工を効率的に行うワイヤ放電加
工装置にとって稼動率を低下させ、またワイヤ電極自動
供給装置の全体的な清掃、調整などの保守を必要とする
ことから作業効率を低下させる原因にもなっていた。
【0009】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、まずリトライ発生の原因を分析確
認し、それが偶発的原因以外の原因に基づく場合、その
原因によりワイヤ電極の供給障害を起こしている供給経
路上の位置を的確に検知できるようにしたワイヤ電極自
動供給装置を得ることを目的とする。本発明の他の目的
は、ワイヤ電極の供給障害が多発する点検すべき箇所を
作業者に明確に知らしめることにある。本発明のさらに
他の目的は、ワイヤ電極の供給障害となる原因を取り除
く清掃手段を設けることにより次回のワイヤ電極自動供
給動作を支援し、そのワイヤ電極自動供給動作の成功確
率を高めることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明において、まず、
リトライが偶発的原因以外の原因により発生していると
高い確率でもって推定可能であり、しかもその原因に基
づくリトライ発生位置、つまりワイヤ電極の供給経路上
における障害位置を検知するため、本ワイヤ電極自動供
給装置は下記のように構成される。すなわち、上部ノズ
ルより下部ノズルに向けて加工液を柱状に噴出する加工
液噴出手段と、噴出された液柱の中にワイヤ電極を送り
出すワイヤ送り手段と、該ワイヤ送り手段のモータにか
かる負荷を検出する負荷検出手段と、該負荷検出手段の
負荷の有無によりワイヤ電極の送りを不可とするかどう
かを判断するリトライ判断手段と、ワイヤ電極の送りが
不可と判断された場合に、リトライ動作を実行する前
に、送り出したワイヤ電極の長さを検出するワイヤ送り
長さ検出手段と、送り出したワイヤ電極を切断、排出す
るワイヤ切断排除手段と、ワイヤ送り長さ検出手段によ
り検出したワイヤ送り長さを蓄積する長さデータ格納手
段と、ワイヤ送り長さ検出手段によるリトライ発生時の
ワイヤ送り長さを長さデータ格納手段に記憶された過去
の長さデータの中から検索し比較する比較手段と、その
長さデータの比較結果からデータの分散状態を判定し、
その判定結果が集中分布の場合、その集中的に発生する
リトライ発生位置を設定するデータ分析判断手段とを有
するものである。
【0011】次に、上記障害位置すなわち点検すべき位
置を作業者に知らしめるため、本発明に係るワイヤ電極
自動供給装置は、上記データ分析判断手段により特定さ
れるリトライ発生位置を表示装置上に表示するものであ
る。
【0012】また、他の本発明によれば、上記ワイヤ送
り手段を上部ガイドより下部ガイドにワイヤ電極を自動
的に案内挿入する構成とすることができ、またリトライ
発生時に、送り出したワイヤ電極を切断、排出すること
なく再挿入を繰り返す構成にすることができる。
【0013】次に、ワイヤ電極の供給障害となる原因を
取り除くため、付加的にワイヤ電極の供給経路上の各部
を清掃する清掃手段を設け、該清掃手段により上記デー
タ分析判断手段により特定されるリトライ発生位置を清
掃するようにする。
【0014】また、他の本発明によれば、上記リトライ
発生位置は上記ワイヤ送り長さ検出手段により検出した
ワイヤ送り長さにより判断することができ、上記清掃手
段を早い機会に動作させ、供給障害の原因の早期除去を
可能にする。
【0015】上記清掃手段に対しては清掃時間と清掃方
式により定められる清掃モードを設定することができ、
またこの清掃モードは、蓄積された長さデータと今回の
送り長さを分析することにより前回と異なるものを設定
することができる。
【0016】
【作用】リトライが発生するたびごとに、ワイヤ電極の
送り長さを検出し、その長さを格納する。リトライ発生
時に検出したワイヤ送り長さを過去に蓄積された長さデ
ータの中から検索し比較することにより、データの分散
状態が判る。その結果、集中分布と判明すれば、ワイヤ
電極の供給障害を起こした原因が偶発的なものではな
く、その箇所にスラッジや埃、ゴミなどが付着した結果
によるものであることが十分に推定することができる。
こうして点検すべき箇所が判明し、さらにその点検箇所
を表示装置に表示することで作業者に的確な指示を与え
ることが可能になる。点検すべき箇所が判明すれば、そ
の箇所に対応する清掃手段を働かせることで、部分的に
集中して清掃することが可能になり、スラッジなどを除
去し、次に行うリトライを支援し、ワイヤ電極の自動供
給動作の成功確率が高くなる。また、清掃手段の清掃モ
ードをリトライの発生状況に応じて前回と異なるもの、
例えば前回が間欠モードであれば今回は連続モードにす
るとか、あるいはその反対にするなどの選択を可能にす
ることにより、一層信頼性が向上する。また必要以上に
清掃時間を長くする必要もない。
【0017】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図を用いて具体的
に説明する。 実施例1.図1は本発明の実施例1によるワイヤ電極自
動供給装置の概略図であり、図において、25は上部プ
ーリ3に接続され、上部プーリ3の回転数を検出するエ
ンコーダ部、26はエンコーダ部25により検出された
回転数を元に、上部送りモータ5により送り出されたワ
イヤ電極2の長さを検出するワイヤ送り長さ検出部、2
7はワイヤ送り長さ検出部26により検出されたリトラ
イ発生時のワイヤ電極2の長さを格納する格納テーブル
である。被加工物1から数値制御装置15までは図8に
示した従来のものと同じである。
【0018】図2は実施例1の装置の内部処理を示す流
れ図で、28はリトライ発生時にワイヤ電極2の送り長
さをリトライ長さ格納テーブル27に格納するととも
に、表示装置14上のリトライカウンタをワイヤ電極2
の送り長さで判別して更新する処理、29はリトライ発
生時のワイヤ電極2の送り長さと格納テーブル27に格
納されたワイヤ電極2の長さを比較し、リトライ動作へ
移行するかどうかを判定する処理、30は処理29によ
り判定された結果を元に分岐する処理、31は処理29
内で分析された結果を元にワイヤ電極自動供給装置の点
検箇所を表示装置14に表示する処理である。ジェット
を入りにする処理16からワイヤ切断排除機構13に切
断回収指令を出す処理22までと、エラーにより供給動
作を停止させる処理24は図9に示した従来例と同じで
ある。
【0019】図3は図2の処理29の詳細な処理流れ図
で、32は処理18において負荷有りを検出した時点で
のワイヤ電極2の送り長さをリトライ長さ格納テーブル
27内に格納されたリトライ長さデータの中から検索す
る処理、33は処理32により一致したワイヤ電極2の
長さデータが発見できたかどうかを判定する処理で、一
致データが無い場合はリトライ判断処理へ移行される。
34は一致した長さデータが発見された場合に、その長
さデータ近辺に複数回の長さデータが有るかどうかを判
定する処理で、無い場合はリトライ判断処理へ移行され
る。35はリトライが発生した時点のワイヤ電極2の送
り長さのバラツキ(処理34の判定結果による)から、
ワイヤ電極自動供給装置のどこの部分を調整、清掃しな
ければならないかを設定する処理、36は処理30に対
してリトライをしないように設定する処理、37は処理
30に対してリトライへ移行するように指令する処理で
ある。指令回数と比較してリトライ動作を行うかどうか
の判定処理23は図9の従来例と同じである。
【0020】図4は表示装置14の画面38上に表示さ
れたワイヤ電極自動供給装置の供給状況を示す図で、画
面38上にはワイヤ電極自動供給装置の概略図と、ワイ
ヤ供給経路上の各部の表示と、それらの箇所での既に実
行された「リトライ回数」が表示されている。また、図
中の「×」印39は点検すべき箇所を表している。
【0021】次に動作について図1から図4を用いて説
明する。図1のように構成されたワイヤ電極自動供給装
置に対してワイヤ電極自動供給動作を指令すると、従来
技術と同様に、まず、ジェットノズル6に加工液7が供
給され、下部ノズル11に向けて水柱8が形成される。
次いで上部送りモータ5に電圧が加えられ、上部送りロ
ーラ4が回転してワイヤ電極2が水柱8の中に送り出さ
れる。ワイヤ電極2が送り出されると上部プーリ3も回
転し、上部プーリ3に接続されているエンコーダ部25
に信号が入力される。入力された信号は検出部26によ
りワイヤ送り長さに変換され、変換された長さは数値制
御装置15に入力される。ワイヤ電極自動供給動作は全
て数値制御装置15により制御されており、リトライが
発生するとそのワイヤ送り長さ検出部26より入力した
ワイヤ電極2の送り長さを格納テーブル27に格納す
る。
【0022】ワイヤ電極自動供給動作の処理の流れにつ
いて図2,図3を用いて説明すると、従来技術と同様に
処理16により水柱8が形成され、次いで処理17によ
りワイヤ電極2の送りが開始される。ワイヤ電極2が上
部ダイス9,下部ダイス10を通過し、最終端まで送り
出されると、処理19により完了判断がなされ、処理2
0により加工液7,上部送りモータ5が停止されて挿入
動作が終了する。ワイヤ電極2を下部ノズル11まで送
り出し中は上部送りモータ負荷電流を検出部12により
常に検出され、図10,図11のようにワイヤ電極が下
部ダイス10,あるいは上部ダイス9で引っかかりを発
生すると、負荷電流検出部12から数値制御装置15に
信号が入力される。入力された信号は処理18により監
視され、負荷有りを判断すると制御を処理21へと移行
する。次いで処理21により加工液7と上部送りモータ
5が停止される。次いで処理28により、負荷を検出し
た時点のワイヤ電極2の送り長さが検出部26より入力
され、格納テーブル27に格納される。また、図4に示
す「リトライ回数」を検出したワイヤ電極2の送り長さ
で判別して更新する。次いで処理22によりワイヤ切断
排除機構13にワイヤ電極2の切断と切断したワイヤ電
極2の切りかすの回収が指令される。ワイヤ切断排除機
構13により切断回収された後のワイヤ電極自動供給装
置の状態は、供給動作を行う前と全く同一の初期状態に
戻される。初期状態に戻された後処理29が実行され、
リトライへ移行するかどうかの判定処理を行い、処理3
0により判定動作が行われる。リトライへ移行する場合
は処理16より順次供給動作を始めから開始する。リト
ライ動作を中止する場合は処理24により停止が指令さ
れ、処理31により図4に示すように「点検」箇所と点
検すべき位置をワイヤ電極自動供給装置の概略図上に
「×」印39で表示装置14上に表示する。
【0023】処理29の内部は図3に示す処理流れ図に
より制御される。まず、処理32により今格納したワイ
ヤ電極2の送り長さが以前に格納した長さデータと同一
のものがないかを検索する。次に処理33により同一デ
ータが存在しない場合は処理23の判定処理に移行され
る。処理23では従来と同様にリトライの回数を判断
し、指定回数を越える場合は処理36に、指定回数未満
の場合は処理37にそれぞれ制御を移す。処理36では
エラーが設定され、図2の処理30によりエラー処理へ
移行する。処理37ではリトライ指令を設定し、処理3
0によりリトライ動作へ移行する。次に処理33により
同一データが検索された場合は処理34に移り、処理3
4で過去に記憶されていたデータの分散状態の判定を行
う。この判定処理34によりリトライが発生した時点で
の送り長さが特定の長さに集中している場合は処理35
に制御を移す。集中していない場合は処理23に制御を
移し、リトライへ移行するかどうかの判断を行う。処理
35では集中している送り長さよりワイヤ電極自動供給
装置のどこの部分を点検するべきかを設定する。設定さ
れた点検箇所は図2の処理31により図4のように表示
装置14上に表示する。
【0024】以上の処理を実施することで、ワイヤ電極
自動供給動作中においてリトライが複数回発生した場
合、発生箇所がワイヤ電極の供給経路上の同一地点付近
に集中しているときはそのリトライの発生が偶発的原因
によるものではなく同一原因によるものであると十分に
推定することができ、しかもその発生箇所を表示装置の
概略図上に表示して停止するために、作業者はその表示
された箇所について清掃、調整を行い、再度ワイヤ電極
自動供給動作を行わせることが可能になり、従来に比べ
ると、はるかに短い時間で復旧作業が完了し、作業効率
が向上するとともに稼動効率を向上させることができ
る。
【0025】実施例2.図5は本発明に実施例2の概略
図である。同図における41は上部ダイス9の部分を洗
浄するための洗浄ノズル、42は上部ノズル6のノズル
部分を洗浄するための洗浄ノズル、43は下部ダイス1
0の部分を洗浄するための洗浄ノズル、44は数値制御
装置15からの指令により上部ダイス洗浄ノズル41,
上部ノズル洗浄ノズル42,下部ダイス洗浄ノズル43
にそれぞれ洗浄液(加工液を含む)を噴出して、付着し
ているスラッジや埃、ゴミなどを除去する洗浄機構であ
る。その他の構成部分は図1と同一のものである。
【0026】図6は実施例2の内部処理を示す流れ図
で、45はリトライ発生時のワイヤ電極2の送り長さを
リトライ長さ格納テーブル27に格納する処理、46は
リトライ発生時のワイヤ電極2の送り長さと格納テーブ
ル27に格納された長さデータを比較し、洗浄時間を長
短自動的に設定したり、間欠噴射間隔を自動設定したり
する洗浄方式の選択処理、47はリトライ長さ格納テー
ブル27内のデータを分析し、上部ダイス9,上部ノズ
ル6,下部ダイス10のどこの部分を洗浄するかを選択
する処理、48は上部ノズル6を洗浄指令する処理、4
9は上部ダイス9を洗浄指令する処理、50は下部ダイ
ス10を洗浄指令する処理である。その他の構成部分は
図2と同一のものである。
【0027】図7は図6の処理46の詳細を示す処理流
れ図で、51は処理18により負荷有りを検出した時点
でのワイヤ電極2の送り長さをリトライ長さ格納テーブ
ル27内に格納された長さデータの中から検索する処
理、52は処理51により一致したワイヤ電極2の長さ
データが発見できたかどうかを判定する処理、53は初
めてのリトライ動作を行う場合の初期データ設定処理、
54は処理51により検索された結果を元に洗浄時間
と、間欠洗浄の場合間欠時間を設定する処理、55は前
回が間欠洗浄をしたかどうかを判定する処理、56は連
続的に洗浄動作を行うモードを設定する処理、57は間
欠的に洗浄動作を行うモードを設定する処理である。
【0028】次に実施例2の動作について図5から図7
を用いて説明する。処理16から処理24までの動作は
実施例1と同じである。実施例2においては、ワイヤ電
極2の供給動作を行う前に、処理46によりリトライの
発生原因と考えられる箇所の自動洗浄が実施される。処
理46の詳細な動作は図7のようになっている。まず、
処理51によりリトライ長さ格納テーブル27内のデー
タを検索する。次いで処理52により、以前にリトライ
が発生したかどうかの判定が行われる。以前にリトライ
が発生していない場合は処理53により自動洗浄の初期
データが設定される。設定されるデータは洗浄時間と洗
浄方式である。以前にリトライが発生している場合は処
理54に移行する。処理54では処理51の検索結果を
元に洗浄間隔と間欠間隔を設定する。リトライ回数が増
えるに従って洗浄時間は長く設定される。間欠間隔はラ
ンダムに設定される。洗浄時間、間欠間隔が設定される
と処理55により洗浄モードが設定される。前回が間欠
洗浄の場合、処理56に移行し、連続洗浄モードが設定
される。前回が連続洗浄の場合は処理57に移行し、間
欠洗浄モードが設定される。図7に示す洗浄方式が選択
されると、図6の処理47に移行する。処理47ではリ
トライが発生した箇所を選択し、処理48,処理49,
処理50のいずれかへと移行する。処理48では図5の
洗浄機構44に指令を与え、上部ノズル洗浄ノズル42
より洗浄液を噴出し、上部ノズル6内部を洗浄する。処
理49では同様に洗浄機構44に指令を与え、上部ダイ
ス洗浄ノズル41より洗浄液を噴出し、上部ダイス9を
洗浄し、埃やゴミなどを除去する。処理50では下部ダ
イス洗浄ノズル43より洗浄液を噴出し、下部ダイス1
0上に付着したスラッジや埃、ゴミなどを除去する。処
理48,処理49,処理50を実行した後、処理16に
移行し、ワイヤ電極2の自動供給動作を再度行う。この
ような自動洗浄処理により次に実行する供給動作を支援
することができ、信頼性の高いワイヤ電極自動供給動作
を行うことができる。
【0029】なお、上記実施例では、ワイヤ電極2を上
部ダイス9から下部ダイス10へ挿入するときの案内手
段として上部ノズル6より噴出される加工液の水柱8を
用いる場合で説明したが、例えば上下動可能なパイプガ
イドのようなものを用いてワイヤ電極を案内することも
できる。
【0030】また、リトライ発生時、送り出したワイヤ
電極2の部分を常に切断、排出することなく、上部送り
モータ5によりワイヤ電極の挿入を繰り返すようにして
も良い。
【0031】また、ワイヤ電極2の送り量の検出器とし
て上部プーリ3にエンコーダ25を接続し、検出部26
により長さに変換して用いる場合について説明したが、
ワイヤ電極の送り長さが判断できるものであれば何でも
良く、例えば上部送りモータ5に電圧を印加している時
間を用いてリトライが発生した位置を検出しても同様の
効果を得ることができる。
【0032】また、清掃手段として洗浄液による自動洗
浄方式だけでなく、圧縮エアーや吸引方式などを利用す
ることができる。清掃箇所もワイヤ電極の供給経路上で
供給の支障をきたすと予想される箇所であれば上部ノズ
ル、上部ダイス、下部ダイスの各部分に限られない。
【0033】また、上記実施例の洗浄方式では、洗浄時
間と間欠洗浄の間隔を過去のリトライ状況により変化さ
せる場合について述べたが、洗浄液圧を変化させたり、
洗浄液を吹き付ける方向を変化させるようにしても同様
の効果を得ることができる。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば下記のような効果が得ら
れる。 (1)リトライの発生時に過去に得られたワイヤ電極の
送り長さデータと比較し、データの分散状態を判定する
ことでリトライ発生が偶発的原因に基づくものか、そう
でないかを明確に検知することができる。 (2)偶発的に発生したリトライを除き、同一原因でリ
トライが発生している場合は直ちにワイヤ電極の供給動
作を停止することができるため、従来のように指定回数
を無駄にリトライ動作させる必要はないので、ワイヤ電
極自動供給装置の稼動率が向上する。 (3)点検すべき箇所を表示装置上に表示することで作
業者に対して視覚的に認識させ的確に指示することがで
きるので、従来のようにワイヤ電極自動供給装置の全て
の箇所を清掃、調整する必要がなくなり、清掃、調整箇
所が最小限になり、保守時間を短縮でき作業効率が向上
する。 (4)リトライの原因となる箇所を自動清掃するため、
次回にワイヤ電極を供給する際のリトライ発生原因を除
去することが可能で、ワイヤ電極自動供給動作の信頼性
が向上する。 (5)清掃モードを前回と異なるものに変更することで
ワイヤ電極自動供給装置の保守、メンテンナンス間隔を
変えることができ、作業者によるメンテンナンスが向上
するとともに、消耗部品以外の保守作業を省略すること
が可能となり作業効率も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1によるワイヤ電極自動供給装
置の概略構成図である。
【図2】実施例1の処理流れ図である。
【図3】図2の処理29の詳細な処理流れ図である。
【図4】実施例1のモニター画面の説明図である。
【図5】本発明の実施例2によるワイヤ電極自動供給装
置の概略構成図である。
【図6】実施例2の処理流れ図である。
【図7】図6の処理46の詳細な処理流れ図である。
【図8】従来のワイヤ電極自動供給装置の概略構成図で
ある。
【図9】従来例の処理流れ図である。
【図10】ワイヤ電極自動供給動作中に下部ダイス部分
でワイヤ電極が引っかかり、リトライ動作へ移行する場
合を示す説明図である。
【図11】ワイヤ電極自動供給動作中に上部ダイス部分
でワイヤ電極が引っかかり、リトライ動作へ移行する場
合を示す説明図である。
【符号の説明】
1 被加工物 2 ワイヤ電極 4 上部送りローラ 5 上部送りモータ 6 上部ノズル 7 加工液 8 水柱 9 上部ダイス 10 下部ダイス 11 下部ノズル 12 上部送りモータ負荷電流検出部 13 ワイヤ切断排除機構 14 表示装置 15 数値制御装置 18 リトライ判断処理 22 ワイヤ電極の切断、回収指令処理 23 リトライ回数判断処理 25 エンコーダ部 26 ワイヤ送り長さ検出部 27 長さデータ格納テーブル 28 ワイヤ送り長さ記憶処理 31 保守点検箇所表示設定処理 32 テーブル内データ検索処理 33 長さデータ比較処理 34 データ分析判断処理 35 点検箇所設定処理 41 上部ダイス洗浄ノズル 42 上部ノズル洗浄ノズル 43 下部ダイス洗浄ノズル 44 洗浄機構 45 リトライ位置記憶処理 46 洗浄方式選択処理 47 洗浄箇所選択処理 48 上部ノズル洗浄処理 49 上部ダイス洗浄処理 50 下部ダイス洗浄処理 51 テーブル内データ検索処理 54 洗浄時間、間隔設定処理 56 連続洗浄モード設定処理 57 間欠洗浄モード設定処理

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワイヤ電極の送りを不可とするかどうか
    を判断する判断手段と、 前記判断手段によりワイヤ電極の送りが不可と判断され
    た場合に、送り出したワイヤ電極の長さを検出するワイ
    ヤ送り長さ検出手段と、 前記ワイヤ送り長さ検出手段により検出したワイヤ電極
    の送り長さを記憶する長さデータ格納手段と、 前記ワイヤ送り長さ検出手段により検出した不可発生時
    のワイヤ電極の送り長さを前記長さデータ格納手段に記
    憶された過去の長さデータの中から検索し比較する比較
    手段と、 前記比較手段の長さデータの比較結果からデータの分散
    状態を判定し、その判定結果が集中分布の場合、その集
    中的に発生する不可発生位置を設定するデータ分析判断
    手段と、を具備するワイヤ電極自動供給装置。
  2. 【請求項2】 ワイヤ電極の送りを不可とするかどうか
    を判断する判断手段と、 前記判断手段によりワイヤ電極の送りが不可と判断され
    た場合に、送り出したワイヤ電極の長さを検出するワイ
    ヤ送り長さ検出手段と、 前記ワイヤ送り長さ検出手段により検出したワイヤ電極
    の送り長さを記憶する長さデータ格納手段と、 前記ワイヤ送り長さ検出手段により検出した不可発生時
    のワイヤ電極の送り長さを前記長さデータ格納手段に記
    憶された過去の長さデータの中から検索し比較する比較
    手段と、 前記比較手段の長さデータの比較結果からデータの分散
    状態を判定し、その判定結果が集中分布の場合、その集
    中的に発生する不可発生位置を設定するデータ分析判断
    手段と、 前記設定された不可発生位置を表示装置上に表示する表
    示手段と、を具備するワイヤ電極自動供給装置。
  3. 【請求項3】 ワイヤ電極を案内挿入するワイヤ送り手
    段と、 前記ワイヤ送り手段のモータにかかる負荷を検出する負
    荷検出手段と、 前記負荷検出手段の負荷の有無によりワイヤ電極の送り
    を不可とするかどうかを判断するリトライ判断手段と、 前記リトライ判断手段によりワイヤ電極の送りが不可と
    判断された場合に、リトライ動作を実行する前に、送り
    出したワイヤ電極の長さを検出するワイヤ送り長さ検出
    手段と、 前記ワイヤ送り長さ検出手段により検出したワイヤ電極
    の送り長さを蓄積する長さデータ格納手段と、 前記ワイヤ送り長さ検出手段により検出したリトライ発
    生時のワイヤ電極の送り長さを前記長さデータ格納手段
    に記憶された過去の長さデータの中から検索し比較する
    比較手段と、 前記比較手段の長さデータの比較結果からデータの分散
    状態を判定し、その判定結果が集中分布の場合、その集
    中的に発生するリトライ発生位置を設定するデータ分析
    判断手段と、 前記設定されたリトライ発生位置を表示装置上に表示す
    る表示手段と、を具備するワイヤ電極自動供給装置。
  4. 【請求項4】 ワイヤ電極の送りを不可とするかどうか
    を判断する判断手段と、 前記判断手段によりワイヤ電極の送りが不可と判断され
    た場合に、送り出したワイヤ電極の長さを検出するワイ
    ヤ送り長さ検出手段と、 前記ワイヤ送り長さ検出手段により検出したワイヤ電極
    の送り長さを記憶する長さデータ格納手段と、 前記ワイヤ送り長さ検出手段により検出した不可発生時
    のワイヤ電極の送り長さを前記長さデータ格納手段に記
    憶された過去の長さデータの中から検索し比較する比較
    手段と、 前記比較手段の長さデータの比較結果からデータの分散
    状態を判定し、その判定結果が集中分布の場合、その集
    中的に発生する不可発生位置を設定するデータ分析判断
    手段と、 ワイヤ電極の供給経路上の各部に配備され、前記データ
    分析判断手段により特定される不可発生位置を清掃する
    清掃手段と、を具備するワイヤ電極自動供給装置。
  5. 【請求項5】 ワイヤ電極を案内挿入するワイヤ送り手
    段と、 前記ワイヤ送り手段のモータにかかる負荷を検出する負
    荷検出手段と、 前記負荷検出手段の負荷の有無によりワイヤ電極の送り
    を不可とするかどうかを判断するリトライ判断手段と、 前記リトライ判断手段によりワイヤ電極の送りが不可と
    判断された場合に、リトライ動作を実行する前に、送り
    出したワイヤ電極の長さを検出するワイヤ電極の送り長
    さ検出手段と、 前記ワイヤ送り長さ検出手段により検出したワイヤ電極
    の送り長さによりリトライ発生位置を判断するリトライ
    位置判断手段と、 ワイヤ電極の供給経路上の各部に配備され、前記リトラ
    イ位置判断手段により特定されるリトライ発生位置を清
    掃する清掃手段と、を具備するワイヤ電極自動供給装
    置。
  6. 【請求項6】 ワイヤ電極の送りを不可とするかどうか
    を判断する判断手段と、 前記判断手段によりワイヤ電極の送りが不可と判断され
    た場合に、送り出したワイヤ電極の長さを検出するワイ
    ヤ送り長さ検出手段と、 前記ワイヤ送り長さ検出手段により検出したワイヤ電極
    の送り長さを記憶する長さデータ格納手段と、 前記ワイヤ送り長さ検出手段により検出した不可発生時
    のワイヤ電極の送り長さを前記長さデータ格納手段に記
    憶された過去の長さデータの中から検索するデータ検索
    手段と、 ワイヤ電極の供給経路上の各部に配備した清掃手段と、 前記データ検索手段の検索結果により不可発生位置に対
    応する前記清掃手段に対して清掃時間と清掃方式を選定
    する清掃モード設定手段と、を具備するワイヤ電極自動
    供給装置。
  7. 【請求項7】 ワイヤ電極を案内挿入するワイヤ送り手
    段と、 前記ワイヤ送り手段のモータにかかる負荷を検出する負
    荷検出手段と、 前記負荷検出手段の負荷の有無によりワイヤ電極の送り
    を不可とするかどうかを判断するリトライ判断手段と、 前記リトライ判断手段によりワイヤ電極の送りが不可と
    判断された場合に、リトライ動作を実行する前に、送り
    出したワイヤ電極の長さを検出するワイヤ送り長さ検出
    手段と、 前記ワイヤ送り長さ検出手段により検出したワイヤ電極
    の送り長さを蓄積する長さデータ格納手段と、 前記ワイヤ送り長さ検出手段により検出したリトライ発
    生時のワイヤ電極の送り長さを前記長さデータ格納手段
    に記憶された過去の長さデータの中から検索するデータ
    検索手段と、 ワイヤ電極の供給経路上の各部に配備した清掃手段と、 前記データ検索手段の検索結果により前回の清掃モード
    を判断する清掃モード判断手段と、 前記清掃モード判断手段によりリトライ発生位置に対応
    する前記清掃手段に対する次回の清掃モードを変更選択
    する清掃モード選択手段と、を具備するワイヤ電極自動
    供給装置。
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JP5180363B1 (ja) * 2011-12-22 2013-04-10 ファナック株式会社 自動結線パラメータの自動選択機能を備えたワイヤ放電加工機
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