JP2662170B2 - 半導体光スイッチング装置 - Google Patents

半導体光スイッチング装置

Info

Publication number
JP2662170B2
JP2662170B2 JP22182593A JP22182593A JP2662170B2 JP 2662170 B2 JP2662170 B2 JP 2662170B2 JP 22182593 A JP22182593 A JP 22182593A JP 22182593 A JP22182593 A JP 22182593A JP 2662170 B2 JP2662170 B2 JP 2662170B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
layer
frequency
superlattice layer
type semiconductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP22182593A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0779014A (ja
Inventor
誠 細田
浩司 冨永
敏英 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
EI TEI AARU KODENPA TSUSHIN KENKYUSHO KK
Original Assignee
EI TEI AARU KODENPA TSUSHIN KENKYUSHO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by EI TEI AARU KODENPA TSUSHIN KENKYUSHO KK filed Critical EI TEI AARU KODENPA TSUSHIN KENKYUSHO KK
Priority to JP22182593A priority Critical patent/JP2662170B2/ja
Publication of JPH0779014A publication Critical patent/JPH0779014A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2662170B2 publication Critical patent/JP2662170B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photo Coupler, Interrupter, Optical-To-Optical Conversion Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、それぞれ非線形電気吸
収効果を有するpin型ダイオードを用いた半導体光ス
イッチング装置と、上記半導体光スイッチング装置を用
いた光パルス逓倍装置と、上記半導体光スイッチング装
置を用いて光パルスの波長のみを変換する光パルス波長
変換装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】図3に従来例の光パルス逓倍装置の構成
を示す。図3に示すように、従来、入射した入力パルス
光を一旦ホトダイオード等の光電変換素子30により電
気信号に変換した後、位相同期ループ(PLL)回路付
き高周波発振器31に入力される。高周波発振器31
は、入力された電気信号をPLL回路を用いて電気的に
位相同期するとともに、当該電気信号の所定次数の高調
波である高周波信号を発生する。次いで、当該高周波信
号を用いてレーザダイオード(LD)変調器32を介し
て発光素子であるレーザダイオード33を駆動すること
によって、上記入力パルス光の周波数の整数倍である高
調波周波数を有する出力パルス光を得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来例では、次
のような欠点があり、問題点があった。 (a)電気回路31,32の部品点数が増え、装置規模
が比較的大きい。 (b)消費電力が比較的大きい。 (c)パルス光を一旦電気信号に変換し、電気回路3
1,32を用いて処理した後、レーザダイオード33を
駆動するため、出力光を得るまでの遅延時間が大きく、
また時間応答が遅い。
【0004】本発明の第1の目的は以上の問題点を解決
し、従来例に比較し構成が簡単であってかつ消費電力が
小さく、しかも時間応答が速い半導体光スイッチング装
置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は
以上の問題点を解決し、従来例に比較し構成が簡単であ
ってかつ消費電力が小さく、しかも時間応答が速い光パ
ルス逓倍装置を提供することにある。さらに、本発明の
第3の目的は以上の問題点を解決し、従来例に比較し構
成が簡単であってかつ消費電力が小さく、しかも時間応
答が速い光パルス波長変換装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1記
載の半導体光スイッチング装置は、少なくとも第1の超
格子層のサブバンドエネルギーより高いエネルギーバン
ドの高さを有するバリア層を、ガン発振効果を有して、
もしくは共鳴トンネリングと空間電荷による超格子内部
電場変調との競合過程によるキャリア輸送の振動現象を
有して高周波振動を生じさせる第1の超格子層と、電界
吸収効果を有する第2の超格子層との間に挟設してi型
半導体層を構成し、上記i型半導体層をp型半導体層と
n型半導体層との間に挟設してなるpin型ダイオード
と、上記ダイオードに逆バイアス電圧を印加する可変電
圧源とを備えた半導体光スイッチング装置であって、上
記第1の超格子層の光吸収端エネルギーより低いエネル
ギーに対応する所定の第1の波長を有する入力パルス光
が上記p型半導体層に入射される一方、上記第1の超格
子層の光吸収端エネルギーより高いエネルギーに対応す
る所定の第2の波長を有するバイアス光がp型半導体層
に連続的に入射されたとき、上記入力パルス光は上記第
1の超格子層で高周波振動を生じさせる一方、上記p型
半導体層と上記i型半導体層とを通過して上記第2の超
格子層に入射した上記バイアス光は、上記第2の超格子
層の電界吸収効果により上記高周波振動の高周波変調で
スイッチングされた後、出力光として出力されることを
特徴とする。
【0006】また、請求項2記載の光パルス逓倍装置
は、請求項1記載の半導体光スイッチング装置におい
て、上記第1の超格子層の高周波振動の周波数を、入力
パルス光のパルス繰り返し周波数の高調波の周波数とな
るように上記逆バイアス電圧が設定され、かつ上記第2
の超格子層における高周波変調の変調度が十分に高くな
るように入力パルス光のエネルギーを十分に高く設定し
て、上記入力パルス光に同期しかつ上記入力パルス光の
繰り返し周波数の高調波の繰り返し周波数を有する出力
パルス光を出力することを特徴とする。
【0007】さらに、請求項3記載の光パルス波長変換
装置は、請求項1記載の半導体光スイッチング装置にお
いて、上記第1の超格子層の高周波振動の周波数を、入
力パルス光のパルス繰り返し周波数と同一となるように
上記逆バイアス電圧が設定され、かつ上記第2の超格子
層における高周波変調の変調度が十分に高くなるように
入力パルス光のエネルギーを十分に高く設定して、上記
第1の波長を有する上記入力パルス光を、上記入力パル
ス光に同期しかつ上記バイアス光の第2の波長を有する
出力パルス光に波長変換して出力することを特徴とす
る。
【0008】
【作用】請求項1記載の半導体光スイッチング装置にお
いては、上記第1の超格子層の光吸収端エネルギーより
低いエネルギーに対応する所定の第1の波長を有する入
力パルス光が上記p型半導体層に入射される一方、上記
第1の超格子層の光吸収端エネルギーより高いエネルギ
ーに対応する所定の第2の波長を有するバイアス光がp
型半導体層に連続的に入射されたとき、上記入力パルス
光は上記第1の超格子層で、ガン発振効果により、もし
くは共鳴トンネリングと空間電荷による超格子内部電場
変調との競合過程によるキャリア輸送の振動現象により
高周波振動の光電子を生じさせる。上記高周波振動の光
電子は、上記可変電圧源の逆バイアス電圧により印加さ
れた加速電界を受けて上記バリア層に達し、上記バリア
層に上記光電子による空間電荷が蓄積される。このと
き、上記第2の超格子層に印加されている電界は上記空
間電荷によって影響を受けて上記ガン発振効果による高
周波変調され、上記p型半導体層と上記i型半導体層と
を通過して上記第2の超格子層に入射した上記バイアス
光は、上記第2の超格子層の電界吸収効果により高周波
変調でスイッチングされた後、出力光として出力され
る。
【0009】また、請求項2記載の光パルス逓倍装置に
おいては、請求項1記載の半導体光スイッチング装置に
おいて、上記第1の超格子層の高周波振動の周波数を、
入力パルス光のパルス繰り返し周波数の高調波の周波数
となるように上記逆バイアス電圧が設定され、かつ上記
第2の超格子層における高周波変調の変調度が十分に高
くなるように入力パルス光のエネルギーを十分に高く設
定する。これによって、出力光として、上記入力パルス
光に同期しかつ上記入力パルス光の繰り返し周波数の高
調波の繰り返し周波数を有する出力パルス光が出力され
る。
【0010】さらに、請求項3記載の光パルス波長変換
装置においては、請求項1記載の半導体光スイッチング
装置において、上記第1の超格子層の高周波振動の周波
数を、入力パルス光のパルス繰り返し周波数と同一とな
るように上記逆バイアス電圧が設定され、かつ上記第2
の超格子層における高周波変調の変調度が十分に高くな
るように入力パルス光のエネルギーを十分に高く設定す
る。これによって、上記第1の波長を有する上記入力パ
ルス光が、上記入力パルス光に同期しかつ上記バイアス
光の第2の波長を有する出力パルス光に波長変換して出
力される。
【0011】
【実施例】以下、図面を参照して本発明による一実施例
について説明する。図1は本発明の一実施例である、真
性半導体i型バリア層(以下、バリア層という)14を
2つの超格子構造の真性半導体i型半導体層(以下、超
格子層という。)13,15間に挟設したpin型ダイ
オードDを用いた半導体光スイッチング装置及びそれを
用いた光パルス逓倍装置の構成を示す断面図及び回路図
である。
【0012】本実施例のスイッチング装置は、図1に示
すように、少なくとも超格子層13のサブバンドエネル
ギーより高いエネルギーバンドの高さを有するバリア層
14を、ガン発振効果を有する超格子層13と、電界吸
収効果を有する超格子層15との間に挟設してi型半導
体層13,14,15を構成し、当該i型半導体層1
3,14,15をp型半導体クラッド層12とn型半導
体基板16との間に挟設してなるpin型ダイオードD
を備え、上記ダイオードDに逆バイアス電圧を印加する
可変電圧源10が接続される。
【0013】ここで、超格子層13の光吸収端エネルギ
ーより低いエネルギーに対応する所定の第1の波長λ1
を有する入力パルス光がp型半導体クラッド層12側か
ら入射される一方、超格子層13の光吸収端エネルギー
より高いエネルギーに対応する所定の第2の波長λ2を
有するバイアス光がp型半導体クラッド層12側から連
続的に入射されるとき、上記入力パルス光は超格子層1
3でガン発振効果により上記入力パルス光の高調波であ
る高周波振動の光電子を生じさせ、当該高周波振動の光
電子は、上記可変電圧源10により印加された加速電界
を受けて、上記バリア層14に達し、当該バリア層14
に上記光電子による空間電荷が蓄積され、上記超格子層
15に印加されている電界は上記空間電荷によって影響
を受けて上記ガン発振効果による高周波変調され、この
とき、上記p型半導体クラッド層12と上記i型半導体
層13,14とを通過して超格子層15に入射したバイ
アス光は、超格子層15の電界吸収効果により高周波変
調でスイッチングされた後、出力光として出力される。
【0014】特に、本実施例における半導体スイッチン
グ装置においては、超格子層13,15における以下の
公知の現象を用いる。 (a)超格子層13内のバリア層の厚さが非常に薄くす
ることによって、入力光の光吸収によって生成された電
子は共鳴トンネリング現象により、ガン発振効果を生
じ、入力光に同期して高周波振動を生じながら当該高周
波電流が電極に流れることが知られている(例えば、H.
Le Person et al. Applied Physics Letter,Vol.60,No.
19,pp2397-2399,1992年(以下、文献1という。)参
照。)。もしくは、超格子層13内における以下の現象
を用いてもよい。すなわち、共鳴トンネリングと空間電
荷による超格子内部電場変調との競合過程によるキャリ
ア輸送の振動現象を生じ、入力光に同期して高周波振動
を生じながら当該高周波電流が電極に流れる(例えば、
D.C.Hutchings et al. Appl.Phys.Lett.Vol.59,No.23,p
p3009-3011,1991年参照。)。以下の実施例において
は、代表して前者の現象を用いる。 (b)超格子層15において、光吸収端付近の光吸収率
を超格子層15に印加する電界の変化によって変調でき
る効果、すなわち、QCSE(Quantum Confirned Stak
Effect)効果(例えば、D.A.B.Miller et al. Physics
Review,B,Vol.32,No.2,pp1043-1060,1985年参照。)、
又はワニエ・シュタルク局在効果(例えば、J.Bleuse e
t al. Applied Physics Letter,Vol.53,No.26,pp2632-2
634,1988年参照。)を用いる。
【0015】そして、本実施例は、上記2つの超格子層
13,15の間に上記バリア層14を挟設することによ
って、半導体光スイッチング装置を構成することを特徴
としている。さらに、逆バイアス電圧Vbを変化するこ
とによって超格子層13における高周波振動の周波数
を、入力パルス光のパルス繰り返し周波数の高調波の周
波数となるように設定し、かつ超格子層15における高
周波変調の変調度が十分に高くなるように入力パルス光
のエネルギーを十分に高くすることによって、上記半導
体光スイッチング装置から出力される出力光は、入力パ
ルス光のパルス繰り返し周波数の高調波と同一の繰り返
し周波数を有する出力パルス光となり、上記半導体光ス
イッチング装置は光逓倍装置となることを特徴としてい
る。
【0016】まず、半導体光スイッチング装置の具体的
な形成方法及び構成について説明する。裏面に電極17
が形成された半導体基板16の上側面(図1において
は、左側面)の近傍に約1018のドーピング濃度を有す
るn型不純物をドープすることによってn型半導体基板
16を形成する。そして、n型半導体基板16上に、例
えば、分子線エピタキシャル法により、厚さ25nmの
Al0.3Ga0.7Asバリア層と、厚さ10nmのIn
0.2Ga0.8As量子井戸層との組を、好ましくは、20
乃至100組を積層することによって超格子層15を形
成する。ここで、当該超格子層15における上記厚みの
数値は一例であって、電界吸収効果として、QCSE効
果又はワニエ・シュタルク局在効果を有する超格子層1
5を形成する。ここで、ワニエ・シュタルク局在効果を
有する場合、超格子層15内のバリア層の厚さを5原子
層よりも薄くした超格子層15を用いる。なお、電極1
7は出力パルス光を通過させるために透明電極であって
もよいし、不透明電極であるときは、出力パルス光を通
過させる通過孔を有するリング形状又は半リング形状で
あってもよい。また、上記n型半導体基板16は一般に
半導体基板にn型不純物イオンをドープされたものを使
用してもよいし、i型GaAs半導体基板上に電極を形
成した後n型GaAs層を形成してもよい。
【0017】次いで、超格子層15上に、例えば、分子
線エピタキシャル法により、厚さ100nmのi型真性
半導体AlAsバリア層14を形成する。当該バリア層
14の厚さとバリアのエネルギーバンドの高さは、超格
子層13で生じる光キャリアが空間電荷による電界を有
効的に超格子層15に及ぼすように設定される。ここ
で、バリア層14のエネルギーバンドの高さは、少なく
とも超格子層13の量子井戸中のサブバンドのエネルギ
ーの高さよりも高く設定する必要がある。
【0018】次いで、バリア層14上に、例えば、分子
線エピタキシャル法により、厚さ0.9nmのAlAs
バリア層と、厚さ3.4nmのGaAs量子井戸層との
組を、好ましくは、100組を積層することによって超
格子層13を形成する。ここで、超格子層13内のバリ
ア層の厚さは、共鳴トンネル現象による高電界ドメイン
を生成してガン振動効果を生じさせるために、十分に薄
くする必要がある。
【0019】さらに、超格子層13上に、例えば、分子
線エピタキシャル法により、約1018のドーピング濃度
を有するp型GaAs層を積層することによってp型半
導体クラッド層12を形成する。そして、p型半導体ク
ラッド層12上に電極11が形成され、これによって、
pin型ダイオードDを得る。ここで、電極11は入力
パルス光及びバイアス光を通過させるために透明電極で
あってもよいし、不透明電極であるときは、これらの光
を通過させる通過孔を有するリング形状又は半リング形
状であってもよい。
【0020】超格子層15で高周波変調されるバイアス
光の波長は、p型半導体クラッド層12、超格子層1
3、バリア層14及びn型半導体基板16において吸収
されない波長帯である必要がある。そのためには、超格
子層15の量子井戸中に形成されるサブバンドのエネル
ギーは、超格子層13のサブバンドのエネルギーやn型
半導体基板16のサブバンドのエネルギーよりも低く設
定される必要がある。上記超格子層15において、In
0.2Ga0.8As量子井戸層を用いるのはこのためであ
る。GaAs基板16を用いる場合は、InGaAsの
量子井戸層を用いるが、基板材料が異なる場合には、公
知の通り、他の材料や組成が用いられる。
【0021】さらに、電極11は、逆バイアス電圧Vb
の可変電圧源10の負極に接続され、電極17が可変電
圧源10の正極に接続される。ここで、逆バイアス電圧
Vbを変化することによって、超格子層13において、
約7GHzから10GHzまでの高周波振動を実現する
ことができる(例えば、文献1参照。)。
【0022】図2は、図1の3つのi型半導体層13,
14,15におけるバンド構造を示すエネルギーバンド
図である。図2の縦軸はエネルギー準位を示し、横軸は
分子線エピタキシャル法による積層方向の距離(厚さ)
である。図2において、上部にある実線は伝導帯の電子
準位のポテンシャルエネルギーEcを表わす一方、下部
にある実線は価電子帯のポテンシャルエネルギーEvを
表している。また、量子井戸中において4本の点線2
1,22,23,24はサブバンドと呼ばれる量子力学
的な準位である。下部の価電子帯の量子井戸中に生じる
サブバンド22,24にはホールが形成される一方、上
部の伝導帯の量子井戸中のサブバンド21,23には電
子が励起される。すなわち、サブバンド22,24はホ
ール準位のサブバンドであり、サブバンド22,24は
電子準位のサブバンドである。これらのサブバンド間
で、光吸収や光変調の遷移は、詳細後述するように生じ
る。
【0023】以上のように構成された半導体光スイッチ
ング装置の動作について図1及び図2を参照して説明す
る。ここで、超格子層13の光吸収端エネルギーより低
いエネルギーに対応する所定の第1の波長λ1を有する
入力パルス光がp型半導体クラッド層12側から入射さ
れる一方、超格子層13の光吸収端エネルギーより高い
エネルギーに対応する所定の第2の波長λ2を有するバ
イアス光がp型半導体クラッド層12側から連続的に入
射されるとき、超格子層13においては、上記価電子帯
におけるホールのサブバンド21から電子が光吸収によ
って伝導帯のサブバンドに励起され、図2の下部のサブ
バンド22にはホールが形成される一方、上部のサブバ
ンド21には電子が形成される。これらホールと電子の
光キャリアはi型半導体層13,14,15に可変電圧
源10により印加された電界によってそれぞれ互いに反
対方向に加速され、電極11,17に向かって走って行
く。すなわち、上記入力パルス光は超格子層13におい
て光吸収によって生じた光電子の集団が共鳴トンネリン
グ効果によって高電界ドメインを形成して繰り返すガン
発振効果を生じさせる。当該ガン発振効果により上記入
力パルス光の高調波である高周波振動の光電子を生じさ
せ、当該高周波振動の光電子は、上記可変電圧源10に
より印加された加速電界を受けて、上記バリア層14に
達する。当該バリア層14に到達すると一時的にそのバ
リア層14のバリアのエネルギーの高さを超える分だけ
上記光電子の空間電荷が蓄積されるまでバリア層14の
近傍に停滞する。
【0024】さらに、超格子層15においては、ホール
のサブバンド24のエネルギー準位と、これに対応する
電子のサブバンド23のエネルギー準位との間での、光
吸収遷移を電界によって変調制御する電界吸収効果によ
り光変調が行われる。すなわち、上記超格子層15に印
加されている電界は上記空間電荷によって影響を受けて
上記ガン発振効果による高周波変調され、このとき、上
記p型半導体クラッド層12と上記i型半導体層13,
14とを通過して超格子層15に入射したバイアス光
は、超格子層15の電界吸収効果により高周波変調でス
イッチングされた後、出力光として出力される。
【0025】以上の実施例において、逆バイアス電圧V
bを変化することによって超格子層13における高周波
振動の周波数を、入力パルス光のパルス繰り返し周波数
と同一の周波数となるように設定してもよい。
【0026】上記半導体光スイッチング装置において、
さらに、逆バイアス電圧Vbを変化することによって超
格子層13における高周波振動の周波数を、入力パルス
光のパルス繰り返し周波数の高調波となるように設定
し、かつ超格子層15における高周波変調の変調度が十
分に高くなるように入力パルス光のエネルギーを十分に
高くすることによって、上記半導体光スイッチング装置
から出力される出力光は、入力パルス光に同期しかつ入
力パルス光のパルス繰り返し周波数の高調波と同一の繰
り返し周波数を有する出力パルス光となり、上記半導体
光スイッチング装置は光逓倍装置として動作する。
【0027】ここで、例えば、入力パルス光の繰り返し
周波数を1GHzとし、逆バイアス電圧Vbを変化する
ことによって、超格子層13において、約7GHzから
10GHzまでの高周波振動を実現した場合、7乃至1
0倍の逓倍レートを得ることができ、入力パルス光に同
期した7GHz乃至10GHzの出力パルス光を得るこ
とができる。
【0028】上記半導体光スイッチング装置において、
さらに、逆バイアス電圧Vbを変化することによって超
格子層13における高周波振動の周波数を、入力パルス
光のパルス繰り返し周波数と同一となるように設定し、
かつ超格子層15における高周波変調の変調度が十分に
高くなるように入力パルス光のエネルギーを十分に高く
することによって、上記半導体光スイッチング装置から
出力される出力光は、入力パルス光に同期しかつバイア
ス光の波長λ2を有する出力パルス光となる。従って、
波長λ1を有する入力パルス光を、入力パルス光に同期
した同一の繰り返し周波数を有しかつバイアス光の波長
λ2を有する出力パルス光に波長変換して出力すること
ができ、上記半導体光スイッチング装置は光パルス波長
変換装置として動作する。
【0029】本発明に類似する比較例として、以下の構
成が考えられる。 (a)超格子層13と超格子層15とを別々に形成して
ハイブリッドに載置した後、超格子層13と超格子層1
5との間をリード線で接続するデバイス(以下、第1の
比較例という。)。 (b)超格子層13と超格子層15とを横方向に並置し
て超格子層13と超格子層15との間を接続層で接続し
てなるモノリシック集積型デバイス(以下、第2の比較
例という。)。
【0030】上記第1と第2の比較例においては、ガン
発振効果によって発生された高周波信号を電気信号とし
て外部に取り出した後、別の光変調デバイスを駆動する
ように構成されており、以下の欠点を有する。 (A)リード線や接続層などの外部配線系のCR時定数
や寄生インダクタンスの影響を受けるために、高周波の
電気信号が歪み、超高速の応答ができない。 (B)超格子層13内部の電子流を電気信号として取り
出すために、デバイス内部の特に超格子層13の電気容
量やp型層12やn型層16の直列抵抗成分の影響を受
けて、特に超高周波振動成分に対して、それを効率的に
外部に電気信号として取り出すことが難しいという問題
点がある。一方、本発明に係る本実施例においては、単
に振動する電子流をそのものを用いて、かつそれを外部
に取り出さずにそのままの形式で利用するので、超高速
応答が可能となる。
【0031】従って、本実施例の半導体光スイッチング
装置、光パルス逓倍装置及び光パルス波長変換装置は、
図3の従来例に比較して以下の特有の利点を有する。 (1)簡単な構成で半導体光スイッチング装置及び光パ
ルス逓倍装置を構成できる。 (2)1個のpin型ダイオードDからなる半導体光ス
イッチング素子に対して逆バイアス電圧を印加するのみ
であるので、消費電力が極めて小さい。 (3)信号光として用いる入力パルス光は、1個のード
から出力される出力光は1個の第1のpin型ダイオー
ドDのみを通過するだけであり、従来例のように複数の
回路を通過しないので、従来例に比較して時間応答が速
い。
【0032】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る請求項
1記載の半導体光スイッチング装置によれば、少なくと
も第1の超格子層のサブバンドエネルギーより高いエネ
ルギーバンドの高さを有するバリア層を、ガン発振効果
を有して、もしくは共鳴トンネリングと空間電荷による
超格子内部電場変調との競合過程によるキャリア輸送の
振動現象を有して高周波振動を生じさせる第1の超格子
層と、電界吸収効果を有する第2の超格子層との間に挟
設してi型半導体層を構成し、上記i型半導体層をp型
半導体層とn型半導体層との間に挟設してなるpin型
ダイオードと、上記ダイオードに逆バイアス電圧を印加
する可変電圧源とを備える。ここで、上記第1の超格子
層の光吸収端エネルギーより低いエネルギーに対応する
所定の第1の波長を有する入力パルス光が上記p型半導
体層に入射される一方、上記第1の超格子層の光吸収端
エネルギーより高いエネルギーに対応する所定の第2の
波長を有するバイアス光がp型半導体層に連続的に入射
されたとき、上記入力パルス光は上記第1の超格子層で
上記入力パルス光の高調波である高周波振動の光電子を
生じさせる一方、上記p型半導体層と上記i型半導体層
とを通過して上記第2の超格子層に入射した上記バイア
ス光は、上記第2の超格子層の電界吸収効果により上記
高周波振動の高周波変調でスイッチングされた後、出力
光として出力される。従って、従来例に比較して簡単な
構成で、消費電力が極めて小さくかつ時間応答が速い半
導体光スイッチング装置を構成できる。
【0033】また、本発明に係る請求項2記載の光パル
ス逓倍装置によれば、請求項1記載の半導体光スイッチ
ング装置において、上記第1の超格子層の高周波振動の
周波数を、入力パルス光のパルス繰り返し周波数の高調
波の周波数となるように上記逆バイアス電圧が設定さ
れ、かつ上記第2の超格子層における高周波変調の変調
度が十分に高くなるように入力パルス光のエネルギーを
十分に高く設定して、上記入力パルス光に同期しかつ上
記入力パルス光の繰り返し周波数の高調波の繰り返し周
波数を有する出力パルス光を出力する。従って、従来例
に比較して簡単な構成で、消費電力が極めて小さくかつ
時間応答が速い光パルス逓倍装置を構成できる。
【0034】さらに、本発明に係る請求項3記載の光パ
ルス波長変換装置によれば、請求項1記載の半導体光ス
イッチング装置において、上記第1の超格子層の高周波
振動の周波数を、入力パルス光のパルス繰り返し周波数
と同一となるように上記逆バイアス電圧が設定され、か
つ上記第2の超格子層における高周波変調の変調度が十
分に高くなるように入力パルス光のエネルギーを十分に
高く設定して、上記第1の波長を有する上記入力パルス
光を、上記入力パルス光に同期しかつ上記バイアス光の
第2の波長を有する出力パルス光に波長変換して出力す
る。従って、従来例に比較して簡単な構成で、消費電力
が極めて小さくかつ時間応答が速い光パルス波長変換装
置を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である、バリア層を2つの
超格子構造の真性半導体i型半導体層間に挟設したpi
n型ダイオードDを用いた半導体光スイッチング装置及
びそれを用いた光パルス逓倍装置の構成を示す断面図及
び回路図である。
【図2】 図1の3つのi型半導体層13,14,15
におけるバンド構造を示すエネルギーバンド図である。
【図3】 従来例の光パルス逓倍回路の構成を示すブロ
ック図である。
【符号の説明】
D…pin型ダイオード、 10…可変電圧源、 11,17…電極、 12…p型半導体クラッド層、 13,15…超格子構造の真性半導体i型半導体層(超
格子層)、 14…i型真性半導体バリア層(バリア層), 16…n型半導体基板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 敏英 京都府相楽郡精華町大字乾谷小字三平谷 5番地 株式会社エイ・ティ・アール光 電波通信研究所内 (56)参考文献 特開 平3−94480(JP,A) 特開 平3−200228(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも第1の超格子層のサブバンド
    エネルギーより高いエネルギーバンドの高さを有するバ
    リア層を、ガン発振効果を有して、もしくは共鳴トンネ
    リングと空間電荷による超格子内部電場変調との競合過
    程によるキャリア輸送の振動現象を有して高周波振動を
    生じさせる第1の超格子層と、電界吸収効果を有する第
    2の超格子層との間に挟設してi型半導体層を構成し、
    上記i型半導体層をp型半導体層とn型半導体層との間
    に挟設してなるpin型ダイオードと、上記ダイオード
    に逆バイアス電圧を印加する可変電圧源とを備えた半導
    体光スイッチング装置であって、 上記第1の超格子層の光吸収端エネルギーより低いエネ
    ルギーに対応する所定の第1の波長を有する入力パルス
    光が上記p型半導体層に入射される一方、上記第1の超
    格子層の光吸収端エネルギーより高いエネルギーに対応
    する所定の第2の波長を有するバイアス光がp型半導体
    層に連続的に入射されたとき、上記入力パルス光は上記
    第1の超格子層で高周波振動を生じさせる一方、上記p
    型半導体層と上記i型半導体層とを通過して上記第2の
    超格子層に入射した上記バイアス光は、上記第2の超格
    子層の電界吸収効果により上記高周波振動の高周波変調
    でスイッチングされた後、出力光として出力されること
    を特徴とする半導体光スイッチング装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体光スイッチング装
    置において、 上記第1の超格子層の高周波振動の周波数を、入力パル
    ス光のパルス繰り返し周波数の高調波の周波数となるよ
    うに上記逆バイアス電圧が設定され、かつ上記第2の超
    格子層における高周波変調の変調度が十分に高くなるよ
    うに入力パルス光のエネルギーを十分に高く設定して、
    上記入力パルス光に同期しかつ上記入力パルス光の繰り
    返し周波数の高調波の繰り返し周波数を有する出力パル
    ス光を出力することを特徴とする光パルス逓倍装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の半導体光スイッチング装
    置において、 上記第1の超格子層の高周波振動の周波数を、入力パル
    ス光のパルス繰り返し周波数と同一となるように上記逆
    バイアス電圧が設定され、かつ上記第2の超格子層にお
    ける高周波変調の変調度が十分に高くなるように入力パ
    ルス光のエネルギーを十分に高く設定して、上記第1の
    波長を有する上記入力パルス光を、上記入力パルス光に
    同期しかつ上記バイアス光の第2の波長を有する出力パ
    ルス光に波長変換して出力することを特徴とする光パル
    ス波長変換装置。
JP22182593A 1993-09-07 1993-09-07 半導体光スイッチング装置 Expired - Fee Related JP2662170B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22182593A JP2662170B2 (ja) 1993-09-07 1993-09-07 半導体光スイッチング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22182593A JP2662170B2 (ja) 1993-09-07 1993-09-07 半導体光スイッチング装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0779014A JPH0779014A (ja) 1995-03-20
JP2662170B2 true JP2662170B2 (ja) 1997-10-08

Family

ID=16772784

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22182593A Expired - Fee Related JP2662170B2 (ja) 1993-09-07 1993-09-07 半導体光スイッチング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2662170B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6776888B2 (ja) * 2016-12-26 2020-10-28 住友電気工業株式会社 光スイッチ及び光スイッチ装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0779014A (ja) 1995-03-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5187715A (en) Quantum well optical device
US5446293A (en) Resonant tunneling opto-electronic device having a plurality of window layers
JP2006338017A (ja) 有効光電流発生能を増大させた量子井戸構造を有する半導体光変調器
US5952683A (en) Functional semiconductor element with avalanche multiplication
JP2003174184A (ja) フォトダイオード
JPS59116612A (ja) 光変調器
JP2662170B2 (ja) 半導体光スイッチング装置
Li et al. Avalanche noise characteristics of thin GaAs structures with distributed carrier generation [APDs]
JPH114017A (ja) 光学装置
JPH10303452A (ja) 半導体光検出素子、半導体光変調素子及び光通信用送信装置
JP2758472B2 (ja) 光変調器
Unlu et al. Transient simulation of resonant cavity enhanced heterojunction photodiodes
JP2991707B1 (ja) 半導体光スイッチ
JPH0316276A (ja) 光検出器
JP2704116B2 (ja) 電界吸収効果を有する光半導体装置
US3657666A (en) Spin-flip light scattering and gunn effect-type oscillations in multivalley semiconductors subject to a magnetic field
JPH11109298A (ja) 半導体素子
JPH0774381A (ja) 半導体受光素子
JPH0818089A (ja) 半導体光検出器
JP2002141547A (ja) 半導体光検出器
Beggs et al. Optical charge injection into a gallium arsenide acoustic charge transport device
CN115244716A (zh) 用于太赫兹信号或皮秒电脉冲的三维光电导变换器
Osbourn Strained-layer superlattice detectors and detector concepts
Schumaker Ultrasqueezed light via multifrequency pumping
JPS60186079A (ja) 半導体レ−ザ装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees