JP2661678B2 - 水分散性ポリアミン−エポキシアダクト及びエポキシ塗布組成物 - Google Patents

水分散性ポリアミン−エポキシアダクト及びエポキシ塗布組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】本発明は液体及び固体エポキシ樹脂系の
両方のための硬化剤として用いることのできる、水分散
性のポリアミン−エポキシアダクト及び得られるエポキ
シ塗布組成物に関する。
【0002】〔先行技術の説明〕ポリアミン−エポキシ
アダクト硬化剤で硬化したポリエポキシド塗布系は既に
知られており、そして産業用メンテナンス塗料及び多様
な基板のための別なタイプの保護塗料の調製用に広く使
用されてきた。ポリエポキシド樹脂は化学薬剤に対して
すぐれた抵抗力を有し、また大抵の基板、例えば種々の
木材、壁版、金属及び石造煉瓦表面に対しすぐれた接着
性を有する。
【0003】特に揮発性有機化合物(VOC)、毒性等
の低減に関する一層厳しい環境規制のために、水性ベー
スの系が研究、開発の際の重要な注意事項として認めら
れている。ポリアミン−エポキシアダクトをベースにし
た水性エポキシド塗布系は知られているが、この系に関
連して多くのことが問題となっていた。例えば、水性分
散体の多くは高い固形分濃度で極度に高い粘度を有して
いるため、それの施用と操作を困難にしている。多くの
水性分散体は基板を適正に湿潤化して、連続塗膜を形成
しまた基板の表面に接着する能力に欠けている。水性分
散体が固体又は液体エポキシ樹脂を混合されると、エポ
キシ塗布組成物のポットライフはその持続時間が短くな
り、そして多くの産業上に適用し得ない。この外の問題
は水性ポリアミン−エポキシアダクトを開示している幾
つかの特許によつて明白になってくるであろう。ポリエ
ポキシド樹脂用の硬化剤としてポリアミン−エポキシア
ダクトを開示しているこれら特許のうちの幾つかに下記
のものがある:
【0004】米国特許第4,246,148号には、ポリ
アミン−エポキシアダクト及びポリエポキシドをベース
とした二成分水性塗布組成物が開示されている。この水
性塗布組成物は、すぐれた硬化時間、低い粘度、光沢と
紅色化抵抗を与えるためのすぐれた粒子サイズ及びすぐ
れたポットライフを有するとしている。このポリアミン
−エポキシアダクトは、ポリアミン末端のエポキシアダ
クトを形成するために、エポキシ当量当りポリアミン1
〜10モルのモル比で、ポリアミンをポリエポキシド樹
脂と反応させて形成される。遊離ポリアミンを除去し、
次にポリアミン−エポキシアダクトを9個〜16個の炭
素原子を有するモノエポキシドで端末封止させるが、こ
のモノエポキシドは第一アミンを除去するのに充分な量
で加える。残留アミンの水素原子の一部は次いで水溶解
性を高めるために、塩を生成する成分及び揮発性有機又
は無機酸と反応させる。
【0005】米国特許第5,087,647号には、塗料
等としての使用に適する、エポキシド樹脂とジアミンを
ベースとした水性の二成分系が開示されている。一つの
成分はエポキシド樹脂用の硬化剤からなり、そしてそれ
は水中のポリアミンの均質溶液からできている硬化剤、
ビスフェノール又はポリエーテルポリオールを包含する
脂肪族ポリオールのポリグリシドからできているエポキ
シド樹脂成分及びポリエーテルポリオールのポリアクリ
レートを包含するポリオールのポリアクリレートから成
っている。例として、ビスフェノールA又はビスフェノ
ールFのジグリシジルエーテルのエポキシド樹脂;トリ
メチロールプロパントリグリシド又はトリプロピレング
リコールジアクリレートのエポキシド樹脂がある。次い
で、このエポキシド樹脂をポリアミンと混合して得られ
た配合物を硬化させる。
【0006】米国特許第4,501,832号には、水及
び低分子量のニトロパラフィンからなる水性系稀釈され
た変性ポリアミン樹脂からなる、水で稀釈できる塗布組
成物が開示されている。先行技術の章において、二成分
アミノ−エポキシ塗布系が水担持組成物について高性能
で、周囲温度で硬化するように考慮されたものであると
指摘している。しかしこのような組成物は直接水稀釈性
ではなかった。水担持性アミノ−エポキシ系のうちの一
種は、酸によって中和して塩を形成するアミノ官能性硬
化剤及びアミノ官能性硬化剤が水で稀釈されて乳化でき
るように、親水性エーテル基で化学的に変性されるアミ
ノ官能性硬化剤を含んでいる。変性されたポリアミンは
ポリアミンをグリシジルエーテル、例えばモノエポキシ
ド及びジエポキシドと反応させ、そしてこれらの系をニ
トロメタンのようなニトロパラフィンと混合することに
よって形成される。
【0007】米国特許第3,449,281号には、水溶
性樹脂及び非水溶性樹脂が配合されて、塗布組成物とし
て適した水分散性のエポキシ組成物が開示されている。
この水溶性樹脂は変性されたエポキシ−アミンアダクト
であって、エポキシ反応原料に対して化学量論的な量よ
り少いアミンで、ポリアミンをエポキシ反応原料と反応
させて調製される。エポキシ−アミン反応基を有するこ
のアダクトは引続き対応する酸塩を形成することによっ
て可溶化される。次いでこのアダクトは通常のポリエポ
キシドと混合され、水中で乳化されて生成した系を硬化
させる。
【0008】米国特許第4,992,516号には、ジア
ミン架橋を含む変性されたエポキシ樹脂/アミンアダク
トをベースにした塗料のバインダーが開示されている。
この組成物を調製するには、ジ−第一脂肪族ポリアミン
を、二個の第二アミノ基を有する生成物を生成する量の
脂肪族モノエポキシド化合物と反応させる。次に、この
生成物を化学量論的な量より少いジグリシジル化合物と
反応させる。その後、この混合物をポリエポキシ樹脂と
第一、第三ジアミン及び第一、第二アルカノールアミン
との混合物と反応させて、エポキシド基のないエポキシ
樹脂/アミンアダクトを形成する。次いで、この生成物
をカルボン酸で中和して水で稀釈できる系を形成させ
る。
【0009】
【発明の要約】本発明は、水相溶性のポリアミン−エポ
キシアダクトに関する。更に一般には部分的にアミン塩
の形態のポリアミン−エポキシアダクト類のブレンドと
ポリエポキシドとから成る硬化性の塗布組成物に関す
る。このポリアミン−エポキシドアダクトは水相溶性の
樹脂と樹脂相溶性の樹脂とのブレンドからなっており、
アミノ基が一部アミン塩に変換されている。水相溶性の
ポリアミン−エポキシアダクトは、第一アミノ水素原子
の約10%〜50%をモノエポキシドと反応させ、また
第一アミノ水素原子の5%〜65%をポリエポキシドと
反応させるような量で、一個のポリアミンを一個のモノ
エポキシド及び一個又はそれ以上のポリエポキシドと反
応させることによって調製される。樹脂相溶性のポリア
ミン−エポキシドアダクトは、第一アミノ基の30%〜
70%を変換させる量で、脂肪族又は環状脂肪族ポリア
ミンをモノエポキシドと反応させることによって形成さ
れる。次いで水相溶性のポリアミン−エポキシアダクト
及び樹脂相溶性のポリアミン−エポキシアダクトを混合
してブレンドとし、次に水相溶性アダクト及び樹脂相溶
性のポリアミン−エポキシアダクト中に残留するアミノ
基をホルムアルデヒドと反応させてメチロール化誘導体
を形成させる。メチロール化に使用されるアルデヒドの
量は、水相溶性のポリアミン−エポキシアダクトと樹脂
相溶性のポリアミン−エポキシアダクトとのブレンド中
の有効アミン官能基の少くとも25%と反応するのに充
分なものでなければならない。メチロール化されると、
ブレンドに酸を加えてブレンド中のアミノ基を部分的に
アミン塩に変換する。得られたブレンドは容易に水分散
性となり、そして液体及び固体ポリエポキシド樹脂を水
中に分散させることが可能となる。
【0010】ポリアミン−エポキシアダクト含有ブレン
ドを、次に、エポキシド樹脂と混合して、水で稀釈し、
基板に塗布しそして硬化させることができるクリーム状
エマルジョンを形成する。
【0011】ポリアミン−エポキシドアダクト及び本発
明の水分散性の硬化剤に関連するいくつかの利点があ
る。これらの利点には以下のものがある:有機溶剤を使
用せずに水中で少くとも70重量パーセントの固体含量
を有する、水分散性のエポキシ樹脂塗布組成物を生成す
る能力;すぐれたポットライフを有し、そしてすぐれた
光沢、硬度及び化学的耐性を有する表面塗布剤を得るこ
とができるエポキシ樹脂系を生成する能力;すぐれた機
械的安定性を有し、またすぐれたフィルム連続性、屈曲
性、耐チップ性などを与えるフィルムとして適用できる
エポキシ塗布組成物を生成する能力;水分散性のエポキ
シ樹脂塗布組成物を容易に配合し、また硬化時に有機物
の環境汚染を生ずる、費用のかかる有機溶剤を不要とす
る能力;及び連乾性であり、高稀釈において安定であり
かつ急速に硬度の得られる水分散性のエポキシ樹脂塗布
組成物を容易に配合する能力。
【0012】〔発明の詳述〕水分散性のエポキシ樹脂塗
布組成物を製造するための先行技術のうちの多くのもの
と比較すると、本発明は水相溶性のポリアミン−エポキ
シアダクトと樹脂相溶性のポリアミン−エポキシアダク
トとから成り、一緒に混合すると得られるブレンドは直
ちに水分散性となるようなブレンドの配合ができる。一
般に、このブレンドは水に70重量パーセントを上廻る
量で分散できる。水への分散は、有機溶剤を添加せずに
達成することができる、従ってエポキシ樹脂系用の硬化
剤としてポリアミン−エポキシアダクトの利用性を高
め、また逃散性の有機成分に起因する残留物による環境
汚染を取除くことになる。
【0013】水相溶性のポリアミン−エポキシ樹脂は、
本質的にモノエポキシドとポリエポキシドから成るエポ
キシド樹脂の混合物と、ポリアミンを反応させることに
よって調製される。水相溶性のポリアミン−エポキシア
ダクトを調製するのに適したポリアミンは一般的に1分
子当り約2個〜20個の炭素原子を有し、また2個〜1
0個のアミノ窒素原子を有するポリアミン類である。好
ましくは、このアミノは約3個〜6個の窒素原子を有
し、そのうち2個は第一アミノの窒素原子である。殊
に、水相溶性のポリアミン−エポキシアダクトの製造に
適するのは、ポリアルキレンポリアミンであり、好まし
くは次式: H2NR−〔NHR〕−NH2 (式中、nは0〜約6の整数であり、Rはアルキレン
基、好ましくはC2〜C3アルキレンである)で表わされ
るポリエチレンポリアミンである。アルキレンポリアミ
ンの例には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミ
ン、ペンタエチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミ
ン、トリプロピレンテトラミン及びトリブチレントリア
ミンが包含される。その他のポリアミンには、ポリアミ
ン、ポリオール又はアルカノールアミンをアクリロニト
リルと反応させ、引続いてシアノ基を第一アミノに還元
することによって生成可能なアミノプロピル化ポリアミ
ンが包含される。アミノプロピル化に適したポリアミン
には、上記したもののようなポリアルキレンポリアミン
が包含される。アミノプロピル化に適したポリオールの
例には、2個〜6個の炭素原子、及びエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン及
びペンタエリスリトールのような2個〜4個のヒドロキ
シル基を有するポリオールが包含される。アルカノール
アミンはポリオールと類似の炭素量を含有して、アミン
及びヒドロキシ官能基を両方有している。例としてはエ
タノールアミン及びジエタノールアミンがある。シアノ
基のアミノ基への変換は、シリカ、珪藻土、炭素、アル
ミナ、などのような支持体に担持されたラネーニッケル
又はパラジウム触媒金属のような水素化触媒の存在下
で、シアノエチル化ポリアミン又はポリオールを水素と
接触させることによって慣用的方法で実施することがで
きる。例としてはビス(3−メトキシプロピル)アミン
およびビス(アミノプロキシエトキシプロピル)アミン
がある。
【0014】水相溶性のポリアミン−エポキシアダクト
を生成するのに用いられるポリアミンを、ポリアミン中
の第一アミノ水素原子の10%〜50%、好ましくは2
0%〜40%(計算基準)を末端封止する量で、モノエ
ポキシドと反応させる。このモノエポキシドは7個〜2
1個の炭素原子を有する化合物であり、これらは脂肪族
又は芳香族であってよい。一般的に、脂肪族モノエポキ
シドが使用され、その例には次式:
【0015】
【化1】 (式中、Rは4個〜18個の炭素原子、好ましくは4個
〜14個の炭素原子を有する脂肪族基であるか又は芳香
族基であってもよい)によって表わされるアルキルグリ
シジルエポキシド、グリシジルエーテル、グリシジルエ
ステルが包含される。ポリアミン−エポキシアダクトを
形成するためのポリアミンとの反応に適したモノエポキ
シドの特定の例には、ブチルグリシジルエーテル、フェ
ニルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテ
ル;シクロヘキセンビニルモノエポキシド、ピネンオキ
シド;t−オクタン酸のグリシジルエステル、アクリル
酸のグリシジルエステル、t−ノナン酸及びt−デカン
酸並びにエーテルアルコールのグリシジルエーテル、例
えばエトキシエタノールが包含される。一般に、少くと
も一部、例えばモノエポキシドの40%が脂肪族エポキ
シドである。
【0016】第一アミノ水素原子の一部の末端封止剤と
して用いられるモノエポキシドの外に、ポリアミンを連
鎖延長し、そしてポリアミンに含まれるアミノ水素原子
と更に反応させるためにポリエポキシドを加える。ポリ
アミンとの反応に適したポリエポキシドは、脂肪族ポリ
オール及び芳香族ポリオールのジグリシジル又はポリグ
リシジルエーテルのような脂肪族ポリエポキシドであっ
てよい。120〜140のエポキシド当量を有する脂肪
族ジエポキシドは系の粘度を低減させる傾向があるの
で、ポリエポキシドの成分としては少い比率の脂肪族ジ
エポキシドが好ましい。ポリエポキシドのエポキシド当
量当り、脂肪族ジエポキシドの0.5〜2エポキシド当
量が好適である。脂肪族ジエポキシド及びポリエポキシ
ドの例には、ブタンジオール、ジグリシジルエーテル、
ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、及びグリセロ
ールトリグリシジルエーテルが包含される。芳香族ポリ
オールのポリエポキシドの例には、ビスフェノール−A
及びビスフェノール−F樹脂のポリグリシジルエーテ
ル、例えばビスフェノール−Aとエピクロロヒドリンの
縮合又はビスフェノール−Fポリオール(フェノールを
ホルムアルデヒドと反応させて形成される)とエピクロ
ロヒドリンの縮合によって得られるポリエポキシドが包
含される。その他の候補として、エピクロロヒドリンと
フェノール及びクレゾール−ホルムアルデヒド縮合物と
の反応が包含される。
【0017】水相溶性のポリアミン−エポキシドアダク
トを形成するためのポリアミンの変換に使用されるモノ
エポキシド及びポリエポキシドの使用水準は、ポリアミ
ン−エポキシアダクトにとって所望のポットライフを得
る際の一つの因子である。もしポリアミン−エポキシア
ダクトに対して長期ポットライフを所望するならば、ポ
リアミン−エポキシアダクト中の第一アミノ水素の大部
分、及び場合により第二アミノ水素原子をエポキシ基に
よって変換させるか又は封止する。他方、もし比較的短
期間のポットライフが許容されるならば、第一アミノ水
素の比較的少量をモノエポキシド及びジ−又はポリエポ
キシドと反応させればよい。一般に、ポリアミン中の有
効第一アミン官能基の約10%〜約50%(計算基準)
がモノエポキシドで末端封止され、また有効第一アミン
官能基の約5%〜65%(計算基準)が脂肪族又は芳香
族ポリエポキシドで末端封止される。一般に、脂肪族又
は芳香族ポリエポキシドに対するモノエポキシドの比率
は、ポリエポキシドの1当量当り、モノエポキシドの
0.25〜4エポキシド当量でなければならない。たと
え第一アミノ水素官能基の約35%が脂肪族又は芳香族
エポキシドとの反応によって変換し得るとしても、そし
てモノエポキシドが比較的少量使用し得るとしても、モ
ノエポキシドは脂肪族又は芳香族ポリエポキシドよりも
大きい割合で使用することが好ましい。
【0018】ポリアミン−エポキシアダクトの水分散性
ブレンドの第2成分は相対的に樹脂相溶性のポリアミン
である。これはポリアミンをエポキシ化合物と反応させ
て生成する。水相溶性のポリアミン−エポキシアダクト
を形成するのに用いられるポリアルキレンポリアミン
は、樹脂相溶性のポリアミン−エポキシアダクトの生成
に使用できる。比較的短い連鎖の同族体が好適である。
その他のポリアミン、例えば環状脂肪族ポリアミンも使
用してよい。樹脂相溶性のポリアミン−エポキシアダク
トを形成するのに適した環状脂肪族アミンの例には、イ
ソホロンジアミン、シクロペンタンジアミン、シクロヘ
キサンジアミン、m−キシリレン及びジ(4−アミノシ
クロヘキシル)メタンが包含される。好ましくは、樹脂
相溶性のポリアミン−エポキシアダクトの形成に使われ
るポリアミンはポリエチレンポリアミンである。
【0019】樹脂相溶性のポリアミン−エポキシアダク
トはポリアミンを、ポリエポキシド又はポリアミン中の
有効又は残留第一アミノ官能基の約40%〜100%が
反応するような充分な量のモノエポキシド又はポリエポ
キシドと反応させることによって形成される。水相溶性
のポリアミン−エポキシアダクトを配合するのに用いら
れるモノエポキシド及びポリエポキシドはまた、樹脂相
溶性のポリアミン−エポキシアダクトを調製するのに用
いることもできる。好ましくは、芳香族モノエポキシド
が使用されるが、これらにはフェニルグリシジルエーテ
ル及びクレゾールのグリシジルエーテルが包含される。
【0020】水分散性のブレンドは、樹脂相溶性のポリ
アミン−エポキシアダクト1重量部に対して水相溶性の
ポリアミン−エポキシアダクト約0.25〜4重量部の
重量比で、これら両方を混合することによって配合され
る。
【0021】水相溶性のポリアミン−エポキシアダクト
と樹脂相溶性のポリアミン−エポキシアダクトとのブレ
ンドの分散性を容易にするために、ブレンドのポリアミ
ン成分中に残留する第一アミノ官能基の少くとも25%
をメチロール化するのに充分な条件下で、このブレンド
をホルムアルデヒドと接触させる。好ましくは、アミノ
水素の50%〜100%をホルムアルデヒドと反応させ
る。このメチロール化されたブレンドに、少量の酸、一
般的には揮発性カルボン酸を加えて部分的なアミン塩を
生成する。ポリアミン−エポキシ添加物の塩生成の技術
は既知であり、そして一般的にこの方法での塩生成の水
準は得られる系に対する所望されるポットライフ及び硬
化温度の関数である。アミン塩を生成するためのアミン
水素原子との反応に使用できる代表的な揮発性の酸には
有機及び無機酸が包含される。慣用的に使用される有機
酸の例としては、酢酸、蟻酸、プロピオン酸、酪酸及び
シクロヘキサン酸がある。場合によっては、不飽和酸、
例えばクロトン酸、アクリル酸及びメタクリル酸を用い
てもよい。
【0022】基板塗布用の水性エポキシ塗布組成物は、
水相溶性のポリアミン−エポキシアダクトと、樹脂相溶
性のポリアミン−エポキシアダクトとのブレンドを、ア
ミン水素と反応するのに充分な量で存在するポリエポキ
シド樹脂を用いて分散することによって生成される。一
般的に、水相溶性のポリアミン−エポキシアダクトと樹
脂相溶性のポリアミン−エポキシアダクトとのブレンド
に対するポリエポキシドの比率は、アミノ水素当量当り
約0.5〜1.5好ましくは0.9〜1.1エポキシド当量
が存在するような比率である。水相溶性のポリアミン−
エポキシアダクトと樹脂相溶性のポリアミン−エポキシ
アダクトの水性分散物を用いてブレンドするのに適した
ポリエポキシドの例は固体及び液体の芳香族ポリエポキ
シドである。これらのポリエポキシドの例には、350
〜約1500の分子量を有するものが包含され、例えば
ビスフェノール−Aのグリシジルエーテル、ビスフェノ
ール−Fのグリシジルエーテル及びノボラック樹脂の液
体ジエポキシドがある。
【0023】その他の添加物及び稀釈剤を加えられるポ
リエポキシド樹脂の分散性を高めるために、ブレンドに
添加することがある。これらの添加物には、ポリエーテ
ル−ポリオールを包含するプルロニック界面活性剤、消
泡剤、顔料、チキソトロープ等が包含される。以下の実
施例は本発明の種々の具体例を説明するために示される
ものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0024】〔実施例1〕 水相溶性のポリアミン−エポキシアダクト 撹拌機及び還流凝縮器を備えた適当な反応器に、ペンタ
エチレンヘキサミン(PEHA)905重量部、Epodil
750の商品名で販売されている120〜140のエポキ
シド当量を有する脂肪族ジエポキシド167.5重量
部、及びEpodil 741の商品名で販売されているブチルグ
リシジルエーテル(モノエポキシド)265重量部を加
えた。モノエポキシドの量は第一アミノ官能基の29.
7%と反応するように計算し、また脂肪族ジエポキシド
の量は残留アミノ官能基の23.9%と反応するように
計算した。モノ−及びジエポキシドを加える前に、反応
器を窒素でパージし、またPEHAを約85℃〜90℃
の温度に加熱した。PEHAが85℃〜90℃に加熱さ
れたならば、脂肪族ジエポキシドを1時間に亙って添加
し、引続き保持して、PEHAとジエポキシドとの混合
物を更に1時間反応させた。脂肪族ジエポキシドのPE
HAとの反応によって生ずる熱のための冷却が必要であ
った。本質的にすべての脂肪族ジエポキシドが反応した
ときに、ブチルグリシジルエーテルを1.5時間に亙っ
て加え、引続き更に1時間反応させた。次に、ビスフェ
ノール−Aをベースとした、450〜525の当量を有
するエポキシ572.5重量部を、Dowanol PM中50%
溶液として2〜3時間に亙って添加して更に1時間85
℃〜90℃の温度で反応させた。反応後、ビスフェノー
ル−Aポリエポキシドと一緒に導入された溶剤を、約1
40℃の温度で真空蒸留して除去した。混合物中の固体
含量が96%を超えるときに蒸留を終了したが、そのと
きの反応器の内容物は約85℃〜90℃になっていた。
【0025】〔実施例2〕 水相溶性のポリアミン−エポキシアダクトの調製 下記の一般的な例外を除いて、実施例1の手順を繰返し
た。撹拌機及び還流凝縮器を備えた適当な反応器に、テ
トラエチレンペンタミン(TEPA)735重量部、Ep
odil 750の商品名で販売されている、120〜140の
エポキシ当量を有する脂肪族ジエポキシド167.5重
量部及びEpodil 741の商品名で販売されているブチルグ
リシジルエーテル(モノエポキシド)265重量部を加
えた。モノエポキシドの量は第一アミノ官能基の29.
7%と反応するように計算し、また脂肪族ジエポキシド
の量は残留アミノ官能基の23.9%と反応するように
計算した。ジエポキシドを添加する前に、窒素で反応器
をパージし、またTEPAを約85℃〜90℃に加熱し
た。TEPAが85℃〜90℃に加熱されたならば、脂
肪族ジエポキシドを1時間に亙って添加し、引続き保持
して更に1時間反応させた。脂肪族ジエポキシドのTE
PAとの反応によって生ずる熱のため、冷却が必要であ
った。本質的にすべての脂肪族ジエポキシドが反応した
ときに、ブチルグリシジルエーテルを1.5時間に亙っ
て添加し、引続き更に1時間反応させた。次に、ビスフ
ェノール−Aをベースとした、450から525の当量
を有するエポキシ572.5重量部をDowanol PM中50
%溶液として2〜3時間に亙って添加して更に1時間8
5℃〜90℃の温度で反応させた。反応後、ビスフェノ
ール−Aポリエポキシドと一緒に導入された溶剤を、約
140℃の温度で真空蒸留して除去した。混合物中の固
体含量が96%を超えるときに蒸留を終了したが、その
ときの反応器の内容物は約85℃から90℃になってい
た。
【0026】〔実施例3〕 樹脂相溶性のポリアミン−エポキシアダクトの調製 実施例1に記載したものと同様の反応器に、ジエチレン
トリアミン(DETA)447重量部を加えた。反応器は
窒素でパージし、そのときにフェニルグリシジルエーテ
ル753重量部を加えて、内容物を55℃〜125℃の
温度に加熱しそして30分間に亙って反応させた。反応
後、内容物を冷却して樹脂相溶性のポリアミン−エポキ
シアダクトを回収した。
【0027】〔実施例4〕 水相溶性のポリアミン−エポキシアダクトと樹脂相溶性
のポリアミン−エポキシアダクトとのブレンドの調製 実施例2の水相溶性のポリアミン−エポキシアダクト1
740重量部をジエチレントリアミンとフェニルグリシ
ジルエーテル(実施例3)の事前に生成されたポリアミ
ン−アダクト825重量部に加えて形成した、水相溶性
のポリアミン−エポキシアダクトと樹脂相溶性のポリア
ミン−エポキシアダクトとのブレンドを反応器に加え
た。内容物を約30分撹拌した。次いで、アミン水素を
メチロール化するために含有量36.6重量パーセント
の水溶性ホルムアルデヒド溶液545重量部を反応器に
加えた。約30分後に、反応器内容物を約95℃〜10
0℃の温度に加熱して更に1時間保持した。
【0028】得られた生成物のアミノ基の塩への部分変
換は、反応器内容物を約70℃〜80℃の温度に冷却す
ることによって行なわれ、引続いて水約516重量部及
び酢酸74重量部を添加した。Jeffamine D-230 110
重量部を加え、そして内容物を水で調整して固体含量7
0%にした。反応器内容物を約1〜2時間同様な温度で
撹拌した。次いで、反応内容物を冷却し、生成物を回収
した。
【0029】〔実施例5〕 ポリエポキシド塗布組成物の調製 一連の配合されたエポキシ塗布組成物を、液状及び固体
状両方のビスフェノール−A型ポリグリシジルエーテル
樹脂を用いて、水中で乳化させ、そして実施例4のブレ
ンドで硬化させて調製した。表1は塗布組成物を示し、
また表2は硬化した塗布組成物の性能データを示してい
る。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】〔実施例6〕 第一アミノ官能基を有しない、水相溶性のポリアミン−
エポキシアダクト ブチルグリシジルエーテル34.9重量部及びDowanol P
M中50%溶液として450〜525のエポキシ当量を
有する固体エポキシ110.5重量部を残留第一アミノ
官能基が確実にないようにするためにTEPA 44.0
重量部と反応させることを除いて、実施例1の手順を繰
返した。この生成物を実施例2で用いられた残留成分と
混合した、例えば調製されたアダクトにTEPA(9
6.0重量部)を加え、引続いてEpodil 750(31.9重
量部)を1時間に亙り添加し、そして更に85℃で1時
間反応させた。次いで、Epodil 741(ブチルグリシジル
エーテル、15.8重量部)を70℃で1時間に亙って
加えて、更に70℃で反応させた。その後、Dowanol PM
を最高温度140℃に至るまで真空蒸留によって除去し
た。この内容物を90℃まで冷却して、実施例3の生成
物157.6重量部を加えた。濃度36.6パーセント
(w/w)のホルムアルデヒド溶液(104.2重量
部)を3時間に亙って添加し、そして内容物を1時間1
00℃に加熱した。次に、水(98.5重量部)及び酢
酸(14.1重量部)を加えて固体含量70%に調整し
た。Jeffamine D-230(38.9重量部)を加え、そして
内容物を水で固体含量70%に再調整した。
【0033】この実施例の生成物を固体含量70%で、
実施例4のポリアミン−エポキシアダクトと比較した。
結果を表3に示す。
【表3】
【0034】実施例6の水相溶性の樹脂は828ポリエ
ポキシドタイプの液体樹脂を乳化できないが、固体樹脂
エマルジョンを用いてエマルジョンを形成することはで
きる。後者の場合、実施例6の生成物を使用することに
より、実施例4のブレンドと比較すると、わずかに長い
ポットライフとタックフリー時間が観察された。
【0035】〔実施例7〕 市販の系との比較 実施例4の製品を現存の市販水性ポリアミンアダクトと
比較した。各製品とも顔料の容積濃度11%の白色の水
性ペイントが得られるように配合した。7日及び14日
後に液体エポキシ樹脂の硬化に対してフィルム特性を測
定した。その結果を表4に示す。
【表4】
【0036】実施例4の製品は7日間で完全硬化を果し
ているのに反して、競合製品は7日後に完全硬化に至っ
ていないことを、このデータは示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 デイビツド・アーサー・コーンフオース イギリス国ランカシヤー州オー・エル12 −7アール・ユー.ロツチデイル.ヒブ ソンアベニユー19 (56)参考文献 特開 昭56−34768(JP,A) 米国特許4246148(US,A)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(a) ポリアミンに、ポリアミンの
    第一アミノ基の10〜50%と反応する量のモノエポキ
    シドと、ポリアミンの残留第一アミノ基の5〜65%と
    反応する量のポリエポキシドとの混合物を添加反応させ
    て形成した、水相溶性のポリアミン−エポキシアダクト
    0.25〜4重量部および(b) 第一アミノ基を有する
    ポリアミンとモノエポキシドまたはポリエポキシドとの
    反応によって作られた樹脂相溶性のポリアミン−エポキ
    シアダクト1重量部とからなり、ポリアミンの残留アミ
    ノ基の少なくとも25%がホルムアルデヒドと反応し、
    ポリアミンは引続いて酸との反応によって少なくとも部
    分的に中和されている前記水溶性のポリアミン−エポキ
    シアダクトと樹脂相溶性ポリアミン−エポキシアダクト
    とのブレンドおよび (B) 前記ブレンド中のアミン活性水素当り0.5〜1.
    5当量のエポキシドが存在する量のポリエポキシド樹脂
    からなる水性媒体に分散した二成分コーティング組成
    物。
  2. 【請求項2】 酸がカルボン酸である請求項1記載の組
    成物。
  3. 【請求項3】 反応して水相溶性ポリアミン−エポキシ
    アダクトを形成するポリアミンが3〜6個のアミノ窒素
    原子を有するポリアルキレンアミンである請求項1記載
    の組成物。
  4. 【請求項4】 ポリアミンはポリエチレンポリアミンで
    ある請求項3記載の組成物。
  5. 【請求項5】 脂肪族ジエポキシドがポリアミンと反応
    して水相溶性ポリアミン−エポキシアダクトを形成する
    ポリエポキシドの成分である請求項1記載の組成物。
  6. 【請求項6】 脂肪族ジエポキシドの量がポリエポキシ
    ドのエポキシド当量当たり0.5〜2エポキシド当量で
    ある請求項5記載の組成物。
  7. 【請求項7】 反応して樹脂相溶性ポリアミン−エポキ
    シアダクトを形成するポリアミンがポリエチレンポリア
    ミンである請求項1記載の組成物。
  8. 【請求項8】 反応して樹脂相溶性ポリアミン−エポキ
    シアダクトを形成するモノエポキシドが芳香族モノエポ
    キシドである請求項7記載の組成物。
  9. 【請求項9】 芳香族モノエポキシドがフェニルグリシ
    ジルエーテルまたはクレゾールグリシジルエーテルであ
    る請求項8記載の組成物。
  10. 【請求項10】 樹脂相溶性ポリアミン−エポキシアダ
    クトのポリアミン中の利用可能な第一アミノ基の40〜
    100%が反応している請求項9記載の組成物。
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