JPH0885751A - 樹脂水分散体およびその製造方法 - Google Patents

樹脂水分散体およびその製造方法

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JPH0885751A
JPH0885751A JP22317894A JP22317894A JPH0885751A JP H0885751 A JPH0885751 A JP H0885751A JP 22317894 A JP22317894 A JP 22317894A JP 22317894 A JP22317894 A JP 22317894A JP H0885751 A JPH0885751 A JP H0885751A
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resin
phenol
water
hydroxy
alkyl ether
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JP22317894A
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Shiro Sakatani
史郎 酒谷
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ビスフェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ
樹脂にシクロカーボネート化合物を反応させ、次いでア
ミン系化合物を反応させて分子構造中にカルバミン酸エ
ステル(ヒドロキシ)アルキルエーテル構造を有する樹
脂を得、これを水中分散させた樹脂水分散体。 【効果】 鋼板等の被塗物へ塗布時に錆を発生させるこ
となく、更に硬化物の耐食性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水分散樹脂組成物に関
し、より詳しくはコーティング材料として塗料用、電気
電子用、土木建築用、接着用等に好適に利用できるカル
バミン酸エステル(ヒドロキシ)アルキルエーテル基を
持つ樹脂の水分散体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は耐食性に優れた樹脂で、
無溶剤又は有機溶剤溶液として、塗料用、電気電子用、
土木建築用、接着用等に幅広く使用されているが、特に
塗料用エポキシ樹脂としては、作業性或いは安全性の点
からエポキシ樹脂を水中分散させた水分散体としての使
用が多くなってきている。
【0003】これまでエポキシ樹脂を水中分散させる方
法としては、例えばエポキシ樹脂のエポキシ基に、3級
アミンと酸類との塩を反応させて分子末端を4級アンモ
ニウム化させたものを水中分散させる方法が知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の分子末
端を4級アンモニウム化した樹脂は塗装後も親水性を保
持するため、塗膜の耐水性、耐食性が不十分であった。
【0005】本発明が解決しようとする課題は、被塗物
へ塗布乾燥した場合の基材への密着性および硬化物の耐
水性等の所謂、耐食性に優れる樹脂水分散体を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は上
述課題を解決すべく鋭意、検討を重ねた結果、フェノー
ル類、フェノール樹脂またはそれらのアルキレンオキサ
イド付加物を主骨格として有しており、これらの化合物
中に存在する水酸基が、カルバミン酸エステル(ヒドロ
キシ)アルキルエーテルを形成した構造の樹脂を用いて
水中分散させることにより、耐食性が著しく改善できる
ことを見いだし本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明はフェノール類、フェノール
樹脂またはこれらのアルキレンオキサイド付加物のカル
バミン酸エステル(ヒドロキシ)アルキルエーテルと水
とを必須成分とすることを特徴とする樹脂水分散体、お
よび、エポキシ樹脂にシクロカーボネート化合物を反応
させ、次いでアミン系化合物を反応させて分子構造中に
カルバミン酸エステル(ヒドロキシ)アルキルエーテル
構造を有する樹脂を得、次いで、これを水中へ分散させ
ることを特徴とする樹脂水分散体の製造方法に関する。
【0008】本発明の樹脂水分散体における樹脂成分
は、上記の通りフェノール類、フェノール樹脂またはこ
れらのアルキレンオキサイド付加物を主骨格としてお
り、これらの化合物若しくは樹脂中の水酸基がカルバミ
ン酸エステル(ヒドロキシ)アルキルエーテルを形成し
た構造を有するもの(以下、この樹脂成分を単に「カル
バミン酸エステル(ヒドロキシ)アルキルエーテル構造
を有する樹脂」と略記する。)であるが、フェノール
類、フェノール樹脂またはこれらのアルキレンオキサイ
ド付加物としては、特にその構造が特定されるものでな
く、従来公知のものが何れも使用できる。
【0009】例えば、フェノール類としては、ビスフェ
ノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テト
ラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類、ヒド
ロキノン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−
ジヒドロキシナフタレン等の多価フェノール類等が挙げ
られ、フェノール樹脂としてはフェノールノボラック、
クレゾールノボラック、モノヒドロキシナフタレン−ホ
ルムアルデヒド樹脂、ビス(2,7−ジヒドロキシナフ
フチル)メタン、1,6−ジヒドロキシナフタレン−ホ
ルムアルデヒド樹脂等の所謂ノボラック樹脂、フェノー
ル−ジシクロペンタジエン共重合体、モノナフトール−
ジシクロペンタジエン共重合体等のジシクロペンタジエ
ン系樹脂、フェノール−ジビニルベンゼン共重合体、ク
レゾール−ジビニルベンゼン共重合体、モノナフトール
−ジビニルベンゼン共重合体等のフェノール類−アラル
キル共重合体等が挙げられ、さらにこれらのポリアルキ
レンオキサイド付加物としては、上掲した化合物或いは
樹脂にエチレンオキサイド或いはプロピレンオキサイド
等のアルキレンオキサイドを反応させたものが何れも使
用できるが、代表的なものを例示すれば、ビスフェノー
ルAのエチレンオキサイド付加物、フェノールノボラッ
ク樹脂のエチレンオキサイド付加物、クレゾールノボラ
ック樹脂のエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0010】これらのなかでも特にビスフェノール類、
ノボラック樹脂、ビスフェノール類のアルキレンオキサ
イド付加物が特に耐食性の点から好ましい。
【0011】尚、上記したフェノール類、フェノール樹
脂或いはこれらのアルキレンオキサイド付加物の水酸基
部分にカルバミン酸エステル(ヒドロキシ)アルキルエ
ーテル結合を形成させる為には、後述する通り、通常、
フェノール類、フェノール樹脂或いはこれらのアルキレ
ンオキサイド付加物を一旦エポキシ化させるため、上掲
したフェノール類、フェノール樹脂或いはこれらのアル
キレンオキサイド付加物は、それらのグリシジルエーテ
ルと、グリシジルエーテル化されていない化合物若しく
は樹脂とが反応して、高分子量化したものも含まれる。
【0012】また、当該樹脂中に必須の官能基と導入さ
れるカルバミン酸エステル(ヒドロキシ)アルキルエー
テル結合としては、特にその構造が限定されるものでは
ないが、例えば以下の式(1)で表わされる構造のもの
が挙げられる。
【0013】
【化1】-O-CH2CH(OH)CH2-OCO-NX 式(1) ここで、式(1)中のXとしてはアルキル基、フェニル
基、窒素原子と共に環状構造を形成する脂環式化合物残
基等が挙げられる。ここで、通常、Xは、カルバミン酸
エステル(ヒドロキシ)アルキルエーテル結合の原料の
1成分であるアミン系化合物の残基となるが、アミン系
化合物が2官能性アミン、3官能性アミンまたは4官能
性アミンである場合には、Xは更に他のフェノール類、
フェノール樹脂或いはこれらのアルキレンオキサイド付
加物とカルバミン酸エステル(ヒドロキシ)アルキルエ
ーテル結合を形成した構造となる。
【0014】上述したカルバミン酸エステル(ヒドロキ
シ)アルキルエーテル構造を有する樹脂は、特にその分
子量は限定されるものではないが、通常、数平均分子量
で200〜20,000であることが好ましく、特に水
中での分散安定性、硬化物野強度の点から300〜8,
000であることが好ましい。
【0015】また、これらのカルバミン酸エステル(ヒ
ドロキシ)アルキルエーテル構造を有する樹脂はその分
子構造中に水酸基を有するものであり、通常、水酸基当
量60〜800g/当量となる割合で樹脂中に含まれて
いることが硬化物の密着性が良好となる点から好まし
い。
【0016】本発明の樹脂水分散体は、この様なカルバ
ミン酸エステル(ヒドロキシ)アルキルエーテル構造を
有する樹脂が水中に分散しているものであるが、この様
な樹脂を用いることにより、塗布前には流動性が高く作
業性が良好であるにも係わらず、塗膜形成後の硬化時に
おいて急激に高分子量化し基材との密着性が良好となる
他、しかも得られる硬化塗膜は疎水性となる為に耐水性
が著しく良好なものとなる。
【0017】本発明の樹脂水分散体中の樹脂量は特に制
限されるものではないが、通常、分散体中の樹脂含量で
5〜80重量%であることが好ましい。
【0018】また、樹脂水分散体中の分散粒子の粒子径
は、特に限定されるものではないが、塗膜が緻密にな
り、耐食性がより向上する点から数平均粒子径が、0.
01〜1μmであることが好ましい。
【0019】本発明の樹脂水分散体においては、更に耐
水性、耐食性を損なわない範囲で分散剤を使用してもよ
く、例えば、アルコール類、又は、アルキルフェノール
にプロピレンオキサイドが付加した構造を有するフェノ
ール類のアルキレンオキサイド付加物等のノニオン系界
面活性剤、アミン系化合物を酸性物質で中和したカチオ
ン系界面活性剤等が挙げられるが、なかでもカルバミン
酸エステル(ヒドロキシ)アルキルエーテル製造時に過
剰に用いられたアミン系化合物を酸性物質で中和したも
のが分散性の点から好ましい。
【0020】上述した樹脂水分散体は、特にその製造方
法が限定されるものではないが、以下に詳述する本発明
の製造方法によって極めて容易に行なうことができる。
【0021】即ち、本発明の製造方法は、エポキシ樹脂
にシクロカーボネート化合物を反応させ、次いでアミン
系化合物を反応させて分子構造中にカルバミン酸エステ
ル(ヒドロキシ)アルキルエーテル構造を有する樹脂を
得、次いで、これを水中へ分散させるものである。
【0022】ここで用いるエポキシ樹脂としては、特に
限定されるものではなく、上述したフェノール類、フェ
ノール樹脂、それらのアルキレンオキシド付加物にエピ
ハロヒドリンを反応させて得られるエポキシ化物が何れ
も使用でき、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型
エポキシ樹脂等のビスフェノール類型エポキシ樹脂、ジ
グリシジルオキシベンゼン、2,7−ジグリシジルオキ
シナフタレン、1,6−ジグリシジルオキシナフタレン
等の2官能エポキシ樹脂、フェノールノボラックのポリ
グリシジルエーテル、クレゾールノボラックのポリグリ
シジルエーテル、グリシジルオキシナフタレン−ホルム
アルデヒド樹脂、ビス(2,7−ジグリシジルオキシナ
フチル)メタン、1,6−ジグリシジルオキシナフタレ
ン−ホルムアルデヒド樹脂等の所謂ノボラック型エポキ
シ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン共重合体の
ポリグリシジルエーテル、モノナフトール−ジシクロペ
ンタジエン共重合体のポリグリシジルエーテル等のジシ
クロペンタジエン系エポキシ樹脂、フェノール−ジビニ
ルベンゼン共重合体のポリグリシジルエーテル、クレゾ
ール−ジビニルベンゼン共重合体のポリグリシジルエー
テル、モノナフトール−ジビニルベンゼン共重合体のポ
リグリシジルエーテル等のフェノール類−アラルキル共
重合体型エポキシ樹脂等、その他ビスフェノールAのエ
チレンオキサイド付加物、フェノールノボラック樹脂の
エチレンオキサイド付加物、クレゾールノボラック樹脂
のエチレンオキサイド付加物にエピハロヒドリンを反応
させたエポキシ化物等が挙げられる。
【0023】これらのなかでも特に、塗膜の耐食性の点
からビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、塗膜の
耐溶剤性の点からフェノールノボラック型エポキシ樹脂
が好ましく、また、塗膜の可撓性の点からビスフェノー
ル類のアルキレンオキサイド付加物のエポキシ化物が好
ましい。
【0024】これらのエポキシ樹脂のエポキシ当量は特
に限定されるものではないが、150〜6,000g/
当量であることが塗膜強度の点から好ましい。
【0025】また、特にフェノールノボラック型エポキ
シ樹脂を用いる場合には、150℃での溶融粘度10〜
20,000であることが硬化物の表面硬度の点から好
ましい。
【0026】本発明の製造方法は上述したエポキシ樹脂
にカーボネート化合物を反応させ、分子末端にシクロカ
ーボネート基を導入させる。エポキシ樹脂とカーボネー
ト化合物との反応割合は、特に限定されないが、エポキ
シ樹脂中のエポキシ基1モルに対してカーボネート化合
物を0.05〜1モルの割合であることが好ましい。
【0027】また、反応条件は特に限定されないが、有
機溶剤の存在下或いは非存在下に50〜240℃で、5
分〜24時間で行なう方法が好ましく挙げられる。
【0028】ここで、シクロカーボネート化合物として
は、特に限定されるものではないが、エチレンカーボネ
ート及びプロピレンカーボネート等が挙げられる。
【0029】また、この反応で用いられる有機溶剤とし
ては、各原料を反応温度で溶解し得るものであればよ
く、特に限定されるものではないが、例えば、キシレ
ン、トルエン等の炭化水素、アルコール類、グリコール
エーテル類、ケトン類、シクロカーボネート化合物等が
挙げられる。これらのなかでも特に樹脂の溶解性、沸
点、最終的に得られる水分散体の分散安定化の点からブ
チルセロソルブ、プロピレングリコールモノエチルエー
テル、イソプロパノール、ダイアセトンアルコール等が
好ましい。
【0030】この様にして得られる反応生成物は、エポ
キシ樹脂のカーボネート化率は5〜100%であること
が、樹脂骨格中にカルバミン酸エステル構造を導入する
効果が顕著となる点から好ましい。
【0031】この様にして得られるシクロカーボネート
化物は、次いで、アミン系化合物と反応させて分子構造
中にカルバミン酸エステル(ヒドロキシ)アルキルエー
テル構造を有する樹脂を得ることができる。
【0032】ここで用いられるアミン系化合物として
は、分子内に1級または2級のアミノ基をもつものであ
れば特に限定されず、分子内に1個を越える1級または
2級のアミノ基をもつアミン系硬化剤として公知慣用の
化合物かいずれも使用でき、特に限定されるものではな
いが、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−
ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミ
ノブチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテト
ラミンなどの鎖状ポリアミン類、N−アミノエチルピペ
ラジンなどの環状脂肪族ポリアミン類などが水分散安定
性、樹脂の硬化性の点から好ましい。また、これらのア
ミン系化合物に3級アミン類を併用しても良い。
【0033】シクロカーボネート化物とアミン系化合物
との反応割合は、特に限定されるものではないが、シク
ロカーボネート基とアミノ基とのモル比で、通常、前者
/後者=1/0.8〜1/1.5であるが、本発明にお
いては、アミン系化合物をシクロカーボネート基に対し
て過剰に用いて反応終了後にこれを酸類で中和して、水
への分散性をより向上させることができる。この場合の
モル比としては1/0.5〜1/2であることが好まし
い。
【0034】ここで用いられる中和用の酸類としては、
カルボン酸類やスルホン酸等の有機酸をもちいることが
可能であるが、酢酸、乳酸等の揮発性の酸がとくに好ま
しい。
【0035】その際のカルボン酸の使用量は、特に限定
されないが該付加物中の塩基性窒素原子数に対するカル
ボン酸のカルボキシル基数の比(当量比)は、通常0.
3〜1.2、中でも0.5〜1.0となる使用量が本発
明の樹脂の水中での分散性に優れる点から好ましい。
【0036】この様にして得られるカルバミン酸エステ
ル(ヒドロキシ)アルキルエーテル基を有する樹脂は、
既述した通り、数平均分子量で200〜20,000で
あって、また、水酸基当量が60〜800g/当量であ
ることが好ましい。
【0037】カルバミン酸エステル(ヒドロキシ)アル
キルエーテル基を有する樹脂は、次いで水中に分散さ
れ、目的とする樹脂水分散体とすることができる。
【0038】分散方法としては、特に限定されるもので
はないが、例えば剪断性を有する混合機内へカルバミン
酸エステル(ヒドロキシ)アルキルエーテル基を有する
樹脂、水、更に必要に応じて有機溶剤を導入して分散さ
せる方法が挙げられる。更に具体的には、水中に有機溶
剤溶媒を投入して分散させるか、有機溶剤溶液中へ水を
分割して投入して分散する方法が好ましく、また、前記
混合機としては例えばホモジナイザー、スタティックミ
キサー、プロペラ型攪拌混合機等が挙げられる。
【0039】この分散工程において、樹脂成分をより微
分散させるためには、より高圧下に混合することが好ま
しく、具体的には、100〜5,000kgf/cm2 の高圧
下、好ましくは300〜3,000kgf/cm2の高圧下に
行なうことが好ましい。
【0040】この分散工程において用いられる有機溶剤
としては、特に限定されるものではないが、例えば、メ
タノール、エタノール等の低級アルコール、エチレング
リコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン類が挙げられ
る。
【0041】本発明の組成物においては、上述した各成
分の他に、酸化チタン、タルク、ベンガラ、硫酸バイウ
ム、シリカ、ガラス繊維等の無機充填材を添加してもよ
い。無機充填剤の使用量としては、特に限定されない
が、通常、樹脂量の2倍量以下で、かつ、分散体中の固
形分含量が80重量%以下となる割合で用いることが好
ましい。
【0042】以上、詳述した樹脂水分散体は特にその用
途が特定されるものではなく、例えば、接着材料、樹脂
成形品、木工製品の塗装材料、鋼板用塗料、フィルム等
の等の各種用途において使用し得るものであるが、なか
でも耐食性、作業性などの特性から、塗料として有効で
ある。特に、本発明の樹脂水分散体は、金属板に対して
極めて優れた防錆性を有する為、鋼板用として特に有用
である。
【0043】鋼板用塗料としては、その膜厚が2〜30
0μmとなる様に塗布することが好ましく、また、鋼板
上に直接塗布してもよいし、また、鋼板にプライマーコ
ートを施した後、該プライマーコート上に塗布してもよ
い。
【0044】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0045】製造例1 ビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂
(エポキシ当量200)200部にプロピレンカーボネ
ート100部に溶解し、テトラブチルホスホニウルクロ
ライド1部を仕込んで、二酸化炭素雰囲気下、180℃
で4時間攪拌した後、1mmHg、160℃で2時間処理し
て、カーボネート化率95%の樹脂を得た。
【0046】製造例2 ビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂
(エポキシ当量200)200部にプロピレンカーボネ
ート100部に溶解し、テトラブチルホスホニウルクロ
ライド1部を仕込んで、二酸化炭素雰囲気下、175℃
で4時間攪拌した後、1mmHg、160℃で2時間処理し
て、プロピレンカーボネート、プロピレングリコール等
を除去しカーボネート化率70%の樹脂を得た。
【0047】製造例3 ビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂
(エポキシ当量200)200部にプロピレンカーボネ
ート100部に溶解し、テトラブチルホスホニウルクロ
ライド1部を仕込んで、二酸化炭素雰囲気下、160℃
で4時間攪拌した後、1mmHg、160℃で2時間処理し
て、揮発成分を除去してカーボネート化率45%の樹脂
を得た。
【0048】製造例4 ビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂
(エポキシ当量200)200部にプロピレンカーボネ
ート100部に溶解し、テトラブチルホスホニウルクロ
ライド1部を仕込んで、二酸化炭素雰囲気下、165℃
で4時間攪拌した後、1mmHg、160℃で2時間処理し
て、揮発成分を除去してカーボネート化率35%の樹脂
を得た。
【0049】製造例5 ビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂
(エポキシ当量450)450部にプロピレンカーボネ
ート100部に溶解し、テトラブチルホスホニウルクロ
ライド1部を仕込んで、二酸化炭素雰囲気下、160℃
で4時間攪拌した後、1mmHg、160℃で2時間処理し
て、揮発成分を除去してカーボネート化率25%の樹脂
を得た。
【0050】製造例6 ビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂
(エポキシ当量900)900部にプロピレンカーボネ
ート100部に溶解し、テトラブチルホスホニウルクロ
ライド1部を仕込んで、二酸化炭素雰囲気下、165℃
で4時間攪拌した後、1mmHg、160℃で2時間処理し
て、カーボネート化率15%の樹脂を得た。
【0051】製造例7 ビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂
(エポキシ当量2,000)1000部にプロピレンカ
ーボネート1000部に溶解し、テトラブチルホスホニ
ウルクロライド1部を仕込んで、二酸化炭素雰囲気下、
165℃で4時間攪拌した後、1mmHg、200℃で8時
間処理して、カーボネート化率15%の樹脂を得た。
【0052】製造例8 ビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂
(エポキシ当量4,000)2000部にプロピレンカ
ーボネート100部に溶解し、テトラブチルホスホニウ
ルクロライド1部を仕込んで、二酸化炭素雰囲気下、1
65℃で4時間攪拌した後、1mmHg、220℃で9時間
処理して、カーボネート化率15%の樹脂を得た。
【0053】実施例1 製造例1で製造したビスフェノールAグリシジルエーテ
ル型エポキシ樹脂(カーボネート化率95%)242部
をブチルセルソルブ100部に溶解し、N−アミノピペ
ラジン48部を加え、110℃で3時間反応させた。次
いで酢酸3部1)を加え110℃で1時間反応させた。
その後80℃まで冷却し、水577部を加えて、不揮発
分32%の水性分散液を得た。
【0054】この水性分散液を鋼板(70×150×
1.6mm)に乾燥塗膜20μmとなるように塗布し
て、5分間静置した後、160℃で20分焼き付けた。
その際、鋼板上の錆の発生具合を目視にて評価したが、
錆の発生は見られなかった。
【0055】次いで、耐食性の試験として、得られた塗
膜付き鋼板に2つの対角線が交差する様に鋼板の至る深
さまで塗膜に切り込みを入れ、35℃、5%の食塩水を
480時間噴霧して乾燥した後、幅18mmのセロハン
テープを切り込み線を中心にして一方の対角線上に貼り
一気に剥した。その際、塗膜が切り込み線を中心にして
2mm以内しか剥離しないものを合格とし、それ以上剥
離したものについては切り込み線を中心として剥離した
塗膜の一方の幅を測定した。これらの試験結果を第1表
に示した。
【0056】実施例2 製造例2で製造したカーボネート化エポキシ樹脂231
部、N−アミノピペラジン48部 、酢酸12部に代え
た以外は、実施例1と同一の操作で、不揮発分30.2
%の水性分散液を得た。
【0057】この分散液を用いて、実施例1と同様にし
て焼き付けを行ったが、鋼板上の錆の発生は見られなか
った。次いで、実施例1と同様にして耐食性の試験を行
った。その結果を第1表に示した。
【0058】実施例3 製造例3で製造したカーボネート化エポキシ樹脂220
部、N−アミノピペラジン48部 、酢酸32部に代え
た以外は、実施例1と同一の操作で、不揮発分30.2
%の水性分散液を得た。
【0059】この分散液を用いて、実施例1と同様にし
て焼き付けを行ったが、鋼板上の錆の発生は見られなか
った。次いで、実施例1と同様にして耐食性の試験を行
った。その結果を第1表に示した。
【0060】実施例4 製造例2で製造したカーボネート化エポキシ樹脂215
部、N−アミノピペラジン48部 、酢酸42部)に代
えた以外は、実施例1と同一の操作で、不揮発分30.
2%の水性分散液を得た。
【0061】この分散液を用いて、実施例1と同様にし
て焼き付けを行ったが、鋼板上の錆の発生は見られなか
った。次いで、実施例1と同様にして耐食性の試験を行
った。その結果を第1表に示した。
【0062】実施例5 製造例5で製造したカーボネート化エポキシ樹脂461
部、N−アミノピペラジン48部 、酢酸40部、ブチ
ルセロソルブ300部に代えた以外は、実施例1と同一
の操作で、水の量を調整して、不揮発分25%の水性分
散液を得た。
【0063】この分散液を用いて、実施例1と同様にし
て焼き付けを行ったが、鋼板上の錆の発生は見られなか
った。次いで、実施例1と同様にして耐食性の試験を行
った。その結果を第1表に示した。
【0064】実施例6 製造例6で製造したカーボネート化エポキシ樹脂907
部、N−アミノピペラジン48部 、酢酸42部、ブチ
ルセロソルブ600部に代えた以外は、実施例1と同一
の操作で、水の量を調整して不揮発分24.2%の水性
分散液を得た。
【0065】この分散液を用いて、実施例1と同様にし
て焼き付けを行ったが、鋼板上の錆の発生は見られなか
った。次いで、実施例1と同様にして耐食性の試験を行
った。その結果を第1表に示した。
【0066】実施例7 製造例7で製造したカーボネート化エポキシ樹脂200
7部、N−アミノピペラジン48部 、酢酸42部、ブ
チルセロソルブ2000部に代えた以外は、実施例1と
同一の操作で、水の量を調整して不揮発分20.2%の
水性分散液を得た。
【0067】この分散液を用いて、実施例1と同様にし
て焼き付けを行ったが、鋼板上の錆の発生は見られなか
った。次いで、実施例1と同様にして耐食性の試験を行
った。その結果を第1表に示した。
【0068】実施例8 製造例8で製造したカーボネート化エポキシ樹脂400
7部、N−アミノピペラジン48部 、酢酸40部、ブ
チルセロソルブ4000部に代えた以外は、実施例1と
同一の操作で、水の量を調整して、不揮発分19%の水
性分散液を得た。
【0069】この分散液を用いて、実施例1と同様にし
て焼き付けを行ったが、鋼板上の錆の発生は見られなか
った。次いで、実施例1と同様にして耐食性の試験を行
った。その結果を第1表に示した。
【0070】比較例1 BPA型エポキシ樹脂(エポキシ当量900)900部
にジエタノールアミン105部とブチルセロソルブ90
0部と混合し140℃で7時間反応させた後、冷却し、
酢酸60部を加えた後、水中に分散させ不揮発分20.
2%の水性分散液を得た。その後、実施例6同一の方法
で耐食性の試験を行った。その結果を第1表に示した。
【0071】比較例2 BPA型エポキシ樹脂(エポキシ当量200)2000
部にジエタノールアミン105部とブチルセロソルブ1
900部と混合し140℃で7時間反応させた後、冷却
し、酢酸60部を加えた後、水中に分散させ不揮発分2
0.2%の水性分散液を得た。その後、実施例7同一の
方法で耐食性の試験を行った。その結果を第1表に示し
た。
【0072】比較例3 BPA型エポキシ樹脂(エポキシ当量200)4000
部にジメチルアミノエタノールアミン89部と乳酸90
部ブチルセロソルブ1900部と混合し110℃で7時
間反応させた後、冷却し、、水中に分散させ不揮発分2
0.2%の水性分散液を得た。その後、実施例7同一の
方法で耐食性の試験を行った。その結果を第1表に示し
た。
【0073】
【表1】 ○:合 格 ×:不合格
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、鋼板等の被塗物へ塗布
時に錆を発生させることなく、更に硬化塗膜の基材への
密着性および硬化物の耐水性等の所謂、耐食性に優れる
樹脂水分散体を提供することにある。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール類、フェノール樹脂またはこ
    れらのアルキレンオキサイド付加物のカルバミン酸エス
    テル(ヒドロキシ)アルキルエーテルと水とを必須成分
    とすることを特徴とする樹脂水分散体。
  2. 【請求項2】 フェノール類、フェノール樹脂またはこ
    れらのアルキレンオキサイド付加物のカルバミン酸エス
    テル(ヒドロキシ)アルキルエーテルが、カルバミン酸
    エステル(ヒドロキシ)アルキルエーテル基を1分子あ
    たり0.05〜1個有するものである請求項1記載の樹
    脂水分散体。
  3. 【請求項3】 フェノール類、フェノール樹脂またはこ
    れらのアルキレンオキサイド付加物のカルバミン酸エス
    テル(ヒドロキシ)アルキルエーテルが、数平均分子量
    200〜20,000のものである請求項2記載の樹脂
    水分散体。
  4. 【請求項4】 フェノール類、フェノール樹脂またはこ
    れらのアルキレンオキサイド付加物のカルバミン酸エス
    テル(ヒドロキシ)アルキルエーテルが、水酸基当量6
    0〜800g/当量のものである請求項2または3記載
    の樹脂水分散体。
  5. 【請求項5】 フェノール類、フェノール樹脂またはこ
    れらのアルキレンオキサイド付加物が、ビスフェノール
    類、ノボラック樹脂、若しくはビスフェノールのアルキ
    レンオキサイド付加物である請求項1〜4の何れか1つ
    に記載の樹脂水分散体。
  6. 【請求項6】 水中分散している、フェノール類、フェ
    ノール樹脂またはこれらのアルキレンオキサイド付加物
    のカルバミン酸エステル(ヒドロキシ)アルキルエーテ
    ルの数平均粒子径が、0.01〜1μmである請求項1
    〜5の何れか1つに記載の樹脂水分散体。
  7. 【請求項7】 エポキシ樹脂にシクロカーボネート化合
    物を反応させ、次いでアミン系化合物を反応させて分子
    構造中にカルバミン酸エステル(ヒドロキシ)アルキル
    エーテル構造を有する樹脂を得、次いで、これを水中へ
    分散させることを特徴とする樹脂水分散体の製造方法。
  8. 【請求項8】 エポキシ樹脂中のエポキシ基1モルに対
    して、シクロカーボネート化合物を0.05〜1モルの
    割合で用いて反応させ、次いで、得られる反応生成物の
    シクロカーボネート基1モルに対して、アミン系化合物
    中のアミノ基20〜1モルとなる割合でアミン系化合物
    を反応させる請求項7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 エポキシ樹脂にシクロカーボネート化合
    物、次いで、アミン系化合物を反応させて分子構造中に
    カルバミン酸エステル(ヒドロキシ)アルキルエーテル
    構造を有する樹脂を得た後、未反応のアミン系化合物を
    酸類で中和して、これを水中へ分散させる請求項8記載
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 エポキシ樹脂が、エポキシ当量150
    〜6,000のもである請求項7、8または9記載の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 エポキシ樹脂が、ビスフェノール型エ
    ポキシ樹脂である請求項7、8、9または10記載の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 エポキシ樹脂が、フェノールノボラッ
    ク型エポキシ樹脂である請求項7、8、9または10記
    載の製造方法。
  13. 【請求項13】 エポキシ化合物がビスフェノール類の
    アルキレンオキサイド付加物のエポキシ化物である請求
    項7、8、9または10記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 アミン系化合物が、脂肪族系ジアミン
    である請求項7〜13の何れか1つに記載の製造方法。
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