JP2661295B2 - 耐衝撃強化剤,これを用いた熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

耐衝撃強化剤,これを用いた熱可塑性樹脂組成物及び成形品

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JP2661295B2 JP1305684A JP30568489A JP2661295B2 JP 2661295 B2 JP2661295 B2 JP 2661295B2 JP 1305684 A JP1305684 A JP 1305684A JP 30568489 A JP30568489 A JP 30568489A JP 2661295 B2 JP2661295 B2 JP 2661295B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、熱可塑性樹脂の耐衝撃強化剤、これを用い
た熱可塑性樹脂組成物及び成形品に関する。
〔従来の技術〕
従来、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性を向上させるた
めに、共役ジエン系ゴムの存在でアクリル酸アルキルエ
ステル又はメタクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニ
ル化合物及びシアン化ビニル化合物をグラフトさせた共
役ジエン系ゴムグラフト共重合体(MBS樹脂、ABS樹脂な
ど)を配合している。
特に、塩化ビニル系樹脂は、難燃性,耐薬品性など多
くの長所を有する樹脂として使用されているものの、塩
化ビニル系樹脂単独では、耐衝撃性に劣るという欠点を
有するため、それらの配合がなされている。
しかしながら、市販されている塩化ビニル系樹脂に、
メチルメタクリレート樹脂,MBS樹脂あるいはABS樹脂を
単に混合して成形しても、各成分の分散性が悪いため、
実際には充分な耐衝撃性向上の効果が得られない。この
欠点を克服する方法として、懸濁重合法によつて得られ
る適当な還元粘度を持つメチルメタクリレート共重合体
と共役ジエン系ゴムグラフト共重合体を用いる方法が提
案されている(例えば特開昭60−161450号公報、同61−
14246号公報など)。
しかし、これらの共役ジエン系ゴム成分は、主鎖中に
化学的に不安定な二重結合を多く有するため、紫外線に
よつて劣化し易く、屋外用途に用いた場合、強度低下,
褪変色をきたす等、耐候性が悪いため、使用に耐えな
い。この耐候性の欠点を改良する方法としては、主鎖中
に二重結合をほとんど有しないアクリル系ゴムの存在下
にアクリル酸アルキルエステル,メタクリル酸アルキル
エステル,芳香族ビニル化合物,シアン化ビニル化合物
などをグラフトさせて得られるグラフト共重合体と、メ
チルメタクリレート系重合体を使用する方法が提案され
ている(特開昭59−98153号公報)。
しかしながら、この方法は、ある程度、耐候性を満足
することができるが、一方では、耐衝撃性が低下すると
いう問題がある。
また、これらの方法で使用されているメチルメタクリ
レート系重合体は、耐候性に優れている反面,易燃性で
あり、耐衝撃性,耐薬品性及び耐溶媒性に劣るという欠
点を有するため、例えば、塩化ビニル系樹脂と混合する
と、塩化ビニル系樹脂本来の特長が損なわれる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のように、従来技術では、耐衝撃性,耐候性など
のバランスのとれた熱可塑性樹脂組成物を得ることはで
きなかつた。
したがつて、本発明は、上記の従来技術の欠点を解消
し、混合される熱可塑性樹脂本来の特性、例えば、塩化
ビニル系樹脂では、本来有する難燃性耐薬品性などを保
有し、かつ特に優れた耐衝撃性及び耐候性を与えること
のできる耐衝撃強化剤、これを用いた熱可塑性樹脂組成
物及び成形品を提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、多官能性単量体(I)0.1〜20重量%、炭
素数1〜13のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエ
ステル(II)50〜99.9重量%および共重合可能な他のビ
ニル化合物(III)0〜30重量%を配合して得られる重
合性単量体(a)99〜20重量部を、共役ジエン系ゴム
(b)1〜80重量部の存在下に、重合性単量体(a)と
共役ジエン系ゴム(b)の合計が100重量部となるよう
に配合し、重合率が50〜93重量%まで乳化重合させたの
ち重合を停止させて得られる、未反応重合性単量体を含
有するグラフトゴム重合体(A)60〜90重量部の存在下
に、アクリル酸アルキルエステル(IV)0〜100重量
%,芳香族ビニル化合物(V)0〜100重量%,メタク
リル酸アルキルエステル(VI)0〜100重量%およびシ
アン化ビニル化合物(VII)0〜40重量%を配合して得
られる単量体(B)40〜10重量部を、グラフトゴム重合
体(A)と単量体(B)の合計が100重量部となるよう
に配合し、重合させて得られるグラフト共重合体(C)
からなる耐衝撃強化剤,これを用いた熱可塑性樹脂組成
物及び成形品に関する。
本発明において、第1に重要なことは、グラフトゴム
重合体(A)が共役ジエン系ゴム(B)を核として、重
合性単量体(a)としてアクリル酸アルキルエステルお
よび多官能性単量体を必須成分として配合しグラフト重
合させたものであることである。
すなわち、本発明の第1のポイントはゴムとして特性
の優れた共役ジエン系ゴムラテツクスを核として、これ
にアクリル酸アルキルエステルと架橋剤としての多官能
性単量体を乳化グラフト重合させたグラフトゴム重合体
を使用することにあり、これにより耐衝撃性を著しく改
良することができる。
本発明のグラフトゴム重合体(A)を得る場合、共役
ジエン系ゴム(b)としては、公知のポリブタジエン,
ブタジエン−スチレン共重合体,ブタジエン−アクリロ
ニトリル共重合体等が使用できる。また、重合性単量体
(a)としては、多官能性単量体(I),炭素数1〜13
のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(I
I)および必要に応じて(I)及び(II)と共重合可能
な他のビニル化合物(III)が使用できる。多官能性単
量体(I)は、重合性単量体(a)中、0.1〜20重量
%、好ましくは0.5〜10重量%、特に好ましくは1〜5
重量%の範囲内で使用される。0.1重量%未満では、架
橋度が不十分で、耐衝撃性及び成形品の外観が劣り、20
重量%を越えると架橋度が過剰となり、耐衝撃性が低下
する。
多官能性単量体(I)としては、トリアリルイソシア
ヌレート,トリアリルシアヌレート,ジシクロペンタジ
エンアクリレート,ジシクロペンタジエンメタクリレー
ト,1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリア
ジン,ジビニルベンゼン,ジアリルフタレート等が使用
でき、特に制限はないが、最初に例示した5種の単量体
のうちから選択して使用すると、耐衝撃性等が特に良好
なので好ましい。
炭素数1〜13のアルキル基を有するアクリル酸アルキ
ルエステル(II)としては、メチルアクリレート,エチ
ルアクリレート,プロピルアクリレート,ブチルアクリ
レート,2−エチルヘキシルアクリレート等があり、この
うち、ブチルアクリレートが特に好ましい。このアクリ
ル酸アルキルエステル(II)は、重合性単量体(a)中
に、50〜99.9重量%、好ましくは65〜99.9重量%使用さ
れる。50重量%未満では、アクリルゴムの特性が低下
し、また、99.9重量%を越えると耐衝撃性が低下する。
多官能性単量体(I)及びアクリル酸アルキルエステ
ル(II)と共重合可能な他のビニル化合物(III)とし
ては、アクリロニトリル,メチルメタクリレート,エチ
ルメタクリレート,メタクリロニトリル,スチレン等が
あり、重合性単量体(a)中、0〜30重量%、好ましく
は0〜25重量%の範囲内で使用される。30重量%を越え
ると重合性単量体(a)を重合させた時にアクリルゴム
としての特性が十分得られなくなる。
上記グラフトゴム重合体(A)の重合に際し、共役ジ
エン系ゴム(b)は、前記(a)成分との合計100重量
部に対し、1〜80重量部、好ましくは5〜45重量部、特
に好ましくは20〜45重量部配合される。1重量部未満で
は、最終組成物の耐衝撃性は不十分である。逆に、グラ
フトゴム重合体(A)の共役ジエン系ゴム配合量が80重
量%より多くなると、耐候性が低下する。
上記グラフトゴム重合体(A)を得る場合、上記共役
ジエン系ゴム(b)は予め水性媒体中に分散させたラテ
ツクス体として使用するのが、乳化重合に際して分散を
容易にする上で好ましい。この乳化重合法としては、当
業者によく知られた方法を採用することができる。
グラフトゴム重合体(A)を得るための乳化重合に際
して、乳化剤としてオレイン酸カリウム,オレイン酸ナ
トリウム,ラウリル硫酸ナトリウム,ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤やポリオ
キシエチレンメチルエーテルのようなノニオン系乳化剤
を使用してもよい。この場合、(a)成分と(b)成分
の総量に対して0.5〜1.5重量%が特に好ましい。また重
合開始剤としては、通常の乳化重合に使用される例え
ば、過硫酸塩やキユメンハイドロパーオキサイド,ナト
リウムホルムアルデヒドスルホキシレートで構成される
レドツクス系のものが使用され、(a)成分に対して、
0.02〜5.0重量%用いるのが特に好ましい。
本発明において第2に重要なことはこの乳化重合にお
いては、重合を重合率100%まで行なわず、50〜93%、
好ましくは60〜90%の重合率で重合を停止させ、グラフ
トゴム重合体(A)中に未反応重合性単量体を含有させ
ておくことであり、これが高衝撃性を得るための必須条
件である。ここで重合率が50%未満では耐熱性が低下
し、一方93%を越えると耐衝撃性向上の効果が低下す
る。
なお、本発明において、重合率は、サンプリングした
重合反応液に重合禁止剤を加え、赤外線水分計を用いて
揮発分を除去したのち、不揮発分の重量を測定し、この
値と仕込割合から決定される。重合率の単位は%を採用
するが、これは重量%を意味する。
次に、上記、未反応重合性単量体を含有するグラフト
ゴム重合体(A)の存在下に、単量体(B)としてアク
リル酸アルキルエステル(IV)0〜100重量%,芳香族
ビニル化合物(V)0〜100重量%,メタクリル酸アル
キルエステル(VI)0〜100重量%およびシアン化合物
(VII)0〜40重量%を全体が100重量%になるような割
合で配合し、重合させてグラフト共重合体(C)を得
る。単量体(B)としてシアン化ビニル化合物(VII)
の量が多すぎると成形性が低下するので40重量%を越え
ない範囲で使用しなければならない。
上記アクリル酸アルキルエステル(IV)としては、前
記アクリル酸アルキルエステル(II)と同様、炭素数1
〜13のアルキル基を有するものが好ましいものとして使
用でき、芳香族ビニル化合物(V)としては、α−メチ
ルスチレン,α−エチルスチレン等のα−置換スチレ
ン,クロロスチレン,ビニルトルエン,t−ブチルスチレ
ン等の置換スチレン,スチレン等,シアン化ビニル化合
物(VII)としてはアクリロニトリル,メタクリロニト
リル等,メタクリル酸アルキルエステル(VI)としては
メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル
案ブチル等が使用できる。
単量体(B)としては、メタクリル酸メチル,アクリ
ロニトリル,スチレンが好ましく、中でもアクリロニト
リル及びスチレンの組み合わせが、配合樹脂の耐衝撃性
と剛性のバランスから特に好ましく用いられる。アクリ
ロニトリルとスチレンとの組成比は前者20〜40重量部に
対し、後者80〜60重量部(両者の合計が100重量部)と
するのが好ましい。
本発明において、上記グラフトゴム重合体(A)と上
記単量体(B)は、グラフトゴム重合体(A)60重量部
以上、好ましくは99重量部以下、特に好ましくは90重量
部以下に対して、(B)が40重量部以下好ましくは1重
量部以上、特に好ましくは10重量部以上配合される。
(A)/(B)が重量比で60/40未満であると最終的に
得られる樹脂の耐衝撃性が低下し、一方、99/1を越えて
も耐衝撃性が低下する傾向にある。また、それを補うた
めに強化剤の配合量を増加させると、混合するベース樹
脂本来の特性が損われる。
グラフトゴム重合体(A)の存在下に重合させる単量
体は、一回で全量重合したり、数回に分けて重合した
り、あるいは全単量体を滴下しながら重合する方法など
のいずれの重合方法を採用してもかまわないが、第1段
目として、単量体(B)のうち、5〜30重量%を添加し
て重合させた後、第2段目として、単量体(B)の残部
を添加して重合させるのが好ましく、分割された各々の
単量体の組成もまた、シアン化ビニル化合物が40重量%
を越えないことが好ましい。このような2段階重合方法
を採用することにより、更に耐衝撃性の高い樹脂を得る
ことができる。グラフト共重合体(C)を製造する重合
方法は、(A)成分との関係上乳化重合法が好ましい
が、これに制限されるものではない。
グラフト共重合体(C)は、塩析などの方法を利用し
て凝固分離し、脱水乾燥後、耐衝撃強化剤とされ、他の
熱可塑性樹脂とブレンドされる。
なお、得られる本発明の耐衝撃強化剤は、耐衝撃性を
付与する共役ジエン系ゴム成分を核とし、耐候性を付与
するアクリルゴム成分を第1の外殻とし、さらに剛性を
付与するエチレン性不飽和単量体のグラフト鎖を第2の
外殻として有するシエルーコア構造をとる粒子状のもの
であり、従来の耐衝撃強化剤では得られなかつた非常に
優れた耐衝撃性を有するものである。
以上の耐衝撃強化剤とブレンドされるその他の熱可塑
性樹脂としては、種々の公知の樹脂が挙げられる。
中でも、ポリ塩化ビニル,エチレン−塩ビ共重合樹
脂,塩ビ−酢ビ共重合樹脂などの塩化ビニル系樹脂,ポ
リメタクリル酸メチル,ポリプロピレン,ポリエチレン
テレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリカ
ーボネート,ポリカプロラクタムやポリヘキサメチレン
アジペートなどのポリアミド,スチレン−アクリロニト
リル共重合体樹脂,ポリ塩化ビニリデン,ポリフツ化ビ
ニリデン,ポリエステルカーボネート,ポリフエニレン
スルフイド,ポリスルホン等の樹脂の耐衝撃性向上の効
果に優れている。それらの中でも特に、塩化ビニル系樹
脂の耐衝撃性強化に有効である。
耐衝撃強化剤の配合量は、熱可塑性樹脂組成物中40〜
5重量%、さらに20〜5重量%、特に15〜6重量%が好
ましい、ここで、耐衝撃強化剤が40重量%を超えると、
混合するその他の熱可塑性樹脂が、本来有する性質を低
下させる傾向にあり、また、この場合耐衝撃強化剤が連
続相を形成し、耐衝撃性はむしろ低下する傾向にある。
一方5重量%未満では耐衝撃性及び耐候性の向上効果が
小さい。
耐衝撃強化剤と他の樹脂とのブレンド法としては、両
者のパウダーをヘンシエルミキサーで混合し、さらに溶
融混練すること等により行なうことができる。
本発明における耐衝撃性強化剤は、塩化ビニル樹脂の
特性向上に特に有用である。
ここで、塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニルの単独重
合体および/又は塩化ビニルと共重合可能な単量体成分
との共重合体である。共重合体の場合、塩化ビニルの含
有量は80重量%以上(すなわち共重合可能な単量体成分
が20重量%以下)であるのが、難燃性及び流動性の面で
好ましい。これらの単独重合体および共重合体は単独
で、または2種以上を混合して使用される。塩化ビニル
と共重合可能な単量体成分としては、例えば、酢酸ビニ
ル,エチレン,プロピレンなどが挙げられ、特に酢酸ビ
ニル,エチレン及び/又はプロピレンを使用するのが難
燃性等の面から好ましい。
本発明に使用される塩化ビニル系樹脂の製造は、通常
の懸濁重合,乳化重合などにより行なうことができる。
また、市販の塩化ビニル系樹脂を使用してもよく、この
例として、リユーロンP.V.C.7000,リユーロンP.V.C.800
BL,リユーロンP.V.C.800BK,リユーロンE−430,リユー
ロンE−650,リユーロンE−800,リユーロンE−1050
(いずれも東ソー(株)製)TK−700,TK−800,TK−100
0,TK−1300,TK−1400,SG−400G,SC−500T,MA−800S,MC
−700(いずれも信越化学工業(株)製)などが挙げら
れる。
なお、塩化ビニル系樹脂は、JIS K−6721で規定され
る平均重合度400〜1,300のものが、成形上好ましい。ま
た、本発明の耐衝撃強化剤は、通常軟質用途に用いられ
る平均重合度1,700〜4,500の塩化ビニル系樹脂にも有用
で、特に低温における耐衝撃性向上に効果を有する。こ
の場合、通常、ジオクチルアジペート,ジオクチルフタ
レートなどの可塑剤と共に用いられる。
このような塩化ビニル系樹脂と、耐衝撃強化剤とを、
好ましくは前記の混合比で、混合して塩化ビニル系樹脂
組成物が得られる。塩化ビニル系樹脂組成物には必要に
応じて熱安定剤,光安定剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤
および滑剤,充填剤,顔料,加工助剤,可塑剤などを適
宜添加することができる。これらの添加剤の種類とその
添加量としては、塩化ビニル系樹脂に通常使用されるも
のを通常の量添加するのが好ましい。
こうして得られる塩化ビニル系樹脂組成物等、本発明
の熱可塑性樹脂組成物は、シート,プレート,圧縮成形
品、射出成形品等に使用することができ、さらには優れ
た耐候性をいかして、屋外,屋内の住宅関連部材,家
具,容器等にも使用することができる。成形方法として
は、押出,圧延,射出等の通常の成形方法を使用するこ
とができる。
得られる本発明の成形品は、耐衝撃強化剤の粒子が、
その他の熱可塑性樹脂のマトリクス中に分散している構
造であつて、該構造により、良好な特性を示すものであ
る。
〔実施例〕
次に、実施例によつて本発明をさらに具体的に説明す
るが、本発明はこれらに制限されるものではない。な
お、以下の実施例及び比較例において「部」及び「%」
は、特に断らない限り、それぞれ「重量部」及び「重量
%」を意味する。
また、実施例における固形分とは、未反応重合性単量
体をも含む値である。
実施例1 (1)グラフト共重合体(C−1)の製造 撹拌機付4反応容器で30〜50℃の温度で、オレイン
酸カリウム1.0部をイオン交換水240部に溶解し、混合撹
拌を続けた。これにポリブタジエンゴムラテツクス(SN
−800T,住友ノーガタツク(株)製)を30部(固形分重
量)、1.4部のトリアリルイソシアヌレート及びアクリ
ル酸ブチル70部を投入した。次にこの乳化溶液中の溶存
酸素(オリエンタル電気(株)製、ポーラロ式DO計型名
RAにて測定)が2ppm以下になるまでの約1時間窒素置換
した。その間に、過硫酸カリウム0.04部をイオン交換水
10部に溶解した水溶液と、亜硫酸ナトリウム0.004部を
イオン交換水10部に溶解した水溶液をそれぞれ用意し
た。上記乳化溶液の溶存酸素が2ppm以下になつた後、こ
れら2種の水溶液を添加し、窒素置換を続けながら60〜
65℃に昇温し、約3時間重合させた後、冷却した。この
時の重合率は85%であつた。これをグラフトゴム重合体
(A)とする。
次に下記の7種の成分を調整する。
撹拌機付4反応容器に前記グラフトゴム重合体
(A)800部(固形分重量)と成分(1)を入れ均一に
混合した。これに成分(2)を撹拌しながら添加し撹拌
を続けた。この乳化溶液中の溶存酸素が2ppm以下になる
までの約1時間窒素置換した後、成分(3)を添加して
65℃に昇温し、この温度で約1時間(重合率約70%ま
で)重合した。その後、成分(4),(5)及び(6)
を均一に混合した混合溶液を約2時間かけて反応容器内
に滴下し、その後約5時間かけて重合率80〜85%まで反
応させた。次に成分(7)を添加して重合温度を80℃に
昇温して約2時間重合させて重合率97%以上のグラフト
共重合体ラテツクス(C−1)を得、脱水,洗浄,乾燥
した。
(2)塩化ビニル系樹脂組成物の製造 平均重合度650の塩化ビニル系樹脂(D)(リユーロ
ンE−650,東ソー(株)製,エチレンとのコポリマー)
90部に、上記(1)で製造したグラフト共重合体(C−
1)10部,ジブチルスズマレート系安定剤(KS1B,共同
薬品(株)製)3部,ステアリン酸カルシウム0.5部,
ステアリルステアレート0.5部の混合物を40mmφ単軸押
出機(サーモプラスチツク社製)で溶融混練し、ペレツ
トを得た。押出機のシリンダー及びダイス温度は150〜1
80℃であつた。
(3)評価 上記(2)で製造したペレツトを、インラインスクリ
ユウ式射出成形機((株)名機製作所製,SJ−25/35型)
を用い、シリンダー温度180〜190℃,金型温度50〜55℃
の成形条件で射出成形して、測定用試験片を得た。
各物性はJIS又はASTMの各試験法に準じて行なつた
(以下の例も全て同様)。
耐候性はサンシヤインウエザーメーターによる促進暴
露試験(JIS A 1415)を行ない、JIS A 1411により1,00
0時間後の色差ΔEで評価した。
23℃のVノツチ付アイゾツト衝撃値が1,000J/m,−10
℃および−30℃のノツチ無しアイゾツト衝撃では破壊し
なかつた。
落球衝撃は23℃で10.3J,−10℃で5.9J,−30℃で4.9J
であつた。また、耐候性の目安であるΔEは4〜6であ
り、耐候性に優れていた。
実施例2および6 実施例1で製造したグラフト共重合体(C−1)を使
用し、表1に示す成分比の塩化ビニル系樹脂組成物を製
造して評価した。結果は表1に示した。
実施例3〜5 実施例1でのグラフト共重合体製造過程中のグラフト
ゴム重合体(A)を使用し、成分(2)および(6)中
のモノマーをそれぞれ他のモノマーに代え実施例1に準
じ、グラフト共重合体(C−2),(C−3),(C−
4)を製造した。(C−2)では、スチレンのかわりに
同量のメタクリル酸メチルを用い、(C−3)では、ス
チレン及びアクリロニトリルのかわりに全て同量のメタ
クリル酸メチルを用い、(C−4)では、スチレンの代
わりに同量のスチレン:α−メチルスチレンが2:5(重
量比)の混合物を用いた。このグラフト共重合体を使用
し、表1に示す成分比の塩化ビニル系樹脂組成物を製造
して評価した。結果は表1に示した。
比較例1 グラフト共重合体を使用せず、塩化ビニル系樹脂単独
100部を用いて、実施例1に準じ、塩化ビニル系樹脂組
成物を製造して評価した。
比較例1の結果は、23℃のVノツチ付アイゾツト衝撃
値が40J/m,−10℃のノツチ無しアイゾツト衝撃値が30J/
mで、−30℃では測定下限以下で測定不可能であつた。
落球衝撃は23℃で0.44J,−10℃で0.15Jと低く、−30
℃では測定不可能であつた。また、耐候性の目安である
ΔEは30以上で劣化が甚だしかつた。
塩化ビニル系樹脂単独品は、グラフト共重合体を配合
したものより、耐衝撃性,耐候性の面でかなり劣る。結
果は表1に示した。
実施例7 実施例1で製造したグラフト共重合体(C−1)を使
用し、表1に示す塩化ビニル系樹脂組成物を製造して評
価した。実施例7の結果は、23℃のVノツチ付アイゾツ
ト衝撃値が187J/m,−10℃のノツチ無しアイゾツト衝撃
値が670J/m,−30℃のノツチ無しアイゾツト衝撃が340J/
mであつた。
落球衝撃は23℃で8.8J,−10℃、−30℃で4.9Jであつ
た。また、耐候性の目安であるΔEは9〜11であり耐候
性に優れていた。しかし、グラフト共重合体成分が多く
なると、これが連続相を形成し、耐衝撃性は低下してい
る。結果は表1に示した。
比較例2〜4 実施例1のグラフト共重合体製造方法に準じ、ブタジ
エンゴムを使用せずにアクリル系ゴム重合体を製造し
た。これを使用した、グラフト共重合体(C−5)を製
造した。このグラフト共重合体(C−5)を使用し、表
1に示す成分比の塩化ビニル系樹脂組成物を製造して評
価した。
ブタジエンゴムを核としないアクリル酸ブチルのみに
よるアクリル系ゴム重合体存在下で製造したグラフト共
重合体(C−5)を使用したものは、23℃でのアイゾツ
ト衝撃値が370J/m,(ブタジエンゴムを核にした実施例
1では1,000J/m)であり、耐衝撃性に劣つている。また
耐候性に関しては、ΔEが8〜10であるので同等であ
る。結果は表1に示した。
比較例5〜7 実施例1のグラフト共重合体(A)のかわりにブタジ
エンゴム(SN−800T)のみを800部使用して、グラフト
共重合体(C−6)を製造した。このグラフト共重合体
を使用し、表1に示す成分比の塩化ビニル系樹脂組成物
を製造した評価した。
ブタジエンゴムのみの存在下で製造したグラフと共重
合体(C−6)を使用したものは、23℃でのアイゾツト
衝撃値が560J/m,(アクリル系ゴムも使用した実施例1
では、1,000J/m)であり、耐衝撃性に劣つている。また
耐候性に関しては、ΔEが30以上で、かなり劣つてい
る。結果は表1に示した。
実施例8 (1)グラフトゴム重合体ラテツクスの製造 内容積4の撹拌機付き反応容器に、下記に示す、ブ
タジエンゴムラテツクス、乳化剤、及びアクリル酸
ブチル(架橋剤2%入り)をそれぞれ所定量入れ、均
一に混合した。約1.5時間、窒素置換し、乳化液中の溶
存酸素を2ppm以下とした後、重合開始剤、助剤を添
加し、60℃に昇温した。60℃到達から約2時間重合させ
て、重合率75%のグラフトゴム共重合体ラテツクス
(A)を得た。
成分 ブタジエンゴムラテツクスUB−1001S (日本ゼオン(株)製、固形分34%) 1324 g (2)耐衝撃強化剤グラフト共重合体(C)の製造 上記(1)で製造した下記に示す配合のグラフト重合
体ゴムラテツクス(固形分42%、但し、未反応重合性単
量体を含む)、乳化剤、及びグラフト成分をそれ
ぞれ内容積4の撹拌機付4フラスコに入れ、均一に
混合した。約1.5時間、窒素置換し、乳化液中の溶存酸
素を2ppm以下とした後、開始剤助剤を添加し、65℃に
昇温した。65℃到達から約1.5時間経過後、成分を添
加し、更に成分及び成分の均一乳化混合液を約1.5
時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した
後、成分を添加し、75℃にて1時間重合させて、重合
率97%以上の実質的に重合が完結したグラフト共重合体
ラテツクスを得た。このグラフト共重合体ラテツクスを
室温まで冷却し、撹拌しながら、ポリビニルアルコール
水溶液を添加し、乳化破壊させた。脱水,洗浄をくり返
し、乾燥し、耐衝撃強化剤(グラフト共重合体)の粉末
を得た。
成分 グラフトゴム重合体ラテツクス 2332 g (3)ポリカーボネート樹脂組成物 得られた耐衝撃強化剤10部をポリカーボネート樹脂
(ユーピロンS−100,三菱瓦斯化学(株)製)100部に
配合し、250℃にて溶融混練後、240℃にてプレス成形
し、3mm tの樹脂板を得た。この樹脂板より試験片を切
り出し、ノツチ付アイゾツト衝撃強さを評価したとこ
ろ、49kg cm/cmで、耐衝撃強化剤を配合しない場合の30
kg cm/cmに比べて高い値を示した。
実施例9 実施例8で得られた耐衝撃強化剤10部をポリメチルメ
タクリレート、(パラペツト、G−1000,協和ガス化学
工業(株)製)100部に配合し、190℃にて溶融混練後、
200℃にて、3mm tの樹脂板をプレス成形した。この樹脂
板より試験片を切り出し、ノツチ付アイゾツト衝撃強さ
を評価したところ、8kg cm/cmで、耐衝撃強化剤を配合
しない場合の3kg cm/cmに比べて高い値を示した。
実施例10 実施例8で得られた耐衝撃強化剤10部をポリプロピレ
ン100部(ハイポールJ800、三井石油化学工業(株)
製)に配合し、180℃にて溶融混練後、190℃にて、3mm
tの樹脂板をプレス成形した。
この樹脂板より試験片を切り出し、ノツチ付アイゾツ
ト衝撃強さを測定したところ4kg cm/cmで、耐衝撃強化
剤を配合しない場合の2kg cm/cmに比べて高い値を示し
た。
実施例11 成分〜として下記成分を用いた他は、実施例8の
(2)と同様にしてグラフト共重合体ラテツクスを得、
このラテツクスを乳化破壊し、脱水,洗浄,乾燥後、耐
衝撃強化剤の粉末を得た。
成分:実施例8(1)で得られたグラフトゴム重合体
ラテツクス(固形分42%) 2571 部 得られた耐衝撃強化剤8部を平均重合度1050の塩化ビ
ニル樹脂(信越化学工業(株)製TK−1000、ストレート
塩ビ(ホモポリマー)100部に配合し、更に、ジブチル
スズマレート系安定剤3部、ステアリン酸カルシウム1
部、ステアリルステアレート0.5部を配合し、サーモプ
ラスチツク社製40mmφ単軸押出機で溶融混練して、ペレ
ツトを得た。このペレツトを用い、150×150×3tの樹脂
板を圧縮成形し、試験片を切り出した。ノツチ付アイゾ
ツト衝撃強さは、112kg cm/cm,曲げ強さ(ASTM D790に
従つた)520kg/cm2,曲げ弾性率(ASTM D790に従つた)2
1800kg/cm2,ビカツト軟化温度(JIS K7206に従つた)9
4.5℃,メルトフローレート(JIS K7210に従つた)(20
0℃,98N)0.39であつた。なお、各測定の方法は、以下
の例でも同様である。
実施例12 グラフトゴム重合体(A)及び成分(1)〜(7)と
して下記成分を用いた他は、実施例1と同様にして、グ
ラフト共重合体ラテツクスを得、このラテツクスを乳化
破壊し、脱水,洗浄,乾燥後、耐衝撃強化剤の粉末を得
た。
グラフトゴム重合体(A):実施例1(1)で得られた
グラフトゴム重合体ラテツクス(固形分40%」 2037 部 得られた耐衝撃強化剤10部を平均重合度650の塩化ビ
ニル樹脂(リユーロンE650)90部に配合し、更に、ジブ
チルスズマレート系安定剤3部、ステアリン酸カルシウ
ム1部、ステアリルステアレート0.5部を配合し、サー
モプラスチツク社製40mmφ単軸押出機で溶融混練して、
ペレツトを作製した。このペレツトを用い、150×150×
3tの板を圧縮成形し、試験片を切り出した。アイゾツト
衝撃強さは40kg cm/cm,曲げ強さ580kg/cm2,ビカツト軟
化点81.9℃であつた。
実施例13 グラフトゴム重合体(A)及び成分(1)〜(7)と
して下記成分を用いた他は、実施例1と同様にしてグラ
フト共重合体ラテツクスを得、このラテツクスを乳化破
壊し、脱水,洗浄,乾燥後、耐衝撃強化剤の粉末を得
た。
グラフトゴム重合体(A):実施例(1)で得られたグ
ラフトゴム重合体ラテツクス(固形分40%)1730 部 得られた耐衝撃強化剤10部を平均重合度650の塩化ビ
ニル樹脂(リユーロンE650)90部に配合し、更に、ジブ
チルスズマレート系安定剤3部、ステアリン酸カルシウ
ム3部、ステアリルステアレート0.5部を配合し、サー
モプラスチツク社製40mmφ単軸押出機で溶融混練して、
ペレツトを得た。このペレツトを用い、150×150×3tの
樹脂板を圧縮成形し、試験片を切り出した。ノツチ付ア
イゾツト衝撃強さは、37kg cm/cm,曲げ強さ580kg/cm2,
曲げ弾性率22,000kg/cm2,ビカツト軟化点80.1℃,メル
トフローレート(190℃,98N)3.3であつた。
実施例14 グラフトゴム重合体(A)及び成分(1)〜(7)と
して下記成分を用いた他は、実施例1と同様にしてグラ
フト共重合体ラテツクスを得、このラテツクスを乳化破
壊し、脱水,洗浄,乾燥後、耐衝撃強化剤の粉末を得
た。
グラフトゴム重合体(A):実施例1(1)で得られた
グラフトゴム重合体ラテツクス(固形分40%) 1632 部 得られた耐衝撃強化剤10部を平均重合度650の塩化ビ
ニル樹脂(リユーロンE650)90部に配合し、更に、ジブ
チルスズマレート系安定剤3部、ステアリン酸カルシウ
ム3部、ステアリルステアレート0.5部を配合し、サー
モプラスチツク社製40mmφ単軸押出機で溶融混練して、
ペレツトを得た。このペレツトを用い、150×150×3tの
樹脂板を圧縮成形し、試験片を切り出した。ノツチ付ア
イゾツト衝撃強さは、60kg cm/cm,曲げ強さ560kg/cm2,
曲げ弾性率21,000kg/cm2,ビカツト軟化点80.3℃,メル
トフローレート(190℃,98N)2.8であつた。
実施例15 グラフトゴム重合体(A)及び成分(1)〜(7)と
して下記成分を用いた他は、実施例1と同様にしてグラ
フト共重合体ラテツクスを得、このラテツクスを乳化破
壊し、脱水,洗浄,乾燥後、耐衝撃強化剤の粉末を得
た。
グラフトゴム重合体(A):実施例1(1)で得られた
グラフトゴム重合体ラテツクス(固形分40%) 2332 部 得られた耐衝撃強化剤10部を平均重合度650の塩化ビ
ニル樹脂(リユーロンE650)90部に配合し、更に、ジブ
チルスズマレート系安定剤3部、ステアレート酸カルシ
ウム3部、ステアリンアルコール0.5部を配合し、サー
モプラスチツク社製40mmφ単軸押出機で溶融混練して、
ペレツトを作製した。このペレツトを用い、150×150×
3tの樹脂板を圧縮成形し、試験片を切り出した。ノツチ
付アイゾツト衝撃強さは、38kg cm/cm,曲げ強さ570kg/c
m2,曲げ弾性率21,100kg/cm2,ビカツト軟化点81.2℃,メ
ルトフローレート(190℃,98N)4.6であつた。
実施例16 グラフトゴム重合体(A)及び成分(1)〜(7)と
して下記成分を用いた他は、実施例1と同様にしてグラ
フト共重合体ラテツクスを得、このラテツクスを乳化破
壊し、脱水,洗浄,乾燥後、耐衝撃強化剤の粉末を得
た。
グラフトゴム重合体(A):実施例1(1)で得られた
グラフトゴム重合体ラテツクス(固形分40%) 2332 部 得られた耐衝撃強化剤10部を平均重合度650の塩化ビ
ニル樹脂(リユーロンE650)90部に配合し、更に、ジブ
チルスズマレート系安定剤3部、ステアリン酸カルシウ
ム1部、ステアリルステアレート0.5部を配合し、サー
モプラスチツク社製40mmφ単軸押出機で溶融混練して、
ペレツトを得た。このペレツトを用い、150×150×3tの
樹脂板を圧縮成形し、試験片を切り出した。ノツチ付ア
イゾツト衝撃強さは、43kg cm/cm,曲げ強さ560kg/cm2,
曲げ弾性率21,000kg/cm2,ビカツト軟化点80.5℃,メル
トフローレート(190℃,98N)3.3であつた。
実施例17 グラフトゴム重合体(A)及び成分(1)〜(7)と
して下記成分を用いた他は、実施例1と同様にしてグラ
フト共重合体ラテツクスを得、このラテツクスを乳化破
壊し、脱水,洗浄,乾燥後、耐衝撃強化剤の粉末を得
た。
グラフトゴム重合体(A):実施例1(1)で得られた
グラフトゴム重合体ラテツクス(固形分40%) 1748 部 得られた耐衝撃強化剤10部を平均重合度650の塩化ビ
ニル樹脂(リユーロンE650)90部に配合し、更に、ジブ
チルスズマレート系安定剤3部、ステアリン酸カルシウ
ム1部、ステアリルステアレート0.5部を配合し、サー
モプラスチツク社製40mmφ単軸押出機で溶融混練して、
ペレツトを得た。このペレツトを用い、150×150×3tの
樹脂板を圧縮成形し、試験片を切り出した。ノツチ付ア
イゾツト衝撃強さは、20kg cm/cm,曲げ強さ600kg/cm2,
曲げ弾性率21,000kg/cm2,ビカツト軟化点81.9℃,メル
トフローレート(190℃,98N)3.4であつた。
比較例8 グラフトゴム重合体(A)及び成分(1)〜(7)と
して下記成分を用いた他は、実施例1と同様にしてグラ
フト共重合体ラテツクスを得、このラテツクスを乳化破
壊し、脱水,洗浄,乾燥後、耐衝撃強化剤の粉末を得
た。
グラフトゴム重合体(A):実施例1(1)で得られた
グラフトゴム重合体ラテツクス(固形分40%) 1500 部 得られた耐衝撃強化剤10部を平均重合度650の塩化ビ
ニル樹脂(リユーロンE650)90部に配合し、更に、ジブ
チルスズマレート系安定剤3部、ステアリン酸カルシウ
ム3部、ステアリルステアレート0.5部を配合し、サー
モプラスチツク社製40mmφ単軸押出機で溶融混練して、
ペレツトを得た。このペレツトを用い、150×150×3tの
樹脂板を圧縮成形し、試験片を切り出した。ノツチ付ア
イゾツト衝撃強さは、8kg cm/cm,曲げ強さ600kg/cm2,曲
げ弾性率22,000kg/cm2,ビカツト軟化点82.0℃,メルト
フローレート(190℃,98N)3.5であつた。
実施例18〜20及び比較例9 実施例8で得られた耐衝撃強化剤各部(表2に示す)
を、平均重合度800の塩化ビニル樹脂(信越化学工業
(株)製,TK−800)100部に配合、更にジブチル錫マレ
ート系安定剤3部及びポリエチレンワツクス1部、ステ
アリン酸カルシウム0.5部の混合物を170℃で溶融混練
し、190℃にて樹脂板をプレス成形し、試験片を切り出
した。特性評価結果を表2に示す。
実施例21〜23及び比較例10 平均重合度1050の塩化ビニル樹脂(信越化学工業
(株)製,TK−1000)に、前記実施例8で得られた耐衝
撃強化剤各部(表3に示す)、三塩基性硫酸鉛1部、二
塩基性ステアリン酸鉛0.5部、ステアリン酸鉛2部、ス
テアリン酸バリウム0.3部、ステアリン酸カルシウム0.2
部を配合、170℃で溶融混練し、190℃にて樹脂板をプレ
ス成形し、試験片を切り出した。特性評価結果を表3に
示す。
実施例24 実施例8で得られた耐衝撃強化剤9部を平均重合度65
0の塩化ビニル系樹脂(リユーロンE650,東ソー(株)
製,塩化ビニルとエチレンとのコポリマー,エチレン含
量4重量%以下)100部に配合した。更に、ジブチルス
ズマレート系安定剤3部、ステアリン酸カルシウム0.5
部、ステアリルステアレート0.5部を混合し、40mmφフ
ルフライト単軸押出機(サーモプラスチツク社製)で15
0〜180℃にて溶融混練し、ペレツトを得た。このペレツ
トを用いて185〜195℃にてプレス成形し、アイゾツト衝
撃試験片を切出した。ノツチ付アイゾツト衝撃強さは87
kg cm/cmであつた。
比較例11 (1)グラフトゴム重合体ラテツクスの製造 実施例8(1)と同様の装置、同様の成分を用いて重
合した。60℃到達から30分経過後、冷却し、重合率46%
のグラフトゴム重合体ラテツクス(A)を得た。
(2)グラフトゴム共重合体(C)の製造 グラフトゴム重合体ラテツクスとして上記(1)で
製造したものを同量用いた他は、実施例8(2)と同様
にして、グラフト共重合体の粉末を得た。
(3)塩化ビニル系樹脂組成物の製造 耐衝撃強化剤として上記(2)で得られたグラフト共
重合体(C)の粉末9部を用いた他は、実施例24と同様
の方法で、アイゾツト衝撃強さを評価した。ノツチ付ア
イゾツト衝撃強さは、40kg cm/cmであり、実施例24で得
られた組成物より劣つていた。
比較例12 (1)グラフトゴム重合体ラテツクスの製造 実施例8(1)と同様の装置、同様の成分を用いて重
合した。60℃到達から約2時間後、更に過硫酸カリウム
0.5gをイオン交換水50gに溶解して添加した。60℃で更
に3時間重合し、重合率98%以上の実質的に重合が完結
したグラフトゴム重合体ラテツクス(A)を得た。
(2)グラフト共重合体(C)の製造 グラフトゴム重合体ラテツクスとして、上記(1)
で製造したラテツクスを同量用いた他は、実施例8
(2)と同様にして、グラフト共重合体の粉末を得た。
(3)塩化ビニル系樹脂組成物の製造 平均重合度650の塩化ビニル系樹脂(リユーロンE650,
東ソー(株)製,塩化ビニルとエチレンとのコポリマ
ー)100部に対し、上記(2)で得られたグラフト共重
合体粉末9部を用いて、実施例24と同様の方法により、
得られた塩化ビニル系樹脂組成物のノツチ付アイゾツト
衝撃強さは55kg cm/cmと実施例24に比較し劣つていた。
〔発明の効果〕
上述したように、本発明における耐衝撃強化剤は、混
合する樹脂のもつ優れた特性を失うことなく、特に優れ
た耐衝撃性(アイゾツト衝撃,落球衝撃)と耐候性を付
与するものである。
この特徴ゆえ、本発明の熱可塑性樹脂組成物は各種電
化製品のハウジングや屋内および屋外の住宅関連部材,
家具の成形品に使用することができる。
フロントページの続き (72)発明者 設楽 正史 千葉県市原市五井南海岸14番地 日立化 成工業株式会社五井工場内 (72)発明者 服部 勇 千葉県市原市五井南海岸14番地 日立化 成工業株式会社五井工場内 (72)発明者 野村 好弘 千葉県市原市五井南海岸14番地 日立化 成工業株式会社五井工場内 (56)参考文献 特開 昭57−25348(JP,A) 特開 昭57−94038(JP,A) 特開 昭58−8716(JP,A) 特開 昭60−38418(JP,A) 特開 昭62−181312(JP,A) 特開 平2−47118(JP,A) 特開 平3−174420(JP,A) 特公 昭47−47863(JP,B1)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多官能性単量体(I)0.1〜20重量%、炭
    素数1〜13のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエ
    ステル(II)50〜99.9重量%および共重合可能な他のビ
    ニル化合物(III)0〜30重量%を配合して得られる重
    合性単量体(a)99〜20重量部を、共役ジエン系ゴム
    (b)1〜80重量部の存在下に、重合性単量体(a)と
    共役ジエン系ゴム(b)の合計が100重量部となるよう
    に配合し、重合率が50〜93重量%まで乳化重合させたの
    ち重合を停止させて得られる、未反応重合性単量体を含
    有するグラフトゴム重合体(A)60重量部以上(但し、
    100重量部を除く)の存在下に、アクリル酸アルキルエ
    ステル(IV)0〜100重量%,芳香族ビニル化合物
    (V)0〜100重量%,メタクリル酸アルキルエステル
    (VI)0〜100重量%およびシアン化合物(VII)0〜40
    重量%を配合して得られる単量体(B)40重量部以下
    (但し、0重量部を除く)を、グラフトゴム重合体
    (A)と単量体(B)の合計が100重量部となるように
    配合し、重合させて得られるグラフト共重合体(C)か
    らなる耐衝撃強化剤。
  2. 【請求項2】グラフト共重合体(C)が、グラフトゴム
    重合体(A)60〜99重量%の存在下に、単量体(B)40
    〜1重量%配合し、重合して得られるものである請求項
    1記載の耐衝撃強化剤。
  3. 【請求項3】グラフト共重合体(C)が、グラフトゴム
    重合体(A)の存在下に、まず、単量体(B)のうち、
    5〜30重量%を添加して重合し、ついで単量体(B)の
    残部を添加し重合して得られるものであり、かつ、前記
    の分割された単量体(B)のそれぞれが、アクリル酸ア
    ルキルエステル(IV)0〜100重量%,芳香族ビニル化
    合物(V)0〜100重量%,メタクリル酸アルキルエス
    テル(VI)0〜100重量%およびシアン化ビニル化合物
    (VII)0〜40重量%よりなるものである請求項1又は
    2記載の耐衝撃強化剤。
  4. 【請求項4】グラフトゴム重合体(A)が、重合性単量
    体(a)95〜55重量部を、共役ジエン系ゴム(b)5〜
    45重量部の存在下に、合計が100重量部となるように配
    合し、乳化重合して得られるものである請求項1〜3の
    いずれかに記載の耐衝撃強化剤。
  5. 【請求項5】グラフトゴム重合体(A)が、重合性単量
    体(a)80〜55重量部を、共役ジエン系ゴム(b)20〜
    45重量部の存在下に、合計が100重量部となるように配
    合し、乳化量合して得られるものである請求項1〜4の
    いずれかに記載の耐衝撃強化剤。
  6. 【請求項6】多官能性単量体(I)が、トリアリルイソ
    シアスレート,トリアリルシアヌレート,ジシクロペン
    タジエンアクリレート,ジシクロペンタジエンメタクリ
    レート及び/又は1.3.5−トリアクリロイルヘキサヒド
    ロ−S−トリアジンである請求項1〜6のいずれかに記
    載の耐衝撃強化剤。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の耐衝撃強
    化剤及びその他の熱可塑性樹脂を含有してなる熱可塑性
    樹脂組成物。
  8. 【請求項8】耐衝撃強化剤40〜5重量%及びその他の熱
    塑性樹脂60〜95重量%を含有してなる請求項8記載の熱
    可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】その他の熱可塑性樹脂が、塩化ビニル系樹
    脂,ポリカーボネート,ポリメタクリル酸メチル,ポリ
    プロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレ
    ンテレフタレート,ポリアミド,スチレン・アクリロニ
    トリル共重合樹脂,ポリ塩化ビニリデン,ポリフツ化ビ
    ニリデン,ポリエステルポリカーボネート,ポリフエニ
    レンスルフイド及びポリスルホンからなる群から選択さ
    れるものである請求項7又は8記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  10. 【請求項10】その他の熱可塑性樹脂が、塩化ビニル系
    樹脂である請求項7又は8記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】塩化ビニル系樹脂が、構成成分として、
    塩化ビニル80重量%以上含有してなるものである請求項
    10記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】塩化ビニル系樹脂が、ポリ塩化ビニルで
    ある請求項10記載の熱可塑性樹脂組成物。
  13. 【請求項13】請求項7〜12のいずれかに記載の熱可塑
    性樹脂組成物を成形して得られる成形品。
JP1305684A 1988-11-24 1989-11-24 耐衝撃強化剤,これを用いた熱可塑性樹脂組成物及び成形品 Expired - Lifetime JP2661295B2 (ja)

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