JP2661083B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2661083B2 JP33185587A JP33185587A JP2661083B2 JP 2661083 B2 JP2661083 B2 JP 2661083B2 JP 33185587 A JP33185587 A JP 33185587A JP 33185587 A JP33185587 A JP 33185587A JP 2661083 B2 JP2661083 B2 JP 2661083B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体
に関するものである。更に詳しくは、非磁性支持体上に
設けた磁性層、下塗り層、バックコート層、トップコー
ト層の少なくとも一層の樹脂成分としてポリエステル樹
脂を用いた磁気記録媒体に関するものである。 (従来の技術) 汎用的磁気記録媒体である磁気テープ、フロッピーデ
ィスク、磁気カード等は強磁性粉末を適当な添加剤(分
散剤、潤滑剤、帯電防止剤等)とともに結合剤溶液中に
分散させて磁性塗料をつくり、これを直接あるいは下塗
りを介してポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布
して製造されている。 また非磁性支持体の磁性層と反対面に、バックコート
層が設けられることがある。バックコート層は磁気記録
媒体のS/N比の向上のために非磁性支持体が平滑化され
たことにより生じる走行性の低下の改良のために設けら
れる。また、平滑なバックコート層を設けることによ
り、巻き取り後に、磁性層へ非磁性支持体の凹凸が写る
ことを防止でき、その結果S/N比が向上する。 磁性層、バックコート層の結合剤としてはポリウレタ
ン樹脂と塩ビ・酢ビ系共重合体あるいは硝化綿とのブレ
ンド系が主に用いられている。 下塗り層の結合剤としては、ランダム共重合ポリエス
テル樹脂、ポリエステル・ウレタン樹脂が主に用いられ
ている。 (発明が解決しようとする問題点) 従来より、磁性層、バックコート層に用いられている
ポリウレタン樹脂と塩ビ・酢ビ系共重合体あるいは硝化
綿とのブレンド系は、汎用的な非磁性支持体であるポリ
エチレンテレフタレートフィルムとの接着性が不充分で
ある。また近年、磁気テープの長時間記録のために非磁
性支持体の厚みを薄くすることが要求されている。薄く
なることによる剛性率の低下をおぎなうために、ポリエ
チレンテレフタレートフィルムの延伸倍率を上げること
がなされている。この結果、配向結晶化度が高くなり、
従来の結合剤では接着力が低下する。この現象は下塗り
層でも同じである。 ランダム共重合ポリエステル樹脂は、ポリウレタン樹
脂と塩ビ・酢ビ系共重合体あるいは硝化綿のブレンド系
よりポリエチレンテレフタレートフィルムとの接着性が
優れている。このブレンド糸の全部あるいは一成分をラ
ンダム共重合ポリエステル樹脂で置き換えると接着性は
改良されるが耐摩耗性が低下し、磁気記録媒体の走行耐
久性が悪化する。また接着性を大巾に改良するために、
ガラス転移温度の低いランダム共重合ポリエステル樹脂
を使用すると、耐ブロッキング性も悪くなる。 (問題点を解決するための手段) 本発明者等はこうした状況に鑑み、非磁性支持体との
接着性が優れかつ走行耐久性、耐ブロッキング性等の特
性も良好なポリエステル樹脂を鋭意検討した結果、本発
明に到達した。 即ち本発明は、非磁性支持体上に塗布層を設けた磁気
記録媒体において、上記塗布層の少なくとも一層が、樹
脂成分として、ハードセグメントとソフトセグメントを
有するブロック共重合ポリエステル樹脂を含み、該ブロ
ック共重合ポリエステル樹脂がポリラクトン類セグメン
トを有することを特徴とする磁気記録媒体である。 さらに、前記ブロック共重合ポリエステル樹脂として
は、分子量が5,000以上のポリエステル樹脂にラクトン
類を開環付加重合させた分子量が10,000以上のブロック
共重合ポリエステル樹脂が好ましい。 本発明に用いる塗布層とは、具体的には磁性層、バッ
クコート層、下塗り層および磁性層の上に設けたトップ
コート層である。 本発明で用いるブロック共重合ポリエステルは、ブロ
ックを構成するポリエステルを単独で分子量1万以上に
した場合、各々のガラス転移温度の差が40℃以上望まし
くは、70℃以上ありかつ高い方のガラス転移温度が40℃
以上のものであり、望ましくは50℃以上である。 本発明で用いるブロック共重合ポリエステルを製造す
る際使用する分子量5,000以上のポリエステルの酸成分
としてはアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸等の脂肪族、脂環族、芳香族二塩基酸が挙げられる。
またグリコール成分としては、エチレングリコール、1,
2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペン
タンジオール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバ
レート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェ
ノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノール
Aのプロピレンオキサイド付加物等を挙げることができ
る。またグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、ジペンタエリスリトール無水トリメリ
ット酸、無水ピロメリット酸、ジメチロールプロピオン
酸等の三官能以上の化合物を、ラクトン付加前のポリエ
ステルの原料の一部としてあるいは、解重合成分として
用いてもよい。特に、ラクトン類付加前のポリエステル
は、走行耐久性、耐熱性等から、全酸成分あるいは全グ
リコール成分の0.5〜5モル%の割合で三官能以上のエ
ステル形成性化合物を使用することが望ましい。 上記以外の化合物としては、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸5−カリウムスルホイソフタル酸、ナトリウ
ムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホ−1,4−
ブタンジオール、ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフ
ィン酸ナトリウム3−(ナトリウムメチルホスホノ)プ
ロピオン酸のメチルエステル等のスルホン酸金属塩、酸
性リン化合物の金属塩を含むエステル形成性化合物を挙
げることができ、これらの化合物を共重合することによ
り磁性粒子、研摩剤粒子、滑性付与粒子、カーボンブラ
ック等の無機化合物の分散性を大巾に改善することがで
きる。 ラクトン類付加前のポリエステルは、ゲル浸透クロマ
トグラフィーにより標準ポリスチレン換算の分子量が5,
000以上のものを用いる。分子量が5,000未満ではブロッ
ク性が不充分であり、本発明の効果がみられない。 ブロック共重合ポリエステルを得る際に用いるラクト
ン類としてはβ−プロピオラクトン、β−2,2−ジメチ
ルプロピオラクトン、δ−バレロラクトン、δ−3−メ
チル−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等があげら
れる。 ラクトン類を付加させる前のポリエステルのガラス転
移温度が室温より高い場合には、δ−バレロラクトン、
δ−3−メチル−バレロラクトン、ε−カプロラクトン
等、単独での開環重合物のガラス転移温度が0℃以下の
ものが好ましく、また0℃より低い場合には、β−2,2
−ジメチルプロピオラクトン、β−3,3−ジメチルプロ
ピオラクトン、β−2,2−ビス(トリクロロメチル)プ
ロピオラクトン等、単独での開環重合物のガラス転移温
度が40℃以上のものが好ましい。 本発明で用いるブロック共重合ポリエステルの分子量
は10,000以上、好ましくは15,000以上のものを用いる。
分子量10,000未満では樹脂の凝集力が小さいため、接着
性、耐久性等が低下する。 本発明に用いるブロック共重合ポリエステル樹脂中の
ポリラクトン類の比率は重量比で5〜70%が好ましく、
さらに好ましくは10〜60%であり、これらの範囲をはず
れると、ブロック共重合ポリエステルの特徴が発揮され
なくなってくる。 本発明で用いるブロック共重合ポリエステル樹脂はポ
リエステルの末端あるいは側鎖の水酸基にラクトンを開
環付加重合させる公知の製造方法、たとえば特公昭48−
4116号により製造できる。 本発明で用いるブロック共重合ポリエステル樹脂は、
磁気記録媒体の磁性層の結合剤、バックコート層の結合
剤あるいは磁性層と非磁性支持体間に設ける下塗り層、
さらには磁性層上に設けるトップコート層として使用で
きる。 本発明においては本発明のブロック共重合ポリエステ
ル樹脂以外に可撓性の調節、耐寒性、耐熱性の向上等の
目的のために、他の樹脂および/またはブロック共重合
ポリエステル樹脂と反応して架橋する化合物を混合使用
することが望ましい。他の樹脂としては、塩化ビニル系
樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ
樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、アクリ
ロニトリル・ブタジエン共重合体等が挙げられる。一
方、ブロック共重合ポリエステル樹脂と架橋する化合物
としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、
メラミン樹脂、尿素樹脂、酸無水物等があり、特にこれ
らの中でポリイソシアネート化合物が好ましい。 (作 用) 本発明で用いるブロック共重合ポリエステル樹脂はハ
ードセグメントとソフトセグメントから成り、その結
果、広い温度範囲にわたって柔軟性、強靭性が優れる。
その結果ブロック共重合ポリエステル樹脂を磁性層、バ
ックコート層の結合剤、下塗り剤、さらにはトップコー
ト剤の樹脂成分として用いると耐久性、耐ブロッキング
性、非磁性支持体との接着性等が向上する。 (実施例) 以下、実施例により本発明を具体的に例示する。実施
例中単に部とあるのは重量部を示す。 合成例1 ジメチルテレフタレート475部、ジメチルイソフタレ
ート475部、ジメチル5−ナトリウムスルホイソフタレ
ート29.6部、エチレングリコール372部、ネオペンチル
グリコール416部及びテトラブトキシチタン0.2部を3
オートクレーブに仕込み、200〜300℃で4時間エステル
交換反応を行った。次いで30分かけて260℃まで昇温す
ると同時に徐々に減圧し、260℃10mmHgで過剰のグリコ
ールを流出し、最後に265℃、0.1〜0.3mmHgで90分重縮
合反応後、系内に窒素ガスを導入し、常圧にもどした
後、ε−カプロラクトン399部を仕込み、200℃で60分間
重付加反応を行った。得られたポリエステル樹脂はNMR
の分析の結果、表−1に記載した組成であり、ブロック
共重合ポリエステルであった。分子量は21,000、なおε
−カプロラクトン投入前のポリエステルの分子量は14,0
00であった。 合成例2〜6 合成例1と同じ装置に合成例1と同量の原料を仕込み
同様にして、重縮合反応を行った。窒素雰囲気下に変え
た後、ペンタエリスリトール10.2部を仕込み、220℃で3
0分間解重合し、合成例1と同様にε−カプロラクトン3
99部を投入し、重付加反応によりポリエステル樹脂を得
た。得られた樹脂の特性を表−1に示す。また、表−1
に示した原料によりブロック共重合ポリエステル樹脂3
〜6を合成例1あるいは2の方法により得た。得られた
樹脂3〜6の特性を表−1に示す。 比較例1,2 比較例1,2は各々合成例1,2と同様に、エステル交換反
応を行った。ただし比較合成例2では全グリコール成分
中の2モル%をトリメチロールプロパンになるように仕
込んだ。エステル交換反応終了後、ε−カプロラクトン
を仕込んで230℃で1時間加熱した後、重縮合反応を行
った。得られたポリエステル樹脂はNMRによる分析で
は、ランダム共重合物であった。特性を表−1に示す。 比較合成例3 合成例4と同じようにしてブロック共重合ポリエステ
ル樹脂を得た。ただしε−カプロラクトン付加前のポリ
エステルの分子量は4,300であり、ブロック共重合ポリ
エステルの分子量は8,200であった。 実施例1〜5 比較例1〜6 下記の配合割合の組成物をボール・ミルに入れて48時
間分散してから、ポリイソシアネート化合物、コロネー
トL(日本ポリウレタン社製)を硬化剤として5部加え
更に1時間混合して磁性塗料を得た。これを厚み12μの
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、乾燥後の厚
みが4μになるように塗布し、2,000ガラスの磁場を印
加しつつ乾燥した。50℃、2日間放置後1/2インチ巾に
スリットし、磁気テープを得た。 合成例1で得たポリエステルの溶液(固形分濃度30%、
MEK/トルエン=1/1溶液) 100部 コバルト被着γ−Fe2O3(BET45m2/g) 120部 オリーブ油 1部 シクロヘキサン 50部 トルエン 100部 MEK 50部 同様にして表−2に記載した結合剤を用いて実施例2
〜5及び比較例1〜6の磁気テープを得た。 なお、結合剤樹脂と磁性粒子の重量比は1対4であ
り、実施例4および比較例4,5および6では分散剤とし
てレシチンを3部使用した。 各々の磁気テープの評価結果を表−1に示す。評価方
法は次の通りである。 磁気テープを20℃、引張り速度50mm/分で20%伸長
し、磁性層が剥離するかどうかをみた。非磁性支持体と
の接着性が悪いものは剥離する。剥離全くなしを○、剥
離、多いものを×とした。 市販のビデオデッキで100回走行させた後の磁性層
の摩耗状態を観察した。肉眼では摩耗がほとんど見られ
ないものを○、非常に多いものを×とした。 スチル特性は記録画像が完全に消失するまでの時間
を計った。 耐ブロッキング性は、磁性層とその反対面を重ね合
わせ、1kg/cmの加重下、60℃1日放置後、重ね合せ部を
剥離した。全くブロッキングしていないものを○、磁性
層の一部でも反対面へ移るもの、あるいはインチ巾当り
5以上の剥離強度を示すものを×とした。 (注)塩ビ・酢ビ系樹脂:ユニオンカーバイド社製「VA
GH」 硝化綿:ダイセル社製「RS 1/2」 ポリウレタン樹脂:日本ポリウレタン社製「ニッポラン
2304」 実施例6〜8および比較例7〜9 下記の配合割合の組成物をボールミルに入れて30時間
分散してから、ポリイソシアネート化合物、コロネート
L(日本ポリウレタン社製)を硬化剤として5部加え、
更に1時間分散してバックコート液を得た。これを厚み
12μのポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾燥後
の厚みが1μmになるように塗布した。そして塗布面と
は反対側に、比較例5で用いた磁性塗料を実施例1と同
様に塗布し磁気テープを得た。 合成例4で得たポリエステル樹脂の溶液100部(固形分2
0%,MEK/トルエン溶液) 100部 カーボンブラック 30部 酸化チタン(モース硬度6、平均粒径0.2μm) 10部 同様にして表−3に記載した樹脂及び顔料を用いてバ
ックコート層を有する磁気テープの実施例7〜8および
比較例7〜9を得た。なお、比較例5はバックコート層
を設けていない磁気テープである。 各々の磁気テープの評価結果を表−3に示す。評価方
法は下記の通りである。 市販のビデオデッキにかけ100回走行後のバックコ
ート層の摩耗状態を観察した。肉眼では摩耗はほとんど
認められないものを○、非常に多いものを×とした。 ドロップアウト増加数はビデオデッキで100回繰り
返し再生した時のドロップアウトの個数の変化が1分間
当り何個であるかを測定した。 耐ブロッキング性は実施例1と同様に行った。 実施例9〜12および比較例10〜11 合成例3で得たポリエステル樹脂のMEK/トルエン(1/
1重量比)溶液(固形分濃度20%)100部にポリイソシア
ネート化合物コロネート2030(日本ポリウレタン社製)
を3部加え、これを厚み12μのポリエチレンテレフタレ
ートフィルム上に乾燥後の厚みが0.2μmになるように
塗布し乾燥後、この塗布層上に直ちに比較例5で用いた
磁性塗料を塗布し、実施例1と同様にして磁気テープを
得た。 同様にして表−4に記載した下塗り層及び磁性層を設
けた磁気テープである。実施例10〜12および比較例10〜
11を得た。なお比較例5は下塗り層を設けていないもの
である。 各、磁気テープの評価結果を表−4に示す。評価方法
は下記の通りである。 磁気テープを実施例1と同様にして、20%および50
%伸長し、磁性層の剥離をみた。剥離が全くないものを
○、剥離が非常に多いものを×とした。 磁性層上にニチバン社製セロハンテープを貼り合わ
せ、セロハンテープを急速に剥がした。磁性層の剥離が
全くないものを○、全面に剥離するものを×とした。 (発明の効果) 本発明の磁気記録媒体は、ラクトン類を付加重合した
ブロックポリエステルを、非磁性支持体上の塗布層、即
ち磁性層、バックコート層、下塗り層、トップコート層
の少なくとも一層の樹脂成分として用いることにより、
従来の樹脂成分では接着力が低下し、耐久性の付与が困
難であった厚みが薄く配向結晶化させた非磁性支持体に
対しても優れた接着性の付与が可能となり、長時間記録
用の磁気テープの走行耐久性、さらに耐ブロッキング性
を向上させることができる。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.非磁性支持体上に塗布層を設けた磁気記録媒体にお
    いて、上記塗布層の少なくとも一層が、樹脂成分として
    ハードセグメントとソフトセグメントを有するブロック
    共重合ポリエステル樹脂を含み、該ブロック共重合ポリ
    エステル樹脂がポリラクトン類セグメントを有すること
    を特徴とする磁気記録媒体。 2.ブロック共重合ポリエステル樹脂が分子量5,000以
    上のポリエステル樹脂にラクトン類を開環付加重合させ
    た分子量10,000以上の共重合ポリエステル樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
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