JP2660341B2 - リポソーム製剤およびその製造法 - Google Patents

リポソーム製剤およびその製造法

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JP2660341B2 JP62306912A JP30691287A JP2660341B2 JP 2660341 B2 JP2660341 B2 JP 2660341B2 JP 62306912 A JP62306912 A JP 62306912A JP 30691287 A JP30691287 A JP 30691287A JP 2660341 B2 JP2660341 B2 JP 2660341B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、インターロイキン−2(以下、「IL−2」
と略称することもある。)を安定に含むリポソーム製剤
およびその製造法に関する。 従来の技術 IL−2は生体内で免疫調節に中心的役割をはたしてお
り直接あるいは間接的に癌の排除や免疫失調からの回復
やその改善に働くとかんがえられているT細胞やナチュ
ラルキラー細胞の増殖因子としての機能を有するタンパ
ク質である(ネイチャー,第302巻,305−310頁(1983
年))。かかる生理作用を有するためヒトIL−2は新し
い免疫失調治療剤あるいは制癌剤としての応用が強く期
待されている。 リポソーム製剤としては、マルチラメラーベシクル
(MLV),スモールユニラメラーベシクル(SUV),ラー
ジユニラメラーベシクル(LUV),リバースフェーズエ
バポレーション−ベシクル(REV)が知られており、そ
の製造法については、たとえば細胞工学vol.2,No.9,第1
136−1150頁(1983年)に紹介されている。最近、ステ
イブル−プルリラメラーベシクルと呼ばれるリポソーム
も知られている(特表昭59−500952号公報。)また、IL
−2含有リポソームとして、特開昭60−243022号公報に
記載のものが知られている。 発明が解決しようとする問題点 上述の特開昭60−243022号公報においては、IL−2を
リポソームへ封入するときの緩衝液のpHは4ないし7の
ものが好ましいとされている。 しかしながら、緩衝液のpHを4以上に調整してIL−2
封入リポソームを製造した後IL−2の残存活性を調べて
みると、活性が低下することが分かった。 問題点を解決するための手段 上述した結果に鑑み、本発明者らは、IL−2を安定に
含有するリポソーム製剤を得る目的で鋭意研究したとこ
ろ、緩衝液はpHを2〜3.5に調整されたものを用いる
と、該目的が達成されることを見い出し、これに基づい
てさらに研究した結果、本発明を完成した。 本発明は、(1)、リポソーム内に封入されるインタ
ーロイキン−2含有緩衝液溶液のpHが2〜3.5であるイ
ンターロイキン−2リポソーム製剤, (2)、インターロイキン−2含有緩衝液溶液を用いて
膜状リン脂質をハイドレーションに付しリポソームを製
造する方法において、該緩衝液はpHを2〜3.5に調整さ
れたものを用いることを特徴とするインターロイキン−
2リポソーム製剤の製造法,および (3)、リン脂質溶液とインターロイキン−2含有緩衝
液溶液とを混合し(W/O)エマルションとし、これをゲ
ルとし、次いで該ゲルに緩衝液を添加しリポソームを製
造する方法において、該緩衝液のうち少なくともゲルに
添加する緩衝液はpHを2〜3.5に調整されたものを用い
ることを特徴とするインターロイキン−2リポソーム製
剤の製造法である。 上記IL−2としては、IL−2活性、すなわちT細胞を
継代維持しうる作用を有する物質であればいずれでもよ
い。例えば動物体内や動物細胞で産生される天然のIL−
2や遺伝子組み換え技術で生産されるIL−2やこれらの
関連物質が挙げられる。上記IL−2やこれらの関連物質
は、糖鎖を有していてもよくまた有さなくてもよい。 上記IL−2としては、具体的には、たとえば遺伝子工
学技術により製造される第1図で示されるアミン酸配列
を有するポリペプチド(I)[特開昭61−78799号公
報],その生物学的もしくは免疫学的活性に必要な一部
分のアミノ酸配列からなるフラグメントが挙げられる。
上記フラグメントとしては、例えばポリペプチド(I)
のアミノ末端から1個のアミノ酸(EPC公開第91539号公
報)または4個のアミノ酸を欠くフラグメント(特開昭
60−126088号公報)やカルボキシル末端部の数個のアミ
ノ酸を欠くフラグメントなどが挙げられる。さらに上記
ポリペプチド(I)の構成アミノ酸の一部が欠損してい
るか他のアミノ酸に置換されたもの、例えば125位のシ
ステイン残基がセリン残基に置換されたもの(特開昭59
−93093号公報)でもよい。 また、上記のIL−2としては、ポリエチレングリコー
ル誘導体で化学修飾されたものでもよい(特開昭60−22
6821号公報)。 また、ポリペプチド(I)のアミノ末端にさらにMet
を有していてもよく[特開昭61−78799号公報]、また
ポリペプチド(I)とそのアミノ末端にさらにMetを有
するポリペプチド(I)との混合物でもよい[特開昭60
−115528号公報]。 本発明のIL−2リポソーム製剤の製造自体は、公知の
技術が採用される。 該製造法としては、(A)リン脂質溶液の溶媒を蒸発
除去してリン脂質の薄膜とし、膜状リン脂質をIL−2含
有緩衝液溶液を用いてハイドレーションに付し、マルチ
ラメラ−ベシクル(MLV)を得ることができる。(B)
さらにこれを超音波振盪機で振盪することにより、スモ
ールユニラメラ−ベシクル(SUV)を得ることができ
る。本発明は、上記製造法(A)または(B)の工程に
おいて用いられるIL−2含有緩衝液溶液のpHを2〜3.5
に調整したものを用いるところにある。 また、本発明のIL−2リポソーム製剤の製造法として
は、(C)リン脂質溶液とIL−2含有緩衝液溶液とを混
合し(W/O)エマルションとし、このエマルションの溶
媒を蒸発除去しゲルとし、このゲルに緩衝液を添加する
ことにより、リバースフェーズエバポレーション−ベシ
クル(REV)またはラージユニラメラベシクル(LUV)を
得ることができる。(D)リン脂質溶液とIL−2含有緩
衝液溶液とを混合し、溶媒の蒸発除去操作と超音波処理
とを同時に行なってゲルを得、このゲルに緩衝液を添加
することによりステイブル−プルリラメラ−ベシクル
(SPLV)を得ることができる。本発明は、上記製造法
(C)あるいは(D)の工程において、該緩衝液のうち
少なくともゲルに添加する緩衝液はpHを2〜3.5に調整
されたものを用いるところにある。 本発明のリポソーム製剤の製造の際に用いられるリン
脂質としては、自体公知のものが使用可能であり、その
例としては、たとえば卵黄レシチン,大豆レシチン,そ
れらの部分水添加物があげられ、さらに、半合成リン脂
質(例、ラウリル,ミリストイル,パルミトイル,ステ
アロイル,オレイルなどの組み合せからなる半合成によ
り得られるホスファチジルコリン,ホスファチジルエタ
ノールアミンなど),ホスファチジルセリン,ホスファ
チジルグリセロール,スフインゴミエリンなどが挙げら
れる。 また、リン脂質としては、ホスファチジン酸も挙げる
ことができる。 上記リン脂質は、単一で用いても良く、また二種また
はそれ以上のものを混合して用いてもよい。また、リン
脂質以外の脂質成分、例えばアシル化、モノ、ジ、トリ
グリセライド、またコレステロールをリン脂質に混合し
てもよい。 さらに、リポソームの安定化等を目的として、たとえ
ばコレステロール,ジセチルフォスフェート,ステアリ
ルアミン,抗酸化剤,BHT(ブチルヒドロキシトルエ
ン),α−トコフェロール等を加えてもよい。 IL−2と脂質との割合は、脂質が約50から200mgにた
いしてIL−2が約50から10000μgであることが好まし
い。またIL−2が約300ないし5000μgであることがよ
り好ましい。 本発明で用いられる緩衝液としては、リポソーム製剤
の製造に用いることのできるものであればいずれでもよ
く、その例としては、たとえばリン酸緩衝液,クエン酸
緩衝液,乳酸緩衝液,酢酸緩衝液,酢酸アンモニウム液
をたとえば塩酸でpHを調整したものなどが挙げられる。 緩衝液溶液中の緩衝液の濃度としては、5mMから50mM
程度が好ましい。 本発明で用いられるIL−2含有緩衝液溶液中のIL−2
の濃度は、IL−2の蛋白量として、約0.5〜10mg/mlであ
ることが好ましく、約0.5〜5mg/mlがより実際的であ
る。 本発明のリポソーム製剤の製造にあたっては、上述し
た如く、緩衝液のpHを2〜3.5に調整される。 本発明における緩衝液は、とりわけpH3付近が特に好
ましい。 該pHの調整は、たとえば5mM酢酸アンモニウム溶液に
溶解しているIL−2溶液にたとえば塩酸を加えることに
よりpHを調整する。 製造法(D)または(E)において、リン脂質溶液と
混合するIL−2含有緩衝液溶液は、そのpHを2〜3.5に
必ずしも調整する必要はないが、通常は、pHを約2〜3
に調整するのが良い。 このIL−2緩衝液溶液には各種添加物、例えば安定
剤、吸着防止剤としての人血清アルブミンや抗酸化剤を
加えてもよい。 上記製造法(A),(B)におけるリン脂質溶液の溶
媒としては、たとえばエーテル,クロロホルム,イソプ
ロピルエーテルなどが挙げられる。使用に際してはそれ
らの混合物でもよい。 蒸発留去の操作としては、ロータリーエバポレーショ
ン法など一般的操作が挙げられる。残留有機溶媒をとり
のぞくためN2気流をふきつけてもよい。 上記製造工程(A),(B)におけるハイドレーショ
ンとしては、たとえば室温で約1〜24時間、緩衝液を加
え静置するなどの一般的方法でよい。 上記製造工程(C)におけるエマルションの製造法と
しては、プルーブ型超音波によりW/O型エマルションを
調整する。 該超音波処理は、例えば連続的に約10〜60秒間照射
し、いったん照射をやめまた連続的に約10〜60秒間照射
するサイクルを3〜10回繰り返す。 上記製造工程(C)のエマルションの溶媒の蒸発除去
の方法としては、ロータリーエバポレーション法など一
般的操作でよい。残留有機溶媒をとりのぞくためN2気流
をふきつけてもよい。ゲルに緩衝液を添加する方法とし
ては、ゲルへ直接緩衝液を添加する。これによりリポソ
ームを得ることができる。 上記製造工程(D)における溶媒の蒸発除去操作と超
音波処理とを同時に行なう方法としては、超音波をう
け、脂質溶存有機溶媒とIL−2溶存緩衝液のW/O型エマ
ルジョンを生成させながらのエマルジョンにゆるくN2
ス気流をふきつけ有機溶媒を除去する。これによりゲル
を得ることができる。得られたゲルに緩衝液を添加する
ことにより、リポソームを得る方法としては、撹拌振盪
することによりリポソームを得る。 このようにして得られたリポソームを採取する方法と
しては、約8000〜10000g×約5〜20minの遠心分離方法
が一般的に採用される。 本発明のIL−2リポソーム製剤を保存する方法として
は、N2ガス置換後密封し冷暗所で保存する。 本発明のIL−2リポソーム製剤は、IL−2を長期間安
定に保持するので、IL−2の持続的治療効果が発揮され
る。したがって、本発明のIL−2リポソーム製剤は、徐
放性製剤として有利に使用することができる。 本発明のIL−2リポソーム製剤は、非経口投与製剤と
して有利に用いることができる。 該非経口投与製剤としては、たとえば注射用製剤が挙
げられる。 本発明のIL−2リポソーム製剤を注射用製剤として用
いる場合には、得られたリポソーム分散液をそのまゝ用
いるか濃厚なリポソームとして用時、分散液[例、生理
食塩水,等張化水溶液(マンニット等が含有されたも
の)]で分散して用いるかあるいは可能ならば凍結乾燥
して用時再分散して用いる。 このようにして得られた注射用製剤は、たとえば、皮
下,筋肉内に投与することが挙げられる。 本発明のIL−2リポソーム製剤は、低毒性であるの
で、公知のIL−2と同様の目的・対象に同様の用量・用
法により使用することができる。 本発明で用いるIL−2は、低毒性である。たとえば、
遺伝子工学手法で製造され、特開昭60−115528号公報に
記載の方法で精製され、次いで特開昭61−78799号公報
に記載の方法で分離され、そのアミノ酸配列が第1図で
示され、その比活性が約3.5×104単位/mgであるIL−2
は、カニクイザルの静脈内に投与した場合、6mg/kgの単
回投与では死亡例は見られない。このように、IL−2は
低毒性であるので、安全に投与することができる。 IL−2の投与量は、本発明のリポソーム製剤にした場
合には、主薬であるIL−2は徐々に放出されるので、IL
−2の持続的効果が期待されるため、数日〜数週間分の
量となるIL−2を含むリポソーム製剤を、たとえば1〜
2週間分を投与するのが好ましく、1週間分を非経口的
に投与する際には、一般に約10〜100U/kgのIL−2とな
る量のリポソーム製剤を、2週間分のそれの場合には、
約20〜200U/kgのIL−2となる量のリポソーム製剤が投
与される。 1U(単位)とは、任意に定めた標準品1ml中のIL−2
活性であり、約28.6ngの純粋な組み換え型IL−2に相当
する。なお、IL−2活性の測定ならびに1単位の定義に
関しては、特開昭60−115528号公報に記載の方法によ
る。 本発明のIL−2リポソーム製剤は、哺乳動物(例、マ
ウス,ネコ,イヌ,牛,馬,羊,山羊,家兎,ヒト)の
免疫疾患や腫瘍の予防,治療に用いられる。 実施例 以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるべきものではない。 なお、以下の実施例で用いられたIL−2は、いずれ
も、形質転換体エシエリヒア・コリ(Escherichia col
i)N4830/pTB285(IFO 14437,FERM BP−852)を用い
て、特開昭61−78799号公報の参考例2に記載の方法で
得られる、アミノ末端がアラニンで始まるIL−2(ポリ
ペプチド(I))およびポリペプチド(I)のN末端に
メチオニンが付加したIL−2との混合物であり、その比
活性は約3.5×104単位/mgである。 上記形質転換体エシエリヒア・コリN4830/pTB285は、
財団法人発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 14437とし
て昭和60年4月25日から寄託されている。また本形質転
換体は、通産産業省工業技術院微生物工業技術研究所
(FRI)に受託番号FERM P−8199として昭和60年4月3
0日から寄託され、該寄託はブタペスト条約による寄託
に切換えられて受託番号FERM BP−852として同研究所
(FRI)に保管されている。 実施例1 100mg/ml濃度の卵黄レシチン(EPC)クロロホルム溶
液1mlを50から100mlの丸底フラスコに添加した。これを
ロータリーエバポレーターにかけクロロホルムを蒸発さ
せEPCのフィルムをつくった。ジエチルエーテル5mlでこ
のEPCフィルムを溶解した。このEPCのジエチルエーテル
溶液へ、塩酸でpHを3.0に調整したIL−2を1.0mg/mlの
濃度で含む酢酸アンモニウム緩衝液溶液0.3mlを添加し
た。この丸底フラスコを浴槽型超音波器[60W,445KHz]
にかけ緩い窒素気流でジエチルエーテルを蒸発させIL−
2およびEPCを含むゲルを生成させた。丸底フラスコの
内壁にできたゲルを、塩酸でpHを3に調整された酢酸ア
ンモニウム緩衝液10mlでサスペンドすることによりIL−
2封入リポソームを得た。このリポソームサスペンショ
ンから遠心分離[10000g×10min]により、リポソーム
に封入されていないIL−2を除去しIL−2リポソーム製
剤を分離した。 実施例2 実施例1の方法において、ゲルに加える緩衝液溶液の
pHを2または3.5に調整したものを用いて、実施例1と
同様の操作でIL−2リポソーム製剤をそれぞれ製造し
た。 実施例3 100mg/ml濃度の卵黄レシチン(EPC)クロロホルム溶
液1mlを100mlの丸底フラスコに添加した。これをロータ
リーエバポレーターにかけクロロホルムを蒸発させEPC
のフィルムをつくった。ジエチルエーテル5mlを加えこ
のEPCフィルムを溶解した。このEPCのジエチルエーテル
溶液へ、塩酸でpHを5に調整したIL−2を1.0mg/mlの濃
度で含む酢酸アンモニウム緩衝液溶液0.3mlを添加し
た。この丸底フラスコを浴槽型超音波器[60W,45KHz]
にかけ緩い窒素気流でジエチルエーテルを蒸発させIL−
2およびEPCを含むゲルを生成させた。丸底フラスコの
内壁にできたゲルを、塩酸でpHを3に調整された酢酸ア
ンモニウム緩衝液10mlでサスペンドすることによりIL−
2封入リポソームを得た。このリポソームサスペンショ
ンから遠心分離[10000g×10min]によりリポソームに
封入されていないIL−2を除去し、IL−2封入リポソー
ム製剤を分離した。 実施例4 100mg/ml濃度の卵黄レシチン(EPC)クロロホロム溶
液1mlを100mlの丸底フラスコに添加した。これをロータ
リーエバポレータにかけクロロホルムを蒸発させEPCの
フィルムをつくった。塩酸でpHを3に調整したIL−2を
1.0mg/mlの濃度で含む酢酸アンモニウムへ緩衝液溶液2m
lをこのフラスコへ添加した。充分ハイドレーションし
た後、EPCフィルムが完全にサスペンドするまで振盪し
た。得られたサスペンションを、塩酸でpHを3に調整し
た酢酸アンモニウム緩衝液10mlで3回洗浄した後、遠心
分離してリポソームに封入されていないIL−2を除去
し、IL−2リポソーム製剤を分離した。 実施例5 100mg/ml濃度の卵黄レシチン(EPC)クロロホルム溶
液3mlを500mlの丸底フラスコに添加した。これをロータ
リーエバポレーターにかけクロロホルムを蒸発させEPC
のフィルムをつくった。ジエチルエーテル70mlでこのフ
ィルムを溶解した。これに、塩酸でpHを3に調整したIL
−2を1.0mg/mlの濃度で含む酢酸アンモニウム緩衝液溶
液10mlを加え、プルーブ型超音波振盪機で乳化し[75W,
20KHz,30秒×10回]、W/O型エマルジョンを作成した。
このようにして得たエマルジョンをロータリーエバポレ
ータにかけ減圧下でジエチルエーテルを留去しゲルを得
た。このゲルを、塩酸でpHを3に調整された酢酸アンモ
ニウム緩衝液10mlでサスペンドした。このサスペンショ
ンから遠心分離により封入されていないIL−2を除去し
IL−2リポソーム製剤を分離した。 参考例1 実施例1の方法において、ゲルに加える緩衝液溶液の
pHを1,4または5に調整したものを用いて、実施例1と
同様の操作でIL−2リポソーム製剤を製造した。 実験例1 実施例1,2および参考例1で製造したIL−2リポソー
ムを生理食塩水にサスペンドしリポソーム内IL−2の安
定性を調べた。なお対照としてバルク溶液及びサスペン
ド緩衝液のpHが1.5のものを用いた。 実験条件は37℃で、10mlのリポソームサスペンション
を静置し、経時的にリポソームサスペンション中のIL−
2をHPLC法により測定した。HPLC法の測定はグラジュエ
ント法によりIL−2を分離し蛍光検出により定量した。
流速は2mlとし、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液(A遊離
液と)0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液(B
遊離液)をグラジュエント遊離液として、15分をかけて
A遊離液から40%から65%リニアに勾配をかけた。蛍光
検出はエクサイティション280nmエミッション340nmで測
定した。IL−2は約11分で遊離した。使用したカラムは
ウルトロン300C4(4.6φX150mm)である。結果を表1に
示す。 表1に示される様に、添加IL−2バルク緩衝液溶液及
びゲルサスペンド緩衝液のpHを2,3または3.5に調整する
と、リポソーム内IL−2の安定性が著しく向上した。 実験例2 実施例3で製造したIL−2リポソームを生理食塩水に
サスペンドしリポソーム内IL−2の安定性を調べた。な
お対照として、IL−2バルク緩衝液溶液及びサスペンド
緩衝液のpHが5のものを実施例3と同様の方法で作成
し、これを用いた。実験条件は37℃で、10mlのリポソー
ムサスペンションを静置し、経時的にリポソームサスペ
ンション中のIL−2を実験例2に示したHPLC法により測
定した。結果を表2に示す。 表2で示される様に、ゲルをサスペンドする緩衝液の
pHを3にするとリポソーム内IL−2の安定性が著しく向
上した。 発明の効果 本発明のIL−2リポソーム製剤は、長期間安定である
ので、徐放性製剤として用いることができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は、アミノ末端がH−Ala−であるヒトIL−2の
アミノ酸配列を示す。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.リポソーム内に封入されるインターロイキン−2含
    有緩衝液溶液のpHが2〜3であるインターロイキン−2
    リポソーム製剤。 2.pHが2〜3であるインターロイキン−2含有緩衝液
    溶液を用いて膜状リン脂質をハイドレーションに付して
    得られた特許請求の範囲第1項記載のリポソーム製剤。 3.リン脂質溶液とインターロイキン−2含有緩衝液溶
    液とを混合し(W/O)エマルションとし、これをゲルと
    し、次いで該ゲルに緩衝液を添加する方法であって、該
    緩衝液のうち少なくともゲルに添加する緩衝液はpHを2
    〜3に調整されたものを用いる方法により得られた特許
    請求の範囲第1項記載のリポソーム製剤。 4.インターロイキン−2含有緩衝液溶液を用いて膜状
    リン脂質をハイドレーションに付しリポソームを製造す
    る方法において、該緩衝液はpHを2〜3に調整されたも
    のを用いることを特徴とするインターロイキン−2リポ
    ソーム製剤の製造法。 5.リン脂質溶液とインターロイキン−2含有緩衝液溶
    液とを混合し(W/O)エマルションとし、これをゲルと
    し、次いで該ゲルに緩衝液を添加しリポソームを製造す
    る方法において、該緩衝液のうち少なくともゲルに添加
    する緩衝液はpHを2〜3に調整されたものを用いること
    を特徴とするインターロイキン−2リポソーム製剤の製
    造法。 6.免疫疾患予防治療剤である特許請求の範囲第1項記
    載のリポソーム製剤。 7.腫瘍予防治療剤である特許請求の範囲第1項記載の
    リポソーム製剤。
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