JP2658961B2 - 固体レーザ装置 - Google Patents

固体レーザ装置

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JP2658961B2
JP2658961B2 JP8460895A JP8460895A JP2658961B2 JP 2658961 B2 JP2658961 B2 JP 2658961B2 JP 8460895 A JP8460895 A JP 8460895A JP 8460895 A JP8460895 A JP 8460895A JP 2658961 B2 JP2658961 B2 JP 2658961B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高輝度・高出力の固体
レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高出力の固体レーザ装置の構成の
一つとして、固体レーザ媒質をロッド型とし、光軸をロ
ッドの中心軸方向に取る構成が知られている。この構成
では、ロッドの周囲に冷却水を流してロッドを冷却する
構成をとるので、製造、保守が容易で実用性の高い装置
を安価に提供できる利点がある。しかしながら、ロッド
中心と周辺部との温度差に基づく複屈折効果等によりビ
ーム品質が劣化するという問題がある。この熱歪を低減
する一つの方法として、ロッドの中心をくり抜いて冷却
媒質をロッドの中心軸にも流して冷却効率を高める装置
構成が、特開昭62−262480号公報にスタンリー
リーム等により報告されている。
【0003】また、前記したようなロッド型レーザ媒質
を用いる場合に生じる問題を改善するものとして、板上
の固体レーザ媒質中でじぐざぐに折り返す光路を光軸と
することにより、熱歪による複屈折を補償するスラブ型
固体レーザ装置が知られている。この方式により高輝度
のレーザ装置を得る構成として、特開平2−11919
2号公報に八木等により、スラブ型レーザに一軸方向の
不安定共振器構成を適用した例が報告されている。一般
にスラブ型では、薄く平たいスラブほど熱歪を低くでき
る点で有効であるが、大出力化のためには、励起体積を
大きく得るために横幅の長いスラブ構成のレーザ媒質を
用いる必要があり、これにより横幅方向のビーム品質劣
化を生じるので、上記発明では、その方向のビーム品質
劣化を抑えるために不安定共振器を適用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のロッド型固体レ
ーザ装置を用いる方式では、ロッド中心と周辺の温度差
に伴う熱歪を介して生じる複屈折や熱レンズ効果によ
り、高輝度かつ大出力な固体レーザ装置を得ることは困
難である。また中抜きロッドを用いる方式では、出射ビ
ームが中抜けとなり、レンズによる集光性が劣るほか、
ビーム形状が伝搬距離とともに変化するなど実用上使い
にくいという問題がある。
【0005】一方、スラブ型レーザでは、レーザ出射面
のビームがスラブ面に対して縦方向と横方向で品質及び
ビーム幅が異なり、出射ビームの集光性の異方性を生
じ、ビームの取り扱いが複雑となる問題がある。また、
スラブの全反射面が冷却面を兼ねるために、長期間の運
転により冷却面の汚れ等により出力が低下する等、経時
劣化が生じ易いという問題がある。
【0006】また、上記のいずれの方式においても、励
起入力の変化に対して、ロッドもしくはスラブ媒質の熱
レンズ効果の大きさが変化し、そのために共振器の動作
点が最適点から外れるために、出射ビームのビーム品質
及び、入力に対する出力の線形性が励起入力の変化に伴
い低下するという問題がある。
【0007】
【発明の目的】本発明の目的は、このような問題を解消
し、高効率で高出力、かつ高品質なレーザビームを得る
ことが可能な固体レーザ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の固体レーザ装置
は、レーザ発振波長に対して高反射面と高透過面を持つ
固体レーザ媒質と、前記固体レーザ媒質を励起する励起
光源と、励起光を前記固体レーザ媒質に導く光学系と、
レーザ共振器を構成する出力鏡からなる固体レーザ装置
において、前記固体レーザ媒質の高反射面側にヒートシ
ンクを接合し、固体レーザ媒質を光軸に垂直な面内で一
様に励起する照明光学系を設けたことを特徴とする。
【0009】また、本発明の固体レーザ装置は、固体レ
ーザ媒質とヒートシンクとの間に、固体レーザ媒質との
接触面積を半径方向に変化させる空隙部を多数もつ熱伝
達体を備えることを特徴とする。この場合、励起強度分
布が、所定半径の範囲内で一様な強度分布となる励起光
学系を用い、熱伝達体は前記所定半径と同じ外径で、固
体レーザ媒質との接触面に格子状の溝を有することが好
ましい。或いは、励起強度分布が、中心部で強く半径方
向に弱くなる強度分布をもつ励起光学系を用い、熱伝達
体は固体レーザ媒質との接触面に半径方向の接触面積率
の分布が励起光強度分布と等しくなる同心円状の溝を有
することが好ましい。
【0010】
【作用】本発明では、固体レーザ媒質の光軸と熱流の向
きを同一方向に合わせることにより、固体レーザ媒質に
生じる温度勾配を光軸と同じ方向とすることで、レーザ
発振光の波面歪の発生を根本的に無くすことができると
の新しい知見による。実際的なレーザ媒質の形として、
例えば、円盤状の固体レーザ媒質を用いた場合、円盤の
一面を高反射面として、この高反射面をヒートシンクに
接合させ、かつ、円盤の反対側の面から励起光を均一に
照射することで、固体レーザ媒質の光軸に垂直な平面内
での温度分布の発生を抑えることができる。
【0011】また、本発明では、熱伝達体の接触面に形
成した格子状の溝により形成されるヒダ状の非接触部
(空隙)により生じる熱伝達体の弾性変形によって、接
触部の応力発生を吸収することで、固体レーザ媒質の歪
発生を防止することが可能となる。さらに、中心軸対称
の励起光の強度分布に応じて熱伝達体の接触面に形成し
た溝が同心円状であるため、熱伝達体の接触面積率(面
積当たりの、接触部と非接触部の面積の比)が半径方向
に変化され、これにより中心軸対称の励起光の強度分布
に対応してレーザ発振光軸に垂直な面内で半径方向に熱
伝達率が変化され、固体レーザ媒質の接触部の歪発生が
防止される。
【0012】
【実施例】本発明を図面を参照して説明する。図1は、
本発明の一実施例の固体レーザ装置の構成を示す図であ
る。同図において、円盤状のNd:YAG結晶(直径3
cm、厚み1cm)からなる固体レーザ媒質4は、円盤
面の片面に金蒸着を施した高反射ミラー2を介して冷却
水を流す銅ブロックからなるヒートシンク3に直接接合
され、また円盤面の他の一面は発振レーザ光及び、励起
光に対してARコートが施されている。レーザ共振器
は、固体レーザ媒質4と、レーザ共振器を構成する出力
鏡9の間に、ビーム拡大器8、及び励起光を反射し発振
光を透過するダイクロイックミラー7を挟んで構成す
る。
【0013】平均出力500W(100μsパルス幅、
繰り返し1KHz)のパルス動作の半導体レーザ光源8
個からなる合計出力400Wの励起光源5の出射光は、
蠅の目レンズ光学系からなる、照明光学系6により均一
な照度分布の光束に変換され、ダイクロイックミラー7
を介して、固体レーザ媒質4に円盤面の高透過面側から
入射し、固体レーザ媒質4の円盤面内を均一に励起する
構成を取っている。ビーム拡大器8は、大口径のレーザ
媒質を用いる場合に、短い共振器長で高次横モードの発
振を抑えるために設ける。ビーム拡大器8の拡大倍率は
7倍、レーザ共振器長50cm、出力鏡9の曲率3m、
反射率90%として、レーザ出力特性を調べた。
【0014】その結果、励起入力400Wにおいて、レ
ーザ出力250Wの基本横モードの発振を実現できた。
従来方式と比べると、励起効率が63%と高いことは、
熱歪に起因する回折損失に伴う共振器損失を大幅に低減
できたためである。また、従来方式のロッド型やスラブ
型レーザでは、程度の差はあるものの励起入力の変化に
伴う熱レンズ効果により、共振器の最適動作条件が変化
するために、広い出力範囲で高いビーム品質及び入出力
の線形性を維持することは極めて困難であったが、本発
明による装置では、熱レンズ効果の発生がないために、
低出力から最大出力まで、入出力の線形性を保ちなが
ら、基本横モードの高品質なビーム品質を実現すること
ができた。その時、出射ビームの広がり角も励起の大き
さによらず一定値を保つ優れた特性が得られた。なお高
反射ミラー2に、通常のレーザミラーに用いられる誘電
体多層膜を用いても、多層膜の厚みが数μm程度と薄い
ことから、金属反射体を用いる場合と比べて固体レーザ
媒質4とヒートシンク3の間の温度差にほとんど差はな
いので使うことができる。
【0015】上記の実施例において、固体レーザ媒質4
は、平行平面の場合について述べたが、複合共振器効果
を避けるために1度程度の僅かなテーパをつけてもかま
わない。テーパをつけることにより、テーパ方向の光路
長差及び温度差により波面歪を生じるが、従来のロッド
型発振器における歪に比べると一桁以上小さく、本発明
の効果を十分生かすことができる。
【0016】次に本発明の第2の実施例の構成図を図2
に示す。図1と異なる点は、ヒートシンク3にヒートパ
イプ方式を適用したこと、レーザ共振器の構成に不安定
共振器構成を適用した点、励起光をレーザ発振モードの
外側から斜め方向から固体レーザ媒質4に励起光を導く
構成を用いた点である。ヒートシンク3は冷却媒質を水
とし、内部に水の還流用の毛細メッシュ網10を配置
し、固体レーザ媒質4の高反射面はヒートシンク3の内
壁の一部となっている。フィン11は発熱を空気中に放
出するために用いる。出力鏡9は高反射部の直径が15
mm、最大反射率95%のスーパガウシャンミラーを用
いた。固体レーザ媒質4のサイズは第1の実施例と同じ
で、固体レーザ媒質4の側面に設けた反射板12は固体
レーザ媒質4から洩れでた励起光成分を再度固体レーザ
媒質4に吸収させる機能を持つ。
【0017】この実施例では、ヒートパイプ式の冷却を
行うことで、高反射ミラー2の面内の温度差の発生を
0.1℃程度に低減できることと、冷却面に金属ブロッ
ク等が直接接していないために、固体レーザ媒質4に冷
却面での応力歪の発生を著しく小さく抑えられることか
ら、レーザ発振における波面歪を第1の実施例の場合に
比べ一層低減できる。
【0018】また、共振器長を50cmとし、励起光源
として平均出力50W(100μsパルス幅、繰り返し
1KHz)のパルス動作半導体レーザ4個、計200W
の出力で励起した場合に基本横モードで最大レーザ平均
出力140Wが得られ、変換効率70%の高効率かつ高
品質な固体レーザ装置を実現できた。第1の実施例の場
合と同様に、励起入力に対するビーム品質の低下は無
く、かつ入出力の線形性にも優れる特性が得られた。
【0019】以上述べた本発明の第1及び第2の実施例
では、共振器構成として、それぞれビーム拡大器を用い
る安定共振器及び、スーパガウシャンミラーを用いる不
安定共振器を適用した場合について述べた。従来のロッ
ド型やスラブ型のレーザでこれらの共振器構成が適用さ
れていたが、従来は熱歪による波面歪の影響を最小限に
抑え、大出力時のビーム品質の劣化を抑えるものが主眼
であった。本発明においては固体レーザ装置による波面
歪が大出力時にも本質的に低減できているために、上記
の安定型や不安定共振器構成を本来の高次横モード発振
の抑止の目的のみに用いることができ、その結果、副次
的な共振器損失を最小限に抑えた上で低次横モード発振
を実現でき、ビーム品質の劣化を抑えるだけでなく、励
起光からレーザ出力への変換効率を大幅に向上できた。
【0020】以上述べた本発明の実施例においては、励
起光源に半導体レーザを用いた場合について述べたが、
励起光源に、フラッシュランプや、アークランプなどの
ランプ光源を適用できることは言うまでもない。
【0021】図3に本発明の第3実施例を示しており、
ここでは3cm角、1cm厚のNd:YAG結晶からな
る薄い直方体の固体レーザ媒質4の側面に励起光源を配
置している。図において、フラッシュランプからなる励
起光源5は円筒状の拡散反射面を持つ照明光学計6で反
射されて、固体レーザ媒質4に導かれる。固体レーザ媒
質4のレーザ光に対する高反射面、及び高透過面は、フ
ラッシュランプからの励起光を反射する特性を持たせる
ことにより、固体レーザ媒質4を均一性よく励起するこ
とができる。図2に示す実施例と同じ共振器構成を用い
て発振特性を調べた。なお、フラッシュランプの冷却は
円筒状の照明光学系内を流れる水流で行うが、図には記
述していない。この構成において、フラッシュランプへ
の入力3KW(100Hz,30J)において、レーザ
出力600Wが得られ、その時のビーム品質を示すM2
値は2と、回折限界の2倍程度の優れたビーム品質が得
られた。
【0022】また、固体レーザ媒質4の形状として、円
盤状の場合について述べたが、直方体や円筒状等、他の
形状でも、熱流の方向と光軸が一致する方向にする構成
を取れば本発明を適用できることは言うまでもない。
【0023】さらに、上記の実施例では、円盤状固体レ
ーザ媒質4に均一な照射分布を設ける例を示したが、固
体レーザ媒質の光軸の中心部が強くなる緩やかな励起強
度分布を持たせながら一様な励起を行えば、熱歪の発生
を従来方式に比べて低く抑制しながら基本横モードの発
振強度分布に合致する励起分布を実現することが可能で
あり、その場合、さらに高効率な発振を実現できる。こ
のとき中心部から外れた励起の弱い部分の発熱を補償す
るために、固体レーザ媒質4の側面にヒータを配置し、
温度分布を均一化して発振特性に影響する熱歪の発生を
大幅に低減することができる。
【0024】上記の本発明の実施例においては、出力偏
光が無偏光の場合を記述したが、偏光性の固体レーザ媒
質を用いたり、共振器内に別の偏光素子を備えて、偏光
発振させてもよい。本発明の特徴の無歪性から、熱歪に
よる複屈折による付加的な共振器損失の発生はなく、無
偏光時と同様な励起入力−出力特性が得られるという利
点がある。固体レーザ媒質4には、Nd:YAG以外の
Ti:Al2 3 や、Nd:YLF、Cr:LISAF
等、他の固体レーザ媒質を適用できる。その励起体積を
大きく取るために、板状の結晶を側面で融着して、大口
径の固体レーザ媒体として用いることも可能である。そ
の時、偏光発振させる場合などには、発振偏光面が、融
着面と平行になるようにすれば、融着による波面歪の影
響を最小に抑えることができる。
【0025】図4は本発明の第4実施例の固体レーザ装
置の構成を示す図である。円盤状のNd:YAG結晶
(直径1.5cm、厚み0.5cm)からなる固体レー
ザ媒質4は、片面に誘電体多層膜からなる高反射面2を
持ち、格子状の溝を形成した銅板からなる熱伝達体13
を介して冷却水を流す銅ブロックからなるシートシンク
3に接合されている。固体レーザ媒質4の他方の面は発
振レーザ光、及び励起光に対してARコートが施されて
いる。レーザ共振器は固体レーザ媒質4と出力鏡9との
間に励起光を透過し、発振光を反射するダイクロイック
ミラー7をおいて構成する。また、半導体レーザから励
起光を出力するファイバ励起源15のファイバ出射端で
の出射径は2mm、励起光最大出力は200Wである。
ファイバ励起光源15からの出射光はレンズ14、ダイ
クロイックミラー7を通り、固体レーザ媒質4の表面に
直径1.0cmの均一な照射強度分布となるようレンズ
14によりイメージ転写される。
【0026】図6(a)に前記熱伝達体13の片面を示
すように、この熱伝達体13の直径は励起ビームサイズ
と同じ1cmであり、熱伝達体13の固体レーザ媒質側
には幅0.1mm、深さ1.5mmの溝13aが格子状
に掘られている。格子のピッチは両方向共1mmであ
る。この構成の熱電熱体13を用い、レーザ共振器長を
1m、出力鏡9の曲率を凹3m、出力鏡9の透過率を9
0%として、レーザ発振特性を調べた。
【0027】この結果、レーザ出力は最大励起入力時に
基本横モード出力100Wが得られ、長期的な動作試験
でもレーザ発振特性に変化は起こらず実用上十分な耐久
性があることが判った。一方、溝を掘った熱伝達体を省
略し、直接ヒートシンク3と固体レーザ媒質4を接合し
た場合、出力80W付近より高次横モードの発振が基本
横モードに加わり、出力90Wで固体レーザ媒質4がヒ
ートシンク3から剥がれる現象が見られた。
【0028】因に、このように熱伝達体13に溝13a
が形成されていないと、ヒートシンク3と固体レーザ媒
質4の使用材質の熱膨張率の違いと、接合強度の面内の
不均一性等の理由により局所的な応力の集中が起こり、
特に高励起時に固体レーザ媒質4が破壊されたり撓みを
生じ、ヒートシンク3との接合が部分的に離れるという
問題が生じる。また、固体レーザ媒質4の破壊に至る前
段階では、接合部の応力が固体レーザ媒質内の歪をもた
らし、そのために出射ビームの品質が劣化されることも
ある。
【0029】この場合、軟らかいインジウム箔等をヒー
トシンクと固体レーザ媒質の間に挟み込むことで応力の
緩和を図ることも考えられるが、この対策では励起と非
励起時の熱膨張差の繰り返しにより徐々に箔が変形され
るため、長期間の動作により冷却性能が劣化したり局所
的な非接触部が生じるなど、実用的なレーザ発振器とし
ての適用は困難となる。また、水銀等の液体金属をヒー
トシンクと固体レーザ媒質との間に閉じ込めることも考
えられるが、液体金属の封じ込めの困難さや材料の毒性
などの問題が生じる。
【0030】また、前記第1ないし第3実施例において
は、固体レーザ媒質4の片面の全面をヒートシンク3に
接合しているが、固体レーザ媒質4の中心軸付近では、
主に熱流は固体レーザ媒質の中心軸に沿ってヒートシン
ク3に熱が流れるのに対し、励起ビームの端部では温度
の低い固体レーザ媒質周辺の非励起部への熱伝導を介し
てのヒートシンク3への熱流束が相対的に大きくなり、
レーザ発振光軸に垂直な面内で温度差が生じ、発振ビー
ムの品質が多少劣化される懸念がある。しかしながら、
この第4実施例では、格子状の溝13aにより形成され
るヒダ状の非接触部(空隙)による熱伝達体13の弾性
変形によって接触部の応力発生を吸収することで、固体
レーザ媒質4の歪発生を防止することが可能となる。
【0031】図5は本発明の第5実施例の構成図であ
る。同図において、基本的な構成は第4実施例と同じで
あるが、ファイバ励起源15からの励起ビームを固定レ
ーザ媒質4の表面で中心部で強く、周辺になるに従い弱
くなるような励起強度分布を持たせた点、及び、図6
(b)に示すように、熱伝達体13の溝13bの構造を
同心円状として接触面積率が周辺に行くに従い小さくな
るように、周辺になるに従い溝の幅を大きくしている点
が相違している。
【0032】この構造では、励起ビームの形状と、レー
ザ発振モードのマッチングがよいため、基本横モードの
発振がより容易となり、一層発振効率を高めることがで
きる。この構成において、第1の実施例と同じ共振器構
成を用いて発振特性を調べたところ、最大励起入力20
0W時に、基本横モード出力120Wが得られた。この
ことは、励起分布を励起中心部に集中させる構成を用
い、レーザ発振光軸に対して垂直な面内での温度差の発
生を抑制するよう熱伝達体の熱伝導率を半径方向に周辺
になるに従い小さくなるように変化させた結果、得られ
たと考えられる。経時的な発振特性の変化もないことか
ら、第4実施例と同様に熱伝達体13と固体レーザ媒質
4の界面の歪も熱伝達体13の溝13bの弾性変形によ
り吸収されているものと推測される。
【0033】この第5実施例では、中心軸対称の励起光
の強度分布に応じて溝13bが同心円状に形成されてい
るため、固体レーザ媒質4における熱伝達体13の接触
面積率(面積当たりの、接触部と非接触部の面積の比)
が半径方向に変化され、これにより中心軸対称の励起光
の強度分布に対応してレーザ発振光軸に垂直な面内で半
径方向に熱伝達率が変化され、固体レーザ媒質4の接触
部の歪発生が防止され。前記した効果が更に助長され
る。
【0034】この点で、前記第1ないし第3実施例のよ
うに、固体レーザ媒質4にヒートシンク3が全面で接触
していると、励起ビームの強度分布が中心部で強く、半
径の大きな周辺に行くに従い弱くなるような分布をもつ
場合、励起ビームの強度分布を反映してレーザ発振光軸
に垂直な面内で温度差が発生してビーム品質が劣化され
る懸念があるものに比較して優れていると言える。
【0035】ここで、熱伝達体の材質に銅の代わりに、
固体レーザ媒質に熱膨張率が近いチタンや、ニッケル鉄
合金等を用いれば、ヒダの深さを一層浅くしても応力の
発生を抑制することができ、製造が容易になり、装置を
安価にできる利点がある。
【0036】また、熱伝達体のヒダ構造として溝状の形
状を記述したが、接触面積率が励起強度分布に応じて変
化させるならば、溝の代わりに円形もしくは多角形状の
突起を熱伝達体表面に設けても本発明が有効となること
は言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、固体レーザ媒質一面を
高反射面として、この高反射面をヒートシンクに接合さ
せ、かつ、固体レーザ媒質の反対側の面から励起光を均
一に照射することで、固体レーザ媒質の光軸に垂直な平
面内での温度分布の発生を抑えることができ、高効率
で、高出力かつ高品質なレーザビームを、低出力から高
出力まで、入出力特性の線形性を保ちながら、ビーム品
質及び、ビーム広がり角の変動のない実用性に優れる固
体レーザ装置を提供することができる。
【0038】また、固体レーザ媒質とヒートシンクとの
間に設けた熱伝達体の接触面に形成した格子状の溝によ
り可能とされる熱伝達体の弾性変形によって、接触部の
応力発生を吸収することで、固体レーザ媒質の歪発生を
防止することが可能となる。さらに、中心軸対称の励起
光の強度分布に応じて熱伝達体の接触面に同心円状の溝
を形成することで、熱伝達体の接触面積率が半径方向に
変化され、レーザ発振光軸に垂直な面内で半径方向に熱
伝達率が変化され、固体レーザ媒質の接触部の歪発生を
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の正面図である。
【図2】本発明の第2実施例の平面図である。
【図3】本発明の第3実施例の斜視図である。
【図4】本発明の第4実施例の正面図である。
【図5】本発明の第5実施例の正面図である。
【図6】本発明の第4実施例、第5実施例の各熱伝達体
に形成した溝の形状を示す図である。
【符号の説明】
1 冷却水パイプ 2 高反射ミラー 3 ヒートシンク 4 固体レーザ媒質 5 励起光源 6 照明光学系 7 ダイクロイックミラー 8 ビーム拡大器 9 出力鏡 10 毛細メッシュ網 11 フィン 12 反射板 13 熱伝達体 13a 格子溝 13b 同心円溝 14 レンズ 15 ファイバ励起源

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ発振波長に対して高反射面と高透
    過面を持つ固体レーザ媒質と、前記固体レーザ媒質を励
    起する励起光源と、励起光を前記固体レーザ媒質に導く
    光学系と、レーザ共振器を構成する出力鏡からなる固体
    レーザ装置において、前記固体レーザ媒質の高反射面側
    にヒートシンクを接合し、固体レーザ媒質を光軸に垂直
    な面内で一様に励起する照明光学系を設けたことを特徴
    とする固体レーザ装置。
  2. 【請求項2】 レーザ共振器内に、固体レーザ媒質側で
    発振モード面積が大きくなるビーム拡大器を備える請求
    項1の固体レーザ装置。
  3. 【請求項3】 出力鏡が不安定型共振器を構成する請求
    項1の固体レーザ装置。
  4. 【請求項4】 ヒートパイプ方式ヒートシンクを用い、
    固体レーザ媒質の高反射面をヒートパイプの内面の一部
    とする請求項1の固体レーザ装置。
  5. 【請求項5】 固体レーザ媒質のレーザ発振モードの外
    側にヒータを配置する請求項1の固体レーザ装置。
  6. 【請求項6】 固体レーザ媒質とヒートシンクとの間
    に、固体レーザ媒質との接触面積を半径方向に変化させ
    る空隙部を多数もつ熱伝達体を備える請求項1の固体レ
    ーザ装置。
  7. 【請求項7】 励起強度分布が、所定半径の範囲内で一
    様な強度分布となる励起光学系を用い、熱伝達体は前記
    所定半径と同じ外径で、固体レーザ媒質との接触面に格
    子状の溝を有する請求項6の固体レーザ装置。
  8. 【請求項8】 励起強度分布が、中心部で強く半径方向
    に弱くなる強度分布をもつ励起光学系を用い、熱伝達体
    は固体レーザ媒質との接触面に半径方向の接触面積率の
    分布が励起光強度分布と等しくなる同心円状の溝を有す
    る請求項6の固体レーザ装置。
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