JP2657479B2 - 紙管巻心用チャック - Google Patents

紙管巻心用チャック

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばラベルを連続
的に印刷するための材料となる紙とかフィルム等のテー
プがロール状に巻かれている紙管巻心をチャッキングす
るための紙管巻心用チャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の紙管巻心用チャックは次に示す2
種類のものが多く使用されていた。その第一は、図9,
図10,に示す如く、円筒状のチャック本体(a)に設
けた軸心方向の長孔に嵌まって直径方向に出入自在に設
けた数枚(図示は4枚)の拡張板(b)を、テーパー軸
(c)をチャック本体(a)に人力によりネジ(d)を
回して引き込むことにより外方に張り出させて、この拡
張板(b)の外側に嵌まっている紙管巻心(T)をチャ
ッキングする構造のものであった。
【0003】その第二は、図11,図12,図13に示
す如く、円筒体の軸孔(e)の長さの中央部に、横断面
がほぼ長円形のカム室(f)を形成したものを、カム室
(f)の短軸方向に円筒体を2分割した割胴(g)に、
軸の一部にカム室(f)の横断面よりやや小型の長円形
のカム(h)持つカム軸(j)を、このカム(h)がカ
ム室(f)に収まって軸孔(e)に挿通され、このカム
軸(j)が回転することによって割り胴(g)が図(1
3)に示す如く外方に張り出して、その外周が割り胴
(g)の外側に嵌まっている紙管巻心(T)の内周に接
して、この紙管巻心(T)を僅かに楕円状に変形させな
がら内周から拡張傾向を与えてキャッチングする構造の
ものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の第一の
方法は、予め拡張爪(b)を張り出させて紙管巻心
(T)をチャッキングするのであるが、この場合は人力
によりねじ(d)を回してテーパー軸(c)を引き込む
ものであるため、力が不足して回転中に紙管巻心(T)
と拡張爪の間に滑りが生じて空転しやすいという問題が
あり、第2の方法はカム軸(j)の回転によりカム
(h)が割胴(g)を張り出させてキャッチングするも
のであるから、強く拡張力が働くため紙管と割胴との間
に滑りが生じて空転することはないが、終了後に紙管巻
心(T)を外そうとする時当接しているカム室(f)の
内周とカム(h)の外周が近似の半径による円弧面同士
であるため容易に外れないといった問題があった。
【0005】本発明の目的は、上記した従来の問題点を
解消して、使い易くしかも強力なチャキングが得られ、
終了後の紙管との離脱も容易な紙管巻心用チャックを提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達するため
のこの発明は、両端面の中心部に円錐凹部を形成した円
柱体の軸心部に正多角形又は近似正多角形の拡張作用軸
孔を貫通したものを、上記拡張作用軸孔の1つのコーナ
ー部を含む分割体に縦断等分割した複数の巻心保持部材
が、外周に設けた円周溝に嵌めた環状スプリングにより
軸心方向に付勢された状態で、両端の上記円錐凹部に円
形中心孔を持つ円錐部材の円錐面を当接させ、この円錐
部材の円形中心孔と上記拡張作用軸孔に、チャック軸に
形成されている上記拡張作用軸孔のコーナー部に対応す
る軸心と平行な複数の稜線部を持つ拡張作用部を挿通
し、このチャック軸の先端に設けたねじ部に、上記円錐
部材を上記円錐凹部に締め込んで上記巻心保持部材を一
次拡張させるための締込ねじを螺合した紙管巻心用チャ
ックである。
【0007】
【作用】本発明紙管巻心用チャックを、チャッキングし
ようとする紙管巻心の内径に挿入して、あらかじめ人力
により締込みねじを回して巻心保持部材を紙管巻心の内
径一杯まで軽い力で一次拡張させた後、チャック軸を動
力回転させることによってチャック軸に形成されている
拡張作用部がカムの役割を果たして巻心保持部材を二次
拡張させることにより強固なチャッキングが得られると
ともに、チャック軸の回転を停止すれば巻心保持部材の
二次拡張力が消滅し、続いて締込みねじを緩めることに
より簡単に紙管巻心を取り外すことができるものであ
る。
【0008】
【実施例】以下図面にもとづいて詳細説明する。図1は
本発明紙管巻心用チャックの一実施例をテープ(T)を
巻いた紙管巻心(P)に挿入した状態を示す縦断側面図
であり、図2は図1の中央横断面を示し、図3は図1の
状態から紙管巻心用チャックを拡張させて、紙管巻心
(P)をチャッキングした状態を示す縦断側面図であ
り、図4は図3の中央横断面を示している。
【0009】図において、(10)は巻心保持部材で、
円柱体の軸心部に正方形の拡張作用軸孔(11)を貫通
し、さらに両端の中心部に円錐凹部(12)を形成した
ものを、拡張作用軸孔(11)の正方形の4辺をそれぞ
れ2等分する位置で直径方向に沿って縦断4等分割して
4個の巻心保持部材(10)としたもので、各巻心保持
部材(10)にはそれぞれ拡張作用軸孔(11)のコー
ナー部(13)を1つづつ持っている。
【0010】そして、この4個の巻心保持部材(10)
の両端近くの外周部には、円周溝(14)が形成され、
コイルスプリングの両端を連結した環状スプリング(1
5)が嵌められていて、4個の巻心保持部材(10)を
軸心方向に付勢している。
【0011】(20)は円錐部材で、4個の巻心保持部
材(10)の集合体の両端に形成されている円錐凹部
(12)と同一円錐角の円錐面を外周部に形成するとと
もに中心部に円形中心孔(21)を持ち、4個の巻心保
持部材(10)の集合した両端の円錐凹部(12)に円
錐面を当接している。
【0012】(30)はチャック軸で、円形軸部に続い
て4個の巻心保持部材(10)の集合体の軸心部に形成
される拡張作用軸孔(11)とほぼ同一の正方形の軸部
で、4つの稜線部(32)を持つ拡張作用部(31)
と、その先端部におねじ部(33)が形成されており、
拡張作用部(31)を拡張作用軸孔(11)と円錐部材
(20)の円形中心孔(21)に挿通して先端のおねじ
部(33)に、中心にめねじを持つ締込みめねじ(3
4)を螺合している。
【0013】以上の構成を持つ本発明紙管巻心用チャッ
クを図1,図2に示す如く4個の巻心保持部材(10)
の集合体の外周部を紙管巻心(P)に挿入する。このと
き巻心保持部材(10)の外周と、紙管巻心(P)の内
周との間には僅かに隙間ができるようになっており、こ
の状態では拡張作用軸孔(11)はチャック軸(30)
の拡張作用部(31)に密接している。この状態におい
て、締込みねじ(34)を人手により締め込むと円錐部
材(20)が巻心保持部材(10)の両端の円錐凹部
(12)を押し上げることによって4個の巻心保持部材
(10)が外方に張り出してその外周面が紙管巻心
(P)の内周に軽く接して一次拡張が行なわれる。この
とき、拡張作用軸孔(11)とチャック軸の拡張作用部
(31)との間に巻心保持部材(10)が外方に張り出
した分だけ僅かな隙間ができている。
【0014】次に、チャック軸を動力により回転させる
と、図3,図4に示す如く正方形の拡張作用部(31)
の4角の稜線部(32)が拡張作用軸孔(11)のコー
ナー部(13)から辺の平面部に移動し角度(θ)だけ
回転して4個の巻心保持部材(10)を強く外方に押し
拡げる二次拡張が行われ、紙管巻心(P)が強固にチャ
ッキングされて回転することとなり、紙管巻心(P)と
巻心保持部材(10)の間に滑りが生じて空回りするの
を完全に防止することができる。
【0015】図5〜図8は巻心保持部材及びチャック軸
の拡張作用部の変形例を示したもので、図5は図4と全
く同一の巻心保持部材(10)に対する拡張作用部(3
1a)の横断面をX形にしたもので、稜線部(32a)
は図4の正方形断面の場合と同一であり、従って拡張作
用は全く図4の場合と同じである。
【0016】図6は拡張作用軸孔(11b)とチャック
軸の拡張作用部(31b)をほぼ正三角形とした例であ
り、従って巻心保持部材(10b)は3個である。この
場合チャック軸(30)を動力回転させる二次拡張作用
は図4,図5の場合に比べコーナー部(13b)の挟辺
のなす角度が小さいだけ拡張作用部(31b)の回転角
に対する拡張度合いがやや大となるが実質上大きな差は
ない。
【0017】図7はほぼ正方形の拡張作用軸孔(11
c)の対角線を通る直径方向に2つ割りしたに、ほぼ正
方形の拡張作用部(31c)を組み合わせた例であっ
て、この場合図示の如く拡張作用部(31c)が回転す
ると巻心保持部材(10c)に対して2つの稜線部(3
2c)が作用することとなる。
【0018】図8は図7と同じ巻心保持部材(10c)
に対して拡張作用部(31d)の稜線部(32d)を1
80°対向する位置の2箇所のみとした例であって、巻
心保持部材(10c)に作用する稜線部(32d)は1
つのみであるが拡張作用は図7の場合と大差ない。
【0019】
【発明の効果】本発明は、円錐部材を人力にって締め込
んで巻心保持部材を軽く拡張させる一次拡張と、チャッ
ク軸に拡張作用部を設けて巻心保持部材をチャック軸を
駆動する動力により強く二次拡張させる2段階拡張方式
としたことにより、強い人力による巻心保持部材の拡張
を必要としないことと、人力のみによる拡張方式のもの
がチャッキング力の不足により空回りする欠点を解消で
きるとともに、一次拡張により必要とする拡張量の殆ど
を拡張完了した上で動力による二次拡張では拡張量はき
わめて僅かであり、しかもチャック軸に形成されている
拡張作用部の稜線部が拡張作用軸孔の平面部に軸心方向
の一線で接触して拡張作用する構造としたため、紙管巻
心用チャックから紙管巻心を取り外す際にこの接触部が
離脱し易いため容易に紙管巻心を外すことができる効果
を得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明紙管巻心用チャックの一例をチャッキン
グ前状態で示す縦断側面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1の紙管巻心用チャックをチャッキング完了
状態で示す縦断側面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図4の変形例を示す図である。
【図6】巻心保持部材を3個の分割対とした図4と同様
の断面図である。
【図7】巻心保持部材を2個の分割対とした図4と同様
の断面図である。
【図8】図7の変形例を示す図である。
【図9】人力によりチャッキングする従来例を示す縦断
側面図である。
【図10】図9のC−C線断面図である。
【図11】動力によりチャッキングする従来例を示す縦
断側面図である。
【図12】図11のD−D線断面図でチャッキング前の
状態を示す図である。
【図13】図12の状態からチャッキング完了とした状
態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 巻心保持部材 11 拡張作用軸孔 12 円錐凹部 13 コーナー部 14 円周溝 15 環状スプリング 20 円錐部材 21 円形中心孔 30 チャック軸 31 拡張作用部 32 稜線部 33 おねじ部 34 締込みめねじ P 紙管巻心 T テープ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両端面の中心部に円錐凹部を形成した円
    柱体の軸心部に正多角形又は近似正多角形の拡張作用軸
    孔を貫通したものを、上記拡張作用軸孔の1つのコーナ
    ー部を含む分割体に縦断等分割した複数の巻心保持部材
    が、外周に設けた円周溝に嵌めた環状スプリングにより
    軸心方向に付勢された状態で、両端の上記円錐凹部に円
    形中心孔を持つ円錐部材の円錐面を当接させ、該円錐部
    材の円形中心孔と上記拡張作用軸孔に、チャック軸に形
    成されている上記拡張作用軸孔のコーナー部に対応する
    軸心と平行な複数の稜線部を持つ拡張作用部を挿通し、
    該チャック軸の先端に設けたねじ部に、上記円錐部材を
    上記円錐凹部に締め込んで上記巻心保持部材を一次拡張
    させるための締込ねじを螺合したことを特徴とする紙管
    巻心用チャック。
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