JP2657167B2 - El素子 - Google Patents

El素子

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JP2657167B2
JP2657167B2 JP6174226A JP17422694A JP2657167B2 JP 2657167 B2 JP2657167 B2 JP 2657167B2 JP 6174226 A JP6174226 A JP 6174226A JP 17422694 A JP17422694 A JP 17422694A JP 2657167 B2 JP2657167 B2 JP 2657167B2
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  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、EL素子に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来から用いられている一般的なEL素
子は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
上にITOからなる透明電極層を蒸着してなる透明電極
フィルム上に、発光層,絶縁層及び背面電極層を積層形
成し、これらを防湿フィルムで封止することによって構
成されている。この従来技術では、発光層,絶縁層の樹
脂バインダとしてはシアノエチル化物樹脂が使用されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このシアノエ
チル化物樹脂バインダは、吸湿性が高いという問題点を
有しており、一方、発光層を構成する蛍光体は、水分の
浸入により著しく劣化する。このため、水分による蛍光
体の劣化を防止する目的で防湿フィルムによってEL素
子を封止している。したがって、上記従来の構成では、
防湿フィルムによる封止が必要不可欠となる。そのた
め、EL素子が厚くなり、EL素子のフレキシビリティ
が少なくなり、防湿フィルムの封止代のためにEL素子
の大きさに対して発光面積は小さくなるという問題があ
った。また、防湿フィルムは高価であり、封止工程を必
要とするために安価なEL素子を提供することが困難で
あった。
【0004】そこで、本出願人は先に特願平5−231
709で、高誘電体のバインダとしてフッ素樹脂を用い
て防湿フィルムを省略できるEL素子を提案した。しか
しながら、上記第2の従来技術でも耐湿性が完全である
とは言えなかった。
【0005】そこで本発明の目的は、高誘電体のバイン
ダとしてフッ素樹脂を用いて厚みを薄くした上記EL素
子を、さらに耐湿性を向上させたEL素子を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、透明電極層と背面電極層との間に、発
光体とバインダとを含有する発光層と絶縁層とが介在し
てなるEL素子において、発光層と絶縁層と背面電極層
との中の少なくとも1つにおいて、バインダとしてフッ
素樹脂が使用してあり、背面電極層の絶縁層側と反対側
の面に電気絶縁性の樹脂からなる保護層が形成されてお
り、保護層には、フッ素樹脂の重合反応を促進させる反
応促進剤が含有させてある。
【0007】上記の反応促進剤は、分子中に2個以上の
異なった反応基を持つ有機ケイ素単量体を用いるのが好
ましい。
【0008】また、上記の背面電極層は、その端部がE
L素子の端部より僅かに後退して形成されるのが好まし
い。
【0009】
【実施例】以下、本発明の詳細を添付図面に示す好適な
実施例にそって説明する。図1乃至図4に示すように、
透明電極層の一例としての透明電極フィルム1上に発光
層2が形成されている。発光層2の上面には絶縁層3が
形成されており、その上面には背面電極層4が形成され
ている。この背面電極層4は、その端部がEL素子の端
部から僅かの距離、例えば1mmだけ後退している。背
面電極層4の上面には、保護層5が形成されている。保
護層5の端部はEL素子の端部と同一に形成されている
ので、外周部は絶縁層3の外周部に接合している。
【0010】透明電極フィルム1は、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)のフィルム上に透明電極膜を形成
するITOを蒸着したものによって形成されている。
【0011】発光層2は、透明電極フィルム1の上面
に、発光インクを印刷することにより形成される。発光
インクを構成する蛍光体としては、Cuをドープした硫
化亜鉛(ZnS)を用いる。そして耐湿性を考慮して、
バインダとしてフッ化ビニリデンと六フッ化プロピレン
の共重合体10gを予め溶媒メチルエチルケトン25g
に溶かしたフッ素樹脂を使用し、このフッ素樹脂と蛍光
体60gとを混合して発光インクを作成する。この発光
インクをスクリーン印刷法等の方法によってITO蒸着
面上に印刷し、その後加熱・乾燥して発光層2が形成さ
れている。
【0012】次に発光層2上に高誘電体物質とフッ素樹
脂層とで形成した絶縁層3を形成する。絶縁層3を構成
する高誘電体としては、チタン酸バリウム(BaTiO
3)を用いる。そして耐湿性を考慮して、バインダとし
て先に説明したフッ素樹脂35gと高誘電体60gとを
混合・撹拌して絶縁インクを作成する。この絶縁インク
を発光層2上に印刷し、加熱・乾燥して絶縁層3を形成
する。この絶縁層3によって、水分が発光層2へ浸入す
るのを防止する。バインダとしてのフッ素樹脂は誘電率
は低いが、チタン酸バリウムの誘電率が非常に高い(1
800(F/m))ために、絶縁層全体としては高い誘
電率が確保でき、EL発光素子の輝度の低下を招くこと
はない。
【0013】発光層2及び絶縁層3にフッ化ビニリデン
と六フッ化プロピレンの共重合体をそのまま用いたまま
でも或る程度耐湿性が改善されるが、それをさらに改善
するために本発明では以下の工夫が施されている。
【0014】絶縁層3上に背面電極層4を形成する。こ
の背面電極層4は、導電体であるカーボン粉をポリエス
テル樹脂に混合して形成されている。具体的には、カー
ボン粉80gとポリエステル樹脂10gを溶媒イソホロ
ン90gに溶かした樹脂バインダを用い、これらを混ぜ
よく攪拌して導体インクを作成する。この導体インクを
絶縁層3上に印刷し、加熱・乾燥させ背面電極層4を形
成している。
【0015】背面電極層4は、後で図4で説明する理由
によって、その端部が絶縁層3の端部、即ちEL素子の
端部より1mmだけ後退して形成している。
【0016】背面電極層4の絶縁層側と反対側の面上に
保護層5を形成する。この保護層5としては、塩化ビニ
ル樹脂を予め溶媒酢酸ブチルに溶かして保護層インクを
作成する。この保護層インクに、発光層2及び絶縁層3
に使用してあるフッ素樹脂の重合反応を促進する反応促
進剤が、重量比で2.0%含有させてある。反応促進剤
を含有させた保護層インクを背面電極層4上に印刷し、
加熱・乾燥させることにより保護層5を形成している。
【0017】保護層5の加熱・乾燥時に、反応促進剤が
絶縁層3及び発光層2等に浸透し、絶縁層3及び発光層
2中のフッ素樹脂同士の重合反応を促進させ、フッ素樹
脂の密度を高め水分の浸入を防ぐので、耐湿性が格段に
向上する。
【0018】反応促進剤の一例としては、分子中に2種
以上の異なった反応基を持つ有機ケイ素単量体Nーβ
(アミノエチル)γーアミノプロピルトリメトキシシラ
ン(以下「結合剤」という。)H2NC24NHC36
Si(OCH33がある。
【0019】分子中に2種以上の異なった反応基を持つ
有機ケイ素単量体は、前述した以外にも下記の優れた働
きがある。すなわち、異なった反応基の一方の反応基に
より無機物である蛍光体と反応するとともに他方の反応
基により有機物であるフッ素樹脂と反応することにより
蛍光体をフッ素樹脂層で包んでしまい、水分がフッ素樹
脂層で遮られて蛍光体の中へ浸入できないようにする働
きがある。高誘電体の場合も同様であり、高誘電体をフ
ッ素樹脂層で包んでしまい、水分がフッ素樹脂層で遮ら
れて高誘電体の中へ浸入できないようにする。このた
め、耐湿性がさらに改善される。
【0020】上記以外の分子中に2種以上の異なった反
応基を持つ有機ケイ素単量体の反応促進剤としてはγー
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
【0021】
【化1】
【0022】等がある。
【0023】こうしてできたEL素子を、40℃×90
%RH(相対湿度)の環境の下で、100V×400H
zの駆動条件で、200時間発光駆動させたところ、図
2のような発光輝度維持特性と、図3のEL素子の電気
的特性の一つである損失係数tanδ特性が得られた。
図2から明らかなように、結合剤を添加することによ
り、添加しない場合(添加量=0%)に比較して全ての
領域で輝度維持特性が改善されていることが明らかであ
り、結合剤の添加量が2wt%以上であれば実質的に有
効である。殊に、結合剤の添加量は10〜40wt%の
範囲で輝度維持特性の高い改善効果が得られる。また図
3から、結合剤の添加量が多くなるにしたがって損失係
数tanδが小さくなることが明らかである。損失係数
tanδが小さくなるということは、水分の吸収が少な
く防湿効果が高くなったことを意味する。
【0024】以上により結合剤添加による効果は大であ
ることが確認された。
【0025】図1で説明したように、背面電極層4の端
部はEL素子端部よりも1mmだけ後退させて形成して
ある。このことについて以下に説明する。EL素子の端
部から背面電極層の端部までの後退距離が0mmで背面
電極層に結合剤を10wt%添加したEL素子Aと、E
L素子の端部から背面電極層の端部までの後退距離が
1.0mmで保護層に結合剤を20wt%添加したEL
素子(本発明のEL素子)Bとを製造し、40℃×90
%RH(相対湿度)の環境の下で、100V×400H
zの駆動条件で、200時間発光駆動させたところ、図
4のような端部劣化の特性が得られた。図4から明らか
なように、後退距離が0mmであるEL素子Aでは端部
劣化最大値が約0.7mm生じているのに対し、後退距
離が1.0mmであるEL素子Bでは、端部劣化は0m
mであり、これにより本発明のEL素子で端部の劣化が
改善できたことが判る。
【0026】なお、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピ
レンの反応剤としてパーオキサイドに代表される加硫剤
を発光層,絶縁層を形成する際に添加し加硫する方法も
あるが、フッ素樹脂を加硫反応させると、耐湿性はやや
向上するものの防湿フィルムが不要となるレベルではな
く、また加硫することによりEL素子の発光輝度が半減
するという致命的な問題がある。
【0027】また、本実施例では、フッ素樹脂を溶媒に
溶かしたフッ素樹脂バインダと蛍光体とを混ぜて発光イ
ンクを作り、この発光インクを透明導電フィルム上に印
刷し、加熱・乾燥させ発光層を形成しているが、発光イ
ンクに反応促進剤を添加した場合には、反応促進剤を添
加すると同時に室温に於てもフッ素樹脂の重合反応が進
行し、発光インクが短時間にて固化してしまい、実質的
に発光インクを透明電極フィルム上に印刷することが不
可能となる。さらに絶縁インクについても同様のことが
確認された。
【0028】また、本実施例で発光層及び絶縁層に用い
たフッ素樹脂バインダは、フッ化ビニリデンの重合体と
してポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデンと他
のフッ素樹脂例えば、フッ化エチレン,フッ化ビニル,
三フッ化エチレン,三フッ化塩化エチレン,四フッ化エ
チレン,六フッ化プロピレンの少なくとも1種以上の共
重合可能な共重合体を用いてもよい。また、蛍光体には
Cuをドープした硫化亜鉛を用いたが、この蛍光体に予
めSiO2,TiO2,Al23のような無機の透明な誘
電体をコーティングしたものを用いてもよい。
【0029】更に、他の実施例として、上記の背面電極
層4にフッ素樹脂を含有させても良い。具体的には、カ
ーボン粉80gと、バインダとしてフッ化ビニリデンと
六フッ化プロピレンの共重合体10gを予め溶媒メチル
エチルケトン90gに溶かしたフッ素樹脂を用い、これ
らを混ぜよく攪拌して導体インクを作成する。この導体
インクを上記と同様にして絶縁層3上に印刷し、加熱・
乾燥させて背面電極層4を形成しても良い。
【0030】更に、他の実施例として、背面電極層4に
フッ素樹脂を含有させていない場合に、導体インク中
に、上に説明した分子中に2種以上の異なった反応基を
持つ有機ケイ素単量体の反応促進剤を重量比で2.0%
含有させた導体インクを作成する。この導体インクを上
記と同様にして絶縁層3上に印刷し、加熱・乾燥させ背
面電極層4を形成しても良い。
【0031】更に、上に説明した実施例によるEL素子
の上下を、防湿フィルムにて封止しても良い。これによ
り耐湿性が更に高まる。
【0032】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のEL素
子は、発光層と絶縁層と背面電極層との中の少なくとも
1つにバインダとしてフッ素樹脂が使用してあり、保護
層にフッ素樹脂の重合反応を促進させる反応促進剤が含
有させたので、反応促進剤が背面電極層から絶縁層及び
発光層に染み込んでいき、フッ素樹脂同士の重合反応を
促進させ、フッ素樹脂の密度を高め水分の浸入を防ぐの
で、防湿フィルムを省略しても高い耐湿性を有するEL
素子とすることができる。
【0033】また、高価な防湿フィルムを省略できるの
で、EL素子の厚みを薄くできてフレキシビリティを向
上できると共に、封止工程も不要となるので、安価なE
L素子を提供することができる。
【0034】また、背面電極層の端部をEL素子の端部
より後退させることにより、端部劣化を殆ど無くするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】輝度維持特性図である。
【図3】損失係数特性図である。
【図4】端部劣化の特性図である。
【符号の説明】
1 透明電極層 2 発光層 3 絶縁層 4 背面電極層 5 保護層

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明電極層と背面電極層との間に、発光
    体とバインダとを含有する発光層と絶縁層とが介在して
    なるEL素子において、 上記発光層と上記絶縁層と上記背面電極層との中の少な
    くとも1つにおいて、バインダとしてフッ素樹脂が使用
    してあり、 上記背面電極層の上記絶縁層側と反対側の面に電気絶縁
    性の樹脂からなる保護層が形成されており、 上記保護層には、上記フッ素樹脂の重合反応を促進させ
    る反応促進剤が含有させてあることを特徴とするEL素
    子。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記反応促進剤は、
    分子中に2個以上の異なった反応基を持つ有機ケイ素単
    量体であることを特徴とするEL素子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、上記背面電
    極層は、その端部がEL素子の端部より僅かに後退して
    形成されていることを特徴とするEL素子。
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