JP2657164B2 - El素子 - Google Patents

El素子

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JP2657164B2
JP2657164B2 JP5258387A JP25838793A JP2657164B2 JP 2657164 B2 JP2657164 B2 JP 2657164B2 JP 5258387 A JP5258387 A JP 5258387A JP 25838793 A JP25838793 A JP 25838793A JP 2657164 B2 JP2657164 B2 JP 2657164B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、EL素子に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来から用いられている一般的なEL素
子は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
上にITOからなる透明電極層を蒸着してなる透明電極
フィルム上に発光層,絶縁層及び背面電極層を積層形成
し、これらを防湿フィルムで封止することによって構成
されている。この従来技術では、発光層,絶縁層の樹脂
バインダとしてはシアノエチル化物樹脂が使用されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この材料は、
吸湿性が高いという問題点を有しており、一方、発光層
を構成する蛍光体は、水分の侵入により著しく劣化す
る。このため、水分による蛍光体の劣化を防止する目的
で防湿フィルムによってEL素子を封止している。した
がって、上記従来の構成では、防湿フィルムによる封止
が必要不可欠となる。そのため、EL素子が厚くなり、
EL素子のフレキシビリティーが少ないという問題があ
った。
【0004】そこで、本出願人は先に特願平5−231
709で、高誘電体のバインダとしてフッ素樹脂を用い
て防湿フィルムを省略できるEL素子を提案した。しか
しながら、上記第2の従来技術でも耐湿性が完全である
とは言えなかった。そこで本発明の目的は、高誘電体の
バインダとしてフッ素樹脂を用いて厚みを薄くした上記
EL素子をさらに耐湿性を向上させたEL素子を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のEL素子は、透明電極層と背面電極層との
間に、発光体とバインダとを含有する発光層と絶縁層と
が介在してなるEL素子において、発光層と絶縁層との
少なくとも一方にフッ素樹脂バインダが用いられてお
り、背面電極層にはフッ素樹脂バインダの重合反応を促
進する反応促進剤が含有されている。背面電極層におけ
る反応促進剤の添加量は2wt%以上であることが好ま
しい。
【0006】
【実施例】以下、本発明の詳細を添付図面に示す好適な
実施例にそって説明する。図1〜3に示すように、透明
電極層の一例としての透明電極フィルム1上に発光層2
が形成されている。発光層2の上面には絶縁層3が形成
されており、その上面には背面電極層4が形成されてい
る。透明電極フィルム1は、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)のフィルム1a上に透明電極膜1bを形成
するITOを蒸着したものによって形成されている。
【0007】発光層2は、透明電極フィルム1の上面
に、発光インクを印刷することにより形成される。発光
インクを構成する蛍光体としては、Cuをドープした硫
化亜鉛(ZnS)を用いる。発光インクは、耐湿性を考
慮して、蛍光体60gとバインダとして、フッ化ビニリ
デンと六フッ化プロピレンの共重合体10gを予め溶媒
メチルエチルケトン25gに溶かしたものを用い、これ
らを混合したものを使用している。この発光インクをス
クリーン印刷法等の方法によってITO蒸着面上に印刷
し、その後加熱・乾燥して発光層2が形成されている。
【0008】次に発光層2上に高誘電体物質とフッ素樹
脂層とで形成した絶縁層3を形成する。絶縁層3を構成
する高誘電体は、チタン酸バリウム(BaTiO3)6
0gを予め耐湿性に優れたフッ化ビニリデンと六フッ化
プロピレンの共重合体10gをメチルエチルケトン25
gに溶かしたバインダと混合・撹拌して絶縁インクを作
る。この絶縁インクを発光層2上に印刷し、加熱・乾燥
して絶縁層3を形成する。この絶縁層3によって、水分
が発光層2へ侵入するのを防止する。フッ素樹脂バイン
ダは誘電率は低いが、チタン酸バリウムの誘電率が非常
に高い(1800(F/m))ため、絶縁層全体として
は高い誘電率が確保でき、EL発光素子の輝度の低下を
招くことはない。
【0009】発光層2及び絶縁層3にフッ化ビニリデン
と六フッ化プロピレンの共重合体をそのまま用いたまま
でも或る程度耐湿性が改善されるが、それをさらに改善
するために本発明では以下の工夫が施されている。背面
電極層4は、導電体であるカーボン粉をポリエステル樹
脂に混合して形成されている。具体的には、カーボン粉
80gとポリエステル樹脂10gを溶媒イソホロン90
gに溶かした樹脂バインダを用い、これらを混ぜよく攪
拌してカーボンインクを作る。このカーボンインクに発
光層2及び絶縁層3を構成するフッ素樹脂バインダの重
合反応を促進する反応促進剤が添加してある。この反応
促進剤を添加したカーボンインクを絶縁層3上に印刷
し、加熱・乾燥させ背面電極4を形成している。カーボ
ンインクに添加してある反応促進剤は、加熱・乾燥時に
背面電極層4から絶縁層3及び発光層2に染み込んでい
き、絶縁層3及び発光層2中のフッ素樹脂同士の重合反
応を促進させ、フッ素樹脂の重合度がまり水分の侵入
を防ぐ。
【0010】反応促進剤の一例としては分子中に2種以
上の異なった反応基を持つ有機ケイ素単量体Nーβ(ア
ミノエチル)γーアミノプロピルトリメトキシシラン
(以下反応促進剤という。) H2NC24NHC36Si(OCH33 がある。
【0011】分子中に2種以上の異なった反応基を持つ
有機ケイ素単量体は、前述した以外にも下記の優れた働
きがある。すなわち、異なった反応基の一方の反応基に
より無機物である蛍光体と反応するとともに他方の反応
基により有機物であるフッ素樹脂と反応することにより
蛍光体をフッ素樹脂層で包んでしまい、水分がフッ素樹
脂層で遮られて蛍光体の中へ侵入できないようにする働
きがある。高誘電体の場合も同様であり、高誘電体をフ
ッ素樹脂層で包んでしまい、水分がフッ素樹脂層で遮ら
れて高誘電体の中へ侵入できないようにする。このた
め、耐湿性がさらに改善される。
【0012】背面電極層4における反応促進剤の添加量
を表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】上記以外の分子中に2種以上の異なった反
応基を持つ有機ケイ素単量体の反応促進剤としては γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン
【0015】
【化1】
【0016】有機ケイ素単量体以外の反応促進剤として
は分子中に2種以上の異なった反応基を持つものではな
いが、 アンヒドロトリメリテート
【0017】
【化2】
【0018】等がある。
【0019】こうしてできたEL素子を40℃×90%
RH(相対湿度)の環境の下で100V×400Hzの
駆動条件で200時間発光駆動させたところ、図2のよ
うな発光輝度維持特性と図3のEL素子の電気的特性の
一つである損失係数tanδ特性が得られた。図2から
明らかなように、反応促進剤を添加することにより、添
加しない場合(添加量=0%)に比較して全ての領域で
輝度維持特性が改善されていることが明らかであり、反
応促進剤の添加量は2wt%以上であれば実質的に有効
である。殊に、反応促進剤の添加量は5〜14wt%の
範囲で輝度維持特性の高い改善効果が得られる。また図
3から、背面電極層における反応促進剤の添加量が多く
なるにしたがって損失係数tanδが小さくなることが
明らかである。損失係数tanδが小さくなるというこ
とは、水分の吸収が少なく防湿効果が高くなったことを
意味する。
【0020】以上により反応促進剤添加による効果は大
であることが確認された。
【0021】なお、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピ
レンの反応剤としてパーオキサイドに代表される加硫剤
を発光層,絶縁層を形成する際に添加し加硫する方法も
あるが、フッ素樹脂を加硫反応させると、耐湿性はやや
向上するものの防湿フィルムが不要となるレベルではな
く、また加硫することによりEL素子の発光輝度が半減
するという致命的な問題がある。
【0022】また、本実施例では、フッ素樹脂を溶媒に
溶かしたフッ素樹脂バインダと蛍光体とを混ぜ、発光イ
ンクを作り、この発光インクを透明導電フィルム上に印
刷し、加熱・乾燥させ発光層を形成しているが、発光イ
ンクに反応促進剤を添加すると、反応促進剤を添加する
と同時に室温に於てもフッ素樹脂の重合反応が進行し、
発光インクが短時間にて固化してしまい、実質的に発光
インクを透明導電フィルム上に印刷することが不可能と
なる。さらに絶縁インクについても同様のことが確認さ
れた。
【0023】また、本実施例で発光層及び絶縁層に用い
たフッ素樹脂バインダは、フッ化ビニリデンの重合体と
してポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデンと他
のフッ素樹脂例えば、フッ化エチレン,フッ化ビニル,
三フッ化エチレン,三フッ化塩化エチレン,四フッ化エ
チレン,六フッ化プロピレンの少なくとも1種の共重合
可能な共重合体を用いてもよい。また、蛍光体にはCu
をドープした硫化亜鉛を用いたが、この蛍光体にあらか
じめSiO2,TiO2,Al2 3 のような無機の透明な
誘電体をコーティングしたものを用いてもよい。
【0024】更に、本実施例に対し、背面電極層上にフ
ッ素樹脂よりなる防湿層を設けてもよい。具体的には、
フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンの共重合体10
gをメチルエチルケトン25gに溶かしフッ素樹脂イン
クを作り、これを背面電極層上に印刷し、加熱・乾燥さ
せフッ素樹脂よりなる防湿層を形成する。これにより耐
湿性が更に高まる。また防湿層を防湿フィルムにおきか
えてもよい。背面電極層上に設ける防湿層に用いるフッ
素樹脂としては、フッ化エチレン,フッ化ビニル,フッ
化ビニリデン,三フッ化エチレン,三フッ化塩化エチレ
ン,四フッ化エチレン,六フッ化プロピレンのいずれか
2種以上の共重合可能な共重合体及びそれらの単量体と
しての重合体を用いてもよい。また防湿層に用いる樹脂
としては、以上の他にポエステル,アクリル,ビニル系
などの他の樹脂でもよい。更に、第1の実施例に対し、
透明導電フィルム上と背面電極層上とを防湿フィルムに
て封止してもよい。これにより耐湿性が更に高まる。
【0025】
【発明の効果】以上に説明したように、発光層と絶縁層
との少なくとも一方にフッ素樹脂バインダを用い、背面
電極層にフッ素樹脂バインダの重合反応を促進する反応
促進剤を含有させたので、反応促進剤が背面電極層から
絶縁層及び発光層に染み込んでいき、絶縁層及び発光層
中のフッ素樹脂同士の重合反応を促進させ、フッ素樹脂
重合度がまり水分の侵入を防ぐので、防湿フィルム
を省略しても高い耐湿性を有するEL素子とすることが
できる。
【0026】また、高価な防湿フィルムを省略できるの
で、安価なEL素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】輝度維持特性図である。
【図3】損失係数特性図である。
【符号の説明】
1 透明電極層 2 発光層 3 絶縁体層 4 背面電極層

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明電極層と背面電極層との間に、発光
    体とバインダとを含有する発光層と絶縁層とが介在して
    なるEL素子において、 上記発光層と絶縁層との少なくとも一方にフッ素樹脂バ
    インダが用いられており、 上記背面電極層には上記フッ素樹脂バインダの重合反応
    を促進する反応促進剤が含有されていることを特徴とす
    るEL素子。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記背面電極層にお
    ける上記反応促進剤の添加量は2wt%以上であること
    を特徴とするEL素子。
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