JP2656002B2 - ウォーキングビーム式連続加熱炉におけるスキッドマーク除去装置 - Google Patents

ウォーキングビーム式連続加熱炉におけるスキッドマーク除去装置

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JP2656002B2 JP6242771A JP24277194A JP2656002B2 JP 2656002 B2 JP2656002 B2 JP 2656002B2 JP 6242771 A JP6242771 A JP 6242771A JP 24277194 A JP24277194 A JP 24277194A JP 2656002 B2 JP2656002 B2 JP 2656002B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウォーキングビーム式
連続鋼片加熱炉において被加熱材に発生するスキッドマ
ークの除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ウォーキングビーム式連続加熱炉におい
て、炉内に装入された鋼片等の被加熱材は、図6に示す
ように、炉長方向に並列に延設された複数の固定スキッ
ドビーム62上に所定間隔ごとに配置されているスキッ
ドボタン65と、固定スキッドビーム62間に配設され
炉長方向に間欠的に矩形運動する可動スキッドビーム6
7上のスキッドボタン66に交互に置き換えながら炉抽
出側に搬送されるようになっている。
【0003】この搬送過程で、被加熱材Sは所定温度で
加熱されることになるが、上記スキッドビーム62,6
7は内部を循環する冷却水によって炉内ガス温度より低
温になっており、また、炉壁61下部に設けたバーナ6
9から噴射される燃焼火炎からの輻射熱がスキッドビー
ム62,67によって遮られ、これらの陰に位置する被
加熱材Sの部分では伝熱特性が低くなっている。このた
め、スキッドボタン65,66との接触部位近傍および
上記伝熱特性の低い部分の被加熱材Sの温度が他の部分
に比べて低温となり、その結果、抽出後の被加熱材Sに
スキッドマークが発生していた。このスキッドマーク
は、圧延後の製品の寸法精度、品質等に悪影響を及ぼす
ため、これを発生させないことが望まれる。スキッドマ
ークの発生を抑えるために、炉長を長くしたり搬送速度
を遅くするなどして被加熱材Sの在炉時間を延ばす方法
もあるが、燃料消費量が増大してコストが高くなり、か
つ生産性の低下を招くことになる。
【0004】そのため、従来よりスキッドマークを除去
するための装置、方法について種々のものが提案されて
いる。その代表的なものがスキッドマークの発生し易い
部分(以下、「スキッドマーク発生部」という。)に燃
焼火炎または高温の燃焼ガスをチューブを介して局部的
に吹き付けて加熱するものであり、例えば実公昭60−
38658号公報、実公昭57−27787号公報、実
公昭58−29168号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記各
公報に開示される構成は、炉内を加熱するメインバーナ
の他に複数の補助バーナを設けているので、そのための
配管、計装が必要であり、また上記チューブの材質は1
500〜1600℃の燃焼火炎に耐え得る超高温耐熱性
が要求されることから、設備コストが高くなるという問
題がある。特に、上記補助バーナの燃料として重油を使
用した場合には、ガス燃料を使用する場合よりもさらに
燃焼火炎が伸び、燃焼ガスを吹き付けるチューブの寿命
は一層短くなり、耐久性に欠けることになる。
【0006】補助バーナを設ける構成とした場合には上
記のような問題があるため、炉内の高温ガスを強制的に
循環させてスキッドマーク発生部に吹き付ける方法も考
えられる。そのためには、例えば1300℃にもなる高
温ガスを循環可能な極めて高温耐熱性に優れたセラミッ
クス製ファンが必要となるが、このようなファンで長期
使用に耐え得るものは現状においては実用化されていな
い。
【0007】そこで、本発明は、補助バーナや超高温耐
熱性ファンを用いることなく、蓄熱再生循環方式を採用
することにより既存の循環ファンを用いて高温ガスをス
キッドマーク発生部に吹き付けることを可能にしたウォ
ーキングビーム式連続加熱炉におけるスキッドマーク除
去装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、被加熱材をスキッドビームで支持・搬送し
つつ加熱するウォーキングビーム式連続加熱炉における
スキッドマーク除去装置において、上記被加熱材が上記
スキッドビームと接触する部位近傍に向けた開口部を有
する対をなす高温ガス用ダクトをそれと対応して対をな
す蓄熱器の一端部にそれぞれ連結し、これら対をなす蓄
熱器の他端部を複数の開閉弁または1つの切替弁を介し
て配管により循環ファンの吸引部と排気部とにそれぞれ
接続し、上記開閉弁または切替弁の操作に基づき上記対
をなすダクトの間で炉内高温ガスの吸引と再生高温ガス
の吹き出しを交互に行うようにしたものである。
【0009】
【作用】蓄熱循環方式の一方のダクトの開口部を介して
吸引された炉内高温ガスは、上記ダクトに対応した蓄熱
器を通過する間に熱回収されて低温ガスとなった後、上
記蓄熱器に通じる開閉弁または切替弁を介して循環ファ
ンに送られる。循環ファンによって昇圧された低温ガス
は蓄熱循環方式の他方の開閉弁または上記切替弁を介し
て他方の蓄熱器に送られ、そこで前回の循環動作の際に
回収された蓄熱により加熱されて再生高温ガスとなった
後、他方のダクトの開口部から吹き出されて被加熱材が
上記スキッドビームと接触する部位近傍を局部的に加熱
する。この循環動作を所定時間継続した後、上記開閉弁
または切替弁を操作して、上記他方のダクトから炉内高
温ガスを吸引し上記一方のダクトから再生高温ガスを吹
き出す状態に切り替える。このように高温ガスの循環動
作を交互に繰り返すことにより、上記被加熱材のスキッ
ドとの接触部位近傍を局部的に加熱し、被加熱材の不均
一加熱を是正する。
【0010】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例に
ついて説明する。図1は本発明にかかるスキッドマーク
除去装置をウォーキングビーム式連続加熱炉に適用した
場合の概略構成を示したものである。
【0011】上記ウォーキングビーム式連続加熱炉2に
おいて炉壁3に囲まれた炉内には、耐火物層で被覆され
内部に冷却水が循環する複数の固定スキッドビーム4が
炉長方向に沿って平行に延設されいる。固定スキッドビ
ーム4の上部には、被加熱材Sを支持するためのスキッ
ドボタン5が所定間隔ごとに配設されている。また、固
定スキッドビーム4の間には、この固定スキッドビーム
4と同様の構成を有し上部にスキッドボタン6を取り付
けた可動スキッドビーム7が炉長方向に複数配設され、
各可動スキッドビーム7が炉長方向に沿って間欠的に矩
形運動を繰り返すことにより、被加熱材Sが炉抽出側に
向かって順次搬送されるようになっている。さらに、炉
壁3の下部にはバーナ(図示せず、図6参照)が炉長方
向に所定間隔ごとに配設され、炉内を所定温度に加熱し
ている。
【0012】本実施例のスキッドマーク除去装置1は、
炉内で炉幅方向に水平にそれぞれ伸び、先端部12a,
13aが閉塞された対をなす第1ダクト12と第2ダク
ト13を備えている。これらダクト12,13は例えば
セラミック(SiN,SiC等)から構成され、炉床8
に立設した支持台14,15によって適当な位置でそれ
ぞれ支持されている。また、固定スキッドビーム4と可
動スキッドビーム7の間には、ダクト12,13から上
方に向かってそれぞれ分岐して伸びる高温ガス誘導用の
チューブ12b,13bが配置されている。そして、こ
れらチューブ12b,13bの先端開口部が被加熱材S
の下面がスキッドボタン5,6と接触する部位近傍に向
けられている。
【0013】上記ダクト12,13の炉壁3を貫通して
炉外に伸びた他端部は、第1蓄熱器16および第2蓄熱
器17の一端部にそれぞれ連結されている。これら蓄熱
器16,17は、その内周が断熱材で覆われ、内部には
例えばセラミックボールなどの耐熱性粒状物が充填され
た蓄熱体16a,17aが収容されており、粒状物間の
隙間をガスが通気可能になっている。一方、蓄熱器1
6,17の他端部には、開閉弁20,21を備えた配管
22,23がそれぞれ接続されており、これら配管2
2,23は集合したのち熱交換器24を介して循環ファ
ン25の吸引部25aに接続されている。また、循環フ
ァン25の排気部25bには配管26が接続され、この
配管26は2つの配管27,28に分岐して開閉弁2
9,30を介して蓄熱器16,17の他端部にそれぞれ
接続されている。
【0014】なお、本実施例では蓄熱器16,17を炉
外に設ける構成としたが、これらを炉壁3に組み込むよ
うにしてもよい。また、循環ファン25として、例えば
200℃程度のガス循環に耐え得るものを用いた場合に
は、上記熱交換器24を省略してもよい。
【0015】次に、上記構成からなるスキッドマーク除
去装置1の動作について説明する。まず、電気的または
高圧空気によって開閉する上記開閉弁20,21,2
9,30について、開閉弁20,30を開状態、開閉弁
21,29を閉状態に設定する。この状態で、炉内の例
えば1300℃の高温ガスが、循環ファン25の吸引作
用によって上記チューブ12bから第1ダクト12に吸
引され、第1蓄熱器16に送られる。ここで、高温ガス
は第1蓄熱器16を通過する間に蓄熱体16aに熱回収
されて、200℃程度の低温ガスになる。第1蓄熱器1
6から開閉弁20、配管22を介して熱交換器24に送
られた低温ガスは、ここを通過する間にさらに熱回収さ
れて100℃程度の低温ガスとなり、循環ファン25の
吸引部25aに吸引される。循環ファン25で昇圧され
排気部25bから送り出された低温ガスは、配管26,
28、開閉弁30を介して第2蓄熱器17に流入する。
この第2蓄熱器17の蓄熱体17aは前回の循環動作の
際に蓄熱しているため、低温ガスは蓄熱体17aを通過
する間に加熱され、1200℃程度の再生高温ガスとな
って第2ダクト13に送られる。そして、再生高温ガス
はチューブ13bの先端開口部から吹き出され、被加熱
材Sがスキッドボタン5,6と接触する部位近傍を局部
的に加熱する。
【0016】上記循環動作をタイマなどで制御して所定
時間(限定的ではないが20秒〜2分程度)継続した
後、今度は図2に示すように、開閉弁20,30を閉状
態、開閉弁21,29を開状態に設定し、上記とは逆方
向の循環動作に移行する。すなわち、1300℃の炉内
高温ガスを第2ダクト13に連通するチューブ13bか
ら吸引し、1200℃程度の再生高温ガスを第1ダクト
12を介してチューブ12b先端の開口部から吹き出
し、被加熱材Sを局部加熱する。この循環動作を所定時
間継続した後、開閉弁20,30を開状態、開閉弁2
1,29を閉状態に設定し、再び図1に示す循環動作に
切り替える。
【0017】このように、上記チューブ12b,13b
の間で高温ガスの吸い込みと吹き出しを所定時間ごとに
交互に繰り返すことにより被加熱材Sの不均一加熱が是
正され、スキッドマークの発生を防止することができ
る。例えば炉内温度1300℃、被加熱材最高温度11
50℃、在炉時間同一の条件で、上記スキッドマーク除
去装置1を適用しないウォーキングビーム式連続加熱炉
で被加熱材Sを加熱した場合、図3に示すように、伝熱
特性の高い被加熱材Sの幅方向両端部a,kと、固定ス
キッドボタン65または可動スキッドボタン66の接触
部位近傍b,d,f,h,jとの温度差は約80℃であ
ったが、上記スキッドマーク除去装置1を適用した場合
には、図4に示すように、被加熱材S全体を1150℃
マイナス20℃程度の範囲内に加熱することができ、圧
延後の製品に悪影響を及ぼさない範囲に温度差を抑える
ことができた。
【0018】なお、上記スキッドマーク除去装置1は、
蓄熱器の効率の制約に基づき再生高温ガスは炉内ガスよ
り低温になるので、被加熱材Sの加熱温度が再生高温ガ
スの温度より低い帯域に適用するのが好ましい。また、
上記スキッドマーク除去装置1は、ウォーキングビーム
式連続加熱炉2の炉長方向の適宜位置に複数設けるのが
望ましい。
【0019】次に、図5を参照して上記スキッドマーク
除去装置1の変形例について説明する。上記スキッドマ
ーク除去装置1では高温ガスの循環方向の切り替えを4
つの開閉弁20,21,29,30で行うようにした
が、これらの開閉弁に代えて1つの四方弁34を用いて
行ってもよい。この場合、四方弁34の第1ポート35
は配管40を介して第1蓄熱器16に、第2ポート36
は配管41を介して第2蓄熱器17にそれぞれ接続され
ている。また、四方弁34の第3ポート37は熱交換機
24、配管42を介して循環ファン25の吸引部25a
に、第4ポート38は配管43を介して循環ファン25
の排気部25bにそれぞれ接続されている。さらに、四
方弁34内部に回転自在に設けられた回転弁39により
隣接する2つのポートが連通するようになっている。な
お、これら以外の構成は上記スキッドマーク除去装置1
と同様であるため説明を省略する。
【0020】以上の構成を有する変形例では、回転弁3
9が実線位置にあるとき、ダクト12を介して炉内高温
ガスが吸引され、ダクト13を介して再生高温ガスが炉
内に吹き出される。この循環状態を所定時間継続した
後、四方弁34の回転弁39をほぼ90°回転させて点
線位置に設定し、上記とは逆方向の循環状態に移行す
る。このような循環動作が回転弁39の回転に基づき所
定時間ごとに交互に繰り返される。したがって、この変
形例においても上記スキッドマーク除去装置1と同様の
効果を得ることができるほか、切替弁の数削減により配
管や設備メンテナンスが容易になるという効果もある。
【0021】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
ウォーキングビーム式連続加熱炉におけるスキッドマー
ク除去装置では、蓄熱再生循環方式により炉内高温ガス
を循環させ、蓄熱器で再生した高温ガスを被加熱材の伝
熱特性の低い部分に吹き付けて被加熱材の不均一加熱を
是正している。
【0022】このため、ウォーキングビーム式連続加熱
炉において被加熱材をほぼ均一に加熱するために要する
在炉時間の短縮を、補助バーナを用いることなく達成す
ることができ、燃料の大幅な節約と生産性の向上を図る
ことができる。また、炉内高温ガスを循環させる構成と
しているので、ダクトは炉内温度に耐え得るだけの耐熱
性を備えていれば足りる。したがって、補助バーナを使
用した場合のように超高温耐熱性のあるチューブが要求
されることがなく、設備の材料選定が容易になるととも
に装置の耐久性が向上する。
【0023】さらに、炉内高温ガスの循環に蓄熱再生方
式を採用したことにより、高温耐熱性の高い循環ファン
や開閉弁は必要なく既存の安価な循環ファン、開閉弁等
を使用して高温ガス循環が可能になった。加えて、補助
バーナを用いた場合のように炉内に新たな酸素を供給す
ることがないので、被加熱材のスケールロスが増加する
こともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる実施例のウォーキングビーム
式連続加熱炉におけるスキッドマーク除去装置の概略構
成と、炉内ガスの循環状態を説明する図である。
【図2】 図1の循環方向とは逆方向の炉内ガスの循環
状態を説明する図である。
【図3】 上記スキッドマーク除去装置を適用しない場
合における被加熱材の加熱状態を示すグラフである。
【図4】 上記スキッドマーク除去装置を適用した場合
における被加熱材の加熱状態を示すグラフである。
【図5】 上記スキッドマーク除去装置の変形例を示す
部分構成図である。
【図6】 ウォーキングビーム式連続加熱炉の一般構成
を説明する炉幅方向断面図である。
【符号の説明】
1…スキッドマーク除去装置、2…ウォーキングビーム
式連続加熱炉、4…固定スキッドビーム、5,6…スキ
ッドボタン、7…可動スキッドビーム、12…第1ダク
ト、13…第2ダクト、16…第1蓄熱器、17…第2
蓄熱器、20,21,29,30…開閉弁、25…循環
ファン、34…四方弁(切替弁)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 嶋田 利生 大阪府大阪市西区京町堀2丁目4番7号 中外炉工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−109113(JP,A) 実開 昭57−121663(JP,U) 実開 昭59−185264(JP,U) 実公 昭60−38658(JP,Y2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加熱材をスキッドビームで支持・搬送
    しつつ加熱するウォーキングビーム式連続加熱炉におけ
    るスキッドマーク除去装置において、 上記被加熱材が上記スキッドビームと接触する部位近傍
    に向けた開口部を有する対をなす高温ガス用ダクトをそ
    れと対応して対をなす蓄熱器の一端部にそれぞれ連結
    し、これら対をなす蓄熱器の他端部を複数の開閉弁また
    は1つの切替弁を介して配管により循環ファンの吸引部
    と排気部とにそれぞれ接続し、上記開閉弁または切替弁
    の操作に基づき上記対をなすダクトの間で炉内高温ガス
    の吸引と再生高温ガスの吹き出しを交互に行うようにし
    たことを特徴とするウォーキングビーム式連続加熱炉に
    おけるスキッドマーク除去装置。
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