JP2655075B2 - ペロブスカイト構造を有する化合物と層状ケイ酸塩の複合体並びにその製造方法 - Google Patents

ペロブスカイト構造を有する化合物と層状ケイ酸塩の複合体並びにその製造方法

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JP2655075B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はペロブスカイト構造を有
する化合物と層状ケイ酸塩の複合体並びにその製造方法
に関するものであり、更に詳しくは新しい電子材料、あ
るいは光学材料などとして利用が可能であり、かつこれ
迄にまったく報告の例がない新規な材料であるペロブス
カイト構造を有する化合物と層状ケイ酸塩の複合体並び
にその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】強誘電性を示すセラミックスとしてはB
aTiO3 が非常に有名である。この結晶はペロブスカ
イト構造を有し、化学式ではABO3 として表記され
る。AにはLi、Na、K、Ca、Rb、Sr、Cs、
Ba、Pb、Hf、La、Ceなどのイオンがあり、B
としてはTi、Fe、Zr、Taなどのイオンが知られ
ている。従来これらの結晶は各試薬を乾式粉砕後仮焼
し、さらに粉砕混合後、成形し、加熱して製品とされて
いる。
【0003】しかし、近年高純度の結晶を合成するた
め、湿式法での合成が盛んに行われるようになってき
た。湿式法では、目的とする結晶組成となるように、溶
液中で粒子を沈殿させ、この沈殿物を濾過乾燥後、成形
し、加熱して製品としている。一方、層状構造を有する
ケイ酸塩は、粘土を構成する代表的な鉱物であり、例え
ば雲母、スメクタイト、バーミキユライト族粘土鉱物な
どの結晶は2:1型の平板状の層状形態をとり、2層の
シリカ主体の四面体層がマグネシウムまたはアルミニウ
ム主体の八面体層を間に挟んだサンドイッチ型の3層構
造を有し、これが数層〜数10層積層した構造をとる。
【0004】層状構造を有するケイ酸塩には、2:1型
の3層構造部が負の電荷を有し、その層間にアルカリ金
属カチオンおよび/またはアルカリ土類金属カチオンな
どがインターカレートして、全体として電荷がバランス
しているものがある。その中には、水などの溶媒中で層
間が膨潤する、膨潤性雲母あるいはスメクタイト族粘土
鉱物などもあり、これらは水などの溶媒中で微粒子に分
散してチクソトロピー性を有するゾル・ゲルを形成する
とともに、種々の無機・有機のイオン性化合物と反応さ
せることによって、そのカチオンを層間に存在するイオ
ンと置換することも可能であり、これらの反応例は数多
く報告されている。しかし、これ迄ペロブスカイト構造
を有する化合物を層状構造を有するケイ酸塩に固着結合
させた複合体の報告例はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これ迄層状ケイ酸塩と
無機化合物との複合体としては表面にTiO2 をコーテ
ィングしたパールマイカやTiO2 をスメクタイトの層
間にインターカレートした報告例がある。また、ZrO
2 やFe23 をインターカレートさせた例もある。し
かしこれらは、主に各種酸化物のピラード化によりその
比表面積の増大を目的とした触媒材料の開発が目的であ
った。触媒材料の場合、その層間にインターカレートさ
せる酸化物の特性を利用するのが目的ではなく、酸化物
が層間に残存することにより生ずる空隙を分子篩として
積極的に利用しようとするものであった。本発明では、
層状ケイ酸塩の表面、あるいは層間に固定化する酸化物
の物理的特性を利用しようとするものである。本発明の
目的は、新しい電子材料、あるいは光学材料などとして
利用が可能であり、かつこれ迄に報告の例がない新規な
材料であるペロブスカイト構造を有する化合物と層状ケ
イ酸塩の複合体並びにその製造方法を提供することであ
る。
【0006】
【問題を解決するための手段】本発明者等は、ペロブス
カイト構造を有し化学式ではABO3 として表記される
化合物と層状構造を有するケイ酸塩との複合体が、新し
い電子材料、あるいは光学材料として従来にない特殊な
用途が期待されるため、鋭意研究を重ねた結果、ペロブ
スカイト構造を有する化合物の前駆体コロイド粒子を水
または高極性有機溶媒と水との混合溶媒中に分散させ、
そこで層状構造を有するケイ酸塩を共存させ、液のpH
をコントロールすることにより、ケイ酸塩結晶の表面お
よび/または層間でケイ酸塩と固着結合させることが可
能であり、生成物を濾過分離・洗浄後、加熱することに
より、ペロブスカイト構造を有する化合物が層状構造を
有するケイ酸塩結晶の表面および/または層間でケイ酸
塩と固着結合した複合体が得られることを見いだし本発
明を成すに到った。
【0007】本発明の請求項1の発明は、ペロブスカイ
ト構造を有する化合物を層状構造を有するケイ酸塩結晶
の表面および/または層間でケイ酸塩に固着結合させて
得られる複合体である。
【0008】本発明の請求項2の発明は、ペロブスカイ
ト構造を有する化合物が高誘電体である請求項1に記載
の複合体である。
【0009】本発明の請求項3の発明は、層状構造を有
するケイ酸塩結晶が膨潤性層状ケイ酸塩である請求項1
に記載の複合体である。
【0010】本発明の請求項4の発明は、層状構造を有
するケイ酸塩結晶が雲母族粘土鉱物および/またはスメ
クタイト族粘土鉱物である請求項1に記載の複合体であ
る。
【0011】本発明の請求項5の発明は、ペロブスカイ
ト構造を有する化合物がチタン酸鉛、チタン酸バリウ
ム、ジルコニウム酸鉛から選ばれる化合物である請求項
1〜4いずれかに記載の複合体である。
【0012】本発明の請求項6の発明は、金属アルコキ
シドおよび/または金属塩を、水または高極性有機溶媒
と水との混合溶媒中で層状構造を有するケイ酸塩結晶と
混合し、場合により酸性またはアルカリ性物質を加える
ことにより液のpHを酸性からアルカリ性まで変動さ
せ、生成するペロブスカイト構造を有する化合物の前駆
体コロイド粒子を層状ケイ酸塩結晶の表面および/また
は層間でケイ酸塩と固着結合させ、加熱して得られる請
求項1に記載の複合体の製造方法である。
【0013】本発明の請求項7の発明は、ペロブスカイ
ト構造を有する化合物がチタン酸鉛、チタン酸バリウ
ム、ジルコニウム酸鉛から選ばれる化合物である請求項
6記載の複合体の製造方法である。以下、本発明を詳細
に説明する。
【0014】ペロブスカイト構造を有する化合物は斜方
晶系から立方格子迄各種の結晶構造をとり、化学式では
ABO3 として表記される(以下、ペロブスカイト構造
を有する化合物をABO3 で示す)。AにはLi、N
a、K、Ca、Rb、Sr、Cs、Ba、Pb、Hf、
La、Ceなどのイオンがあり、BとしてはTi、F
e、Zr、Ta、Nb、Mg、Cdなどのイオンが知ら
れている。
【0015】この構造を有する化合物のうち、例えばP
bTiO3 、BaTiO3 などは強誘電体であり、ま
た、PbZrO3 などは反強誘電体として分類され、こ
の構造を有する化合物は一般的に強誘電体あるいは反強
誘電体として分類される。本発明ではこの強誘電体と反
強誘電体の両者を高誘電体と記述することにする。本発
明において、これらのABO3 は単独で使用しても、2
種類以上混合した混合物を使用しても差し支えない。
【0016】一方、層状構造を有するケイ酸塩は数多く
のものが知られているが、膨潤・非膨潤タイプにかかわ
らず、層間にカチオンイオンを有するものが本発明の対
象となる。本発明で用いられる膨潤タイプのケイ酸塩と
しては、例えば、天然または合成の、ヘクトライト、サ
ポナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリロ
ナイト、ノントロナイトまたはベントナイトなどのスメ
クタイト属粘土鉱物やNa型テトラシリシックフッ素雲
母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素
テニオライト、Li型フッ素テニオライトなどの膨潤性
雲母族粘土鉱物およびバーミキュライトまたはこれらの
置換体、誘導体あるいは混合物を挙げることができる。
また、本発明で用いられる非膨潤タイプのケイ酸塩とし
ては、例えば、K型テトラシリシックフッ素雲母などの
合成雲母および天然の白雲母、パラゴナイト、黒雲母、
セリサイト、イライトなどの非膨潤性雲母族粘土鉱物を
挙げることができる。本発明において、これらの層状構
造を有するケイ酸塩は単独で使用しても、2種類以上混
合した混合物を使用しても差し支えない。
【0017】なお、ABO3 を、層状構造を有するケイ
酸塩結晶の表面でケイ酸塩と固着結合させた複合体を得
るには、前記の層間にカチオンを有するケイ酸塩は全て
用いることができるが、ケイ酸塩結晶の層間でケイ酸塩
と固着結合させる場合は前記の膨潤タイプのみが対象と
なる。
【0018】ABO3 を層状構造を有するケイ酸塩に固
着結合させた化合物を得るには、先ず水または高極性有
機溶媒と水との混合溶媒中で、層状構造を有するケイ酸
塩とABO3 の前駆体化合物のコロイド粒子を共存させ
る必要がある。
【0019】ABO3 の前駆体化合物としては、A、B
と(OH)イオン主体の化合物、またはBと(OH)イ
オン主体の化合物あるいはAと(OH)イオン主体の化
合物などが考えられるが、その正確な組成は複雑なもの
と推定される。
【0020】これらABO3 の前駆体化合物のコロイド
粒子を得るには、ABO3 を構成する元素であるAまた
はBのアルコキシドおよび/またはその塩を用いること
が好ましく、それら化合物を水または高極性有機溶媒と
水との混合溶媒中にとり、液のpHを0.1〜10程度
に調整することにより得られる。しかし、これらABO
3 前駆体化合物のコロイド粒子を得る最も適正な生成条
件はABO3 を構成する元素であるAまたはBの違いに
より異なる。
【0021】主にケイ酸塩結晶の表面でこれらABO3
の前駆体化合物のコロイド粒子とケイ酸塩を固着結合さ
せるには、水中での反応で充分ある。その反応の一例と
して、ABO3 を生成するモル比になるように、Aおよ
びBの、アルコキシドおよび/またはその塩の混合水溶
液をつくり、その段階で液のpHを0.5〜1程度の酸
性に調整し、そこへ層状構造を有するケイ酸塩を含む水
溶液を添加し、攪拌しながらアンモニア水などを添加し
てpHを6〜10程度に高めていき、微細なコロイド粒
子状の前駆体化合物を生成させることにより、ケイ酸塩
との固着結合反応は達成される。この場合、層状構造を
有するケイ酸塩を含む水溶液とBのアルコキシドおよび
/またはその塩の水溶液の添加・混合順序を逆にしても
よい。
【0022】また、ABO3 を生成するモル比になるよ
うに、AおよびBの、アルコキシドおよび/またはその
塩の混合水溶液をつくり、アンモニア水などを添加して
pHを6〜10程度に高めてコロイド粒子状の前駆体化
合物を生成させた後、層状構造を有するケイ酸塩を含む
水溶液を添加することによってもケイ酸塩との固着結合
反応は達成される。なお、膨潤タイプのケイ酸塩を用い
た場合は、水溶液中で超薄層化した微粒子に分散したケ
イ酸塩結晶表面でABO3 の前駆体化合物のコロイド粒
子と固着結合した複合体が得られる。
【0023】一方、主にケイ酸塩結晶の層間でこれらA
BO3 前駆体生成物のコロイド粒子とケイ酸塩とを固着
結合させるには、水の代わりに、高極性有機溶媒と水と
の混合溶媒中で反応させる必要がある。 高極性有機溶媒:水の混合比(容量)は10:1〜1:
10が好ましい。この混合溶媒を使用する以外は、前記
した方法と同様な方法でケイ酸塩との固着結合反応は達
成される。
【0024】なお、この場合、一部はケイ酸塩結晶の表
面でこれらABO3 前駆体生成物のコロイド粒子がケイ
酸塩と固着結合しているものと判断され、高極性有機溶
媒と水の混合比を変えることで、ケイ酸塩結晶の層間と
結晶表面の固着結合量の比率を変えることも可能であ
る。ケイ酸塩に対するABO3 の固着結合量(モル換
算)の最大量は定かでないが、ケイ酸塩1に対し10迄
は固着することが、膨潤性雲母に対するPbTiO3
場合に確認されている。
【0025】前記したように、本発明では微細なコロイ
ド粒子状のABO3 の前駆体生成物を得るには、ABO
3 を構成する元素であるAまたBのアルコキシドおよび
/またはその塩を使用することが好ましいが、アルコキ
シドとしては、例えばCH3OM、C25 OM、C3
7 OM、C49 OM、・・・など(但しMは金属原
子)があり、また、塩を構成する陰イオンとしてはNO
3 イオン、Clイオンなどがある。
【0026】また、AおよびBを含むアルコキシドおよ
び/またはその塩の反応量としては、AとBが等モルに
なるような量が望ましい。このようにして得られたAB
3の前駆体生成物のコロイド粒子とケイ酸塩との固着
結合生成物(複合体)を濾過・洗浄後、加熱・脱水する
ことにより、ABO3 の前駆体生成物はABO3 にな
り、ケイ酸塩結晶の表面および/または層間で固着結合
する複合体を得ることができる。また、そのABO3
結合状態は、ケイ酸塩結晶の表面および/または層間で
ABO3 のコロイド粒子が積層した構造をとる。加熱温
度は生成した複合体の組成によって最適温度が異なる
が、好ましい加熱温度は100℃〜1000℃である。
【0027】
【作用】層状構造を有するケイ酸塩は、膨潤・非膨潤タ
イプにかかわらず、層間にカチオンを有する場合、その
結晶の平板状の層状形態を有する骨格構造の表面におい
て、また、膨潤タイプの場合は更にその骨格構造の層間
の表面においても負の電荷を有している。
【0028】前記したコロイド粒子状のABO3 前駆体
が分散している液中に、このような骨格構造部が負の電
荷を有する層状ケイ酸塩結晶を入れて共存させると、コ
ロイド粒子状のABO3 前駆体がケイ酸塩結晶の表面あ
るいは層間表面に固着される。これはコロイド粒子状の
ABO3 前駆体が粒子表面あるいは層間表面に於いて正
の電荷を帯びており、そのため容易にケイ酸塩結晶の表
面あるいは層間表面に電気化学的に吸着され、粒子の凝
析が起き、ABO3 の前駆体生成物とケイ酸塩が固着結
合した複合体が生成されるものと判断される。
【0029】また、液のpHを0.5〜1位の酸性から
アルカリ性に高めていく場合は、pHの低い状態で先ず
Bと(OH)イオン主体の前駆体コロイド粒子が生成
し、pHのより高い段階でAと(OH)イオン主体前駆
体コロイド粒子が生成することが、PbTiO3 の場合
にテストよりある程度推定される。
【0030】この場合は、B(Ti)と(OH)イオン
主体の前駆体コロイド粒子が正の電荷を帯びており、そ
のためケイ酸塩結晶の表面に電気化学的に吸着され、粒
子の凝析が起きてケイ酸塩と固着結合し、次にpHのよ
り高い段階でA(Pb)イオン、あるいはA(Pb)と
(OH)イオン主体の前駆体コロイド粒子がB(Ti)
と(OH)イオン主体の前駆体コロイド粒子の間で凝析
を起こし、その結果としてAとBを含む前駆体コロイド
粒子がケイ酸塩結晶の表面あるいは層間表面に生成する
ことになり、複合体が生成されたものと考えられる。
【0031】非膨潤タイプのケイ酸塩を用いた場合は、
コロイド粒子状のABO3 前駆体は粒子状のケイ酸塩結
晶の表面にのみ固着されて複合体が生成する。なお、膨
潤タイプのケイ酸塩を用いた場合、水中ではケイ酸塩結
晶が単位格子の厚さかそれに近い厚さの超薄層化した微
粒子に分かれて分散し、その個々の表面で固着結合した
複合体が生成する。一方、高極性有機溶媒と水との混合
溶媒中で反応させた場合はケイ酸塩結晶の層間でケイ酸
塩と固着結合させた複合体が主体となる。この理由とし
ては、高極性有機溶媒を混合することにより、ケイ酸塩
結晶の分散性が制限されることに起因していると思われ
る。このようにして層間内にコロイド粒子が生成すれ
ば、それ以上のコロイド粒子の粒子成長は抑制されるこ
とになる。ABO3 の前駆体生成物とケイ酸塩の複合体
は(OH)イオンを含んでおり、加熱によりH2 Oが揮
散し、ABO3 とケイ酸塩の複合体が生成する。
【0032】
【実施例】以下に実施例によって本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明は
実施例に限定されるものではない。なお、実施例1〜6
においてケイ酸塩以外は試薬グレードの原料を使用して
複合体を製造した。
【0033】(実施例1):チタン酸鉛・膨潤性雲母複
合体の合成−その1 Pb(NO32 とTi(OC374 を1NHNO
3 溶液中で等モルずつ混合させた後、膨潤性雲母(特開
平2−149415号公報に記載された方法に準じて製
造されたコープケミカル株式会社製の商品名ソマシフ)
の水溶液を添加し、1時間攪拌混合した。この混合溶液
はpH約0.5〜1.0であり、これにpH7〜9にな
るようにアンモニア水溶液を滴下し、24時間攪拌混合
し、PbTiO3 前駆体コロイド粒子と膨潤性雲母が固
着結合した複合体を生成させた。その後、遠心分離によ
る固液分離・洗浄を数回行い、洗浄試料は、300℃か
ら1000℃まで100℃おきに2時間加熱後、各温度
で得られた試料を乳鉢で粉砕した。膨潤性雲母とチタン
酸鉛の混合割合(モル比)は1:2から1:10まで変
化させた。モル比が1:10の時のpH8における生成
物のX線回折パターン(粉末法)を図1に示す。PbT
iO3 のピークは認められるが、10.2Åの位置に雲
母のピークがほとんど認められないことより、雲母の一
枚一枚の層が規則正しく積層していないことを示してい
る。即ち、単位格子の厚さかそれに近い厚さを有する非
常に薄い膨潤性雲母の層の上面と下面に一枚ずつばらば
らにPbTiO3 が厚く固着結合した複合体が生成した
ことを示している。また、SEM(走査型電子顕微鏡)
観察より膨潤性雲母の表面にPbTiO3が生成してい
ることが確認できた。PbTiO3 の混合割合が減少す
るとX線回折パターン(粉末法)中のPbTiO3 のピ
ーク強度は減少したが、螢光X線分析によりPbとTi
が等モル含まれることは確認された。
【0034】(実施例2):チタン酸鉛・膨潤性雲母複
合体の合成−その2 Pb(NO32 とTi(OC374 を1NHNO
3 溶液中で等モルずつ混合させたpH約0.5〜1.0
の溶液に、pH7〜9になるようにアンモニア水溶液を
滴下し、PbTiO3 前駆体のコロイド粒子を生成させ
た後、膨潤性雲母(コープケミカル株式会社製の商品名
ソマシフ)を添加し、24時間攪拌混合し、PbTiO
3 前駆体のコロイド粒子と膨潤性雲母が固着結合した複
合体を生成させた。その後、遠心分離による固液分離・
洗浄を数回行った。洗浄試料は、300℃から1000
℃まで100℃おきに2時間加熱後、各温度で得られた
試料を乳鉢で粉砕した。膨潤性雲母とチタン酸鉛の混合
割合(モル比)は1:2から1:10まで変化させた。
得られた生成物につき実施例1と同様にして試験した結
果、生成物は実施例1と同様であった。
【0035】(実施例3):チタン酸鉛・膨潤性雲母複
合体の合成−その3 Pb(NO32 と膨潤性雲母(コープケミカル株式会
社製の商品名ソマシフ)を1NHNO3 溶液中で混合さ
せたpH約0.5〜1.0の溶液中へ、Ti(OC3
74 を混合し、その溶液がpH7〜9になるようにア
ンモニア水溶液を滴下し、24時間攪拌混合後、遠心分
離による固液分離・洗浄を数回行った。洗浄試料は、3
00℃から1000℃まで100℃おきに2時間加熱
後、各温度で得られた試料を乳鉢で粉砕した。なお、P
b(NO32 とTi(OC374 は等モルを用
い、膨潤性雲母とPbTiO3 との混合割合(モル比)
は1:5とした。得られた生成物につき実施例1と同様
にして試験した結果、生成物は実施例1と同様であっ
た。
【0036】(実施例4):チタン酸鉛・膨潤性雲母複
合体の合成−その4 Pb(NO32 とTi(OC374 を1NHNO
3 溶液中で、等モルずつ混合させた。この混合溶液はp
H約0.5〜1.0であり、それをアセトンとH2 Oの
1:1(容量比)混合溶媒中で分散させた膨潤性雲母
(コープケミカル株式会社製の商品名ソマシフ)と混
ぜ、1時間攪拌混合した。この混合溶液にpH7〜9に
なるようにアンモニア水溶液を滴下し、24時間攪拌混
合後、遠心分離による固液分離・洗浄を数回行った。洗
浄試料は、300℃から1000℃まで100℃おきに
2時間加熱後、各温度で得られた試料を乳鉢で粉砕し
た。膨潤性雲母とチタン酸鉛の混合割合(モル比)は
1:1とした。pH8における生成物の500℃加熱後
のX線回折パターン(粉末法)を図2に示す。PbTi
3 のピークが全く認められず、且つ膨潤性雲母の(0
01)底面反射ピーク位置から計算された底面間隔が約
23Åに認められることにより雲母の層間に約13Åの
大きさの金属酸化物が規則正しくインターカレートし、
両者の複合体が生成していることがわかる。また、この
金属酸化物は螢光X線分析により、PbとTiが等モル
含まれる化合物であることが確認できたので、この反応
生成物は雲母の層間にPbTiO3 がインターカレート
した複合体であることが確認できた。なお、膨潤性雲母
の層間のみならず、その表面でもPbTiO3 が固着し
た複合体が一部生成しているものと考えられる。
【0037】(実施例5):ジルコニウム酸鉛・スメク
タイト複合体の合成 Pb(NO32 とZr(OC374 を1NHNO
3 溶液中で、等モルずつ混合させた。この混合溶液はp
H約0.5〜1.0であり、それをアセトンとH2 Oの
1:1(容量比)混合溶媒中で分散させたスメクタイト
(スメクタイト族粘土鉱物の1種であるヘクトライトに
類似した構造を有する、特公昭61−128485号公
報に記載された方法に準じて製造されたコープケミカル
株式会社製の商品名ルーセンタイトSWF)と混合し、
1時間攪拌混合した。この混合溶液にpH7〜9になる
ようにアンモニア水溶液を滴下し、24時間攪拌混合
後、遠心分離による固液分離・洗浄を数回行った。洗浄
試料は、500℃で5時間加熱し、得られた試料を乳鉢
で粉砕した。なお、スメクタイトとジルコニウム酸鉛の
混合割合(モル比)は1:1とした。pH8における生
成物の加熱後のX線回折パターン(粉末法)ではPbZ
rO3 のピークが全く認められず、且つスメクタイトの
(001)底面反射ピーク位置から計算された底面間隔
が約23Åに認められることにより、スメクタイトの層
間に約13Åの大きさの金属酸化物が規則正しくインタ
ーカレートし、両者の複合体が生成していることがわか
る。この金属酸化物は螢光X線分析により、PbとZr
が等モル含まれる化合物であることが確認できたので、
この反応生成物はスメクタイトの層間にPbZrO3
インターカレートした複合体であることが確認できた。
なお、スメクタイトの層間のみならず、その表面でもP
bZrO3 が固着した複合体が一部生成しているものと
考えられる。
【0038】(実施例6):チタン酸バリウム・非膨潤
性雲母複合体の合成 Ba(NO32 とTi(OC374 を1NHNO
3 溶液中で、等モルずつ混合させた。この混合溶液はp
H約0.5〜1.0であり、それと非膨潤性雲母(特開
平2−149415号公報に記載された方法に準じて製
造されたコープケミカル株式会社製の商品名ミクロマイ
カ)水溶液を混合し、1時間攪拌混合した。この混合溶
液にpH7〜9になるようにアンモニア水溶液を滴下
し、24時間攪拌混合後、遠心分離による固液分離洗浄
を数回行った。洗浄試料は、300℃から1000℃ま
で100℃おきに2時間加熱後、各温度で得られた試料
を乳鉢で粉砕した。非膨潤性雲母とチタン酸バリウムの
混合割合(モル比)は1:2から1:10まで変化させ
た。この生成物のX線回折パターン(粉末法)から、B
aTiO3 と雲母のピークが認められることより雲母と
BaTiO3 の複合体が生成していることがわかる。ま
たSEM(走査型電子顕微鏡)観察より非膨潤性雲母の
表面にBaTiO3が生成していることが確認できた。
BaTiO3 の混合割合が減少するとX線回折パターン
(粉末法)中のBaTiO3 のピーク強度は減少した
が、何れのテストにおいても螢光X線分析により生成物
はBaTiO3 組成を有することが確認された。この場
合は、雲母結晶の表面でのみBaTiO3 が固着した複
合体が生成していると判断される。
【0039】
【発明の効果】層状構造をとるケイ酸塩、特に雲母は電
気抵抗の非常に大きい結晶であり、また逆に誘電率は非
常に低く誘電損失も非常に小さいという特徴も有してい
る。それに対してペロブスカイト構造を有するBaTi
3 、PbTiO3 は強誘電体であり、PbZrO3
反強誘電体である。本発明ではこの強誘電体と反強誘電
体を高誘電体と呼ぶことにしたが、ペロブスカイト構造
を有する化合物は全般的に高誘電体物質であるといえ
る。それ故、本発明のペロブスカイト構造を有する化合
物と層状ケイ酸塩複合体はその両者の特徴を兼ね備えた
物質であり、これ迄にまったく報告の例がない新規な材
料である。このため、新しい電子材料、あるいは光学材
料または各種の機能材料として、新規な利用が大いに期
待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の複合体のX線回折パターンを示す。
【図2】 本発明の他の複合体のX線回折パターンを示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 聡 佐賀県鳥栖市宿町字野々下807番地1 工業技術院九州工業技術研究所内 (72)発明者 原 尚道 佐賀県鳥栖市宿町字野々下807番地1 工業技術院九州工業技術研究所内 (72)発明者 木村 充 東京都千代田区一番町23番地3 コープ ケミカル株式会社内 (72)発明者 竹内 秀秋 東京都千代田区一番町23番地3 コープ ケミカル株式会社内 審査官 板橋 一隆

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペロブスカイト構造を有する化合物を層
    状構造を有するケイ酸塩結晶の表面および/または層間
    でケイ酸塩に固着結合させて得られる複合体。
  2. 【請求項2】 ペロブスカイト構造を有する化合物が高
    誘電体である請求項1に記載の複合体。
  3. 【請求項3】 層状構造を有するケイ酸塩結晶が膨潤性
    層状ケイ酸塩である請求項1に記載の複合体。
  4. 【請求項4】 層状構造を有するケイ酸塩結晶が雲母族
    粘土鉱物および/またはスメクタイト族粘土鉱物である
    請求項1に記載の複合体。
  5. 【請求項5】 ペロブスカイト構造を有する化合物がチ
    タン酸鉛、チタン酸バリウム、ジルコニウム酸鉛から選
    ばれる化合物である請求項1〜4いずれかに記載の複合
    体。
  6. 【請求項6】 金属アルコキシドおよび/または金属塩
    を、水または高極性有機溶媒と水との混合溶媒中で層状
    構造を有するケイ酸塩結晶と混合し、場合により酸性ま
    たはアルカリ性物質を加えることにより液のpHを酸性
    からアルカリ性まで変動させ、生成するペロブスカイト
    構造を有する化合物の前駆体コロイド粒子を層状ケイ酸
    塩結晶の表面および/または層間でケイ酸塩と固着結合
    させ、加熱して得られる請求項1に記載の複合体の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 ペロブスカイト構造を有する化合物がチ
    タン酸鉛、チタン酸バリウム、ジルコニウム酸鉛から選
    ばれる化合物である請求項6記載の複合体の製造方法。
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