JP2653340B2 - フッ素ゴム組成物及びその架橋方法 - Google Patents

フッ素ゴム組成物及びその架橋方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、種々の用途に適用する
ことができる低硬度のフッ素ゴム組成物及びその架橋方
法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】フッ素
ゴムは耐熱性、耐薬品性、機械的強度などに優れたエラ
ストマーであり、自動車及び機械産業を中心とした広い
分野で工業的に使用されている。
【0003】しかしながら、未硬化のフッ素ゴムポリマ
ーに各種成分を配合したフッ素ゴム組成物は一般に常温
付近でのグリーン強度が大きいため、ロール作業性や金
型成型性などの加工性に劣ると共に、架橋後もポリマー
自身の性質から低硬度化が困難で硬度Hs50以下の成
型品を得ることが不可能であり、これらのことがフッ素
ゴムの使用用途を限定している要因となっていた。
【0004】そこで、フッ素ゴムポリマー自身の改善は
困難であるため、フッ素ゴムポリマーに配合する各種添
加剤によってフッ素ゴム組成物の物性を改善することが
試みられている。例えば、シロキサン結合を有するシリ
コーン添加剤をフッ素ゴム組成物に配合し、混練するこ
とによってフッ素ゴム組成物のロール作業性や金型離型
性を向上させる方法(特開平3−22308号公報)が
提案されているが、シリコーン成分はフッ素ゴムポリマ
ーとの相溶性がないため、上記添加剤を配合して得られ
るフッ素ゴム組成物はシリコーン成分がブリードする危
険性があり、保存安定性に問題がある。更に、得られた
成型品にもシリコーン成分のブリードがみられ、このた
め機械的特性が著しく低下してしまうという問題があ
る。
【0005】また、フッ素ゴム組成物に他の未硬化の合
成ゴムを添加した場合も上記と同様の問題があり、コス
トダウンの目的で種々の合成ゴムポリマーをブレンド
し、共架橋する方法(特開昭60−101135号公
報)を採用した場合、得られるフッ素ゴム成型品はフッ
素ゴム本来の物理的及び化学的特性に比べて劣っている
ことから、上記フッ素ゴム組成物が工業的に実用化され
た例は極めて少ない。
【0006】このような理由から、フッ素ゴム組成物に
添加可能で、常温で液状の安定なポリマーである液状フ
ッ素ゴム、即ちフッ素ゴムと同様の分子構造を持つ低分
子量のポリマーをフッ素ゴム組成物に添加することによ
って、フッ素ゴム組成物の加工性を改良したり、フッ素
ゴム成型品の低硬度化が図られている。
【0007】上記液状フッ素ゴムの市販品としては、ダ
イエルG101(ダイキン工業製)、バイトンLM(昭
和電工デュポン製)などがあるが、液状フッ素ゴムはそ
れ自身架橋しても優れたゴム弾性体とはならないため、
単独では工業的に使用できないものである。この液状フ
ッ素ゴムをフッ素ゴム組成物に添加した場合、多量の添
加はフッ素ゴム組成物の発泡を招くため成型不可能とな
り、このためフッ素ゴム成型品の低硬度化には限界があ
る。
【0008】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
多量の液状ゴムを添加しても発泡することなく低硬度フ
ッ素ゴム成型品を得ることができるフッ素ゴム組成物及
びその架橋方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は上記
目的を達成するため鋭意検討を行った結果、(A)ポリ
オール架橋系フッ素ゴム100重量部に対し、(B)液
状フッ素ゴム1〜80重量部、及び(C)1分子中のO
H基の少なくとも1個がシリル化されたポリオールを配
合した場合、保存安定性に優れ、かつ160℃以下の低
温で架橋することができるフッ素ゴム組成物を得ること
ができ、このフッ素ゴムを架橋することにより低硬度の
フッ素ゴム成型品が得られることを見い出した。
【0010】即ち、硬度低下剤として液状フッ素ゴムを
配合することによってフッ素ゴム成型品の低硬度化を図
ることができ、また、架橋剤としてシリル化されたポリ
オールを配合することにより、液状フッ素ゴムを多量に
配合した場合も低分子成分や分解生成物によって発泡す
ることがなく、また、従来困難であった160℃以下の
温度で架橋することができることを知見し、本発明をな
すに至った。
【0011】従って、本発明は、(A)ポリオール架橋
系フッ素ゴム100重量部、(B)液状フッ素ゴム1〜
80重量部、(C)1分子中のOH基の少なくとも1個
がシリル化されたポリオールを配合してなり、好ましく
は上記シリル化されたポリオールの配合量が上記ポリオ
ール架橋系フッ素ゴム100重量部に対して0.1〜1
0重量部であるフッ素ゴム組成物及びこの組成物を13
0〜160℃で架橋する架橋方法を提供する。
【0012】以下、本発明を更に詳しく説明すると、本
発明のフッ素ゴム組成物は、(A)ポリオール架橋系フ
ッ素ゴム、(B)液状フッ素ゴム、(C)ポリオール1
分子中のOH基の少なくとも1個がシリル化されたポリ
オールを配合してなるものである。
【0013】ここで、(A)成分のポリオール架橋系フ
ッ素ゴムは高度にフッ素化された弾性共重合体であり、
具体的にはビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプ
ロペンとの弾性共重合体、テトラフルオロエチレン、ペ
ンタフルオロプロペン、トリフルオロエチレン、ビニル
フルオライド、パーフルオロ(メチルビニルエーテ
ル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などの
1種又は2種以上との弾性共重合体などが例示される
が、これらのうちではビニリデンフルオライド−ヘキサ
フルオロプロペン二元弾性共重合体、ビニリデンフルオ
ライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロ
ペン三元共重合体が好ましい。
【0014】(B)成分の液状フッ素ゴムは硬度低下剤
として配合されるものであり、平均分子量が500〜2
0,000の液状高分子でヨウ素又は臭素を含有するこ
とにより液状化を可能にしたものを用いることができ
る。具体的にはビニリデンフルオライド−ヘキサフルオ
ロプロペン二元弾性共重合体、ビニリデンフルオライド
−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロペン三
元弾性共重合体などの低分子量体が挙げられる。液状フ
ッ素ゴムの市販品としてはG101(ダイキン社製)、
バイトンLM(昭和電工デュポン社製)などがあり、容
易に入手することができる。
【0015】この液状フッ素ゴムの配合量は(A)成分
のフッ素ゴム100部(重量部、以下同じ)に対して1
〜80部であるが、特に20〜60部とすることが好ま
しい。液状フッ素ゴムの配合量が1部未満では十分な低
硬度化の効果を得ることができず、また、配合量が80
部を越えるとフッ素ゴム組成物を成型する際に発泡した
り架橋がなされない。
【0016】(C)成分のシリル化されたポリオールは
ポリオール1分子中のOH基の少なくとも1個、好まし
くは上記OH基のすべてがシリル化されたものであり、
架橋剤として作用するものである。このポリオールはポ
リヒドロキシ芳香族化合物及び含フッ素脂肪族化合物で
あり、具体的にはビスフェノールA、ビスフェノール
B、ビスフェノールAF、1,3,5−トリヒドロキシ
ベンゼン、ヒドロキシレゾルシン、2−t−ブチルヒド
ロキノン、2−メチルレゾルシン、1,5−ジヒドロキ
シナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3,
5,5−テトラクロロビスフェノールA、4,4−ジヒ
ドロキシジフェニル、CF2(CF2CH2OH)2,HO
CH2(CF24OCF(CF3)CH2OH,CF2(C
FHCF2CH2OH)2,(CF23(CFHCF2CH
2OH)2などが挙げられるが、このうち特にビスフェノ
ールA、ビスフェノールB、ビスフェノールAF、2−
t−ブチルヒドロキノンなどが好ましい。
【0017】上記ポリオールをシリル化するためのシリ
ル化剤としては下記式(1)で表されるものが挙げられ
る。
【0018】
【化1】
【0019】式中、R1、R2、R3はOH基と反応しな
い一価の有機基又はケイ素を含む一価の有機基であれば
よく、具体的には炭素数1〜10の非置換又は置換一価
炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、i−
ブチル、t−ブチル等のアルキル基、フェニル等のアリ
ール基、ビニル等のアルケニル基やトリフルオロプロピ
ル基等の上記基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原
子で置換された基など)、及び−OSi(CH33、−
OSi(CH3265、−OSi(CH32CH=C
2等で示されるトリオルガノシロキシ基などが挙げら
れる。これらのうちでは、特にR1、R2、R3としては
メチル基、エチル基、フェニル基、トリフルオロプロピ
ル基などが好ましい。
【0020】一方、ZはOH基と反応性を有する官能基
であり、水素原子、塩素原子、水酸基、アミノ基、−N
HR4基(R4は一価の有機基又はケイ素を含む有機基で
あり、R1〜R3と同様の基が挙げられる)などを例示す
ることができる。
【0021】上記シリル化剤のうちでは、下記式(2)
で表わされるヘキサメチルジシラザンがポリヒドロキシ
化合物と常温で容易に反応し、シリル化することができ
るので好適に用いられる。
【0022】
【化2】
【0023】シリル化したポリオールとしては特に下記
式で示されるものが好適であり、これらは単独で又は2
種以上を併用して用いることができる。
【0024】
【化3】 (式中、R5は同一又は異種の炭素数1〜10の一価の
有機基又は水素原子であり、メチル基、エチル基、ビニ
ル基、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられ、特にメ
チル基が好ましい。R6はF又はHであり、特にFが好
ましい。)
【0025】このようなシリル化ポリオールとして具体
的には、下記のものを挙げることができる。
【0026】
【化4】
【0027】(C)成分のシリル化されたポリオールの
配合量は(A)成分のポリオール架橋系フッ素ゴム10
0部(重量部、以下同じ)に対して0.1〜10部、特
に0.5〜5部とすることが好ましい。この配合量が
0.1部未満では架橋したフッ素ゴムの機械的な物理特
性に劣り、また、10部を越えて配合しても特に物性が
向上するものでもなく、ブリードが発生する場合もあ
る。
【0028】本発明のフッ素ゴム組成物には、触媒とし
ては下記一般式(3)及び(4)で示すオニウム塩又は
イミニウム塩を配合することが好ましい。
【0029】
【化5】 (式中、R7、R8、R9、R10は炭素数1〜20の一価
炭化水素基、XはP又はN、Yはハロゲン原子であ
る。)
【0030】 〔R11 2P=N=PR12 3+- …(4) (式中、R11、R12 は炭素数1〜20の一価炭化水素
基、Yはハロゲン原子である。)
【0031】上記触媒は、架橋促進剤として作用するも
のであり、具体例は特開昭59−206451号、同6
0−65048号、同62−30143号公報などに明
記されている。このうち、オニウム塩として好ましいも
のはベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド及び
ブロマイドであり、イミニウム塩としてはビスベンジル
ジフェニルホスフィンイミニウムが挙げられる。
【0032】上記触媒の添加量は(A)成分のフッ素ゴ
ム100部に対して0.1〜10部、特に0.2〜3部
とすることが好ましい。
【0033】また、受酸剤として金属化合物を添加する
ことができ、具体的には酸化マグネシウム、酸化カルシ
ウム、酸化鉛、水酸化カルシウム、ステアリン酸バリウ
ム、ステアリン酸ナトリウムなどが例示される。これら
の化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いるこ
とができる。受酸剤の配合量は(A)成分100部に対
し1〜20部とすることが好ましい。
【0034】本発明のフッ素ゴム組成物には、更に公知
の充填剤や着色剤を添加することができる。充填剤とし
てはシリカ、カーボンブラック、アルミナ、ベンガラ、
クレイ、炭酸カルシウム、酸化チタン、ポリテトラフル
オロエチレン粉末、各種導電性フィラー、各種放熱性フ
ィラーなどが例示され、このうち補強性の点からシリ
カ、カーボンブラックが好ましく、特にMTカーボンブ
ラックが好ましい。また、これらの粉末を分散、補強、
濡れ性改良のためにシラン系やチタネート系の表面処理
剤で処理したものを用いることもできる。
【0035】この充填剤の添加量は、低硬度のフッ素ゴ
ム成型品を得る点から、少量であることが好ましく、
(A)成分100部に対して10部以下の配合とするこ
とが好ましい。
【0036】本発明のフッ素ゴム組成物は、上記(A)
〜(C)成分に加えて上記各成分を混練りすることによ
って得ることができる。混練りは、上記各成分をフッ素
ゴム組成物中に完全に分散させるために、従来から使用
されているゴム用2本ロール、ニーダ、加圧ニーダ、バ
ンバリーミキサーなどを用いて行うことができる。この
場合、液状ゴムを配合しているので、従来のフッ素ゴム
組成物に比較して作業性が向上しているため、特殊な装
置を用いることなく容易に混練りすることができる。
【0037】上記のようにして得られたフッ素ゴム組成
物を架橋して成型品を得る場合、液状ゴムを添加してい
るために発泡しやすいので低温で架橋することが好まし
い。本発明のフッ素ゴム組成物の場合、架橋温度は13
0〜160℃であるが、130℃未満では架橋がなされ
ず、また、160℃を越えると発泡してしまう場合が生
じる。また、加熱時間は5〜60分とすることができ
る。上記条件で架橋を行った後、120〜250℃、1
〜48時間で二次架橋を行うことが好ましい。
【0038】上記成型品を作製するための成型装置とし
ては、従来から使用されているゴム用加工機であれば特
に限定されるものではなく、ゴム用プレスを用いた金型
成型、カレンダーロール及び押し出し機を用いたHAV
やスチーム架橋による成型などを採用することができ、
いずれも低温架橋が可能で作業性が良好であることから
特殊な装置を用いることなく容易に成型品を得ることが
できる。
【0039】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。なお、実施例の説明に先立ち、シリル化架
橋剤の製造例について説明する。
【0040】[製造例1]シリル化架橋剤の製造 シリル化剤としてヘキサメチルシラザン(信越化学工業
社製、LS−7150)16.1g(0.1モル)を用
い、これをトルエン10gに溶解した溶液に粉末状のビ
スフェノールAF(Riedel−dehaen社製、
試薬)33.6g(0.1モル)を添加し、混合撹拌し
たところ、常温で反応が始まりアンモニア臭と共にガス
が発生し、ビスフェノールAFが溶解した。これは下記
反応式(5)に示すようにヘキサメチルシラザンが分解
してアンモニアが発生し、ビスフェノールAFのOH基
をシリル化したものと推定できる。
【0041】
【化6】
【0042】ビスフェノールAFの溶解が終了した後、
減圧し、トルエン及び揮発成分が除去された液状物を赤
外分光光度計(日本分光工業社製、FT/TR−500
0)により分析したところ、図1に示す赤外吸収スペク
トルのチャート図においてOH基の吸収が見られず、ビ
スフェノールAFがシリル化されたことが確認された。
【0043】[実施例1]ポリオール架橋系フッ素ゴム
[ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロペン
二元共重合体(住友スリーエム社製、FC226
0)]、液状フッ素ゴム(ダイキン社製、G10
1)、及び表1に示す各種成分に上記製造例で得られた
シリル化架橋剤を表1に示す量で配合し、ゴム混練用二
本ロールを用いて混練したところ、液状フッ素ゴムが
完全に分散するまではやや作業性に劣るものであった
が、混練りが進むにつれてグリーン強度が低下し、作業
性が向上し、フッ素ゴムコンパウンドが容易に得られ
た。
【0044】このコンパウンドのトルクの経時変化を架
橋試験機(東洋精機製作所社製、オシレーティングデム
イスクレオメーター)を用いて測定したところ、図2に
示す架橋曲線A(架橋温度150℃)及びB(架橋温度
130℃)が得られ、低温での架橋が可能であることが
確認された。
【0045】次に、上記コンパウンドを成型し、厚さ2
mmゴムシートとJIS−B2401記載のP−240
リングを作製した。この場合、成型温度(架橋温度)を
170℃、160℃、150℃、130℃、120℃と
して成型条件を調べたところ、150℃では20分、1
30℃では40分で良好な成型品が得られることがわか
った。成型条件の判定結果を表1に併記する。また、架
橋温度150℃における架橋特性を図3に曲線Cで示
す。
【0046】次に、150℃、40分の成型条件で架橋
した後、230℃、24時間の二次架橋を行って得られ
た成型品の物性をJIS−6301に準拠して測定し
た。結果を表1に併記する。
【0047】[実施例2]ポリオール架橋系フッ素ゴム
としてフッ素ゴム[ビニリデンフルオライド−ヘキサ
フルオロプロペン−テトラフルオロエチレン三元共重合
体(住友スリーエム社製、FC2650)]を用い、シ
リル化架橋剤の配合量を1.4部とした以外は実施例1
と同様に各成分を配合し、同様に混練り及び成型を行
い、実施例1と同様の試験を行った。結果を表1に併記
する。また、架橋温度150℃における架橋特性を図3
に曲線Dで示す。
【0048】なお、この組成物の混練りの際の作業性は
実施例1と同様に良好であり、成型条件にも大きな差異
は見られず、170℃、20分では発泡したものの、1
60℃、20分では発泡することなく成型することがで
きた。
【0049】[実施例3]液状フッ素ゴムの配合量を
80部とした以外は実施例1と同様に各成分を配合し、
同様に混練り及び成型し、実施例1と同様の試験を行っ
た。結果を表1に併記する。また、架橋温度150℃に
おける架橋特性を図3に曲線Eで示す。
【0050】なお、この組成物は、実施例1と比較して
ロール作業に際してやや粘着性が強くなったが、大きな
問題はなく、良好な作業性を示した。また、図3からも
明らかなように、架橋速度が遅くなり、成型時間が実施
例1に比べて長くなったが、良好な成型物が得られた。
【0051】[実施例4]シリル化架橋剤の配合量を
4.2部とし、硬度低下剤として液状フッ素ゴム(デ
ュポン社製、バイトンLM)を用いた以外は実施例1と
同様に各成分を配合し、同様に混練り及び成型を行い、
同様の試験を行った。結果を表1に併記する。
【0052】この組成物のロール作業性は全く問題がな
く、良好に行うことができた。成型に際しては実施例3
と同様に架橋速度が遅くなったものの、良好な成型品を
得ることができた。
【0053】[比較例1]シリル化しないビスフェノー
ルAF(Riedel−dehaen社製、試薬)を架
橋剤として用い、これをモル比換算で実施例1と同量と
なるように配合した以外は実施例1同様に各成分を配合
し、全く同じ配合及び混練作業を行ったコンパウンドの
架橋を行ったところ、同条件の成型では架橋せず、更に
成型時間を60分間延長してみたが、同じく架橋せず、
170℃、30分間の条件では発泡してしまい、良好な
成型品を得ることはできなかった。
【0054】[比較例2]液状フッ素ゴムを100部
とした以外は実施例1同様に各成分を配合し、同様に混
練り及び成型を行ったところ、架橋せず成型不可能であ
った。
【0055】[比較例3]架橋促進剤としてオニウム塩
を2部とした以外は比較例1と同様に各成分を配合し、
同様に混練り及び成型を行ったところ、多少の発泡があ
ったものの成型品を得ることができた。
【0056】しかしながら、上記発泡は混練り作業時の
部分的なスコーチに起因すると考えられ、このスコーチ
工業的に満足できるものではない。更に、その保存安定
性においては40℃、24時間放置することによって完
全にスコーチしてしまうことから保存安定性に劣る不安
定な組成物であることがわかる。
【0057】
【表1】 *1:充填剤(ハーバー社製、サーマックスMT) *2:受酸剤(協和化学社製、キョーマグ#150) *3:受酸剤(関東化学社製、試薬) *4:ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド
(関東化学社製、試薬) ◎:架橋時間20分で成型可能 ○:架橋時間40分で成型可能 発泡:架橋時間20分で発泡 未架橋:架橋時間を40分としても架橋しない状態 アンダー架橋:40分を越えて長時間かけると架橋
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、加工性に優れたフッ素
ゴム組成物を得ることができ、また液状フッ素ゴムを発
泡させることなく多量配合でき、このフッ素ゴムを架橋
することによって得られる低硬度の成型品は各種用途に
好適なものである。
【0059】特に、このように1〜80部の液状フッ素
ゴムを配合することにより、成型温度を低下でき、フッ
素ゴムでは限界とされていた硬度50度以下の成型品の
製造が可能であり、下記のような効果を挙げることがで
きる。 (1)低硬度化が可能である(Hs40以下が可能)。 (2)混練、成型等の作業性が向上する。 (3)低温での金型成型が可能(130〜160℃)で
あるため省エネルギー対応となる。 (4)保存安定性に優れる。 (5)耐熱、耐薬品性等は通常のフッ素ゴムと同等であ
る。 (6)可塑剤として用いられる液状フッ素ゴムがブリー
ドアウトすることがない。
【0060】即ち、従来のフッ素ゴムの硬度範囲はHs
50以上とされていたので用途範囲も限定されたものと
なっていたが、本発明により10ポイント以上の低硬度
化が可能となるため用途が拡大されると共に、作業性も
向上するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる架橋剤の赤外吸収スペクトルの
チャート図である。
【図2】本発明の一実施例におけるフッ素ゴム組成物の
架橋特性を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例におけるフッ素ゴム組成物の架
橋特性を比較するグラフである。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリオール架橋系フッ素ゴム10
    0重量部、(B)液状フッ素ゴム1〜80重量部、
    (C)1分子中のOH基の少なくとも1個がシリル化さ
    れたポリオールを配合してなることを特徴とするフッ素
    ゴム組成物。
  2. 【請求項2】 上記シリル化されたポリオールの配合量
    が上記ポリオール架橋系フッ素ゴム100重量部に対し
    て0.1〜10重量部である請求項1記載のフッ素ゴム
    組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のフッ素ゴム組成物を13
    0〜160℃で架橋することを特徴とするフッ素ゴム組
    成物の架橋方法。
JP10606093A 1993-04-08 1993-04-08 フッ素ゴム組成物及びその架橋方法 Expired - Fee Related JP2653340B2 (ja)

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