JP2653228B2 - 連続鋳造における鋳型内湯面レベルの制御法 - Google Patents

連続鋳造における鋳型内湯面レベルの制御法

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JP2653228B2 JP2224980A JP22498090A JP2653228B2 JP 2653228 B2 JP2653228 B2 JP 2653228B2 JP 2224980 A JP2224980 A JP 2224980A JP 22498090 A JP22498090 A JP 22498090A JP 2653228 B2 JP2653228 B2 JP 2653228B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は、連続鋳造時における鋳型内溶湯の湯面レ
ベルを制御する方法に関するものである。
〈従来技術とその課題〉 連続鋳造において鋳型内湯面レベルの変動が鋳片の表
面疵やブレークアウト等の操業トラブルを誘起する一因
となっていることは良く知られているが、そのため、従
来より鋳片品質の向上や安定操業を確保すべく湯面レベ
ルの変動を抑制して一定に保つための様々な工夫がなさ
れてきた。
そして、今日、連続鋳造鋳型内の湯面レベル制御に
は、γ線レベル計,渦流レベル計等の湯面レベル計を用
いて鋳型内の湯面レベルを測定し、得られたレベル信号
をPID(比例積分微分)調節計にフィードバックすると
共に、設定値との間に偏差があった時にはPID演算して
その出力をサーボユニットに伝えて流量調節機構(例え
ばスライディングゲートやストッパ等)の開度を変更
し、タンディッシュより鋳型内に流れ込む溶湯流量を調
節すると言う基本的な方法が一般的に採用されている。
ところで、PID調節計のパラメータは制御系の安定
性,応答性を考慮して最適にセットされているため、通
常は鋳込中に変更することは少ないが、制御系の特性が
変化してレベル制御性が悪化するような場合にはオペレ
ータ等により最適な制御が得られるように再セットされ
る。なお、このような再セットを要する事態は、鋳込速
度又は鋳片サイズの変更,ノズル詰まり,ノズル溶損等
に起因して起きることが多い。
何れにしても、上述のようなPID制御等によるスライ
ディングゲート等の如き流量調節機構の開度調整を実施
する場合、PID演算結果に基づいた開度指令通りにスラ
イディングゲート等が動作するとすれば鋳型内湯面レベ
ルの制御は確実になされる筈である。
ところが、実際には、例えばスライディングゲートを
例にとるとその動作はPID演算結果に基づいた開度指令
に対し正確に追従せず(即ち、開度指令が変更された場
合にスライディングゲートの開度が正確に即応せず)、
“開度指令の変化量”と“スライディングゲート開度の
変化量”との間には比例関係からのズレが見られた。
即ち、第2図は“開度指令の変化量”と“実際のスラ
イディングゲート開度の変化量”との関係を示したグラ
フである。この第2図から理解されるように、“開度指
令の変化量”が或る範囲たる±a%以内である場合には
これに対応する“実際のスライディングゲート開度の変
化量”は極めて小さな範囲±b%以内に留まってしま
い、“開度指令の変化量”が±a%の範囲を超えた場合
に初めて“実際のスライディングゲート開度の変化量”
はこれに応じて急速に変化することになる。つまり、両
者の関係は“非線形”であり、開度指令が変化するとス
ライディングゲート開度は一定の遅れ(即ち、ヒステリ
シス特性)をもってこれに追従することになる。
なお、第3図は、“開度指令の変化量”が一定値cか
らdに増大した場合、或いは一定値dからcに減少した
場合における、“実際のスライディングゲート開度の変
化量”の非線形状況(つまり、ヒステリシス特性)を図
式的に示したものである。
このように、スライディングゲート開度は制御信号
(開度指令)に対して非線形の応答特性を有し、制御信
号の値の変化が±a%以内ではスライディングゲート開
度はこれに十分追従しない。しかも、この数値aはスラ
イディングゲートとこれを駆動するシリンダやこれら両
者を繋ぐ伝導機構により構成されるゲートカセット毎に
それぞれ異なる固有のものとなっている上、そのカセッ
トの使用経過時間によっても変化する。このような変化
の原因は、スライディングゲートの摺動部への溶湯付着
状態の変化等により摺動抵抗が変化するためである。
そこで、最近では、このような“開度指令の変化量”
と“実際のスライディングゲート開度の変化量”との間
のヒステリシス特性を補償してスライディングゲート開
度の時間対応値を目標に一致させるべく、開度指令の制
御信号に“スライディングゲートを微振動させる加振信
号”を加算(重畳)して前記開度を目標値を中心にして
振動させるような制御方法が採用されている。
しかしながら、スライディングゲートの非線形応答性
を補償するために加算される加振信号は常に一定の周
期,振幅に固定されていることもあって、次のような新
たな問題を生み出していた。即ち、 a) 前記値“a"が或る程度以上大きくなると、特性が
固定された加振信号ではスライディングゲートの非線形
応答性が十分に補償されず、スライディングゲート開度
が制御信号に追従できないで湯面レベルが大きく変動す
る事態が懸念される。
b) また、上述のような状態を回避するため、逆に経
験的に得られている前記“a"の上限値以上の制御信号を
加算する場合あるが、スライディングゲートカセットの
固体差や使用時間等によっては必要以上に過大な加振が
スライディングゲートに与えられ、そのため加振周期に
一致した大きな湯面変動が発生することが懸念される。
上述したように、スライディングゲートのヒステリシ
ス特性を補償するために加振信号を加算する方法でも依
然として溶湯供給量が不安定になりやすいとの問題は未
解決であり、鋳型内湯面レベルの制御と言う面からは未
だ十分な手段とは言えず、安全性や品質管理の面から更
なる改善策が強く望まれていた。特に、小断面鋳片(例
えば187mmφや213mmφの丸ビレット等)の連続鋳造にお
いてはこの要求が極めて切実なものとなっていた。
〈課題を解決するための手段〉 本発明者等は、上述のような観点から、連続鋳造にお
ける鋳型内湯面レベルの適性な制御手段を確立すべく、
特に、現状のスライディングゲート加振方法に指摘され
る イ)加振信号が過小の場合にはスライディングゲートが
過信指令に対して殆んど追従せず、湯面変動に対応した
制御出力にスライディングゲートが応答しないので、制
御不良状態になる, ロ)加振信号が過大の場合にはスライディングゲートが
加振指令に対してほぼ追従するが、加振によるスライデ
ィングゲートの開閉が逆に鋳型内の湯面レベル変動(加
振と同じ周期の変動)を引き起こす, ハ)しかし、加振指令に対するスライディングゲートの
応答性が時々刻々と変化することもあって、加振を常に
適性(過小でもなければ過大でもない状態)に保つのは
困難である, 等の問題点を認識し、これの解消を目指して研究を重ね
た結果、「湯面レベルの測定信号における加振の周波数
に相当するスペクトル強度を高速フーリエ変換処理(以
降“F.F.T.処理”と略称する)によって算出することに
より、加振が湯面に与える影響を定量化すると共に、前
記加振周波数に相当するスペクトル強度が或る一定範囲
に収まるように加振指令を自動調整するようにすれば、
加振が微小に湯面レベルに現われている状態が常に維持
されるようになって長期に亘る適性なスライディングゲ
ート開度の制御が可能となる」との知見を得るに至っ
た。
本発明は、上記知見事項等に基づいてなされたもの
で、 「“連続鋳造鋳型への溶湯供給量が供給口の開度によ
って調整される流量調節機構”に対する制御信号に開度
加振信号を加算して鋳型内湯面レベルを制御する方法に
おいて、“連続鋳造鋳型内の湯面レベルを示す信号”及
び“流量調節機構の開度を示す信号”の何れか又は双方
にF.F.T.処理(高速フーリエ変換処理)を施し、該信号
中の各周波数成分のうちの“加算している加振信号の周
波数における該成分の強度”又は“加算している加振信
号の周波数を中心とする一定周波数範囲の該成分の強度
の総和”を検出して、その値が所定の範囲内に収まるよ
うに前記加振信号の振幅及び同期の何れか又は双方を調
整することにより、連続鋳造鋳型内湯面のレベルを適正
かつ自動的に制御し得るようにした点」 に特徴を有している。
即ち、本発明は、非線形的応答特性を有するスライデ
ィグゲート等の如き流量調節機構の開度を制御する制御
信号に加振信号を加算し、これにより前記開度の制御を
容易化して鋳型内の湯面レベルを制御する方法におい
て、“溶湯の湯面レベルを示す信号”及び“流量調節機
構の開度を示す信号”に波形処理であるF.F.T.処理(高
速フーリエ変換処理)を施し、その周波数成分のうち加
振周波数又はその近傍の周波数帯のスペクトル強度の合
計値が一定範囲内(即ち、加振過大による湯面変動発生
の限界値と必要加振が確保できる限界値との間)に収ま
る如くに加振信号(開度加振の周期及び振幅)を機構の
非線形特性に応じて変化・調節することにより、常に適
正な加振がなされている状態を維持し、鋳型内の湯面レ
ベルを安定して目標値に維持し得るようにしたものであ
るが、以下、本発明をその実施の態様を示す図面に基づ
き作用と共に具体的に説明する。
第1図は、本発明に係る連続鋳造鋳型(モールド)内
湯面レベルの制御方法を実施するための装置構成例を示
す概略模式図であり、図中おける符号1は溶湯2を供給
するためのタンディッシュを示している。このタンディ
ッシュ1内の溶湯2はスライディングゲート3を介して
モールド4に供給されるが、鋳片5が連続的にモールド
4から引き抜かれるのに合わせてそれに見合う量の溶湯
2がモールド4内に供給されることにより、モールド4
内における溶湯の湯面レベルは一定に維持されることと
なる。
溶湯の供給量を調節するスライディングゲート3の開
度は油圧ユニット6bにて駆動される油圧シリンダ6によ
り制御されるが、その制御装置は、溶湯の平均的供給量
に対応する量(溶湯面レベルに相当する)を計測する計
測手段(検出ヘッド)7aと、該検出ヘッド7aの計量値に
基づいてスライディングゲート3の目標開度を演算する
演算器9aと、この演算器9aの演算した開度に加振信号を
重畳するための発振器9bと加算器9cとからなる加振手段
と、加振信号が重畳された“前記演算器9aの演算した目
標開度”に従ってスライディングゲート3の開度を制御
するスライディングゲート駆動手段(サーボアンプ)10
と、前記加振信号の特性(周期,振幅)を前記供給量が
最も安定する最適値に自動的に変化させる特性制御手段
(制御器11)を備えて構成されている。
さて、溶湯供給量(モールド内湯面レベル)の調節に
当っては、まず検出ヘッド7aを備える湯面レベル計7が
溶湯2の平均供給量に対応するモールド4内の湯面レベ
ルを計測し、その計測値を出力する。一方、シリンダロ
ッド位置検出器8は、スライディングゲート3の開度に
対応する油圧シリンダ6の位置(シリンダストローク)
を検出し、これをスライディングゲート開度信号又はシ
リンダロッド位置信号として出力する。
演算器9a,発振組9b及び加算器9cによってコントロー
ラ9が構成されているが、このコントローラ9内の演算
器9aは、比例積分微分動作(PID動作)を行うものであ
り、湯面レベル計7及びシリンダロッド位置検出器8の
出力に基づいてスライディングゲート3の開度目標値に
対応する値を演算し、これを演算値として出力する。
発振器9bは所定の周期及び振幅を有する加振波(sin
波,矩形波等)の周期信号を発生し、これを加振信号と
して出力する。この加振信号の周期及び振幅は制御器11
の指令に従って自動的に最適値に変化させられる。
演算器9aが出力する演算値及び発振器9bが出力する加
算信号は、加算器9cにて加算され、コントローラ信号と
してコントローラ9から出力される。
サーボアンプ10は、シリンダロッド位置検出器8が検
出するスライディングゲート開度又はリンダロッド位置
(シリンダストローク)及びコントローラ9から出力さ
れるコントローラ信号に基づき、油圧ユニット9bを制御
してスライディングゲート3の開度を演算器9aの演算値
に対応する目標値を中心にして振動させ、スライディン
グゲート3及び伝達機構6a等が有する非線形応答特性を
有効に補償する。
ところで、前記制御器11は本発明法において重要な役
割を担っているが、その制御内容は次の通りである。
即ち、自動制御に入る条件が満足されている場合、制
御器11はまず湯面レベル計7の出力(溶湯2の湯面レベ
ル)とシリンダロッド位置検出器8の出力(スライディ
ングゲート3の開度に対応する油圧シリンダ6のシリン
ダストローク)とを一定周期でサンプリングする。次
に、サンプリングされたデータに対してF.F.T.処理を実
施する。そして、その結果得られたパワースペクトルの
うち“発振器9bが発生している加振波の周期の逆数であ
る周波数成分のパワースペクトル”又は“前記加振周波
数を中心として前後数ヘルツ(Hz)の範囲の周波数成分
のパワースペクトル”の合計値を求める。
ここで、パワースペクトルは以下の式で表わされる。
上述のように、湯面レベル信号にF.F.T.処理を施した
例を第4図に示す。なお、この時のテスト条件は丸ビレ
ット(213mmφ)鋳込みで加振周波数を1Hzとし、第4図
(a)ではスライディングゲートの実際の加振状態が4m
mであった例を、そして第4図(b)では実際の加振状
態が1mmであった例をそれぞれ示している。ここで、サ
ンプリングデータは0.1secピッチにて512点であった。
第4図(a)に示す例では、実際のスライドゲートの
加振状態が大きかったためにその影響が湯面レベルに顕
著に現われており、加振周波数とほぼ同周期の1Hzで約4
mmの湯面変動を生じている。なお、この場合の加振周波
数、即ち1Hzにおけるパワースペクトルは−18dBとなっ
ている。
第4図(b)に示す例では、実際のスライディングゲ
ートの加振状態が小さかったため、湯面は第4図(a)
の場合と同様1Hzで変動してはいるが変動幅が約2mmと小
さくなっており、1Hzにおけるパワースペクトルは−28d
Bと、第4図(a)の場合に比べて小さくなっている。
このように、湯面レベルを表わす信号に対してF.F.T.
処理を行い、得られたパワースペクトルのうち、加振周
波数に対応するスペクトル強度を監視することにより、
加振が湯面レベルに与える影響を評価することができ
る。
また、第5図に、同様条件下での位置検出器8の出力
信号にF.F.T.処理を施した例を示す。
第5図(a)は、第2図を用いて説明した値“a"以上
の振幅で加振をしている場合であるが、この場合におけ
るスライドゲートの実際の加振状態は“指令として与え
ている加振周波数と同じ周波数”で動作している(但
し、その振幅は応答遅れ等のために指令として与えてい
る加振波の振幅よりも小さくなる)。なお、この時の加
振周波数におけるパワースペクトルは約−20dBとなって
いる。
一方、第5図(b)は、指令として与える加振波の振
幅を小さくして第1図で説明した値“a"未満のとした場
合の例であるが、この場合にはスライディングゲートは
指令通りに動作せず、その加振周波数におけるパワース
ペクトルも第5図(a)の場合に比べ約−37dBと小さく
なっている。なお、このような場合には湯面レベルは比
較的長い周期(5〜10sec)で大きく変動することが多
いことを経験した。
このように、スライディングゲートの実際の動きを表
わす信号に対してF.F.T.処理を行い、その加振周期のパ
ワースペクトルを監視することにより、加振が適正か否
かを評価できる訳である。
なお、上述した例では、加振周波数成分でのパワース
ペクトルを用いているが、スライディングゲートの状態
によっては実際のスライディングゲートの加振が微妙に
指令の加振周波数と外れる可能性も考えられるので、指
令として与えている加振波の周波数を中心として、その
前後の一定の範囲(例えば0.05Hz)の周波数のパワース
ペクトルの合計値を用いても良い。
即ち、第1図の符号9bで示す発振器の特性の変動等に
より、実際には指令として出力している周波数と微妙に
異なる周波数で加振信号を発生している場合も考えられ
得るが、このような場合でも、指令の周波数とその上下
の一定範囲の周波数成分を含めた総和を検出するように
すれば適正を欠く処置につながることを防ぐことができ
る。
次に、“湯面レベル計7の出力とシリンダロッド位置
検出器8の出力とにF.F.T.処理を施した結果”に基づい
た具体的な制御手法を、第6図を用い、第1図をも参照
しながら順を追って説明する。なお、第6図中の丸付数
字は以下の手順番号(丸付数字)に対応している。
自動制御に入る条件が満足されている場合、制御器
11は湯面レベル計7の出力と位置検出器8の出力を一定
周期で一定期間サンプリングする。
上記でサンプリングした各データに対してF.F.T.
処理を実施する。
湯面レベル計7の出力に対するF.F.T.処理結果よ
り、発振器9bの発生している加振波の周波数における周
波数スペクトルの強度、又は加振波の周波数を中心とし
てその前後の一定の範囲の周波数スペクトルの強度の総
和を求める。ここで得られた周波数スペクトルの強度又
は周波数スペクトルの強度の総和をLSとする。
位置検出器8の出力に対するF.F.T.処理結果より、
発振器9bの発生している加振波の周波数における周波数
スペクトルの強度、又は加振波の周波数を中心としてそ
の前後の一定の範囲の周波数スペクトルの強度の総和を
求める。ここで得られた周波数スペクトルの強度又は周
波数スペクトルの強度の総和をGSとする。
前記,の結果に基づいて、加振の振幅及び/又
は周期を調整する。
なお、調整の方法としては次の2通りが考えられる。
《第1》 第1には丸ビレット等の小断面鋳片を鋳込む場合の調
整の方法であり、これまでの経験では小断面鋳片の場合
には加振不足になると急に湯面レベルが荒れて変動を始
める傾向があることから、この場合は微小量だけ加振の
影響が湯面レベルに現われている状態を保つ方が望まし
い。そこで、第7図(a)に示す調整を行うのが良い。
この調整は3つのケースに応じて選択されるが、その
調整内容は次の通りである。
[調整1] 前記手順で得られた値LSが湯面レベル判定上限値LS
max以上である場合の調整法で、この場合には、湯面レ
ベルに加振の影響が大きく出ていると判断し、発振器9b
の発生している加振波の振幅及び/又は周期をそれぞれ
所定量だけ減少させる。
[調整2] 前記手順で得られた値LSが湯面レベル判定上限値LS
max未満でかつ湯面レベル判定下限値LSmin以上である場
合の調整法で、この場合には、湯面レベルに対して加振
が必要最低レベル以上は現われているがその影響は微小
であり、ほぼ良好であると判断し、発振器9bの発生して
いる加振波の振幅及び/又は周期は変更をせず、現状値
を維持する。
[調整3] 前記手順で得られた値LSが湯面レベル判定下限値LS
min未満である場合の調整法で、この場合には、湯面レ
ベルには加振は全く現われておらず、加振が不足気味で
あると判定し、発振器9bが発生している加振波の振幅及
び/又は周期をそれぞれ所定量だけ増加させる。
上記1〜3の調整により、湯面レベルに微小量だけ加
振が現われている状態を維持することが可能になる。
《第2》 第2の調整の方法としては、一般的なスラブ等の如き
大断面鋳片を鋳込む場合であり、これまでの経験では、
大断面の場合には加振の影響が湯面レベルに現われにく
いので第7図(b)に示す調整を行うことができる。
この調整も3つのケースに応じて選択されるが、その
調整内容は次の通りである。
〔調整1〕 前記手法で得られた値GSがスライディングゲート加
振判定下限値GSminである場合の調整法で、この場合に
は、スライディングゲート自体が発振器9bの発生してい
る加振波の指令周期通りに動作していない。即ち、スラ
イディングゲートが指令に追従しておらず加振が過小で
あると判断し、発振器9bの発生している加振波の振幅及
び/又は周期を所定量だけ増加させる。
〔調整2〕 前記手法で得られた値GSがスライディングゲート加
振判定下限値GSmin以上でかつ前記手法で得られた値L
Sが湯面レベル判定上限値LSmax以上である場合の調整法
で、この場合には、湯面レベルに加振の影響が大きく出
ていると判断し、発振器9bの発生している加振波の振幅
及び/又は周期をそれぞれ所定量だけ減少させる。
〔調整3〕 前記手法で得られた値GSが、スライディングゲート
加振判定下限値GSmin以上でかつ前記手法で得られた
値LSが湯面レベル判定上現値LSmax未満である場合の調
整法で、この場合には、スライディングゲートは確実に
一定周期で加振しており、かつ湯面レベルには加振の影
響が現われておらず適正な状態であると判断し、発振器
9bの発生している加振波の振幅及び/又は周期は変更を
せず、現状値を維持する。
上記1〜3の調整により、常に加振が実施されている
状態を保ち、かつ加振が過大ではない状態を維持するこ
とが可能になる。
続いて、本発明を実施例によって説明する。
〈実施例〉 鋳込みサイズが213φの丸ビレット連続鋳造機に第1
図に示したような制御装置を付設し、モールド内溶鋼の
湯面レベル制御を実施した。
なお、タンディッシュから供給される溶鋼の流量調整
機構としてはスライディングゲートを使用し、湯面レベ
ル検出器としては、時定数0.05秒の渦電流式の検出器を
使用した。
そして、この実施例では、加振周期を1secに固定し、
故意に加振が過大な状態及び加振が過小な状態を作って
第6図に示した手法で湯面レベルの制御試験を行った
が、その際、先に説明した小断面鋳片の場合の調整方法
(第7図(a))を採用した。
また、湯面レベル制御の判定に当っては、好結果範囲
の上限値及び下限値を、それぞれ−20dB及び−35dBとし
た。
第8図(a)には、上記実験において加振が過大であ
った場合の湯面変動実績の例が示されている。
この場合、制御器11においては、0.1secのサンプリン
グ周期で湯面レベル検出器7の出力信号とスライディン
グゲートの開度を示すシリンダロッド位置検出器8の出
力信号とが512点取り込まれ、これら各データに対して
F.F.T.処理が実施された。
この処理により、加振周波数(ここで加振周期が1sec
であるので加振周波数は1Hzとなる)でのスペクトル強
度が−15dBであると認定されたが、この値は好適湯面レ
ベルと判定される範囲の上限値たる−20dBを超えている
ので、発振器9bの発生すべき加振波の振幅及び周期を所
定量(ここでは振幅:0.5mm,周期:0.05sec)だけ減少さ
せる操作が、スペクトル強度が−20dB以下になるまでの
間、数回、自動的になされた。
その結果、湯面レベルが1sec周期にて約5mm幅で変動
していたのを、約2mm幅の変動にまで低減することがで
きた。
そして、この調整の後で更にデータを512点サンプリ
ングしたところ前記スペクトル強度が下がって−23dBと
なっていることが確認されたので、その後の操業ではこ
のままの加振波の振幅及び周期が維持された。
なお、より一層厳密な調整が必要ならば、前記湯面レ
ベル判定上限値を予め小さい値に設定しておけば良い。
なお、従来の制御方式ではオペレータによる手動調整
が必要であった関係上どうしても加振設定を大きくしが
ちであって、前記第8図(a)に示す如き湯面変動とな
るきらいがあったが、本発明に係る方法を取り入れるこ
とによって微妙な加振調整が可能となり、従来に比べ湯
面変動を顕著に小さく抑制できることが確認された。
一方、第8図(b)には、加振が過小であった場合の
湯面変動実績の例が示されている。
この場合も、第8図(a)の場合と同様、制御器11に
おいては、0.1secのサンプリング周期で湯面レベル検出
器7の出力信号とスライディングゲートの開度を示すシ
リンダロッド位置検出器8の出力信号とが512点取り込
まれ、これら各データに対してF.F.T.処理が実施され
た。
この処理により、加振周波数でのスペクトル強度が−
38dBであると認定されたが、この値は好適湯面レベルと
判定される範囲の下限値たる−35dBを下回っているの
で、発振器9bの発生すべき加振波の振幅及び周期を所定
量(ここでは振幅:0.5mm,周期:0.05sec)だけ増加させ
る操作が、スペクトル強度が−38dB以上になるまでの
間、数回、自動的になされた。
その結果、湯面レベルは、約10mm幅程度で変動してい
たのを約2mmの幅にまで変動を低減することができた。
ところで、本実施例では丸ビレットの鋳造の例につい
て説明したが、スラブ鋳造の場合でも同様の結果となる
ことも確認済みである。
また、上記実施例では、F.F.T.処理を応用しているた
めにデータのサンプリング(例えば128個,256個,512個
等)が必要であり、どうしてもその調整周期が長くなり
がちである(例えばサンプリング周期が0.1secの場合に
は上記個数に対応した調整周期はそれぞれ12.8sec,25.6
sec,51.2sec等となる)。そこで、鋳込み開始直後の場
合等のようにスライディングゲートの加振状態を早期に
安定させる必要がある場合には、F.F.T.処理の手法を用
いることなく実績に対応させた処置(例えば特開昭62−
54556号公報に開示されている方法)を採って5sec周期
程度の短周期で調整を行い、湯面がほぼ安定した状態に
なってから上記F.F.T.処理の手法で微調整することもで
きる。
〈効果の総括〉 以上に説明した如く、この発明によれば、連続鋳造鋳
型へ供給する溶湯の流量調節機構に常に適正な加振がな
されている状態が維持され、鋳型内湯面レベルの効果的
で安定した制御を実施することが可能となるなど、産業
上極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る連続鋳造鋳型内湯面レベルの制
御方法を実施するための装置構成例を示す概略模式図で
ある。 第2図は、“開度指令の変化量”と“実際のスライディ
ングゲート開度の変化量”との関係を示すグラフであ
る。 第3図は、スライディングゲート開度変化量の非線形状
況を説明した図面である。 第4図(a)及び第4図(b)は、何れも湯面レベル信
号に高速フーリエ変換波形処理(F.F.T.処理)した例の
説明図である。 第5図(a)及び第5図(b)は、何れもシリンダロッ
ド位置検出器の出力信号にF.F.T.処理した例の説明図で
ある。 第6図は、湯面レベル計の出力とシリンダロッド位置検
出器の出力とにF.F.T.処理を施した結果に基づいた具体
的な制御手法例の説明図である。 第7図(a)及び第7図(b)は、何れも第6図に示し
た制御における加振振幅及び/又は周期の調整手法例の
説明図である。 第8図(a)及び第8図(b)は、何れも実施例で試み
られた湯面制御の不適例を説明したグラフである。 図面において、 1……タンディッシュ,2……溶湯, 3……スライディングゲート, 4……モールド,5……鋳片, 6……油圧シリンダ,6a……伝達機構, 6b……油圧ユニット,7……湯面レベル計, 7a……検出ヘッド, 8……シリンダロッド位置検出器, 9……コントローラ,9a……演算器, 9b……発振器,9c……加算器, 10……サーボアンプ,11……制御器。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】“連続鋳造鋳型への溶湯供給量が供給口の
    開度によって調整される流量調節機構”に対する制御信
    号に開度加振信号を加算して鋳型内湯面レベルを制御す
    る方法において、“連続鋳造鋳型内の湯面レベルを示す
    信号”及び“流量調節機構の開度を示す信号”の何れか
    又は双方に高速フーリエ変換処理を施し、該信号中の各
    周波数成分のうちの“加算している加振信号の周波数に
    おける該成分の強度”又は“加算している加振信号の周
    波数を中心とする一定周波数範囲の該成分の強度の総
    和”を検出して、その値が所定の範囲内に収まるように
    前記加振信号の振幅及び周期の何れか又は双方を調整す
    ることを特徴とする、連続鋳造における鋳型内湯面レベ
    ルの制御方法。
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