JP2651949B2 - 膨潤性積層シート及びその製造方法 - Google Patents

膨潤性積層シート及びその製造方法

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JP2651949B2 JP2143871A JP14387190A JP2651949B2 JP 2651949 B2 JP2651949 B2 JP 2651949B2 JP 2143871 A JP2143871 A JP 2143871A JP 14387190 A JP14387190 A JP 14387190A JP 2651949 B2 JP2651949 B2 JP 2651949B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、肉や魚介類がフイルムトレイパック方式て
包装される場合、魚・肉汁を吸収するためにトレイ底に
敷くシート、青果などの鮮度を保つために結露水を吸収
するのに用いる包装用シート、建築物の天井、壁面ある
いはコンテナの内壁に貼着して結露水を吸収するための
シート、さらには電子レンジで食品を加熱する際に予め
水を吸収させておいて水蒸気の発生源として用いるシー
トなど各種の用途に用いることのできる水分を吸収して
シート形態を保持したまま膨潤する積層シート及びその
製造方法に関する。
[従来の技術] 生鮮食糧品は、発泡ポリスチレンなどの素材からなる
トレイに載せて透明フイルムで覆うフイルムトレイパッ
クン方式で包装され陳列されるが、肉魚などから出る血
汁は外観を損ねるのでシート形態を保持したまま水分を
吸収するシートをトレイと食品との間に敷くことが行な
われている。また、青果などは包装内での結露水が鮮度
を低下させるので、この結露水を吸収するために膨潤性
のシートを用いることが行なわれている。また、室内の
結露水を吸収するために貼着するシートは、内装に適し
たものが望まれている。従来これらの用途に使用される
膨潤性シートとしては、不織布やプラスチックシートな
どに吸水性樹脂粉末をバインダーとともに塗布したシー
ト状吸水体や高吸水性繊維を配合した乾式不織布などが
知られている。しかしながら、前者は膨潤したゲル粒子
が脱落しやすく塗布量を多くできなかったり、バインダ
ーにより膨潤性が阻害されるので吸水量を多くすること
ができないし、後者は外観が布状であって外面に印刷を
施すことができないので用途が限られている。
食品包装用の吸収シートとして提案されているものと
して、通気性発泡成形物とセルロース繊維との積層材
(実公昭54−5349号)は、水分吸収量が小さい上に吸収
した液体の保持力も小さい。片面あるいは両面通気通液
層の中間層として吸水性樹脂を積層したシート(実開昭
58−49779号)は、接着剤による保持、接合を必要とし
ており製造が困難であり、また、吸水性不織シートの両
面に保護シートが一体化してなる吸収シート(実開平1
−163123号)は、両面に保護シートを必要とし、保護シ
ートとして熱可塑性樹脂からなるフイルム、熱可塑性樹
脂の繊維により形成された不織布を用いるものであるた
め、吸水性シートの層と保護シートの層を別々に作製
し、各層の接合は接着剤を用いて積層接着するか或いは
加熱圧着により接着するなどの層間接着のための製造工
程を必要としている。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、膨潤体層において十分な吸液性を有し、膨
潤後もシート形態を保持し、ゲルが強固に保持されてヒ
ドロゲルの漏出の問題もなく、湿潤強度の大きいシート
状膨潤体であって、ぬめり防止のための表面層との接合
に接着剤などを必要とせず、しかも外観が紙状である膨
潤性積層シートを提供すべくなされたものである。ま
た、本発明は、上記目的を達成する積層シートを製紙技
術を応用して連続的な製造が可能で、工業的に有利な製
造方法を提供すべくなされたものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、多官能性樹脂により架橋結合した繊維状カ
ルボキシメチルセルロースの水溶性塩が熱接着性繊維に
より接合保持されて形成された吸液層の少なくとも片面
側に、製紙用天然繊維を含む表面層が抄き合わせ接合に
より積層してなることを特徴とする膨潤性積層シートに
関する。
繊維状カルボキシメチルセルロースの水溶性塩にエピ
クロルヒドリンなどの多官能性薬剤を添加して架橋結合
を生成させると、水溶性が失われ、膨潤ゲル体が形成す
る現象は知られており、この現象に基づく吸収性繊維状
構造物が提案されている(特開昭54−52189号)。しか
し、このものは膨潤したシートの強度が弱く、このまま
では、前記のような用途に用いることができない。とこ
ろが、前記エピクロルヒドリンのような低分子多官能性
薬剤の替わりに、高分子量の分子骨格にエポキシ環のよ
うな反応性の高い官能基を多数導入した多官能性樹脂を
用いて、繊維状カルボシメチルセルロースの水溶性塩に
架橋結合を生成させた場合には、膨潤体の強度が高く、
ある程度シートの形態を保持できることが判明した。し
かし、多官能性樹脂による架橋結合のみでは、まだ実用
的な湿潤強度が不足する。本発明者は、繊維状カルボキ
シメチルセルロースを多官能性樹脂により架橋結合する
ことに加えて、熱接着性繊維を配合して加熱すると、熱
接着性繊維の軟化または溶融により繊維状カルホキシメ
チルセルロースの水溶性塩(たとえばナトリウム塩)が
接着保持され、湿潤強度に優れた膨潤性シートとなるこ
とを見出した。
ここで、熱接着性繊維とは、短繊維状又は多分岐繊維
状であって、軟化点または融点以上で軟化、溶融して接
着する乾熱融着性繊維、水分の存在下で加熱すると軟
化、溶融する短繊維状物質である湿熱融着性繊維、また
は水の存在下で加熱すると、一定温度以上の熱水に融解
し、水の蒸発により固化して接着力を発揮する短繊維状
物である熱水溶解接着性繊維などである。乾熱融着性繊
維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエス
テルなどの熱可塑性合成樹脂からなる短繊維又は多分岐
繊維、あるいは融点の異なる熱可塑性合成樹脂2種以上
から構成される熱可塑性複合繊維、例えばエチレン酢酸
ビニル共重合体とポリプロピレン、ポリエチレンとポリ
プロピレン、低融点ポリエステルとポリエステルなどか
らなる複合型短繊維などがある。また、湿熱融着性繊維
としては、変性エチレン系共重合体とポリプロピレンか
らなる複合型短繊維、熱水溶解性接着性繊維としてはポ
リビニルアルコール繊維状バインダーなどがある。これ
らの熱接着性繊維は加熱により軟化あるいは溶融して熱
可塑性樹脂の網目を形成して繊維状カルホキシメチルセ
ルロースの水溶性塩を接着保持する。
なお、多官能性樹脂としては、繊維状カルボキシメチ
ルセルロースの水溶性塩を架橋結合することのできる樹
脂であり、たとえばポリアミド・エピクロルヒドリン樹
脂、メラミン樹脂、尿素樹脂などがあるがメラミン樹脂
や尿素樹脂はホルマリンを発生するおそれがあるので、
食品以外の用途にのみ使用し、また、架橋の強化の点か
らも望ましいのはポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂
である。
第1図および第2図は、それぞれ本発明にかかる膨潤
性積層シートを示す部分断面図であり、第1図は、吸液
層1の片面に製紙用天然繊維を含む表面層2が抄き合わ
せ接合された2層構造の例であり、第2図は、吸液層1
の外側両面に製紙用天然繊維を含む表面層2が抄き合わ
せ接合された3層構造の例である。
表面層は、表面上に付着した液が素早く吸液層に透過
することができ、表面のぬめりが感知されず、且つ吸液
層との抄き合わせ接合が可能なように製紙用天然繊維を
含むものである。製紙用天然繊維とは、木材パルプ、亜
麻、ジュートなどの非木材パルプなどである。湿紙の抄
き合わせ後の加熱乾燥により、吸液層中の繊維状カルボ
キシメチルセルロースと表面層中のセルロース系繊維と
が含有する水酸基により水素結合を形成し、吸液層と表
面層が接合される。表面層において、製紙用天然繊維は
20重量%以上、望ましく50重量%以上とし、特に60重量
%以上の配合により吸液量および吸液速度が大きくな
る。
製紙用天然繊維の特性を損なうことなく、シートの強
度向上などのために他の成分を含むことができる。製紙
用天然繊維に加えて配合される成分としては、レーヨ
ン、セルロースアセテートなどの製紙用半合成繊維、ポ
リエチレンなどの熱可塑性合成繊維はポリビニルアルコ
ール繊維状バインダーなど製紙用合成繊維、ガラス繊維
またはロックウールなどの製紙用無機繊維などである。
この内、製紙用合成繊維は、前記吸液層に配合される熱
接着性繊維として列挙したものと同様なものを用いるこ
とができる。製紙用合成繊維を配合する場合には、抄紙
後の加熱乾燥等により製紙用合成繊維の軟化溶融によっ
て表面層の強度向上並びに吸液層との接合が強化され
る。製紙用合成繊維を配合しない場合には、製紙用天然
繊維に含まれるセルロースを架橋結合することによって
表面層の強度向上を図るために、ポリアミド・エピクロ
ルヒドリン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂などを添加し
て湿潤強度を向上させることが望ましい。この場合も食
品用にはポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂が望まし
い。
本発明にかかる膨潤性積層シートは、繊維状カルボキ
シメチルセルロースの分散液に、カルボキシメチルセル
ロースの架橋結合のための多官能性樹脂および熱接着性
繊維を配合した抄紙原料を抄紙して第1の湿紙を形成
し、製紙用天然繊維を含む抄紙原料を抄紙して第2の湿
紙を形成し、第1の湿紙と第2の湿紙を抄き合わせて2
層の湿紙とし、該湿紙を加熱乾燥したのち、アルカリ処
理により前記繊維状カルボキシメチルセルロースを水溶
性塩とする方法、或いは、繊維状カルボキシメチルセル
ロースの分散液に、カルボキシメチルセルロースの加工
結合のための多官能性樹脂および熱接着性繊維を配合し
た抄紙原料を抄紙して第1の湿紙を形成し、製紙用天然
繊維含む抄紙原料を抄紙して第2の湿紙を形成し、第1
の湿紙が中間層、第2の湿紙が両外側層となるように抄
き合わせて3層の湿紙とし、該湿紙を加熱乾燥したの
ち、アルカリ処理により前記繊維状カルボキシメチルセ
ルロースを水溶性塩とする方法に基づいて製造すること
ができる。
ここで、湿紙の抄き合わせは、製紙技術において通常
用いられる抄き合わせの方法を用いることができる。
第3図は、2層構造の膨潤性積層シートを製造する場
合の一例の工程図である。第3図において、吸液層を形
成するための抄紙原料3を抄紙短網4上で抄紙して、第
1の湿紙5を形成し、また、表面層を形成するための抄
紙原料6を抄紙短網7で抄紙して、第2の湿紙8を形成
する。第1の湿紙5と第2の湿紙8はフェルトロール9
群によって回転するフェルト10によって抄き合わせら
れ、2層の湿紙11となる。この2層の湿紙11は、プレス
ロール12を経て、圧着ロール13により乾燥ドラム14に接
触して加熱乾燥され、積層シート15となる。次にアルカ
リ溶液器16に取り付けられたロールコーター17により、
積層シート15にアルカリ液が塗工されて、吸液層中の繊
維状カルボキシメチルセルロースが水溶性塩となる。次
いで乾燥ドラム18により再び乾燥され、必要に応じて設
けられる加熱ロール19を経てロール状の製品20として巻
き取られる。
乾燥ドラム14及び18の温度は通常100〜120℃であり、
乾燥ドラム14における乾燥において吸液層中のカルボキ
シメチルセルロースの架橋、水酸基同士の水素結合が生
じ、さらに吸液層と表面層との層間接合も生じる。吸液
層に配合される熱接着性繊維の融点が乾燥ドラムの温度
より低い場合、たとえばポリエチレン系繊維、エチレン
酢酸ビニル共重合体などの低融点成分を含む複合繊維や
繊維状ポリビニルアルコールなどの場合には、乾燥ドラ
ム14による乾燥で溶融し、カルボキシメチルセルロース
の熱接着保持も形成されるので、加圧ロール19を設ける
必要はない。吸液層に配合される熱接着性繊維がポリプ
ロピレン、ポリエステルなどのように融点が乾燥ドラム
の温度より高いものである場合には、加熱温度を高温で
微調整できる加熱ロール19を設けて熱融着を可能とす
る。加熱ロール19は、たとえば温度範囲80〜250℃で精
度±1℃、圧力10〜100kg/cmの条件の加熱加圧が可能な
ものを使用することができる。
第4図は、3層の膨潤性積層シートを製造する場合の
一例の工程図であり、円筒形の円網が3個配列された抄
紙機を用いた場合である。吸液層を形成するための抄紙
原料21を中央の円網22上で抄紙して、第1の湿紙23を形
成し、また、表面層を形成するための抄紙原料24、25を
それぞれ側部の円網26、27で抄紙して、第2の湿紙28、
29を形成する。30、31、32はそれぞれ、円網26、22、27
との圧着ロールである。第1の湿紙23と第2の湿紙28、
29はフェルトロール9群によって回転するフェルト10に
よって、第1の湿紙が中間層となるように抄き合わせら
れ、3層の湿紙33とされる。この3層の湿紙33は、第3
図の場合と同様にして、プレスロール12を経て、圧着ロ
ール13により乾燥ドラム14に接触して加熱乾燥され、積
層シート34となり、アルカリ液容器16に取り付けられた
ロールコーター17によりアルカリ塗工がなされ、次いで
乾燥ドラム18により再び乾燥され、必要に応じて設けら
れる加熱ロール19を経てロール上の製品35として巻き取
られる。
上記において、抄紙機の部分は、第3図のように短
網、第4図のような円網の他、短網円網組み合わせな
ど、一般に製紙技術において用いられる種々の抄紙機を
用いることができる。また、第3図、第4図のように、
抄紙、アルカリ塗工、加熱ロールによる加圧加熱加工を
1台の製造機を用いて連続的に行わずに、それぞれを分
離して実施してもよい。
吸液層形成のための抄紙原料の配合割合は、繊維状カ
ルボキシメチルセルロースと熱接着性繊維が重量比で95
/5〜50/50とし、望ましくは90/10〜70/30とする。架橋
のための多官能性樹脂は、繊維状カルボキシメチルセル
ロース絶乾重量100gに対して、官能性基量が0.0002〜0.
03モルとなる範囲、好ましくは0.001〜0.01モルとなる
範囲で添加する。たとえば、多官能性樹脂としてポリア
ミド・エピクロルヒドリン樹脂を用いた場合、繊維状カ
ルボキシメチルセルロース絶乾重量に対して、0.05〜5.
0重量%、望ましく0.25〜2.0重量%程度である。
アルカリ液の塗工は、第3図、第4図のの積層シート
15或いは34の重量に対して、アルカリ液重量が70〜200
%、望ましくは80〜90%の割合となるようになされる。
アルカリ液としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸サリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグ
ネシウム、アンモニア水、メチルアミン、エタノールア
ミン等のアミン類の水溶液が列挙されるが、好ましくは
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの水溶液である。
[作用] 本発明の膨潤性積層シートにおいては、吸液層中、繊
維状カルボキシメチルセルロースの水溶性塩が多官能性
樹脂により架橋結合されることに加えて、熱接着性繊維
の軟化または溶融後の固化により接着保持されているの
で、セルロースの分子間架橋および熱接着性繊維により
形成される樹脂の網目により、繊維状カルボキシメチル
セルロースの水溶性塩同士が強固に結合し、カルボキシ
メチルセルロースの水溶性塩の膨潤したゲル内に液が吸
収されるので、吸液層は膨潤した後も十分な浸潤強度を
有してシート形態を保持し、シートを絞っても液が出て
こないほどである。また、表面層は製紙用天然繊維を含
むので、吸液速度が速く、表面の液体が素早く吸液層に
透過できる。さらに吸液層と表面層との積層は抄き合わ
せ接合によるものであり、接着剤による接合を必要とし
ない。抄き合わせ接合は、セルロース系繊維と繊維状カ
ルボキシメチルセルロースと間の水素結合により達成さ
れ、並びに吸液層に配合された熱接着性繊維の溶融接着
や必要に応じて表面層に添加される製紙用合成繊維の溶
融接着による接合力も寄与している。
また、本発明の製造方法においては、吸液層の抄紙原
料として繊維状カルボキシメチルセルロース、多官能性
樹脂と熱接着性繊維を配合し、表面層の抄紙原料として
製紙用天然繊維と必要に応じて製紙用合成繊維や多官能
性樹脂を配合し、製紙技術を利用して、抄き合わせによ
り積層湿紙を形成し、積層抄紙を加熱乾燥するので、加
熱乾燥工程において、吸液層中のカルボキシメチルセル
ロースの多官能性樹脂による架橋と熱接着性繊維による
接着保持の形成、並びに吸液層と表面層との層間接着を
同時に行うことができるとともに容易に連続製造が可能
である。
さらに、熱接着性繊維として融点温度が加熱乾燥温度
より高いものを使用する場合には、乾燥、アルカリ処理
後に更に高温で微調整のできる加熱ロールを設ければよ
く、用途に応じて各種の組成のものを容易に製造するこ
とができる。
また、さらに吸液層の片面のみに表面層を設けること
により、他方の片面にポリエチレンやポリプロピレンを
ラミネートするなど種々の2次加工も可能である。
[実施例] 以下に本発明にかかる膨潤性積層シートの実施例を示
すが、各実施例において、膨潤性積層シートの吸水量、
湿潤引っ張り強さ、湿潤状態でのぬめりの程度は次のよ
うにして評価した。
<吸水量> 10cm×12cmの試験片を水道水1000ml中に30分間浸漬し
た後、重量既知の布製の袋に入れ、700Gで5分間遠心脱
水してから試験片の重量を測定した。給水量は次式によ
り算出した。
<湿潤引っ張り強さ> 幅15mm、長さ200mmの試験片を20℃の水道水中に30分
間浸漬した後、ろ紙で過剰水を拭い、ショッパー式引っ
張り試験機で引っ張り強さを測定した。
<湿潤状態でのぬめり> 10cm×12cmの試験化を水道水1000ml中に3分間浸漬し
てから引き上げ、試験片表面の感触を官能評価した。
実施例1 第1の抄紙原料として、繊維状カルボキシメチルセル
ロース(エーテル化度0.43、ニチリン化学(株)社製)
80重量%、ポリプロピレンとエチレン酢酸ビニル共重合
体の芯鞘型熱融着性複合繊維(大和紡績(株)社製商品
名NBF−E )20重量%を水中に分散した混合繊維原料
に、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂(ディックハ
ーキュレス社製商品名カイメン557H)(以下、カイメン
557Hと略す)と繊維状カルボキシメチルセルロース絶乾
重量に対して固形分で1重量%の割合で添加したものを
用意した。
第2の抄紙原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(以
下、NBKPと略す)を500mlCFSまで叩解し、NBKP絶乾重量
に対して固形分で0.5重量%のカイメン557Hを添加した
ものを用意した。
円網シリンダーを2基備えたヤンキー式円網抄紙機の
個々の円網シリンダーに、上記2種の抄紙原料を導入
し、第1の抄紙原料から形成される第1の湿紙と、第2
の抄紙原料から形成される第2の湿紙を抄き合わせて2
層の湿紙を形成し、次いで乾燥ドラム(温度110℃)に
接触させて加熱乾燥して、坪量70g/m2の2層抄き合わせ
紙を作成した。第1の湿紙から形成された吸液層の坪量
50g/m2、第2の湿紙から形成された表面層の坪量が20g/
m2であった。
次に、該2層抄き合わせ紙へロールコーターにより濃
度5重量%の炭酸ナトリウム水溶液を塗布し、吸液層中
のカルホキシメチルセルロースをナトリウム塩に変換
し、膨潤性を有する積層シートを得た。
得られた膨潤性積層シートについて、吸水量、湿潤引
っ張り強さ、湿潤状態でのぬめるの評価結果を第1表に
示した。
尚、比較のため、ティッシュペーパー、ろ紙について
の評価結果も比較品として第1表に示した。
第1表に見られるように、実施例1に基く本発明品
は、自重の20倍量の水道水を吸収し、吸収後も高い湿潤
強度を有しているためシート形態を保持することができ
た。このシートの吸液層側の外面にアクリル系感圧接着
剤((株)スリーボンド社製商品名スリーボンド1548)
をスクリーン印刷により格子状に塗布し、温湿度可変式
チェンバー(田葉井製作所製)の内面に貼合してチェン
バー内を30℃、RH90%から1℃へ冷却した。この膨潤性
積層シートを貼合しない場合はチェンバー内に結露水が
発生したのに対して、このシートを貼合した場合には結
露水の発生は見られず、このシートが結露水の発生を防
ぐ効果があることが明らかであった。
また、このシートは外観が紙状であり、印刷などを施
して内装品などに使用するのにも好適であった。
実施例2 実施例1と同様にして、第1の抄紙原料と第2の抄紙
原料を用意した。短網式抄紙機を3基備えたヤンキー式
短網抄紙機の個々の抄紙機のうち中央の1基に第1の抄
紙原料を、側部の2基に第2の抄紙原料を導入し、第1
の抄紙原料から形成される第1の湿紙が、第2の抄紙原
料から形成される第2の湿紙によって挟まれた3層構造
の抄き合わせ湿紙を形成し、次いでこれを乾燥ドラム
(温度120℃)に接触させて加熱乾燥して、坪量70g/m2
の3層抄き合わせ紙を作成した。
この3層抄き合わせ紙は、第1の湿紙から形成された
中央の吸液層の坪量が40g/m2で、第2の湿紙から形成さ
れた両外側の表面層の坪量が15g/m2であった。
次に、この3層抄き合わせ紙へロールコーターにより
濃度5重量%の炭酸ナトリウム水溶液を塗布し、膨潤性
を有する積層シートを得た。
得られた膨潤性積層シートについて、吸水量、湿潤引
っ張り強さ、湿潤状態でのぬめりの評価結果を第1表に
示した。
第1表に見られるように、実施例2に基づく本発明品
は、自重の18倍量の水道水を吸収し、吸収後も高い湿潤
強度を有しているためシート形態を保持することができ
た。
このシートを縦30cm、横20cmに裁断して栗輸送用の段
ボール箱に敷き、このシートの上に栗60個を置き、その
上に更にこのシートを敷いて同様にして5段に重ね、室
温に放置した。2日後に箱を明けたところ栗の表面及び
箱の底面に結露水は全く見られなかった。
一方、このシートを使用しないものは栗の表面および
箱の底面に結露水が付着しており、水分過多により栗の
品質が著しく損なわれていた。
実施例3 第1の抄紙原料として、繊維状カルボキシメチルセル
ロース(エーテル化度0.43、ニチリン化学(株)製)90
重量%、エチレン酢酸ビニル共重合体とポリプロピレン
の芯鞘型熱融着性複合繊維(チッソ(株)製商品名EA繊
維)(以下、EA繊維と略す)10重量%を水中に分散した
混合繊維原料に、カイメン557Hを繊維状カルボキシメチ
ルセルロース絶乾重量に対して固形分で1重量%の割合
で添加したものを用意した。
第2の抄紙原料として、NBKP60重量%、ポリエチレン
系合成パルプ(三井石油化学工業(株)製商品名SWP)3
0重量%、EA繊維10重量%を配合して550mlCSFまで叩解
した後、カイメン557HをNBKP絶乾重量に対して固形分で
0.5重量%の割合で添加したものを用意した。
実施例1で用いたの同じヤンキー式円網抄紙機を用
い、坪量を75g/m2とした他は実施例1と同様にして2層
の抄き合わせ紙を形成した。この抄き合わせ紙の吸液層
の坪量は55g/m2であり、表面層の坪量は20g/m2であっ
た。
次に、該2層抄き合わせ紙へロールコーターにより濃
度5重量%の炭酸ナトリウム水溶液を塗布し、膨潤性を
有する積層シートを得た。
得られた膨潤性積層シートについて、吸水量、湿潤引
っ張り強さ、湿潤状態でのぬめりの評価結果を第1表に
示した。
第1表に見られるように、実施例3に基づく本発明品
は、自重の14倍量の水道水を吸収し、吸収後も高い湿潤
強度を有しているためシート形態を保持することができ
た。吸水膨潤したシートの表面層は全くぬめりが感知さ
れないため、食品と直接接触する用途にも支障が認めら
れなかった。
このシートの吸液層側に外面にエクストルーダーを用
いてポリプロピレンを20μの厚さにラミネートし、表面
層・吸液層・ポリプロピレンラミネート層の3層の積層
体を製造した。この積層体の表面層を上にしてポリスチ
レンペーパー製の容器内に敷き、まぐろの刺身を置いて
5時間放置したところ、刺身より出た魚肉汁はすべてこ
の積層体中に吸収され、積層体を指で押さえても吸収さ
れた魚肉汁は外部に漏れることはなかった。このように
この積層体は、吸液膨潤性シートを用いない場合に比較
して刺身の外観を損ねることがなく、商品価値を維持で
きることが明白であった。
[発明の効果] 本発明によれば、湿潤強度の大きい膨潤性シートであ
って、十分な吸液が可能であり、且つ膨潤してもシート
形態を保持し、表面に付着した液の吸収速度が大きいも
のが得られる。しかも外観が紙上であるので、表面への
印刷加工が可能であり、吸液膨潤性シートとして各種の
用途に使用することができる。また、本発明方法によれ
ば、吸液層と表面層のシート化と接合が容易に行なわ
れ、連続製造も可能であり、工業的に有利である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明にかかる2層構造の膨潤性積層シート
の一例を示す断面図であり、第2図は、本発明にかかる
3層構造の膨潤性積層シートの一例を示す断面図であ
る。第3図は、2層構造の膨潤性積層シートを製造する
場合の一例を示す工程図であり、第4図は、3層構造の
膨潤性積層シートを製造する場合の一例を示す工程図で
ある。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多官能性樹脂により架橋結合した繊維状カ
    ルボキシメチルセルロースの水溶性塩が熱接着性繊維に
    より接合保持されて形成された吸液層の少なくとも片面
    側に、製紙用天然繊維を含む表面層が抄き合わせ接合に
    より積層してなることを特徴とする膨潤性積層シート。
  2. 【請求項2】繊維状カルボキシメチルセルロースの分散
    液に、カルボキシメチルセルロースの架橋結合のための
    多官能性樹脂および熱接着性繊維を配合した抄紙原料を
    抄紙して第1の湿紙を形成し、製紙用天然繊維を含む抄
    紙原料を抄紙して第2の湿紙を形成し、第1の湿紙と第
    2の湿紙を抄き合わせて2層の湿紙とし、該湿紙を加熱
    乾燥したのち、アルカリ処理により前記繊維状カルボキ
    シメチルセルロースを水溶性塩とすることを特徴とする
    膨潤性積層シートの製造方法。
  3. 【請求項3】繊維状カルボキシメチルセルロースの分散
    液に、カルボキシメチルセルロースの架橋結合のための
    多官能性樹脂および熱接着性繊維を配合した抄紙原料を
    抄紙して第1の湿紙を形成し、製紙用天然繊維含む抄紙
    原料を抄紙して第2の湿紙を形成し、第1の湿紙が中間
    層、第2の湿紙が両外側層となるように抄き合わせて3
    層の湿紙とし、該湿紙を加熱乾燥したのち、アルカリ処
    理により前記繊維状カルボキシメチルセルロースを水溶
    性塩とすることを特徴とする膨潤性積層シートの製造方
    法。
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