JP2651857B2 - 回転カッター式シールド掘進機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、ふたつの円形シールドを連結した二連形シ
ールド掘進機に関し、特に直径が大きい二連形シールド
掘進機に関するものである。

〈従来の技術〉 シールド掘進機は筒状に構成してあるが、この筒の前
面を板体で閉塞してこの板体を回転させて土砂を取り込
みながら前進する構造のものが存在する。

前面で回転する板体を１枚で構成すると、掘り残しは
発生しないが、大きな回転動力が必要となる。

そのために掘削断面が大きくなると先端に１枚の板体
ではなく、複数のカッターを配置して各々に掘削範囲を
担当させる構造を採用している。

しかし、こうしたシールド掘進機では、カッターを前
後にずらした構造でない限り、各カッターの回転軌跡を
重ねることができない。

従って隣接する回転軌跡の間は掘削ができず、この部
分の土砂が残ってしまうことになる。

ただし通常の直径のシールド掘進機の場合には、その
部分の土砂も周囲の掘削にしたがってすぐに崩壊して周
囲のカッターによって掘削されるからあまり問題がな
い。

〈本発明が解決しようとする問題点〉 しかし直径がたとえば10mを越えるような寸法の装置
で、しかも二連形のシールド掘進機となると、特に二つ
の円形断面が重なる部分の掘削が困難となり、掘進に対
する大きな抵抗となってしまう。

〈本発明の目的〉 本発明はこのような問題を解決するためになされたも
ので、直径が大きな二連形シールド掘進機でも、円形の
重合部分を含めて全範囲にわたって土砂の掘削を行うこ
とのできるシールド掘進機を提供することを目的とす
る。

〈本発明の構成〉 次に本発明の一実施例について説明する。

〈イ〉二連形シールド掘進機の形状 二連形シールド掘進機は円形断面のシールド掘進機１
を二組み組み合わせ、円の一部を重合させた構造の装置
である。

そして各シールド掘進機１ごとに、その中心には中央
カッター２を備え、その中央カッター２の周囲には複数
の衛星カッター３を位置させる。

〈ロ〉中央カッター そして各シールド掘進機１の前面には隔壁を設ける
が、隔壁は、中央に位置する中央隔壁11と、その周辺を
取り巻くドーナツ状の周辺隔壁12によって構成する。
（第２図） この中央隔壁11の中心位置に、中央カッター２を位置
させる。

中央カッター２の直径は、各シールド掘進機１の直径
よりも小さく構成する。

〈ロ〉衛星カッター 中央カッター２の周囲には、周辺隔壁12を回転軸を取
り付けた多数の衛星カッター３を配置する。

この衛星カッター３の直径は、各シールド掘進機１の
外径と、中央カッター２の外径の差である。

〈ハ〉衛星カッターの移動 本発明の衛星カッター３の軸31は、それ自身が回転す
るだけではない。

自転すると同時に、中央カッター２の周囲を多少の距
離だけ移動し得るように構成する点を特徴とする。

その場合に、衛星カッター３が、中央カッター２の周
囲を回転し、左右の衛星カッター３がお互いに歯車状に
噛み合う構造を採用することもできる。

〈ニ〉移動の構造 衛星カッター３を、中央カッター２の周囲を移動させ
るためには、例えば周辺隔壁12のみを多少の距離だけ往
復回転自在に構成する。

そのためには周辺隔壁12を摺動ジャッキ４群によって
回転移動させる方法（第３図）、ギアによって回転移動
させる方法などの手段を採用することができる。

周辺隔壁12が、中央カッター２の周囲を回転（円周方
向への移動）すれば、周辺隔壁12に回転軸31を取り付け
た衛星カッター３も同時に移動することになる。

〈ホ〉隔壁の分割 すべての衛星カッター３の軸31は周辺隔壁12に取り付
けられているから周辺隔壁12を往復回転すればすべての
衛星カッター３は同時に同距離だけ移動する。

しかし周辺隔壁12を分割し、分割した各周辺隔壁12ご
とにジャッキなどを配置する方法を採用することもでき
る。

こうして分割した周辺隔壁12の単独の移動を可能とす
れば、その周辺隔壁12に取り付けた衛星カッター３のみ
を移動することができる。

〈ト〉重合部分の掘削 二つのシールド掘進機１は一部が重合しているから、
衛星カッター３が無差別に回転していては、重合部分で
衛星カッター３が衝突してしまう。

そこでシールド掘進機の重合部分においては、衛星カ
ッター３が交互に通過するように構成する。（第１図） あるいは一方のシールド掘進機１の衛星カッター３群
を相互に接近させて重合部に空間を作っておき、他方の
シールド掘進機１の衛星カッター３群のみを移動させる
方法を採用することもできる。（第４図） こうした両機構の同調は、機械的にも、電気的にも容
易に構成することができる。

〈本発明の効果〉 本発明のシールド掘進機は上記のように構成したか
ら、次のような効果を期待することができる。

〈イ〉直径が大きい二連形のシールド掘進機において
も、掘削をし残す部分が発生しない。

すなわち、円の重合部分において、掘削の残りをカッ
ターの移動によって処理するから、掘り残しが発生せ
ず、前進の抵抗が発生しない。

〈ロ〉しかも各シールド掘進機においても中央カッター
の直径を小さくできるためにカッターの外周速度を同一
とすれば、カッターの回転速度は上昇する。

回転速度が上昇すれば掘削能力が向上し、その結果工
事期間を短縮できることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図：本発明の装置の一実施例の正面図 第２図：その断面図 第３図：隔壁移動の構造の一実施例の説明図 第４図：他の実施例の正面図

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ふたつの円形シールドを連結した二連形シ
   ールド掘進機において、 各円形シールド掘進機の内部には、 各円形断面の直径よりも小さい直径の中央カッターと、 その中央カッターの周囲に配置した複数の衛星カッター
   とを設け、 衛星カッターが、中央カッターの周囲を移動しうるよう
   に構成した、 回転カッター式シールド掘進機