JP2651773B2 - 気相法ダイヤモンド合成法及び合成装置 - Google Patents

気相法ダイヤモンド合成法及び合成装置

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JP2651773B2
JP2651773B2 JP2322793A JP2322793A JP2651773B2 JP 2651773 B2 JP2651773 B2 JP 2651773B2 JP 2322793 A JP2322793 A JP 2322793A JP 2322793 A JP2322793 A JP 2322793A JP 2651773 B2 JP2651773 B2 JP 2651773B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐摩耗性、耐食性、高熱
伝導性、高比弾性等の特性を有し、研磨材、光学材料、
超硬工具材、揺動材、耐蝕材、音響振動材、刃先材用部
材等に有用な膜状、粒状のダイヤモンドの気相法合成に
関する。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドの合成法としては、超高圧
条件下での、鉄、ニッケル系等の触媒による合成法や爆
薬法による黒鉛の直接変換法が従来より実施されてい
る。近年低圧CVD法として、炭化水素又は窒素、酸素
等を含む有機化合物と水素との混合ガスを熱フィラメン
ト、マイクロ波プラズマ、高周波プラズマ、直流放電プ
ラズマ、直流アーク放電等により、励起状態としてダイ
ヤモンドを合成する方法が開発された。本出願の発明者
らは前記CVD法を改良した方法として、ダイヤモンド
析出用原料化合物を不完全燃焼領域を有する様に燃焼さ
せ、該不完全燃料領域又はその近傍に設けた基材にダイ
ヤモンドを析出させる燃焼炎法のダイヤモンド合成法を
開発し、第35回応用物理学会関係連合講演会(講演予
行集第2分冊434頁29a−T−1)にて発表し、特
開平1−282193号として開示した。又特願平1−
98058号(特開平2−279593号)では、燃焼炎
による気相法ダイヤモンドを合成する方法において、函
体中でのダイヤモンドの合成法を出願した。更に、特願
平2−196345号(特開平4−83797号)におい
ては、燃焼炎の内炎部に有機化合物又は有機化合物と不
活性ガス又は水素の混合ガスを直接導入することによ
り、良質のダイヤモンドの析出速度を高める方法を開示
した。しかし函体燃焼炎法ではダイヤ合成域の拡大、均
一性、時間安定性は向上したが、限界が存在し、更なる
改善が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開平1−28219
3号の発明は従来法に比べ簡易な手段でしかも大面積の
膜状ダイヤモンドを生成し得る気相合成法であって、具
体的には炭素を含むダイヤモンド析出用原料化合物を不
完全燃料領域を有するように燃焼させ、該不完全燃焼領
域中、又は該領域の近傍の非酸化性雰囲気中にダイヤモ
ンドを析出させる方法である。この方法は炭素を含む原
料化合物より、燃焼炎を形成させるのみで基材上にダイ
ヤモンドを析出させることが可能であり、従来のCVD
法に比べ画期的に優れた方法である。しかし、この方法
では雰囲気の気体の影響により、析出物の質的或いは量
的なコントロールは容易ではない。特開平2−1960
94号には外炎を分離した内炎を基板に接触させ基板上
にダイヤモンドを合成する方法が開示されているが、内
炎に基板が接触すると基板温度の制御が困難となるため
析出ダイヤモンドの質的不均一、析出面積が狭い等の問
題が有る。又析出面積増大のため基板上に内炎を操作さ
せる方法も述べられているが、ダイヤモンドの著しい質
的低下、析出速度の低下等が起こるため、より安定した
品質のダイヤモンド合成と広い面積への高速析出が求め
られていた。
【0004】 一方、特願平1−98058号(特開平
2−279593号)において、函体内にて燃焼炎によ
る気相法ダイヤモンドを合成することにより不完全燃焼
領域の増加による析出速度の増加が図られ、量産化への
可能性が開かれた。しかしこれらの簡易な手段でしかも
大量の膜状或いは粒状のダイヤモンド析出を行なわせる
ことにより、各種基材へのコーティング膜、又は大面積
或いは立体形状をはじめとする自立体等、様々な形状の
ダイヤモンド膜、粒状又は粉体製品を実用化するために
は、ダイヤモンドの析出領域の一層の増大と、析出ダイ
ヤモンド品質の均一性向上という課題が残されていた。
本発明は燃焼炎内ラジカル反応の制御技術の向上によ
り、上記課題を解決しようとすることを目的としてお
り、その為の手段を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の目的
を達成するために燃焼炎のプラズマ状態を制御する手法
につき鋭意研究を重ねた結果一般的燃焼炎が大気中、即
ち酸素含有雰囲気内で形成する内炎、2次燃焼炎である
外炎を分離し、独立の空間内で燃焼させる極めて新規な
手法を見出し、この手法を用いることにより、目的を達
成することを確認して本発明を完成した。
【0006】即ち本発明は炭素を含むダイヤモンド析出
用原料化合物、或いは、該化合物と酸素との混合ガスを
燃焼させて燃焼炎を形成させ、基材上にダイヤモンドを
析出させる気相法ダイヤモンド合成法において、燃焼炎
の内炎と外炎との間に空間を存在させ、該空間中におい
てダイヤモンドを析出させる気相法ダイヤモンド合成法
及び、ダイヤモンド合成用原料化合物燃焼炎形成用バー
ナー、燃焼炎を空間をおいて内炎と外炎とに分離する手
段、該空間に設けられたダイヤモンド析出用基材を有す
る気相法ダイヤモンド合成装置に関する。そして本発明
方法においては、形成された外炎が消失した場合や更に
他の原料化合物を供給する方法や内炎と外炎間空間周辺
に加熱金属がさらに存在する方法、及び本発明装置にお
いては、更に該原料化合物供給手段を含む装置や内炎と
外炎間空間周辺に加熱金属が存在する装置も含まれる。
この加熱金属はダイヤモンド析出原料より生成せるダイ
ヤモンド生成前駆体であるラジカルの励起状態均一化及
び励起状態保持の作用がある。更に本発明においては複
数の燃焼炎を形成させる方法及びその方法を実施するた
めにバーナーが複数配設された装置も含まれる。
【0007】本発明においては、可燃性ガスと酸素の混
合ガスの燃焼内炎と2次炎(外炎)との間の空間に第3
成分としてダイヤ合成用有機化合物と水素又は不活性ガ
スの混合ガスを導入することにより内炎中に存在するラ
ジカルとの反応により空間が励起される。この第3成分
は燃焼炎形成ガスと混合して加えても、又独立して加え
てもよい。独立して加える場合は、内炎に接する位置に
加えるか、又はダイヤ析出用基体の近傍又は基体自身に
吹き付けてもよい。こゝで言う不活性ガスとは、Ar,
He,Ne,Xe,Kr,窒素の単独又は混合ガスをい
う。従来内炎中又はごく近い内炎近傍でのみダイヤ合成
が可能であったが、内外炎を分離した場合、常圧下でも
内炎長の数倍の距離位置に於いても自形を有するダイヤ
合成が可能となった。更に加熱金属に反応気体を接触さ
せることにより析出ダイヤの均一化や析出速度の向上が
可能となる。尚加熱金属とは、W,Cr,Mo,Zr,
Ti,Al等、反応空間、とりわけ加熱金属に接する部
分の温度に耐えられる金属でコスト的に実用的なもので
良く、構造は望ましくは反応空間を包囲する円筒状が良
い。又、その加熱は燃焼内炎による熱であっても、又、
電熱による加熱、RF加熱等の手段でも良い。又燃焼炎
形成用バーナーを複数個設けて、複数の燃焼炎を生成さ
せることにより、内炎と外炎との間のダイヤ合成空間拡
大し得る。
【0008】燃焼炎は一種のプラズマ状態であり、従来
の不完全領域を有する燃焼時には、内炎中又はそのごく
近傍では、ダイヤモンド析出に有用なラジカルCH3
CH2 ,C2 ,CH,H等が存在するが空間寿命は極め
て限られていた。しかし、内外炎を分離し内炎近傍に炭
化水素又は含酸素又は窒素化合物ガス又は、それらと水
素との混合ガスを接触させることによりダイヤ合成に有
用なラジカルの存在空間を数倍に拡大することができ
る。この拡大空間はガス温度、圧力にも依存するがガス
温度が300℃以上ならば内炎体積の50倍程度まで拡
大可能で、その体積は低圧力程大きい。更に加熱金属を
設ける場合、その温度を300℃以上にすると均一化析
出速度は向上する。例えば500℃で1.1〜2.3倍
の析出速度となる。更に燃焼炎を複数設けることによ
り、ダイヤ合成領域の拡大が可能となる。又、内炎より
離れた空間を加熱、熱フィラメント、マイクロ波、R
F、EACVD法、光励起、ECRプラズマ、直線放電
プラズマ等の補助励起を重畳して均一、安定化すること
が可能である。
【0009】内外炎が空間を介して別々に形成する燃焼
炎形成方法の一例を図1に示す本発明の装置の一例に基
づいて説明する。
【0010】図1において11は円筒状バーナー、12
は外とう管である。外とう管は中空直筒管で内径は円筒
状バーナーの外径の数倍、長さは円筒状バーナーの1.
5倍位が好ましい。外とう管は燃焼炎に接触するので耐
熱性材、例えば石英等が用いられる。バーナー、外とう
管は同心円状に図1に示されるように通常直立して用い
られる。外とう管12の底部には空気が浸入しないよう
にゴム栓等のシール機構13が設けられている。又、外
とう管はバーナー11に沿って移動可能に設けられてい
る。14は内炎(例えばアセチレンフェザー)、15は
白心、16は外炎(2次炎)である。17はダイヤモン
ド析出用基板、18は水冷支持台、19はバーナー外周
部スリットである。バーナー点火時には外とう管12は
バーナー11と同じ高さとし、点火後徐々に外とう管を
バーナーに対して同心円状に平行移動させると図1に示
すようになる。
【0011】次に図1に示す装置を用いて内外炎分離の
手順を説明する。先ず、燃焼用ガスと支燃剤である酸素
ガスとの混合ガスをバーナーに供給し、点火、燃焼させ
一次炎(内炎)と2次炎(外炎)を形成安定させる。そ
の後、外とう管を徐々に引き上げて行く、すると最初の
時(外とう管停止時)の外炎の高さの2倍程度に外とう
管が上がった所で外炎は外とう管上部、内炎はバーナー
火口には残る。この状態は安定性高く保つことが可能で
ある。場合によっては、外炎が外とう管上部に移行する
時外炎が消える時があるが、その場合には外とう管上部
で点火することができる。外とう管高さの調整によりダ
イヤモンド合成可能空間体積は制御可能となる。この外
とう管内部が良好なダイヤ合成可能な空間となる。
【0012】図2は他の本発明方法実施が容易な装置で
ある。図2においてAは反応容器、21は円筒状バーナ
ー、24は内炎、25は白心、26は外炎、27はダイ
ヤモンド析出用基板、28は水冷支持台、29はバーナ
ー外周スリット部、30は外炎形成用管である。この装
置においては反応容器A内のバーナー21に燃焼用ガス
と支燃剤である酸素との混合ガスを供給点火し、燃焼炎
を形成し、外炎(2次炎)形成のために必要な空気(酸
素)を遮断すれば、反応容器A内には燃焼内炎24(1
次炎)が外炎(2次炎)を伴わずに形成できる。反応容
器からは外炎形成用管より気体が排出するが、この排出
気体に点火すれば外炎26となる。即ち、分離された内
外炎を生ずる。
【0013】尚本発明においては、前述のように複数の
バーナーを設けて、複数の燃焼炎を形成させることによ
り、ダイヤモンド合成領域が拡大される。図3はその基
本的な一例を示す。31は先端に複数のバーナーを有す
るガス導入管であり、図3においてはバーナーの数は4
ケである。各バーナーは図1と同様にその外周部にスリ
ット部を有する(図では省略)。32は外とう管、33
は外とう管底部のシール機構、34は内炎、35は白
心、37は冷却水等通水可能な水冷支持台38に取付け
られたダイヤモンド析出用基板である。外とう管の頂部
には外炎36形成用の孔を有するキャップ40を有す
る。更に図4,図5,図6に複数のバーナーを有する本
発明の装置におけるバーナー、基板の関係位置を示すも
のである。夫々の図において、41,51,61はバー
ナー、42,52,62は外とう管、44,54,64
は夫々のバーナーの先端に生成せる内炎、50,60,
70は夫々の外とう管先端に取付けられたキャップ、4
6,56,66はキャップの孔に生成せる外炎、47,
57,67はダイヤモンド析出用基板を示す。図6にお
いて基板67は中央の凹んだ円板であり、その円板底部
に密着した水冷支持台68が取付けられている。図4に
おいては、基板47を、上下動させることにより、基板
に対するダイヤモンド析出が均等になる。同時に図6に
おいて水冷支持台を回転運動させることにより、ダイヤ
モンドの基体への析出を均等化することができる。図
7,図8は内炎と外炎間空間に加熱金属が更に存在する
本発明の装置の代表的な例を示す。尚図8においては添
加導入管が更に設けられている。夫々の図において、7
1,81は先端が4本に分岐したバーナー、72,82
は外とう管、73,83は外とう管底部のシール機構、
74,84(各バーナーの先端に生成せる)内炎、7
5,85は白心、76,86は外炎、77,87はダイ
ヤモンド析出用基板、78,88は析出用基板の水冷支
持台、79,89は加熱金属である。又80,90は外
炎を形成するキャップ、91は添加ガス導入管である。
【0014】本発明に使用する燃焼用ガスとしてはメタ
ン、エタン、プロパン、ブタン等の飽和炭化水素、エチ
レン、プロピレン、ブチレン、アセチレン等の不飽和炭
化水素、ベンゼン、スチレン等の芳香族炭化水素、エチ
ルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン基
を含む化合物、ジエチルエーテル等のエーテル類、その
他アルデヒド化合物、含窒素化合物、一酸化炭素等すべ
てが使用可能である。又、前述の化合物は、1種又は2
種以上を混合して用いることができる。通常、例えばア
セチレン、スチレン、アレン、プロパン等の原料ガスに
酸素を添加し、燃焼炎を形成し、酸素添加量の調整によ
り不完全燃焼域の体積を調整することが可能である。
【0015】一例をあげるならば、酸素−アセチレン系
の場合、O2 /C22 0.5〜2が好ましく、より好
ましくは0.7〜1.2である。0.7より少ない場合
は、すすが発生し易い。ガス組成としては一般的に用い
られる炭化水素や含酸素、窒素、有機化合物と水素ガス
の混合ガスが使用可能であり、これらに不活性ガス、C
O、CO2 、水蒸気等を混合してもよい。析出基材温度
は500〜1200℃で、より好ましくは800〜11
00℃であり、冷却することによりこの基材温度範囲に
制御可能である。又内炎と外炎間空間周辺に加熱金属が
設けられている場合、加熱金属の温度は300℃〜15
00℃、好ましくは500〜1200℃に保持される。
ダイヤモンド析出用基材は通常CVD法が用いられるも
のが使用できる。即ちSiウェハー、SiC燒結体、S
iC粒状物の外にW、WC、Mo、TiC、TiN、サ
ーメット、超硬合金鋼、高速度鋼等の形状物及び粒状物
を例示できる。
【0016】
【実施例】以下本発明を実施例、比較例により説明す
る。 実施例 1 図1に示す装置を用いた。円筒状バーナーはアセチレン
バーナーを用いた。バーナー口は外径1.8mm、内径
1.0mm、そしてその外周を内径5mmの管がとりま
いてバーナー外周との間にスリット部を形成している。
外とう管は内径10mmの石英ガラス管である。先ず外
とう管端部とバーナーの端部とが同一平面状になるよう
にし、アセチレン570cc/分、酸素550cc/分
(酸素/アセチレン比0.96)の混合ガスによりバー
ナー口より燃焼炎を形成させた。次に石英管を移動させ
てバーナー口と石英管上端との距離を70mmにしたと
ころ、外炎は石英管に分離し、内炎は12mmの長さと
なった。次に5mm角、厚さ0.5mmのSi基材を水
冷支持台上に固定し、火口より35mmの距離に固定
し、基材温度を850℃に調整した。次にエタノール濃
度3%の水素混合ガス36cc/分を内炎の外周部スリ
ットから導入した。60分の反応後、基材体積物を電子
顕微鏡により観察を行なったところ、自形のよく発達し
た0.5〜2μmのダイヤモンド結晶が基材に析出して
いることを確認した。更にこのダイヤモンドの顕微ラマ
ン分光分析を行なった結果、ラマンシフト1333cm
-1にダイヤモンド結晶による鋭いピーク1本のみを示し
た。
【0017】比較例 内炎外周部スリットからエタノール/水素混合ガスを供
給させなかった以外、全て実施例と同一な条件で合成を
行なった。その結果基板上に僅かに炭素質の微粒が析出
しているのみで、ダイヤモンドはラマン分光でも認めら
れなかった。
【0018】実施例 2 実施例1と同様の装置を用い、バーナーよりアセチレン
620cc/分、酸素558cc/分(酸素/アセチレ
ン比0.90)の燃焼炎を形成し、実施例1と全く同様
にして、外炎を石英管上部に分離した。内炎は14mm
の長さとなった。次に5mm角、厚さ0.5mmのMo
基材を水冷支持台上に固定し、火口より10,17,2
0mmの距離に固定し3回の実験を行なった。尚60分
の反応後、基材堆積物を電子顕微鏡により観察を行なっ
たところ、各々の場合自形のよく発達したダイヤモンド
結晶から、やや自形のくずれた結晶が各々の基材に析出
していることを確認した。更にこれらのダイヤモンドの
顕微ラマン分光分析を行なった結果、ラマンシフト13
33cm-1にダイヤモンド結晶によるピークを認めた。
結果を次に示す。 No. 基板設定距離 析出状況 ラマンシフト 1333cm-1 1550cm-1付近 1.10mm 全面膜状析出、5μm位の 鋭く、高い ほとんど 粒径で、(111)面が多い。 なし 2.17mm 2μm自形粒が2.8φの 鋭いNo.1の ブロードな低 領域に分散析出。 0.7の高さ いピーク 3.20mm 0.5μm程度の自形の No.1の高さの ブロードな くずれた粒径が1.5φ 1/3位 ピーク に分散析出。
【0019】実施例 3 実施例1で用いた合成装置のバーナーにプロパン/酸素
混合ガスを供給してダイヤ膜合成を行った。先ず外とう
管端部とバーナーの端部とが同一平面状になるように
し、プロパン680cc/分、酸素1450cc/分
(酸素/プロパン比2.3)の混合ガスによりバーナー
口より燃焼炎を形成させた。次に石英管を移動させてバ
ーナー口と石英管上端との距離を80mmにしたとこ
ろ、外炎は石英管に分離し、内炎は13mmの長さとな
った。次に5mm角、厚さ0.5mmのSi基材を水冷
支持台状に固定し、火口より16mmの距離に固定し、
基材温度を800℃に調整した。次にエタノール濃度
1.5%の水素混合ガス30cc/分を内炎の外周部ス
リットから導入した。60分の反応後、基材堆積物を電
子顕微鏡により観察を行ったところ、数μmの丸味をも
った粒の内に、自形のでたダイヤモンド結晶が点在して
膜状析出していることを確認した。更にこの析出物の顕
微ラマン分光分析を行った結果、ラマンシフト1333
cm-1にダイヤモンド結晶による鋭いピークと1550
cm-1にブロードな低いピークを認めた。
【0020】実施例 4 図3に示す装置を用いた。バーナーは4ケある。各バー
ナーの寸法は実施例1で用いたものと同一である。この
4本のバーナーの中心軸が、一辺8mmの正方形の各角
になるように配置され、その配置中心に設けられたガス
の導入管31にバーナーが取付けられている。石英外と
う管は長さ150mmで最上部に銅製のキャップをセッ
トしてある。このキャップは、最上部中心が内径7mm
の穴が明いた構造となっている。各バーナーにアセチレ
ン530cc/分、酸素504cc/分(酸素/アセチ
レン比0.95)を供給して内外炎分離を行った。各炎
は内炎(アセチレンフェザー)が約10mmの長さにな
り4本の内炎が並列に形成された。次に水冷支持台に保
持されたSi(20mm、厚さ0.5mm)基板をバー
ナー火口より約18mm(即ち、内炎から約8mm)の
距離に基板中心とバーナー列配置中心を合わせて1時間
保持した。基板温度は約900℃に保ち、放射温度計で
モニターしながら水流により制御した。基板冷却後、基
板表面を光学顕微鏡観察を行った所、ダイヤ自形がやや
出た1〜2μmの析出物が20mm基板全面に分散析出
していた。各バーナー位置対応の中間位置にも析出し、
反応域の拡大が確認できた。この析出粒はラマン分光の
結果ダイヤである事が確かめられた。
【0021】実施例 5 図3に示す装置を用いた。先ず各バーナーに実施例4と
全く同様にガスを供給して点火、内外炎分離を行った
後、各バーナーに付属する内径5mmのバーナーを外囲
する第3成分添加用スリットから各々アセトン濃度2.
3%の水素混合ガス30cc/minを噴出させた。そ
の後Siウェハー20mm、厚さ0.3mmtの基板を
水冷支持台に固定し、各バーナー火口より約20mmの
距離に基板中心をバーナー配置中心上に位置させ基板温
度を950℃に保った。この時各バーナーからの内炎の
高さは約12mmであった。即ち基板は内炎最上部よ
り、約8mm上の位置に対向していた。この状態で60
分間保持後、基板表面を光学顕微鏡観察を行った所約
2.5μmの自形を持った結晶粒が緻密に膜状析出して
いた。この結晶粒はラマン分光分析の結果1333cm
-1に鋭いダイヤモンドのピークを持ち、1550cm-1
付近に非常に低くブロードなピークを持った比較的良質
なダイヤ膜を形成している事が分った。
【0022】実施例 6 内径48mmφ、長さ210mmの外とう管を有する図
3と同様の装置に内径45mmφ、長さ190mmの厚
さ0.2mm Moでできた円筒79を設定した図7の
装置を用いた。4本のバーナー口よりアセチレン1.4
リットル/分、酸素1.34リットル/分(酸素/アセ
チレン比0.96)の燃焼炎を形成し、実施例1と全く
同様にして、外炎を石英管上部に分離した。内炎は9m
mの長さとなった。次に15mm角、厚さ、0.5mm
のSi基板を水冷支持台に固定し、火口より44mmの
位置に固定した。尚Si基板は1μmのダイヤ粒で傷付
け処理を行っている。Mo板円筒を有する場合火口より
44mm上の空間の温度は1310℃であった。尚、M
o板円筒なしの時は同一位置で950℃であった。合成
時の基板温度は950℃であった。60分間合成を行っ
た結果、ほとんど自形面を持たない粒子であるが、アセ
チレンフェザー(内炎)から35mm上の位置で生成物
を確認した。これは、ラマン、X−ray回析による分
析の結果、ダイヤモンドであることがわかった。
【0023】実施例 7 図7の装置に更に基板87より10mm下の位置に出口
のある添加ガス導入SUSパイプ91を設定してある図
8の装置を用いた。バーナー口よりアセチレン1.4リ
ットル/分、酸素1.34リットル/分(酸素/アセチ
レン比0.96)の炎を形成し、実施例1と同様に内、
外炎を分離した。内炎は約9mmの長さとなった。厚さ
0.5mm、15mm角のSi基板に、実施例6と同様
の傷付け処理を施して、火口より60mm上の位置の水
冷支持台に設置した。基板位置、即内炎(アセチレンフ
ェザー)より51mm上の空間温度は1200℃であっ
た。(尚、Mo円筒がない場合は870℃)次に添加ガ
スとして2%のCH4 を含むH2 ガス100cc/mi
nを導入SUSパイプ91より供給した。60分合成を
行った結果、粒子が基板一面に生成した。この生成物
は、X線回析及びラマン分光分析の結果、ダイヤモンド
であることを確認した。以上により内外炎分離した金属
板を反応空間に設置した空間で添加ガスを吹き付けると
火口から60mm上の基板上にダイヤが合成できた事が
分かった。
【0024】
【発明の効果】燃焼炎を内炎と外炎に分離する本発明方
法は従来の燃焼炎法に比し、反応条件の調整が極めて容
易であり、且つ合成領域拡大が可能であるという特徴を
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための装置の一例。
【図2】本発明方法を実施するための装置の他の一例。
【図3】本発明方法を実施するための装置であって、複
数のバーナーを有する例の一つ。
【図4】本発明方法を実施するための装置であって、複
数のバーナーを有する他の一例。
【図5】本発明方法を実施するための装置であって、複
数のバーナーを有するその他の一例。
【図6】本発明方法を実施するための装置であって、複
数のバーナーを有する更に他の一例。
【図7】本発明方法を実施するための装置であって、内
炎と外炎間周囲に加熱金属が存在する更に他の一例。
【図8】本発明方法を実施するための装置であって、内
炎と外炎間周囲に加熱金属が存在し、更にガス導入管を
有する更に他の一例。
【符号の説明】
11 バーナー 12 外とう管 13 外とう管底部のシール機構 14 内炎 15 白心 16 外炎 17 ダイヤモンド析出用基板 18 水冷支持台 19 バーナー外周部スリット 21 バーナー 24 内炎 25 白心 26 外炎 27 ダイヤモンド析出用基板 28 水冷支持台 29 バーナー外周スリット部 30 外炎形成用管 31 ガス導入管 32 外とう管 33 外とう管底部のシール機構 34 内炎 35 白心 36 外炎 37 ダイヤモンド析出用基板 38 水冷支持台 40 キャップ 42 外とう管 44 内炎 46 外炎 47 ダイヤモンド析出用基板 50 キャップ 51 バーナー 52 外とう管 54 内炎 56 外炎 57 ダイヤモンド析出用基板 60 キャップ 61 バーナー 62 外とう管 64 内炎 66 外炎 67 ダイヤモンド析出用基板 68 水冷支持台 70 キャップ 71 バーナー 72 外とう管 73 外とう管底部のシール機器 74 内炎 75 白心 76 外炎 77 ダイヤモンド析出用基板 78 水冷支持台 79 加熱金属 80 キャップ 81 バーナー 82 外とう管 83 外とう管底部のシール機器 84 内炎 85 白心 86 外炎 87 ダイヤモンド析出用基板 88 水冷支持台 89 加熱金属 90 キャップ 91 添加ガス導入管 A 反応容器

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素を含むダイヤモンド析出用原料化合
    物、或いは、該化合物と酸素との混合ガスを燃焼させて
    燃焼炎を形成させ、基材上にダイヤモンドを析出させる
    気相法ダイヤモンド合成法において、 燃焼炎の内炎と外炎との間に空間を存在させ、該空間中
    においてダイヤモンドを析出させる気相法ダイヤモンド
    合成法。
  2. 【請求項2】 内炎部近傍に燃焼原料とは異なった組成
    の炭素又は酸素、窒素を含む有機化合物又は該化合物と
    不活性ガス或いは水素との混合ガスを供給する請求項1
    の気相法ダイヤモンド合成法。
  3. 【請求項3】 内炎と外炎間空間周囲に加熱金属がさら
    に存在する請求項1の気相法ダイヤモンド合成法。
  4. 【請求項4】 形成される燃焼炎は複数である請求項1
    の気相法ダイヤモンド合成法。
  5. 【請求項5】 ダイヤモンド合成用原料化合物燃焼炎形
    成用バーナー、 燃焼炎を空間をおいて内炎と外炎とに分離する手段、 該空間に設けられたダイヤモンド析出用基材を有する気
    相法ダイヤモンド合成装置。
  6. 【請求項6】 内炎と外炎間空間周囲に加熱金属がさら
    に存在する請求項5の気相法ダイヤモンド合成装置。
  7. 【請求項7】 内炎部近傍に燃焼原料とは異なった組成
    の炭素又は酸素、窒素を含む有機化合物又は該化合物と
    不活性ガス、或いは水素との混合ガスを供給する手段を
    有する請求項5の気相法ダイヤモンド合成装置。
  8. 【請求項8】 複数のダイヤモンド合成用原料化合物燃
    焼炎形成用バーナーが設けられている請求項5の気相法
    ダイヤモンド合成装置。
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