JP2650727B2 - 製紙用ロール - Google Patents

製紙用ロール

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JP2650727B2 JP19027288A JP19027288A JP2650727B2 JP 2650727 B2 JP2650727 B2 JP 2650727B2 JP 19027288 A JP19027288 A JP 19027288A JP 19027288 A JP19027288 A JP 19027288A JP 2650727 B2 JP2650727 B2 JP 2650727B2
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和夫 山田
泰弘 高岡
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は製紙用ロールの改良に関し、特に芯体の外周
に設ける被覆層に改良を施したものである。
[従来の技術と課題] 周知の如く、製紙用ロールの芯体の外周に被覆する被
覆層の材料として多くの有機材が使用されているが、そ
の1つとしてアクリロニトリルブタジエンゴム等の合成
ゴムが知られている。しかし、耐摩耗性や研磨周期など
の問題があり、約15年前程からウレタンエラストマーが
使用され始めている。
しかし、近年抄紙スピードが速くなり、ウレタンエラ
ストマーでは使用時にロールを組込んだ実機に振動が生
じることがある。一例を挙げると、 使用パート;ブレーカースタック 材質;ウレタンエラストマー ロールサイズ;外径600mm×長さ5000mm 使用条件;圧力40Kg/cm、温度80℃、抄紙速度700mm/min この条件下で約70Hzの振動があることが確認できた。従
って、これ以上抄紙速度を速くすることができない。
ところで、この振動問題は機械により発生するケー
ス,発生しないケースがあり、また使用条件によっても
発生するケースとしないケースがある。また、この問題
は、スムーザ,ブレーカースタック,ソフトニップカレ
ンダーなどやフェルトなどを介在せずに金属ロール、又
は硬質ロールと当該ロールが直接紙との紙と直接ロール
が接触する部所に多く発生している。特に、ブレーカー
スタック,スムーザーなどの部所では、各種ウレタンエ
ラストマー例えば硬さがJISA80〜95の材質や、回転時に
発熱の少ない材質又は耐熱性の良いウレタンエラストマ
ーなどの多くの試みがされたが、いずれも良好な結果が
得られなかった。第2図は、回転発熱の少ないウレタン
エラストマー材質の粘弾性データを示す。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、実機に組
入れたときの振動を抄紙速度を速くしても回避し得る製
紙用ロールを提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段と作用] 本発明者等は、こうした事情を考慮しつつ誠意研究を
行い、動的粘弾性特性値である損失正接値(tan δ値)
に注目し、このtan δ値の周波数解析を1〜100Hzの範
囲で行った。その結果、振動の発生しているウレタンウ
レタンエラストマーでは、tan δ値が第3図に示すよう
に50Hz〜100Hzの領域で1.0×10-2以下になる周波数領域
があり、このウレタンエラストマーを被覆したロールを
実機にて使用すると振動が発生した。しかし、周波数50
〜100Hzの領域でtan δ値が1.0×10-2以上の数値をもつ
材質を実機にて使用すると、振動が発生せず良好に使用
できたが、tan δ値が1.0×100以上の材質では振動の発
生はなかったが、発熱が生じてロールが破壊し使用不能
となった。
即ち、本発明では、温度25℃,周波数50〜100Hzにお
いて動的粘弾性特性値である損失正接値が1.0×10-2
1.0×100の値をもつ有機材からなる被覆層を、樹脂又は
金属からなる芯体の外周に設けたことを特徴とする製紙
用ロールである。
本発明に係る製紙用ロールによれば、実機に組入れた
ときの振動を生ずることなく高速な抄紙が可能となり、
またロール破壊も生じない。
以下、本発明の実施例について比較例とともに説明す
る。
[実施例1] 第4図は、本発明に係る製紙用ロールの断面図の例を
示す。
図中の1は、芯体としての例えば外径570mmの芯金で
ある。この芯金1の外周には、図示しないフェノール系
接着剤を介して厚さ5mmのウレタン樹脂層2が形成さ
れ、更にこの樹脂層2の上に厚さ10mmの尿素エラストマ
ーからなる被覆層3が被覆され、製紙用ロールが構成さ
れている。ここで、前記尿素エラストマーの粘弾性デー
タは第1図(イ)に示す通りであり、周波数50〜100Hz
の領域で動的粘弾性特性値である損失正接値(tan δ
値)が1.0×10-2から1.0×100の値を有している。な
お、動的粘弾性特性値の測定は幅10mm,厚さ2mm,長さ50m
mの試料をねじテストで行った。前記尿素エラストマー
は、下記一般式(I)て示される構造で示されるアミン
化合物、及びポリイソシアネートとを反応させることを
特徴とする。
但し、(I)式中、Rはn価の平均分子量200以上の
ポリアルキレン,ポリアルキレンエーテルまたはポリア
ルキレンポリエスエルを表わす。また、ポリアルキレン
の中に不飽和結合を含んでもよい。更に、nは2〜4の
整数を表わす。
即ち、上記尿素エラストマーは、次にようにして形成
する。まず、ポリアミン(商品名R−110A、イハラケミ
カル工業(製))100重量部を30〜35℃,5〜10mmHg減圧
下において40分撹拌脱泡する。つづいて、ポリイソシア
ネート(商品名R−110B、イハラケミカル工業(製))
33.8重量部を室温にて混合した後、予め100℃に予熱し
ておいたモールドへ注型し、20分硬化させる。次に、脱
型し、120℃で1時間熱処理した後、更に180℃で4時間
後硬化させることにより尿素エラストマーを得る。
前記ロールは芯金1はブラスト処理しフェノール系の
接着剤を塗布した後、型組を行ない、ここにウレタン樹
脂を注入し硬化してウレタン樹脂層2を形成し、次にこ
の樹脂層2を厚さ5mmに研磨し、更にこの樹脂層2を有
した芯金1をもう一度型組しそこに尿素エラストマーを
注入し,硬化後、研磨を行ない直径600mm×長さ5000mm
の製紙用ロールを作製する。
しかして、実施例1に係る製紙用ロールによれば、芯
金1の外周にウレタン樹脂層2等を介して周波数50〜10
0Hzの領域でtan δ値が1.0×10-2から1.0×100の値を有
する尿素エラストマーからなる被覆層3を被覆した構成
となっているため、本実施例1に係るロールを実機に組
込んで使用した場合、抄紙速度を速くしても振動が発生
することを回避できた。また、ロール破壊も回避するこ
とができた。
事実、上記ロールをブレーカースタックで圧力40Kg,
温度80℃で750m/minの速度の使用条件で使用しても、振
動が全く発生せず、良好な試験結果が得られた。
[実施例2] 本実施例2は、実施例1と比べ、3官能プレポリマー
をジアミンで架橋したウレタンエラストマーからなる被
覆層を用いた点が異なる。このエラストマーは、主鎖骨
格がポリエステル又はポリエーテルなど末端がOHなる3
官能ポリオールに、ジイソシアネートを付加して得られ
るプレポリマーと一般の硬化剤との反応で得られるが、
本実施例2では主鎖骨格がポリカプロラクタンのTDIプ
レポリマーを用いた。なお、NCO%は4.4%である。この
TDIプレポリマーは、プレポリマー100重量部を100℃に
加熱脱泡した後、芳香族ジアミン(商品名キュアミンM
T、イハラケミカル工業(製))12.7重量部を120℃で溶
解,混合,注型し100℃,24時間硬化させて得られる。第
1図中の(ロ)は、上記ウレタンエラストマーの粘弾性
データを示す。なお、一般的な2官能プレポリマーと前
記3官能プレポリマーとを混合し、硬化させた材質で同
様な粘弾性データを示す材質も使用できる。
[実施例3] 本実施例3に係る製紙用ロールは、第5図に示す如く
例えば外径570mmの芯金1の外周に、厚さ1mmで硬さショ
アD硬度60のウレタンエラストマー層4を介してウレタ
ン樹脂からなる被覆層5を設けた構成になっている。こ
こで、前記ウレタン樹脂とは、4官能ポリエーテルポリ
オール(商品名サンニックスHD402、三洋化成工業
(製))100重量部を120℃で脱水し、ジフェニルメタン
ジイソシアネート(商品名ミルオネートMT、日本ポリウ
レタン(製))100重量部、ケイ砂(商品名クリスタラ
イトA−1、龍森(製))200重量部で混合して型に注
入し、90℃,5時間硬化を行なうことにより得られる。前
記ウレタン樹脂の粘弾性データは第1図(ハ)に示す通
りである。上記ロールは、芯金1の外周に常法により硬
さがショアD硬度で60のウレタンエラストマー層4を1m
m厚さに被覆し、これを接着層として型に組んだ後、ウ
レタン樹脂を注入,硬化後研磨を行って製作する。
このようにして得られたロールをブレーカースタック
で使用したところ、750m/minでも振動が発生せず、良好
な結果が得られた。なお、上記被覆層は硬さがショアD9
2であり振動は発生しなかった。しかし、板紙の場合に
は紙質の低下が見られたため、ブレーカースタックでは
硬さをJISAで70から98の範囲に設定するのが好ましい。
なお、実施例1〜3では下巻層を使用しているが、下
巻層はなくてもよい。
[比較例] 比較例に係る製紙用ロールは、図示しないが、外径57
0mmの芯金の外周に厚さ5mmのウレタン樹脂層を介してウ
レタンエラストマーからなる厚さ10mmの被覆層を設けた
構成となっている。ここで、上記ウレタンエラストマー
は、ポリテトラメチレングリコールのTDIプレポリマー
(商品名アジプレンL−100、ユニロイヤル(製))100
重量部を80℃に加熱し、脱気後3,3′ジクロロ−4,4′−
ジアミノフェニルメタン12重量部を混合し注入し、100
℃×24時間硬化して得られる。また、上記ウレタンエラ
ストマーの粘弾性データは、第3図に示す通りである。
前記ロールは、芯金をブラスト処理しフェノール系の接
着剤を塗布した後、型組みを行ないここにウレタン樹脂
を注入し硬化してウレタン樹脂層を形成し、次にこの樹
脂層を厚さ5mmに研磨し、更にこの樹脂層を有した芯金
をもう一度型組しそこにウレタンエラストマーを注入,
硬化後、研磨を行ない直径600mm×長さ5000mmの製紙用
ロールを作製する。
こうした比較例に係る製紙用ロールをブレーカースタ
ックとして使用したところ、抄速が700m/minを越えると
振動が発生し、高速使用ができないことが確認された。
[発明の効果] 以上詳述した如く本発明によれば、従来と比べ実機に
組入れたときの振動を回避し得、高速な抄紙が可能な信
頼性の高い製紙用ロールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1〜3の製紙用ロールに係る動
的粘弾性特性値の損失正接と周波数との関係を示す特性
図、第2図は従来の製紙用ロールに係る動的粘弾性特性
値の損失正接と周波数との関係を示す特性図、第3図は
比較例の製紙用ロールに係る動的粘弾性特性値の損失正
接と周波数との関係を示す特性図、第4図は実施例1に
係る製紙用ロールの断面図、第5図は実施例3に係る製
紙用ロールの断面図である。 1……芯金、2,4……ウレタン樹脂層、3,5……被覆層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−118898(JP,A) 特開 昭63−233843(JP,A) 特開 昭63−105198(JP,A) 特開 昭60−143954(JP,A) 実開 昭56−30625(JP,U) 特公 昭57−32246(JP,B2) 特公 昭61−51077(JP,B2) 特公 昭62−40476(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】温度25℃,周波数50〜100Hzにおいて動的
    粘弾性特性値である損失正接値が1.0×10-2〜1.0×100
    の値をもつ有機材からなる被覆層を、樹脂又は金属から
    なる芯体の外周に設けたことを特徴とする製紙用ロー
    ル。
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JP2840499B2 (ja) * 1992-05-13 1998-12-24 キヤノン株式会社 自動給紙装置及び画像読取装置
US6375602B1 (en) 1998-07-23 2002-04-23 Sw Paper Inc. Supercalendar roll with composite cover
US6954606B2 (en) * 2003-04-18 2005-10-11 Lexmark International, Inc. Polyurethane coatings and drive rollers including the same
US10287731B2 (en) 2005-11-08 2019-05-14 Stowe Woodward Licensco Llc Abrasion-resistant rubber roll cover with polyurethane coating

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