JP2648356B2 - 硬質材料の小さい板と金属被覆とを有する蛇口用カートリッジ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 I.発明の分野 本発明は蛇口本体に挿入されるようになつているカー
トリツジに係る。このカートリツジは、案内体と、案内
部品の内部に配置された硬質材料からなる小さい可動板
用の支持エレメントと、カートリツジ内に固定的に取り
付けられている硬質材料からなる少なくとも１つの小さ
い板と、支持エレメント内に取り付けられ、固定された
小さい板に対し移動して流体の流量および混合比の調節
を行なうようになつている少なくとも１つの小さい可動
板とを備えている。

II.従来の技術 通常の構造体では、小さい可動板用の支持エレメント
および案内体としての働きをする部品はプラスチツク材
料から作られており、こうした支持エレメントや案内体
部品はプラスチツク材料および潤滑用のグリースを適切
に選択すれば容易に相対スライド運動するものにでき
る。しかしながら、日数が立つにつれて潤滑用のグリー
スは消費され、またプラスチツク材料は自己潤滑性を失
つていく。従つて、往復スライド運動に晒されている部
品間に過剰な摩擦が加わり始め、使用者にとつて極めて
不愉快な騒音が生じている。こうした不具合は、ある種
の構造体では、相対スライド運動に晒されているプラス
チツク部品間に金属箔の薄いガスケツトを挿入すれば解
消することができる。実際には、金属材料を適当に選択
すれば、運動の行なわれている時に過剰な摩擦が起きた
り騒音が発生するのを防ぐことができる。しかしながら
これらガスケツトの挿入は、その構造ばかりでなくカー
トリツジの組立てに伴う煩雑さのために、比較的コスト
が高くついている。またこうしたガスケツト構造は、例
えば、部品のうちの１つが薄膜構造体であつたり、高く
持ち上げられた構造体であつたり、水流の振動や騒音を
止めようとする構造体であつたりする場合には利用する
ことができない。

本発明の概要 本発明の目的は、経済的な手段によりまた何ら複雑な
組立てを取り入れずに、従来の装置の損傷現象が防止さ
れるカートリツジを提供することにある。

この目的は、本発明によれば、プラスチツク材料から
なり、プラスチツク材料からできている別の部品の表面
に対してスライドするようになつている複数の部品の表
面のうちの少なくとも１つに薄い金属被覆をかぶせるこ
とにより達成される。

周知のように、こうした金属の被覆は、化学的または
電気化学的な方法−−−表面の事前の増感処理や、場合
によつては中間に接着層を被覆させておく方法−−−あ
るいは好ましい結果のもたらす同じような方法により行
なうことができる。しかしながら、その他の方法、例え
ば、真空状態で蒸着させる方法を用いて金属層をガスケ
ツトに被覆させることもできる。ガスケツト層を形成す
るのに用いられる金属は様々な基準に則つて選択できる
が、クロムがこうした用途には特に適している。クロム
層は、銅および／またはニツケルの中間接着層上に被覆
されるのが好ましい。

相互に接触してスライドするようになつているプラス
チツク部品の２つの表面のうちの一方にのみ金属材料を
被覆するのなら、それは有利である。機能的な見地から
は、連係し合う２つの表面のうちの一方または他方に被
覆を設けるならば、問題ではない。しかしながら、金属
層を被覆したいカツプリング部分が１つ以上に及ぶ場合
には、中間部分に被覆を行なえば非常に都合がよい。こ
の中間部分は少なくとも２つの表面を備えており、プラ
スチツク製の他の部品と接触してスライドするようにな
つている。実際には、この方法によれば、１つの部品の
加工処理により２組のスライド表面を被覆することがで
きる。ほとんどの場合、本発明の様々な用途に係るカー
トリツジにおいて表面の組の総数を難なく処理すること
ができる。とりわけ、硬質材料からなる小さい可動小板
が横切つて移動する回転案内リングを備えたカートリツ
ジでは、こうした案内リングの主要面にクロムをメツキ
することが特に好ましい。

本発明の他の目的、特徴および利点は添付の図面に基
づいて行なわれる以下の詳細な説明から明らかである。

図面の簡単な説明 本発明は、添付の図面に沿つて本発明の好ましい実施
例の以下の詳細な説明を読めば、本発明を充分に理解す
ることができる。図中では、図全体にわたり同一の参照
符号は同一の部品を指している。

第１図は本発明のフロー・カートリツジを組み込んで
ある蛇口の断面斜視図である。

第２図は、第１図のII−II線に沿う、本発明のフロー
・カートリツジの一部断面斜視図である。

第３図は、第２図のIII−IIIに沿つて見た、本発明の
案内リングの平面図である。

第４図は、第２図のIV−IVに沿つて見た、本発明の案
内リングの平面図である。

本発明の好ましい実施例の詳細な説明 本明細書に記載し図面に示した蛇口とこれに用いたカ
ートリツジは周知の構造体の例であり、明瞭な理解のた
めに図解説明しているにすぎない。いずれにせよ、本発
明の適用はこうした特殊な形式の蛇口またはカートリツ
ジに限定されるものではない。

本発明を具体化した第１図に示す混合蛇口は本体１を
備えている。本体１の底部には、それぞれ温水と冷水の
供給される２つの流路７と８が設けられている。これら
流路７と８は、蛇口の本体１の底部に示す部品３および
４と連絡している。本体１はカートリツジを収容する内
側リムを備え、また図示されていない出口通路と連絡す
る円筒状のチヤンバ２を形成している。本体１は、シー
ル用ガスケツト６を備えたカバー５で閉じられている。

実現された形態に於けるカートリツジは一揃えとなつ
た交換可能なカートリツジであり、またカバー10を備え
ている。このカバー10は、プラスチツク材料から作られ
蛇口本体１の内部で軸線方向に移動可能な包囲体を形成
している。この例では、包囲体10は底９を備えている。
底９は２つのシールポート11と12を形成するよう延在し
ている。ポート11と12は蛇口本体１のシール３と４を通
り抜けている。これらのポートはパイプ７および８と連
絡し、これらパイプ内には温水と冷水が供給されてい
る。部品11と12とが設けられている包囲体10の底部は、
硬質材料からなる蛇口の固定板18のための支持エレメン
トを形成している。この事は、ガスケツト16と17とによ
る底９との密封を包囲体10の底９に形成された対応する
弁座内に挿入している。固定板18は、ポート11と12に合
せてそれぞれ温水と冷水を通す２つの開口を備えてい
る。

固定板18と接触して、硬質材料からなる可動板19が取
り付けられている。この可動板19は、調節スライド体20
によつて支持されている。調節スライド板20は、案内リ
ング21内で移動できるように案内され、さらに、包囲体
10内回転できるようにも取り付けられている。スライド
体20のみならず案内リング21もプラスチツク材料から作
るのが好ましい。案内リング21はセミベアリング22に支
持され、このセミベアリング22は包囲体10の口部に固定
され、これもまたプラスチツク材料から作られている。
また、セミベアリング22は蛇口本体に被せるカバー５に
係合している。別のセミベアリング23がカバー５内に配
置され、またセミベアリング22と23の間には、連結球体
25がシール用ガスケツト24と一緒に挿入されている。球
体25はアーム26を支持している。このアーム26には、調
節レバー29の付いたキヤツプ28が連結されている。球体
25には内側に向けて第２のアーム27が連結されている。
この第２のアーム27は平たくなつていて小さいキーに似
た働きをしており、調節スライド体20に固定的に連結さ
れている。この周知の構造体は、レバー29を適度に枢動
回転させることにより調節スライド体20を運動させるこ
とができる。その結果、レバー29を動かすと可動板19も
また可変回転動作する。可動板19は、固定板18に対して
スライドしながら回転し、それによりパイプ７と８から
供給されリング状のチヤンバ２内で混ざり合う流体の流
量を調節するようになつている。混合流体はチヤンバ２
から送り出される。

スライド体20は案内リング21と直接接触して移動し、
またこの案内リング21はセミベアリング22と直接接触し
て回転する。このため、相対して接触移動し得るプラス
チツク材料からなる協働する２つの接触表面が存在す
る。この運動はかなり大きな圧力の下で行なわれる。可
動板19と固定板18とを効果的に協働作用させるのに必要
な圧力がこれら表面を横切つて伝達されるため、伝達さ
れる圧力は、硬質材料の小さい弁板間の協働作用に要す
る圧力よりも著しく大きくなつている。このため、カー
トリツジを組み立てる際に、部品20と21および部品21と
22の間に注入できる潤滑用グリースは徐々に消費されて
いく。他方、プラスチツク材料からなる部品は製造の当
初には自己潤滑特性を備えてはいても、温水が存在する
中で使用されるために時間の経過と共にこうした特性が
失われていく。その結果、部品20,21および22の間に大
きな摩擦が生じるようになる。この摩擦により蛇口の動
きが阻害され、さらには蛇口の操作時に不快なチヤタリ
ングや振動が生じることになる。

薄い金属ガスケツトを部品20,21および22の間に挿入
すればこうした不都合は避けられる。こうしたやり方は
実行可能な方法であるが、カートリツジの組立て作業を
著しく複雑且つ面倒なものにする。また、快適な動きの
ためには、通常のステンレス鋼の弁板を使用する代わり
に、例えば、クロムメツキした真鍮の小さい弁板を使用
しなくてはならない。こうした方法は、生産コストおよ
び製造方法の両面から見て、カートリツジの生産に利用
することができるが難しい方法である。

これに対し、本発明によれば、スライド体20およびセ
ミベアリング22の表面と接触して作用する案内リング21
の表面は、適当な性質の金属層、好ましくはクロム層で
被覆されている。このため、調節運動はプラスチツクの
表面同士の間では行なわれず、プラスチツク材料の表面
と金属表面との間で行なわれる。この調整運動は部品間
に金属板がそう入されている場合と同様である。またこ
のカートリツジの組立ては、金属ガスケツトを用いない
カートリツジの組立てと完全に対応するやり方で行なわ
れる。プラスチツク表面をメタライジングする方法は最
新のやり方でありしかも充分に経済性を満たしており、
本発明によれば、カートリツジの製造コストは金属ガス
ケツトを用いないカートリツジに比べてほとんど遜色が
なく、また金属ガスケツトを挿入したカートリツジから
得られるコストに比べて安くできる。

第２図と第４図に示すように、案内リング21はセミベ
アリング22と接触して作用する表面を備えており、また
この案内リングの表面には金属被覆30が設けられてい
る。この表面からセミベアリング22の内側突起（図示せ
ず）と協働作用する突起34が突き出していて、案内リン
グ21の回転範囲を適当に制限している。

案内リング21の反対側には円周に沿つて突出するフレ
ーム31が設けられている。このフレーム31は、フレーム
用の境界をセツトし、その中を可動板19を担持したスラ
イド体20が移動できる。また案内リング21は窓32を備え
ている。この窓32内にはスライド体20の突起20aが突き
出しており、また突起20aは操作キーの受入れ場所を形
成している。立ち上がつたフレーム31と窓32の間の表面
は、金属被覆33で覆われている。当然のことながら、図
面に於いて、層30と33の厚みは、正確な目尺度で表現す
ると見えなくなつてしまうので、誇張して示されてい
る。

こうして、案内リング21の表面33に対するスライド体
20の運動のみならず、セミベアリング22に対しての案内
リング21の表面30のスライド運動もまた、プラスチツク
材料と金属材料の間で発生する。また、材料を適当に選
択すれば、たとえ潤滑剤が切れていてもまた長期間の使
用の後においても、摩擦係数の低い静かで規則正しい動
作を行なうことができる。

セミベアリング22とスライド体20の相応する表面では
なく、案内リング21の２つの表面30と33に金属被覆を施
すことにより、カートリツジの部品の１つだけをメタラ
イジング処理すればすみ、コストを下げる利点がもたら
される。当然のことながら、表面30と33以外に案内リン
グ21の他の表面にメタライジングを施す場合にでも、何
ら不具合は生じない。逆に、窓32の内壁をメタライジン
グすれば、スライド体20の突起20aがスライド運動し易
くなる。あるいは案内リング21のマントルの形をした外
側表面をメタライジングすれば、案内リング21は包囲体
10の内側で回転し易くなる。しかしながら、こうした運
動はあまり大きな圧力を加えなくても行なわれるため、
重要ではない。尚、部品21は予備処理をせずにその表面
部分を保護するメタライジングをされることが可能であ
る。このため、一般に行なわれているように電気化学処
理を伴なう化学処理によりメタライジングが行なわれる
場合には、増感、接着被覆および最終のクロムメツキの
一連の作業が特に簡単になり、プラスチツク材料を使用
する場合には特に有用である。

メタライジングを施す必要のある表面が複雑な形状を
していても、メタライジングに支障がないことは重要な
点である。必要であれば、表面はいくつかの薄板の形状
であつても他の形状であつても良く、そのような形状
は、早過ぎる封鎖を制御したり、流体の流れによる騒音
を停止させるのに有効である。

クロムを使用して最終のメタライジングを行なえば
（好ましくは、銅および／またはニツケルの中間接着層
上に付着して）、優れた結果が得られる。他の金属を使
用することもできるが、金属層の厚みには配慮する必要
がある。この金属層の厚みはメタライジングにおける薄
い層として付着されるよう非常に薄いものでなくてはな
らない。このようにすれば僅かな量の金属しか消費せ
ず、より高価な金属を使用することができ、生産コスト
が大幅に高くつくこともない。

前述したように、本発明の適用はカートリツジ部品の
いかなる特殊な形態にも連結されない。図示した具体例
の構造は特定の用途に用いるものでしかなく、完成品の
例を示しているに過ぎない。例えば、カートリツジは回
転しない案内リングを備えることもできる。あるいは、
可動板を保持するスライド体は、カートリツジの被覆を
供なう包囲体と一体に形成された部品により案内される
こともできる。また、カートリツジは必ずしもユニツト
として精密に作られた規格製品のすべてを備えた交換可
能なカートリツジである必要はなく、本発明は、部品を
組み立てて作るカートリツジにも応用することができ
る。これらの部品は蛇口本体に挿入されるが、他の部品
と一緒になつて交換可能なユニツトを構成するものでは
ない。

前述の詳細な説明は発明を理解し易くするためになさ
れたものであり、当業者であれば別段これらに限定され
るわけではなく請求の範囲および発明の精神から逸脱す
ることなく如何ようにも修正できることが明らかであ
る。

Claims (9)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】蛇口に用いる流体の流れを調節するための
   カートリッジにおいて、当該カートリッジは蛇口本体内
   に挿入されるようになっているハウジングを備え、当該
   ハウジングはスライドエレメントを備えており、このス
   ライドエレメントは、蛇口の調節ハンドルに作動連結さ
   れ、硬質材料からなる少なくとも１つの固定板に対して
   硬質材料からなる少なくとも１つの可動板のスライド移
   動を制御してカートリッジを通る流体の流量を調節し、
   またスライドエレメントはスライドエレメントの動きを
   規制する案内装置の内部に配置され、前記スライドエレ
   メントと案内装置は協働作用する選択的に係合可能な表
   面を備え、 スライドエレメントと案内装置の少なくとも一方はプラ
   スチックで作られ、プラスチックで作られたスライドエ
   レメントと案内装置の少なくとも一方の当該表面には金
   属材料層がメタライジングにより付着されている、蛇口
   に用いる流体の流れを調節するためのカートリッジ。
2. 【請求項２】請求項１記載のカートリッジにおいて、ス
   ライドエレメントと案内装置の少なくとも一方の前記協
   働作用する表面が、少なくとも１つの接着層を中間に付
   着さすことにより前記金属層の付着に先立って増感処理
   されるカートリッジ。
3. 【請求項３】請求項２記載のカートリッジにおいて、前
   記金属層の前記付着が化学的な付着手段を介して行なわ
   れるカートリッジ。
4. 【請求項４】請求項２記載のカートリッジにおいて、前
   記金属層の前記付着が電気化学的な付着手段を介して行
   なわれるカートリッジ。
5. 【請求項５】請求項２記載のカートリッジにおいて、前
   記金属層の前記付着が真空の下で行なわれるカートリッ
   ジ。
6. 【請求項６】請求項２記載のカートリッジにおいて、前
   記金属層がクロム材料からなるカートリッジ。
7. 【請求項７】請求項６記載のカートリッジにおいて、前
   記中間接着層が銅材料からなるカートリッジ。
8. 【請求項８】請求項６記載のカートリッジにおいて、前
   記中間接着層がニッケル材料からなるカートリッジ。
9. 【請求項９】請求項２記載のカートリッジにおいて、カ
   ートリッジは案内装置に係合するセミベアリングを備
   え、案内装置はセミベアリングに対してスライド移動可
   能であり、案内装置並びにセミベアリングは協働作用す
   る係合可能な表面を備え、案内装置が金属材料層を付着
   された前記係合可能な表面を備えているカートリッジ。