JP2004076861A - ディスク式バルブユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】オイル切れを起こすことなく長期使用が可能なディスク式バルブユニットを提供する。
【解決手段】液体流入口2a、2bと、液体流出口2cと、液体流入口に連通する第1貫通穴4a、4bと液体流出口に連通する第2貫通穴4cとが形成された第1ディスク4と、一方の端面に第1ディスクの第1貫通穴と第2貫通穴とに連通可能な凹部6bが形成されると共に前記一方の端面を第1ディスクの一方の端面に摺接させた第2ディスク6と、他方の端面の側から第2ディスクに係合するレバー9と、第1ディスクと第2ディスクとレバーとを収容するケーシング1とを備え、第2ディスクが第1ディスクに相対摺動して第2ディスクの前記凹部と第1ディスクの第1貫通穴との重畳の度合いが調整されるように構成されたディスク式バルブユニットであって、ケーシングの外部とケーシングの内部とを連通させる潤滑油補給通路10aを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】液体流入口2a、2bと、液体流出口2cと、液体流入口に連通する第1貫通穴4a、4bと液体流出口に連通する第2貫通穴4cとが形成された第1ディスク4と、一方の端面に第1ディスクの第1貫通穴と第2貫通穴とに連通可能な凹部6bが形成されると共に前記一方の端面を第1ディスクの一方の端面に摺接させた第2ディスク6と、他方の端面の側から第2ディスクに係合するレバー9と、第1ディスクと第2ディスクとレバーとを収容するケーシング1とを備え、第2ディスクが第1ディスクに相対摺動して第2ディスクの前記凹部と第1ディスクの第1貫通穴との重畳の度合いが調整されるように構成されたディスク式バルブユニットであって、ケーシングの外部とケーシングの内部とを連通させる潤滑油補給通路10aを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シングルレバー湯水混合水栓、単水栓等に使用可能なディスク式バルブユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体流入口と、液体流出口と、液体流入口に連通すると共に板厚方向に延在する第1貫通穴と液体流出口に連通すると共に板厚方向に延在する第2貫通穴とが形成された第1ディスクと、一方の端面に第1ディスクの第1貫通穴と第2貫通穴とに連通可能な凹部が形成されると共に前記一方の端面を第1ディスクの一方の端面に摺接させた第2ディスクと、他方の端面の側から第2ディスクに係合するレバーと、第1ディスクと第2ディスクとレバーとを収容するケーシングとを備え、第2ディスクが第1ディスクに相対摺動して第2ディスクの前記凹部と第1ディスクの第1貫通穴との重畳の度合いが調整されるように構成されたディスク式バルブユニットが、シングルレバー湯水混合水栓、単水栓等に組み込まれて使用されている。
ディスク式バルブユニットにおいては、一般に第1ディスクと第2ディスクとの摺接面はシリコングリース等のオイルで潤滑されており、ケーシング内にシリコングリース等のオイルが封入されている。第1ディスクと第2ディスクとの摺接面を潤滑するオイルは、第1ディスクの第1貫通穴から第2ディスクの凹部を通って第1ディスクの第2貫通穴へ流れる水又は湯に連行されて、吐出水に微量ながら混入するので、ケーシング内に封入されたオイルは徐々に減少し、第2ディスクの摺動摩擦が徐々に増加し、水栓の操作性が徐々に悪化する。従来、ディスク式バルブユニットのオイル切れで水栓の操作性が悪化すると、ディスク式バルブユニットを新品に交換していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ディスク式バルブユニットの交換は、水栓使用者に経済的負担を強いる。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、オイル切れを起こすことなく長期使用が可能なディスク式バルブユニットを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては、液体流入口と、液体流出口と、液体流入口に連通すると共に板厚方向に延在する第1貫通穴と液体流出口に連通すると共に板厚方向に延在する第2貫通穴とが形成された第1ディスクと、一方の端面に第1ディスクの第1貫通穴と第2貫通穴とに連通可能な凹部が形成されると共に前記一方の端面を第1ディスクの一方の端面に摺接させた第2ディスクと、他方の端面の側から第2ディスクに係合するレバーと、第1ディスクと第2ディスクとレバーとを収容するケーシングとを備え、第2ディスクが第1ディスクに相対摺動して第2ディスクの前記凹部と第1ディスクの第1貫通穴との重畳の度合いが調整されるように構成されたディスク式バルブユニットであって、ケーシングの外部とケーシングの内部とを連通させる潤滑油補給通路を備えることを特徴とするディスク式バルブユニットを提供する。
ケーシングの外部から潤滑油補給通路を介して、ケーシングの内部にオイルを補給することができる。従って、本発明に係るディスク式バルブユニットは、オイル切れを起こすことなく長期使用が可能である。
【0005】
本発明の好ましい態様においては、潤滑油補給通路は、ディスク式バルブユニットの、水栓本体に組み込まれた状態で、水栓本体の外部の空間に暴露される部位に形成されている。
水栓本体からディスク式バルブユニットを取り外すことなく、ケーシングの外部から潤滑油補給通路を介して、ケーシングの内部にオイルを補給することができる。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、ディスク式バルブユニットは、ケーシング内に収容された環状の第3ディスクを備え、第2ディスクの他方の端面は第3ディスクの中央開口を常時覆って第3ディスクの一方の端面に摺接し、第1ディスクと第2ディスクとの摺接面は自己潤滑性を有し、第1ディスクと第3ディスクとの間に且つ第2ディスクの径方向外方に、第1貫通穴に連通する第1空間が形成され、第2ディスクと第3ディスクとを間に挟んで第1空間に隣接する第2空間が形成され、潤滑湯補給通路は第2空間に連通している。
第1ディスクと第2ディスクとの摺接面が自己潤滑性を有しているので、当該摺接面の潤滑にオイルを要さない。従って、オイルの吐出水への混入量が減少し、ケーシング内に封入したオイルの減少速度が低下し、潤滑油補給作業の頻度が減少し、ディスク式バルブユニットが組み込まれた水栓の利便性が向上する。
前記摺接面の自己潤滑性は、前記摺接面に水膜が形成されることにより発現する。第1貫通穴から第1空間へ流入した水又は湯が、第1空間に接する第1ディスクの端面に付着する。従って、第2ディスクが第1ディスクに相対摺動するのと同時に、第1ディスクと第2ディスクとの摺接面に水膜が形成され、前記摺接面の自己潤滑性が発現する。
第2ディスクが第3ディスクに摺接することにより、第1空間へ流入した水又は湯の第2空間への漏出が阻止され、ひいてはディスク式バルブユニットからの漏出が阻止される。
第2空間にオイルを封入しておけば、第3ディスクの中央開口を介して第2ディスクと第3ディスクとの摺接面にオイルが供給され、第2ディスクの第3ディスクに対する摺動がスムーズになり、水栓の操作性が向上する。第2空間に封入されたオイルは、流水には直接接触しないので、吐出水へのオイルの混入が抑制され、ケーシング内に封入したオイルの減少が抑制される。また、潤滑油補給通路を介して第2空間にオイルを補給することができる。従って、水栓の高い操作性を長期に亘って維持することができる。
【0007】
本発明の好ましい態様においては、第2ディスクと第3ディスクとの摺接面は自己潤滑性を有する。
第1貫通穴から第1空間へ流入した水又は湯が、第1空間に接する第3ディスクの端面に付着し、第2ディスクが第3ディスクに相対摺動するのと同時に、第2ディスクと第3ディスクとの摺接面に水膜が形成され、前記摺接面の自己潤滑性が発現する。この結果、第2ディスクと第3ディスクととの摺接面に供給するオイルの量を低減でき、吐出水へのオイルの混入を更に抑制できる。
【0008】
本発明の好ましい態様においては、第1空間は第1貫通穴に常時連通する
ディスク式バルブが長期に亘って止水状態にあると、前記摺接面に形成された水膜が乾燥して減少する。従って、第2ディスクを第1ディスクに相対摺動させる際の始動時に、摺接面の水膜不足で前記相対摺動が困難になる可能性がある。本発明に係るディスク式バルブにおいては、以下の理由で係る困難を生じない。第1ディスクは一次圧により第2ディスクに常時押し付けられている。本発明に係るディスク式バルブにおいては、第1ディスクの一方の端面の第1空間に接する部分に一次圧が常時加わり、当該一次圧は第1ディスクを第2ディスクから引き離す方向に作用するので、第1ディスクと第2ディスクとの摺接面の面圧は低い。従って、第2ディスクを第1ディスクに相対摺動させる際の始動時に、仮に摺接面が水膜不足となっていても、第2ディスクは第1ディスクに容易に相対摺動できる。
第2ディスクを第1ディスクに対して容易に始動でき、始動と同時に両者の摺接面に水膜が形成されて自己潤滑性が発現するので、本発明に係るディスク式バルブにおいては長期に亘って良好な操作性が維持される。
【0009】
本発明の好ましい態様においては、液体流入口は互いに独立した湯流入口と水流入口とを有し、第1ディスクの第1貫通穴は互いに独立した湯流入口連通穴と水流入口連通穴とを有し、第2ディスクの凹部は第1ディスクの湯流入口連通穴と水流入口連通穴とに連通可能であり、第2ディスクが第1ディスクに相対摺動して、第2ディスクの前記凹部と第1ディスクの湯流入口連通穴との重畳の度合いと、第2ディスクの前記凹部と第1ディスクの水流入口連通穴との重畳の度合いとが調整される。
上記構成を有するディスク式バルブユニットは、シングルレバー湯水混合水栓に使用可能である。
【0010】
本発明においては、上記何れかのディスク式バルブユニットを備える水栓を提供する。
上記何れかのディスク式バルブユニットを備える水栓は、長期に亘って良好な操作性を維持することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施例に係るディスク式バルブユニットを説明する。
図1、2に示すように、ディスク式バルブAは、大径部と小径部とを有する合成樹脂製の円筒状のカートリッジケース1と、カートリッジケース1の大径側端部に嵌合固定された合成樹脂製の円板状のパッキンガイド2とを備えている。パッキンガイド2を板厚方向に貫通する、互いに独立した湯流入口2a、水流入口2b、湯水流出口2cが、パッキンガイド2に形成されている。湯流入口2a、水流入口2b、湯水流出口2cと図示しない給湯口、給水口、湯水流出口を有する水栓本体100との接続部をシールするパッキン3が、パッキンガイド2に取り付けられている。
【0012】
セラミック製の円板状の第1ディスク4が、カートリッジケース1内に配設され、パッキンガイド2に嵌合し、パッキンガイド2とカートリッジ1とにより挟持固定されている。第1ディスク4を板厚方向に貫通すると共に、湯流入口2a、水流入口2b、湯水流出口2cに連通する互いに独立した第1穴4a、第2穴4b、第3穴4cが、第1ディスク4に形成されている。第1ディスク4の、パッキンガイド2から離隔する側の端面4′は鏡面仕上げされている。第1穴4a、第2穴4b、第3穴4cと湯流入口2a、水流入口2b、湯水流出口2cとの連通部をシールするパッキン5が配設されている。
【0013】
セラミック製の円板状の第2ディスク6が、カートリッジケース1内に配設されている。第2ディスク6の鏡面仕上げされた一方の端面6′が第1ディスク4の鏡面仕上げされた端面4′に摺接している。端面4′はDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の自己潤滑材で被覆されている。第2ディスク6を板厚方向に貫通し、第1ディスク4の第1穴4a、第2穴4b、第3穴4cに連通可能な穴6aが、第2ディスク6に形成されている。
第2ディスク6の他方の端面を把持し、第2ディスク6と一体化して第2ディスク6の一部を形成する合成樹脂製の把持具7が、カートリッジケース1内に配設されている。把持具7の第2ディスク6から離隔する側の端面にボス7aが形成されている。穴6a周囲の第2ディスク6と把持具7との当接部は、Oリング8によりシールされている。穴6aと把持具7とが共働して、端面6′に形成され、第1ディスク4の第1穴4a、第2穴4b、第3穴4cに連通可能な凹部6bを形成している。
【0014】
合成樹脂製のレバー9が、カートリッジケース1の小径側端部を通ってカートリッジケース1内へ挿入されている。レバー9は、カートリッジケース1小径側端部に摺動回転可能に嵌合する円筒状のレバーガイド10に挿通され、レバーガイド10の周壁を貫通するピン11を用いて、ピン11回りに回転可能に、レバーガイド10に取り付けられている。レバー9のピン11が挿通されたボス9aは、レバーガイド10の矩形断面中心穴の周壁に摺接している。レバー9の、カートリッジケース1内へ挿入された端部9bは、把持具7のボス7aに嵌入している。端部9bは、ピン11回りに揺動可能に、且つボス7aの中心軸線X回りにボス7aに相対回転不能にボス7aに係合している。
【0015】
カートリッジケース1内に且つ第2ディスク7の径方向外方に空間12が形成されている。空間12は、ボス9aとレバーガイド10の中心穴との摺接部まで延びている。空間12に、シリコングリース等のオイルが充填されている。レバーガイド10の周壁に、長手方向に当該周壁を貫通してカートリッジケース1の外部の空間と空間12とを連通させる潤滑油補給通路である小径穴10aが形成されている。
ディスク式バルブユニットAは、シングルレバー湯水混合水栓の水栓本体100に組み込まれ、レバー9に水栓レバー101が取り付けられる。ディスク式バルブユニットAが、シングルレバー湯水混合水栓の水栓本体100に組み込まれた状態で、レバーガイド10の、小径穴10aが開口する一方の端面は、水栓本体100の外部の空間に暴露されている。
【0016】
ディスクバルブAの作動を説明する。
図1の状態では、穴6aと把持具7とが共働して形成する凹部6bは第3穴4cに連通するが、第1穴4a、第2穴4bには連通しない。第1穴4a、第2穴4b、第3穴4cは第2ディスク6により閉鎖されている。
鏡面仕上げされた端面4′と鏡面仕上げされた面端面6′とが密着することにより、第1ディスク4と第2ディスク6との摺接面はシールされている。従って、第1穴4aに充満する湯と、第2穴4bに充満する水とは、第3穴4cへ流入せず、ディスクバルブAから湯水流出口へ湯水は流出しない。
【0017】
図1でピン11回りにレバー9が反時計方向へ回転し、第2ディスク6が第1ディスク4に相対摺動して、図2(a)、(b)の状態になると、凹部6bは、第1穴4a、第2穴4b、第3穴4cに連通する。給湯口から第1穴4aへ供給された湯と、給水口から第2穴4bへ供給された水とが、凹部6bを通って第3穴4cへ流入する。この結果、混合湯水がディスクバルブAから湯水流出口へ流出する。ピン11回りのレバー9の回転角度が調整されることにより、ディスクバルブAから湯水流出口へ流出する湯水の流量が調整される。
ピン11の中心軸線に直交して軸線Xに平行に延在する軸線X1回りにレバー9が回転し、第2ディスク6が第1ディスク4に相対回転摺動して、図2(c)の状態になると、凹部6bは、第1穴4aと第3穴4cとに連通する。給湯口から第1穴4aへ供給された湯が、凹部6bを通って第3穴4cへ流入する。この結果、湯がディスクバルブAから湯水流出口へ流出する。
軸線X1回りにレバー9が回転し、第2ディスク6が第1ディスク4に相対回転摺動して、図2(d)の状態になると、凹部6bは、第2穴4bと第3穴4cとに連通する。給水口から第2穴4bへ供給された水が、凹部6bを通って第3穴4cへ流入する。この結果、水がディスクバルブAから湯水流出口へ流出する。軸線X1回りのレバー9の回転角度が調整されることにより、凹部6bと、第1穴4a、第2穴4bとの重畳の度合いが調整され、湯と水との混合比が調整され、ディスクバルブAから流出する湯水の温度が調整される。
【0018】
第1ディスク4と第2ディスク6との摺接面は、空間12に充填されたオイルにより潤滑される。第1ディスク4と第2ディスク6との摺接面を潤滑するオイルは、第1穴4a及び/又は第2穴4bから凹部6bを通って第3穴4cへ流れる水又は湯に連行されて、吐出水に微量ながら混入するので、空間12に充填されたオイルは徐々に減少する。ディスク式バルブAにおいては、カートリッジケース1の外部から小径穴10aを介して、空間12にオイルを補給することができる。従って、ディスク式バルブユニットAは、オイル切れを起こすことなく長期使用が可能である。
ディスク式バルブユニットAが、シングルレバー湯水混合水栓の水栓本体100に組み込まれた状態で、レバーガイド10の、小径穴10aが開口する一方の端面は、水栓本体100の外部の空間に暴露されているので、水栓本体100からディスク式バルブユニットAを取り外すことなく、カートリッジケース1の外部から小径穴10aを介して、空間12にオイルを補給することができる。従って、ディスク式バルブユニットAのオイル補給作業は容易である。
【0019】
本発明の第2実施例に係るディスク式バルブを説明する。
図3〜5に示すように、ディスク式バルブBは、大径部と小径部とを有する合成樹脂製の円筒状のカートリッジケース21と、カートリッジケース21の大径側端部に嵌合固定された合成樹脂製の円板状のパッキンガイド22とを備えている。カートリッジケース21内周面とパッキンガイド22外周面との当接部は、Oリング23によりシールされている。パッキンガイド22を板厚方向に貫通する、互いに独立した湯流入口22a、水流入口22b、湯水流出口22cが、パッキンガイド22に形成されている。湯流入口22a、水流入口22b、湯水流出口22cと図示しない給湯口、給水口、湯水流出口を有する水栓本体との接続部をシールするパッキン24が、パッキンガイド22に取り付けられている。
【0020】
セラミック製の円板状の第1ディスク25が、カートリッジケース21内に配設され、パッキンガイド22に嵌合固定されている。第1ディスク25を板厚方向に貫通すると共に、湯流入口22a、水流入口22b、湯水流出口22cに連通する互いに独立した第1穴25a、第2穴25b、第3穴25cが、第1ディスク25に形成されている。第1ディスク25の、パッキンガイド22から離隔する側の端面25′に、第1穴25aから端面25′の周縁部まで延在する溝25dが形成されている。端面25′は鏡面仕上げされている。第1穴25a、第2穴25b、第3穴25cと湯流入口22a、水流入口22b、湯水流出口22cとの連通部をシールするパッキン26が配設されている。
【0021】
長円板状のセラミック製の第2ディスク27が、カートリッジケース21内に配設されている。第2ディスク27の鏡面仕上げされた一方の端面27′が第1ディスク25の鏡面仕上げされた端面25′に摺接している。端面27′はDLC等の自己潤滑材で被覆されている。端面27′に、第1ディスク25の第1穴25a、第2穴25b、第3穴25cに連通可能な凹部27aが形成されている。第2ディスク27の、他方の端面27″も鏡面仕上げされており、且つDLC等の自己潤滑材で被覆されている。端面27″に凹部27bが形成されている。
【0022】
セラミック製の円環板状の第3ディスク28がカートリッジケース21内に配設されている。第3ディスク28はカートリッジケース21に嵌合固定されている。カートリッジケース21内周面と第3ディスク28外周面との当接部は、Oリング23′によりシールされている。第3ディスク28の第2ディスク27に対峙する端面28′は鏡面仕上げされている。
第2ディスク27の鏡面仕上げされた他方の端面27″は、第3ディスクの中央開口を常時覆って、第3ディスク28の鏡面仕上げされた端面28′に摺接している。
【0023】
合成樹脂製のレバー29が、カートリッジケース21の小径側端部を通ってカートリッジケース21内へ挿入されている。レバー29は、カートリッジケース21小径側端部に摺動回転可能に嵌合する円筒状のレバーガイド30に挿通され、レバーガイド30の周壁を貫通するピン31を用いて、ピン31回りに回転可能に、レバーガイド30に取り付けられている。レバー29のピン31が挿通されたボス部29aは、レバーガイド30の矩形断面中心穴の周壁に摺接している。ボス部29aと前記周壁との摺接部、カートリッジケース21小径側端部とレバーガイド30との摺接部は、シリコングリース等のオイルによって潤滑されている。
レバー29の、カートリッジケース21内へ挿入された端部29bは、第2ディスク27の凹部27b内へ挿入されている。端部29bに摺接する合成樹脂製のアダプタ32が、凹部27bに嵌合している。端部29bは、ピン31回りに揺動可能に、且つ凹部27bの中心軸線Y回りに凹部27bに相対回転不能に、アダプタ32を介して凹部27bに係合している。
【0024】
カートリッジケース21内に、且つ第2ディスク27の径方向外方に、且つ第1ディスク25と第3ディスク28とに挟まれて、第1空間33が形成されている。第1ディスク25の端面25′に形成された溝25dを介して、第1ディスク25の第1穴25aは、第1空間33に常時連通している。
カートリッジケース21内に、且つ第2ディスク27と第3ディスク28とを間に挟んで第1空間33に隣接して第2空間34が形成されている。第2空間34に、シリコングリース等のオイルが充填されている。レバーガイド30の周壁に、長手方向に当該周壁を貫通してカートリッジケース21の外部の空間と第2空間34とを連通させる潤滑油補給通路である小径穴30aが形成されている。
ディスク式バルブユニットBは、ディスク式バルブユニットAと同様に、シングルレバー湯水混合水栓の水栓本体に組み込まれ、レバー29に水栓レバーが取り付けられる。ディスク式バルブユニットBが、シングルレバー湯水混合水栓の水栓本体に組み込まれた状態で、レバーガイド30の、小径穴30aが開口する一方の端面は、水栓本体の外部の空間に暴露されている。
【0025】
ディスクバルブBの作動を説明する。
図3の状態では、凹部27aは第3穴25cに連通するが、第1穴25a、第2穴25bには連通しない。第1穴25a、第2穴25b、第3穴25cは第2ディスク27により閉鎖されている。給湯口から第1穴25aへ供給された湯が、溝25dを介して第2穴25bに常時連通する閉鎖空間33へ流入し、閉鎖空間33に充満している。端面25′の閉鎖空間33に接する部位は常時接水している。
鏡面仕上げされた端面25′と鏡面仕上げされた端面27′とが密着することにより、第1ディスク25と第2ディスク27との摺接面はシールされている。従って、第1穴25aと閉鎖空間33とに充満する湯と、第2穴25bに充満する水とは、第3穴25cへ流入せず、ディスクバルブBから湯水流出口へ湯水は流出しない。
鏡面仕上げされた端面27″と鏡面仕上げされた端面28′とが密着することにより、第2ディスク27と第3ディスク28との摺接面はシールされている。従って、第1穴25aと閉鎖空間33とに充満する湯は、第2空間34へは漏出せず、ディスクバルブBから漏出しない。
【0026】
図3でピン31回りにレバー29が反時計方向へ回転し、第2ディスク27が第1ディスク25と第3ディスク28とに相対摺動して、図5の状態になると、凹部27aは、第1穴25a、第2穴25b、第3穴25cに連通する。給湯口から第1穴25aへ供給された湯と、給水口から第2穴25bへ供給された水とが、凹部27aを通って第3穴25cへ流入する。この結果、混合湯水がディスクバルブBから湯水流出口へ流出する。ピン31回りのレバー29の回転角度が調整されることにより、ディスクバルブBから湯水流出口へ流出する湯水の流量が調整される。
ピン31の中心軸線に直交し軸線Yに平行に延在する軸線Y1回りにレバー29が回転し、第2ディスク27が第1ディスク25と第3ディスク28とに相対回転摺動して、凹部27aが、第1穴25aと第3穴25cとに連通すると、給湯口から第1穴25aへ供給された湯が、凹部27aを通って第3穴25cへ流入する。この結果、湯がディスクバルブBから湯水流出口へ流出する。
軸線Y1回りにレバー29が回転し、第2ディスク27が第1ディスク25と第3ディスク28とに相対回転摺動して、凹部27aが、第2穴25bと第3穴25cとに連通すると、給水口から第2穴25bへ供給された水が、凹部27aを通って第3穴25cへ流入する。この結果、水がディスクバルブBから湯水流出口へ流出する。
軸線Y1回りのレバー29の回転角度が調整されることにより、凹部27aと第1穴25a、第2穴25bとの重畳の度合いが調整され、湯と水との混合比が調整され、ディスクバルブBから流出する湯水の温度が調整される。
【0027】
ディスク式バルブBにおいては、端面27′が自己潤滑材で被覆され、第1ディスク25と第2ディスク27との摺接面が自己潤滑性を有しているので、当該摺接面を潤滑するためのオイルを必要としない。従って、オイルが流水に連行される事態の発生が阻止され、吐出水へのオイルの混入量が減少し、第2空間34に充填したオイルの減少速度が低下し、潤滑油補給作業の頻度が減少し、ディスク式バルブユニットBが組み込まれたシングルレバー湯水混合水栓の利便性が向上する。
第1ディスク25と第2ディスク27との摺接面の自己潤滑性は、当該摺接面に水膜が形成されることにより発現する。ディスク式バルブBにおいては、溝25dを介して第1穴25aに常時連通する第1空間33が常時満水状態にあるので、端面25′の第1空間33に接する部分には常時湯が付着している。従って、第2ディスク27が第1ディスク25に相対摺動するのと同時に、第1ディスク25と第2ディスク27との摺接面に水膜が形成され、前記摺接面の自己潤滑性が発現する。従って、レバー29に僅かの外力を印加すれば、第2ディスク27を第1ディスク25に相対摺動させることができる。
第2ディスク27が第3ディスク28に摺接することにより、第1空間33へ流入した水の、第2空間34への漏出が阻止され、ひいてはディスク式バルブユニットBからの漏出が阻止される。溝25dを介して第1穴25aに常時連通する第1空間33が常時満水状態にあるので、端面28′の第1空間33に接する部分には常時湯が付着している。従って、第2ディスク27が第3ディスク28に相対摺動するのと同時に、第2ディスク27と第3ディスク28との摺接面に水膜が形成され、前記摺接面の自己潤滑性が発現する。従って、第2ディスク27は支障なく第3ディスク28に相対摺動することができる。
【0028】
第2空間34に充填されたオイルが、第3ディスク28の中央開口を介して第2ディスク27と第3ディスク28との摺接面に供給され、第2ディスク27の第3ディスク28に対する摺動が更にスムーズになり、シングルレバー湯水混合水栓の操作性が向上する。第1空間33内の湯は滞留水であり流水ではないので、第2ディスク27と第3ディスク28との摺接面を潤滑するオイルの第1空間33内の湯への混入が抑制され、ひいては吐出水へのオイルの混入が抑制される。
【0029】
第1空間33内の湯が滞留水であることにより、第2空間34に充填されたオイルの減少が抑制されるが、当該オイルが減少した場合には、カートリッジケース21の外部から小径穴30aを介して、第2空間34にオイルを補給することができる。従って、ディスク式バルブユニットBは、オイル切れを起こすことなく長期使用が可能である。
ディスク式バルブユニットBが、シングルレバー湯水混合水栓の水栓本体に組み込まれた状態で、レバーガイド30の、小径穴30aが開口する一方の端面は、水栓本体の外部の空間に暴露されているので、水栓本体からディスク式バルブユニットBを取り外すことなく、カートリッジケース21の外部から小径穴30aを介して、第2空間34にオイルを補給することができる。従って、ディスク式バルブユニットBのオイル補給作業は容易である。
【0030】
ディスク式バルブユニットBが長期に亘って止水状態にあると、前記摺接面に形成された水膜が乾燥して減少する。従って、第2ディスク27を第1ディスク25と第3ディスク28とに相対摺動させる際の始動時に、摺接面の水膜不足で前記相対摺動が困難になる可能性がある。ディスク式バルブユニットBにおいては、以下の理由でかかる困難を生じない。第1ディスク25は、一次圧によって第2ディスク27へ常時押し付けられている。ディスク式バルブBにおいては、端面25′の第1空間33に接する部分に一次圧が常時加わり、当該一次圧は第1ディスク25を第2ディスク27から引き離す方向に作用するので、第1ディスク25と第2ディスク27との摺接面の面圧と、第2ディスク27と第3ディスク28との摺接面の面圧とは低い。従って、第2ディスク27を第1ディスク25と第3ディスク28とに相対摺動させる際の始動時に、仮に三者の摺接面が水膜不足となっていても、第2ディスク27は第1ディスク25と第3ディスク28とに容易に相対摺動でき、レバー29に僅かの外力を印加すれば、第2ディスク27を第1ディスク25と第3ディスク28とに相対摺動させることができる。
【0031】
水流入口2b、22b、第2穴4b、25bを廃止し、レバー9、29の軸線X1、Y1回りの回転を不能にし、凹部6b、27aと第1穴4a、25aとの重畳の度合いのみを調整可能とし、湯流入口2a、22aを水栓本体の水流入口に接続すれば、ディスクバルブA、Bを、レバーを揺動操作して水の吐出流量を調整する単水栓に使用できる。
ディスク式バルブユニットBにおいて、端面25′に形成した溝を介して、第2穴25bを、第1空間33に常時連通させても良い。
ディスク式バルブユニットBにおいて、溝25dを形成するのに代えて、第1穴25aの端面25′側端部の一部が、第1空間33に常時接するように、第1穴25aを形成しても良い。
ディスク式バルブユニットBにおいて、第1穴25aと第2穴25bとを第1空間33に常時連通させても良い。
ディスク式バルブユニットBにおいて、端面25′に形成した溝25dを廃止し、凹部27aの周壁の一部を切り欠いても良い。凹部27aが第1穴25a及び/又は第2穴25bに連通した時に、湯及び/又は水が第1空間33に流入し、端面25′、28′の第1空間33に接する部分に湯及び/又は水が付着する。この結果、第2ディスク27が第1ディスク25と第3ディスク28とに相対摺動するのと同時に、第1ディスク25と第2ディスク27との摺接面と、第2ディスク27と第3ディスク28との摺接面とに水膜が形成され、前記摺接面の自己潤滑性が発現する。シングルレバー湯水混合水栓が比較的長時間使用されず、ディスク式バルブユニットBが比較的長時間閉止すると、第1空間33内の湯及び/又は水は、凹部27aと第3穴25cと湯水流出口22cとを介して湯水流出口へ流出するが、凹部27aの周壁に形成する切欠を小寸法にしておけば、第1空間33内に湯及び/又は水を残存させることができ、端面25′、28′の第1空間33に接する部分に湯及び/又は水が付着した状態を維持することができる。
ディスク式バルブユニットBにおいて、第2ディスク27の他方の端面27″を自己潤滑材で被覆せず、第2ディスク27と第3ディスク28との摺接部をオイルのみで潤滑しても良い。
【0032】
【発明の効果】
上記説明から分かるように、本発明に係るディスク式バルブユニットにおいては、ケーシングの外部から潤滑油補給通路を介して、ケーシングの内部に潤滑油を補給することができる。従って、本発明に係るディスク式バルブユニットは、オイル切れを起こすことなく長期使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るディスクバルブユニットの構造図である。(a)は縦断面図であり、(b)は(a)のb−b矢視図である。
【図2】本発明の第1実施例に係るディスクバルブユニットの構造図である。(a)は縦断面図であり、(b)、(c)、(d)は(a)のb−b矢視図である。
【図3】本発明の第2実施例に係るディスクバルブユニットの縦断面図である。
【図4】本発明の第2実施例に係るディスクバルブユニットの分解斜視図である。
【図5】本発明の第2実施例に係るディスクバルブユニットの縦断面図である。
【符号の説明】
A、B ディスクバルブユニット
1、21 カートリッジケース
2、22 パッキンガイド
4、25 第1ディスク
4a、25a 第1穴
4b、25b 第2穴
4c、25c 第3穴
6、27 第2ディスク
6b、27a 凹部
8 把持具
9、29 レバー
10、30 レバーガイド
10a、30a 小径穴
12 空間
28 第3ディスク
33 第1空間
34 第2空間
【発明の属する技術分野】
本発明は、シングルレバー湯水混合水栓、単水栓等に使用可能なディスク式バルブユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体流入口と、液体流出口と、液体流入口に連通すると共に板厚方向に延在する第1貫通穴と液体流出口に連通すると共に板厚方向に延在する第2貫通穴とが形成された第1ディスクと、一方の端面に第1ディスクの第1貫通穴と第2貫通穴とに連通可能な凹部が形成されると共に前記一方の端面を第1ディスクの一方の端面に摺接させた第2ディスクと、他方の端面の側から第2ディスクに係合するレバーと、第1ディスクと第2ディスクとレバーとを収容するケーシングとを備え、第2ディスクが第1ディスクに相対摺動して第2ディスクの前記凹部と第1ディスクの第1貫通穴との重畳の度合いが調整されるように構成されたディスク式バルブユニットが、シングルレバー湯水混合水栓、単水栓等に組み込まれて使用されている。
ディスク式バルブユニットにおいては、一般に第1ディスクと第2ディスクとの摺接面はシリコングリース等のオイルで潤滑されており、ケーシング内にシリコングリース等のオイルが封入されている。第1ディスクと第2ディスクとの摺接面を潤滑するオイルは、第1ディスクの第1貫通穴から第2ディスクの凹部を通って第1ディスクの第2貫通穴へ流れる水又は湯に連行されて、吐出水に微量ながら混入するので、ケーシング内に封入されたオイルは徐々に減少し、第2ディスクの摺動摩擦が徐々に増加し、水栓の操作性が徐々に悪化する。従来、ディスク式バルブユニットのオイル切れで水栓の操作性が悪化すると、ディスク式バルブユニットを新品に交換していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ディスク式バルブユニットの交換は、水栓使用者に経済的負担を強いる。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、オイル切れを起こすことなく長期使用が可能なディスク式バルブユニットを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては、液体流入口と、液体流出口と、液体流入口に連通すると共に板厚方向に延在する第1貫通穴と液体流出口に連通すると共に板厚方向に延在する第2貫通穴とが形成された第1ディスクと、一方の端面に第1ディスクの第1貫通穴と第2貫通穴とに連通可能な凹部が形成されると共に前記一方の端面を第1ディスクの一方の端面に摺接させた第2ディスクと、他方の端面の側から第2ディスクに係合するレバーと、第1ディスクと第2ディスクとレバーとを収容するケーシングとを備え、第2ディスクが第1ディスクに相対摺動して第2ディスクの前記凹部と第1ディスクの第1貫通穴との重畳の度合いが調整されるように構成されたディスク式バルブユニットであって、ケーシングの外部とケーシングの内部とを連通させる潤滑油補給通路を備えることを特徴とするディスク式バルブユニットを提供する。
ケーシングの外部から潤滑油補給通路を介して、ケーシングの内部にオイルを補給することができる。従って、本発明に係るディスク式バルブユニットは、オイル切れを起こすことなく長期使用が可能である。
【0005】
本発明の好ましい態様においては、潤滑油補給通路は、ディスク式バルブユニットの、水栓本体に組み込まれた状態で、水栓本体の外部の空間に暴露される部位に形成されている。
水栓本体からディスク式バルブユニットを取り外すことなく、ケーシングの外部から潤滑油補給通路を介して、ケーシングの内部にオイルを補給することができる。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、ディスク式バルブユニットは、ケーシング内に収容された環状の第3ディスクを備え、第2ディスクの他方の端面は第3ディスクの中央開口を常時覆って第3ディスクの一方の端面に摺接し、第1ディスクと第2ディスクとの摺接面は自己潤滑性を有し、第1ディスクと第3ディスクとの間に且つ第2ディスクの径方向外方に、第1貫通穴に連通する第1空間が形成され、第2ディスクと第3ディスクとを間に挟んで第1空間に隣接する第2空間が形成され、潤滑湯補給通路は第2空間に連通している。
第1ディスクと第2ディスクとの摺接面が自己潤滑性を有しているので、当該摺接面の潤滑にオイルを要さない。従って、オイルの吐出水への混入量が減少し、ケーシング内に封入したオイルの減少速度が低下し、潤滑油補給作業の頻度が減少し、ディスク式バルブユニットが組み込まれた水栓の利便性が向上する。
前記摺接面の自己潤滑性は、前記摺接面に水膜が形成されることにより発現する。第1貫通穴から第1空間へ流入した水又は湯が、第1空間に接する第1ディスクの端面に付着する。従って、第2ディスクが第1ディスクに相対摺動するのと同時に、第1ディスクと第2ディスクとの摺接面に水膜が形成され、前記摺接面の自己潤滑性が発現する。
第2ディスクが第3ディスクに摺接することにより、第1空間へ流入した水又は湯の第2空間への漏出が阻止され、ひいてはディスク式バルブユニットからの漏出が阻止される。
第2空間にオイルを封入しておけば、第3ディスクの中央開口を介して第2ディスクと第3ディスクとの摺接面にオイルが供給され、第2ディスクの第3ディスクに対する摺動がスムーズになり、水栓の操作性が向上する。第2空間に封入されたオイルは、流水には直接接触しないので、吐出水へのオイルの混入が抑制され、ケーシング内に封入したオイルの減少が抑制される。また、潤滑油補給通路を介して第2空間にオイルを補給することができる。従って、水栓の高い操作性を長期に亘って維持することができる。
【0007】
本発明の好ましい態様においては、第2ディスクと第3ディスクとの摺接面は自己潤滑性を有する。
第1貫通穴から第1空間へ流入した水又は湯が、第1空間に接する第3ディスクの端面に付着し、第2ディスクが第3ディスクに相対摺動するのと同時に、第2ディスクと第3ディスクとの摺接面に水膜が形成され、前記摺接面の自己潤滑性が発現する。この結果、第2ディスクと第3ディスクととの摺接面に供給するオイルの量を低減でき、吐出水へのオイルの混入を更に抑制できる。
【0008】
本発明の好ましい態様においては、第1空間は第1貫通穴に常時連通する
ディスク式バルブが長期に亘って止水状態にあると、前記摺接面に形成された水膜が乾燥して減少する。従って、第2ディスクを第1ディスクに相対摺動させる際の始動時に、摺接面の水膜不足で前記相対摺動が困難になる可能性がある。本発明に係るディスク式バルブにおいては、以下の理由で係る困難を生じない。第1ディスクは一次圧により第2ディスクに常時押し付けられている。本発明に係るディスク式バルブにおいては、第1ディスクの一方の端面の第1空間に接する部分に一次圧が常時加わり、当該一次圧は第1ディスクを第2ディスクから引き離す方向に作用するので、第1ディスクと第2ディスクとの摺接面の面圧は低い。従って、第2ディスクを第1ディスクに相対摺動させる際の始動時に、仮に摺接面が水膜不足となっていても、第2ディスクは第1ディスクに容易に相対摺動できる。
第2ディスクを第1ディスクに対して容易に始動でき、始動と同時に両者の摺接面に水膜が形成されて自己潤滑性が発現するので、本発明に係るディスク式バルブにおいては長期に亘って良好な操作性が維持される。
【0009】
本発明の好ましい態様においては、液体流入口は互いに独立した湯流入口と水流入口とを有し、第1ディスクの第1貫通穴は互いに独立した湯流入口連通穴と水流入口連通穴とを有し、第2ディスクの凹部は第1ディスクの湯流入口連通穴と水流入口連通穴とに連通可能であり、第2ディスクが第1ディスクに相対摺動して、第2ディスクの前記凹部と第1ディスクの湯流入口連通穴との重畳の度合いと、第2ディスクの前記凹部と第1ディスクの水流入口連通穴との重畳の度合いとが調整される。
上記構成を有するディスク式バルブユニットは、シングルレバー湯水混合水栓に使用可能である。
【0010】
本発明においては、上記何れかのディスク式バルブユニットを備える水栓を提供する。
上記何れかのディスク式バルブユニットを備える水栓は、長期に亘って良好な操作性を維持することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施例に係るディスク式バルブユニットを説明する。
図1、2に示すように、ディスク式バルブAは、大径部と小径部とを有する合成樹脂製の円筒状のカートリッジケース1と、カートリッジケース1の大径側端部に嵌合固定された合成樹脂製の円板状のパッキンガイド2とを備えている。パッキンガイド2を板厚方向に貫通する、互いに独立した湯流入口2a、水流入口2b、湯水流出口2cが、パッキンガイド2に形成されている。湯流入口2a、水流入口2b、湯水流出口2cと図示しない給湯口、給水口、湯水流出口を有する水栓本体100との接続部をシールするパッキン3が、パッキンガイド2に取り付けられている。
【0012】
セラミック製の円板状の第1ディスク4が、カートリッジケース1内に配設され、パッキンガイド2に嵌合し、パッキンガイド2とカートリッジ1とにより挟持固定されている。第1ディスク4を板厚方向に貫通すると共に、湯流入口2a、水流入口2b、湯水流出口2cに連通する互いに独立した第1穴4a、第2穴4b、第3穴4cが、第1ディスク4に形成されている。第1ディスク4の、パッキンガイド2から離隔する側の端面4′は鏡面仕上げされている。第1穴4a、第2穴4b、第3穴4cと湯流入口2a、水流入口2b、湯水流出口2cとの連通部をシールするパッキン5が配設されている。
【0013】
セラミック製の円板状の第2ディスク6が、カートリッジケース1内に配設されている。第2ディスク6の鏡面仕上げされた一方の端面6′が第1ディスク4の鏡面仕上げされた端面4′に摺接している。端面4′はDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の自己潤滑材で被覆されている。第2ディスク6を板厚方向に貫通し、第1ディスク4の第1穴4a、第2穴4b、第3穴4cに連通可能な穴6aが、第2ディスク6に形成されている。
第2ディスク6の他方の端面を把持し、第2ディスク6と一体化して第2ディスク6の一部を形成する合成樹脂製の把持具7が、カートリッジケース1内に配設されている。把持具7の第2ディスク6から離隔する側の端面にボス7aが形成されている。穴6a周囲の第2ディスク6と把持具7との当接部は、Oリング8によりシールされている。穴6aと把持具7とが共働して、端面6′に形成され、第1ディスク4の第1穴4a、第2穴4b、第3穴4cに連通可能な凹部6bを形成している。
【0014】
合成樹脂製のレバー9が、カートリッジケース1の小径側端部を通ってカートリッジケース1内へ挿入されている。レバー9は、カートリッジケース1小径側端部に摺動回転可能に嵌合する円筒状のレバーガイド10に挿通され、レバーガイド10の周壁を貫通するピン11を用いて、ピン11回りに回転可能に、レバーガイド10に取り付けられている。レバー9のピン11が挿通されたボス9aは、レバーガイド10の矩形断面中心穴の周壁に摺接している。レバー9の、カートリッジケース1内へ挿入された端部9bは、把持具7のボス7aに嵌入している。端部9bは、ピン11回りに揺動可能に、且つボス7aの中心軸線X回りにボス7aに相対回転不能にボス7aに係合している。
【0015】
カートリッジケース1内に且つ第2ディスク7の径方向外方に空間12が形成されている。空間12は、ボス9aとレバーガイド10の中心穴との摺接部まで延びている。空間12に、シリコングリース等のオイルが充填されている。レバーガイド10の周壁に、長手方向に当該周壁を貫通してカートリッジケース1の外部の空間と空間12とを連通させる潤滑油補給通路である小径穴10aが形成されている。
ディスク式バルブユニットAは、シングルレバー湯水混合水栓の水栓本体100に組み込まれ、レバー9に水栓レバー101が取り付けられる。ディスク式バルブユニットAが、シングルレバー湯水混合水栓の水栓本体100に組み込まれた状態で、レバーガイド10の、小径穴10aが開口する一方の端面は、水栓本体100の外部の空間に暴露されている。
【0016】
ディスクバルブAの作動を説明する。
図1の状態では、穴6aと把持具7とが共働して形成する凹部6bは第3穴4cに連通するが、第1穴4a、第2穴4bには連通しない。第1穴4a、第2穴4b、第3穴4cは第2ディスク6により閉鎖されている。
鏡面仕上げされた端面4′と鏡面仕上げされた面端面6′とが密着することにより、第1ディスク4と第2ディスク6との摺接面はシールされている。従って、第1穴4aに充満する湯と、第2穴4bに充満する水とは、第3穴4cへ流入せず、ディスクバルブAから湯水流出口へ湯水は流出しない。
【0017】
図1でピン11回りにレバー9が反時計方向へ回転し、第2ディスク6が第1ディスク4に相対摺動して、図2(a)、(b)の状態になると、凹部6bは、第1穴4a、第2穴4b、第3穴4cに連通する。給湯口から第1穴4aへ供給された湯と、給水口から第2穴4bへ供給された水とが、凹部6bを通って第3穴4cへ流入する。この結果、混合湯水がディスクバルブAから湯水流出口へ流出する。ピン11回りのレバー9の回転角度が調整されることにより、ディスクバルブAから湯水流出口へ流出する湯水の流量が調整される。
ピン11の中心軸線に直交して軸線Xに平行に延在する軸線X1回りにレバー9が回転し、第2ディスク6が第1ディスク4に相対回転摺動して、図2(c)の状態になると、凹部6bは、第1穴4aと第3穴4cとに連通する。給湯口から第1穴4aへ供給された湯が、凹部6bを通って第3穴4cへ流入する。この結果、湯がディスクバルブAから湯水流出口へ流出する。
軸線X1回りにレバー9が回転し、第2ディスク6が第1ディスク4に相対回転摺動して、図2(d)の状態になると、凹部6bは、第2穴4bと第3穴4cとに連通する。給水口から第2穴4bへ供給された水が、凹部6bを通って第3穴4cへ流入する。この結果、水がディスクバルブAから湯水流出口へ流出する。軸線X1回りのレバー9の回転角度が調整されることにより、凹部6bと、第1穴4a、第2穴4bとの重畳の度合いが調整され、湯と水との混合比が調整され、ディスクバルブAから流出する湯水の温度が調整される。
【0018】
第1ディスク4と第2ディスク6との摺接面は、空間12に充填されたオイルにより潤滑される。第1ディスク4と第2ディスク6との摺接面を潤滑するオイルは、第1穴4a及び/又は第2穴4bから凹部6bを通って第3穴4cへ流れる水又は湯に連行されて、吐出水に微量ながら混入するので、空間12に充填されたオイルは徐々に減少する。ディスク式バルブAにおいては、カートリッジケース1の外部から小径穴10aを介して、空間12にオイルを補給することができる。従って、ディスク式バルブユニットAは、オイル切れを起こすことなく長期使用が可能である。
ディスク式バルブユニットAが、シングルレバー湯水混合水栓の水栓本体100に組み込まれた状態で、レバーガイド10の、小径穴10aが開口する一方の端面は、水栓本体100の外部の空間に暴露されているので、水栓本体100からディスク式バルブユニットAを取り外すことなく、カートリッジケース1の外部から小径穴10aを介して、空間12にオイルを補給することができる。従って、ディスク式バルブユニットAのオイル補給作業は容易である。
【0019】
本発明の第2実施例に係るディスク式バルブを説明する。
図3〜5に示すように、ディスク式バルブBは、大径部と小径部とを有する合成樹脂製の円筒状のカートリッジケース21と、カートリッジケース21の大径側端部に嵌合固定された合成樹脂製の円板状のパッキンガイド22とを備えている。カートリッジケース21内周面とパッキンガイド22外周面との当接部は、Oリング23によりシールされている。パッキンガイド22を板厚方向に貫通する、互いに独立した湯流入口22a、水流入口22b、湯水流出口22cが、パッキンガイド22に形成されている。湯流入口22a、水流入口22b、湯水流出口22cと図示しない給湯口、給水口、湯水流出口を有する水栓本体との接続部をシールするパッキン24が、パッキンガイド22に取り付けられている。
【0020】
セラミック製の円板状の第1ディスク25が、カートリッジケース21内に配設され、パッキンガイド22に嵌合固定されている。第1ディスク25を板厚方向に貫通すると共に、湯流入口22a、水流入口22b、湯水流出口22cに連通する互いに独立した第1穴25a、第2穴25b、第3穴25cが、第1ディスク25に形成されている。第1ディスク25の、パッキンガイド22から離隔する側の端面25′に、第1穴25aから端面25′の周縁部まで延在する溝25dが形成されている。端面25′は鏡面仕上げされている。第1穴25a、第2穴25b、第3穴25cと湯流入口22a、水流入口22b、湯水流出口22cとの連通部をシールするパッキン26が配設されている。
【0021】
長円板状のセラミック製の第2ディスク27が、カートリッジケース21内に配設されている。第2ディスク27の鏡面仕上げされた一方の端面27′が第1ディスク25の鏡面仕上げされた端面25′に摺接している。端面27′はDLC等の自己潤滑材で被覆されている。端面27′に、第1ディスク25の第1穴25a、第2穴25b、第3穴25cに連通可能な凹部27aが形成されている。第2ディスク27の、他方の端面27″も鏡面仕上げされており、且つDLC等の自己潤滑材で被覆されている。端面27″に凹部27bが形成されている。
【0022】
セラミック製の円環板状の第3ディスク28がカートリッジケース21内に配設されている。第3ディスク28はカートリッジケース21に嵌合固定されている。カートリッジケース21内周面と第3ディスク28外周面との当接部は、Oリング23′によりシールされている。第3ディスク28の第2ディスク27に対峙する端面28′は鏡面仕上げされている。
第2ディスク27の鏡面仕上げされた他方の端面27″は、第3ディスクの中央開口を常時覆って、第3ディスク28の鏡面仕上げされた端面28′に摺接している。
【0023】
合成樹脂製のレバー29が、カートリッジケース21の小径側端部を通ってカートリッジケース21内へ挿入されている。レバー29は、カートリッジケース21小径側端部に摺動回転可能に嵌合する円筒状のレバーガイド30に挿通され、レバーガイド30の周壁を貫通するピン31を用いて、ピン31回りに回転可能に、レバーガイド30に取り付けられている。レバー29のピン31が挿通されたボス部29aは、レバーガイド30の矩形断面中心穴の周壁に摺接している。ボス部29aと前記周壁との摺接部、カートリッジケース21小径側端部とレバーガイド30との摺接部は、シリコングリース等のオイルによって潤滑されている。
レバー29の、カートリッジケース21内へ挿入された端部29bは、第2ディスク27の凹部27b内へ挿入されている。端部29bに摺接する合成樹脂製のアダプタ32が、凹部27bに嵌合している。端部29bは、ピン31回りに揺動可能に、且つ凹部27bの中心軸線Y回りに凹部27bに相対回転不能に、アダプタ32を介して凹部27bに係合している。
【0024】
カートリッジケース21内に、且つ第2ディスク27の径方向外方に、且つ第1ディスク25と第3ディスク28とに挟まれて、第1空間33が形成されている。第1ディスク25の端面25′に形成された溝25dを介して、第1ディスク25の第1穴25aは、第1空間33に常時連通している。
カートリッジケース21内に、且つ第2ディスク27と第3ディスク28とを間に挟んで第1空間33に隣接して第2空間34が形成されている。第2空間34に、シリコングリース等のオイルが充填されている。レバーガイド30の周壁に、長手方向に当該周壁を貫通してカートリッジケース21の外部の空間と第2空間34とを連通させる潤滑油補給通路である小径穴30aが形成されている。
ディスク式バルブユニットBは、ディスク式バルブユニットAと同様に、シングルレバー湯水混合水栓の水栓本体に組み込まれ、レバー29に水栓レバーが取り付けられる。ディスク式バルブユニットBが、シングルレバー湯水混合水栓の水栓本体に組み込まれた状態で、レバーガイド30の、小径穴30aが開口する一方の端面は、水栓本体の外部の空間に暴露されている。
【0025】
ディスクバルブBの作動を説明する。
図3の状態では、凹部27aは第3穴25cに連通するが、第1穴25a、第2穴25bには連通しない。第1穴25a、第2穴25b、第3穴25cは第2ディスク27により閉鎖されている。給湯口から第1穴25aへ供給された湯が、溝25dを介して第2穴25bに常時連通する閉鎖空間33へ流入し、閉鎖空間33に充満している。端面25′の閉鎖空間33に接する部位は常時接水している。
鏡面仕上げされた端面25′と鏡面仕上げされた端面27′とが密着することにより、第1ディスク25と第2ディスク27との摺接面はシールされている。従って、第1穴25aと閉鎖空間33とに充満する湯と、第2穴25bに充満する水とは、第3穴25cへ流入せず、ディスクバルブBから湯水流出口へ湯水は流出しない。
鏡面仕上げされた端面27″と鏡面仕上げされた端面28′とが密着することにより、第2ディスク27と第3ディスク28との摺接面はシールされている。従って、第1穴25aと閉鎖空間33とに充満する湯は、第2空間34へは漏出せず、ディスクバルブBから漏出しない。
【0026】
図3でピン31回りにレバー29が反時計方向へ回転し、第2ディスク27が第1ディスク25と第3ディスク28とに相対摺動して、図5の状態になると、凹部27aは、第1穴25a、第2穴25b、第3穴25cに連通する。給湯口から第1穴25aへ供給された湯と、給水口から第2穴25bへ供給された水とが、凹部27aを通って第3穴25cへ流入する。この結果、混合湯水がディスクバルブBから湯水流出口へ流出する。ピン31回りのレバー29の回転角度が調整されることにより、ディスクバルブBから湯水流出口へ流出する湯水の流量が調整される。
ピン31の中心軸線に直交し軸線Yに平行に延在する軸線Y1回りにレバー29が回転し、第2ディスク27が第1ディスク25と第3ディスク28とに相対回転摺動して、凹部27aが、第1穴25aと第3穴25cとに連通すると、給湯口から第1穴25aへ供給された湯が、凹部27aを通って第3穴25cへ流入する。この結果、湯がディスクバルブBから湯水流出口へ流出する。
軸線Y1回りにレバー29が回転し、第2ディスク27が第1ディスク25と第3ディスク28とに相対回転摺動して、凹部27aが、第2穴25bと第3穴25cとに連通すると、給水口から第2穴25bへ供給された水が、凹部27aを通って第3穴25cへ流入する。この結果、水がディスクバルブBから湯水流出口へ流出する。
軸線Y1回りのレバー29の回転角度が調整されることにより、凹部27aと第1穴25a、第2穴25bとの重畳の度合いが調整され、湯と水との混合比が調整され、ディスクバルブBから流出する湯水の温度が調整される。
【0027】
ディスク式バルブBにおいては、端面27′が自己潤滑材で被覆され、第1ディスク25と第2ディスク27との摺接面が自己潤滑性を有しているので、当該摺接面を潤滑するためのオイルを必要としない。従って、オイルが流水に連行される事態の発生が阻止され、吐出水へのオイルの混入量が減少し、第2空間34に充填したオイルの減少速度が低下し、潤滑油補給作業の頻度が減少し、ディスク式バルブユニットBが組み込まれたシングルレバー湯水混合水栓の利便性が向上する。
第1ディスク25と第2ディスク27との摺接面の自己潤滑性は、当該摺接面に水膜が形成されることにより発現する。ディスク式バルブBにおいては、溝25dを介して第1穴25aに常時連通する第1空間33が常時満水状態にあるので、端面25′の第1空間33に接する部分には常時湯が付着している。従って、第2ディスク27が第1ディスク25に相対摺動するのと同時に、第1ディスク25と第2ディスク27との摺接面に水膜が形成され、前記摺接面の自己潤滑性が発現する。従って、レバー29に僅かの外力を印加すれば、第2ディスク27を第1ディスク25に相対摺動させることができる。
第2ディスク27が第3ディスク28に摺接することにより、第1空間33へ流入した水の、第2空間34への漏出が阻止され、ひいてはディスク式バルブユニットBからの漏出が阻止される。溝25dを介して第1穴25aに常時連通する第1空間33が常時満水状態にあるので、端面28′の第1空間33に接する部分には常時湯が付着している。従って、第2ディスク27が第3ディスク28に相対摺動するのと同時に、第2ディスク27と第3ディスク28との摺接面に水膜が形成され、前記摺接面の自己潤滑性が発現する。従って、第2ディスク27は支障なく第3ディスク28に相対摺動することができる。
【0028】
第2空間34に充填されたオイルが、第3ディスク28の中央開口を介して第2ディスク27と第3ディスク28との摺接面に供給され、第2ディスク27の第3ディスク28に対する摺動が更にスムーズになり、シングルレバー湯水混合水栓の操作性が向上する。第1空間33内の湯は滞留水であり流水ではないので、第2ディスク27と第3ディスク28との摺接面を潤滑するオイルの第1空間33内の湯への混入が抑制され、ひいては吐出水へのオイルの混入が抑制される。
【0029】
第1空間33内の湯が滞留水であることにより、第2空間34に充填されたオイルの減少が抑制されるが、当該オイルが減少した場合には、カートリッジケース21の外部から小径穴30aを介して、第2空間34にオイルを補給することができる。従って、ディスク式バルブユニットBは、オイル切れを起こすことなく長期使用が可能である。
ディスク式バルブユニットBが、シングルレバー湯水混合水栓の水栓本体に組み込まれた状態で、レバーガイド30の、小径穴30aが開口する一方の端面は、水栓本体の外部の空間に暴露されているので、水栓本体からディスク式バルブユニットBを取り外すことなく、カートリッジケース21の外部から小径穴30aを介して、第2空間34にオイルを補給することができる。従って、ディスク式バルブユニットBのオイル補給作業は容易である。
【0030】
ディスク式バルブユニットBが長期に亘って止水状態にあると、前記摺接面に形成された水膜が乾燥して減少する。従って、第2ディスク27を第1ディスク25と第3ディスク28とに相対摺動させる際の始動時に、摺接面の水膜不足で前記相対摺動が困難になる可能性がある。ディスク式バルブユニットBにおいては、以下の理由でかかる困難を生じない。第1ディスク25は、一次圧によって第2ディスク27へ常時押し付けられている。ディスク式バルブBにおいては、端面25′の第1空間33に接する部分に一次圧が常時加わり、当該一次圧は第1ディスク25を第2ディスク27から引き離す方向に作用するので、第1ディスク25と第2ディスク27との摺接面の面圧と、第2ディスク27と第3ディスク28との摺接面の面圧とは低い。従って、第2ディスク27を第1ディスク25と第3ディスク28とに相対摺動させる際の始動時に、仮に三者の摺接面が水膜不足となっていても、第2ディスク27は第1ディスク25と第3ディスク28とに容易に相対摺動でき、レバー29に僅かの外力を印加すれば、第2ディスク27を第1ディスク25と第3ディスク28とに相対摺動させることができる。
【0031】
水流入口2b、22b、第2穴4b、25bを廃止し、レバー9、29の軸線X1、Y1回りの回転を不能にし、凹部6b、27aと第1穴4a、25aとの重畳の度合いのみを調整可能とし、湯流入口2a、22aを水栓本体の水流入口に接続すれば、ディスクバルブA、Bを、レバーを揺動操作して水の吐出流量を調整する単水栓に使用できる。
ディスク式バルブユニットBにおいて、端面25′に形成した溝を介して、第2穴25bを、第1空間33に常時連通させても良い。
ディスク式バルブユニットBにおいて、溝25dを形成するのに代えて、第1穴25aの端面25′側端部の一部が、第1空間33に常時接するように、第1穴25aを形成しても良い。
ディスク式バルブユニットBにおいて、第1穴25aと第2穴25bとを第1空間33に常時連通させても良い。
ディスク式バルブユニットBにおいて、端面25′に形成した溝25dを廃止し、凹部27aの周壁の一部を切り欠いても良い。凹部27aが第1穴25a及び/又は第2穴25bに連通した時に、湯及び/又は水が第1空間33に流入し、端面25′、28′の第1空間33に接する部分に湯及び/又は水が付着する。この結果、第2ディスク27が第1ディスク25と第3ディスク28とに相対摺動するのと同時に、第1ディスク25と第2ディスク27との摺接面と、第2ディスク27と第3ディスク28との摺接面とに水膜が形成され、前記摺接面の自己潤滑性が発現する。シングルレバー湯水混合水栓が比較的長時間使用されず、ディスク式バルブユニットBが比較的長時間閉止すると、第1空間33内の湯及び/又は水は、凹部27aと第3穴25cと湯水流出口22cとを介して湯水流出口へ流出するが、凹部27aの周壁に形成する切欠を小寸法にしておけば、第1空間33内に湯及び/又は水を残存させることができ、端面25′、28′の第1空間33に接する部分に湯及び/又は水が付着した状態を維持することができる。
ディスク式バルブユニットBにおいて、第2ディスク27の他方の端面27″を自己潤滑材で被覆せず、第2ディスク27と第3ディスク28との摺接部をオイルのみで潤滑しても良い。
【0032】
【発明の効果】
上記説明から分かるように、本発明に係るディスク式バルブユニットにおいては、ケーシングの外部から潤滑油補給通路を介して、ケーシングの内部に潤滑油を補給することができる。従って、本発明に係るディスク式バルブユニットは、オイル切れを起こすことなく長期使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るディスクバルブユニットの構造図である。(a)は縦断面図であり、(b)は(a)のb−b矢視図である。
【図2】本発明の第1実施例に係るディスクバルブユニットの構造図である。(a)は縦断面図であり、(b)、(c)、(d)は(a)のb−b矢視図である。
【図3】本発明の第2実施例に係るディスクバルブユニットの縦断面図である。
【図4】本発明の第2実施例に係るディスクバルブユニットの分解斜視図である。
【図5】本発明の第2実施例に係るディスクバルブユニットの縦断面図である。
【符号の説明】
A、B ディスクバルブユニット
1、21 カートリッジケース
2、22 パッキンガイド
4、25 第1ディスク
4a、25a 第1穴
4b、25b 第2穴
4c、25c 第3穴
6、27 第2ディスク
6b、27a 凹部
8 把持具
9、29 レバー
10、30 レバーガイド
10a、30a 小径穴
12 空間
28 第3ディスク
33 第1空間
34 第2空間
Claims (7)
- 液体流入口と、液体流出口と、液体流入口に連通すると共に板厚方向に延在する第1貫通穴と液体流出口に連通すると共に板厚方向に延在する第2貫通穴とが形成された第1ディスクと、一方の端面に第1ディスクの第1貫通穴と第2貫通穴とに連通可能な凹部が形成されると共に前記一方の端面を第1ディスクの一方の端面に摺接させた第2ディスクと、他方の端面の側から第2ディスクに係合するレバーと、第1ディスクと第2ディスクとレバーとを収容するケーシングとを備え、第2ディスクが第1ディスクに相対摺動して第2ディスクの前記凹部と第1ディスクの第1貫通穴との重畳の度合いが調整されるように構成されたディスク式バルブユニットであって、ケーシングの外部とケーシングの内部とを連通させる潤滑油補給通路を備えることを特徴とするディスク式バルブユニット。
- 潤滑油補給通路は、ディスク式バルブユニットの、水栓本体に組み込まれた状態で、水栓本体の外部の空間に暴露される部位に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のディスク式バルブユニット。
- ケーシング内に収容された環状の第3ディスクを備え、第2ディスクの他方の端面は第3ディスクの中央開口を常時覆って第3ディスクの一方の端面に摺接し、第1ディスクと第2ディスクとの摺接面は自己潤滑性を有し、第1ディスクと第3ディスクとの間に且つ第2ディスクの径方向外方に、第1貫通穴に連通する第1空間が形成され、第2ディスクと第3ディスクとを間に挟んで第1空間に隣接する第2空間が形成され、潤滑湯補給通路は第2空間に連通していることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスク式バルブユニット。
- 第2ディスクと第3ディスクとの摺接面は自己潤滑性を有することを特徴とする請求項3に記載のディスク式バルブユニット。
- 第1空間は第1貫通穴に常時連通することを特徴とする請求項3又は4に記載のディスク式バルブユニット。
- 液体流入口は互いに独立した湯流入口と水流入口とを有し、第1ディスクの第1貫通穴は互いに独立した湯流入口連通穴と水流入口連通穴とを有し、第2ディスクの凹部は第1ディスクの湯流入口連通穴と水流入口連通穴とに連通可能であり、第2ディスクが第1ディスクに相対摺動して、第2ディスクの前記凹部と第1ディスクの湯流入口連通穴との重畳の度合いと、第2ディスクの前記凹部と第1ディスクの水流入口連通穴との重畳の度合いとが調整されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のディスク式バルブユニット。
- 請求項1乃至6の何れか1項に記載のディスク式バルブユニットを備えることを特徴とする水栓。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002238424A JP2004076861A (ja) | 2002-08-19 | 2002-08-19 | ディスク式バルブユニット |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019044808A (ja) * | 2017-08-30 | 2019-03-22 | 株式会社Lixil | 弁装置 |
JP2021001438A (ja) * | 2019-06-19 | 2021-01-07 | Sanei株式会社 | 水栓 |
-
2002
- 2002-08-19 JP JP2002238424A patent/JP2004076861A/ja active Pending
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