JP2648113B2 - 移動体位置検出方式 - Google Patents

移動体位置検出方式

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JP2648113B2
JP2648113B2 JP7003834A JP383495A JP2648113B2 JP 2648113 B2 JP2648113 B2 JP 2648113B2 JP 7003834 A JP7003834 A JP 7003834A JP 383495 A JP383495 A JP 383495A JP 2648113 B2 JP2648113 B2 JP 2648113B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は徘徊老人,警備見回り人
(車),要健康管理者あるいは緊急通信システムにおけ
る緊急通報者等の移動体の捜索,所在位置確認あるいは
検出を行う移動体位置検出方式に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の移動体位置検出方式の多
くは、移動体が伴なう移動体局の発する電波を複数の固
定局で受信し、上記移動体局の方位あるいは距離情報等
を収集することによって上記移動体の位置を検出してい
る。しかし、上述のように複数の固定局を設置するには
多くの費用を要し、また少数の固定局を設置しただけで
は広いサービスエリアをカバーできず,また複雑な地形
のサービスエリアでは電波伝搬上の不感地帯ができると
いう大きな問題がある。これに対処するために、複数の
固定局を設置することなしに電波発射源(目標あるいは
上記移動体局)の位置情報を収集する技術が、公開特許
公報,昭61−178676号(発明の名称:方向探知
機)および平3−282280号(発明の名称:電波発
射源表示装置)に開示されている。これらの技術では、
移動体位置の検出局が、自局の位置と電波発射源の方位
とを2以上の地点で収集して、上記電波発射源の位置を
特定する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記公開特許公報に開
示された技術は、電波発射源(あるいは移動体局)の方
位を方向探知機等で測定する必要があるが、市街地な
ど,マルチパスや反射などの電波障害を伴なう環境で
は、マルチパスにより大きな方位測定誤差を生じ、また
反射波で測定すると測定方位が最悪の場合反対方向にな
ってしまうので、電波発射源の正確な位置決定が困難で
あるという欠点があった。
【0004】従って、本発明はサービスエリアが広くて
もシステム構成が簡単で設備投資費用少なく、しかも市
街地等の電波障害を伴なう環境でも移動体の位置を誤り
なく決定できる移動体位置検出方式を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の移動体位置検出
方式は、サービスエリア内を移動自在な移動体局の位置
を移動車に搭載したセンサー局で検出する移動体位置検
出方式であって、前記センサー局が、前記移動体局の発
射する電波信号の受信電界レベルを測定する受信電界レ
ベル測定手段と、前記受信電界レベルの測定時における
自局の位置情報を入力する位置情報入力手段と、前記位
置情報に対応する無線ゾーンを表示するとともにこの表
示無線ゾーンに前記受信電界レベル対応の表示を行う受
信電界レベル表示手段とを備える。
【0006】前記移動体位置検出方式の第1の実施態様
は、前記移動体局が、自局を識別するための識別符号を
含む前記電波信号を発射する緊急通報手段を備える構成
をとることができる。
【0007】前記移動体位置検出方式の第2の実施態様
は、前記センサー局が、前記移動体局を識別するための
識別符号を含む捜索信号を電波によって送信する捜索信
号送信手段をさらに含み、前記移動体局が、前記捜索信
号を受けて自局の識別符号を認識すると、前記電波信号
を発射する応答手段を備える構成をとることができる。
【0008】前記移動体位置検出方式の第3の実施態様
は、前記サービスエリアが、複数の前記無線ゾーンに予
め区分されており、前記センサー局が、入力される前記
位置情報を前記無線ゾーンの一つに対応させる位置情報
処理手段をさらに備える構成をとることができる。
【0009】前記移動体位置検出方式の第4の実施態様
は、前記受信電界レベル測定手段が、前記受信電界レベ
ルを任意の地点で測定する構成をとることができる。
【0010】前記移動体位置検出方式の第5の実施態様
は、前記無線ゾーンが、前記位置情報の地点を中心とし
て予め定めた範囲内である構成をとることができる。
【0011】前記移動体位置検出方式の第6の実施態様
は、前記受信電界レベル測定手段が、前記受信電界レベ
ルを互いに異なる複数の時刻に測定し、前記受信電界レ
ベル表示手段が、測定された複数の前記受信電界レベル
を複数の前記表示無線ゾーンに表示する構成をとること
ができる。
【0012】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明す
る。
【0013】図1は本発明による移動体位置検出方式の
原理説明図である。(a)はシステム概念図、(b)は
センサー局10の表示器への表示例を示す図である。
【0014】本発明による移動体位置検出方式は、サー
ビスエリアSA内を移動体(図示せず)に保持されて移
動自在な移動体局20の位置を移動車(図示せず)に搭
載したセンサー局10で検出するシステムである。セン
サー局10はサービスエリアSA内を走行しながら移動
体局20の発射する電波信号の受信電界レベルRLを測
定する。また、センサー局10は、この受信電界レベル
RLの測定時における自局の位置情報を内蔵する自動位
置検知装置または信号処理装置の入力部から入力する。
そして、センサー局10は内蔵する表示器に上記位置情
報に対応する無線ゾーン(表示無線ゾーン)に上記受信
電界レベルRL対応の表示を行う。なお、移動体局20
は複数であってもよく、この場合には、各移動局20に
固有の識別符号IDを与えて識別する。
【0015】ここで、上記無線ゾーンは、後に詳述する
本発明の第1の実施例では、サービスエリアSAを複数
の無線ゾーンに予め区分している。図1の無線ゾーン
A,B,…,X,Yは、この第1の実施例の無線ゾーン
を示している。また、後に詳述する本発明の第2の実施
例では、上記無線ゾーンを上記上記受信電界レベルRL
測定時に入力された位置情報の地点を中心として区分す
る。
【0016】図1に示した無線ゾーンAないしYは、互
いにほぼ同一面積を有する円形状をなし、また互いに隣
接する無線ゾーンの中心点とはほぼ等距離となってい
る。従って、無線ゾーンの中心位置で移動体局20が発
射する電波信号は、この無線ゾーンの地形が平面状であ
れば、その無線ゾーンの同心円上でほぼ同じ電界レベル
を生じる。
【0017】センサー局10が移動体局20の位置を検
出するためには、移動車に搭載されたセンサー局10を
任意の無線ゾーン,ここでは無線ゾーンBのほぼ中心地
点を出発点として無線ゾーンC,D,I,H,G,L,
MおよびNのほぼ中心地点をそれぞれ走査させる(図1
(a)参照)。そして、センサー局10の送受信装置
は、これら各無線ゾーンのほぼ中心地点で、移動体局2
0が発射する電波信号の受信電界レベルRLを測定す
る。いま、移動体局20は無線ゾーンDに位置してい
る。従って、センサー局10は、上記電波信号を、無線
ゾーンDでは高い受信電界レベルRL3で受信し、無線
ゾーンDに隣接している無線ゾーンC,IおよびHでは
中位の受信電界レベルRL2で受信し、無線ゾーンDに
隣接していない無線ゾーンB,G,MおよびNでは低い
受信電界レベルRL1で受信する。この受信電界レベル
RLは、上記信号処理部に送られる。なお、レベルRL
1,RL2およびRL3は、上記送受信部の受信電界レ
ベル検知部が受信電界レベルを3段階に区分した結果を
示している。
【0018】センサー局10は、また、上記受信電界レ
ベルRL測定時に、自局位置を示す位置情報を上記信号
処理部に入力する。この位置情報には無線ゾーンの一つ
が対応するので、測定された受信電界レベルRLごとに
対応する無線ゾーンが確定する。
【0019】センサー局10の表示器11は、上記信号
処理部から受信電界レベルRLと上記位置情報とを受
け、表示画面に無線ゾーンAないしYの表示区画を上記
受信電界レベルRLともに表示する(図1(b)参
照)。受信電界レベルRLは、例えばレベルRL3を黒
色、レベルRL2を灰色、レベルRL1を白色に表示す
る。従って、図1(a)では移動体局20が無線ゾーン
Dにいるので、上記表示器11の表示画面には、無線ゾ
ーンDは黒で、無線ゾーンC,HおよびIは灰色で、他
の無線ゾーンは白で表示される。この表示から電波発射
源である移動体局20が高い受信電界レベルRL3の表
示された無線ゾーンDに位置することが分かる。
【0020】上述の表示をすると、本発明による移動体
位置検出方式は、黒くマークされた無線ゾーンDに移動
体局20を検出するだけでなく、灰色にマークした隣接
無線ゾーンC,HおよびIは移動体局20の近接を示し
移動体局20の検出に間接的に寄与するマークとして役
立つ。従って、この移動体局20の検出冗長表現が、移
動体局20位置の信頼度の高い表示となり、フェールセ
ーフの作用もある。また、移動体局20が無線ゾーンC
とDの中間に位置するとき、その位置を無線ゾーンCあ
るいはDに一律に決定する表示の不安定さがなく、無線
ゾーンCおよびDを共に黒くマークして、移動体局20
が無線ゾーンCとDの中間位置に所在することも知るこ
とができる。
【0021】また本発明による移動体位置検出方式で
は、上記特許公報に開示された従来技術では各無線ゾー
ンA,B,…,Y毎に必要とされる固定電波発射源を不
要とするので、サービスエリアSAが広くても、移動体
局20の検出には何ら支障がないという効果がある。
【0022】まず、本発明の第1の実施例について説明
する。
【0023】図2は本発明に用いるセンサー局10の基
本構成図である。また、図3は本発明に用いる移動体局
20の基本構成図である。以下、第1の実施例における
センサー局10および移動体局20の構成および動作を
説明する。
【0024】第1に、センサー局10が移動体局20を
捜索する(位置検出する)場合について説明する。セン
サー局10は自動車等の移動車30に搭載される。ま
ず、信号処理装置12の入力部124内蔵のキーボード
から捜索指示の入力を行うと、信号処理装置12に予め
設定しているプログラムにより、符号器(COD)14
1が移動体局20固有の識別符号IDを付した捜索信号
を作成する。変調・送信部(MOD・TX)142はこ
の捜索信号を無線周波数の捜索信号に変換し、この捜索
信号は送受分波部(BCC)145およびアンテナ14
6を介して移動体局20の捜索のために電波で発射され
る。なお、上記捜索信号の発射地点は、第1の実施例の
場合には、上述のとおり、各無線ゾーンの中心点付近で
ある。
【0025】移動体局20は徘徊老人,警備見回り人
(車),要健康管理者あるいは緊急通信システムにおけ
る緊急通報者等の移動体40に保持される。移動体局2
0は、センサー局10からの捜索信号を、アンテナ21
および送受分波部(BCC)22を介して、受信・復調
部(RX・DEM)23に受ける。受信・復調部23は
無線周波数の捜索信号を復調し、識別符号検知部(ID
D)24はこの捜索信号から自局の識別符号IDを検出
する。識別符号検知部24が自局の識別符号IDを検出
すると、制御部(CONT)27は応答を変調・送信部
(MOD・TX)28に指示する。この指示により、変
調・送信部28は、符号器(COD)29が作成した自
局の識別符号IDを含む応答信号を作成し、この応答信
号を無線周波数に変換し、送受分波部22およびアンテ
ナ21を介してこの応答信号を電波で発射させる。な
お、移動体局20は、ヘテロダイン送受信するため、局
部発振器(LO)25を有する。また、キャリアセンス
部26は、他の移動体局からの電波の発射を受信・復調
部23の受信信号から検知する回路であり、他移動体局
からの電波発射があると制御部27にこれを通知する。
制御部27は、この通知があると、上記応答信号あるい
は後述する緊急信号の発射を遅延させる。この種の動作
をキャリアセンスという。
【0026】センサー局10が移動体局20からの応答
信号をアンテナ146に受けると、この応答信号は送受
分波部145を介して受信・復調部(DEM・RX)1
48に送られる。受信・復調部148は、無線周波数の
応答信号を中間周波数の応答信号に変換したうえ復調
し、この復調信号を識別符号検知部(IDD)147に
送る。識別符号検知部147は、復調信号から移動体局
20の識別符号IDを解読し、この識別符号IDを信号
処理部12に送る。
【0027】ここで、受信・復調部148で生じた上記
中間周波数の応答信号は受信電界レベル検出部(RL
D)149にも送られる。この中間周波数の応答信号の
レベルは、アンテナ146に入力する応答信号の受信電
界レベルRLに対応しているので、以下、この応答信号
のレベルも受信電界レベルRLと称する。受信電界レベ
ル検出部149は、受信電界レベルRLを測定し、この
レベルRLを複数の段階,例えば高(RL3),中(R
L2),低(RL1)の3段階に区分する。この区分の
基準は、例えば、センサー局10が捜索信号を発射した
無線ゾーンに移動体局20が位置する場合に、センサー
局10が受ける応答信号の受信電界レベルRLをレベル
RL3とし、移動体局20が隣接無線ゾーンに位置する
場合にレベルRL2とし、それ以外の場合をRL1とす
る。受信電界レベル検知部149は区分した受信電界レ
ベルRLを符号化して信号処理装置12に送る。
【0028】なお、送受信装置14は、ヘテロダイン送
受信するため、局部発振器(LO)144を有する。ま
た、制御部143は、受信・復調部148から中間周波
数の信号を受けており、移動体局20以外の移動体局か
らの電波信号を受けているかどうかのキャリアセンスも
行う。他移動体局からの電波発射があると、制御部14
3は変調・送信部142に捜索信号の送信を遅延させ、
この移動体位置検出方式での混信を防止する。
【0029】信号処理装置12のマイクロプロセッサ1
23は、送受信装置14からの識別符号IDおよび受信
電界レベルRLに加え、自動位置検知装置13および入
力部124から自局10の位置情報を入力できる。
【0030】自動位置検知装置13の一例はGPS(G
lobal Positioning System)
受信装置である。GPS受信装置は、周知の通り、複数
のGPS衛星からの電波を受けてこのGPS受信装置の
現位置を検知し、この位置情報を直交座標である緯経度
(緯度および経度)情報で出力する。但し、GPS受信
装置は、GPS衛星の見えない場所では現位置を検知で
きない。自動位置検知装置13の別の例も、方位センサ
および車速センサを含む周知技術による車両走行位置検
出装置であり、緯経度情報で位置情報を出力する。
【0031】また、入力部124からは、センサー局1
0の位置情報をマニュアルでマイクロプロセッサ123
に入力できる。この入力部124からの位置情報は、自
動位置検知装置13の出力する位置情報を補正するため
に使用できる。第1の実施例においては、この位置情報
を無線ゾーンの識別符号で入力してよい。
【0032】マイクロプロセッサ123は、自動位置検
出装置13から入力された,あるいは入力部124から
入力されるかも知れない緯経度情報を、この第1の実施
例では、入力された緯経度の位置を含む無線ゾーンの識
別符号に変換処理する。
【0033】信号処理装置12は、マイクロプロセッサ
123,入力部124に加え、現在時刻tを計時する時
計回路121,位置情報マップメモリ122,およびプ
ログラム等を記憶する記憶回路(図示せず)を含む。位
置情報マップメモリ122は受信電界レベルRL,上記
位置情報を変換した無線ゾーンの識別符号,受信電界レ
ベルRLの取得時刻t,および移動体局20の識別符号
IDを1組のデータとして複数組のデータを記憶する。
これらデータはマップメモリ122のメモリ容量に応じ
て古いデータから更新する。
【0034】位置情報マップメモリ122内の最新の所
定組のデータが表示器11に送られる。表示器11は、
無線ゾーンの識別符号ごとに,つまり受信電界レベルR
Lの測定値点ごとにそれぞれ対応した表示無線ゾーン
(の区画)と、受信電界レベルRLに対応した表示
(色)とを予め定めている。上記所定組のデータが送ら
れてくると、表示器11は、移動体局20の識別符号I
Dごとに、受信電界レベルRLの取得時刻t,表示無線
ゾーンおよびレベルRLを画面に表示する。表示画面上
で隣接無線ゾーンが互いに重なる領域は、受信電界レベ
ルRLの高い方を優先して表示し、受信電界レベルRL
の低い方は消去する。こうして、受信電界レベルRLが
高く表示された無線ゾーン内に移動体局20が位置する
ことの可能性が確保される。
【0035】なお、信号処理装置12が位置情報マップ
メモリ122内の古い所定組のデータを表示器11に送
り、表示器11がこの古い所定組のデータを最新組のデ
ータとは別に表示すると、この表示器11の視認者は移
動体局20の一周期間(所定組データの経過時間)にお
ける異動状況を容易に観察できる。また、移動体局20
が複数の場合には、表示器11には移動体局20の識別
符号IDで区別して別々の画面あるいは別時期に位置情
報表示をすればよい。
【0036】第2に、第1の実施例において、移動体局
20がセンサー局10に自局の位置を捜索してもらうた
めに、緊急通報する場合のセンサー局10および移動体
局20の構成および動作について説明する。
【0037】移動体局20が緊急通報するには、操作者
が制御部27の緊急通報スイッチ(図示せず)を押す
(緊急通報モードの選択)。すると、制御部27は変調
・送信部28を活性化させる。変調・送信部27は、符
号器29から自局固有の識別符号IDを絶えず受けてお
り、活性化により、この識別符号IDを含む無線周波数
の電波信号を生じる。この電波信号は送受分波部22を
介してアンテナ21から発射される。
【0038】センサー局10はこの電波信号を送受信装
置14に受け、送受信装置14は、この電波信号から移
動体局20の識別符号IDを解読するとともにこの電波
信号の受信電界レベルRLを測定する。これ以降のセン
サー局10の動作は、移動体局20の捜索の場合と変る
ところはなく、捜索の場合と同様に、表示器11に移動
体局20の現在位置表示がなされることになる。
【0039】なお、本発明が捜索専用に使われる場合に
は、移動体局20の制御部27に緊急通報モードを選択
する機能を必要としない。また、本実施例が緊急通報専
用に使用される場合には、センサー局10の符号器14
1,変調・送信部142および制御部143と移動体局
20の識別符号検知部24とを必要としない。
【0040】本発明の移動体位置検出方式において、セ
ンサー局10の表示器11の同一表示画面上の複数の表
示無線ゾーンに移動体局20の位置情報を同時に表示し
ても、この表示が実際の移動体局20の位置と大きく食
い違わないようにするためには、移動体局20が当該無
線ゾーン内に滞留している程度の,小さい時間に移動車
30が移動すればよい。この条件下においては、各地点
で収集したデータが実用上同時収集データであると見な
せる。以下、これについて第1の実施例で説明する。
【0041】図4は本発明の第1の実施例の動作説明図
の第1である。(a)はセンサー局10の走査ルートを
示す図、(b)はセンサー局10の表示器11への表示
の第1の例である。図5は本発明の第1の実施例の動作
説明図の第2である。(c)は表示器11への表示の第
2の例、(d)は表示器11への表示の第3の例であ
る。また、図6は第1の実施例におけるセンサー局10
の位置情報マップメモリ122に記憶されるデータのデ
ータ構成図である。
【0042】移動車30に搭載されたセンサー局10
が、サービスエリアSAの無線ゾーンAを起点として時
刻t1から移動を開始し、時刻tn(nは任意の整数)
まで各無線ゾーンB,C等を順次走り、各時刻tnで受
信電界レベルRLを取得する(図4(a)参照)。ここ
で、各無線ゾーンの半径を100mに設定し、隣接無線
ゾーンが相互に重なる部分を50%(距離50m)とす
ると、隣接無線ゾーンの中心点から中心点までの距離が
100mになる。移動体40を速度4km/h≒1m/
sの人間とすると、移動体40はこの100mを移動す
るのに約100秒かかる。一方、移動車30が速度40
km/h=10m/sの自動車であれば、移動車30は
100秒間に10m/s×100s≒1,000m走れ
る。従って、移動車30が1,000/150=7無線
ゾーン程度走る間なら、目標である移動体40はその
間、同一無線ゾーン内にいる確率が高い。本発明の移動
体位置検出方式は、移動体局20を無線ゾーンという面
で検出するので、移動体40が1無線ゾーン内を移動す
る時間程度なら表示器11の表示は変化しない。従っ
て、表示器11には7無線ゾーンを同時に表示しても、
移動体局20の検出のためには十分許容できる。
【0043】図6はセンサー局10の位置情報マップメ
モリ122に時刻t7から時刻tnまでの期間に収集さ
れたデータである。このデータは、センサー局10の位
置情報である無線ゾーンの識別符号と、移動体局20の
識別符号IDと、時刻t7ないしtnで収集した受信電
界レベルRLとが1組で記憶されたものである。これら
のデータは古いものから更新される。
【0044】表示器11の画面には上述のデータが図4
(b)の如くに表示される。即ち、移動体40の移動速
度を上述のとおりに勘案して、まず、時刻t7から時刻
13までに対応する7無線ゾーンI,H,G,L,M,
NおよびSで収集した受信電界レベルRLの表示がなさ
れる。この表示画面には受信電界レベルRLの測定時刻
tおよび無線ゾーン識別符号も表示する。いま、無線ゾ
ーンMのレベルはRL3なので黒色にマークされる。他
の6無線ゾーンのレベルはRL2なので灰色にマークさ
れる。従って、移動体局20は時刻t11にセンサー局
10が位置した無線ゾーンMにいることが分かる。
【0045】図6に示した位置情報マップメモリ122
は、意味のあるデータとして時刻t20まで明らかにし
ているが、表示器11には7組のデータを一周期として
これらデータを次々に表示する。
【0046】図5(c)には、表示の一周期間,時刻t
11から時刻t17の間に移動体局20が無線ゾーンM
から無線ゾーンRに移動した場合の表示器11への表示
例を示している。この表示では時刻t11において無線
ゾーンMが,時刻t14において無線ゾーンRが黒く表
示され、他の時刻tに対応する無線ゾーンは灰色に表示
される。従って、移動体局20は、無線ゾーンMかRに
いることが分かり、また、無線ゾーンMからR方向に移
動していると推定できる。
【0047】図5(d)には、図5(c)の表示から表
示時刻を3t期間経過させた,時刻t14から時刻t2
0までの表示器11の表示例を示している。この表示例
では時刻t19に対応する無線ゾーンRのみが黒く表示
され、無線ゾーンMを含む他の無線ゾーンは灰色に表示
されている。従って、図5(c)と図5(d)とを比較
対照すれば、移動体局20が無線ゾーンMからRに移動
したことが分かる。
【0048】図4および図5を参照して説明したよう
に、移動車30が速い速度で移動し,移動体40が遅い
速度で移動する場合には、移動体局20の位置は7無線
ゾーン表示で十分検出でき、しかも、実際の移動体局2
0の位置と表示器11の表示面上の位置とを実用上(許
容誤差内で)一致させることができる。
【0049】即ち、本実施例の移動体位置検出方式は、
移動体局20の位置を無線ゾーンの面で検出するので、
移動体局20の位置情報を全く同時に収集しなくとも充
分同時のデータとして扱うことができる。逆に、移動体
局20の位置情報をセンサー局10の位置情報マップメ
モリ122に記憶させ、同時として扱える許容時間内に
得た上記位置情報を表示器11の同一画面に有効に表示
して、多数の位置で移動体局20の位置評定したことに
等しくする。従って、従来システムのように固定センサ
ー局を多数配置しなくても、移動体局20の位置検出が
可能となる。
【0050】上述のとおり本実施例は、従来システムの
固定センサー局の1局分のみ,つまりセンサー局10の
みを移動車20に搭載するだけで移動体局20の位置を
無線ゾーンの面で検出でき、構成が簡単であるため設備
投資費用が少くてよいという利点がある。
【0051】また、センサー局10はこれを搭載する移
動車30の行ける場所ならばどこにでも行って移動体局
20の位置を検出できるので、位置検出のサービスエリ
アSAに殆ど限界がないという利点がある。
【0052】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。図1に示した原理説明図,図2に示したセンサー
局10の基本構成図および図3に示した移動体局20の
基本構成図は、第2の実施例においてもほぼ適用され
る。図7は本発明の第2の実施例におけるセンサー局1
0の表示器11への表示例である。図8は第2の実施例
におけるセンサー局10の位置情報マップメモリ122
に記憶されるデータの構成図である。
【0053】本発明の第1の実施例では、無線ゾーンの
区画を予め定めているので、センサー局10は移動体局
20の発射する電波信号の受信電界レベルRLを各無線
ゾーンの中心地点付近で収集する必要があった。つま
り、センサー局10が各無線ゾーンの中心地点付近でレ
ベルRLを収集しないと、表示器11の表示無線ゾーン
の中心とレベルRLの収集位置とのずれにより、移動体
局20の位置検出が不正確になる恐れがある。そこで、
第2の実施例は、受信電界レベルRLの収集地点を限定
せず、表示器11は、センサー局20の現在位置に対応
した無線ゾーンを作成し、この無線ゾーンにレベルRL
を表示する。以下、第2の実施例について、第1の実施
例と異なる動作を重点的に説明する。
【0054】センサー局10は、任意の時刻tに移動体
局20から電波信号による緊急通報あるいは捜索信号に
応答する応答信号を送受信装置14に受ける。送受信装
置14はこの電波信号の受信電界レベルRLを測定して
信号処理装置12に送る。信号処理装置14のマイクロ
プロセッサ123は、自局10の位置情報pを自動位置
検知装置13から絶えず受けている。また、入力部12
4からもマニュアル操作により自局10の位置情報pを
受けることができる。マイクロプロセッサ123は、こ
の位置情報pを緯経度情報,またはこの緯経度情報に対
応する信号で受ける。
【0055】マイクロプロセッサ123は、移動体局2
0の識別符号IDと、受信電界レベルRLと、この測定
時刻tと、この時刻tに受けた位置情報pとを、図8に
示す如く、位置情報マップメモリ122に格納する。移
動体局20の位置表示が必要なとき、マイクロプロセッ
サ123は上記データを移動体局20の移動誤差が許容
できる一周期間ごとに表示器11に送る。
【0056】表示器11はマイクロプロセッサ123か
らデータを受けると、位置情報pに対応した無線ゾーン
を作成する。この無線ゾーンは受信電界レベルRLに対
応して予め定めた面とする。この無線ゾーンの範囲は、
センサー局10が高い受信電界レベルRL3を受けられ
る範囲(第1の実施例に対応させると、例えば半径10
0mの範囲)とすると都合がよい。なお、この範囲は地
勢等を勘案して大きさを変えてもよい。表示器11はこ
の無線ゾーンに対応させて受信電界レベルRLを黒色,
灰色,白等で表示する。移動体局20に関する位置情報
データが位置情報マップメモリ122に図8の如くに記
憶されている場合には、移動体局20は時刻t31には
地点p1に,時刻t34には地点p4に,時刻t39に
は地点p9に位置していることが分かる。
【0057】第2の実施例による図7の表示例は、セン
サー局10が速度の早い移動車30に搭載され、移動体
局20が速度の遅い移動体40に保持されて無線ゾーン
Mに静止している第1の実施例の図4(b)の表示例に
対応している。センサー局10は時刻t31に無線ゾー
ンMに含まれる地点p1で受信電界レベルRL3を測定
している。センサー局10は、続いて任意の地点を移動
し、適切な時間をおいて時刻tnまでレベルRLを測定
する。移動車30の速度,およびレベルRLの測定時刻
tは任意でよい。
【0058】いま、表示器11には時刻t31から37
まで,地点p1からp7までの7地点のレベルRLを表
示している。時刻t31およびt34には、センサー局
10は、無線ゾーンMに含まれる地点p1およびp4に
位置しており、レベルRL3を測定する。従って、表示
器11には地点p1およびp4を中心として設定した無
線ゾーン上にはレベルRL3に相当する黒でレベル表示
される。また、センサー局10は時刻t32,t35,
t36およびt37では地点p2,p35,p36およ
びp37においてそれぞれレベルRL2を測定し、表示
器11は地点p2,p35,p36およびp37をそれ
ぞれ中心とする無線ゾーン上に灰色のレベル表示を行
う。従って、この表示の視認者は、移動体局20が地点
p1またはp4付近に存在することがわかる。
【0059】上述した第2の実施例は、受信電界レベル
の測定点に制限を受けることがないという特徴がある。
【0060】また本実施例は、受信電界レベルRLの測
定を細かな時間間隔で測定できるので、無線ゾーンを実
質的に小さく設定したのと同じ効果を得ることができ、
移動体局20の位置を精密に捜索することができる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、サービス
エリア内を移動するセンサー局が、移動体局の発射する
電波信号の受信電界レベルを測定する受信電界レベル測
定手段と、前記受信電界レベルの測定時における自局の
位置情報を入力する位置情報入力手段と、前記位置情報
に対応する無線ゾーンを表示するとともにこの表示無線
ゾーンに前記受信電界レベル対応の表示を行う受信電界
レベル表示手段とを備えるので、前記サービスエリアが
広くても,また複雑な地形であっても、前記移動体局の
位置情報を収集するのにこのセンサー局1局を必要とす
るのみであり、構成が簡単であるため大きな初期投資が
不要となるという効果がある。
【0062】また本発明は、前記センサー局を搭載する
移動車の行ける場所ならどこでも前記移動体局の位置を
検出できるので、前記サービスエリアの広さや地形に殆
ど制限がないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による移動体位置検出方式の原理説明図
である。(a)はシステム概念図、(b)はセンサー局
10の表示器への表示例を示す図である。
【図2】本発明に用いるセンサー局10の基本構成図で
ある。
【図3】本発明に用いる移動体局20の基本構成図であ
る。
【図4】本発明の第1の実施例の動作説明図の第1であ
る。(a)はセンサー局10の走査ルートを示す図、
(b)はセンサー局10の表示器11への表示の第1の
例である。
【図5】本発明の第1の実施例の動作説明図の第2であ
る。(c)は表示器11への表示の第2の例、(d)は
表示器11への表示の第3の例である。
【図6】第1の実施例におけるセンサー局10の位置情
報マップメモリ122に記憶されるデータのデータ構成
図である。
【図7】本発明の第2の実施例におけるセンサー局10
の表示器11への表示例である。
【図8】第2の実施例におけるセンサー局10の位置情
報マップメモリ122に記憶されるデータのデータ構成
図である。
【符号の説明】
SA サービスエリア A〜Y 無線ゾーン 10 センサー局 11 表示器 12 信号処理装置 13 自動位置検知装置 14 送受信装置 20 移動体局 21 アンテナ 22 送受分波部(BCC) 23 受信・復調部(RX・DEM) 24 識別符号検知部(IDD) 25 局部発振部(LO) 26 キャリアセンス部(SEN) 27 制御部(CONT) 28 変調・送信部(TX・MOD) 29 符号部(COD) 30 移動車 40 移動体 121 時計回路 122 位置情報マップメモリ 123 マイクロプロセッサ 124 入力部 141 符号部(COD) 142 変調・送信部(MOD・TX) 143 制御部(CONT・SEN) 144 局部発振部(LO) 145 送受分波部(BCC) 146 アンテナ 147 識別符号検知部(IDD) 148 受信・復調部(DEM・RX) 149 受信電界レベル検出部(RLD)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サービスエリア内を移動自在な移動体局
    の位置を移動車に搭載したセンサー局で検出する移動体
    位置検出方式であって、 前記センサー局が、前記移動体局の発射する電波信号の
    受信電界レベルを測定する受信電界レベル測定手段と、
    前記受信電界レベルの測定時における自局の位置情報を
    入力する位置情報入力手段と、前記位置情報に対応する
    無線ゾーンを面で設定する無線ゾーン設定手段と、測定
    された複数の前記受信電界レベルをこれらの測定位置に
    対応する前記無線ゾーンと同時に表示できる受信電界レ
    ベル表示手段とを備えることを特徴とする移動体位置検
    出方式。
  2. 【請求項2】 前記移動体局が、自局を識別するための
    識別符号を含む前記電波信号を発射する緊急通報手段を
    備えることを特徴とする請求項1記載の移動体位置検出
    方式。
  3. 【請求項3】 前記センサー局が、前記移動体局を識別
    するための識別符号を含む捜索信号を電波によって送信
    する捜索信号送信手段をさらに含み、 前記移動体局が、前記捜索信号を受けて自局の識別符号
    を認識すると、前記電波信号を発射する応答手段を備え
    ることを特徴とする請求項1記載の移動体位置検出方
    式。
  4. 【請求項4】 前記サービスエリアが、複数の前記無線
    ゾーンに予め区分されており、前記無線ゾーン設定手段が 、入力される前記位置情報を
    前記無線ゾーンの一つに対応させる位置情報処理手段
    えることを特徴とする請求項1記載の移動体位置検出
    方式。
  5. 【請求項5】 前記受信電界レベル測定手段が、前記受
    信電界レベルを任意の地点で測定することを特徴とする
    請求項1記載の移動体位置検出方式。
  6. 【請求項6】 前記無線ゾーンが、前記位置情報の地点
    を中心として予め定めた範囲内であることを特徴とする
    請求項1記載の移動体位置検出方式。
  7. 【請求項7】 前記受信電界レベル測定手段が、前記受
    信電界レベルを互いに異なる複数の時刻に測定し、 前記受信電界レベル表示手段が、測定された複数の前記
    受信電界レベルを対応する前記無線ゾーンごとに同時に
    表示できることを特徴とする請求項1記載の移動体位置
    検出方式。
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