JP2646253B2 - 撥水撥油性を有する被覆粉体の製造方法 - Google Patents

撥水撥油性を有する被覆粉体の製造方法

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JP2646253B2 JP27933488A JP27933488A JP2646253B2 JP 2646253 B2 JP2646253 B2 JP 2646253B2 JP 27933488 A JP27933488 A JP 27933488A JP 27933488 A JP27933488 A JP 27933488A JP 2646253 B2 JP2646253 B2 JP 2646253B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,水,汗,皮脂等による化粧くずれ,化粧膜
の浮きを生じないメークアップ化粧料の製造に利用でき
る撥水撥油性を有する被覆粉体の製造方法に関する。
(発明の背景) 従来,一般に提供されているメークアップ化粧料,特
にルース状及び固形状メークアップ化粧料等に適用され
る顔料等の粉体は,通常,複合酸化物であり,それらは
表面に水酸基を有し,又その水酸基の量は粉体の種類に
より異なっている。例えば,それらの一種たる酸化チタ
ン中には反応性の弱い微量の水酸基又は加熱時発生水分
分析でみられる吸着水が存在し,又含水酸化チタンは15
〜35重量%の含水率をもつ等に見られる様に,前記顔料
等の粉体はそれらの種類によって表面の親水化度・親油
化度に相違がみられ,又表面活性度の異なる各種粉体が
混在する。更にはそれらの微細表面の機械的衝撃力に
よる粒子サイズの変化及び形状の変形の変化,或いは新
生表面の発現(産生)等による表面活性化度の相違等か
らくる水或いは汗,皮脂等の分泌物による濡れ方の相
違,更には粉体の表面に不均一に弱い力で物理的に付
着ないし吸着された油剤の量や油剤のもつHLBの相違や
製造過程での機械の衝撃力によるそれら油分の偏析等
は,通例化粧膜の透明化或いは化粧膜のくずれや密着感
不足の原因となっている。即ち,従来の化粧料には,
水,汗,皮脂による粉体への濡れ方の変化による粉体の
屈折率の変化や粉体の凝集が生じ,化粧膜のくずれや化
粧の浮きを生じるという欠点があった。
(従来の技術) 従来,この様な化粧料の欠点を改善する手段として以
下の如き種々の方法及び化粧料が存在した。
金属石ケン・界面活性剤で粉体を表面処理する方法 粉体表面をレシチン又はN−ステアロイル−L−グル
タミン酸アルミニウムで表面処理する方法 粉体表面にメチルハイドロポリシロキサンで焼付け処
理する方法 アルコール化合物等で粉体表面を処理する方法 特公昭61−55481号公報に記載の「化粧用粉体と着色
料を主たる成分として構成される化粧料において,弗素
を含有する重合体からなる撥水撥油剤で処理した化粧用
粉体及び/又は着色料を配合したことを特徴とする化粧
料」及び特公昭61−48803号公報に記載の「化粧用粉体
及び/又は着色料を主たる成分として構成される化粧料
において,弗素系樹脂で表面処理した化粧用粉体及び/
又は着色料を配合したことを特徴とする化粧料」 (発明が解決しようとする課題) しかし,上記従来の技術には夫々次のような欠点が存
在する。
金属石ケン・界面活性剤で粉体を表面処理する方法 ステアリン酸アルミニウム,ステアリン酸亜鉛,ミリ
スチン酸亜鉛等の金属石ケン処理した化粧料は,撥水性
はあるが撥油性がない。その為に皮脂に対する耐脂性が
なく,得られた化粧料は分泌される皮脂に対して容易に
くずれる。界面活性剤の選択によっては撥水性もなくな
る。耐脂性に関しては金属石ケンと同じである。
又それらは,粉体の表面に物理的に付着ないし吸着さ
れたものであり,製法によっては不均一に付着ないし吸
着したりし撥水性も劣る場合もある。
粉体表面をレシチン又はN−ステアロイル−L−グル
タミン酸アルミニウムで表面処理する方法 肌への親和性が良くある程度の撥水性,撥油性はある
がそのレベルとしては低いものであると共に,レシチン
等の表面処理剤が物理的に粉体に付着しているため,そ
の化粧料の製造工程での機械力による強力な剪断力によ
り表面処理剤が粉体から離脱しやすく,また化粧膜は水
や汗等で透明化しやすく,皮脂に対しても化粧膜が油浮
きする。
粉体表面にメチルハイドロポリシロキサンで焼付け処
理する方法 メチルハイドロポリシロキサン等のシリコンオイルは
撥水性は優れているが撥油性はかなり劣るものである。
市場品である化粧料はこれらを粉体表面の水酸基と化学
反応させたものであるが,実質的には未反応の水酸基,
メチルハイドロポリシロキサンの水酸基の残留が多く,
化学結合に関与するのは極僅かであり,実際的には撥水
性にもやや劣り,撥油性は皆無とみてよい。
アルコール化合物等で粉体表面を処理する方法 粉体表面の水酸基を保護する方法であるが,得られた
化粧料は濡れによる透明化は改善されるが,肌への付着
性が悪く化粧くずれを起こしやすい。
特公昭61−55481号公報,特公昭61−48803号公報で得
られた化粧料における表面処理された化粧用粉体は,粉
体と表面処理剤との間の化学結合に関与するものは極僅
かであり,撥水撥油性も劣る。また酸化チタンの様に水
酸基のない顔料に関しては化学結合に関与するものは殆
どなく撥水性・撥油性は全く劣るものであった。
即ち,本発明の主たる目的は上記従来の技術の欠点を
解消し,水,汗,皮脂等による化粧くずれ,化粧膜の浮
きを生じない化粧料を製造できる撥水撥油性を有する被
覆粉体の製造方法を提供することである。
(課題を解決するための手段) 本発明によれば,次の被覆粉体の製造方法により上記
目的を達成できる。
撥水撥油剤及び油剤のいずれか又は両者と反応性助剤
とプライマーとで,活性化された無機粉体基剤を被覆
し,焼付け処理して,撥水撥油剤及び油剤のいずれか又
は両者と反応性助剤とから成る被覆焼付け層を前記基剤
の表面に形成することを特徴とする被覆粉体の製造方
法。
無機粉体基剤の表面に撥水撥油剤及び油剤のいずれか
又は両者と反応性助剤とから成る被覆焼付け第1層を設
けて成る被覆粉体を,撥水撥油剤及び油剤のいずれか又
は両者と反応性助剤とプライマーとで被覆し,焼付け処
理して,撥水撥油剤及び油剤のいずれか又は両者と反応
性助剤とから成る被覆焼付け第2層を前記第1層の表面
に形成し3層構造(但し,前記第1層が撥水撥油剤を含
まない場合,前記第2層は撥水撥油剤を含む)とするこ
とを特徴とする被覆粉体の製造方法。
無機粉体基剤の表面に撥水撥油剤及び反応性助剤の両
者又はこれらと油剤とから成る被覆焼付け第1層を設け
て成る被覆粉体を,撥水撥油剤及び油剤のいずれか又は
両者とプライマーとで被覆し,焼付け処理して,撥水撥
油剤及び油剤のいずれか又は両者とから成る被覆焼付け
第2層を前記第1層の表面に形成し3層構造とすること
を特徴とする被覆粉体の製造方法。
好ましくは,及びに記載の被覆焼付け第1層を設
けて成る被覆粉体は,夫々前記の方法により製造し,
プライマーはルイス酸又はルイス塩基とし,活性化され
た無機粉体基剤は,摩砕により得る。
活性化された無機粉体基剤は,加熱処理,プラズマ処
理,水熱反応,酸,アルカリによるエッチング,官能基
の導入等により得ることができるが,摩砕により得ると
工業的規模での生産に有利である。
なお,無機粉体基剤に撥水撥油剤を結合させるため,
無機粉体基剤に活性点を設ける手段,即ち,該基剤にシ
ランカップリング剤やチタンカップリング剤を結合し加
水分解し,該カップリング剤末端のOH基に撥水撥油剤を
結合反応させる方法が考えられた。
しかし,例えばシランカップリング剤を用いた場合,
シリカ系無機粉体には反応するがチタン系無機粉体とは
反応しにくい。また逆にチタンカップリング剤を用いた
場合,チタン系無機粉体には反応するがシリカ系無機粉
体とは反応しにくい。更に弁柄類,例えばFe2O3,Fe3O4
の場合には好適カップリング剤が見当らない。この様な
状況下をみると,各無機粉体基剤毎に表面処理剤をかえ
るか又は好適なカップリング剤がなく,工業的にみた場
合非常に不都合,非合理的な面がある。
又,固体(無機粉体基剤)表面を活性化させる前処理
として無機又は有機の酸又は塩基の水溶液でエッチング
する方法があるが,中性領域までもっていくのに多大な
日数を擁する。特に無機粉体基剤の等電点付近から,沈
降が非常にしにくくデカンテーションが困難になる。そ
のための工業的見地からみた時の過法の難しさとデカ
ンテーション回数による収量の低下という問題点があ
る。
更に,水和酸化チタンはアルカリ下では安定に共存し
やすいが通常の状態では不安定であり酸化物へ移行しや
すい性質をもっている。そこで,安定な水和酸化チタン
を作るには,酸化チタンを重硫酸カリに溶解させ,遠火
で加熱し亜硫酸ガスを除去した後900℃に加熱し,冷却
後,更に5%の硫酸を加え,加熱し,アンモニア水を加
えて製造する方法が考えられる。しかしこの製法では,
廃ガスに伴う公害上の問題や設備上の問題から工業的に
は有利な方法とは言えない。四塩化チタンを加水分解し
て製造した場合,水和酸化チタンのモノマーやダイマ
ー,トリマーが出来,安定した品質の水和酸化チタンが
得にくく,その状態によっては不安定性がある。
本願発明者は,上記技術内容をも付帯して見い出すと
ともに,本発明を完成するに至った。
(好適な実施態様及び作用) 無機粉体基剤としては,無機顔料,その他の無機粉体
又はそれらの混合物を用いることができる。
撥水撥油剤とは,撥水性及び撥油性の両方の性質を共
に合わせ持つものをいう。即ち,通常は親水性物にも親
油性物にも親和性を有さず,また親水性物と親油性物の
混合物にも親和性を有さない。具体的には,パーフロロ
アルキルシラン,パーフロロアルキルシラザン等のフッ
素シラン,ウレタン結合を有するフッ素シラン,シリコ
ーンに一部フッ素を修飾したフッ素シラン,又はフッ化
炭化水素等が挙げられる。これらの撥水撥油剤は活性化
された粉体に対しては親和性を示す。
反応性助剤とは,撥水撥油剤とともに無機粉体基剤に
コーティングされ焼付け処理される場合,粉体基剤と反
応して結合し撥水撥油剤の粉体基剤への結合を促進させ
該結合を強力にするとともに,撥水撥油剤と反応して結
合し粉体基剤への撥水撥油剤の結合(反応性助剤を介し
ての結合を含む)を促進させ,さらに粉体基剤に結合し
た撥水撥油剤同士間に充填され架橋作用により被覆層を
緻密化させるものをいう。
具体的には有機チタネート,アルミニウムアルコレー
ト,アルミニウムキレート,環状アルミニウムオリゴマ
ー等が挙げられる。
プライマーとは,反応,誘発,促進剤として作用する
触媒であり,被覆焼付け層にはほとんどないし全く残存
しない。得に例えば,撥水撥油剤の末端官能基に攻撃し
撥水撥油剤をに帯電させ,活性化されている無機粉体
基剤表面との反応を促進させる作用や,官能基を殆んど
持たない無機粉体基剤,例えば酸化チタンの場合酸化チ
タンの酸素のローンペア(電子対)にアタックし,電子
を偏在化させ,通常反応しにくい無機粉体基剤を反応さ
せやすくする作用を有する物質をいう。具体的にはルイ
ス酸,ルイス塩基等が挙げられる。
焼付け処理とは,被覆層構成物(廃水撥油剤,反応性
助剤,及び油剤)と無機粉体基剤とを強力に結合させ,
無機粉体基剤に結合した該被覆層構成物同士間に架橋を
生じさせ複雑な網目構造を形成することをいい,被覆第
2層の場合には,当該被覆層構成物の各々と被覆第1層
の構成物とを強力に結合反応させ,更に被覆第1層に結
合した当該被覆層構成物同士間に架橋を生じさせ複雑な
網目構造を形成することをいう。
無機粉体基剤は焼付け処理された被覆層(被覆焼付け
層)は,撥水撥油剤に因り,撥水性及び撥油性を共に有
する。
摩砕等により表面活性化された無機粉体基剤を得るこ
とができ,該基剤表面は活性化しているので,固体酸・
固体塩基点が明確化している。そのため,活性化された
無機粉体基剤を撥水撥油剤及び油剤のいずれか又は両者
と反応性助剤を被覆(未焼付け処理)すると,撥水撥油
剤と反応性助剤の各々と無機粉体基剤の官能基および活
性点との相互作用を高めることができる。従って,前記
被覆層(未焼付け処理)は無機粉体基剤表面に良好に付
着する。プライマーは上記反応を一層促進させる。
本発明により製造された被覆粉体は,撥水撥油剤と
を反応性助剤(又は,撥水撥油剤と油剤と反応性助剤)
とから成る被覆層構成物相互間の強固な結合と,前記
被覆層構成物と無機粉体基剤の官能基及び活性点との相
互作用と,前記被覆層構成物の無機粉体基剤への付着
力ないし吸着力との相乗作用により,非常に強靭な被覆
着付け層を有する。無機粉体の表面活性化は摩体(例え
ばボールミル,特に低速回転のボールミルやタワーミ
ル,アトリッションミル等による)により容易に可能で
ある。
本発明により製造された撥水撥油性を有する被覆粉体
は,無機粉体基剤の表面の活性点及び表面官能基に反応
結合する撥水撥油剤及び油剤,又はこれらと反応性助剤
による架橋反応効果によりコンパクト化,ファイン化し
た被覆焼付け層を基剤表面に有する。無機粉体基剤表面
の活性点及び表面官能基に反応結合した撥水撥油剤は,
表面に単に付着ないし吸着しているのではなく,該表面
に強力に結合し容易に脱離しない。そのため該被覆焼付
け層は,機械力,衝撃力,遠心力,剪断力等により無機
粉体基剤から脱離しない。該被覆焼付け層は,撥水撥油
剤から成るので無機粉体基剤への水,汗,皮脂等の浸入
を防止する。該被覆焼付け層の撥水撥油剤は,該浸入を
防止できる量で無機粉体基剤の全表面に結合している。
焼付け処理前の活性化された無機粉体基剤に対する撥
水撥油剤,油剤,反応性助剤及びプライマーの被覆量
は,焼付け処理後に該浸入を防止できる量で適宜定める
ことができる。例えば,無機粉体基剤と撥水撥油剤とプ
ライマーの場合,無機粉体基剤:撥水撥油剤:プライマ
ーの重量比は,1:0.004〜0.50:0.001〜0.25,さらに反応
性助剤を用いた時,無機粉体基剤:撥水撥油剤:プライ
マー:反応性助剤の重量比は1:0.004〜0.50:0.001〜0.2
5:0.01〜0.3である。
該重量比以下の場合,前記浸入を防止するのに不充分
な事が多い。該重量比の上限は基本的には無機粉体基剤
の有する表面官能基及び表面活性点とその強さによる
が,該重量比をこえても撥水撥油剤にそれほど変化がみ
られず,該重量比で充分である。
また反応性助剤の使用の有無についての比較では,反
応性助剤の使用がなくても6ケ月位各種化粧料用油剤に
浸漬し放置しても全く変質しないものであり,撥水撥油
効果は充分に保たれる。しかしそれ以上の撥水撥油効果
をもたせるためには反応性助剤を用いる事がより一層有
利である。つまり,反応性助剤を用いる事により更によ
り強固で緻密な膜が出来,水系,各種油剤中での経時変
化に対して安定で長期にわたり変質しない。
本発明の被覆粉体製造方法における活性化された無機
粉体基剤を得るための摩砕等の前記手段は,該基剤表面
反応の活性点としての酸・塩基点をより明確にしそれら
を増加させ該基剤表面をラジカル化させることができ
る。
活性点とは,電子の偏析,イオン化,ラジカル化等の
電子の過不足状態で分子が高エネルギー状態に励起し化
学反応しやすい状態をいい,無機粉体基剤表面の新生面
の発現や電子の放射や構造不整を生ずるトリポプラズマ
状態も含まれる。
例えば,酸化チタンの場合, 一部(1)と(2)と(3)が含まれている事が考えら
れる。反応形態としては,例えばフッ素系撥水撥油剤で
あるCF3(CF27CH2・CH2Si(OCH3との反応に於い
て(1)の場合はフッ素系撥水撥油剤のOCH3とOHの反応
でCH3OHが生成,(2)の場合はO-の部分とOCH3との反
応,(3)の場合はルイス酸のBF3がアタックし電子を
偏析化させ,この部分でフッ素系撥水撥油剤との反応性
を高めると考えられ,共有結合が主たる結合形態と考え
られる。
またセリサイトの場合には,K1.0(H3O)1.0Al4(Si,A
l)8O20(OH)のOHとフッ素系撥水撥油剤のOCH3との
反応が主体であり,それに摩砕によるセリサイト表面層
の電子の偏析等があり,電荷を持たせる様に変化した状
態を云う。
酸点とは,固体酸性を示す点,即ち固体でありながら
ブレンステッド酸又はルイスの酸の特性を示すものをい
い,酸性に基づく作用をしプロトンを与えるか電子対を
受けとる。
塩基点とは,固体塩基性を示す点,即ち固体でありな
がらブレンステッド塩基又はルイス塩基の特性を示すも
のをいい,塩基性に基づく作用をしプロトンを受けとる
か電子対を供与する。
酸点及び塩基点は化学的親和力の大小により相対的に
規定される。
撥水撥油剤の場合は,例えば摩砕され活性化された無
機粉体基剤表面と−Si(OCH3との反応,該表面の官
能基とSi−(OCH3のOCH3との反応が進行する。また
焼付け処理する事により更に,Si−(OCH3のOCH3
士の脱アルコール反応等が生じ,フッ素系撥水撥油剤間
のネットワークと,固体(無機粉体基剤)表面とフッ素
系撥水撥油剤との反応を更に促進させ,ネットワークと
無機粉体基剤との反応をより完結にするものと考えられ
る。
また,それらに反応性助剤が用いられた場合,Si−(O
CH3の脱アルコール反応に加え,反応性助剤は,フ
ッ素系撥水撥油剤間に架橋反応を作り,より強固で,緻
密な膜を作ると考えられる。
本発明における無機粉体基剤に適用される無機顔料と
しては平均粒子径0.01〜10μmのものが好ましく,酸化
チタン,酸化亜鉛等の無機白色顔料,酸化鉄(弁柄),
チタン酸鉄等の無機赤色系顔料,黄酸化鉄,黄土等の無
機黄色系顔料,マンゴバイオレット,コバルトバイオレ
ット等の無機紫色系顔料,酸化クロム,水酸化クロム,
コバルトチタン酸等の無機緑色系顔料,群青,紺青等の
無機青色系顔料,酸化チタンコーティッド雲母,酸化チ
タンコーティッドオキシ塩化ビスマス,オキシ塩化ビス
マス,酸化チタンコーティッド硫酸バリウム,酸化チタ
ンコーティッドタルク,魚燐箔,直色酸化チタンコーテ
ィッド雲母等の真珠光沢顔料,アルミニウムパウダー,
カッパーパウダー等の金属粉末顔料,等が挙げられる。
その他の無機粉体としては平均粒子径1.0〜20μm程
度のものが好ましく,化粧品に用いられるものであれば
特に限定はなく,例えばタルク,カオリン,セリサイ
ト,白雲母,合成雲母,金雲母,紅雲母,黒雲母,バー
ミキュライト,炭酸マグネシウム,炭酸カルシウム,珪
ソウ土,ケイ酸マグネシウム,ケイ酸カルシウム,ケイ
酸アルミニウム,ケイ酸バリウム,ケイ酸ストロンチウ
ム,タングステン酸金属塩,α−酸化鉄,水和酸化鉄,
シリカ,ハイドロキシアパタイト等の無機粉体,が挙げ
られるが,のびの軽さ,拡がりやすさ,ケーキング防止
に著しい効果を得るためには球状のものを適宜選択して
用いることが好ましく,その含有量は粉体基剤全量中1
〜30重量%程度がよい。(尚,これらを二種以上用いる
場合は,予め粉砕機にてよく粉砕,混合,分散させてお
くことが好ましい。) また,撥水撥油剤に適用されるパーフロロアルキルシ
ラン,パーフロロアルキルシラザン等のフッ素シランは
次の一般式(1),(2)に示される。
一般式(1) CF3(CF2nCH2−CH2Si−R3 (n=0〜10) 又は (CnF2n+1mCH2−CH2Si−R3 n(n=1〜5,m=1〜10) 但し,R3=水素原子(H),水酸基(OH),アルコキシ
基(OCH3ほか),フェニル基(OC6H5) 一般式(2) Rf−Si(NH2 (のOligomer) 但し, 又はRf=CnF2n+1− (n=1〜10) 又はRf=FCF2−CF2−O (n=1〜10) またウレタン結合を有するフッ素シランは次式により
示される。
一般式(3) R=水素原子,フェニル基,水酸基又はアルコキシ基
(OCH3,OC2H5,OC3H7,OC4H9) また,シリコーンに一部フッ素を修飾したフッ素シラ
ンは次式により示される。
一般式(4) 但し,Rは前記一般式(3)のものと同様。
以上の一般式においては,直鎖構造のもののみならず
分岐を有する構造のもの及び光学異性体も含まれる。
反応性助剤の有機チタネートとしては,テトラ−i−
プロピルチタネート(TPT),テトラ−n−ブチルチタ
ネート(TBT),ブチルチタネートダイマー(DBT),テ
トラステアリルチタネート(TST),トリエタノールア
ミンチタネート(TEAT),チタニウムアセチルアセテー
ト(TAA),チタニウムエチルアセトアセテート(TEA
A),チタニウムラクテート(TLA),テトラオクチレン
グリコールチタネート(OGT),ジ−n−ブトキシ−ビ
ス(トリエタノールアミナト)チタン,TBTポリマー(n
=2〜10),TPTポリマー(n=10)等があり,アルミニ
ウムアルコレートとしては,アルミニウムエチレート,
アルミニウムイソプロピレート,モノsec−ブトキシア
ルミニウムジイソプロピレート,アルミニウムsec−ブ
チレート,アルミニウムキレートとしては,エチルアセ
トアセテート−アルミニウムジイソプロピレート,アル
ミニウムトリス(エチルアセトアセテート),アルキル
アセトアセテートジイソプロピレート,アルミニウムト
リス(アセチルアセトネート),トリエチルアルミニウ
ム等があり,環状アルミニウムオリゴマーとしては環状
アルミニウムオキサイドイソプロピレート等がある。
プライマーとしては三フッ化ホウ素又はそれらのコン
プレックス(三弗化ホウ素エチルエーテルコンプレック
ス),三フッ化チッ素,塩化アルミニウム,塩化亜鉛,
塩化第一鉄等のルイス酸,テトラn−ブチルアンモニウ
ムブロマイド等のルイス塩基その他ソディウムメトキサ
イト等が挙げられる。
油剤としては化粧品に適用できる原料油剤で水との親
和性がなく撥水効果を有するものであればよく,スクワ
ラン,流動パラフィン,ワセリン,マイクロクリスタリ
ンワックス,オゾケライト,セレシン,ミリスチン酸,
パルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸,イソステア
リン酸,セチルアルコール,オレイルアルコール,2−オ
クチルドデシルミリステート,2−オクチルドデシルガム
エステル,2−オクチルドデシルアビエテート,2−オクチ
ルドデシルオレエート,イソプロピルミリステート,イ
ソステアリン酸トリグリセライド,ヤシ油脂肪酸トリグ
リセライド,オリーブ油,アボガド油,ミツロウ,ミリ
スチルミリステート,オリカオイル,ミンク油,ラノリ
ン等の各種炭化水素,高級脂肪酸,油脂類,高級アルコ
ール,ロウ類などがそれぞれ選択して用いられる。
無機粉体基剤の前処理として,イソプロピルアルコー
ル(以下,IPAという。),次いでアセトン,水等で無機
粉体基剤を順次洗浄し乾燥することにより,無機粉体基
剤表面の付着水やコンタミネーション(汚物)をとりの
ぞくことが好ましい。無機粉体基剤の活性化加熱温度
(常圧加熱の場合)は無機粉体基剤の構造的安定性等に
より異なるが,80℃〜1000℃の範囲内で実施することが
望ましい。
ここに於いて留意すべき点は,次の通りである。
焼付け処理前の被覆層を構成する撥水撥油剤又は撥水
撥油剤と反応性助剤等の組成は,核となる無機粉体基剤
を焼付け処理後においても完全に被覆するのに必要な範
囲がとられる事である。従って前記例示した範囲未満で
は,効果が充分でなく,それ以上の範囲では品質に与え
る影響に大差なく用いるメリットが小さい。
活性化された無機粉体基剤に撥水撥油剤を単独で(プ
ライマーなしで被覆して)焼付け処理した場合は,撥水
撥油剤と無機粉体基剤との結合性は強いが該基剤と未結
合の撥水撥油剤も多く,撥水撥油剤間のフィルムの緻密
性(焼付け層の緻密性)が非常に小さいか該撥水撥油剤
間に何もない(結合がない)状態に近く,経時による濡
れが進行するものであり好ましいものではない。しか
し,ルイス酸又はルイス塩基等のプライマーをその反応
に適用する事により無機粉体基剤表面と撥水撥油剤との
反応(結合反応)がより完結に進行すると共に,撥水撥
油剤間の反応が加速的に進行するものである。又無機粉
体基剤を活性化しないで上記と同様に(プライマーなし
で)行った場合,前述した状態が更に悪く,化粧料に含
有しても全く化粧くずれ防止に関与しないものである。
撥水撥油剤と反応性助剤,又は撥水撥油剤と油剤と反
応性助剤(被覆層構成物)を,活性化されていない無基
粉体基剤に単にコーティグした場合(即ち,焼付け処理
を行なわない場合)や,粉体基剤中に必要以上の水分が
存在するため反応性助剤を用いても反応性助剤が加水分
解し架橋反応に関与せずさらに焼付け処理しない場合
は,無機粉体基剤と前記被覆層構成物との結合性が殆ど
なく,化粧効果の持続性には何らよい効果をもたらさな
いものである。
前記,等の無機粉体基剤を活性化していない場合
は,前記被覆層(焼付け処理前)は無機粉体基剤表面に
付着ないし吸着しているのみであり,無機粉体基剤と前
記被覆層構成物との間の相互作用がなく機械力,衝撃
力,遠心力,剪断力等により,無機粉体基剤表面からそ
れら被覆層構成物が容易に脱離しやすく,本発明の目的
とするものは得られない。
焼付け処理の温度は基本的には撥水撥油剤が分解,変
質しないでかつ揮散しない沸点以下であれば良く,反応
性助剤を使用する場合は反応性助剤の反応がスムーズに
進行する温度と,フッ素系撥水撥油剤の反応が良好に進
行する温度は好ましい。通常は80〜200℃の範囲内で適
用出来る。焼付け処理時間は前記焼付け処理前の被覆層
構成物間,及び無機粉体基剤と前記被覆構成物の各々と
の間の複雑な結合反応を完結させる時間であるが,通常
は1.5〜48時間である。またこれを越える焼付け処理時
間は反応の完結性からみて必要性はなく,またこれより
短い時間では焼付け処理が不完全であり,目的とする被
覆膜の強度と化粧効果は得られないことが多い。
本発明により、製造された被覆粉体のメークアップ化
粧料における好ましい各含有量は,乳化タイプの場合1.
0〜40重量%,オイルゲルタイプの場合0.5〜30重量%,
プレスタイプの場合15〜90重量%,ルースタイプの場合
10〜90重量%がとられる。また,前記被覆粉体A,Bはフ
ェースパウダー,パウダーアイシャドウ,ダスティング
パウダー等のメークアップ化粧料として100重量%その
まま使用することもできる。
本発明の被覆粉体の製造方法としては,例えば以下の
方法が好適である。
無機粉体基剤の前処理工程,つまり無機粉体基剤をIP
A,アセトン,精製水で順次洗浄した後乾燥して無機粉体
基剤を得る工程は,本発明には必須でなく,好ましくは
行った方が良い。これらの前処理を経た無機粉体基剤又
は非前処理無機粉体基剤を,撥水撥油剤とプライマーを
有機溶媒中に溶解させた溶液中に混入し,撹拌,摩砕
後,有機溶媒を留去し焼付け処理し,必要ならば有機溶
媒で洗浄乾燥後粉砕し,目的とする被覆粉体を得る方
法。
好ましくは前記前処理した無機粉体基剤を用い,それ
らを撥水撥油剤とプライマーと反応性助剤を含有する有
機溶媒に混入し,撹拌,摩砕後有機溶媒を留去し,焼付
け処理し,取り出し必要ならば有機溶媒で洗浄乾燥し粉
砕して目的とする被覆粉体を得る方法。
前記各工程中において用いられる有機溶媒としてはキ
シレン,トルエン,ベンゼン,n−ヘキサン,ブタノー
ル,イソプロピルアルコール,酢酸エチル,メチルエチ
ルケトン,メチルイソブチルケトン,石油エーテル,ク
ロロホルム,フロン112,フロン113,フロン12等が挙げら
れる。
次に本発明の被覆粉体の製法の一例についてさらに詳
細に述べる。
方法1 一種又は二種以上の無機粉体基剤(好ましくは,予め
IPA,アセトン,水洗,乾燥の前処理をした粉砕基剤,以
下同様)100部を有機溶媒100部〜800部と撥水撥油剤0.4
〜50部とプライマー0.1〜20部とを溶解させた溶液に混
入し,110℃以下で1〜48時間,混合,撹拌,摩砕した
後,有機溶媒を留去(必要ならば適宜乾燥)し,無機粉
体基剤を核とし撥水撥油剤をプライマーとともにコーテ
ィングし,温度80〜200℃にて1.5〜48時間焼付け処理を
し(同時にプライマーが除去される),冷却又は常温付
近に戻し,目的とする被覆粉体を得る。尚必要ならば焼
付け処理後,有機溶媒で洗浄(前記プライマーが残存す
る場合この工程で除去される)後,乾燥して被覆粉体を
得ても良い。
方法2 一種又は二種以上の無機粉体基剤100部を,有機溶媒1
00〜800部と撥水撥油剤0.4〜50部とプライマー0.1〜20
部と反応性助剤1〜30部とを溶解させた溶液に混入し,1
10℃以下で1〜48時間,混合,撹拌,摩砕した後,有機
溶媒を留去(必要ならば適宜乾燥)し,無機粉体基剤を
核として撥水撥油剤と反応性助剤をプライマーとともに
コーティングし温度80〜180℃にて1.5〜48時間焼付け処
理し(同時にプライマーが除去される),冷却又は常温
付近に戻し,目的とする被覆粉体を得る。尚必要ならば
焼付け処理後,有機溶媒で洗浄(前記プライマーが残存
する場合この工程で除去される)後,乾燥して被覆粉体
を得ても良い。
上記の如くして得られた被覆粉体は撥水撥油度の高い
原料又はそれらと反応性助剤とが,無機粉体基剤の摩砕
処理や焼付け処理による相互作用により強固に皮膜化さ
れたもので構成されているため,無機粉体基剤が直接的
に油分や水分等の影響をうけないものである。又,皮膜
強度は既述の焼付け処理により増強されるため,粉砕力
に対しても充分に耐えることができ,顔料等の粉体への
濡れの変化がなく化粧くずれや化粧の浮きを完全に防止
するものである。
又,熱重量分析,微分熱重量分析,示差熱分析及び加
熱時に発生する水分の分析等の機器分析の結果からも,
例えば撥水撥油剤の沸点よりもはるかに高い温度に被覆
粉体の発熱ピークが示す熱分解点があることや,沸点の
近くでの弱い付着又は結合による吸熱ピークが全く存在
しないことから,明らかに強い化学結合を有しているも
のと推察する。
更に,既述のように本製造法は酸又はアルカリ等によ
るエッチング工程の必要性がなくそれに伴うデカンテー
ションに製造日数の大幅削減が出来る。また粉体の活性
化のために加熱処理方法,例えば,加熱した粉体基剤を
直接撥水撥油剤等が含有されている有機溶媒中につけこ
む方法もあるが,工業設備面で大幅な設備投資が必要で
あり,必ずしも工業的には有利とは言いにくい面があ
る。摩砕によれば,一般使用設備で常温,常圧で活性化
された無機粉体基剤を得る事が出来,工業的スケールに
於いて大変有利である。
無機粉体基剤を被覆する被覆焼付け層は,無機粉体基
剤の外周を完全に被覆し無機粉体基剤表面に密着してい
れば良く,必ずしも均一な厚さで無機粉体基剤を被覆す
ることまでは必要とされない。
(実施例) 実施例(1)パウダーファンデーション セリサイト(平均粒子径5.9μm)100部にIPA350部を
入れ60分間撹拌した後,次いでアセトン170部,更に精
製水350部で洗浄し,50℃で4日間乾燥する。別にメチル
エチルケトン530部中にパーフロロアルキルシラン(n
=7)15部,アルミニウムトリス(アセチルアセトネー
ト)1.2部,テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイ
ド0.1部,三フッ化ホウ素エチルエーテルコンプレック
ス5.0部を溶解させた時に上記乾燥セリサイトを入れボ
ールミルで17時間摩砕処理した後メチルエチルケトンを
留去し,乾燥した後,キュアリングチャンバーを用い,1
50℃にて10時間焼付け処理して取り出し,更にメチルエ
チルケトン1中に混入,撹拌し50℃で乾燥し,撥水発
油性を有する被覆粉体Ia(撥水撥油セリサイト)を得
た。また酸化チタン(平均粒子径0.32μm)の場合は反
応性助剤としてアルキルアセトアセテートアルミニウム
ジイソプロピレート1.3部を用い同様な処理工程を経
て,本発明の製造方法により製造された被覆粉体Ibたる
撥水撥油酸化チタンを得た。
パウダーファンデーション A)撥水撥油セリサイト(Ia) 54(部) 撥水撥油酸化チタン(Ib) 10 タルク(平均粒子径9.0μm) 13 球状ケイ酸カルシウム(同4.8μm) 4 弁柄(同0.21μm) 4 (以上A) B)流動パラフィン 7.8 z−オクチルドデシルミリステート 5 香料 0.2 (以上B) Aをヘンシェルミキサーで1分間混合した後,粉砕機
で粉砕する。その粉砕物をヘンシェルミキサーに移しB
を添加し10分間混合撹拌し取り出しブロワーシフターで
均質化したのち容器に充填し製品パウダーファンデーシ
ョンとする。
実施例(2)パウダーアイシャドウ 酸化チタン(平均粒子径0.38μm)10部,白雲母(平
均粒子径13.8μm)70部,弁柄(平均粒子径0.21μm)
5部,球状シリカ(平均粒子径5.3μm)15部をIPA300
部に入れ20分間撹拌した後,次いでアセトン200部で洗
浄処理した後更に精製水400部で3回洗浄処理し40℃で
5日間乾燥する。
別に200部のフロン113中にパーフロロアルキルシラザ
ン2%フロン溶液450部と三フッ化チッ素8.3部とアルミ
ニウムsec−ブチレート5部を入れた中に,上記乾燥混
合粉体を入れボールミルで24時間,嵌合,撹拌,摩砕し
た後,前記フロンを留去し,乾燥した後キュアリングチ
ャンバーで130℃で24時間焼付け処理し,撥水撥油性を
有する被覆粉体IIを得る。
パウダーアイシャドウ A)被覆粉体II 86 (部) チタンコーティッド雲母(平均粒子径5.5μm) 5 B)ジメチルポリシロキサン 4.5 流動パラフィン 4.0 香料 0.5 Aをヘンシェルミキサーで1分間混合した後,粉砕機
で粉砕する。その粉砕物をヘンシェルミキサーに移し,B
を添加し8分間混合撹拌したのち,取り出し粉砕機で均
質化し容器に入れて製品とする。
実施例(3)ファンデーション A)実施例(2)の被覆粉体II 20.0(部) ステアリン酸 1.0 セタノール 2.0 ジグリセリントリイソステアレート 3.0 ラノリン 1.0 スクワラン 10.0 活性剤 5.0 ブチルパラベン 0.1 BHT 0.1 (以上A) B)グリセリン 6.0 増粘剤 1.5 精製水 49.3 (以上B) C)香料 1.0 AとBとを別々に溶解して80℃に保持しAにBを少し
ずつ添加し,充分に撹拌し乳化する。乳化が終了した時
点でCを添加し,80℃で3分間撹拌し,水冷し40℃まで
冷却し,取り出し容器に充填し製品とする。
実施例(4)パンケーキ セリサイト(平均粒子径2.8μm)50部,球状ケイ酸
マグネシウム(平均粒子径5.6μm)10部,酸化チタン
(平均粒子径0.21μm)15部,ケイソウ土(平均粒子径
10.1μm)10部,弁柄(平均粒子径0.21μm)5部,タ
ルク(平均粒子径1.3μm)4部をIPA350部に入れ40分
間撹拌した後,次いでアセトン250部で洗浄した後,更
に精製水400部で3回洗浄し,50℃で3日間乾燥する。別
にパーフロロアルキルシラザン2%フロン液100部とパ
ーフロロアルキルシラン(n=4)2部とフロン200部
と三フッ化ホウ素エチルエーテルコンプレックス6.5部
とチタンテトライソプロポキシド40部を溶解させた中に
上記乾燥粉体を入れボールミルで15時間摩砕処理した
後,フロンを留去し,乾燥したのち,キュアリングチャ
ンバーを用い,110℃にて5時間焼付け処理し取り出し,
撥水撥油性を有する被覆粉体IVを得る。
A)実施例(1)の被覆粉体 20(部) 実施例(2)の被覆粉体 23(部) 実施例(4)の被覆粉体 40(部) B)スクワラン 5 ラノリン 3 ジメチルポリシロキサン 4 (以上B) C)1,3ブチレングリコール 3 エチルパラベン 0.2 香料 0.5 (以上C) Aをヘンシェルミキサーの中に入れ撹拌しながらBを
入れ5分間撹拌した後,Cを加え2分間撹拌し,取出し,
ブロワーシフターを通し容器につめて製品とする。
実施例(5) セリサイト(平均粒子径5.9μm)100部にIPA400部を
入れ60分間撹拌した後,次いでアセトン170部,更に精
製水350部で洗浄し60℃で4日間乾燥する。別にトルエ
ン530部中にパーフロロアルキルシラン(n=7)15
部,アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロ
ピレート1.3部,三弗化ホウ素エチルエーテルコンプレ
ックス7.5部を溶解させた時に上記乾燥セリサイトを入
れボールミルで20時間摩砕処理したのちトルエンを留去
し,乾燥した後,キュアリングチャンバーを用い150℃
にて10時間焼付け処理し取り出し,更にトルエン1に
混入,撹拌し50℃で乾燥し撥水撥油性を有する被覆焼付
け第1層を形成する。
これとは別にIPA500部にパーフロロアルキルシラン
(n=3)5部,オレイン酸5部,テトラ−n−ブチル
アンモニウムブロマイド5.0部,エチルアセトアセテー
トアルミニウムジイソプロピレート1.0部とを溶解させ
と時に,上記被覆焼付け第1層を表面に設けたセリサイ
ト粉体100部をボールミルの中に入れて12時間摩砕処理
し,取り出しIPAを留去し,乾燥した後130℃にて10時間
焼付け処理し取り出し,更にIPA1に混入,撹拌し50℃
にて乾燥し3層構造を有する被覆粉体Vを得る。
実施例(6) 前記実施例(2)で用いたものと同様の平均粒子径を
夫々有する酸化チタン10部,白雲母70部,弁柄5部,球
状シリカ15部をIPA300部に入れ20分間撹拌した後,次い
でアセトン200部で洗浄処理した後更に精製水400部で3
回洗浄処理し40℃で5日間乾燥する。
別に200部のフロン113中にパーフロロアルキルシラザ
ン2%フロン溶液450部と三フッ化チッ素8.3部とアルミ
ニウムトリス(アセチルアセトネート)1.5部を入れた
中に,上記乾燥混合粉体を入れボールミルで24時間,混
合,撹拌,摩砕した後,前記フロンを留去し,乾燥した
後キュアリングチャンバーで130℃で24時間焼付け処理
し,撥水撥油性を有する被覆焼付け第1層を表面に設け
て成る被覆粉体を得た。
別に用意したメチルエチルケトン530部中にパーフロ
ロアルキルシラン(n=7)10部,三フッ化ホウ素5
部,イソステアリン酸5部を溶解させた時,上記被覆粉
体100部を入れボールミルで24時間摩砕処理した後メチ
ルエチルケトンを留去し乾燥した後,キュアリングチャ
ンバーを用い,150℃にて15時間焼付け処理して取り出
し,更にメチルエチルケトン1中に混入,撹拌し50℃
で乾燥し,撥水撥油性を有する被覆焼付け第2層を前記
第1の表面に形成し3層構造とした被覆粉体VIを得る。
上記実施例(1)〜(6)において,各無機粉体基剤
の摩砕後の平均粒子径は,夫々次のように推定される。
セリサイト(平均粒子径5.9μm)→5.3μm タルク(同9.0μm)→7.9μm ケイソウ土(同10.1μm)→8.9μm セリサイト(同2.8μm)→2.6μm 酸化チタン,弁柄類,球状シリカ,球状ケイ酸マグネ
シウム及びタルク(平均粒子径1.3μm)の平均粒子径
は,摩砕後もほとんど変化していないと推定される。
(比較実験) 本発明の方法により製造された被覆粉体と従来の化粧
料組成物とを撥水撥油性の定性的評価により比較した。
サンプル (ア)本発明の実施例1の被覆粉体Ia (イ)本発明の実施例1の被覆粉体Ib (ウ)本発明の実施例2の被覆粉体II (エ)本発明の実施例4の被覆粉体IV (オ)本発明の実施例5の被覆粉体V (カ)本発明の実施例6の被覆粉体VI (キ)特公昭61−48803号公報記載の弗素系樹脂で表面
処理した化粧用粉体 (ク)特公昭61−55481号公報記載の弗素を含有する重
合体からなる撥水撥油剤で処理した化粧用粉体 (ケ)セリサイトと1,2,2トリクロロ−1,2,2トリフルオ
ロエタンとの混合物 実験方法 精製水,及び各種油剤(スクワラン,オレイン酸,イ
ンステアリルアルコール,2−エチルヘキサン酸セチル及
びホホバ油)5gを20mlの共栓付試験管に秤量しサンプル
0.1gをその中に注入し常温にて100回振とうし2日間放
置し,さらに100回振とうし2日間常温に放置して評価
した。
なおサンプル(ア)〜(カ)と調製は,実施例(1)
〜(6)で得たものを取り出し,各々20gをキシレン200
g中に分散させマグネチックスターラーで30分間撹拌し
取り出し濾過した後50℃の乾燥機で24時間乾燥し取り出
し粉砕し試料とすることにより行なった。
なお,熱重量分析と微分熱重量分析,示差熱分析と加
熱時発生水分分析によれば,撥水撥油剤の沸点よりもは
るかに高い温度で粉体表面被覆層の熱分解点がある事,
また撥水撥油剤の沸点近くでみられる無機粉体基剤との
弱い付着力による吸熱ピークが全く存在しない事,水
系,各種油剤中にて強く振とうして放置した場合,本発
明により製造された被覆粉体は気液界面に集合し経時で
も変化しない事から明らかに強く化学結合しているもの
と推察できる。
更に特公昭61−48803号公報,特公昭61−55481号公報
において無機粉体基剤中の粘土鉱物中の限られた水酸基
に対しても,何ら活性化させた状態での反応がなされ
ず,極めて表面活性度の低い状態で表面処理工程が施さ
れている。また,酸化チタン,それを含有する雲母チタ
ンは,それらの製造工程からみて殆んど水酸基がない状
態であり,仮に水酸基が存在していても極微量であり,
大半は不安定であり,それら自信(酸化チタン,雲母チ
タン)の表面不活性である知見を基に前記公報の実施例
を追試した結果,撥水性は殆んどなく,撥油性に関して
は全くその効果はなかった。
更に特公昭61−48803号公報,特公昭61−55481号公報
の実施例にのっとり各処理粉体について表面処理を施し
た後,有機溶媒(例えばキシレン,トルエン,クロロホ
ルム,ヘキサン,メチルエチルケトン,メチルイソブチ
ルケトン,フロン113)で洗浄すると殆んどが脱離し撥
水性は極僅かにみられるが,撥油性は全くみられなかっ
た事からそれらは単なる付着或いは一部吸着したもので
あり粉砕工程で容易に脱離するものである。プレスト状
メークアップ化粧料に適用した場合,化粧膜の浮きが顕
著にみられた他,化粧くずれが著しく,密着感に欠ける
事も本発明者により知見された事である。
(発明の効果) 本発明によれば,撥水撥油剤,反応性助剤及び油剤を
無機粉体基剤表面に完結ないし完結に近い状態で結合反
応させることができ,また,通常反応しにくい無機粉体
基剤にも撥水撥油剤,反応性助剤及び油剤を結合させる
ことができ,さらに撥水撥油剤,反応性助剤及び油剤間
(同種間も含む)の反応を促進させることができる。
従って,本発明により製造された被覆粉体は,緻密な
被覆焼付け層が無機粉体基剤に強力に結合しており,撥
水性及び撥油性が良好であり,かつ容易に損なわれな
い。前記被覆粉体を含有させた化粧料は,水,汗,皮脂
等による化粧膜の透明化,化粧くずれ,化粧膜の浮きが
長時間生じない。
活性化された無機粉体基剤を摩砕により得る場合に
は,大幅な設備投資なしに工程を短縮でき,また収率・
収量を増加できる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−258958(JP,A) 特開 昭63−56543(JP,A) 特開 昭63−139015(JP,A) 特開 昭56−29512(JP,A) 特許2597492(JP,B2) 特許2597494(JP,B2)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】撥水撥油剤及び油剤のいずれか又は両者と
    反応性助剤とプライマーとで,活性化された無機粉体基
    剤を被覆し,焼付け処理して,撥水撥油剤及び油剤のい
    ずれか又は両者と反応性助剤とから成る被覆焼付け層を
    前記基剤の表面に形成することを特徴とする被覆粉体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】無機粉体基剤の表面に撥水撥油剤及び油剤
    のいずれか又は両者と反応性助剤とから成る被覆焼付け
    第1層を設けて成る被覆粉体を,撥水撥油剤及び油剤の
    いずれか又は両者と反応性助剤とプライマーとで被覆
    し,焼付け処理して,撥水撥油剤及び油剤のいずれか又
    は両者と反応性助剤とから成る被覆焼付け第2層を前記
    第1層の表面に形成し3層構造(但し,前記第1層が撥
    水撥油剤を含まない場合,前記第2層は撥水撥油剤を含
    む)とすることを特徴とする被覆粉体の製造方法。
  3. 【請求項3】前記被覆焼付け第1層を設けて成る被覆粉
    体は,請求項1記載の方法により製造されることを特徴
    とする請求項2記載の被覆粉体の製造方法。
  4. 【請求項4】無機粉体基剤の表面に撥水撥油剤及び反応
    性助剤の両者又はこれらと油剤とから成る被覆焼付け第
    1層を設けて成る被覆粉体を,撥水撥油剤及び油剤のい
    ずれか又は両者とプライマーとで被覆し,焼付け処理し
    て,撥水撥油剤及び油剤のいずれか又は両者とから成る
    被覆焼付け第2層を前記第1層の表面に形成し3層構造
    とすることを特徴とする被覆粉体の製造方法。
  5. 【請求項5】前記被覆焼付け第1層を設けて成る被覆粉
    体は,請求項1記載の方法により製造されることを特徴
    とする請求項4記載の被覆粉体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記活性化された無機粉体基剤は摩砕によ
    り得ることを特徴とする請求項1,3又は5記載の被覆粉
    体の製造方法。
  7. 【請求項7】前記プライマーは,ルイス酸又はルイス塩
    基であることを特徴とする請求項1ないし6の一に記載
    の被覆粉体の製造方法。
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