JP2644012B2 - ベルト張力装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、ベルト張力装置に関し、特に、第１の速度
で駆動されるベルトと、第２の速度で駆動される回転接
触圧要素と、ベルトを接触圧要素に対して断続的に係合
させ、この係合位置においてベルトを接触圧要素との摩
擦によって第２の速度で駆動させる手段と、ベルトの進
行方向に関する係合位置の前後において夫々ループを形
成しながらベルトを引っ張っており、一方が他方よりも
大きな張力を与える二つの浮動ローラとを備えているベ
ルト張力装置に関する。

［従来の技術］ 複写機に用いられるこの種の装置は、米国特許第4,18
3,658号から知られている。この公知の装置において、
画像が電子写真的に形成された光導電性ベルトが形成さ
れた画像を中間支持体に転写するために中間支持体に押
圧される。このような状態において、接触圧が負荷され
る場所でベルトは、中間支持体の速度になって画像転写
が画像を不鮮明にすること無しに行われる。

この公知装置では中間支持体が光導電性ベルトの速度
よりわずかに低い速度で駆動されるので、画像転写中
に、接触圧が負荷される場所の前に位置する第１浮動ロ
ーラによってベルトに形成されるループが大きくなり、
前記場所の後に位置する第２浮動ローラによって形成さ
れるループが小さくなる。もし接触圧を画像転写後に除
くと、第２浮動ローラが（このローラは第１浮動ローラ
よりも大きな緊張力を与える）、接触圧が負荷されてい
る場所の後のベルトに自ら形成しているループを拡大
し、同時に第１浮動ローラが前記場所の前のベルトに形
成するループを小さくする。このようにして各画像を転
写した後は、ベルトを緊張したままで、光導電性ベルト
は中間支持体に対して元の位置に戻される。

［発明が解決しようとする課題］ 浮動ローラが一つの位置から別の位置に移動する間の
ベルトを乱す衝撃や振動を避けるために、二つの浮動ロ
ーラによって加えられる力の差が、全ローラとこれらロ
ーラ間のベルト部分とを動かすのに必要な力より大きく
しないことが好ましい。また各浮動ローラが別個に加え
る力は、関連のベルトループの緊張を充分に保持させる
のに要する以上に大きくしないのが好ましい。

公知の装置に見られることであるが、関連する力が浮
動ローラの重量および／または浮動ローラに作用するば
ねの緊張力に由来するものである場合は、種々の要素に
対して容認されねばならない製造許容差によるこれらの
力の偏差の蓄積によって、かような装置の製造面で問題
が実際に起こっている。

本発明の目的は、浮動ローラが移動する際にベルト上
に発生する衝撃及び振動を回避あるいは低減されること
ができ、ベルトを良好に走行させることが可能になるベ
ルト張力装置を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 本発明によれば、前述の目的は、第１の速度で駆動さ
れるベルトと、第２の速度で駆動される回転接触圧要素
と、ベルトを接触圧要素に対して断続的に係合させ、こ
の係合位置においてベルトを接触圧要素との摩擦によっ
て第２の速度で駆動させる手段と、ベルトの進行方向に
関する係合位置の前後において夫々ループを形成しなが
らベルトを引っ張っており、一方が他方よりも大きな張
力を与える二つの浮動ローラとを備えているベルト張力
装置であって、係合位置の前方にある浮動ローラが同一
形状の第１の両アームレバーの対における一方のアーム
に取り付けられていると共に、係合位置の後方にある浮
動ローラが同一形状の第２の両アームレバーの対におけ
る一方のアームに取り付けられており、第１のレバーに
おける他方のアームの端部とこれに対応するところの第
２のレバーにおける他方のアームの端部とが引張りばね
手段によって互いに連結されており、第１のレバーと第
２のレバーとはその伝達比が異なっていることを特徴と
するベルト張力装置によって達成される。

［作用］ 本発明のベルト張力装置によれば、ベルトの張力が主
として一つの引張りばね手段から得られるため、寸法許
容差の積重ねに起因する引張り力のばらつきがなく、
又、浮動ローラをかなり軽量に製造できるため、浮動ロ
ーラを移動させるのにごく小さな力しか必要としない。
従って、浮動ローラが移動する際にベルト上に発生する
衝撃及び振動を回避あるいは低減させることができ、ベ
ルトを良好に走行させることが可能になる。

本発明によるベルト張力装置の好ましい特徴によれ
ば、伝達比が小さい方の第１のレバーに取り付けられた
浮動ローラの移動がストッパによって制限されているの
がよい。

本発明によるベルト張力装置の他の好ましい特徴によ
れば、ベルトを引っ張る力が引張りばね手段から得られ
るのがよい。

［実施例］ 添付図面は、この発明の装置を用いる複写機の概略断
面図である。

図において１は、連続的に回転する駆動ローラ２と、
圧力ローラ３と、案内ローラ4,5および６と、補助ロー
ラ７および８と、ならびに浮動ローラ９および10とに掛
けた無端の光導電性ベルトである。ベルト１の縁とのみ
係合する細幅ローラ11の補助によってベルト１のローラ
２の面との接触が保持され、このようにしてベルト１が
例えば20m/minの速度で駆動される。圧力ローラ３は、
軸13の周りを旋回可能なアーム12に軸受を用いて自由に
回転可能に支持されている。図に見られるアーム12は、
軸受で回転可能に支持されたカム15と協働するカム従動
子14を備えている。ばね16がカム12に引張り力を与え、
その結果カム従動子14が連続してカム15と接触する。

案内ローラ４はベルト１の移動速度よりわずかに小さ
い周速、例えば19.8m/minで矢印方向に連続的に駆動さ
れる。この速度差のためにベルト１はローラ４の面上で
スリップする。このスリップを利用しながら、ベルト１
はローラ４に設けられてベルト１の両縁に位置する案内
板17によって一直線に調整されるが、これはすべてオラ
ンダ特許第148,418号明細書に記載されている原理によ
るものである。

案内ローラ５と６および補助ローラ７と８は、軸受で
自由に回転可能に支持されている。浮動ローラ９は２つ
の細幅円板で構成され、これらの円板はベルト１の縁と
のみ係合するが、該円板は棒18に軸受を用いて回転可能
に支持され、この棒18は軸20の周りを旋回可能な二つの
アームからなるレバー19のアーム19aに固定されてい
る。浮動ローラ10は軸22に軸受を用いて自由に回転可能
に支持されている類似の円板で構成され、軸22は両側が
二つのアームからなるレバー21のアーム21aに軸受を用
いて支持され、またこのレバーは、軸23に旋回状態で軸
受を用いて支持されている。

レバー19のアーム19bは、対応するレバー21のアーム2
1bに緊張ばね24によって連結されている。製作に伴う技
術的理由から、緊張ワイヤを（これはプーリ上を走行さ
せてもよい）レバーとスプリングとの間に設置すること
ができる。レバー21の寸法はレバー19の寸法とは異なる
ので（短かいアーム21aと19aが例えば、各々50mm長で、
長いアーム19bが95mmで長いアーム21bが100mm）、レバ
ー21の伝達比はレバー19のそれより大きい（与えられた
長さによって約５％大きい）。

緊張ばね24は等しい力でアーム19bと21bを引張るの
で、浮動ローラ９よりも浮動ローラ10の方により大きな
力が加えられる。浮動ローラ10が浮動ローラ９によって
形成されているベルトのループを完全に無くしてしまう
ことのないように、レバー19のアーム19aの移動を止め
具25で限定している。ベルトを緊張させる力は緊張ばね
系より導かれるから、浮動ローラ９と10は極めて軽量に
作製することができる。上記具体例に用いられる緊張ば
ねはばね定数が0.15N/mmであり、プレセッテングは2.35
Nで、無負荷状態での長さは70mmである。許容限界内の
いずれの偏りも作動に影響しない。

圧力ローラ３の上方に、柔軟なシリコンゴム製の薄い
上層を有する無端ベルト26からなる中間支持体が設けら
れている。ベルト26は矢印方向に駆動ローラ27で駆動さ
れるが、この駆動ローラの速度はベルト１の速度よりわ
ずかに小さい例えば19.8m/minである。さらにベルト26
は自由に回転可能に軸受で支持されたローラ28上で案内
される。ローラ28の内部には発熱体29が設けられ、この
発熱体によってローラ28のシリンダとこれに接触するベ
ルト26とが加熱される。図示されていないが公知の手段
によって、発熱体29へのエネルギー供給が、ベルト26の
表面温度を例えば105℃と一定に保持するよう制御され
る。駆動ローラ27の横側に圧力ローラ30が、自由に回転
可能に軸31に軸受で支持され、この軸31はアーム32に連
結され、このアームとともに軸33に軸受を用いて旋回状
態で支持される剛性部材を形成する。図に示されている
アーム32は、回転可能なカム35と協働するカム従動子34
を備えている。

さらに複写機は、積重ねシート38を受けるトレー37か
らなる複写紙供給器を備えている。トレー37は摩擦ロー
ラ39を備え、これによって前記シートを次々に積重ね38
から送り出すことができる。ばね40がトレー37を押圧
し、そのためトレー37が軸41の周りを旋回し、積重ねシ
ートの一番上のシートが所定の圧力でローラ39に常に当
接支持される。積重ね38から送出されたシートは、連続
して回転するローラ43と、ローラ33の上に自由に載置さ
れているディスクローラ44の間のかみ込みに案内板42に
よって案内される。軸受で旋回状態に支持された軸49に
固定されたアーム48に連結された止め具47が、案内板45
と46間の連結用通路に延出している。図に示すアーム48
は、ばね50によって加えられる力によって、軸受けで回
転可能に支持されたカム51で絶え間なく接触支持され
る。止め具47を通り過ぎたところに無端ベルト52が設け
られる。該ベルトは自由に回転可能なローラ53と54およ
び連続的に回転する駆動ローラ55の周りで引き締められ
ている。ローラ55は、ベルト52をベルト26の送行速度と
同程度かまたはわずかに大きい速度で（例えば５％大き
い速度）駆動する。ローラ53内には発熱体56が備えら
れ、これによってローラ53のシリンダとベルト52とが加
熱される。図示されていないが公知の手段によって、発
熱体56に対するエネルギー供給が、ベルト52の表面温度
が所定の温度例えば105℃と一定に保持されるように制
御される。ベルト52上には可撓性圧力板57が配置され、
この圧力板は旋回状態で軸受で支持されている軸58に取
付けられている。

ベルト１が通過する経路に沿って、静電写真法によっ
てベルト１の光導電性表面に粉体画像を形成するため通
常の手段が設置される。これらの手段は、ベルト１に存
在する電荷を除去する光源59、ベルト１に存在する残留
粉体を除去するクリーニングブラシ60、均一な静電荷を
ベルト１に負荷する帯電器61、公知の方法で露光板上の
原稿の光画像が不図示のせん光電球とミラーと対物レン
ズとによってベルト１に投影されて投影中に静電潜像が
ベルト１に形成される投影ステーション62、ベルト１の
静電潜像を粉体画像に現像する現像装置63、および画像
の粉体とベルト１との間の接着を低下させるために照射
される光源64で構成される。

最後に複写機は図示されていない制御手段を備え、こ
の制御手段は上記の画像形成手段59〜64の作動と、カム
15とカム35、摩擦ローラ39およびカム51の作動とを同期
化する。上記の用途に使用できる制御システムは多数の
種類と実例が知られているが、かようなシステムの中で
極めて適切な例が、例えばオランダ特許願第7311992号
に記載されている。

連続的に帯電、潜像形成露光および現像を行うことに
よってベルト１に形成される粉体画像が圧力ローラ３に
接近すると、カム15が制御システムから発信される信号
によって180゜回転する。その結果、アーム12が旋回し
てローラ３が上方に移動する。こうしてベルト１が、ロ
ーラ３と28との間でベルト26に押圧される。この時に生
じる摩擦によって、この押圧領域位置にあるベルト１は
ベルト26のわずかに低い速度を受ける。ベルト１はロー
ラ２によって一定でわずかに早い速度で駆動されている
ので、ローラ９が掛っているループが大きくなる。しか
しレバー19を介してばね24によって加えられる力によっ
て、ローラ９はアーム19aとともに旋回して下がり、ル
ープの緊張が保持される。

ベルト１はローラ４上をスリップしながら不変の速度
で送行しているので、ローラ10が掛っているループは小
さくなり、ローラ10はアーム21aとともに旋回して持上
がる。レバー21を介してばね24によって加えられる力に
よって、ローラ10はループ内の部材の緊張を保持する。

粉体画像は押圧領域を通過する間にベルト26の柔軟な
ゴム層に押圧され、このようにして粉体画像がベルト１
からベルト26に転写され、ベルト26によって運ばれる。

この転写によって画像の粉体のほとんど大部分（90〜
95％）がベルト26に転写されるが、残留粉体がベルト１
に残ることは避けられない。この残留粉体は後で、ラン
プ59とブラシ60の作動による通常法で除去される。

ベルト26によって運ばれている間に、転写された粉体
画像はベルト26によって加熱される。この加熱の間に粉
体粒子が軟化して融合し始め、画像が圧力ローラ30に近
づく時には粘着性になっている。

その間に複写機の制御システムは、第１摩擦ローラ39
を作動させてシートを積重ねシート38から止め具47へ送
る信号と、次にカム51を180゜回転させる信号とを発信
する。上記のカム51の回転によってアーム48が上方に旋
回し、その結果止め具47が持ち上がる。供給されたシー
トは、次にローラ43と44によって前方に押出され、ベル
ト52とプレート57との間に送られる。さらにそのシート
はベルト52によって運ばれ、その間、シートは圧力ロー
ラ30に接近する際に少なくともベルト52と接触する面が
加熱され、ベルト26で送られた画像材料の温度にほとん
ど等しい温度を有する。ベルト26上に存在する画像の先
端と複写材の先端とがローラ30の近傍に達すると、複写
機の制御システムがカム35を180゜回転させる信号を発
信する。

その結果アーム32が軸33周りを旋回し、ローラ30がベ
ルト26に押圧される。次に画像と複写材のシートがロー
ラ30とベルト26との間の押圧領域を通過するときに、軟
化して粘着性になった画像材が複写材に押圧される。こ
のことは、押圧領域を通過するときに全画像がベルト26
から分離して、複写材に転写される理由を説明してい
る。冷却後には、画像はしっかりと複写材に付着し固定
されている。

ベルト１に形成された画像は、このようにしてベルト
26もしくは複写シートそれぞれに転写された後、複写機
の制御システムは信号を発し、この信号によってカム1
5、35および51、ならびにローラ３と30および止め具47
がそれぞれの元の位置に戻る。ローラ３がベルト26から
離れると、レバー21の伝達比がレバー19の伝達比より大
きいのでその結果、ローラ10によって形成されたループ
が大きくなり、かつローラ９によって形成されたループ
が小さくなるので、ローラ10によって加えられる力がロ
ーラ９の力より大きくなる。ローラ９は、その移動が止
め具25によって制限されるまで上方へ移動する。その時
に二つのループが正確に元の位置に戻る。

［発明の効果］ 上述したように本発明のベルト張力装置によれば、浮
動ローラが移動する際にベルト上に発生する衝撃及び振
動を回避あるいは低減させることができ、ベルトを良好
に走行させることが可能になる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の装置を用いる複写機の概略断面図である。 １……光導電性ベルト、２……駆動ローラ、３……圧力
ローラ、4,5,6……案内ローラ、7,8……補助ローラ、9,
10……浮動ローラ、19,21……レバー対、19a,21a……ア
ーム、19b,21b……アーム、26……接触圧要素（転写ベ
ルト）、38……シートパイル、60……クリーニング装
置、61……帯電装置、62……露光装置、63……現像装
置。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】第１の速度で駆動されるベルト（１）と、
   第２の速度で駆動される回転接触圧要素（26）と、前記
   ベルトを前記接触圧要素に対して断続的に係合させ、こ
   の係合位置において該ベルトを該接触圧要素との摩擦に
   よって前記第２の速度で駆動させる手段（３、12〜16）
   と、前記ベルトの進行方向に関する前記係合位置の前後
   において夫々ループを形成しながら該ベルトを引っ張っ
   ており、一方が他方よりも大きな張力を与える二つの浮
   動ローラ（10、９）とを備えているベルト張力装置であ
   って、 前記係合位置の前方にある前記浮動ローラ（９）が同一
   形状の第１の両アームレバー（19）の対における一方の
   アーム（19a）に取り付けられていると共に、前記係合
   位置の後方にある前記浮動ローラ（10）が同一形状の第
   ２の両アームレバー（21）の対における一方のアーム
   （21a）に取り付けられており、 前記第１のレバー（19）における他方のアーム（19b）
   の端部とこれに対応するところの前記第２のレバー（2
   1）における他方のアーム（21b）の端部とが引張りばね
   手段（24）によって互いに連結されており、前記第１の
   レバー（19）と前記第２のレバー（21）とはその伝達比
   が異なっていることを特徴とするベルト張力装置。
2. 【請求項２】伝達比が小さい方の前記第１のレバー（1
   9）に取り付けられた浮動ローラ（９）の移動がストッ
   パ（25）によって制限されていることを特徴とする請求
   項１記載の装置。
3. 【請求項３】前記ベルトを引っ張る力が前記引張りばね
   手段（24）から得られることを特徴とする請求項１又は
   ２に記載の装置。