JP2642443B2 - 洗車設備内への車輌の搬送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、車輌を洗車設備内に搬送する装置に関し、
該装置は、洗車設備の長手方向に沿って、リンク板式チ
ェーンのように構成された２つの無端式の、間隔を保っ
て車輪の走行経路上に配置された搬送チェーンと、２つ
の搬送チェーン間にこれと直角方向に配設されて車輪と
係合する駆動ロールをそれぞれ担持する複数の間隔を保
って配置された支持軸と、チェーンの長手方向に延び、
それぞれが搬送チェーンの下側に配置されて搬送チェー
ンを支持し、駆動ロールを２つの搬送チェーン間に設け
られた走行経路から所定距離を置いて保持しているスラ
イド帯状部材と、搬送チェーンの長手方向に延在するチ
ェーン案内レールと、搬送チェーンの長手方向に延在し
て走行経路上に所定距離を隔てて配置された車輪用の２
つの側方案内部材とを有する。

従来の技術 この種の形式の既知の装置においては、チェーン案内
レールは、車輪から遠い方の、搬送チェーンの外側に配
設されている。このチェーン案内レールは、山型断面を
もって構成され、水平脚部分は搬送装置の支持構造部に
溶接され、一方、垂直脚部分は、チェーンの外側からわ
ずかな距離を保って配置されている。この既知の装置に
おいて、垂直脚部分は、車輪に向って関連チェーンの上
方へ90゜湾曲され、かつチェーン幅を超えて延設されて
いる。この水平湾曲部分の車輪に向いている内側縁は、
巻込まれて車輪用の側方案内部材を形成する。この巻込
縁は、チェーンが頂部で完全に覆われ、車輪とチェーン
との間の直接接触が不可能であるように、走行経路の中
心に向って離れて延びている。側方案内部材は、車輪を
軌道上に保持し、車輪は走行経路上を側方案内部材間で
それに沿って転動し、かつ駆動ロールによって押動され
る。

発明が解決しようとする課題 しかも、もし車輪が旋回されたり、または側方案内部
材と強く衝突すれば、大きい摩擦が生じて車輪は側方案
内部分上を転動し、その結果車輌は軌道から脱線する。
この結果、車輌または洗車設備（これはその下流側に乾
燥装置を含んでいる）に著しい損傷をもたらすことにな
る。側方案内部分上におけるこの転動を防ぐために、側
方案内部分は走行経路から可成り長い距離にわたって配
置されなければならない。このことは、地面間隙の小さ
い低懸架式車輌の洗車ができず、または少くとも車輌へ
の損傷が避けられず、また搬送装置に損傷を与えること
になる。そのうえ、低断面タイヤを装備した車輌のホイ
ールリムは、側方案内部分が走行経路から約80〜120mm
の高さに配置され、低断面タイヤのリムが走行経路から
わずか50〜60mmの距離に配置されているので、リムと側
方案内部分との直接接触によって破損される。車輪の操
向性を極力小さくさせるために、軌道幅、すなわち２つ
の側方案内部分間の内側距離は、できる限り小さくなけ
ればならない。上記の低断面タイヤおよび幅広くタイヤ
を装着した大型車輌の場合は、軌道幅は相対的に大きく
つくらなければならない。その結果、車輪も比較的大角
度で操向されるので、幅狭タイヤを装着した小型車輌に
対して困難を伴わせる。さらに、側方案内部材は、さら
にチェーン案内部材を設けなければならず、車輪の乗上
げ現象の可能性があるため、比較的安定性をもつように
構成しなければならないという付加的な経費を必要とす
る。最後に、高い寸法の、側方案内部材は、タイヤが上
記の低断面タイヤの場合には、ホイールリム洗浄ブラシ
がホイールリムにとどかなくさせる。リムは外側縁部の
洗浄が不十分となり、そのうえ、側方案内部材と洗浄ブ
ラシとの接触によって洗浄ブラシを破損させたり著しい
摩耗を生じさせる。

ゆえに、本発明の目的は、上記形式の洗車設備内に自
動車輌を搬送する装置において、車輌がその軌道から外
れるのを防ぎ、極めて広い形式のタイヤ及び低断面タイ
ヤのいずれを装着した車輌の破損をも伴わない搬送に適
し、その構造が簡単であって製造費が低くかつ保守が容
易な装置を提供するにある。

課題を解決するための手段 上記目的は、本発明によって達成でき、ここにおいて
搬送チェーンが車輪用の側方案内部材として構成され、
チェーン案内レールが、車輪と搬送チェーンとの間の直
接接触が可能にように構成されている。

側方案内部材が車輪と搬送チェーンとの接触を防止す
るように意図された従来技術とは異なり、本発明はその
ような静止側方案内部材を完全に無くて済ます。その代
りに、本発明によれば、車輪と搬送チェーンとの直接接
触が、別の側方案内部材を設けずにチェーン案内レール
の適切な構造によって可能にされ、搬送チェーン自身が
側方案内部材を形成する。これらの側方案内部材は同時
に互いに比較的長い距離に配置することができ、それに
よって、極めて幅広形式または低断面形式のタイヤを装
着した車輌でも、搬送チェーンとの間に問題を起さずに
適合できる。さらに、搬送チェーンを搬送経路から距離
が小さくなるような高さとすることができ、すなわちチ
ェーンの上縁が走行経路からほぼ60mm以下例えばわずか
40mmの高さに配置することができる。搬送チェーンのこ
の低い高さは、低断面形式のホイールリムの損傷をなく
すことができる。側方案内部材として用いられる搬送チ
ェーンは、車輌を軌道上に保持し、車輌による搬送チェ
ーンの乗上げは、車輪が大きく旋回しても起こらないこ
とが分った。大きく旋回した車輪が駆動ロールの作用を
受けて搬送チェーンの１つに押し上げられても、搬送チ
ェーン上で転動しない。車輪は、これにより走行軌道か
ら持ち上げられ、次いで搬送チェーンおよび駆動ロール
上にのみ乗る。車輪が走行経路との接触を失うと同時
に、車輪が回転を止める。従って、車輪と、車輌と同じ
速度で移動している搬送チェーンとの間には、相対運動
は生じないので、車輪が搬送チェーン上で部分的に転動
しても、全体として搬送チェーン上を転動することはな
い。車輪はそれが走行経路との接触を失うまでに、極め
てわずかしか搬送チェーン上を転動しないので、搬送チ
ェーンは十分な横方向案内を起い、同時に搬送装置によ
って案内移動されていない車輌の他の側の旋回している
車輪が車輌をその軌道から引き外すのを防止する。さら
に、この車輌は搬送チェーンによって軌道上に保持さ
れ、回転して案内されていない車輪は横滑りを始めるこ
とが分った。しかし、経験によれば、このような極端な
場合は、車輪を手操作で極めて大きく旋回させるときに
起こる。操向ハンドルを解放すれば車輪は自身で直進状
態となり、車輌は正常に搬送される。もし運転者が操向
ハンドルを回すのを完全にやめれば、車輪は一方の搬送
チェーン上に転がり乗ることは全く行われないことが理
解されるであろう。

本発明による装置では、搬送チェーンはまた側方案内
部材の役目をも果し、別の側方案内部材は全く不必要で
あるので、構造を簡単にして製造費を低下することがで
きる。さらに、搬送チェーンはそれらへの接近が容易で
あるので、保守ならびに潤滑作業が一層容易にできる。
搬送チェーンの高さが低いので、ホイールリム洗浄ブラ
シは低断面形式のリムの清掃が一層十分にでき、これら
のホイールリム洗浄ブラシの、走行経路上方へ高く配置
された側方案内部材との接触に起因する破損または早期
摩耗の危険が起こらない。

実 施 例 図示の実施例について本発明を詳細に説明する。

自動車を車輌洗浄設備内に搬送する装置は、まず互い
に距離Ａだけ隔たって互いに平行に配置された２つの無
端搬送チェーンを有しているが、図においては、その上
方構成要素のみが示されている。これらの搬送チェーン
１は洗浄設備の長さ方向に延び、洗浄設備も下流側に配
設された乾燥設備をもっている。搬送チェーン１は、チ
ェーンの下方に配置されて搬送チェーンの長さ方向に延
びるスライド帯材２によって支持されている。互いに離
隔した搬送チェーン１の外側には、チェーン案内レール
３が配設され、これらはアングル材で構成されることが
好適である。チェーン案内レール３の垂直脚部分3aは搬
送チェーン１の外側から短い距離のところでこの外側と
平行に配置され、かつその水平脚部分3bは運搬台４と結
合されている。この点で垂直脚部分3aは終り、第１図に
示されているように、チェーン部材5,6の上縁部5a,6aの
下方に配置されている。

２つの搬送チェーン１間には、チェーンの縦方向と直
角に延びる支持軸７を有している。支持軸７は互いに比
較的大きい距離を保って配置されている。支持軸７の両
端にはコッタピン９によって軸受部材８が固定されてい
る。各支持軸７は支持軸のまわりを回転可能な駆動ロー
ル10を担持している。駆動ロール10は車輪11を支持して
駆動するのに用いられる。スライド帯材２の高さは、駆
動ロール10が第２図に示されるように、自由に回転でき
るように移行経路からある距離を保って保持されなけれ
ばならない。

本発明による装置において、２つの搬送チェーン１が
車輪11の側方案内部材として同時に作用する。この理由
から、チェーン部材5,6の上縁5a,6aおよび5b,6bは、走
行経路12の上方でa1の距離に配置され、この距離a1はほ
ぼ60mmを超えず、たとえば40mmが好適である。しかし、
ここで重要なことは、搬送チェーン１のチェーン部材5,
6の上縁5a,6aおよび5b,6bは、側方案内部材、カバーま
たはチェーン案内部材によって覆われていないので、車
輪11と搬送チェーン１との間の直接接触が可能である。
よって、既知の搬送装置とは異なり、車輪11用の別の側
方案内部材は設けられていない。

２つの搬送チェーン１間の距離Ａは、車輪11の予期さ
れる最大タイヤ幅に従って任意のサイズとされる。２つ
の搬送チェーン１が方向Ｆへ同期状態で移動されると
き、駆動ロール10は車輪11と当接状態となり、それによ
って車輪、したがって車輌はＦの方向にさらに押動され
る。これと同時に、車輪は走行経路12に沿って転がり離
れる。車輪は２つの搬送チェーン１によって軌道上に保
持される。搬送チェーンとタイヤとの間の相対運動方向
は、側方案内部材が静止している既知の装置よりも一層
有利である。その結果、車輪11が搬送チェーン１の１つ
の上に転動しようとする傾向も小さい。もし運転者が操
向ハンドルを急激に回わすと、車輪11は搬送チェーンの
１つに向って操向され、内側チェーン部材5,6の上縁5b,
6b上に転動する。しかし、車輪11はそれによって走行経
路12からわずかに持上がり、走行経路との接触を失う。
よって、車輪11は搬送チェーン１および駆動ロール10に
よってのみ支持される。Ｂ方向への車輪11の回転は、走
行経路12上の車輪11の摩擦によって確実に実施され、こ
の回転は車輪11が操向ハンドルの急激な回転時に、走行
経路12との接触を失うと直ちに停止する。しかし車輪11
がＢ方向へは回転されなければ、車輪11と搬送チェーン
との間の相対運動は起らず、車輪が搬送チェーン上でそ
れ以上転動することは防止される。搬送チェーン１は、
走行経路12の上方へある距離を保って配置されているの
で、過剰な転動に対する十分な抵抗を提供し、それによ
り車輌は、搬送チェーンによって、同様に旋回され、案
内されていない反対の車輪によって軌道から引き離され
ることはない。このことは試験によって明瞭に立証され
ている。

搬送チェーンによるタイヤへの破損を避けるために、
内側チェーン部材5,6の車輪に面している上縁5b,6bに対
しては、それらが丸味をもつことが好適である。ここに
「内側」チェーン部材とは、車輪に面している２つの搬
送チェーン１のチェーン部材を謂う。

第3,第４図に示された実施例において、２つの向き合
ったチェーン部材５′とウェブ13及び、チェーン部材
６′とウェブ14とは、それぞれそれらの上縁において互
いに連結されている。２つの向き合ったチェーン部材
５′とウェブ13、及びチェーン部材６′とウェブ14は、
このようにしてそれぞれＵ形断面をもつ一体のチェーン
部材部分を形成する。従って、搬送チェーン１′は実質
的にその頂部で閉じられ、さらにそれらの上縁で丸味を
与えられていて、タイヤを損傷することも防止される。

同じ目的で、車輪11に面する内側チェーン部材５″,
6″を、それらがそれらの上縁において、チェーンの縦
中心面に向って、すなわち車輪11に対して外方へ向けら
れた湾曲部分15,16を有することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、第２図の線Ｉ−Ｉに沿って切断された本発明
の第１実施例の断面図、第２図は、第１図の線II−IIに
沿った縦断面図、第３図は、第４図の線III−IIIに沿っ
て切断された本発明の第２実施例の断面図、第４図は、
第３図の方向IVから見た第３図の搬送チェーンの側面
図、第５図は、この発明の第３実施例の断面図である。 1,1′……搬送チェーン、２……スライド帯部材 ３……チェーン案内レール、3a……垂直脚部分 3b……水平脚部分、４……運搬台 5,6;5′,6′;5″,6″……チェーン部材 ７……支持軸、10……駆動ロール 11……車輪、12……走行経路 13,14……ウェブ、15,16……湾曲部分

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車輌を洗車設備内に搬送する装置であっ
   て、該装置は、洗車設備の長手方向に沿って、リンク板
   式チェーンのように構成された２つの無端式の、間隔を
   保って車輪の走行経路上に配置された搬送チェーンと、
   ２つの搬送チェーン間にこれと直角方向に配設されて、
   車輪と係合する駆動ロールをそれぞれ担持する複数の間
   隔を保って配置された支持軸と、搬送チェーンの長手方
   向に延び、それぞれが搬送チェーンの下側に配置されて
   搬送チェーンを支持し、駆動ロールを２つの搬送チェー
   ン間に設けられた走行経路から所定距離を置いて保持し
   ているスライド帯状部材と、チェーンの長手方向に延在
   するチェーン案内レールと、チェーンの長手方向に延在
   して走行経路上に所定距離を隔てて配置された車輪用の
   ２つの側方案内部材とを有し、搬送チェーン（1,1′）
   が車輪（11）の側方案内部材として構成され、チェーン
   案内レール（３）は搬送チェーン（1,1′）の上部を被
   覆することがなくて、車輪（11）と搬送チェーン（1,
   1′）との間の直接接触が可能のように構成されている
   ことを特徴とする車輌を洗車設備内に搬送する装置。
2. 【請求項２】搬送チェーン（１）の上縁（5a,6a,5b,6
   b）が、走行経路（12）の上方に多くても60mmの高さに
   配置されていることを特徴とする請求項１記載の搬送装
   置。
3. 【請求項３】内側チェーン部材（５），（６）の車輪
   （11）に面する上縁（5a），（6a）が丸味を有すること
   を特徴とする請求項１または２記載の搬送装置。
4. 【請求項４】２つの向き合ったチェーン部材（５′）が
   ウェブ（13）によって、またチェーン部材（６′）がウ
   ェブ（14）によって、それぞれそれらの上縁において連
   結されていることを特徴とする請求項１ないし３のいず
   れか一項に記載の搬送装置。
5. 【請求項５】２つの向き合ったチェーン部材（５′），
   （６′）とウェブ（13）または（14）がＵ形断面の一体
   型チェーン部材部分を形成していることを特徴とする請
   求項４記載の搬送装置。
6. 【請求項６】車輪（11）に面している内側チェーン部材
   （５″），（６″）が、チェーンの長さ方向中心面に向
   いた上縁部において、湾曲部分（15），（16）を有する
   ことを特徴とする請求項１ないし３のいずれか一項に記
   載の搬送装置。
7. 【請求項７】チェーン案内レール（３）が、アングル状
   の断面をもって構成され、垂直脚部分（3a）が車輪（1
   1）から遠い方の搬送チェーン（1,1′）の外側の近辺に
   おいて、それと平行に配置され、その水平脚部分（3b）
   が支持体（４）と連結され、垂直脚（3a）がチェーン部
   材（５），（６）の上縁（5a），（5b），（6a），（6
   b）の下方に延びることを特徴とする請求項１記載の搬
   送装置。