JP2639558B2 - 塩化ビニル系重合体の製造法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造法

Info

Publication number
JP2639558B2
JP2639558B2 JP10614588A JP10614588A JP2639558B2 JP 2639558 B2 JP2639558 B2 JP 2639558B2 JP 10614588 A JP10614588 A JP 10614588A JP 10614588 A JP10614588 A JP 10614588A JP 2639558 B2 JP2639558 B2 JP 2639558B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymerization
vinyl chloride
scale
monomer
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP10614588A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01275611A (ja
Inventor
靖道 石井
欽一 奥村
光男 安田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP10614588A priority Critical patent/JP2639558B2/ja
Publication of JPH01275611A publication Critical patent/JPH01275611A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2639558B2 publication Critical patent/JP2639558B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は塩化ビニル系重合体の製造法に関し、さらに
詳しくは、重合器内壁およびその他単量体が接触する部
分にスケールが付着するのを防止するための塩化ビニル
系重合体の製造法に関する。
(従来の技術) 従来、塩化ビニル系重合体を水性媒体中においてまた
は塊状にて重合するに際して、重合器内壁等にスケール
が付着するのを防止するために、重合器内部表面に薬剤
を塗布する方法が多種提案されている。その塗布剤とし
て例えばシクロペンタジエン系重合体とフェノール化合
物との反応生成物(特公昭60-59247号)、シクロペンタ
ジエン系単量体とフェノール化合物との反応生成物(特
開昭60-71614号)、直鎖または分岐鎖の多芳香族アミン
(特公昭60-54323号)などが開示されているが、これら
塗布剤を使用しても20〜70バッチの重合を繰返し行うと
重合器の内壁等にスケールが付着するため、重合器の除
熱能力が低下したり、重合中に剥離したスケールが製品
中に混入しこれがフィッシュアイの原因となるなどして
製品の品質を低下させるなどの問題があった。また、直
鎖または分岐鎖の多芳香族アミンからなる塗布剤には、
スケール付着防止の持続効果が不十分であるばかりでな
く、これらが重合系内に塩化ビニルなどの単量体あたり
わずか数ppm残留しただけでも重合速度が遅延したり、
フィッシュアイが増加するなどの欠点があった。
一方、近年リフラックス・コンデンサーを使用して重
合反応熱を除去する塩化ビニル系重合体の製造法が工業
的規模で採用されるようになったのに伴い、コンデンサ
ーへのスケール付着防止性の優れた塗布剤の開発が切望
されている。すなわち、コンデンサーは伝熱管などの構
造が複雑であり、一度スケールが付着するとその除去作
業に多大の労力と時間を要するため、従来公知とされて
いる塗布剤のスケール付着防止の持続効果ではかならず
しも十分ではなかったのである。また、コンデンサーの
伝熱面積が大きいため塗布に要する塗布剤量が増加する
ばかりでなく、水洗などによりコンデンサー内部から塗
布剤を完全に除去することは実質的に不可能であるため
に、重合系内に残留しても製品の品質低下を招かずに、
しかもスケール防止の持続効果の優れた塗布剤を開発す
ることはきわめて重要な技術課題とされるのである。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、重合体粒子の粗粒化およびフィッシ
ュアイの増加など品質の低下を招かず、かつスケール防
止の持続効果の優れた塗布剤を塗布することにより、重
合器の内壁やリフラックス・コンデンサー等へのスケー
ル付着防止性の改善された塩化ビニル系重合体の製造法
を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明のかかる目的は、塩化ビニル単量体または塩化
ビニルと共重合し得る単量体と塩化ビニル単量体との混
合物を水性媒体中において、または塊状にて重合するに
際し、シクロペンタジエン系化合物すなわちシクロペン
タジエン系単量体または油状あるいはワックス状のシク
ロペンタジエン系重合体(A)、フェノール化合物
(B)および芳香族アミン化合物(C)を反応させて得
られる反応生成物を予め重合器の内壁およびその他単量
体が接触する部分に塗布することによって達成される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるスケール付着防止のための塗布剤の原
料として用いられるシクロペンタジエン系単量体はシク
ロペンタジエンやメチル置換、エチル置換などの低級ア
ルキル置換シクロペンタジエン、およびこれらの二量
体、三量体、共二量体、ならびにシクロペンタジエンや
上記の低級アルキル置換シクロペンタジエンとエチレ
ン、プロピレン、ブテン、ペンテン、スチレン、α−メ
チルスチレンなどのモノオレフィン、1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、1,3−ペンタジエンなどの共役ジエ
ン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸エス
テル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、アク
ロレイン、アリルアルコールなどの極性基を有するビニ
ル単量体とのディールス・アルダー付加物などから選択
される。
また油状またはワックス状のシクロペンタジエン系重
合体は、ベンゼン、トルエン、キシレンなどのごとき不
活性溶剤の存在もしくは不存在下にシクロペンタジエン
系単量体または該単量体と共単量体との混合物を熱重合
する方法(例えば特開昭53-98383号)またはカチオン重
合する方法など公知の方法によって得ることができる。
上記の共単量体は、エチレン、プロピレン、ブテン、ペ
ンテン、スチレン、α−メチルスチレンなどのモノオレ
フィン、1,3ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエ
ンなどの共役ジエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アク
リロニトリル、アクロレイン、アリルアルコールなどの
極性基を有するビニル単量体、フェノール、クレゾー
ル、オキシスチレンなどのフェノール類から選択され
る。油状重合体は通常25℃における粘度が50〜50,000セ
ンチポイズ、好ましくは300〜30,000センチポイズのも
のであり、ワックス状重合体は融点140℃以下、好まし
くは100℃以下のものである。この重合体の代わりに樹
脂状重合体を用いると、塗布剤として用いたときの塗膜
と重合器内壁面などとの密着性が劣るのでスケール防止
の持続効果が低下する。
本発明における塗布剤の原料として用いられるフェノ
ール化合物の代表例は下記のような構造式(I)で表わ
される化合物である。
構造式(I): 上式においてR1は−H,−OH,−CHO,−COOH,−NO2, ハロゲンまたは炭素原子1〜9個を有するアルキル基を
表わし、R2は−H,−OH,ハロゲンまたは炭素原子1〜9
個を有するアルキル基を表わす。
このような化合物としては、フェノール、カテコー
ル、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、ヒ
ドロキシヒドロキノン、フロログリシノール、(o,m,p
−)ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチル酸、4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、(o,
m,p−)ニトロフェノール、4,4′−ジヒドロキシフェニ
ルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン(別名ビスフェノールA)、(o,m,p−)クロロフ
ェノール、(o,m,p−)ブロモフェノール、(o,m,p−)
クレゾール、p−t−ブチルフェノール、4−t−ブチ
ルカテコールなどが例示される。多価フェノールを用い
た場合にはスケール付着防止効果が特に顕著であるが、
これは水酸基の数の違いによって重合禁止効果あるいは
重合器等の内部表面に形成される塗膜の親水効果に差違
があるためと考えられる。
また、本発明における塗布剤の原料として用いられる
芳香族アミン化合物の代表例は、下記のような構造式
(II)または(III)で表わされる化合物である。
構造式(II): 構造式(III): 上記の構造式(II)において、R3は−H、−NH2、−N
HR1′、−NR1′R2′−CHO、−COOH、−NO2、−OH、−S
H、ハロゲン、炭素原子1〜5個を有するアルキル基ま
たはアルコオキシ基を表わし、R4及びR5は−H、−N
H2、−NHR1′、−NR1′R2′−OH、ハロゲンまたは炭素
原子1〜5個を有するアルキル基を表わす。またR1′、
R2′は炭素原子1〜5個を有するアルキル基を表わす。
このような化合物としては、アニリン、(o,m,p−)
フェニレンジアミン、(o,m,p−)アミノベンズアルデ
ヒド、(o,m,p−)アミノ安息香酸、(o,m,p−)ニトロ
アニリン、(o,m,p−)アミノフェノール、(o,m,p−)
トルイジン、2−アミノベンゼンチオール、(o,m,p
−)クロロアニリン、2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジ
アミノクロロベンゼン、(o,m,p−)メトキシアニリ
ン、4−メトキシ−o−フェニレンジアミン、4−クロ
ロ−o−フェニレンジアミン、2′−アミノ−4−クロ
ロフェノール、1,3,5−トリアミノベンゼン、N,N−ジメ
チル−p−フェニレンジアミン、2−メチル−1,3−フ
ェニレンジアミン、3,5−ジアミノ安息香酸、4−ニト
ロ−o−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノー
ルなどが例示される。
また、前記構造式(III)において、R6は−NH−、−
N=N−、−O−、−CO−、−CONH−または−CH2−を
表わし、R7、R8およびR9はそれぞれ−H、−NH2、−NHR
1′、−NR1′R2′−OH、ハロゲンまたは炭素原子1〜5
個のアルキル基もしくはアルコオキシ基を表わす。この
ような化合物としては、4−アミノジフェニルアミン、
4,4′−ジアミノジフェニルアミン、4−アミノ−3′
−メトキシジフェニルアミン、4−アミノ−4′−ヒド
ロキシジフェニルアミン、p−アミノアゾベンゼン、2,
4−ジアミノアゾベンゼン、4−アミノジフェニルエー
テル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2−アミ
ノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、
4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−
3,3′−ジエチルジフェニルメタン、3,3′−ジクロロ−
4,4′−ジアミノジフェニルメタンなどが例示される。
脂肪族アミン化合物を用いると、反応生成物を塗布液と
してアルカリ金属水酸化物の水溶液または極性溶剤の溶
液に調製する際の溶解性が劣り、スケールの付着を防止
することができないので好ましくない。
本発明において塗布剤として用いられるシクロペンダ
ジエン系化合物(A)とフェノール化合物(B)と芳香
族アミン化合物(C)との反応生成物の製造方法として
は、酸性触媒の存在下に(A)、(B)および(C)の
各々の少なくとも1種以上を同時に反応させるか、
(A)、(B)および(C)のうちの二成分の各々の少
なくとも1種以上で反応を開始させた後、残りの一成分
の少なくとも1種以上を一括または分割して仕込み、10
0〜400℃好ましくは150〜300℃の温度で5分〜10時間に
わたって反応せしめる方法が代表的である。ここで用い
られる酸性触媒としては、塩酸、硫酸、燐酸などの鉱
酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、
酸、蟻酸などの有機酸および塩化アルミニウム、塩化第
二鉄、塩化第一錫、三弗化ほう素、三臭化ほう素などの
ルイス酸が例示される。また酸性触媒の量は反応温度、
前記した原料(A)、(B)および(C)の仕込み比
率、所望の反応時間によっても異なるが、通常、フェノ
ール化合物1モルあたり0.001〜1モルの範囲である。
本発明において、スケール付着防止のための塗布剤と
して特に有効な反応生成物は、シクロペンタジエン系化
合物(A)、フェノール化合物(B)および芳香族アミ
ン化合物(C)を原料とし、(A)、(B)および
(C)の全量に対する(A)の仕込み割合が20〜80モル
%、好ましくは30〜60モル%であり、かつ(B)の
(C)に対する仕込みモル比が1〜10、好ましくは1〜
5となるように仕込み反応させることにより得られる。
前記したシクロペンタジエン系化合物(A)の仕込み
割合が20モル%未満であると、塗布剤として使用した際
の塗膜の密着性、耐水性が劣るためスケール防止の持続
効果が低下するばかりでなく、相対的にフェノール化合
物、芳香族アミン化合物の仕込み割合が増加し重合の禁
止効果が強すぎるため、重合速度の遅延や得られる重合
体粒子の品質の低下を招く。また、(A)の仕込み割合
が80モル%を超えると重合禁止効果が不十分であり、重
合器の内壁面などでのスケールの形成を防止できない。
前記したフェノール化合物(B)の芳香族アミン化合
物(C)に対する仕込みモル比が1未満であると、得ら
れる反応生成物中の水酸基の数が減少し塗膜の親水効果
が低下することにより、塩化ビニルなどの単量体が重合
器の内壁面などと接触し、そこで重合が行われるためと
考えられるが、スケールが増加する。また、反応生成物
を製造する際の収率が低下したり、反応生成物の塗布剤
溶液を調製する際の溶解性が劣りスケール防止効果が低
下するという不都合がある。さらにこの場合には、芳香
族アミン化合物の占める比率が相対的に大きいため、ア
ミノ基による重合禁止効果が強すぎて重合速度の遅延や
品質の低下などの悪影響が生じる。すなわち、水酸基や
アミノ基は塩化ビニル系単量体に対する重合禁止効果が
優れており、とりわけアミノ基は強い禁止効果を有する
のである。一方、前記(B)の(C)に対する仕込みモ
ル比が10を超えるとスケール防止効果が低下してくる。
すなわち、前記した三成分の原料を特定の割合で反応
させることにより、シクロペンタジエン系化合物が有す
る塗膜の密着効果、フェノール化合物が有する塗膜の親
水効果、重合禁止効果、および芳香族アミン化合物の強
い重合禁止効果が調和し、スケール防止のための塗布剤
として使用したときに製品の品質の低下を招かずにスケ
ール付着防止効果およびその優れた持続効果を発揮する
のである。
本発明による反応生成物の製造方法によれば、得られ
る反応生成物の分子量および軟化点は、前記した三成分
の原料の仕込み割合、反応温度、反応時間、触媒量によ
って変化し、通常、分子量は約200〜3000、軟化点は約5
0〜250℃の範囲である。
このようにして得られた反応生成物は、通常、これを
苛性ソーダなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、また
はメタノール、アセトンなどの極性溶剤の溶液としてス
プレーあるいはハケ塗りなどの公知の方法で重合器の内
壁およびその他撹拌機、バッフル、リフラックス・コン
デンサーなど単量体が接触する部分に塗膜を形成させ
る。塗布量は従来の塗布剤を使用する場合と同程度でよ
く、一般には固形分で0.001〜20g/m2、好ましくは0.1〜
10g/m2である。また、塗布後必要に応じて塗布後の当該
表面を加熱乾燥することもできるし簡単な水洗を行って
もよい。
このようにして内部表面に塗膜を形成させた重合器を
用いて塩化ビニル系重合体の製造が行われるが、本発明
による方法は水性媒体中での重合、すなわち懸濁重合、
乳化重合、微細懸濁重合にも、また塊状重合にも適用で
きる。
本発明において塩化ビニル単量体と共重合し得る単量
体としては、例えば酢酸ビニルなどのアルキルビニルエ
ステル、セチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエ
ーテル、エチレンまたはプロピレンなどのα−モノオレ
フィン類、アクリル酸メチル,メタクリル酸メチルなど
のアクリル酸アルキルエステル類が例示されるが、これ
らに限定されない。
また本発明において使用される懸濁剤、乳化剤、重合
開始剤は、通常の塩化ビニルの懸濁重合又は乳化重合に
おいて使用されるものである。懸濁剤としては例えばポ
リビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物、
メチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロー
スなどのセルロース誘導体、無水マレイン酸−酢酸ビニ
ル共重合体などの合成高分子物質等が例示される。ま
た、乳化剤としては、高級脂肪酸のソルビタンエステル
またはグリセリンエステル、およびこれらのポリオキシ
エチレン付加物などのノニオン性界面活性剤,ラウリル
硫酸ナトリウム,ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリ
ウムなどのアニオン性界面活性剤などが例示される。重
合開始剤としては例えばジ−2−エチルヘキシルパーオ
キシジカーボネート,ジエトキシエチルパーオキシジカ
ーボネート,α−クミルパーオキシネオデカネート,t−
ブチルパーオキシネオデカネート,t−ブチルパーオキシ
ピバレート,3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサ
イドおよびアセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオ
キサイドなどのような有機過酸化物ならびにα,α′−
アゾビスイソブチロニトリルおよびα,α′−アゾビス
−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物の一
種または二種以上の混合物が挙げられる。
また、所望に応じてメルカプトアルカノール、チオグ
リコール酸アルキルエステルなどの連鎖移動剤、ケン化
度20〜50モル%のポリビニルアルコール類などの油溶性
懸濁助剤、PH調整剤および重合禁止剤などを使用するこ
ともできる。重合は通常35〜80℃の温度で撹はん下に行
われ、各成分の仕込み量および仕込み部数などは、従来
塩化ビニル系の重合で行なわれている慣用の条件でよ
く、特に限定されるものではない。
(発明の効果) かくして本発明によれば、従来技術に比較してスケー
ルの付着防止を効果的にしかもその効果を長時間持続す
ることができるが、加えて重合速度を遅延させたり、あ
るいは製品の粒径分布、フィッシュアイなどを悪化させ
るなどの悪影響もないので極めて有用である。
(実施例) 以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
る。なお、実施例、比較例及び参考例中の部及び%はと
くに断りのないかぎり重合基準である。また、各実施例
で示した塩化ビニル系重合体の物性値は次の方法により
測定した。
(1)フィッシュアイ 塩化ビニル系重合体100gにジオクチルフタレート45
g、ステアリン酸カドミウム2g、ステアリン酸バリウム1
g、およびグリーントナー1gを加えて混合した後、145℃
の6インチロールで6分間混練して厚さ0.4mmのシート
に引出し、そのシートの表面100cm2中に観察される透明
粒子の数をもって示した。
(2)平均粒径 タイラーメッシュ基準の金網を使用した篩分析によ
り、50%通過径として示した。
(3)粗粒分 タイラーメッシュ基準の金網を使用した篩分析によ
り、60メッシュの金網に残留する割合をもって示した。
(4)多孔性 米国アミンコ社製の水銀圧入式ポロシメーター(5-71
21B型)を使用し、常圧から14000psiまでの加圧の間に
粉粒状塩化ビニル系重合体1gあたり圧入された水銀の容
量で示した。
(5)可塑剤吸収性 東洋精機製作所製のラボプラストミル(P-600型)を
使用し、86℃に保った容器内に塩化ビニル系重合体400
g、ポリエステル系高分子可塑剤PN-250(アデカ・アー
ガス化学社製)240gを投入し、60回転で撹拌しながらト
ルクを記録し、混合トルクが低下し安定するまでの時間
で示した。
参考例1(比較例:反応生成物No.1) 内容積3lの四口フラスコに25℃における粘度が約10,0
00センチポイズで平均分子量が約270の油状のシクロペ
ンタジエン系重合体(ジシクロペンタジエン50%と1,3
−ペンタジエン50%との熱共重合体)を300g(約1.1モ
ル)、ピロガロール300g(2.4モル)およびp−トルエ
ンスルホン酸0.6g(0.0035モル)を仕込み、窒素雰囲気
下に160℃の温度で2時間反応を行った。
反応終了後100℃以下に冷却し、次いで80℃の水2lを
添加し水洗後、上澄み液を分離して未反応物を除去する
操作を、上澄み液のpHが7になるまで繰返し行った。
引続き取した内容物を75mmHgの減圧下に80℃で5時
間乾燥した。その結果、濃紫色の樹脂状の反応生成物N
o.1が得られた。
参考例2(比較例:反応生成物No.2) 内容積3lの四口フラスコにレゾルシノール165g(1.5
モル)、m−フェニレンジアミン162g(1.5モル)およ
び35%塩酸15.6g(0.15モル)を仕込み、窒素雰囲気下
に315℃の温度で30分間反応を行った。次いで参考例1
と同じ操作で水洗,乾燥することより、黒褐色の樹脂状
の反応生成物No.2が得られた。
参考例3(本発明:反応生成物No.3) 内容積3lの四口フラスコにジシクロペンタジエン120g
(0.9モル)、シクロペンタジエンの三量体60g(0.3モ
ル)、ピロガロール151g(1.2モル)、m−フェニレン
ジアミン65g(0.6モル)および35%塩酸10.4g(0.1モ
ル)を仕込み、窒素雰囲気下に250℃の温度に昇温し、
この温度を90分間保持して反応を行った。次いで参考例
1と同じ操作で水洗,乾燥することにより、赤褐色の樹
脂状の反応生成物No.3が得られた。なお、反応生成物の
収量は約350gであり、軟化点(JIS K2531による)は10
2.5℃であった。また平均分子量(GPCによる)は約500
であった。
参考例4(本発明:反応生成物No.4〜12) 内容積3lの四口フラスコに第1表に示したシクロペン
タジエン系化合物(A),フェノール化合物(B),芳
香族アミン化合物(C)および燐酸9.8g(0.10モル)を
仕込み、参考例3と同じ操作で反応、水洗,乾燥を行う
ことにより、反応生成物No.4〜12が得られた。
参考例5(反応生成物No.13〜18) 内容積3lの四口フラスコに第2表に示したモル数のジ
シクロペンタジエン、レゾルシノール、m−フェニレン
ジアミン、および燐酸9.8g(0.10モル)を仕込み、参考
例3と同じ操作で反応、水洗,乾燥を行うことにより、
反応生成物No.13〜18が得られた。
実施例1 参考例1〜4で得られた反応生成物No.1〜12をメタノ
ールに溶解し、固形分濃度4%の塗布液を調製した。続
いてこの塗布液を電解研磨したステンレス製のテストピ
ースに5g/m2の塗布量(固形分換算、以下同じ)となる
ように塗布し、80℃で10分間乾燥した。このテストピー
スを内容積950lのステンレス製重合器の液相部および気
相部に装着したのち、重合器を脱気し、脱イオン水350k
g、塩化ビニル単量体250kg、部分ケン化ポリビニルアル
コール140g、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカー
ボネート30gおよびt−ブチルパーオキシピバレート50g
を仕込んで62℃で5時間重合を行った。
重合終了後、テストピースに付着したスケールの厚み
を測定し再び重合缶に装着したのち、前記と同様の操作
により合計5バッチの重合を繰返し行った。その結果、
スケールの厚さは第3表に示すとおりであった。
第3表から明らかであるように、本発明の方法によれ
ばスケール付着防止効果およびその持続性に優れること
がわかる。
実施例2 参考例5で得られた反応生成物No.13〜18を0.5%の苛
性ソーダ水溶液に80℃で溶解させ、固形分濃度1.5%の
塗布液を調製した。続いて内容積950lのステンレス製重
合器の内壁およびその他単量体が接触する部分に噴霧器
で1g/m2の塗布量となるように前記の塗布液を塗布し
た。
次に重合器を脱気した後、脱イオン水350kg、塩化ビ
ニル単量体250kg、部分ケン化ポリビニルアルコール70
g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース40g、ジ−2−
エチルヘキシルパーオキシジカーボネート120gを仕込
み、58℃の温度で5時間重合を行った。重合が終了した
後、未反応の単量体を回収して内容物を脱水乾燥した。
このようにして得られた重合体粒子の物性値および重
合器内のスケール付着量は、第4表に示すとおりであっ
た。
第4表から、本発明の方法によればスケール防止効果
が大きく製品の品質に悪影響を及ぼさないことが明らか
である。
実施例3 反応生成物No.1(参考例1)、No.2(参考例2)、N
o.3(参考例3)およびNo.14(参考例5)を実施例2と
同じ操作により苛性ソーダ水溶液に溶解させ、塗布液を
調製した。
次に内容積35m2のステンレス製重合器の内壁およびそ
の他単量体が接触する部分に噴霧器で0.5g/m2の塗布量
となるように前記の塗布液を塗布し、さらに脱イオン水
で塗布面を洗浄し、洗浄水を重合系外に排出した。
続いて重合器を脱気しながら脱イオン水16トンを仕込
んだのち、塩化ビニル単量体13.5トン、部分ケン化ポリ
ビニルアルコール7.5kg、ジ−2−エチルヘキシルパー
オキシジカーボネート3.5kgを同時に仕込み、57.5℃の
温度で8時間重合を行った。重合が終了し内容物を排出
した後、重合器内を250kg/m2の高圧水で15分間洗浄し、
次いで再び前記の塗布剤を塗布したのち、引続き同様の
操作で重合を繰返し行った。
このようにして行った重合バッチ数と重合器ジャケッ
トの総括伝熱係数および得られた重合体粒子のフィッシ
ュアイは、第5表に示すとおりであった。
第5表より、本発明の方法によれば、繰返し重合を行
っても長期間にわたって重合器ジャケットの除熱能力を
維持することができ、またフィッシュアイが増加するこ
ともできないので高能率で高品質の製品を製造すること
ができる。
実施例4 内容積20m3のステンレス製重合器および該重合器の気
相部に付設された伝熱面積18m2を有する多管式リフラッ
クス・コンデンサーの内部表面に、参考例3で得られた
反応生成物No.3の固形分濃度2%の苛性ソーダ水溶液
(塗布液)を1.5g/m2の塗布量となるように塗布した
後、重合器を脱気した。
次に脱イオン水9000kg、塩化ビニル単量体7000kg、酢
酸ビニル単量体500kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム40kg、ラウリルアルコール80kg、3,5,5−トリ
メチルヘキサノイルパーオキサイド2kg、およびジ−2
−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート2kgの混合
物を1600psiの条件下で加圧式ホモジナイザーを通過さ
せることにより均質化し重合器に仕込んで60℃に昇温し
た。
引続き重合器ジャケットおよびリフラックス・コンデ
ンサーで重合反応熱を除去しながらこの温度を保持し7.
5時間重合を行った。
重合が終了した後、生成重合体ラテックスを排出し重
合器内を250kg/cm2の高圧水で15分間洗浄したのち、再
び前記塗布液を塗布し、以下同様の操作で重合を繰返し
行った。
このようにして50バッチの重合を行った後、重合器お
よびリフラックス・コンデンサー内部のスケールの付着
状況を観察したが、スケールは皆無であり粒径などの製
品の品質への悪影響は全く認められなかった。
比較例1 実施例4において、スケール防止のための塗布液を用
いない以外はすべて同様の操作により重合を行った。
重合5バッチ目でスケールの付着によりリフラックス
・コンデンサーの除熱能力(総括伝熱係数)が27%低下
し、また重合器内に360g/m2のスケールが付着したた
め、人手によるスケールの除去作業を行った。
比較例2 実施例4において、スケール防止のための塗布液とし
て参考例2で得られた反応生成物No.2を用いた以外はす
べて同様の操作により重合を行った。重合が終了した
後、重合器内のラテックスを排出しようとしたところ1
〜10cmの粗大凝集重合体が過器や配管類に詰まり、排
出操作が著しく困難であった。重合1バッチで重合器内
壁に780g/m2のスケールが付着し、また局部的に厚さ5
〜10mmの重合体のクリーム状の沈着物が認められた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル単量体および塩化ビニルと共重
    合し得る単量体と塩化ビニル単量体との混合物を水性媒
    体中において、または塊状にて重合するに際し、シクロ
    ペンタジエン系単量体または油状あるいはワックス状の
    シクロペンタジエン系重合体(A)、フェノール化合物
    (B)および芳香族アミン化合物(C)を反応させて得
    られる反応生成物を予め重合器の内壁およびその他単量
    体が接触する部分に塗布することを特徴とする塩化ビニ
    ル系重合体の製造法。
JP10614588A 1988-04-28 1988-04-28 塩化ビニル系重合体の製造法 Expired - Fee Related JP2639558B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10614588A JP2639558B2 (ja) 1988-04-28 1988-04-28 塩化ビニル系重合体の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10614588A JP2639558B2 (ja) 1988-04-28 1988-04-28 塩化ビニル系重合体の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01275611A JPH01275611A (ja) 1989-11-06
JP2639558B2 true JP2639558B2 (ja) 1997-08-13

Family

ID=14426188

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10614588A Expired - Fee Related JP2639558B2 (ja) 1988-04-28 1988-04-28 塩化ビニル系重合体の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2639558B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6733875B2 (ja) 2014-09-04 2020-08-05 株式会社クラレ アニオン重合体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01275611A (ja) 1989-11-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2639558B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造法
CA2138182C (en) Polymerization process of vinyl chloride
US4555555A (en) Process for polymerizing vinyl chloride with a scale prevention compound coated on a reaction surface
US6288177B1 (en) Process for producing a vinyl chloride polymer in the presence of a chelating agent
JP2831412B2 (ja) 塩化ビニルの重合方法
JP3004482B2 (ja) 重合体スケール付着防止剤、重合体スケールの付着を防止する重合器及びそれを使用する重合体製造方法
JPH02235912A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP2678703B2 (ja) 重合体スケール付着防止剤及びそれを利用する重合体の製造方法
JP2000063403A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP3448194B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
EP0760378A1 (en) Polymer scale deposition preventive agent
US6303712B1 (en) Process for producing vinyl chloride polymer
JP6916400B1 (ja) 付加縮合物、その製造方法及びその利用、重合反応器、並びに重合体の製造方法
US5597878A (en) Process of producing vinyl chloride polymer
JP2821697B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造法
JP2702232B2 (ja) ビニル系重合体スケールの防止剤およびそれを用いるビニル系重合体スケールの防止法
JP2000128902A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPH06107708A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP3515650B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP3110600B2 (ja) 重合体スケール付着防止剤、及びそれを利用する重合体の製造方法
JP3380370B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP3319166B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP3110603B2 (ja) 重合体スケール付着防止剤、及びそれを使用する重合体の製造方法
JPH1180214A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPS62236804A (ja) ビニル系単量体の重合法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees