JP3110603B2 - 重合体スケール付着防止剤、及びそれを使用する重合体の製造方法 - Google Patents

重合体スケール付着防止剤、及びそれを使用する重合体の製造方法

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JP3110603B2
JP3110603B2 JP05351845A JP35184593A JP3110603B2 JP 3110603 B2 JP3110603 B2 JP 3110603B2 JP 05351845 A JP05351845 A JP 05351845A JP 35184593 A JP35184593 A JP 35184593A JP 3110603 B2 JP3110603 B2 JP 3110603B2
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/002Scale prevention in a polymerisation reactor or its auxiliary parts
    • C08F2/004Scale prevention in a polymerisation reactor or its auxiliary parts by a prior coating on the reactor walls

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン性不飽和二重
結合を有する単量体の重合用の重合体スケール付着防止
剤、及び該防止剤を使用する重合体の製造方法に関す
る。
【従来の技術】
【0002】従来、エチレン性不飽和二重結合を有する
単量体の重合方法としては、懸濁重合法、乳化重合法、
溶液重合法、気相重合法、塊状重合法等が知られてい
る。これらの重合法においては、いずれの場合にも重合
器内壁、攪拌装置等の単量体が接触する部位に重合体ス
ケールの付着が起こり易い。
【0003】重合体スケールが付着すると、重合体の収
率、重合器冷却能力等が低下するほか、この重合体スケ
ールが剥離して重合体中に混入する結果、かかる重合体
を成形することにより得られる成形物の品位が低下する
という不利がもたらされる。また、付着した重合体スケ
ールを除去するためには、過大な労力と時間を要するの
みならず、この重合体スケール中には未反応の単量体が
含まれているので、近年きわめて重大な問題となってい
る単量体による人体障害の危険性がある。
【0004】従来からこのような重合器内壁等への重合
体スケールの付着防止に関して、例えば塩化ビニルの懸
濁重合において一部実施されているように、アミン化合
物、キノン化合物、アルデヒド化合物等の極性有機化合
物からなる重合体スケール付着防止剤を重合器内壁に塗
布し、塗膜を形成する方法、及びそれらの化合物を懸濁
重合を行う水性媒体中に添加する方法が公知である(特
公昭45−30343 号)。
【0005】しかし、これらの方法は5〜6バッチ程度
までの重合の繰り返しには重合体スケール付着防止効果
を示すが、重合バッチ数がそれよりも多くなると防止効
果がなくなってくる(持続性に劣る)という不利があ
る。この点は、特に重合において水溶性触媒を使用した
場合に影響が著しく、工業的には満足できるものではな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この不利を克服すべ
く、例えば、芳香族アミン化合物と芳香族ニトロ化合物
との縮合生成物(特公昭60-30681号公報)、フェノール
性化合物と芳香族アルデヒドとの反応生成物(特開昭57
-192414 号公報)、多価フェノールと脂肪族アルデヒド
との反応生成物(特公表昭57-502169 号公報)、1-ナフ
トールとホルムアルデヒドとの反応生成物(特公平01-3
1523号公報)等を有効成分とする重合体スケール付着防
止剤を重合器内壁に塗布する方法が提案されている。こ
れらの重合体スケール付着防止剤を、それぞれ重合器内
壁面等の単量体が接触する部分に塗布して塗膜を形成す
ると、重合を 100〜200 バッチ程度繰り返し行っても、
重合器内液相部への重合体スケール付着は生じない。ま
た、前記水溶性触媒を使用した場合においても同様に液
相部での重合体スケール付着は防止される。
【0007】しかし、上記の芳香族アミン化合物と芳香
族ニトロ化合物との縮合生成物等を有効成分とする重合
体スケール付着防止剤の塗膜を形成しても、重合器内の
上層部に位置する気相と液相との界面付近には重合体ス
ケールが付着するという欠点がある。気相と液相との界
面付近に一旦重合体スケールが付着すると、重合を繰り
返していくにしたがって付着した重合体スケールが徐々
に成長していき、ついには剥離して、重合体中に混入す
ることがある。このように重合体スケールが重合体に混
入すると、その重合体をシート等の成形物に加工した場
合、その成形物に多くのフィッシュアイが発生して成形
物の品質が著しく低下してしまうことになる。
【0008】また、重合により得られる重合体をシート
等に成形した場合、得られる成形物には高い白色度が求
められる。即ち、重合体を着色剤を何ら添加せずにシー
ト等に成形しても、得られる成形物は多少着色される
が、この着色は初期着色と称され、できる限り少ないこ
とが望まれる。ところが、上記の芳香族アミン化合物と
芳香族ニトロ化合物との縮合生成物等を有効成分とする
重合体スケール付着防止剤の塗膜を形成した場合、該塗
膜が剥離ないしは溶解して重合体に混入することがある
ため、成形物の白色度が低下、即ち初期着色性が悪化す
る。
【0009】本発明の課題は、エチレン性不飽和二重結
合を有する単量体を重合する際に、重合器内の液相部ば
かりでなく気相と液相との界面付近においても効果的に
重合体スケールの付着を防止することができる上、シー
ト等に成形した場合、フィッシュアイが極めて少なく、
かつ、初期着色性が良好である成形物が得られる重合体
を製造することができる重合体スケール付着防止剤、該
防止剤を利用する重合器及び重合体の製造方法を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を達
成するものとして、アミノ基を少なくとも2個有する芳
香族化合物(A-1) と芳香族テトラカルボン酸無水物(A-
2) との縮合生成物(A) と、水溶性高分子化合物(B-1)
及び無機コロイド(B-2) からなる群から選ばれる少なく
とも1種(B) とを含有するアルカリ性溶液からなる、エ
チレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合用の重合
体スケール付着防止剤を提供する。
【0011】更に、本発明は、エチレン性不飽和二重結
合を有する単量体の重合器内における重合による重合体
の製造方法であって、内壁面に、アミノ基を少なくとも
2個有する芳香族化合物(A-1) と芳香族テトラカルボン
酸無水物(A-2) との縮合生成物(A) と、水溶性高分子化
合物(B-1) 及び無機コロイド(B-2) からなる群から選ば
れる少なくとも1種(B) とを含有するアルカリ性溶液を
塗布し、乾燥して形成された塗膜を有する重合器内で前
記重合を行う工程を有し、これにより重合体スケールの
付着が防止される製造方法を提供する。
【0012】(A) 成分 本発明の重合体スケール付着防止剤は、(A) 成分とし
て、アミノ基を少なくとも2個有する芳香族化合物(A-
1) と芳香族テトラカルボン酸無水物(A-2) との縮合生
成物を含有する。(A-1) アミノ基を少なくとも2個有する芳香族化合物 アミノ基 (−NH2 ) を少なくとも2個含有する芳香族化
合物(A-1) は、例えば、下記のような一般式(1) 〜(11)
で表される化合物である。
【0013】
【化1】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、それぞ
れ-H、 -NH2 、-Cl 、 -OH、 -NO2 、 -COCH3 、-OC
H3 、 -N(CH3 ) 2 、-COOH 、 -SO3 H 又は炭素原子数
1〜3のアルキル基である。)
【0014】
【化2】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりである。複数のR2 は同一でも異なってもよく、
アミノ基を有する炭素原子数1〜10のアルキル基であ
る。)
【0015】
【化3】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりであり、nは1又は2の整数である。)
【0016】
【化4】 〔式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりであり、nも前記のとおりであり、Xは炭素原子
数1〜5のアルキレン基、-CH=CH- 、-N=N- 、-NH-、 -
N(CH3 )-、-CONH-、-P(=O)H-、 -SO2 - 、-O- 、-S- 、
-Si(R)2 -(ここで、R は炭素原子数1〜10のアルキル基
である。) 、又は式:
【0017】
【化5】 で表される基である。〕
【0018】
【化6】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりであり、nも前記のとおりである。)
【0019】
【化7】 (各式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記
のとおりであり、nも前記のとおりである。)
【0020】
【化8】 (各式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記
のとおりであり、nも前記のとおりである。)
【0021】
【化9】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりである。)
【0022】
【化10】 (各式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記
のとおりであり、nも前記のとおりである。)
【0023】
【化11】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりであり、nも前記のとおりである。)
【0024】
【化12】 (各式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記
のとおりであり、nも前記のとおりである。)
【0025】上記一般式(1) で表される化合物として
は、具体的には、o-, m-及びp-ジアミノベンゼン、3,4-
及び3,5-ジアミノ安息香酸、2,5-ジアミノベンゼンスル
ホン酸、3,4-ジアミノクロロベンゼン、3,4-ジアミノフ
ェノール、1,2-ジアミノ-4- ニトロベンゼン、2,4-ジア
ミノ-1- ニトロベンゼン、2,4-,2,5- 及び2,6-ジアミノ
トルエン、2,5-及び2,6-ジアミノ-m- キシレン、2,5-及
び2,6-ジアミノ-p- キシレン等が例示される。
【0026】上記一般式(2) で表される化合物として
は、具体的には、2,4-ビス (β- アミノ-t- ブチル) ト
ルエン、p-ビス(2- メチル-4- アミノペンチル) ベンゼ
ン、p-ビス(1,1- ジメチル-5- アミノペンチル) ベンゼ
ン等が例示される。
【0027】上記一般式(3) で表される化合物として
は、具体的には、4,4'- ジアミノ-3,3'-ビフェニルジオ
ール、3,3'- ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'
- ジメトキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4'- ジアミ
ノビフェニル等が例示される。
【0028】上記一般式(4) で表される化合物として
は、具体的には、2,4-ジアミノアゾベンゼン、4,4'- ジ
アミノジフェニルエーテル、4,4'- ジアミノジフェニル
アミン、4,4'- ジアミノジフェニルメタン、3,3'- 及び
4,4'- ジアミノジフェニルスルホン、4,4'- ジアミノベ
ンズアニリド、4,4'- ジアミノスチルベン、4,4'- ジア
ミノスチルベン-2,2'-ジスルホン酸、9,10- ビス(4- ア
ミノフェニル) アントラセン、4,4'- ジアミノジフェニ
ルサルファイド、4,4'- ジアミノジフェニルプロパン、
ビス(4- アミノフェニル) ジエチルシラン、ビス(4- ア
ミノフェニル) ホスフィンオキシド、ビス(4- アミノフ
ェニル)-N-メチルアミン等が例示される。
【0029】上記一般式(5) で表される化合物として
は、具体的には、1,5-及び1,8-ジアミノナフタレン等が
例示される。
【0030】上記一般式(6-1) 〜(6-2) で表される化合
物としては、具体的には、1,4-及び1,5-ジアミノアント
ラセン等が例示される。
【0031】上記一般式(7-1) 〜(7-3) で表される化合
物としては、具体的には、1,6-,1,8-,3,5-及び5,10- ジ
アミノピレン等が例示される。
【0032】上記一般式(8) で表される化合物として
は、具体的には、2,3-,3,4- 及び2,6-ジアミノピリジン
等が例示される。
【0033】上記一般式(9-1) 〜(9-2) で表される化合
物としては、具体的には、3,6-ジアミノアクリジン等が
例示される。
【0034】上記一般式(10)で表される化合物として
は、具体的には、1,2-,1,4- 及び2,6-ジアミノアントラ
キノン等が例示される。
【0035】上記一般式(11-1)〜(11-2)で表される化合
物としては、具体的には、2,3-及び2,7-ジアミノフルオ
レン等が例示される。
【0036】上記で例示した化合物の中で好ましいもの
は、3,5-ジアミノ安息香酸、2,5-ジアミノベンゼンスル
ホン酸、4,4'- ジアミノ-3,3'-ビフェニルジオール、4,
4'-ジアミノフェニルエーテル、4,4'- ジアミノジフェ
ニルアミン、4,4'- ジアミノジフェニルメタン、3,3'-
及び4,4'- ジアミノジフェニルスルホン、4,4'- ジアミ
ノベンズアニソド、4,4'- ジアミノスチルベン-2,2'-ジ
スルホン酸、4,4'- ジアミノジフェニルプロパン、2,6-
ジアミノピリジン、並びに2,7-ジアミノフルオレン、で
ある。
【0037】上記のアミノ基を少なくとも2個有する芳
香族化合物(A-1) は、1種単独で、又は2種以上の組み
合わせで使用される。
【0038】(A-2) 芳香族テトラカルボン酸無水物 芳香族テトラカルボン酸無水物(A-2) としては、例え
ば、ピロメリット酸無水物、2,2-ビス(3,4- ジカルボキ
シフェニル)プロパン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレン
テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4- ジカルボキシフ
ェニル)スルホン二酸無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物、3,4,9,10- ペリレンテトラカ
ルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン
酸二無水物、ビス(3,4- ジカルボキシフェニル)エーテ
ル二酸無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物、2,3,4,5-チオフェノンテトラカルボン酸二無
水物、2,2',6,6'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
等が挙げられる。
【0039】上記で例示した化合物の中で好ましいもの
は、ピロメリット酸無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラ
カルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボ
ン酸二無水物及び2,2',6,6'-ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物である。上記の芳香族テトラカルボン酸無水
物(A-2) は、1種単独で、又は2種以上の組み合わせで
使用される。
【0040】縮合反応 前記したアミノ基を少なくとも2個有する芳香族化合物
(A-1) と芳香族テトラカルボン酸無水物(A-2) との縮合
は、適当な有機溶媒系媒体中、通常、室温〜100 ℃で
0.5〜300 時間、好ましくは、室温〜50℃で1〜100 時
間反応させることにより行われる。
【0041】縮合反応の媒体としては、例えば、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−ブ
タノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル
−2−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、2
−メチル−2−ブタノール、2−ペンタノール等のアル
コール系溶媒;例えば、アセトン、ジオキサン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶
媒;例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、ア
セト酢酸メチル等のエステル系溶媒;例えば、4−メチ
ルジオキソラン、ジエチルエーテル、エチレングリコー
ルジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;例えば、塩化
メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチ
レン、パークロロエチレン等の塩化物系溶媒;例えば、
n−ヘプタン、n−ヘキサン等の炭化水素系溶媒;例え
ば、テトラヒドロフラン等のフラン類;例えば、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスル
ホキシド、ジメチルスルホン、アセトニトリル、N−メ
チルピロリドン等の非プロトン系溶媒;m−クレゾール
等の有機溶媒が例示される。これらは、単独でも2種以
上の混合溶媒としても使用することができる。
【0042】縮合生成物(A) の製造に使用するアミノ基
を少なくとも2個有する芳香族化合物(A-1) と芳香族テ
トラカルボン酸無水物(A-2) の割合は、使用する(A-1)
成分、(A-2) 成分及び溶媒の種類、反応温度、反応時間
等に影響されるが、(A-1) 成分1重量部当り、(A-2) 成
分を0.01〜5重量部とすることが好ましく、更に0.1〜
3重量部とすることが好ましい。芳香族テトラカルボン
酸無水物(A-2) が多すぎても少なすぎても、重合体スケ
ール付着防止剤として使用した場合の重合体スケール付
着防止効果が低下する。
【0043】後述の重合体スケール付着防止剤の調製に
は、上記の縮合反応終了後の縮合生成物(A) が含まれた
縮合反応液をそのまま使用してもよい。また、縮合生成
物(A) を該反応液から分離して使用してもよい。縮合生
成物(A) を該反応液から分離するには、生成した縮合生
成物(A) が析出している場合には、そのまま該縮合生成
物を濾別すればよく、また、生成した縮合生成物が溶媒
に溶解した溶液の状態にある場合には、例えば、該溶液
を水等の貧溶媒中に滴下して前記縮合生成物を析出さ
せ、析出した縮合生成物を濾別すればよい。
【0044】(B) 成分 本発明の重合体スケール付着防止剤には、上記の縮合生
成物(A) のほかに、(B) 成分として水溶性高分子化合物
(B-1) 及び無機コロイド(B-2) からなる群から選ばれる
少なくとも1種が含まれる。これらは、重合体スケール
付着防止効果を向上させる働きを有する。好ましくは、
(B-1) と(B-2) を併用する。これら(B-1) 成分及び(B-
2) 成分は、恐らく、縮合生成物と相互作用して、塗布
面の親水性を高めたり((B-1) 成分)、重合体スケール
付着防止剤の重合器内壁面等への付着を高めたり((B-
2) 成分)する作用があると推定される。
【0045】(B-1) 水溶性高分子化合物 水溶性高分子化合物(B-1) としては、例えば、ゼラチ
ン、カゼイン等のノニオン性高分子化合物;例えば、ポ
リアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、カルボキシメ
チルセルロース、アルギン酸等のアニオン性高分子化合
物;例えば、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミ
ド等のカチオン性含窒素高分子化合物;例えば、ポリビ
ニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース、ペクチン等のヒドロキシル基
含有高分子化合物等が例示される。
【0046】上記した水溶性高分子化合物(B-1) の中で
好ましいものは、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル
酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリド
ン及びペクチンである。
【0047】(B-1) 成分の添加量は、縮合生成物(A) 1
00重量部当たり、通常、1〜1000重量部であり、好まし
くは、5〜200 重量部である。上記の水溶性高分子化合
物(B-1) は、1種単独でも2種以上の組み合わせでも使
用可能である。
【0048】(B-2) 無機コロイド 無機コロイド(B-2) は、水を分散媒とする分散法や、凝
縮法により製造される粒子コロイドであり、コロイド粒
子の大きさは1〜500 mμである。無機コロイドとして
は、具体的には、アルミニウム、トリウム、チタン、ジ
ルコニウム、アンチモン、スズ、鉄等からなる群から選
ばれる金属の酸化物及び水酸化物のコロイド;タングス
テン酸、五酸化バナジウム、金及び銀のコロイド;ヨウ
化銀ゾル;例えば、セレン、イオウ、シリカ等のコロイ
ド等が例示される。これらの中で好ましいものは、アル
ミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ及び鉄からなる
群から選ばれる金属の酸化物及び水酸化物のコロイド、
並びにコロイドシリカである。
【0049】(B-2) 成分の添加量は、縮合生成物(A) 1
00重量部当たり、通常、1〜1000重量部であり、好まし
くは、5〜500 重量部である。上記の無機コロイド(B-
2) は、1種単独でも2種以上の組み合わせでも使用可
能である。
【0050】上述のように、(B) 成分としては、水溶性
高分子化合物(B-1) と無機コロイド(B-2) とを併用する
のが好ましいが、その場合、水溶性高分子化合物(B-1)
100重量部に対して無機コロイド(B-2) を5〜3000重量
部の範囲で使用するのが好ましく、更に、50〜1000重量
部の範囲で使用するのが好ましい。
【0051】重合体スケール付着防止剤の調製 本発明の重合体スケール付着防止剤は、上記した(A) 成
分と(B) 成分とを含有するアルカリ性溶液からなる。前
記重合体スケール付着防止剤を重合器内壁面などに塗布
し、乾燥して塗膜を形成することにより重合器内壁など
への重合体スケール付着を防止することができる。重合
体スケール付着防止剤は、例えば、(A) 成分と(B) 成分
に、下記の溶媒を添加して混合した後、得られた混合液
のpHをアルカリ性に調節することにより調製される。
【0052】本発明の重合体スケール付着防止剤はアル
カリ性であることから、溶媒に対する前記縮合生成物の
溶解性が向上する。従って、均一な溶液として重合体ス
ケール付着防止剤が得られる。その結果、本発明の重合
体スケール付着防止剤を重合器内壁面などに塗布する
際、均一に塗布することができるので、重合体スケール
付着防止効果が向上するものと推定される。本発明の重
合体スケール付着防止剤は、更に、pH 7.5〜13.5である
ことが好ましく、特に、pH 8.0〜12.5であることが好ま
しい。pHを調節するために使用するアルカリ性化合物と
しては、例えば、LiOH、NaOH、KOH 、Na2 CO3 、Na2 HP
O 4 等のアルカリ金属化合物;例えば、NH4 OH等のアン
モニウム化合物;例えば、エチレンジアミン、モノエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン化
合物が例示される。
【0053】重合体スケール付着防止剤を調製するため
の溶媒は、水;例えば、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−
1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、3
−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノー
ル、2−ペンタノール等のアルコール系溶媒;例えば、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン等のケトン系溶媒;例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル等のエ
ステル系溶媒;例えば、4−メチルジオキソラン、エチ
レングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;
フラン類;例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、アセトニトリル等の非プロトン系溶媒等が
例示される。これらは適宜単独で、又は2種以上の混合
溶媒として使用される。
【0054】溶媒の中で好ましいものは、水、及び水と
混和性を有する有機溶媒と水との混合溶媒である。水と
混和性を有する有機溶媒としては、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒;
例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶
媒;例えば、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶
媒が例示される。水と混和性を有する有機溶媒と水との
混合溶媒を使用する場合の有機溶媒の含有量は、引火、
爆発等の危険が少なく、毒性等の取り扱い上の安全に問
題がない量とするのが好ましく、具体的には、有機溶媒
が50重量%以下であることが好ましく、更に、30重量%
以下であることが好ましい。
【0055】重合体スケール付着防止剤中の縮合生成物
(A) の濃度は、後記の総塗布量が得られる限り特に制限
されないが、通常 0.001〜5重量%程度であり、好まし
くは0.01〜1重量%程度である。塗膜の形成
【0056】上記のようにして調製される重合体スケー
ル付着防止剤を用いて重合器内壁面に塗膜を形成するに
は、まず、重合体スケール付着防止剤を重合器内壁面に
塗布し、次いで、例えば室温から 100℃までの温度範囲
で充分に乾燥させた後、さらに必要に応じて水洗する。
また、重合器内壁面だけでなく、重合中に単量体が接触
する他の部位にも前記塗膜を形成することが好ましい。
具体的には、撹拌翼、撹拌軸、バッフル、コンデンサ、
ヘッダ、サーチコイル、ボルト、ナット等が挙げられ
る。
【0057】更に好ましくは、重合中に単量体が接触す
る部位以外であっても、重合体スケールが付着する恐れ
のある部位、例えば未反応単量体の回収系統の機器及び
配管の内面等には、前記塗膜を形成した方がよい。具体
的には、モノマー蒸留塔、コンデンサ、モノマー貯蔵タ
ンク、バルブ等の内面が挙げられる。
【0058】なお、重合体スケール付着防止剤を重合器
内壁面に塗布する方法は、特に限定されず、例えばハケ
塗り、スプレー塗布、重合体スケール付着防止剤で重合
器を満たした後に抜き出す方法等を始めとして、そのほ
か特開昭57−61001 号公報、同55−36288 号公報、特公
表昭56−501116号公報、同56−501117号公報、特開昭59
−11303 号公報等に記載の自動塗布方法を用いることも
できる。
【0059】また、重合体スケール付着防止剤が塗布さ
れたことにより、濡れた状態の表面を乾燥する方法も限
定されることはなく、例えば次のような方法を使用する
ことができる。すなわち、重合体スケール付着防止剤の
塗布後、適当に昇温した温風を塗布面に当てる方法、あ
るいは重合体スケール付着防止剤を塗布すべき重合器内
壁面及びその他の表面を予め、例えば30〜80℃に加熱し
ておき、その加熱した表面に重合体スケール付着防止剤
を直接塗布する方法等を使用することができる。そして
塗布面の乾燥後は、その塗布面を必要に応じて水洗す
る。
【0060】このようにして得られた塗膜は、乾燥後の
総塗布量が、通常、 0.001〜5g/m2 の範囲であり、
特に0.05〜2g/m2 の範囲であることが好ましい。以
上の塗布作業は、形成された塗膜が高い耐久性を有し、
重合体スケールの付着防止作用が持続するので、必ずし
も1バッチの重合ごとに行う必要はない。このため、生
産性が向上する。
【0061】重合 上記のようにして、重合器内壁、及び好ましくはその他
重合中に単量体が接触する部位等に塗布処理を施して塗
膜を形成した後、その重合器内で常法により重合を行
う。すなわち、エチレン性不飽和二重結合を有する単量
体及び重合開始剤(触媒)のほか、必要に応じて、水等
の重合媒体、懸濁剤、固体分散剤、ノニオン性及びアニ
オン性乳化剤等の分散剤等を仕込み、次いで、常法によ
り重合を行う。
【0062】本発明の方法を適用して重合を行うエチレ
ン性不飽和二重結合を有する単量体としては、例えば、
塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;例えば、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル
酸、メタクリル酸、並びにこれらのエステル及び塩;マ
レイン酸、フマル酸、並びにこれらのエステル及び無水
物;例えば、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等
のジエン系単量体;スチレン;アクリロニトリル;ハロ
ゲン化ビニリデン;ビニルエーテル等が挙げられる。こ
れらは1種単独で、又は2種以上の組み合わせで使用さ
れる。
【0063】また、本発明の方法が適用される重合の形
式は特に限定されず、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、
塊状重合及び気相重合のいずれの重合形式においても有
効であり、特に、懸濁重合、乳化重合等のように水性媒
体中での重合に、より適する。以下、懸濁重合及び乳化
重合の場合を例に挙げて、一般的な重合方法を具体的に
説明する。
【0064】まず、水及び分散剤を重合器に仕込む。次
に、重合器内を排気して 0.1〜760mmHgに減圧した後、
単量体を仕込む。この時、重合器の内圧は、通常 0.5〜
30kgf/cm2 ・Gになる。また、重合開始剤は、単量体の
仕込み前及び/又は仕込み後に仕込む。その後、30〜15
0 ℃の反応温度で重合する。重合中には、必要に応じ
て、水、分散剤及び重合開始剤の1種又は2種以上を添
加する。また、重合時の反応温度は、重合される単量体
の種類によって異なり、例えば、塩化ビニルの重合の場
合には30〜80℃で重合を行い、スチレンの重合の場合に
は50〜150 ℃で重合を行う。重合は重合器の内圧が0〜
7kgf/cm2 ・Gに低下した時に、あるいは重合器外周に
装備されたジャケット内に流入、流出させる冷却水の入
口温度と出口温度との差がほぼなくなった時(すなわち
重合反応による発熱がなくなった時)に、完了したと判
断される。重合の際に仕込まれる水、分散剤及び重合開
始剤は、通常、単量体 100重量部に対して、水20〜500
重量部、分散剤0.01〜30重量部、重合開始剤0.01〜5重
量部である。
【0065】溶液重合の場合には、重合媒体として水の
代わりに、例えばトルエン、キシレン、ピリジン等の有
機溶媒を使用する。分散剤は必要に応じて用いられる。
その他の重合条件は、一般的に、懸濁重合及び乳化重合
についての重合条件と同様である。塊状重合の場合に
は、重合器内を約0.01〜760 mmHgの圧力に排気した後、
その重合器内に単量体及び重合開始剤を仕込み、−10〜
250 ℃の反応温度で重合する。例えば、塩化ビニルの重
合の場合には30〜80℃で、スチレンの重合の場合には50
〜150 ℃で実施される。
【0066】本発明の方法を適用して重合を行った場合
には、重合器内壁面等の材質にかかわらず重合体スケー
ルの付着を防止することができ、例えば、グラスライニ
ングされた重合器はもちろん、ステンレス製その他のス
チール製の重合器等で重合を行う場合にも重合体スケー
ルの付着を防止することができる。
【0067】また、重合系に添加されるものは、何ら制
約なく使用することができる。すなわち、例えば、t−
ブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(2−エチル
ヘキシル)パーオキシジカーボネート、 3,5,5−トリメ
チルヘキサノイルパーオキサイド、α−クミルパーオキ
シネオデカノエート、クメンハイドロパーオキサイド、
シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキ
シピバレート、ビス(2−エトキシエチル)パーオキシ
ジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイ
ルパーオキサイド、 2,4−ジクロルベンゾイルパーオキ
サイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、
α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、α,α′−ア
ゾビス− 2,4−ジメチルバレロニトリル、ペルオキソ二
硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、p−メ
ンタンハイドロパーオキサイド等の重合開始剤;例え
ば、部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリアクリル
酸、酢酸ビニルと無水マレイン酸の共重合体、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ピ
ロガロール−アセトンレジン等の天然又は合成高分子化
合物等の懸濁剤;例えば、リン酸カルシウム、ヒドロキ
シアパタイト等の固体分散剤;例えば、ソルビタンモノ
ラウレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル等のノニオン性乳化剤;例えば、
ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のアニオン
性乳化剤;例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン等の充
填剤;例えば、三塩基性硫酸鉛、ステアリン酸カルシウ
ム、ジブチルすずジラウレート、ジオクチルすずメルカ
プチド等の安定剤;例えば、ライスワックス、ステアリ
ン酸、セチルアルコール等の滑剤;例えば、DOP、D
BP等の可塑剤;例えば、t−ドデシルメルカプタン等
のメルカプタン類、トリクロロエチレン等の連鎖移動
剤;pH調節剤等が存在する重合系においても、本発明
の方法は重合体スケールの付着を効果的に防止すること
ができる。
【0068】また、本発明の重合体スケール付着防止剤
は、重合媒体中に添加することもできる。その場合、例
えば、重合体スケール付着防止剤を重合器内壁面等への
塗膜形成に用いた上で、該防止剤を重合媒体中に少量添
加すればよい。このようにした場合には、塗布処理だけ
を行ったときよりも重合体スケール付着防止効果が向上
する。重合体スケール付着防止剤を重合媒体中に添加す
る場合の該防止剤の添加量は、仕込まれる単量体全重量
に対して約10〜1000ppm 程度が適当である。添加に際し
ては、フィッシュアイ、嵩比重、粒度分布等の重合体の
品質に影響を与えないように配慮する。
【0069】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳
細に説明する。なお、以下の各表において*印を付けた
実験 No.は比較例であり、それ以外の実験 No.は本発明
の実施例である。縮合生成物No.1の製造 4,4'- ジアミノジフェニルメタン 0.3モルにアセトンを
添加して、室温で攪拌して4,4'- ジアミノジフェニルメ
タンのアセトン溶液を得た。また、ピロメリット酸無水
物0.15モルにアセトンを添加して、室温で攪拌してピロ
メリット酸無水物のアセトン溶液を得た。これらのアセ
トン溶液を、3リットルの耐圧反応器に仕込んで、混合
し、室温で10時間反応させた。次に、析出した縮合生成
物を濾過により分離して、室温で減圧乾燥した。こうし
て縮合生成物No.1が得られた。
【0070】縮合生成物No.2〜10の製造 縮合生成物No.2〜10を、それぞれ、表1に示したアミノ
基を少なくとも2個有する芳香族化合物(A-1) 、芳香族
テトラカルボン酸無水物(A-2) 及び溶媒を用いて、縮合
生成物No.1と同様の方法で製造した。表1には、各製造
における(A-1)+(A-2) 合計モル、(A-1):(A-2) モル比、
反応温度及び反応時間を示す。
【0071】
【表1】
【0072】実施例1(実験No.101〜110) 各実験において、重合器として内容積1000リットルの攪
拌機付ステンレス製重合器を用いて次のようにして重合
を行った。各実験において、表2に示した条件 ((A)+(B
-1)+(B-2) 合計濃度、(A):(B-1):(B-2) 重量比、溶媒組
成及びpH) になるように、表2に示した縮合生成物(A)
、水溶性高分子化合物(B-1) 、無機コロイド(B-2) 、
溶媒及びアルカリ性化合物を用いて重合体スケール付着
防止剤を調製した。尚、本実施例1及び以下に示す実施
例2で使用した無機コロイド (表2及び表5中のa〜
g)は、表4に示すとおりである。これらの重合体スケ
ール付着防止剤を重合器の内壁及び攪拌軸、攪拌翼その
他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、40℃で15分
間加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を水洗した。
【0073】その後、各実験において、次のようにして
重合を行った。上記のように塗布処理して塗膜が形成さ
れた重合器中に水 400kg、塩化ビニル 200kg、部分ケン
化ポリビニルアルコール 250g、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース25g及び3,5,5-トリメチルヘキサノイル
パーオキサイド70gを仕込み、攪拌しながら66℃で6時
間重合した。重合終了後、生成した重合体及び未反応単
量体を回収し、重合器内を水洗して残存樹脂を除去し
た。
【0074】以後、塗布作業は行わないで、上記の重合
及び重合器内の水洗の操作を1バッチとして、同じ操作
を表3に示したバッチ数繰り返した。各実験について、
最終バッチ終了後に重合器内液相部の重合体スケール付
着量、及び気相と液相との界面付近の重合体スケール付
着量を下記の方法で測定した。その結果を表3に示す。
【0075】・重合体スケール付着量の測定 重合器内壁の所定箇所の10×10cmの区域に付着したスケ
ールをステンレス製のへらで肉眼で確認できる範囲で可
能な限り完全に掻き落として、天秤で計量した。その計
量値を 100倍して、1m2 当たりのスケール付着量を求
めた。
【0076】また、各実験で得られた重合体をシートに
成形した場合のフィッシュアイの個数を、下記の方法で
測定した。その結果を表3に示す。 ・フィッシュアイの測定 得られた重合体 100重量部、ジオクチルフタレート(DO
P) 50重量部、ジブチルすずジラウレート1重量部、セ
チルアルコール1重量部、酸化チタン0.25重量部、カー
ボンブラック0.05重量部の配合割合で調製した混合物を
6インチロールを用いて 150℃で7分間混練した後、厚
さ 0.2mmのシートに成形し、得られたシート 100cm2
たりに含まれるフィッシュアイの個数を光透過法により
調べた。
【0077】更に、各実験で得られた重合体をシートに
成形した場合の初期着色性を評価するために明度指数
(L値) を下記の方法で測定した。その結果を表3に示
す。 ・明度指数(L値)の測定 得られた重合体 100重量部、ラウリン酸スズ系安定剤
(昭島化学社製、TS−101)1重量部、カドミウム系安定
剤(勝田化工社製、C-100J) 0.5重量部及び可塑剤とし
てジオクチルフタレート50重量部を2本ロールミルを用
いて 160℃で5分間混練した後、厚さ1mmのシートを成
形する。次に成形したシートを4×4×1.5cm の型枠に
入れ、 160℃、65〜70kgf/cm2 で 0.2時間加熱、加圧成
形して測定用試料を作成する。この試料について、JIS
Z 8730(1980)に記載のハンターの色差式における明度指
数Lを求め、L値が大きい程白色度が高い、即ち初期着
色性が良好であると評価した。
【0078】L値は次のようにして求める。JIS Z 8722
の記載に従って、標準光C、光電色彩計(日本電色工業
株式会社製、Z-1001DP型測色色差計)を用い、刺激値直
読方法により、XYZ 表色系の刺激値Yを求める。照明及
び受光の幾何学的条件としては、JIS Z 8722の4.3.1 項
に記載の条件dを採用した。求められた刺激値Yから、
JIS Z 8730(1980)に記載の式:L=10Y1/2 により、L
値が算出される。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【表4】
【0081】実施例2( 実験No.201〜210) 各実験において、重合器として内容積20リットルの攪拌
機付ステンレス製重合器を使用した。各実験において、
表5に示した条件 ((A)+(B-1)+(B-2) 合計濃度、(A):(B
-1):(B-2) 重量比、溶媒組成及びpH) になるように、表
5に示した縮合生成物(A) 、水溶性高分子化合物(B-1)
、無機コロイド(B-2) 、溶媒及びアルカリ性化合物を
用いて重合体スケール付着防止剤を調製した。これらの
重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び攪拌軸、
攪拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、
40℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を
水洗した。
【0082】次に、各実験において、次のようにして重
合を行った。上記のように塗布処理して塗膜が形成され
た重合器中に、水9kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム 225g、t−ドデシルメルカプタン12g及びペ
ルオキソ二硫酸カリウム13gを仕込み、重合器内を窒素
ガス置換した後、スチレン 1.3kg及びブタジエン 3.8kg
を仕込んで50℃で20時間重合させた。重合終了後、生成
重合体及び未反応単量体を回収し、重合器内を水洗して
残存樹脂を除去した。以後、塗布作業は行わないで、上
記の重合及び重合器内の水洗の操作を1バッチとして、
同じ操作を表6に示したバッチ数繰り返した。各実験に
ついて、最終バッチ終了後に重合器内液相部の重合体ス
ケール付着量、及び気相と液相との界面付近の重合体ス
ケール付着量を実施例1と同様の方法で求めた。その結
果を表6に示す。
【0083】また、各実験で得られた重合体をシートに
成形した場合の初期着色性を評価するために明度指数
(L値)を下記の方法で測定した。その結果を表6に示
す。
【0084】・明度指数(L値)の測定 得られた重合体ラテックス1kgに2%硫酸マグネシウム
溶液を1kgを加え、凝集沈澱を行った後、沈澱物を濾別
する。濾別した沈澱物を80〜90℃の熱水で2〜3回洗浄
した後、減圧乾燥器を用いて40℃で25時間乾燥し、樹脂
を得た。得られた樹脂を9×9cm、深さ 0.1cmの型枠に
入れ、 195℃、50〜60kgf/cm2で 0.2時間加熱し、最終
圧力80kgf/cm2 で加圧成形して測定用試料を作製した。
この試料について、実施例1と同様にして明度指数Lを
求めた。
【0085】
【表5】
【0086】
【表6】
【0087】実施例3 重合器として、内容積 100リットルの撹拌機付ステンレ
ス製重合器を用いた。実施例2の実験No.201で使用した
重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び撹拌軸、
撹拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、
50℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を
水洗した。
【0088】その後、このように塗布処理して塗膜が形
成された重合器中に、水40kg、不均化ロジン酸カリウム
500g、ポリブタジエンラテックス(固形分45%)13k
g、スチレン単量体9kg、アクリロニトリル単量体5k
g、t−ドデシルメルカプタン40g、及びクメンハイド
ロパーオキサイド 140gを仕込んだ。次に、前記重合器
の内温を47℃に保持しながら、さらにブドウ糖 200g、
硫酸第1鉄2g及びピロリン酸ナトリウム 100gを仕込
んだ。続いて重合器の内温を65℃に昇温して該重合器内
の反応混合物を攪拌しながら4時間重合を行った。重合
終了後、生成重合体及び未反応単量体を回収し、重合器
内を水洗して残存レジンを除去した。
【0089】以後、上記のような塗膜の形成から重合を
経て重合器内の水洗に到るまでの操作を1バッチとして
80バッチ繰り返し、80バッチ目の重合器内液相部の重合
体スケール付着量、及び気相と液相との界面付近の重合
体スケール付着量を実施例1と同様の方法で測定した。
その結果、液相部の重合体スケール付着量は0g/m2
であり気相と液相との界面付近の重合体スケール付着量
は25g/m2 であった。
【0090】実施例4 重合器として、内容積20リットルの攪拌機付ステンレス
製重合器を用いた。実施例2の実験No.204で使用した塗
布液を重合器内壁及び攪拌軸、攪拌翼その他重合中に単
量体が接触する部分に塗布し、50℃で15分間加熱、乾燥
して塗膜を形成後、重合器内を水洗した。
【0091】その後、このように塗布処理して塗膜が形
成された重合器中に水 4.0kg、及びドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム6gを仕込み、攪拌しながら60℃に
昇温した。次に、重合器内気相部を窒素ガスで置換した
後、アクリル酸nブチル94g、メタクリル酸メチル 220
g、アクリル酸5g及びメタクリル酸5gを仕込み、続
いて過硫酸アンモニウム1g及びヒドロ亜硫酸ナトリウ
ム1gを仕込んで60℃で20分間攪拌した。
【0092】更に、前記重合器に混合モノマー (アクリ
ル酸nブチル 2.1kg、メタクリル酸メチル 4.8kg、アク
リル酸 100g及びメタクリル酸 100gを混合したもの)
、1重量%過硫酸アンモニウム水溶液 500g、1重量
%ヒドロ亜硫酸ナトリウム水溶液 500g及び25重量%ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル水溶液 2.0kg
を3時間かけてそれぞれ一定量ずつ添加した。添加終了
後、前記重合器を70℃に昇温して2時間重合した。重合
終了後、生成重合体及び未反応単量体を回収し、重合器
内を水洗して残存レジンを除去した。
【0093】以後、上記のような塗膜の形成から重合を
経て重合器内の水洗に到るまでの操作を1バッチとして
80バッチ繰り返し、80バッチ目の重合器内液相部の重合
体スケール付着量、及び気相と液相との界面付近の重合
体スケール付着量を実施例1と同様の方法で測定した。
その結果、液相部の重合体スケール付着量は0g/m2
であり、気相と液相との界面付近の重合体スケール付着
量は40g/m2 であった。
【0094】
【発明の効果】本発明によれば、重合器内の液相部ばか
りでなく気相と液相との界面付近においても効果的に重
合体スケールの付着を防止することができる。従って、
本発明を適用して重合を行った場合には、重合体スケー
ルの除去作業を重合毎に行う必要がなく、それによって
生産性が向上する。また、本発明を適用して重合を行っ
た場合に得られる重合体をシート等に成形した場合、フ
ィッシュアイが極めて少ない成形物を得ることができ
る。しかも、本発明により重合器内壁面に形成された塗
膜は、重合中に剥離したり、重合系に溶解したりするこ
とがないため、前記成形物は、初期着色性が良好であ
る。具体的には、JIS Z 8730(1980)に記載のハンター色
差式における明度指数 (L値) が、例えば、塩化ビニル
重合体の場合には70以上、SBRの場合には80以上であ
る。更に、本発明の重合体スケール付着防止剤は、水を
主成分とすることも可能なため、有機溶媒の引火、爆発
等の危険が少なく、また、毒性等も問題にならない範囲
で使用することもできる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ基を少なくとも2個有する芳香族
    化合物(A-1) と芳香族テトラカルボン酸無水物(A-2) と
    の縮合生成物(A) と、 水溶性高分子化合物(B-1) 及び無機コロイド(B-2) から
    なる群から選ばれる少なくとも1種(B) とを含有するア
    ルカリ性溶液からなる、エチレン性不飽和二重結合を有
    する単量体の重合用の重合体スケール付着防止剤。
  2. 【請求項2】 エチレン性不飽和二重結合を有する単量
    体の重合器内における重合により重合体を製造する方法
    であって、内壁面に、 アミノ基を少なくとも2個有する芳香族化合物(A-1) と
    芳香族テトラカルボン酸無水物(A-2) との縮合生成物
    (A) と、 水溶性高分子化合物(B-1) 及び無機コロイド(B-2) から
    なる群から選ばれる少なくとも1種(B) とを含有するア
    ルカリ性溶液を塗布し、乾燥して形成された塗膜を有す
    る重合器内で前記重合を行う工程を有し、これにより重
    合体スケールの付着が防止される製造方法。
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