JP2639256B2 - Si拡散浸透処理法により製造される磁気特性および機械特性の優れた高珪素鋼板およびその製造方法 - Google Patents
Si拡散浸透処理法により製造される磁気特性および機械特性の優れた高珪素鋼板およびその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、Si拡散浸透処理法
による磁気特性および機械特性の優れた高珪素鋼板およ
びその製造方法に関する。
による磁気特性および機械特性の優れた高珪素鋼板およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Si:4wt%以上を含有する高珪素鋼
板を製造する方法として、所謂Si拡散浸透処理法が知
られている。この方法は低珪素鋼を溶製して圧延により
薄板化した後、表面からSiを浸透させることにより高
珪素鋼板を製造するもので、この方法によれば、加工性
の問題を生じることなく高珪素鋼板を得ることができ
る。この拡散浸透処理法による高珪素鋼板の製造は、一
般に、普通鋼板または低珪素鋼板(通常、Si:4wt
%以下)に対して、SiCl4等のSi化合物とN2との
混合ガス雰囲気中でSiの浸透処理(浸珪処理)を施し
て鋼板の表面からSiを浸透させ、次いでSi化合物を
含まない雰囲気中で鋼板に対して拡散熱処理を施して、
浸透させたSiを鋼板中に拡散させ、Siを均質に含有
させた高珪素鋼板を得るものである。
板を製造する方法として、所謂Si拡散浸透処理法が知
られている。この方法は低珪素鋼を溶製して圧延により
薄板化した後、表面からSiを浸透させることにより高
珪素鋼板を製造するもので、この方法によれば、加工性
の問題を生じることなく高珪素鋼板を得ることができ
る。この拡散浸透処理法による高珪素鋼板の製造は、一
般に、普通鋼板または低珪素鋼板(通常、Si:4wt
%以下)に対して、SiCl4等のSi化合物とN2との
混合ガス雰囲気中でSiの浸透処理(浸珪処理)を施し
て鋼板の表面からSiを浸透させ、次いでSi化合物を
含まない雰囲気中で鋼板に対して拡散熱処理を施して、
浸透させたSiを鋼板中に拡散させ、Siを均質に含有
させた高珪素鋼板を得るものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような高
珪素鋼板の製造プロセスでは、鋼中に含まれるSiやA
lが窒化し、この析出物が鋼板の磁気特性を劣化させる
という問題がある。このような窒化物による磁気特性の
劣化の問題は、従来製造されているSi:4wt%以下
の珪素鋼板でも知られているが、Si量が4wt%を超
えるような高珪素鋼板では、Si:4wt%以下の鋼板
に較べ熱処理時の窒化の問題が特に著しく、加えて、S
i拡散浸透処理法では通常の焼鈍とは異なり鋼板表面が
活性となるため、窒化がより生じ易いという問題があ
る。
珪素鋼板の製造プロセスでは、鋼中に含まれるSiやA
lが窒化し、この析出物が鋼板の磁気特性を劣化させる
という問題がある。このような窒化物による磁気特性の
劣化の問題は、従来製造されているSi:4wt%以下
の珪素鋼板でも知られているが、Si量が4wt%を超
えるような高珪素鋼板では、Si:4wt%以下の鋼板
に較べ熱処理時の窒化の問題が特に著しく、加えて、S
i拡散浸透処理法では通常の焼鈍とは異なり鋼板表面が
活性となるため、窒化がより生じ易いという問題があ
る。
【0004】しかし、従来Si拡散浸透処理法に関し
て、その処理中に生じるSi、Alの窒化物やこれと磁
気特性との関係、さらには、その生成抑制方法について
具体的に検討された例はない。
て、その処理中に生じるSi、Alの窒化物やこれと磁
気特性との関係、さらには、その生成抑制方法について
具体的に検討された例はない。
【0005】一般に、SiやAlを含む電磁鋼板は、熱
延後のコイル焼鈍時に吸窒や内部酸化により磁気特性の
劣化を起こすことが知られており、この対策として従
来、 焼鈍雰囲気にAr等の不活性ガスを用いる技術 焼鈍雰囲気の露点を上げ、雰囲気を弱酸化性とする技
術 素材となる鋼中に窒化防止剤として働くSb,Snな
どの元素を添加する技術(特公昭58−31366号) 熱延コイルの焼鈍前にコイル表面にNH3合成の負媒
体として働くSe,Te,Sbなどの化合物を塗布して
おく技術(特公昭62−24506号、特開平1−14
2029号、特開平3−36242号) 等が知られている。
延後のコイル焼鈍時に吸窒や内部酸化により磁気特性の
劣化を起こすことが知られており、この対策として従
来、 焼鈍雰囲気にAr等の不活性ガスを用いる技術 焼鈍雰囲気の露点を上げ、雰囲気を弱酸化性とする技
術 素材となる鋼中に窒化防止剤として働くSb,Snな
どの元素を添加する技術(特公昭58−31366号) 熱延コイルの焼鈍前にコイル表面にNH3合成の負媒
体として働くSe,Te,Sbなどの化合物を塗布して
おく技術(特公昭62−24506号、特開平1−14
2029号、特開平3−36242号) 等が知られている。
【0006】しかしながら、上記のような技術はいずれ
もSiが4wt%以下の通常の電磁鋼板に関するもので
あり、本発明が対象とするような高珪素鋼板に対しては
十分な効果が得られない。これは、上述したようにSi
量が4wt%を超えるような高珪素鋼板では窒化の問題
が特に著しく、また、拡散浸透処理法では鋼板表面が活
性となるため、窒化がより生じ易いことによるものであ
る。
もSiが4wt%以下の通常の電磁鋼板に関するもので
あり、本発明が対象とするような高珪素鋼板に対しては
十分な効果が得られない。これは、上述したようにSi
量が4wt%を超えるような高珪素鋼板では窒化の問題
が特に著しく、また、拡散浸透処理法では鋼板表面が活
性となるため、窒化がより生じ易いことによるものであ
る。
【0007】また、上記従来技術のうち、の方法
は、添加元素や工程の増加によりコスト高となるという
欠点ある。また、の方法を拡散浸透処理に適用した場
合、酸化が起こり浸珪反応が進まなくなるとともに、鋼
板の表面が汚れるという問題があり、好ましくない。
は、添加元素や工程の増加によりコスト高となるという
欠点ある。また、の方法を拡散浸透処理に適用した場
合、酸化が起こり浸珪反応が進まなくなるとともに、鋼
板の表面が汚れるという問題があり、好ましくない。
【0008】さらに、本発明者らが検討したところによ
れば、特に、拡散浸透処理法による高珪素鋼板の製造で
は、処理後の冷却時に窒化物が析出し易く、これが磁気
特性や機械特性に悪影響を及ぼすことが判った。
れば、特に、拡散浸透処理法による高珪素鋼板の製造で
は、処理後の冷却時に窒化物が析出し易く、これが磁気
特性や機械特性に悪影響を及ぼすことが判った。
【0009】本発明はこのような問題に鑑みなされたも
ので、拡散浸透処理法により製造される高珪素鋼板に関
し、窒化物量と磁気特性および機械特性との関係を明ら
かにし、これらの特性に優れた高珪素鋼板を提供するこ
とを第1の目的とする。また、本発明は、製造過程にお
いてSiやAlの窒化を適切に防止し、上記高珪素鋼板
を容易に製造することができる方法の提供を第2の目的
とする。
ので、拡散浸透処理法により製造される高珪素鋼板に関
し、窒化物量と磁気特性および機械特性との関係を明ら
かにし、これらの特性に優れた高珪素鋼板を提供するこ
とを第1の目的とする。また、本発明は、製造過程にお
いてSiやAlの窒化を適切に防止し、上記高珪素鋼板
を容易に製造することができる方法の提供を第2の目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、拡散浸透
処理法により製造される高珪素鋼板に関して、その窒化
物量と磁気特性および機械特性との関係、さらには、S
iやAlの窒化を効果的に防止できる方法についてを検
討した結果、Si拡散浸透処理後のSiおよびAlの窒
化物量を5ppm以下とすることにより、優れた磁気特
性と機械特性が得られること、さらに、このような高珪
素鋼板の製造において、Si拡散浸透処理を施した後の
薄板の冷却時に冷却速度を適切にコントロールすること
によりSi,Alの窒化が防止でき、これらの窒化物量
が5ppm以下の高珪素鋼板を製造できることを見出し
た。この発明は以上のような知見に基づきなされたもの
で、その構成は以下の通りである。
処理法により製造される高珪素鋼板に関して、その窒化
物量と磁気特性および機械特性との関係、さらには、S
iやAlの窒化を効果的に防止できる方法についてを検
討した結果、Si拡散浸透処理後のSiおよびAlの窒
化物量を5ppm以下とすることにより、優れた磁気特
性と機械特性が得られること、さらに、このような高珪
素鋼板の製造において、Si拡散浸透処理を施した後の
薄板の冷却時に冷却速度を適切にコントロールすること
によりSi,Alの窒化が防止でき、これらの窒化物量
が5ppm以下の高珪素鋼板を製造できることを見出し
た。この発明は以上のような知見に基づきなされたもの
で、その構成は以下の通りである。
【0011】(1) C:0.01wt%以下、Si:
4〜7wt%、N:0.001〜0.01wt%、A
l:0.01wt%以下を含有し、Si、Alの窒化物
量が5ppm以下であるSi拡散浸透処理法により製造
される磁気特性および機械特性の優れた高珪素鋼板。
4〜7wt%、N:0.001〜0.01wt%、A
l:0.01wt%以下を含有し、Si、Alの窒化物
量が5ppm以下であるSi拡散浸透処理法により製造
される磁気特性および機械特性の優れた高珪素鋼板。
【0012】(2) C:0.01wt%以下、Si:
4wt%以下、N:0.001〜0.01wt%、A
l:0.01wt%以下を含有する低炭素鋼スラブを熱
間圧延、冷間圧延して薄板とした後、Si化合物とN2
との混合ガス雰囲気中にて浸珪処理し、次いでSiを板
厚方向に拡散させる拡散熱処理を施した後、950℃か
ら900℃までを25℃/秒以上の冷却速度で冷却し、
900℃以降800℃までを、t≧(T−800)/4
[但し、T:板温(℃)]を満足する冷却速度t(℃)
で冷却することを特徴とする上記(1)に記載された磁
気特性および機械特性の優れた高珪素鋼板の製造方法。
4wt%以下、N:0.001〜0.01wt%、A
l:0.01wt%以下を含有する低炭素鋼スラブを熱
間圧延、冷間圧延して薄板とした後、Si化合物とN2
との混合ガス雰囲気中にて浸珪処理し、次いでSiを板
厚方向に拡散させる拡散熱処理を施した後、950℃か
ら900℃までを25℃/秒以上の冷却速度で冷却し、
900℃以降800℃までを、t≧(T−800)/4
[但し、T:板温(℃)]を満足する冷却速度t(℃)
で冷却することを特徴とする上記(1)に記載された磁
気特性および機械特性の優れた高珪素鋼板の製造方法。
【0013】
【作用】拡散浸透処理により製造される本発明の鋼板
は、鋼板中のSiおよびAlの窒化物の量を5ppm以
下に限定する。この窒化物はSi3N4、AlNであり、
磁気特性や機械特性に悪影響を及ぼす。
は、鋼板中のSiおよびAlの窒化物の量を5ppm以
下に限定する。この窒化物はSi3N4、AlNであり、
磁気特性や機械特性に悪影響を及ぼす。
【0014】表1に示す化学組成を有するスラブを、常
法により熱間圧延、冷間圧延して板厚0.3mmの薄板
とした。この薄板を、炉内温度1200℃、10%Si
Cl4−残部N2の雰囲気の炉に装入し、Si量が板厚方
向平均で6.5wt%まで富化されるようSiの浸透処
理を施し、引き続き同温度で拡散熱処理を施した後、1
200℃からの冷却過程において、図1に示すように9
50℃から800℃までの冷却速度を、ガスジェット冷
却条件を変えることによって1〜50℃/秒と種々変化
させた冷却パターンで冷却を行ない、得られた高珪素鋼
板から溶媒抽出法により析出物抽出を行い、析出物の同
定定量を行なった。同定の結果では、析出物はそのほと
んどがSi3N4であり、一部AlNが観察された。各冷
却速度に対応する析出物(Si3N4およびAlN)の濃
度を図2に示す。また、これら抽出残渣について電子顕
微鏡を用いて鋼中析出物の観察を行なった。この観察に
よる析出物の拡大写真を図3に示す。
法により熱間圧延、冷間圧延して板厚0.3mmの薄板
とした。この薄板を、炉内温度1200℃、10%Si
Cl4−残部N2の雰囲気の炉に装入し、Si量が板厚方
向平均で6.5wt%まで富化されるようSiの浸透処
理を施し、引き続き同温度で拡散熱処理を施した後、1
200℃からの冷却過程において、図1に示すように9
50℃から800℃までの冷却速度を、ガスジェット冷
却条件を変えることによって1〜50℃/秒と種々変化
させた冷却パターンで冷却を行ない、得られた高珪素鋼
板から溶媒抽出法により析出物抽出を行い、析出物の同
定定量を行なった。同定の結果では、析出物はそのほと
んどがSi3N4であり、一部AlNが観察された。各冷
却速度に対応する析出物(Si3N4およびAlN)の濃
度を図2に示す。また、これら抽出残渣について電子顕
微鏡を用いて鋼中析出物の観察を行なった。この観察に
よる析出物の拡大写真を図3に示す。
【0015】また、上記各鋼板から内径10mm、外径
20mmのリング試料およびJIS5号引張試験片を切
り出し、直流磁気特性および機械特性を測定した。その
結果を図4および図5に示す。これらの図から明らかな
ように、最大透磁率および破断強度は析出物濃度と高い
相関を有し、析出物(Si3N4、AlN)の濃度が5p
pm以下であれば優れた特性を示す。
20mmのリング試料およびJIS5号引張試験片を切
り出し、直流磁気特性および機械特性を測定した。その
結果を図4および図5に示す。これらの図から明らかな
ように、最大透磁率および破断強度は析出物濃度と高い
相関を有し、析出物(Si3N4、AlN)の濃度が5p
pm以下であれば優れた特性を示す。
【0016】次に、鋼板の成分組成の限定理由について
説明する。 Si:圧延加工性の問題から拡散浸透処理前の素材のS
i量は4wt%以下とし、また拡散浸透処理後の最終的
なSi量は、高珪素鋼板を得るという目的から4wt%
をその下限とし、また、磁気特性の面から7wt%をそ
の上限とする。 Al:拡散浸透処理法によってSiを添加する場合に
は、Alは磁気特性に悪影響を及ぼすボイド発生の原因
となることから極力低減することが望ましく、このため
0.01wt%をその上限とする。
説明する。 Si:圧延加工性の問題から拡散浸透処理前の素材のS
i量は4wt%以下とし、また拡散浸透処理後の最終的
なSi量は、高珪素鋼板を得るという目的から4wt%
をその下限とし、また、磁気特性の面から7wt%をそ
の上限とする。 Al:拡散浸透処理法によってSiを添加する場合に
は、Alは磁気特性に悪影響を及ぼすボイド発生の原因
となることから極力低減することが望ましく、このため
0.01wt%をその上限とする。
【0017】C:初透磁率、最大透磁率を低下させ、H
c、鉄損を増大させる元素であり、できる限り低減する
ことが望ましいが、0.01wt%以下に抑えることに
よりこの影響を抑制できることから、0.01wt%を
その上限とする。 N:本発明の高珪素鋼板は通常の珪素鋼を素材とするも
のであるため、そのN量は0.001〜0.01wt%
の範囲である。
c、鉄損を増大させる元素であり、できる限り低減する
ことが望ましいが、0.01wt%以下に抑えることに
よりこの影響を抑制できることから、0.01wt%を
その上限とする。 N:本発明の高珪素鋼板は通常の珪素鋼を素材とするも
のであるため、そのN量は0.001〜0.01wt%
の範囲である。
【0018】また他の元素については、以下のように規
定することが好ましい。 O:Oは鉄損を高め、SiO2のようなコロイド状微粒
子として存在する場合には、磁気特性を著しく劣化させ
る元素として知られている。また、OはCとどの程度共
存するかによっても磁気特性を変化させる。特に、O含
有量とC含有量とがほぼ同等の場合、鉄損値が最小にな
ることも知られており、上記C含有量の適正範囲と同様
に、O含有量も0.01wt%以下とすることが好まし
い。
定することが好ましい。 O:Oは鉄損を高め、SiO2のようなコロイド状微粒
子として存在する場合には、磁気特性を著しく劣化させ
る元素として知られている。また、OはCとどの程度共
存するかによっても磁気特性を変化させる。特に、O含
有量とC含有量とがほぼ同等の場合、鉄損値が最小にな
ることも知られており、上記C含有量の適正範囲と同様
に、O含有量も0.01wt%以下とすることが好まし
い。
【0019】S:時効の原因となるため極力少なくする
ことが好ましく、0.01wt%以下とすることが好ま
しい。 P:Pは酸素による磁性劣化を軽減し、鉄損を減少させ
る作用があるが、多量に添加すると、熱間での加工性を
劣化させるというという問題があり、その上限を0.0
2wt%とすることが好ましい。なお、Hは鋼板を著し
く脆くさせるため、高圧下でHを含有させる等、積極的
な含有は避けることが好ましい(通常ppmレベル以
下)。
ことが好ましく、0.01wt%以下とすることが好ま
しい。 P:Pは酸素による磁性劣化を軽減し、鉄損を減少させ
る作用があるが、多量に添加すると、熱間での加工性を
劣化させるというという問題があり、その上限を0.0
2wt%とすることが好ましい。なお、Hは鋼板を著し
く脆くさせるため、高圧下でHを含有させる等、積極的
な含有は避けることが好ましい(通常ppmレベル以
下)。
【0020】Mn:熱間圧延時の展延性の改善と、脱硫
作用および規則−不規則変態における磁性改善効果を考
慮し、Mnは0.5wt%以下の範囲で添加することが
できる。 V:若干のVを添加することにより、Hcが改善される
ことが知られている。すなわち、Vは適量添加すること
により、結晶粒の発達が促進され、磁性が改善される。
このため、Vは0.05wt%を上限として添加するこ
とができる。
作用および規則−不規則変態における磁性改善効果を考
慮し、Mnは0.5wt%以下の範囲で添加することが
できる。 V:若干のVを添加することにより、Hcが改善される
ことが知られている。すなわち、Vは適量添加すること
により、結晶粒の発達が促進され、磁性が改善される。
このため、Vは0.05wt%を上限として添加するこ
とができる。
【0021】Ti:若干のTiを添加することでVと同
様の効果を期待でき、このため、0.05wt%を上限
として添加することができる。 Ca:Caは多量に含有すると透磁率を低下させるた
め、0.3wt%以下とすることが好ましい。 Be、As:若干の磁気特性改善効果が期待でき、それ
ぞれ0.1wt%を上限として添加することができる。
様の効果を期待でき、このため、0.05wt%を上限
として添加することができる。 Ca:Caは多量に含有すると透磁率を低下させるた
め、0.3wt%以下とすることが好ましい。 Be、As:若干の磁気特性改善効果が期待でき、それ
ぞれ0.1wt%を上限として添加することができる。
【0022】Cu:0.7wt%程度までは、磁性を大
きく劣化させることはないが、0.7wt%を超えて含
有すると鉄損が増大する。このため、Cuは0.7wt
%以下、好ましくは0.1wt%以下とすることが望ま
しい。 Cr:鉄損を増大させる傾向があり、0.03wt%以
下とすることが好ましい。 Ni:磁気特性を著しく悪化させるため、極力低減させ
ることが好ましく、0.01wt%以下とすることが好
ましい。
きく劣化させることはないが、0.7wt%を超えて含
有すると鉄損が増大する。このため、Cuは0.7wt
%以下、好ましくは0.1wt%以下とすることが望ま
しい。 Cr:鉄損を増大させる傾向があり、0.03wt%以
下とすることが好ましい。 Ni:磁気特性を著しく悪化させるため、極力低減させ
ることが好ましく、0.01wt%以下とすることが好
ましい。
【0023】次に、上記鋼板の製造方法について説明す
る。本発明の製造法では、Si:4wt%以下の低炭素
鋼スラブを熱間圧延、冷間圧延して薄板とし、この薄板
にSi化合物(SiCl4,SiH4,SiHCl3等)
とN2との混合ガス雰囲気中で浸珪処理してSiを添加
し、次いでSiを板厚方向で均一に拡散させる拡散熱処
理を施すことにより、Si:4〜7wt%の高珪素鋼板
を製造する。このような浸珪処理による高珪素鋼板の製
造では、通常の窒素雰囲気焼鈍と較べて窒化物が析出し
やすい。
る。本発明の製造法では、Si:4wt%以下の低炭素
鋼スラブを熱間圧延、冷間圧延して薄板とし、この薄板
にSi化合物(SiCl4,SiH4,SiHCl3等)
とN2との混合ガス雰囲気中で浸珪処理してSiを添加
し、次いでSiを板厚方向で均一に拡散させる拡散熱処
理を施すことにより、Si:4〜7wt%の高珪素鋼板
を製造する。このような浸珪処理による高珪素鋼板の製
造では、通常の窒素雰囲気焼鈍と較べて窒化物が析出し
やすい。
【0024】先に述べたように、浸珪処理により製造さ
れる高珪素鋼板はその析出物濃度が5ppm以下であれ
ば優れた磁気特性、機械特性を示すが、析出物濃度を5
ppm以下に抑制する方法について検討を加えた結果、
浸珪処理−拡散熱処理を行なった後の冷却過程におい
て、950℃から900℃までを25℃/秒以上の冷却
速度で冷却し、900℃以降800℃までを、t≧(T
−800)/4[但し、T:板温(℃)]を満足する冷
却速度t(℃)で冷却することにより、析出物濃度を5
ppm以下に抑制できることを見い出した。その限定理
由を以下に説明する。
れる高珪素鋼板はその析出物濃度が5ppm以下であれ
ば優れた磁気特性、機械特性を示すが、析出物濃度を5
ppm以下に抑制する方法について検討を加えた結果、
浸珪処理−拡散熱処理を行なった後の冷却過程におい
て、950℃から900℃までを25℃/秒以上の冷却
速度で冷却し、900℃以降800℃までを、t≧(T
−800)/4[但し、T:板温(℃)]を満足する冷
却速度t(℃)で冷却することにより、析出物濃度を5
ppm以下に抑制できることを見い出した。その限定理
由を以下に説明する。
【0025】表1に示す化学組成を有するスラブを常法
に従って熱間圧延、冷間圧延して板厚0.3mmの薄板
とした。この薄板を炉内温度1200℃、10%SiC
l4−残部N2の雰囲気の炉に装入し、Si量が板厚方向
平均で6.5wt%まで富化されるようにSiの浸透処
理を施し、引き続き同温度で拡散熱処理を施した後、1
200℃からの冷却過程において種々の温度T(℃)ま
で1℃/秒の冷却速度にてガス冷却し、その後氷水中に
焼き入れた。この時の冷却パターンを図6に示す。得ら
れた試料について、電子顕微鏡を用いて鋼中析出物の観
察を行なった。その観察の結果を、急冷開始温度T(氷
水中焼き入れ開始温度)で整理したものを図7に示す。
に従って熱間圧延、冷間圧延して板厚0.3mmの薄板
とした。この薄板を炉内温度1200℃、10%SiC
l4−残部N2の雰囲気の炉に装入し、Si量が板厚方向
平均で6.5wt%まで富化されるようにSiの浸透処
理を施し、引き続き同温度で拡散熱処理を施した後、1
200℃からの冷却過程において種々の温度T(℃)ま
で1℃/秒の冷却速度にてガス冷却し、その後氷水中に
焼き入れた。この時の冷却パターンを図6に示す。得ら
れた試料について、電子顕微鏡を用いて鋼中析出物の観
察を行なった。その観察の結果を、急冷開始温度T(氷
水中焼き入れ開始温度)で整理したものを図7に示す。
【0026】この結果から見ると急冷開始温度が950
℃超では析出物はほとんど観察されないが、急冷開始温
度が950℃以下となると、図8の電子顕微鏡拡大写真
に示すような針状の形態の析出物が観察される。この針
状形態の析出物は、抽出レプリカ法により成分分析を行
なった結果、そのほとんどがSi3N4であり、一部Al
Nであると同定された。以上の現象は、Si3N4或いは
AlNの鋼中における溶解度に関係するものであり、9
50℃以下においてはSi、AlとNは析出物の形態を
とった方が安定であるためと考えられる。
℃超では析出物はほとんど観察されないが、急冷開始温
度が950℃以下となると、図8の電子顕微鏡拡大写真
に示すような針状の形態の析出物が観察される。この針
状形態の析出物は、抽出レプリカ法により成分分析を行
なった結果、そのほとんどがSi3N4であり、一部Al
Nであると同定された。以上の現象は、Si3N4或いは
AlNの鋼中における溶解度に関係するものであり、9
50℃以下においてはSi、AlとNは析出物の形態を
とった方が安定であるためと考えられる。
【0027】このように950℃以下の領域においては
窒化物の析出が熱力学的に生じることが判ったが、本発
明者らはこのような析出がSi、Al或いはNの鋼中に
おける拡散があってはじめて生じるものであることに着
目し、冷却速度を速くすることにより、析出サイトへS
i、Al、Nが拡散して析出物を形成する前に室温まで
の冷却を終了させてしまうことを考えた。図9に、12
00℃でのSi浸透処理−拡散熱処理後に種々の温度T
(℃)まで50℃/秒の冷却速度でガスジェット冷却を
行ない、引き続き1℃/秒の冷却速度で室温まで冷却し
て得られた試料について、その鋼中析出物の観察結果を
示す。この時の冷却パターンは図10に示す通りであ
る。この結果から、800℃まで急冷すれば、それ以下
の温度においては徐冷しても析出物は析出しないことが
判る。
窒化物の析出が熱力学的に生じることが判ったが、本発
明者らはこのような析出がSi、Al或いはNの鋼中に
おける拡散があってはじめて生じるものであることに着
目し、冷却速度を速くすることにより、析出サイトへS
i、Al、Nが拡散して析出物を形成する前に室温まで
の冷却を終了させてしまうことを考えた。図9に、12
00℃でのSi浸透処理−拡散熱処理後に種々の温度T
(℃)まで50℃/秒の冷却速度でガスジェット冷却を
行ない、引き続き1℃/秒の冷却速度で室温まで冷却し
て得られた試料について、その鋼中析出物の観察結果を
示す。この時の冷却パターンは図10に示す通りであ
る。この結果から、800℃まで急冷すれば、それ以下
の温度においては徐冷しても析出物は析出しないことが
判る。
【0028】以上の結果から950℃超と800℃未満
の温度領域では、1℃/秒という遅い冷却速度で冷却し
ても析出物は生成しないこと、また、950℃から80
0℃の範囲においても、50℃/秒の冷却速度で急冷す
れば析出物が析出しないことが判った。さらに、本発明
者らはこの冷却条件について詳細に検討を行ない、95
0℃〜800℃の範囲において冷却速度を種々変化さ
せ、同じように析出物の存在の有無を確認した。この時
の冷却パターンを図11に、また析出物観察結果を図1
2に示す。この結果から判断すると、950℃〜800
℃の範囲では25℃/秒以上の冷却速度で冷却すれば析
出物は析出しないことが判る。さらに、図13に示すよ
うな冷却パターンで冷却したものについて、同様の析出
物観察を行なった。その結果を図14に示す。この結
果、950℃から850℃までを25℃/秒で冷却し、
それ以降800℃までを15℃/秒以上で冷却すれば、
析出物生成が抑制されることが判った。
の温度領域では、1℃/秒という遅い冷却速度で冷却し
ても析出物は生成しないこと、また、950℃から80
0℃の範囲においても、50℃/秒の冷却速度で急冷す
れば析出物が析出しないことが判った。さらに、本発明
者らはこの冷却条件について詳細に検討を行ない、95
0℃〜800℃の範囲において冷却速度を種々変化さ
せ、同じように析出物の存在の有無を確認した。この時
の冷却パターンを図11に、また析出物観察結果を図1
2に示す。この結果から判断すると、950℃〜800
℃の範囲では25℃/秒以上の冷却速度で冷却すれば析
出物は析出しないことが判る。さらに、図13に示すよ
うな冷却パターンで冷却したものについて、同様の析出
物観察を行なった。その結果を図14に示す。この結
果、950℃から850℃までを25℃/秒で冷却し、
それ以降800℃までを15℃/秒以上で冷却すれば、
析出物生成が抑制されることが判った。
【0029】以上のような結果に基づき、各温度領域に
おいてどのような冷却速度で冷却を行なえば析出物が析
出しないかを示したのが図15である。これによれば1
200℃から冷却する際に、図15に示した析出領域を
通過するような冷却条件であればSi3N4あるいはAl
Nが析出する。逆に、冷却を図15に示した固溶領域内
で行えば析出物の生成は抑制される。すなわち冷却時の
板温T(℃)に対して 、 1200℃≧T>950℃ :冷却速度t>0
〔℃/秒〕 950℃≧T≧900℃ :冷却速度t≧25〔℃/
秒〕 900℃>T≧800℃ :冷却速度t≧(T−80
0)/4〔℃/秒〕 800℃>T≧室温 :冷却速度t>0〔℃/
秒〕 を満足する冷却速度tで冷却することにより、析出物の
生成を抑制することができる。
おいてどのような冷却速度で冷却を行なえば析出物が析
出しないかを示したのが図15である。これによれば1
200℃から冷却する際に、図15に示した析出領域を
通過するような冷却条件であればSi3N4あるいはAl
Nが析出する。逆に、冷却を図15に示した固溶領域内
で行えば析出物の生成は抑制される。すなわち冷却時の
板温T(℃)に対して 、 1200℃≧T>950℃ :冷却速度t>0
〔℃/秒〕 950℃≧T≧900℃ :冷却速度t≧25〔℃/
秒〕 900℃>T≧800℃ :冷却速度t≧(T−80
0)/4〔℃/秒〕 800℃>T≧室温 :冷却速度t>0〔℃/
秒〕 を満足する冷却速度tで冷却することにより、析出物の
生成を抑制することができる。
【0030】本発明において、冷却速度をコントロール
することは極めて重要な要素となるが、このように冷却
速度をコントロールする方法としては、上述したガスジ
ェット冷却の他に、鋼板を冷却したロールに接触させ、
そのロールの温度とロールに対する鋼板の接触弧長を調
整する方法等がある。
することは極めて重要な要素となるが、このように冷却
速度をコントロールする方法としては、上述したガスジ
ェット冷却の他に、鋼板を冷却したロールに接触させ、
そのロールの温度とロールに対する鋼板の接触弧長を調
整する方法等がある。
【0031】
〔実施例1〕表2の組成を有するスラブを熱間圧延、冷
間圧延して板厚0.3mmの薄板とし、この薄板を炉内
温度1200℃、6%SiCl4−残部N2の雰囲気の炉
に装入し、拡散浸透処理法によってSiを板厚方向平均
で4wt%まで富化し、引き続き同温度で拡散熱処理を
施した後、冷却速度を種々変化させて室温まで冷却し、
高珪素鋼板を製造した。これらの鋼板について、化学分
析によりSi量、窒化物の析出量を測定した。また、磁
気特性として交流鉄損特性(W10/50)および機械特性
として破断強度TSを測定した。それらの結果を拡散熱
処理後の冷却速度とともに表3に示す。これによれば、
本発明法に従って冷却速度を25℃/秒以上とし、窒化
物量が5ppm以下に抑えられた鋼板は磁気特性、機械
特性ともに優れた値を示している。
間圧延して板厚0.3mmの薄板とし、この薄板を炉内
温度1200℃、6%SiCl4−残部N2の雰囲気の炉
に装入し、拡散浸透処理法によってSiを板厚方向平均
で4wt%まで富化し、引き続き同温度で拡散熱処理を
施した後、冷却速度を種々変化させて室温まで冷却し、
高珪素鋼板を製造した。これらの鋼板について、化学分
析によりSi量、窒化物の析出量を測定した。また、磁
気特性として交流鉄損特性(W10/50)および機械特性
として破断強度TSを測定した。それらの結果を拡散熱
処理後の冷却速度とともに表3に示す。これによれば、
本発明法に従って冷却速度を25℃/秒以上とし、窒化
物量が5ppm以下に抑えられた鋼板は磁気特性、機械
特性ともに優れた値を示している。
【0032】〔実施例2〕表4の組成を有するスラブを
熱間圧延、冷間圧延して板厚0.1mmの薄板とし、こ
の薄板を炉内温度1150℃、15%SiCl4−残部
N2の雰囲気の炉に装入し、拡散浸透処理法によってS
iを板厚方向平均で6.5%まで富化し、引き続き同温
度で拡散熱処理を施した後、1000℃までを10℃/
秒で冷却し、その後冷却ガスを吹き付けることにより種
々の冷却速度で700℃まで冷却し、さらにその後N2
ガス中で放冷した。このようにして得られた鋼板の鉄損
特性(W10/400)を冷却条件とともに表5に示す。これ
によれば、1000℃から700℃までの冷却速度が2
0℃/秒より速いものについては優れた磁気特性を示し
ており、本発明で規定した冷却速度で冷却することによ
り、磁気特性向上効果が得られていることが判る。
熱間圧延、冷間圧延して板厚0.1mmの薄板とし、こ
の薄板を炉内温度1150℃、15%SiCl4−残部
N2の雰囲気の炉に装入し、拡散浸透処理法によってS
iを板厚方向平均で6.5%まで富化し、引き続き同温
度で拡散熱処理を施した後、1000℃までを10℃/
秒で冷却し、その後冷却ガスを吹き付けることにより種
々の冷却速度で700℃まで冷却し、さらにその後N2
ガス中で放冷した。このようにして得られた鋼板の鉄損
特性(W10/400)を冷却条件とともに表5に示す。これ
によれば、1000℃から700℃までの冷却速度が2
0℃/秒より速いものについては優れた磁気特性を示し
ており、本発明で規定した冷却速度で冷却することによ
り、磁気特性向上効果が得られていることが判る。
【0033】〔実施例3〕本発明を実際の連続製造ライ
ンに適用した場合についての試験を行なった。表6の組
成を有するスラブを熱間圧延、冷間圧延して板厚0.1
mmの薄板コイルとし、これにアルカリ脱脂を施し、し
かる後、炉内温度1150℃、10%SiCl4−残部
N2の雰囲気の連続炉中に通板させ、Siを板厚方向平
均で6.5wt%まで富化した後、炉内温度1150℃
の拡散処理炉中に通板させて拡散熱処理を施し、引き続
き1000℃までを10℃/秒の冷却速度で冷却し、そ
の後冷却ガスを板面上下方向から吹き付けることにより
30℃/秒の冷却速度にて500℃まで冷却し、コイル
状に巻き取った。このコイルに絶縁皮膜をコーティング
した後、剪断機によってエプスタイン形状に剪断し、そ
のまま磁気特性を測定した。また、上記コイルからJI
S5号試験片を機械加工により切り出し、それらの破断
強度を測定した。また、比較のため拡散処理後の冷却の
際に冷却ガス吹き付けを行なわずそのまま冷却した場合
(冷却速度はほぼ10℃/秒であった)についてもコイ
ルを製造し、同様な方法で試験片を採取し、同様の磁気
特性および機械特性を測定した。
ンに適用した場合についての試験を行なった。表6の組
成を有するスラブを熱間圧延、冷間圧延して板厚0.1
mmの薄板コイルとし、これにアルカリ脱脂を施し、し
かる後、炉内温度1150℃、10%SiCl4−残部
N2の雰囲気の連続炉中に通板させ、Siを板厚方向平
均で6.5wt%まで富化した後、炉内温度1150℃
の拡散処理炉中に通板させて拡散熱処理を施し、引き続
き1000℃までを10℃/秒の冷却速度で冷却し、そ
の後冷却ガスを板面上下方向から吹き付けることにより
30℃/秒の冷却速度にて500℃まで冷却し、コイル
状に巻き取った。このコイルに絶縁皮膜をコーティング
した後、剪断機によってエプスタイン形状に剪断し、そ
のまま磁気特性を測定した。また、上記コイルからJI
S5号試験片を機械加工により切り出し、それらの破断
強度を測定した。また、比較のため拡散処理後の冷却の
際に冷却ガス吹き付けを行なわずそのまま冷却した場合
(冷却速度はほぼ10℃/秒であった)についてもコイ
ルを製造し、同様な方法で試験片を採取し、同様の磁気
特性および機械特性を測定した。
【0034】以上の結果を、化学分析により測定した窒
化物量とともに表7に示す。これによれば、実際の製造
ラインにおいても本発明法に従って冷却を行なうことに
より、磁気特性、機械特性に優れた高珪素鋼板の製造が
可能であることが判る。
化物量とともに表7に示す。これによれば、実際の製造
ラインにおいても本発明法に従って冷却を行なうことに
より、磁気特性、機械特性に優れた高珪素鋼板の製造が
可能であることが判る。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【図1】鋼板中の窒化物量と冷却速度との関係を調べる
ための試験において採られた、浸珪処理−拡散熱処理後
の冷却パターンを示す図面
ための試験において採られた、浸珪処理−拡散熱処理後
の冷却パターンを示す図面
【図2】浸珪処理−拡散熱処理後の冷却速度と窒化物量
との関係を示す図面
との関係を示す図面
【図3】図2に関する試験において得られた鋼板から抽
出された析出物の電子顕微鏡による拡大写真
出された析出物の電子顕微鏡による拡大写真
【図4】鋼板中の窒化物量と最大透磁率との関係を示す
図面
図面
【図5】鋼板中の窒化物量と破断強度との関係を示す図
面
面
【図6】浸珪処理−拡散熱処理後の冷却途中において急
冷を開始すべき温度Tを調べるための試験において採ら
れた、冷却パターンを示す図面
冷を開始すべき温度Tを調べるための試験において採ら
れた、冷却パターンを示す図面
【図7】浸珪処理−拡散熱処理後の冷却途中における急
冷開始温度と鋼板中の窒化物量との関係を示す図面
冷開始温度と鋼板中の窒化物量との関係を示す図面
【図8】図7に関する試験において得られた鋼板から抽
出された析出物の電子顕微鏡による拡大写真
出された析出物の電子顕微鏡による拡大写真
【図9】浸珪処理−拡散熱処理後の冷却途中における徐
冷開始温度と鋼板中の窒化物量との関係を示す図面
冷開始温度と鋼板中の窒化物量との関係を示す図面
【図10】浸珪処理−拡散熱処理後の冷却途中において
徐冷を開始すべき温度を調べるための試験において採ら
れた、冷却パターンを示す図面
徐冷を開始すべき温度を調べるための試験において採ら
れた、冷却パターンを示す図面
【図11】浸珪処理−拡散熱処理後の冷却途中において
950℃から800℃までの適正冷却速度を調べるため
の試験において採られた、冷却パターンを示す図面
950℃から800℃までの適正冷却速度を調べるため
の試験において採られた、冷却パターンを示す図面
【図12】浸珪処理−拡散熱処理後の冷却過程における
950℃〜800℃間の冷却速度と鋼板中の窒化物量と
の関係を示す図面
950℃〜800℃間の冷却速度と鋼板中の窒化物量と
の関係を示す図面
【図13】浸珪処理−拡散熱処理後の冷却途中において
950℃から800℃までの適正冷却速度を調べるため
の試験において採られた、冷却パターンを示す図面
950℃から800℃までの適正冷却速度を調べるため
の試験において採られた、冷却パターンを示す図面
【図14】浸珪処理−拡散熱処理後の冷却過程において
冷却速度を25℃/秒から15℃/秒に変更した温度と
鋼板中の窒化物量との関係を示す図面
冷却速度を25℃/秒から15℃/秒に変更した温度と
鋼板中の窒化物量との関係を示す図面
【図15】浸珪処理−拡散熱処理後の冷却において、析
出物が生成する鋼板温度と冷却速度の領域を示す図面
出物が生成する鋼板温度と冷却速度の領域を示す図面
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/14 H01F 1/14
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.01wt%以下、Si:4〜7
wt%、N:0.001〜0.01wt%、Al:0.
01wt%以下を含有し、Si、Alの窒化物量が5p
pm以下であるSi拡散浸透処理法により製造される磁
気特性および機械特性の優れた高珪素鋼板。 - 【請求項2】 C:0.01wt%以下、Si:4wt
%以下、N:0.001〜0.01wt%、Al:0.
01wt%以下を含有する低炭素鋼スラブを熱間圧延、
冷間圧延して薄板とした後、Si化合物とN2との混合
ガス雰囲気中にて浸珪処理し、次いでSiを板厚方向に
拡散させる拡散熱処理を施した後、950℃から900
℃までを25℃/秒以上の冷却速度で冷却し、900℃
以降800℃までを、t≧(T−800)/4[但し、
T:板温(℃)]を満足する冷却速度t(℃)で冷却す
ることを特徴とする請求項1に記載された磁気特性およ
び機械特性の優れた高珪素鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3311547A JP2639256B2 (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | Si拡散浸透処理法により製造される磁気特性および機械特性の優れた高珪素鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3311547A JP2639256B2 (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | Si拡散浸透処理法により製造される磁気特性および機械特性の優れた高珪素鋼板およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05125496A JPH05125496A (ja) | 1993-05-21 |
JP2639256B2 true JP2639256B2 (ja) | 1997-08-06 |
Family
ID=18018553
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3311547A Expired - Fee Related JP2639256B2 (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | Si拡散浸透処理法により製造される磁気特性および機械特性の優れた高珪素鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2639256B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3275712B2 (ja) * | 1995-10-06 | 2002-04-22 | 日本鋼管株式会社 | 加工性に優れた高珪素鋼板およびその製造方法 |
CA3151160C (en) * | 2019-10-03 | 2023-10-31 | Yukino Miyamoto | Non-oriented electrical steel sheet and method of producing same |
-
1991
- 1991-10-31 JP JP3311547A patent/JP2639256B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05125496A (ja) | 1993-05-21 |
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