JP2635464B2 - 制御冷却鋼板の製造方法 - Google Patents

制御冷却鋼板の製造方法

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JP2635464B2 JP3248250A JP24825091A JP2635464B2 JP 2635464 B2 JP2635464 B2 JP 2635464B2 JP 3248250 A JP3248250 A JP 3248250A JP 24825091 A JP24825091 A JP 24825091A JP 2635464 B2 JP2635464 B2 JP 2635464B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は制御冷却鋼板の製造に係
り、特に厚板加速冷却において、冷却後の板面内或いは
板間の温度ばらつきを低減する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延においては、圧延後に鋼板が冷
却されるが、制御冷却を適用して製造する制御冷却型鋼
板においては、冷却停止後の鋼板温度を均一に制御する
ことが重要な問題である。
【0003】すなわち、目標冷却停止温度に対して板面
内での温度偏差により材質のばらつきが生じ、その偏差
が許容範囲を超えて大きくなると材質不良になる。この
ため、オフラインで再度熱処理が施される場合もある。
しかし、再度熱処理を施すことは、制御冷却型鋼板の有
する低コストで、かつ、オンラインで高品質な鋼板を造
り込むというメリットがなくなってしまう。また、冷却
停止時の鋼板温度のばらつきは、形状不良の発生の原因
にもなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、冷却停止後の鋼
板温度を均一にする方法としては、幅方向に水量クラウ
ンを付与した冷却制御法や、鋼板端部の遮蔽装置や斜方
ノズルの採用によって、鋼板温度分布の均一化を図る方
法が採られてきた。
【0005】しかしながら、制御冷却時の冷却速度が大
きくなると、前述のような冷却装置自体の改良、開発に
よる均一冷却技術では、解決できないような大きな温度
ばらつきが発生する場合がある。
【0006】例えば、同一サイズの鋼板を同じ加熱・圧
延・冷却条件で数十枚製造しても、その内の数枚の鋼板
については、板面内で冷却停止温度が目標温度に対して
大きくばらついて許容範囲を超えるため、材質不良や形
状不良が発生するという問題があった。
【0007】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
るためになされたものであって、その目的は、制御冷却
鋼板の冷却停止後の板面内の温度ばらつきを低減し、材
質及び形状の安定化を図り得る方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために制御冷却型鋼板の製造条件について種
々の研究調査を行った結果、冷却停止温度のばらつき発
生の原因については、鋼板温度がAC1+20℃以下で
ある部分に生成しているスケール層と、AC1 点+20℃
〜AC3点の温度範囲にある部分に生成しているスケー
ル層とで、冷却中のスケール剥離挙動が大きく異なるた
め、板面内でスケール厚のばらつきが生じて、冷却むら
が発生することを見い出し、かかる知見に基づいて本発
明を完成したものである。
【0009】すなわち、本発明は、熱間圧延完了後に制
御冷却を適用して鋼板を製造するに際し、仕上圧延後の
圧延板における制御冷却開始温度を、最高温度を示す位
置の温度C1点+20℃以下になり、かつ、熱間圧延
前の加熱時のスキッド部に相当する位置の温度r1
以上確保されるように制御した後に、制御冷却を開始
することを特徴とする制御冷却鋼板の製造方法を要旨と
するものである。
【0010】以下に本発明を更に詳述する。
【作用】まず、本発明をなすに至った知見について説明
する。
【0011】冷却停止後の温度ばらつきの発生した加
速冷却鋼板について、正常部(停止温度430〜470
℃)と高温部(停止温度600〜620℃)を比較調査し
た結果、
【表1】 に示すように、高温部のスケール厚は、正常部のスケー
ル厚(20〜30μm)に比べて非常に薄くなっている。
したがって、冷却むらの発生原因として、スケールの影
響が極めて大きいことがわかった。
【0012】更に、スケールと冷却挙動の関係につい
て詳細に調査した。実験は、中心に熱電対を取り付けた
丸棒の試験片を大気雰囲気中で加熱保持後、水槽に浸漬
し冷却挙動を調べた。この実験結果を図3及び図4に示
す。すなわち、図3において、ステンレス鋼と炭素鋼と
を1000℃及び700℃に加熱保持し、水槽に浸漬し
て冷却挙動を調べた。加熱保持時間と、冷却開始から試
験片の中心部における実際の温度低下開始までの時間、
すなわち、冷却応答時間(τ)を調べたところ、加熱保
持時間が長時間となれば、換言すれば、試験片の表面ス
ケール厚みが厚くなれば、前記冷却応答時間は短くな
る。また、スケール厚みと冷却効果との関係は、図4に
炭素鋼を加熱保持時間1分及び30分で700℃加熱保
持後、冷却を施す場合について示すように、加熱保持時
間1分(冷却応答時間(τ2)で示される。)の場合にお
いては、緩やかな冷却カーブを示し、また、加熱保持時
間30分(冷却応答時間(τ1)で示される。)の場合に
おいては、スムースな冷却が行われれ、冷却開始8
における温度において両者の温度差(ΔT)は約100
℃となり、スケール厚みが冷却効果に大きく寄与するこ
と、換言すれば、スケール厚みが冷却むらの原因となる
ことが理解される。
【0013】また、熱間加工シミュレータにより丸棒
試験片を一定温度に種々の加熱保持時間で加熱保持後、
圧下率10%で加圧し(図5参照)、側面のスケールの
剥離状態を図6に示す要領で観察し、スケールの剥離性
を調べた。その結果、図7に示すように、保持時間が3
分の場合(図7(b) 参照)に、相変態域(AC1 点:72
0℃〜AC3:850℃)で部分的にむらのある剥離状
態となっている。
【0014】以上の、、の知見をまとめると、相
変態域から制御冷却した場合、スケールが部分的に剥離
し、板面内でスケール厚に差が生じる。その結果、板面
内でスケール厚が薄い領域は、厚い領域に比べて、前述
の冷却挙動のため、冷却停止温度は高くなる。つまり、
スケール厚のばらつきから、冷却停止温度のばらつきが
発生すると考えられる。
【0015】更に、工場で制御冷却した鋼板につい
て、制御冷却開始前の板面内の最高温度と制御冷却後の
冷却むら発生の程度の関係を調べたところ、図8に示す
結果を得た。同図から明らかなように、相変態域(AC1
〜AC3 )の温度範囲から制御冷却した場合、740
℃、すなわち、A C1 点+20℃を境界として、740℃
超過〜850℃の温度範囲では黒塗り小点で図示するよ
うに冷却むらが大きくなっており、冷却むらの低減に
は、図8において白抜き小点で図示するように板面内の
最高温度をAC1 点+20℃以下にした状態で制御冷却を
行う必要があることが判明した。
【0016】一方、強度確保の点から、圧延板におい
て最小温度を示す位置、すなわち、熱間圧延前の加熱時
のスキッド部に相当する位置の温度をAr1点以上を確保
したままで冷却を開始しなければならない。
【0017】以上の知見により、本発明では、仕上圧延
後の圧延板における制御冷却開始温度を、最高温度を示
す位置の温度C1点+20℃以下になり、かつ、熱間
圧延前の加熱時のスキッド部に相当する位置の温度
r1点以上確保されるように制御した後に、制御冷却を
開始するものであり、これにより、制御冷却における冷
却停止後の鋼板温度を均一に制御することが可能とな
る。
【0018】なお、仕上圧延後の圧延板において最高温
度を示す位置の温度をAc1点+20℃以下にする方法は
種々の方法が可能であり、例えば、圧延機前後に設置し
たシャワーにより適宜冷却する方法などが挙げられる。
また、スキッド部に相当する位置の温度をAr1点以上を
確保するには、例えば、圧延サイクル(ピッチ)を短縮す
る方法などが挙げられる。
【0019】次に本発明の実施例を示す。
【0020】
【実施例】50t×700w×6500l(mm)のサイズ
に熱間圧延して得られた造船用厚鋼板について、加速冷
却装置にて水量密度0.8m3/min・m2で、冷却開始温度
を変化させ、目標冷却停止温度450℃で水冷した。得
られた鋼板における加熱時スキッド相当位置から引張試
験片を採取して強度を調べた。その結果を
【表2】 に示す。
【0021】表2より、本発明法によると、冷却停止後
の最大温度偏差は、93℃から25℃へと大きく低減
し、かつ、引張強度も造船用鋼板の規格値を満足してい
ることがわかる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
制御冷却鋼板の製造において、特に厚板加速冷却におい
て、冷却後の板面内或いは板間の温度ばらつきを低減す
ることができるので、安定した材質及び形状の制御冷却
鋼板が得られる。またオフラインで再度熱処理を施す等
の必要がないので、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】加速冷却鋼板の正常部における表層部のミクロ
組織(金属組織)を示す写真であり、(a)は上面、
(b)は下面の場合である。
【図2】加速冷却鋼板の高温部における表層部のミクロ
組織(金属組織)を示す写真であり、(a)は上面、
(b)は下面の場合である。
【図3】冷却挙動(応答時間:浸漬開始してから冷却開
始するまでの時間)に及ぼす加熱保持時間の影響を示す
図である。
【図4】冷却挙動(浸漬開始してから冷却停止までの時
間)に及ぼす加熱保持時間の影響を示す図である。
【図5】熱間加工シミュレータでの加熱温度及び保持時
間を示す図である。
【図6】側面のスケールの剥離性の判定要領を説明する
図である。
【図7】スケール剥離性に及ぼす加熱温度、保持時間の
影響を示す図で、(a)は加熱保持時間が0.5分の場
合、(b)は加熱保持時間が3分の場合である。
【図8】制御冷却開始前の板面内最高温度と冷却むらの
関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−290955(JP,A) 特開 昭56−38422(JP,A) 特公 昭49−1147(JP,B1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間圧延完了後に制御冷却を適用して鋼
    板を製造するに際し、仕上圧延後の圧延板における制御
    冷却開始温度を、最高温度を示す位置の温度C1点+
    20℃以下になり、かつ、熱間圧延前の加熱時のスキッ
    ド部に相当する位置の温度r1点以上確保されるよ
    うに制御した後に、制御冷却を開始することを特徴とす
    る制御冷却鋼板の製造方法。
JP3248250A 1991-09-02 1991-09-02 制御冷却鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP2635464B2 (ja)

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JPS5638422A (en) * 1979-09-05 1981-04-13 Kawasaki Steel Corp Manufacture of cold-rolled lower electromagnetic steel plate
JP2607950B2 (ja) * 1989-02-13 1997-05-07 株式会社神戸製鋼所 加工性にすぐれる合金化溶融亜鉛めつき高強度冷延鋼板の製造方法

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